Win Win Windowsコラム
第11回: Windows Azure に思う ~The Microsoft Conference + Expo Tokyo に参加して~
執筆:芝山 賢
●みんなで雲(クラウド)に乗る
石井桃子氏の児童文学作品である「ノンちゃん雲にのる」。読んだことがある人はもちろん、読んだことがなくてもタイトルくらいは知っている人が多いと思います。ICT業界において雲といえばクラウド。関連ニュースを見ていると、クラウドについて書かれていない日はないくらい非常に注目されていますし、クラウドベースのさまざまなサービスが各社から発表されています。ICT業界全体が雲(クラウド)に乗る、と言った状況ではないでしょうか。
●雲(クラウド)を抜けるとそこには青い空(Azure)が
マイクロソフトのクラウドと言えば「Windows Azure」です。2008年のProfessional Developer Conference(PDC)でWindows Azureが発表され、2010年に本格サービスインしたのは皆様の記憶に新しいことと思います。そんな中、The Microsoft Conference + Expo Tokyo が2010年11月25日~26日に開催されました(同時にPDC10も同じ場所で開催されました)。
セッション内容は雲(クラウド)一色、と言っても良いくらいマイクロソフトのクラウドに関連したセッションが多数開催されていました。また、PDC10ではWindows Azure上のアプリケーション開発や、Windows Phone 7の開発に関連するセッションが開催されていました。マイクロソフトがクラウド、特にWindows Azureビジネスに力を入れていることが肌で伝わってくるようなカンファレンスで、まさに、雲(Cloud)をぬけるとそこには青い空(Azure)が待っている、という感じでした。
●Cloud Power ~未来へと続く新しいチカラ~
カンファレンス会場でまず目についたのが、配布されていた紙袋。本カンファレンスから使用が開始された新しいロゴと「Cloud Power」と記された水色の紙袋は非常に爽やかな色合いのものでした。歯車のような形をした部品が全体として雲の形を成しているそのロゴは、パートナー企業とともにマイクロソフトが今後もクラウドを力強く推進することを表現しているのだそうです。
キーノートセッションは、初日は代表執行役社長の樋口泰行氏が、2日目はデベロッパー&プラットフォーム統括本部長である大場 章弘氏が担当されました。
キーノートセッションの中で特に面白いと感じたものの1つは、新しいサービス(製品)のデモンストレーションです。特にOffice 365、Windows Phone 7やスレートPCなどのデバイスを使用して、Azure上で行うデータ連携のデモでは非常に興味深いものでした。特に、2011年1月から提供開始予定のDynamics CRM Onlineはオンプレミス版よりもバージョンが先行しており、マイクロソフトがクラウドに取り組む真剣さが伝わってきます。その他、System CenterやWindows Intune、MarketPlaceなどもデモンストレーションされ、Azureを軸とした今後のサービス展開が非常に楽しみな内容でした。
●WebロールにWorkerロール、ロールにいろいろあるけれど・・・
Windows Azure上でのアプリケーション開発の話の中に必ず出てくる言葉として「Webロール」「Workerロール」というものがあります。簡単に言えば、IIS7上で実行可能なアプリケーション、例えばASP.NETアプリケーションを動作させる場合には「Webロール」を、IIS7を必要としないアプリケーション、例えばバッチ処理を行うアプリケーションは「Workerロール」を使用します。
その2つのロールに加えてVMロールが追加されました。VMロールは、既存のオンプレミスアプリケーションをWindows Azureに移行しやすくするための機能です。Windows Server上で動作するアプリケーションをそのままWindows Azure上で実行するために、VMイメージを作成してAzure上で動作させます。初期のVMロールではWindows Server 2008 R2のみのサポートのようですが、将来的にはWindows Server 2003のサポートも予定されています。
●.NETだけじゃないんです
Windows Azure上のアプリケーション開発は、C#やVBなど.NET対応のプログラミング言語の使用が必須であるようなイメージをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、2日目のキーノートセッション内で、大場氏はWindows Azureは.NETベースのアプリケーションだけでなく、JavaやPHPなどを活用したオープンソースベースのアプリケーションにも対応しており、開発に必要なSDKや開発情報を提供することを強調していました。
同時開催のPDC10におけるセッション内でも、統合開発環境としてEclipseを利用し、JavaやPHPでWindows Azure対応のアプリケーションを開発するデモンストレーションがありました。
Windows Azureが.NETアプリケーションだけでなく、JavaやPHPなどで開発したアプリケーションのプラットフォームとしての可能性を感じます。
●Developer・Developer・Developer
大場氏はキーノートセッションの終盤で、米マイクロソフトCEOのスティーブ バルマー氏の口癖ともいえる「Developer・Developer・Developer」という言葉を引き合いに出して、今後もマイクロソフトが全社をあげて開発者支援を行っていくと力強く話していました。発表された新機能にも一部対応しているWindows Azureの最新SDKも11月末にリリースされています。開発環境を含め、今後開発者がどのようなサポートをマイクロソフトから受けられるのか、非常に期待しています。
●積極的に取り組むクラウドにおける協業
キーノートセッション内では、パートナー企業によるクラウドにおける協業の説明や、Windows Azureを活用した先進的な取り組み事例なども多く取り上げられました。
本年7月に館林にある富士通のデータセンターに、Windows Azureベースのクラウドサービスを提供していくことで富士通とマイクロソフトが戦略的協業をしていくことが発表されたことは皆様の記憶に新しいことと思いますが、10月には、NTTコミュニケーションズとのハイブリットクラウドサービスの提供での協業を、そして11月にはNTTデータとの協業を発表しました。独自のクラウドサービスを展開している企業間でクラウドビジネスにおいて協業することはサービス利用者にとっての選択肢が広がることにつながるのではないでしょうか。このような協業によって、オンプレミスアプリケーションのクラウドへの移行がより加速されていくことでしょう。
●進化を続けるWindows Azure、広がりつづけるクラウド
Windows Azure については、これまで述べてきたサービスや機能拡張だけでなく、SQL Azure、AppFabricなどでも機能拡張が行われています。今後も継続的に新しいサービスのリリースや機能拡張が行われていくことでしょう。Windows Azureはどんどん進化し続けています。これまでWindows Azureとは接する機会が全くなかった人でも、今後は何かしらの形でWindows Azureに関係していく可能性が高いのではないかと思います。Windows Azureの今後の動きから目が離せません。
Windows Azureだけでなく、クラウドコンピューティングをベースにした様々なビジネスが広がりをみせる現状を考えると、私たちもしっかり雲に乗ってサービスを提供していきたいと思うのでした。
(キーノートセッションの様子は、以下のURLにてオンデマンド配信されています)
http://www.microsoft.com/japan/cloud/msc2010/digital/default.mspx
芝山 賢 (しばやま さとし)
グローバル ナレッジネットワーク株式会社で、ITプロフェッショナル向け教育コースの企画・実施を担当。マイクロソフト認定プロフェッショナル デベロッパー(MCPD)。
これまでに担当した教育分野はOS/ネットワークの運用管理系、プログラム開発系、人材開発系と多岐に渡る。毎年、新入社員研修(NEW TRAIN)のプロジェクトマネージャを担当、多数の新入社員から絶大の信頼を得ている。
現在は Micosoft Develper関連のコースを中心としたプロダクトマネージャを担当している。
[Windows Azure][2010年12月 6日配信]


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