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わくわくヒューマンスキルコラム
第114回:「ゆとり世代」だから育たないのではないんです。環境が大きく変化したのです。
執筆:田中 淳子

「ゆとり世代だから育たない」「ゆとり世代だから細かく教えないとできない」などと若手が育ちにくいことの「原因」を「世代」に求める人がいます。「世代」の違いは、いつの世にもあって、たとえば、40年くらい前の小説を読むと、「採用したばかりの新人が、午後からいなくなって、そのまま退職してしまった。イマドキの若者は何を考えているんだ?」などと嘆くようなシーンが出てきたりもします(※1)。年長者にとって、いつだって若者は「何かが不足」していて、どこか「非常識」に見えるものなのです。


確かに若手は、以前(20年以上前と比べて)育ちにくくなっています。「育てにくい」のではなく、「育ちにくい」と言う方が正しいでしょう。その理由は、彼ら・彼女らが「ゆとり世代」だからではありません。私たちを取り巻く職場の環境が大きく変わってしまったことにより、若手が「育ちにくく」なったのです。これは、多くの研究者や実務家が指摘していることでもあり(※2、3)、私自身も一会社員として実感していることでもあります。

20年以上前の新入社員は、今と比べて「育ちやすい」環境に置かれていました。職場にまだまだ余裕がありましたから、上司や先輩が何くれとなく声を掛けたり、手を貸したりしてくれました。頑張って入手しなくても、仕事に関わる情報が周りにあふれていました。隣で先輩が電話応対をしているのを聴きながら、後輩は、電話の取り方、電話での会話方法、取り次ぎ方、謝り方、電話の切り方など多くを学んでいました。報連相は口頭で行うことが多かった時代、先輩の報告の仕方を見ては、「ああいう風に報告すればいいのだな」「こんな相談の仕方は、上司に叱られるのか」と組織で振る舞うための知識や作法を自然に学んでいたものです。「門前の小僧習わぬ経を読む」という状況でした。


今はどうでしょう。職場の環境は大きく変化してしまいました。
例を挙げてみます。


・職場の直接の会話はかなり減っています。「仕事の指示や依頼も報連相も電子メールでやりとりする」、「稟議書回付、申請書提出などはワークフローに入力する」などほとんどのコミュニケーションが電子化されています。


・情報に触れる機会が減りました。クリーンデスク、セキュリティの強化等の理由により、「自席に様々な資料などを置きっぱなしにしている」という光景も見られなくなりました。自分のIDカードで入室できるエリアも限られています。


・「あなたの仕事はここからここまで。これ以外は、協力会社に依頼しているから」「この部分は派遣社員の方にお願いするので・・」と役割分担が細分化され、仕事の全体像を把握するのも難しくなっています。


・コンプライアンスなどの関係で、一人ひとりが注意しなければならないことが増え、何かするためにも申請を出したり、承認を得たり、資格を持っていることが必須だったりと、物事はそう簡単には動かなくなっています。


こういう一つひとつの変化は、それぞれ必然があってのことですが、若手にとっては、「成長」の阻害要因になってしまうという面があります。情報が目に入らない、情報が耳に入らない。「その場にいるだけでなんとなく聞いていた、なんとなく見ていた」といった情報からかつての若手は学んでいたという部分があったはずなのに、そういう成長機会は激減したわけです。


もはや「放っておいても新入社員が育つ時代」ではなくなってしまいました。


そこで、企業は、若手の育成に関して、「OJT」を制度化し始めました。2000年ごろからのトレンドです。OJTという言葉自体は、昔からあるものですが、以前のそれは「現場任せの育成」だったように思います。近年のOJTは、「制度化」されている点が特徴です。一人の新入社員に対して一人のOJT担当者を割り当て、1年から3年間、みっちり育てていくという形式を取り、人事部や人材開発部(以下、人事部と統一します)がOJT全体の運営を見ているというものです。OJTを始めるにあたり、若手社員に対して「期待する人材像」を明確にしたり、「指導計画書」を作成したりと制度面を整えるだけではなく、進捗確認のための面談やOJT成果発表会といったイベントを企画、運営したりする役割も人事部が担います。


働く人を取り巻く環境が大きく変化した現代は、人を育てるための仕組みが必要です。「ゆとり世代だから育たなくなった」のではなく、「環境変化の大きさが育ちにくさを助長している」ということをきちんと理解し、誰もが自分の職場の若手の成長を支援しようという姿勢を持つことが職場全体の能力向上のためには重要な要素となっています。


<注>

※1 昭和40年代発行の佐藤愛子さんの小説にそういう一説が出てきて、笑ってしまったことがあります。タイトルは失念しました。


※2 柴田昌治 『なぜ会社は変われないのか―危機突破の企業風土改革』(日本経済新聞社、1998年)では、「オヤジ文化が消滅した」といった表現で、例えば飲みに行って漏れ聞いて様々な情報を得るといった機会がなくなったなどと、近年の若手を取り巻く環境変化について述べています。


