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わくわくヒューマンスキルコラム
第35回:「国語辞典」を使っていますか?
執筆:田中 淳子

新入社員が配属され、OJT真っ只中のこの時期、OJT担当者やその上司の中には、「新人が書いてくる文章に誤字が多くて、大変だ」とか「添削に数時間かかってしまう」と嘆いている方も多いことと思います。
彼らが提出する文章を上司やOJT担当者が赤ペンで一生懸命修正し、戻す。新入社員は、上司やOJT担当者から真っ赤な状態で戻された文章を、「指摘された箇所をそのまま直す」。そんな作業を繰り返している職場が多いようです。


「新入社員に文章力をつけさせたい」と思う一方で、上司やOJT担当者は丁寧に添削してしまいます。「添削する」という方法を取ることで、新入社員からは「自分で考えて書く」というプロセスが抜け落ち、結果的に「文章力の向上」につながらないという皮肉な結果が生じるのです。
上司やOJT担当者が赤ペンで修正箇所をより多く指摘するより、新入社員自身によりよい文章、よりよい言葉選びをさせるほうが教育効果は上がります。では、何をすればよいのでしょうか?


今年、ある企業で新入社員研修を実施した時のことです。新入社員には毎日「研修受講報告書」を書かせるというカリキュラムになっていました。その企業では、前日書いた報告書から簡単にコピー&ペーストできないよう、A4サイズ分の報告書を手書きで記述するよう指導していました。「報告書を書く経験を積むこと」はもちろんのこと「文章力を向上すること」や「日本語力を磨くこと」も意図していました。


新入社員が提出する報告書には誤字脱字が多く、中には創造力溢れる漢字が使われている場合も少なくありません。たとえば、「講義」は「講議」、「習得した」は「取得した」と書かれています。「協調性」と書きたかったのでしょうが、「共丁性」と書いてあったり、「結束力」と書くつもりだったらしい言葉は、「決足力」となっていたりもします。既に学生時代から手書きで文字を書く機会が減っているため、A4サイズ1枚の報告書でもひとつの誤字なしに書けるという人はほとんどいないのが現状です。漢字だけではありません。言い回し・表現も適切でないものが選ばれている場合が多々あります。

今年は、この企業で「新入社員に国語辞典を持参してもらう」ことを当社から提案しました。「学生時代に使っていたぼろぼろの辞典でもいいから、自宅から持参するように」と入社前に連絡していただいたのです。その結果、新入社員のほぼ全員が自席に国語辞典を置いて新入社員研修に臨む姿が見られました。

その結果興味深い変化が起こりました。


1.レポートの誤字脱字が激減した
⇒ レポートを書く際、あてずっぽうで書いていた漢字を調べてから書くようになったため、間違いが減った

2.レポートでの表現において、より適切な言葉を選ぶようになった
⇒ 辞典を引き始めると、単に正しい漢字を探すだけではなく、「どういう表現を用いればより自分の考えを的確に表現できるか」を考え、言葉を探し、選ぶようになった

3.他者と言葉に関する議論をするようになった
⇒ グループ・ディスカッションで成果を模造紙にまとめる作業でも、「こちらの表現のほうがより良いのではないか」と言葉について活発に議論していた

「国語辞典を手元に置いておく」という、たったそれだけのことで、誤字脱字が減るだけでなく、表現する際の言葉遣いに敏感になる、という効果が生まれたわけです。

手近に調べるためのツールがあれば、誰でもそれを使うようになるものです。自助努力の範囲で、正しい言葉遣い、正しい漢字を調べ、レポート作成も行えます。調べる楽しさを知ると、辞典を使って言葉探しをすることがさらに面白くなってくるようでした。

「机に国語辞典を置いておきなさい。わからないことは調べなさい」---。

OJTの現場でも、新入社員にそう指示を出してみてはいかがでしょう。チームで国語辞典を共有物として用意するのもよい方法です。自分で調べて新しいことを知る、調べてみたら忘れていたことを思い出す、というのは、人間の知的好奇心を刺激する要素でもあります。調べることが習慣化すれば、文章力も日本語力も自ずと向上してきます。

ところで、「ぼろぼろでもいいから」と伝えたものの、新入社員の皆さんが持参した辞典は全部ピカピカでした。なぜなら、全員が"電子辞書"を携えてきたからです。時代の変化を感じる光景でもありました。


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第二新卒の方、10月入社の方、配属後再度コミュニケーションを見直したい方のための特別コースをご用意しました。
「仕事の基礎力」(1日間)
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2008年秋に各コースとも1回のみ開催いたします。
一人前のビジネスパーソンになるためのビジネスマナーや、コミュニケーション・プレゼンテーションの基本を短期間で修得します。


 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 


[後輩指導・OJT新人社員研修][2008年8月19日配信]

 

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