Win Win Windowsコラム
第9回: 複数資格を取ろう
執筆:横山 哲也
マイクロソフトやシスコシステムズなど、多くのITベンダーは認定資格試験を実施しています。たいていの場合、資格試験はいくつかの種類に分かれています。今回は、複数の資格を取ることのメリットについてお話します。
私は主にWindows系を担当しているので、マイクロソフトの場合を紹介します。ほかのベンダーでも似たような状況のはずです。
マイクロソフトの認定資格試験の合格者をMCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)と呼びます。MCPは、特定の製品技術の内容を習得したことを証明する「MCTS(Microsoft Certified Technology Specialist)」と、システム管理分野の職務遂行能力を証明する「MCITP(Microsoft Certified IT Professional)」、システム開発分野の職務遂行能力を証明する「MCPD(Microsoft Certified Professional Developer)」があります。
多くの方は、MCTSを取得したら上位資格を狙うのですが、違う分野の資格を狙ってみるのもいいかもしれません。
コンピュータの単体性能を上げることを「スケールアップ」、台数を増やして性能を上げることを「スケールアウト」といいます。資格試験も、上位資格を狙う「スケールアップ」だけでなく、仕事の幅を広げる「スケールアウト」も狙ってみてはどうでしょう。
●上位資格と関連資格を狙う
MCTSは1科目の試験に合格するだけで取得できます。しかし、単にMCTSを取得するだけでは、特定の製品について知っていることしか意味しません。MCTSであれば「来週、新入社員が1人配属されるから、PCにWindows 7をインストールして、必要なアプリケーションのインストールと設定をしておいてね」と言われるだけで正しい処理を行えます(こうした知識は 「70-680: TS: Windows 7, Configuring」で扱います)。
しかし、入社する社員が100人だったらどうでしょう。何らかの自動処理をしたいところですよね。Windows Serverには「Windows展開サービス(WDS)」が含まれており、1台の参照コンピュータ(基準コンピュータ)の内容を複製し、簡単に配布できます。
ところが、WDSはサーバーの機能なので、Windows Serverの管理知識が必要です。しかし、展開されるのはWindows 7ですからクライアントの知識も必要です。
MCITP資格で 「70-686: PRO: Windows 7, Enterprise Desktop Administrator 」は、WDSの基本的な内容が含まれます。
ただし、Windows Serverの構成計画やネットワーク設計に関してはさらに別の知識が必要で、 「70-647 :PRO: Windows Server 2008, Enterprise Administrator 」などでカバーしています。
このように、クライアント管理一つをとっても、実際の業務を行うにはMCTSでは不十分で、最低でもMCITPは必要です。しかも、多くの場合は複数のMCITP資格が必要です。一人前の技術者になるにはMCTSではなく、MCITPやMCPDのような上位資格が必須です。
●異なる分野の資格を狙う
もうひとつ、全く違う分野の資格を取得することで、自分の価値の幅を広げる方法もあります。たとえば、現在システム管理をしている方が、開発者向けの資格を取るような場合です。
最近、IT業界では「クラウド」という言葉が毎日飛び交っています。クラウドには多くの利用形態があり、さまざまな予測が行われていますが、共通した意見は「システム管理者の仕事が減少し、相対的に開発者の役割が高まる」ということです。もちろんシステム管理者の仕事がなくなるわけではありませんし、仕事の価値が下がるわけでもありません。ただし、仕事量は確実に減るでしょう。
マイクロソフトが提供するクラウドサービス「Windows Azure」では、既存の社内システムとの連携を行うアプリケーションを開発できます。現在の社内システムに最も詳しいのは、もちろん現在のシステム管理者です。そのシステム管理者がWindows Azure上の開発知識を持っていれば、業務システムとの連携がさらにうまくいくであろうことは容易に想像できるはずです。
Windows AzureのMCP試験は、現在ベータテスト中で、まだ提供されていませんが、Windows Azureのプログラム基盤はMicrosoft .NETです。今から.NETの試験にチャレンジすることで、近い将来のクラウド化にスムーズに対応できるでしょう。
●複数資格を取ろう
ベンダー資格は1つだけでも価値がありますが、複数取得することでその価値が大きく高まります。
1つは上位資格や関連資格を取得することで、業務に直結した能力の証明になります。
もう1つは、新たな分野の資格を取得することで、自分の知識の幅を広げ、将来のトレンドの変化(たとえばクラウド化)に対応できます。
クラウドのさまざまなメリットは「スケールアウト」に由来します。クラウド時代を迎えようとしている現在、人間も「スケールアウト」を検討してはどうでしょう。
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横山 哲也
グローバル ナレッジネットワーク株式会社で、ITプロフェッショナル向け教育コースの企画・開発・実施を担当。Windows 2000のMCSEとしては世界で最初の2000人に入った(当時のインタビュー記事)。2003年にはWindows Server 2003のMCSA、2004年にMCSE、2008年8月にはWindows Server 2008のMCITP(Server AdministratorおよびEnterprise Administrator)を取得するなど、常に最新の資格を維持している。
Windows 関連コースのBlogも執筆中。 「千年Windows」
[資格取得][2010年10月22日配信]


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