※3 中原淳 『経営学習論 人材育成を科学する』(東京大学出版会、2012年)では、人が育ちにくい環境の変化について「人材育成・学習」の機能不全の主因として以下の3つがあるのではないかと仮説を提示しています。

1. 職場の社会的関係の消失
2. 仕事の私事化、業務経験付与の偏り
3. 高度情報管理による学習機会喪失


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新規コースのご案内です。


・「人材開発の基礎知識 ~OJT編~」    (HSC0157G)

・「人材開発の基礎知識 ~OFF-JT編~」   (HSC0149G)


2016年9月より、「人材開発の基礎知識 ~OJT編~」を開講します。


この研修では、OJTの制度化に必要な基礎知識やOJTを制度化している企業の様々な取り組みを紹介します。OJT制度は、ラインの関係でトレーナーと若手が結びつきますが、それだけでは、若手の成長支援に不足があるということで、最近は、「斜めの関係」のメンター制度も広がりつつあります。メンター制度とは、企業によって定義が異なりますが、よく耳にするのは、「新入社員とは異なる部署の先輩がキャリアや日常生活について相談に乗ったり、アドバイスをしたりするもの」です。縦の関係のOJT制度と斜めの関係のメンター制度。この2つの「制度設計」と「運営上の工夫」を研修では紹介します。人事部、人材開発部、事業部門の育成担当者が対象の研修です。


2015年開講しました「人材開発の基礎知識 ~OFF-JT編~」も合わせてご受講ください。


こちらは、「従業員のための研修を企画、運営する担当者」が知っておくべき、人材開発の基本理論や学習者の動機づけ理論、人事部・人材開発部と現場の橋渡しの工夫など、研修を行う上の基本を全て盛り込んでいます。


2コースとも、参加者同士のネットワーキングの機会にもなり、その場で他社事例を共有する機会も得られます。




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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・アイティメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・(NEW) 『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)※同僚の都川信和との共著です
 ・『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)(廃版)
 ・『コミュニケーションのびっくり箱』(日経BP電子書籍)(廃版)

【連載】
 ・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"
 ・社会保険出版社 「四季のけんこう
 ・ITpro 「田中淳子の若手育成ワンポイントレッスン

[人材開発大人の学び後輩指導・OJT][2016年7月28日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第110回:「その指示、ホントに伝わっていますか?」
執筆:高橋 俊樹

〔ケース1〕
上司「これ、できなくてもいいからやってみて」
部下「はい、わかりました」


〔ケース2〕
上司「これ、時間があったらやっておいて」
部下「はい、わかりました」


〔ケース3〕
上司「いい感じによろしくね」
部下「はい、わかりました」


複数人で仕事をする以上、仕事は必ず指示からスタートします。スタートとなる地点で、どのような内容で、どのような言い方で相手に指示を与えたかによって、ゴールである仕事の成果は大きく変わります。成果だけではなく、ゴールに向かおうとするやる気にも大きな影響を与えます。


私も上司からの適切な指示のお蔭で、効率的に、やる気を持って業務を遂行できたという経験があります。一方で、指示が曖昧で、何度も上司に確認に行く羽目になり、修正の繰り返しが続き、やる気を保てなくなったこともあります。おそらく皆さんにも指示にまつわる様々な体験があることでしょう。


では、指示をする際に、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
私が担当するリーダーシップ系の研修で、受講者の皆さんから出てくる「良い指示を出すために工夫していること」をご紹介します。


・目的や背景を伝える
・なぜ、「あなたに担当してほしいか」についてメリットや意義を添える
・納期に余裕を持たせる
・相手のできる範囲でやってもらう
・チャレンジさせる
・相手が工夫できる余地を残す(事細かく指示しない)
・こまめにフォローする
・指示を出す際に、相手の仕事をの状況を聴く
・メールだけでなく、口頭で補足する
・アウトプットのイメージを伝える
・力を入れるべき点、多少力を抜いても良い点を伝える


色々な工夫をされていることがわかります。


冒頭のケースに戻ってみましょう。このケースのような指示を出したことがある、と思い当たる方もいるはずです。これらは、若手の方から聞いた、「上司や先輩から出された指示で困ってしまった代表例」なのです。


〔ケース1〕
上司「これ、できなくてもいいからやってみて」
●意図→チャレンジさせたい:失敗してもOK、まずは挑戦、できなくても私がフォローするから・・・

部下「はい、わかりました」
●気持ち→できてなくてもよいならやらなくてもいいのでは、それが何につながるのかがわからない・・・


〔ケース2〕
上司「これ、時間があったらやっておいて」
●意図→相手のできる範囲でやってほしい:無理しなくてOK、余裕があればやってほしい・・・

部下「はい、わかりました」
●気持ち→やっぱり時間がなかったのでできませんでしたとは言えない、なんとか時間をやりくりしなければ・・・


〔ケース3〕
上司「いい感じによろしくね」
●意図→相手が工夫できる余地を残す:君のやり方に任せるよ、阿吽の呼吸、細かく言わなくてもわかるよね・・・

部下「はい、分かりました」
●気持ち→???どんな感じ?私としてはいい感じに仕上げたのに結局やり直し?


