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第1回: Active Directory 10周年
執筆:横山 哲也

Windowsを企業に導入する場合に欠かせないのが「Active Directoryドメインサービス(AD DS)」です。従来は単に「Active Directory」と呼んでいたのですが、Windows Server 2008から名称が変わりました。もっとも、私も含めて多くの人は今でもActive Directoryと呼んでいます。本当はいけないのかも知れませんが、マイクロソフトの人もActive Directoryと呼んでいるので勘弁してください。特に今回は、歴史的な話を紹介するので当時の呼称に合わせてActive Directoryとします。


さて、そのActive Directoryは2000年2月、Windows 2000の発売とともに登場しました。2010年2月で10周年です。IT業界の1年は「ドッグ・イヤー」つまりイヌの1年と同等と言われています。イヌの寿命は10年から15年くらいですから、Active Directoryさんもかなりの高齢ということになりますね。


マイクロソフトは、Active Directory 10周年を記念してイベントを開催しました。私(横山)もゲストとして呼ばれ、昔の話を語ってきました。当日の模様はTech Fielders サイトに公開される予定です。また、Twitterのハッシュタグ#ad10thで検索していただけると当日の様子が分かるでしょう。

 

●Active Directoryの始まり
私がActive Directoryを最初に触ったのは、まだ一般公開されていない「Windows NT 5.0ベータ1」の時代です。そのときの解説文書には

Windows NTのローカルグループやグローバルグループはややこしいので、単なる「グループ」に一本化する。

と、はっきり書いてあったのを覚えています。Active Directoryに詳しい方はご存じの通り、実際には一本化どころか「ドメインローカルグループ」と「ユニバーサルグループ」がさらに追加されています。
証拠の画面ショットもあるのですが、公開していいかどうか分からないので掲載は控えます。どうしても見たい方は月刊「Windows NT World」(IDGジャパン)1998年5月号の特集「Active Directoryで変貌するNTネットワークの世界」を探してみてください。

 

●Active Directoryの導入
鳴り物入りで登場したActive Directoryですが、すぐには普及しませんでした。当時は「数万人を超える規模に対応する」「より高度なセキュリティに対応する」「UNIXと認証を一本化する」といった売り文句が並んでいましたが、これが間違っていたのだと思います。

数万人を超える従業員を抱える企業はそれほど多くありません。セキュリティは高いに越したことはありませんが、2000年当時はセキュリティ意識が今ほど高くありませんでした。Windows以外のシステムとの認証を一元化するのは、現在でもそう簡単ではありません。「Active Directory 10周年」イベントでは「Linuxの認証をActive Directoryで行うデモを作るのが一番大変だった」という声もあったくらいです。

 

●Active Directoryの普及
本格的にActive Directoryが普及し始めたのは大規模なセキュリティ侵害が発生した2003年頃からでしょう。特にクライアントからのセキュリティ侵害が深刻な事態を引き起こしました。そこで注目されたのがActive Directoryです。Active Directoryと同時に提供される「グループポリシー」を使えば、クライアント環境の管理を簡単に行えます。

新しい技術は、製品ができただけでは決して普及しません。製品に加えて、消費者のニーズ、そして利用環境が必要です。たとえば自動車が普及するには、自動車という製品、自由に移動したいというニーズ、そして自動車が通行できる道路網とガソリンスタンドが必要です。

Active Directoryの場合は、製品が登場したのが2000年、信頼できるPCサーバーという環境が整ったのが少し早くて1996年くらい、そしてクライアント管理というニーズが高まったのが2003年だと考えられます。そのためActive Directoryの普及は2003年まで待つ必要がありました。マイクロソフトが当初想定した大規模環境の管理というニーズは、それほど大きくなかったようです。

 

●Active Directoryの学習
私たちは、マイクロソフトのラーニングパートナーとして教育コースを提供しています。この時、心がけているのは単に技術を紹介するだけではなく(もちろん技術解説は最低条件です)「その技術を使うには何が必要なのか(環境)」と「どんなふうに使えば便利なのか(ニーズ)」を紹介することです。
たとえば 「Windows Server 2008 R2ソリューション概要」では「...をするには」という見出しが多用されており、本文には「ここで使える...」という表現が随所に登場します。単なる技術ではなく、ビジネスに役立つソリューションを提供したいと考えた結果です。

構成上、どうしても技術的な面に偏りがちな教育コースもありますが、これからも、なるべく現場のニーズに応えられるような話をしていきたいと考えています。


 


 

横山 哲也

グローバル ナレッジネットワーク株式会社で、ITプロフェッショナル向け教育コースの企画・開発・実施を担当。Windows 2000のMCSEとしては世界で最初の2000人に入った(当時のインタビュー記事)。2003年にはWindows Server 2003のMCSA、2004年にMCSE、2008年8月にはWindows Server 2008のMCITP(Server AdministratorおよびEnterprise Administrator)を取得するなど、常に最新の資格を維持している。

Windows 関連コースのBlogも執筆中。 「千年Windows」

 


 


 

[Active Directory ][2010年3月10日配信]

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