わくわくヒューマンスキルコラム
第44回:人を動かし効果を生み出すプレゼンテーション
執筆:岩淺こまき
以前、4社から同種製品のプレゼンテーションを受けたことがあります。コンペです。その時、こんな風に思ったことが記憶に残っています。
「A社の内容は理解できなかったが、気持ちだけは伝わった」
「B社の内容は理解できたが、検討しようとすら思わなかった」
「C社の内容は何が言いたいのかさっぱりわからなかった」
「D社の内容はぜひ検討しようと思った」
もう少し具体的にあの時のことを思い出してみると、4社の違いは以下のように整理できることがわかりました。
「ぜひ検討しようと思った」D社は、論理的な資料で説明も論理的であっただけでなく、プレゼンタ自身の「ぜひやりたい」「採用してください」という思いや一生懸命さがひしひしと伝わってきました。内容もわかりやすかったのですが、それ以上に「そんなに思ってくれるなら」と心が動かされるようなプレゼンだったのです。
「内容も気持ちも伝わらなかった」C社は論外として、提案者の立場になった場合、D社のように「ぜひ検討しようと」思わせるプレゼンテーションをしたいと私も思います。
私が担当するプレゼンテーション研修の受講者からはよく、「論理的な資料を作りたい」「論理的に説明したい」という声を聞きます。確かに、論理的な資料を作成し、プレゼンタも論理的に話すことは、必要条件です。 ただし、論理的でさえあれば良いか、というと、そうではありません。
B社の「内容は理解できたが、検討しようという気持ちにならなかった」という結果を考えてみます。私はプレゼンタの話を「聞き」、話の内容を「理解」しました。それなのに、そこから「思い」を感じ取ることができなかったため、「検討しようという気持ちになれなかった」のでした。たしかに、「実績例が示された」り「具体的データが提示された」りしていて、内容面は明確に理解することができました。しかし問題は、プレゼンタの熱意や人柄といった部分です。声の力や表情、「自分の言葉で語っているか」といった部分からプレゼンタの思いを感じ取ることができなかったのです。その結果聞き手であった私たちは「うーん・・B社のプレゼンは心に響かないね」と思い、お断りすることになりました。
気持ちだけが全面に出ているならよいというわけでもありません。
A社の「内容は理解できなかったが、気持ちは伝わった」というケースです。資料にプレゼンタ側の思いが記載されていたり、熱意を込めた説明をしたりしたので、「何とかしたいのだな」「協力しよう、いいものを提供しよう」と思っているのだな、ということだけは伝わりました。ところが、残念なことに、内容そのものを理解できませんでした。具体的な例や私たち聞き手の立場に立った解説(私たちにとってのメリットは何かなど)といった肝心の内容が薄かったため、内容が理解できぬまま、気持ちだけが先走る結果になったのです。
聞き手をプレゼンタの意図する方向に動かそうと思ったら、資料もプレゼンタも「論理的」であることが求められます。さらに相手の心に響く「気持ち」が欠かせません。「論理」と「気持ち」は、どちらも揃っていて初めて結果につながります。
プレゼンテーションを準備する場合は、まず「論理的」に内容を組み立てます。資料を作るだけでなく、論理的に話せるよう練習を重ねます。 その上でさらに自分の気持ちがきちんと伝わるような工夫も必要です。
「論理」と「気持ち」。両方を伝えられるプレゼンテーションが、D社のように「ぜひ検討しようと思った」という結果を生み出すのです。
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岩淺こまき(いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育トレーナー。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、コミュニケーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。
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[プレゼンテーション][2009年5月25日配信]


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