相手に配慮して出したつもりの指示でも、言葉が足りていないために相手に意図が伝わらないこともあります。指示を出す際に大切なことは、意図を言葉にして、省略せずに伝えることです。長い期間、仕事を一緒にしている人であれば、多くを語らない指示であったとしても相手が理解してくれることもあります。しかし、相手との関係が短期間(新入社員、キャリア採用で新たに加わったメンバー、社内の他部署、初めての協力会社など)の場合は、特に気をつけなければなりません。


良い指示は仕事の成果ややる気だけでなく、相手との信頼関係にもつながります。無意識に行いがちだからこそ、もう一度、自分の指示を見直してみてはいかがでしょうか?


先日のデキゴト。

私「これ、納期が明日だったのをすっかり失念してたんだよね。やらなきゃいけないんだけど、今日はもう手いっぱいで自分には無理。ほんと、ほんと悪いんだけど、代わりによろしくね」


後輩「え・・・・・・分かりました。・・・・それにしてもひどい指示ですね・・・・」


ごもっとも。ただいま反省中です。

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<関連無料セミナー>

イマドキ若手の早期戦力化、カギになるのは「仕掛け」づくり
~そつなくこなすけど何か足りない?悩める人事・現場にできる工夫とは~
開催日:2015年11月26日(木)

後輩が期待通りに戦力になるために、先輩・上司の指示など関わり方を含め、職場の仕掛けづくりが欠かせません。職場にどのような「仕掛け」をすると、若手が育つのか、事例とともにご紹介します。お役立てください。


<関連コース>

【PDU対象】中堅社員のためのチームワークとリーダーシップ
~チームの関係強化とパフォーマンス向上~
【PDU対象】マネージャのためのチームビルディング
 ~マネージャの役割とビジョンに基づく運営~
■【PDU対象】後輩の教え方育て方
~OJTの効果的な進め方とスキル~
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高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている

[コミュニケーション後輩指導・OJT][2015年10月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
【OJT茶話会】特別レポート:応募者数が多いのはよいことか?「三幸製菓によるカフェテリア採用」に学ぶ
執筆:田中淳子

田中淳子の「OJT茶話会レポート」を掲載します。

「OJT茶話会」とは、2011年からグローバルナレッジで主宰している人事・人材開発者向けコミュティ活動です。2015年6月17日(水)開催時のテーマは「新卒採用」。

ユニークな採用で有名な三幸製菓のユニークな採用についてお話を伺った上で、「自社ならどうする?」「何が課題?」「何が活かせる?」を参加者の皆さんで議論しました。茶話会の進行役を務める田中淳子が、「これからの新卒採用」」について考察します。




就職活動の解禁日が変更になったことで、かえって学生にとっては活動が長期化したのではないか。学生も企業も疲弊しているように思う。――― こういう声をよく耳にする。よかれと思って変更した制度や取り組みも最初からそう意図通りにいかないことはある。これからも新卒採用は、様々に試行錯誤を繰り返すのだろう。


ところで、「日本一短いES」をご存じだろうか。ESとは「エントリーシート」のことである。日本一短い、とにかく、短いのだ。→ コチラ


第15回「OJT茶話会」(2015年6月17日(水)開催)では、この「日本一短いES」の仕掛け人でもある 三幸製菓の杉浦二郎さんから、同社のユニークな採用の取り組みについて話していただいた。

目から鱗、「え?それありですか?」なお話の数々に参加者も私も「目から鱗」がたくさん落ちた。順を追ってレポートしていこう。


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三幸製菓と採用


三幸製菓は昭和37年(1962年)創業の「あられ・おかき・おせんべいの製造販売」企業である。7人の人事担当者で人事業務全般を担当している。

杉浦さんはこう切り出した。


私が人事に入った頃は、経営側に「採用が大事」という考えがなかった。採用の予算枠は少なく、採用に関心を示さなかった。「採用が大事」ということを経営に向けてプレゼンした。

三幸製菓はコンシューマー製品を作っている企業。イメージは大事だ。そういう意味では、採用もそもそもPR、広報である。三幸製菓がいかに成長しているかも「採用」で知ってもらう。採用はブランディングだしポジショニング。戦略を立てて世間に訴えていかないとダメでしょう?」こう訴え、ようやく経営にも理解してもらえた。


