わくわくヒューマンスキルコラム
第45回: 新人だと「バレない」こと!?
執筆:田中 淳子
「新入社員のことを、お客様に"新人です"って紹介してる?それとも、"新人"だってことは敢えて言わない?」
ある企業でのOJT担当者向けフォローアップ研修で、一人の参加者が周囲に質問を投げ掛けました。
面白い疑問だと思ったので、その場にいた20人ほどのOJT担当者に伺ってみると、「新人です、と紹介する」派と「新人です、とは敢えて言わない」派は、ほぼ半々という結果になりました。
それぞれに理由があります。「新人です、と紹介する」派は、「お客様にきちんと紹介することで、新人にも自覚を持ってもらう」「多少の粗相があっても、お目こぼしがいただけるのではないか」と言います。
一方で、「新人です、とは言わない」派は、「お客様の前では新人も何もない、新人にも、一人前として扱われることを自覚させたい」「お客様に、新人を連れてきたと不安にさせないように」などという理由を挙げました。
どちらも一理あるように思います。
新卒で入社した会社で、私は半年の修行の後、お客様向けに「FORTRAN入門」といプログラミング言語の研修でデビューしました。その際、先輩と共に懸念したのは、「新人だ」とバレてしまうのではないか、でした。
「もしかすると、新入社員ですか?」「田中さんは、若く見えるけど、何歳ですか?」などと聞かれた場合の対応法を相談したら、先輩にこうアドバイスされました。「即答せず、"何歳に見えますか?"と質問を返してごらん」。
質問している側も、たいてい「24-5歳?」と少し上に言うものなので、そうしたら「はい、だいたいそんなところです」と返答すればよいと。
尋ねている側も、「まさか講師がデビューしたての新人ってことはないよね」と思う部分もあるので、相手に不安を与えないように、先方が言う年齢を聞いて、「だいたいそうです」と答えるほうが安心させられる、というわけです。(グローバルナレッジでは、新卒採用をしていないので、今はこういう心配をすることもありませんが。)
年齢を気にすると言えば、以前、こんなこともありました。SQLの研修を担当していた20代後半の講師が、参加者にデモンストレーションを見せる際のこと。
「では、名前には、私の名前、KOJIMAと入力します。」「次に、年齢のところには、22、と」・・・。こうやってデモンストレーションが終了した後、後ろでご覧になっていた研修担当者が、講師ではなく、担当営業にあとでこっそり、問い合わせをなさったそうです。
「あのコジマさんという講師は、もっとベテランかと思っていたけど、新人なんですか?そんな若い人を派遣するなんて、大丈夫なんでしょうか?」と。担当営業は何のことか分からず、きょとんとしてしまったのですが、講師自身に確認したところ、デモンストレーションで入力した年齢が原因と判明しました。
研修のご担当者には、「彼女は、入社6年目か7年目なので20代後半ですよ」とお伝えし、事なきを得たとか。
年齢と仕事ぶりとは必ずしも関係ない、とは言え、やはり、他人の年齢が気になる方もいらっしゃるし、「若いこと」を自分自身が気にしてしまうこともあります。(もちろん、「若くないこと」を気にするケースもあります。)
冒頭のケースでは、その場の話し合いで、OJT担当者と指導を受けている新入社員とで話し合って方針を決めればいいのではないか、ということになりました。「こういう理由でこうする」と軸さえ明確になっていれば、それぞれの紹介方法のメリットが生かされるはずです。
この研修の最後に、「新入社員がどこまで育ったらOKとするか」といった議論もしました。「新入社員の成長度合いを測る指標」について、全員でアイディア出しをしたのです。
「一人でヒアリングし、提案書を書き、顧客に説明できるようになる」「ある業務を聞いた時、それは誰が担当なのかがわかるようになる」「自分の担当業務を全くの部外者に分かりやすく説明できるようになる」など具体的な「行動」が挙げられました。その中のひとつに、こういう指標もありました。
『お客様に"新人だ"ということがバレないようになる』
「"そういえば、まだ新人さんでしたよね"と、先方も忘れてしまうほどになれば、新人時代は卒業かなと思って」とそのOJT担当者はおっしゃいました。
なるほど。自分も他人も「新人かどうか」が気にならなくなること。それが一番の「成長の証」なのかも知れません。
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OJT開始前後に行うOJT担当者向けの研修です。「どんな人材に育てたいか」「指導計画の立て方」といった「どう教えるか」「考える人材に育てるためのコーチングスキルの活用」「やる気を刺激する方法」など、OJTの準備と運営で必要な」知識とスキルを学びます。OJTで使える書式を作成し、具体的ノウハウを学び、活用法も考えます。2003年開講以来、多くの企業で採用していただいております。
OJTが始まって3ヶ月から半年経った頃に、「OJTの成功事例」や「困っていること」を共有したり、議論したりする研修です。OJT担当者同士の交流を図ると共に、知恵の共有を推進することができます。
定期開催では・・・
もあります。
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田中淳子がブログを始めました。人材育成の現場で見聞きしたこと、新入社員を始めとする若手社員のOJTの事例、本の紹介などしています。
田中 淳子 (たなか じゅんこ)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。
【ブログ】
「ヒューマンスキルの道具箱」
【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
【連載中】
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料)
[後輩指導・OJT][2009年6月16日配信]


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