Win Win Windowsコラム
第12回: 仮想化の恩恵にあずかる
執筆:多田 博一
弊社では、マイクロソフト社やシスコ社などの技術分野をはじめ、ヒューマンスキル、プロジェクトマネージメントなど非常に多くの研修を提供しています。研修を実施するにあたり研修環境を準備しますが、特に技術分野の準備では、多数のコンピューターやネットワーク機器が必要になります。そのため、あらかじめ研修に必要な設定を行ったコンピューターのOSイメージを作成し、そのイメージをサーバーから展開することで、効率よく準備しています。
このサーバーの保守契約期限が切れたため、サーバー機を新しく入れ替えました。性能面は特に問題なかったのですが、ハードウェアの保守契約を延長できなくなりました。サーバーに使っていたOSがWindows 2000 Serverで、OSのサポートが近々なくなるということもあり(注:Windows 2000のサポート期限は2010年7月13日で、現時点ではサポートは切れています)、サーバーを新規購入し、環境を移行することにしました。
イメージ配布ツールに負荷がかかるのは研修環境の構築時だけなので、物理サーバーを占有するのは不経済です。そこで、新サーバーにはWindows Server 2008 R2を導入し、サーバー仮想化技術であるHyper-V 2.0を構成しました。Hyper-V上には仮想マシンとして構成したWindows Server 2008 R2にイメージ配布ツールをインストールすることで、別の仮想サーバーを構築する余地を残しました(図1)。
さて、サーバーの移行も終了し、しばらくは問題なく稼動していましたが、ある研修の準備で問題が発生しました。イメージ配布が途中で終了してしまうのです。台数を減らすなどして何度かやり直してみたものの、やはり途中で終了してしまいます。本来は、新サーバーの検証時にすべてのイメージが展開できることを確認すべきでした。しかし、数十に及ぶ研修コースの数だけ異なるイメージ をすべて検証するのは時間がかかりすぎるため、よく使用するイメージしか試していなかったのです。
とにかく、イメージを配布しなければなりません。移行前のサーバーではイメージが配布できていたので、移行前のサーバー環境を復元し、そちらからイメージを配布することにしました。ただし、ハードウェアは変わっていますし、OSもWindows Server 2008 R2に変わっていますので、そのまま復元するわけにはいきません。そこで、仮想サーバーをもう1台作成し、そこに移行前のサーバー環境を復元することにしました(図2)。
これで、復元も終了し、無事にイメージを配布できました。どうやらイメージ展開アプリケーションがWindows Server 2008 R2に対応していなかったようです。
今回のトラブルを踏まえ、Windows Server 2008 R2に対応したイメージ展開アプリケーションの後継版(旧版は開発が停止しています)を新しいサーバーにインストールしました(図3)。
ただし、新旧のイメージ展開アプリケーションには、イメージの互換性がありませんので、現在は配布するイメージによって、新旧2台の仮想サーバーを使い分けています。2つのシステムを同時に使うことはありませんので、性能上の問題はありません。イメージは順次新版に移行し、最終的にはWindows 2000 Server仮想マシンを撤去する予定です。もちろん撤去にあたっての廃棄コストは発生しません。
このように仮想化技術を利用することで、柔軟性が高まります。今回のケースでは、旧サーバーを仮想化することで、古いアプリケーションを引き続き利用することができました。また、新旧2台のサーバーを1台の物理サーバーにまとめることができました。さらに、仮想サーバーは実際にはファイルで管理されるため、例えば次回ハードウェアの保守期限がきても、Hyper-Vを構成済みの別のサーバーにファイルをコピーすれば、引き続き稼働できます。従来であればサーバーのバックアップをとり、新しいサーバーを購入し、OSをインストールし、ドライバをインストールし、バックアップからリストアして...と考えれば、非常に手間がかからないことがお分かりいただけるかと思います。
ところで、新旧のサーバーを1台の物理サーバーにまとめたわけですが、同じように、機能の異なるサーバーを1台のサーバーにまとめることもできます。これをサーバー集約といいます。例えば、DNSサーバーとDHCPサーバーとメールサーバーを仮想サーバーにしてまとめれば、通常は3台必要な物理サーバーを1台で済ませられますので、ハードウェアの購入費用や稼動時の費用(電気代など)を削減できます。また、実行しているサーバー機能に対してハードウェアスペックが過剰になることもなく、サーバーリソースを最適化できます。もちろん、仮想サーバーを使わなくても必要なサーバー機能をインストールしてもよいのですが、その場合はサーバーにトラブルがあったときにトラブルの切り分けが困難になったり、あるサービスによりサーバーを再起動すると、別のサービスも停止したりしますので、運用が難しくなる可能性があります。その点、サーバー機能ごとに仮想サーバーを構成すれば、個々の動作が独立するのでそのようなことが起こりにくくなるわけです。
仮想化することで得られるメリットやマイクロソフト製品の仮想化機能の概要については、「マイクロソフト仮想化技術概要(Version2)」(#50287)で扱っています。また、Hyper-Vのインストールや構成、仮想サーバーの構築については「Hyper-Vのインストールと構成(Version2)」(#50288)で扱っています。さらに、複数の物理サーバーにある仮想サーバーを効率よく管理するためのツールである、System Center Virtual Machine Manager(SCVMM)については、「System Center Virtual Machine Managerを使ったHyper-Vの管理と監視(Version2)」(#50289)で扱っています。
「1日で効率よく学びたい」という方のために、「マイクロソフト仮想化セミナー」と称しまして、「マイクロソフト仮想化技術ソリューション提案概要~MSU(#50287)対応~」や「1日でわかる!Hyper-V 2.0とSCVMM 2008 R2 ~MSU(#50288)・(#50289)対応~」をご用意しております。これらのコースは、上記コース内容に+α、あるいは2コースの内容をそれぞれ1日で学習いただける、特別セミナーです。SAトレーニング受講券をお持ちであれば、受講券1枚で御受講いただけます。大阪支店でも開催を予定しておりますので、是非ご検討ください。皆様のおいでをお待ちしております。
多田 博一 (ただ ひろかず)
大阪支店でWindows Server関連のコースを担当している。
マイクロソフト認定トレーナー、MCITP。
[Windows Server 2008 R2][2011年1月12日配信]


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