「採用」というのは、学生に会社を知ってもらうだけではなく、上手に行えばブランディングにつながる活動なのだ、と杉浦さんは経営に訴えていった、という。そういえば、この日、杉浦さんは段ボール1箱分の「三幸製菓」の「おせんべい」も提供してくださったのだが、この日以来、参加していた私たちは、コンビニやスーパーで「三幸製菓のおせんべい」を探すようになったし、意識して手にするようになった。ブランディングの一つと言われたら、なるほど~と実感する。


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※おせんべいを事前に1箱送ってくださり、参加者全員でいただきながら、お話をお聴きしました。とてもおいしいおせんべいでした。



「採用」って何だろう


一般的に採用は、「なんとなくこういう人を採用したい」という感じになりやすい。具体的には「能力」と「会社とのフィット」を見たいと考える。ところが、「能力」は「学歴」に、「会社とのフィット感」は、「面接官とのコミュニケーション能力」に置き換わりやすい。


「学歴」と「面接官とのコミュニケーション能力」という測り方となれば、結局、すべての企業が「共通の評価軸」で学生を見ることになる。どの企業も同じ評価軸で競ったら、大手有名企業に負けるに決まっている。この採用戦略では、自社のポジショニングをあえて劣勢に持って行ってしまう。


そもそも私は「面接」にも疑問を持っている。できれば「面接」をしたくない。極論すれば、面接には意味がないと思っている。質の高い面接をするには、アセッサーとしての訓練が必要。採用担当全員にその能力をインストールするのは非常に困難になる。未熟な面接担当者の面接は、「好き嫌いの熱量交換」になりがちである。だから判断も「感じいいね」といったものになりやすい。


「面接」なんか不要だ。「面接官のスキルが高くなければ、"感じよい"とか"私にとって好印象"という点で評価してしまいやすい」と言われれば、納得する。


一方、「感じよい、いい印象だ、という感覚での採用が問題だろうか」という声も参加者からは挙がっていた。 


どちらがよい悪いではなく、それぞれの企業にとっての「評価軸」を定めればよいのだと思う。



三幸製菓の採用のポイント


三幸製菓では「スキル=行動特性」と「会社とのフィット感」は「性格適性」と「経営とのフィット感」で見ようと考えた。


いかに自分たちの会社に合って、自分たちの会社で成長・活躍できる人材を定義して、採用していくかを考えることにする。このやり方であれば、他社とぶつからない。自分たちなりの戦略を立てて、採用をしていくこととした。


採用については、こういう公式があると思う。


「企業知名度や規模×採用設計力=採用力」


● 知名度が高ければ、採用設計力が高くなくても採用力は高くなる
● 会社の知名度が高くなければ、採用設計力がものを言う


「採用担当者」は「採用をプロデュースする力」が求められる。ところが、一般に、採用担当者は、エントリー数をKPIにしたがる。たとえば、三幸製菓の過去最高のエントリー数は13,000人。「うわー、13000人も来た!」とその時は思った。でも、よく考えてみれば、採用するのは、その中の数人。

選考しているのではなく、落とすことにエネルギーを費やしていて、むなしい。だったら、「エントリー」という考え方そのものをやめてしまい、「選考」について考えればよいのではないだろうか。大事なことは、その人がいかに活躍するか、ではないか。


「社長! 3000人もエントリーシートが届くんですよ」
「おお、凄いなぁ」

という風に「応募者数で喜んでいていいのか?」と杉浦さんはおっしゃる。

「大半を採用しないのに、そこにエネルギーを費やしている。でも、そこじゃないだろう」というのだ。



「採用」で何を見ていくか


三幸製菓では、採用のゴールは「2年後」とした。つまり、採った人の「2年後のパフォーマンスが上位であること」


「2年以内に辞める、2年経ってもパフォーマンスが上がらない、周囲からの評価が低い」とすれば、採用の仕方が悪いのだ。2年後活躍しなければ意味がない。2年後に活躍してくれたらその採用は成功だと評価軸を決めた。


能力を「先天的能力」と「後天的能力」と分けた。後天的に身に着くもので、自社で開発可能なら(採用時は)そこを見ない。比較的先天性が高いか、自社で開発できない能力であれば「採用」で見る必要がある。このあたりは、横浜国立大学で「採用学」を研究している服部先生のご協力も得て、整理した。


たとえば、「コミュニケーション能力」は「可変要素が高い」ため、採用では「見なくてよい」とした。もちろん、得意不得意はあるかもしれないが、それより、「想像力がある」とか「バイタリティがある」といった「変わりづらい」ことを見ることにした。



参加者からは、「コミュニケーション能力だけではなく、他の能力も入社以降の育成でなんとでもなる。人は変わる」という意見も出ていた。一方で、「もちろん、育成で手間を掛ければ、ある程度のところまで、どんな人でも育てられるば、そういうやり方は、個別対応が増えて、とても時間(コスト)がかかってしまうよね。だったら、可変要素の少ない部分は、採用時に見極めるというのも妥当なのでは」という声も挙がった。


そうやって、入社2年前後の社員のパフォーマンス分析をし、共通項に基づくアンケート調査を全社員に。ハイパフォーマーの特性を見ていった。「6分類」の適性をあぶりだす作業に1.5年間かけた。


これが「日本一短いES」の次に提示される「35の質問」へとつながる。



「35の質問」で見ている適性の詳細


「35の質問」でどのような適性を判断しているのか、解説があった。


●外向性:色々なことに意欲的にかつがつと取り組む

●開放性:様々な人を許容でき、やりとりできること

●認知欲求 :考えることが好き、難しいほど刺激的でやりたくなる

●垂直的集団主義:体育会系な世界が好き

●水平的集団主義:「みんなで巻き込んで一緒にやっていこうね」という感じ

●あいまいさの享受:よくわからない仕事をやれる、とにかくやろうよ、と動ける。あいまいな状態のまま受け入れられるか

●達成性:目標に向かってこつこつ努力し続けられるか



「カフェテリア採用」

  ......なぜ17種類もの採用方法を?


「35の質問」の開発に1年半かかり、2015年度から。2016年度の「日本一短いES」はネットで拡散した(2015年3月5日リリース)


「日本一短いES」。最初に最低限の確認をする。(「おせんべいが好き?」「新潟で働ける?」この2つを最初に尋ねてしまう)次に「35の質問」。これが「適性検査」になっている。面接に代わるものとして作ってあり、区分としては7つ。「6分類」と「不合格」。「35の質問」の回答することが「適性」の判断になり、「適性」に応じた「カフェテリア採用」(17種類)を提示する。


会社としては、「多様性」、多岐に渡る能力を持つ多様な人材を求めているのに、単一の選考フローで見るのは疑問だ。個々の特性を「全部同じ面接方法で採用します」と言っているようなもの。脚が早い人は、「走ってもらって」選考する、というように多様な採用をするのがよいのではないか。そんな考えから「カフェテリア採用」を設計した。

「志望動機」は採用の最後の段階で訊くのでもよいくらい。人生の大きな選択なのだから、途中までは「分からない、まだ迷っています」と学生が言うのは当たり前。大事なことは学生が「自分で決める」こと。



この部分も目からウロコ。

「応募動機は?」
「当社をなぜ志望したのですか?」
と最初の段階で訊いてしまう。


けれど、学生だって働いたこともないのに、揺れ動くのは当たり前。だから、志望動機は、最後のほうに尋ねるのでもよいと杉浦さんは言う。その上で、学生が「自分でここに来ると決めた」感がとても大切なのだと。


確かに、学生も情報をたくさん持っているし、就職活動用のお作法も押さえているし、「志望動機」を尋ねれば、それなりに「上手なこと」は言うに違いないが、それを聴いてどうなるというものでもないように思う。



今年は17個の採用メニュー


*17個の解説があったが、このレポートではそのうちのいくつかを紹介する。

●「おせんべい採用」

・おせんべいへの愛を存分に語ってもらう。この採用は評判高い。家族を巻き込んでムービー作ってくる人もいる。このタイプが入社すると社内が活性化する


●「キャプテン採用」
・みんなでやろうよ、とまとめていくような人。学生同士で採点していく。同年代で「この人がキャプテンだと思う人」が「キャプテンだよね」という考え方


●「DIY採用」
・学生が「どこを見ているんですか?」と言うので、「だったら自分が最も輝く、能力をアピールできる選考スタイルを考えて出して」というもの


●「がんばったで賞」
・「結果につながらないけど頑張りました」というプロセスについてアピールしてもらい、そこを評価しようという採用


●「ガリ勉採用」
・目の前のやらなければならないことを「一生懸命やった人」。普段は大人しくても「研究の話になるとものすごく饒舌になる」、入社するとものすごく勉強し新しい知識を身に着け、新しい商品を作っていく人になる


●「日本一長いES」
・30日間エントリーシートを書き続けてもらう


このたくさんの採用メニューがあるのだが、興味ある方は、エントリーしてみるとよい。自分の特性がどの採用メニューにつながるか試してみると、このシステムを実感できると思う。(茶話会でも参加前に全員が試しておいた)




今後について


最後に杉浦さんはこう締めくくった。


採用だけではなく、組織開発や人材育成などすべてにつなげていかなければならない。
大事なことは、今までは、縦ライン(偉くなる)」が一般的だったが、これからは「複層化(モザイク化)」、つまり、「様々な働き方」に対応していく必要がある。

人事制度、選考、育成、評価も多様化する。今後はそういうことすべてをやっていかなければと思っている。

私は様々な場所で三幸製菓の採用についてプレゼンする。"なぜ時間をとってまで、いろんな場で自社のことを話すんですか"とよく質問される。1つは、HRの領域で「採用」の立ち位置が若干低いと思われているような気がするという課題意識から。エントリーレベルの仕事と思われがち。人材育成や組織開発は難しいと思われがち。でも、「採用」をちゃんとやること。それなりの立場の方は採用にもっとコミットしてもらえると、その会社の「採用」はちゃんとしてくると思う。


2つ目は、基本的には全部オープンにしている。個人情報以外は、自分の考えをオープンにし、賛否両論の意見をいただくと、自社にまた活かしたい。来年も同じことを話していたら、頭の中が変わっていないなと思ってください(笑)


杉浦さん、興味深いお話をありがとうございました。



この後、参加者でこのプレゼンをきっかけに議論をした。採用に関わる方、採用された社員の育成に携わる方、どちらにも関わっている方など多岐に渡る参加者からは、以下のような声が挙がっていた。


● どういう採用、選考を経て採用に至ったとしても、「あなたはここを見て選んだ」ということを本人にフィードバックすることがとても大事。いかに「選考されているか」という納得感が入社の決め手、ロイヤルティの決め手になりそう。「ちゃんと選考されている」感。入社後も生きてくるはずと信じている。
学生が「選考されて、見てもらって、取ってもらった」という意識が強くなれば、リアリティショックがあっても、モチベーション高く取り組むのではないか。どこを評価されたのか、どこを見てもらったのか、ちゃんと見てもらったかわからないから承諾もためらうのかもしれない。「ちゃんと選考した、これだけ見て決めたんだよ」「こういうところを見て採用された」とわかれば、自信を持って仕事できる。


●新卒研修で「君のここがいいね」と言うと、「そんな風に言ってもらったことがない」と言われることが多い。ここ1-2年増えた。いかに認められていないかというのが現代の若手かも。キャリア採用の中でも「若手」は「どうして選ばれたのですか?」とフィードバックを欲しがる。それが後々の「内定承諾」にも影響している。


●どういう人材を求めているか、を「人事」が「現場」と握れているかというとちょっと怪しい。たとえば、「コミュニケーション能力」が大事というが、では、何をもって「コミュニケーション能力」と定義しているのか、明確にしているだろうか。これは、職場に戻って人事と現場とで話し合う必要があると思った。


他にも有意義な議論が交わされ、途中、質問には杉浦さんが丁寧に答えてくださった。

参加者全員が「自社に持ち帰りこれを試してみます」をコミットして、解散した。
次回「OJT茶話会」開催時にその成果を共有することになっている。

皆さんの成果が楽しみである。






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●企業の人事・人材開発担当者向けコミュニティ「OJT茶話会」は、各社のOJT事例を共有しようというところから2011年に発足しました。現在30社ほどの企業がメンバとなっています。IT、製薬、メーカーなど多種多様な業界の方が集まり、OJTに限らず、人材開発に関わる幅広いテーマを毎回集まっています。

参加条件は2つだけです。「可能な限り継続参加してくださること」「いつか自社事例をプレゼンしてくださること」。参加は無料です。ご興味のある方は、担当営業にご連絡くださいませ。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ

・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"





[大人の学び後輩指導・OJT新人社員研修][2015年8月18日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第105回:「内省」と「対話」でより深く学ぶ
執筆:田中 淳子

例年秋から冬にかけて、OJTトレーナー向けの「フォローアップ研修」を担当します。OJTスタートから3-6か月という時期です。開催時期が早過ぎるとフォローアップするほどの出来事がまだ起こっていませんし、あまりに時期が遅くなれば、フォローアップで得た内容をOJTの実践で生かす機会が減ってしまいます。ですから秋から冬というのがちょうど良いタイミングなのです。


「フォローアップ研修」では、これまでのOJTの取り組みについてOJT担当者同士で共有します。方法は、「内省」(個人内でのふりかえり作業)と「対話」(他者とのやりとり)です。「どんな取り組みをしていて、どういう発見、気づきがあり、どういう成果があり、そのことから、今後に生かせることは何か」を「内省」した結果を共有したり、「困っていることについてどう対処すればよいか」を「対話」によって深く考えたりします。


ここで質の良い新たな気づきや学びを引き起こすためには、「内省」と「対話」を組み合わせることが重要です。まずは個々人が「内省」し、自分の取り組みを思い出し、気づきや学びや考えを整理しておきます。その上で他者と「対話」し、それぞれの気づき、学び、考えを共有します。


一人で「内省」するだけでは、自分の思考の枠組みに縛られてしまうため、考えの深さや広さには限界が生じ、気づきや学びも限られたものになります。他者との「対話」によって様々な気づきや考えを聴くことで、自らの気づきや学びをより深めることができるのです。


個人が「内省」したことを他者と「対話」することは、多くのメリットをもたらしてくれます。(「受講者の声」を添えて解説します)


●自分の取組みや気づきを他者に話すことで、自分の頭の中が整理され、自分の取り組みに「意味づけ」ができる
→ 受講者の声:「対話しているうちに、上司に言われたのと同じことを自分もトレーニーに言っていることに気づき、上司の言っていたのは普遍的なことだったのだとわかった」


●他者から「トレーニーの反応は?」「他にどんなやり方をしてみました?」などと質問されると、解決策や教訓などを明確にできる
→ 受講者の声:「他の方から"トレーニーがどう思っているか"と質問されて、トレーニーの思いを聴いていなかったことに気づいた。トレーニーがどうなりたいか、など"キャリアイメージ"を訊いてみたいと思う」


●他者の取り組み例や悩みなどを聴きながら、自分の経験と照らし合わせ、自分では考え付かなかったやり方を得られる
→ 受講者の声:「他部門での実践内容に私も真似できる具体的な方法が得られた」


●他者に話すことによって、とにかく「すっきり」する。心理学用語で言う「カタルシス」(浄化)が得られ、ストレスが解消される
→ 受講者の声:「似たような問題を抱えていることがわかり、自分だけではなかったとほっとした」


「内省(ふりかえり)」と「対話」は、学びの場で注目を浴びているキーワードです。この二つはセットにすることでより高い成果を生み出します。 


OJTを例に挙げましたが、何を学ぶにしても、実務での実践を経て、「内省」と「対話」をすることが「経験からの学び」をより強化してくれます。


これまで研修は「知識・スキルの学習」にフォーカスされ、1回の研修で「何かを学んだらおしまい」とされることが多かったのですが、現在は経験を経た後「ふりかえり」の場を設け、「内省」と「対話」のためにゆったりと時間を取ることも重視されるようになってきています。実際に、「知識・スキルの学習」を行なった後、1ヶ月~3か月ほど経過してから再度集まり、「実践結果」の共有などを行うフォローアップ研修もセットにして考えたいとおっしゃるお客様も増えてきています。


「得た知識やスキル」は「現場で使われてこそ」ですし、「現場で使った知識やスキル」に、もっと良い方法はないのかをより深く考え、それを再度実務に取り入れることで能力はさらに高められます。


学びを強化し、能力をより向上するために、「内省」と「対話」がとても重要な役割を果たすのです。


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★お知らせ★ 「中外製薬」様の人財育成事例が完成しました!


2007年からOJTのお手伝いをさせていただいている「中外製薬」様の「OJTコーチ制度」について事例を作成しました。中外製薬様に取材し、人財育成への熱い想いを表現した素敵な事例が完成しました。多くのお客様の目に留まりますように。


以下よりダウンロードできます。ぜひご一読くださいませ。
研修サービス事例:中外製薬株式会社


【関連コース】

後輩の教え方育て方
OJT担当者向けワークショップ

OJT担当者上司向けセミナー

OJT担当者向けフォローアップセミナー

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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!
【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)


【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"

[大人の学び後輩指導・OJT][2014年12月 1日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第101回:若手には「どんな背中」を見せればよいのか
執筆:田中 淳子

2014年度の新入社員がやってきました。迎える職場もそわそわドキドキし始める時期です。


1990年から毎年新入社員研修に携わっています。今ではすっかり親子ほどの年齢差となってしまったものの、私自身の感覚は20代のころのそれとたいして変わっていません。私と同年代の多くの方がそう思っているはずです。一方、新入社員からすればものすごく年上の人、雲の上の人、なんでもちゃんとできる人に見えるもの。若手と接する際ほとんど違和感を覚えないのは年長者の側だけだということに、自分が年齢を重ねてようやく気づきました。


自分が好むと好まないとに関わらず、若手社員からは、一挙手一投足を見られているわけです。ほんのジョークで口にしたことであっても、若手社員には多大なインパクトを与えてしまうことすらあります。よく「背中を見せる」と言いますが、どういう背中と見せればよいのかというのは難しい問題です。 


顧客対応を上手に行う「背中」。
プログラムをさくっとデバッグする「背中」。
社内調整をする「背中」。


上司や先輩のこういった様々な「背中」を見ながら若手社員は多くを学んでいます。


でも、最も大きく影響を及ぼすのは、「成長し続けている背中」を示すことではないかと思うのです。


ある時20代のITエンジニアがこう話してくれました。

「うちの上司、すごいですよ。絶対に知らないだろうと思うような最新技術の話をしても、だいたいは把握しているんですよね。いつ勉強しているんだろう」
目を丸くしながら、「とてもリスペクトしている」とも言っていました。


「顧客との打ち合わせの時、上司が答えられなかったことがあったのですが、次の打ち合わせの時には、完璧に解説していて、短い時間に自分で勉強されたんだなあ、すごい!と思いました」と教えてくれた30代の営業担当者もいました。


「すごい、あの先輩は、常に進化している!」
「いつも新しいことを追いかけて吸収しようとしている!」
「これまでのやり方に問わられずにチャレンジしている!」


若手からそう見られることがとても重要なのではないだろうか、そう思っていたら、こんな研究を見つけました。


「部下による上司の成長認知がある時に、上司が行う部下への内省支援に正の関係がある」のだそうです。脇本健弘さんの研究です。(参考:『職場学習の探求』 生産性出版)


わかりやすく言うと、「部下が自分の上司を見て、"ああ、成長しているなあ"と認めた(認知)した時初めて、上司が部下に行う"ふりかえりの支援""フィードバック"などに効果があるわけです。部下や後輩を育てたいと思ったら、まず、自分が成長している姿を彼らに示さなければならないということでもあります。


若手の育成に携わる際、たとえば、上司やOJTトレーナーが「若手を育てればいいんだな」と思っていると、そのためには自分の成長も大事、と言うことですから、これにはドキッとする方も多いはずです。「え? こっちも成長してないとダメなの?」と驚いた方もいるかもしれません。


では、「成長する」ために大事なことは何でしょうか?


まずは「学ぶ」こと。その上で、時に「学んだことを捨てる」こと、そして、さらに「学び直すこと」も必要です。それぞれ"Learn""Un-Learn""Re-Learn"と言います。ここまでに身につけた知識や時々棚卸し、自分が持っている知識や経験を一旦捨てなければならない場合もあります。中堅やベテランにとっては、時にそれは痛みを伴います。それでも、上司や先輩たちがそうやって常にLearnとUn-LearnとRe-Learnを意識し、「学び続ける」背中を見せれば、新入社員を始めとした若手にとってよい影響を及ぼすはずです。


「もう歳だから、新しいことは学べない」と諦めたり、「今までの蓄積があるから大丈夫」とのんびり構えたりするのではなく、「これ、面白いから挑戦してみよう」「新しいことを学ぶのは楽しい」ということを言葉と行動で示すことが、若手の成長に好影響を及ぼします。

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【お知らせ:大幅に改訂しました】


●「後輩の教え方育て方」(HS0073CG)


はじめて後輩の指導を任された、OJT担当に任命された、OJTの仕組み全体を支援したいなど「若手育成」に関わる方向けの研修です。


2014年5月から大幅にRenewalします。「経験学習」など最近注目を浴びている「働く大人の成長」に関わるキーワードを盛り込みました。


●「OJT担当者のためのワークショップ
●「OJT担当者上司向けセミナー
●「OJT担当者向けフォローアップ研修


上記3コースも同じテキストを使用します。

新テキストをご覧になりたい方は、担当営業までご連絡くださいませ。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』 (日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』 (ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』 (日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「田中淳子の人間関係に効く"サプリ"
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の言葉のチカラ

[大人の学び後輩指導・OJT新人社員研修][2014年3月31日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第100回:"Good for you!" ~勇気づけるポジティブフィードバック~
執筆:田中 淳子

この「わくわくヒューマンスキル」というコラム、おかげさまで100回目を迎えました。当社のメルマガで「わくわくヒューマンスキル」の更新をお知らせすると、その日のグローバルナレッジWebページへのアクセスが一段と伸びるとも言われており、多くの方に読んでいただいているのだなあと感慨ひとしおです。本当にありがとうございます。


1回目は2005年のコラムでタイトルは「フィードバックの想い出」。私が1990年にアメリカ出張で、本社の研修を苦労しながら受講した際、アメリカ人のクラスメイトに前向きなフィードバックを受けて感銘を受けたことを書きました。


「人が自信を持ち、やる気が刺激されるようなフィードバックを交換できる、そんな研修を作り、日本人にも提供したい!」そう思った原点です。今でもその思いは変わらずに持ち続けており、さらに私個人のミッションステートメントとしても、「働く大人がよりハッピーに仕事をするためのお手伝いをする」を掲げながら日々を過ごしています。


私がヒューマンスキルの研修を立ち上げ、お客様向けに提供し始めたのは1991年のことです。当時勤務していたDEC(Digital Equipment Corporation)は当然のことながらコンピュータ技術者(当時は、IT技術者とは言いませんでした)を対象とした研修事業を行っていたので、「コンピュータ技術を学ぶのはいいけれど、ヒューマンスキルの研修は抵抗がある」という方も大勢いらっしゃいました。


「恥ずかしい演習を沢山させられるのでしょう?」
「人前でロールプレイなんてしたくない」


そういう声がよく聴かれた時代です。


一方で、「待ってました! コンピュータ技術ではなく、人間関係とかチーム作りとかそういう分野を学びたかったのだ」という方も少しずつ増え始めてもいました。


21世紀になり、ITエンジニアの方たちは、「ヒューマンスキル」を学ぶことに一段と積極的になってきました。ロールプレイも受講者同士の意見交換もフィードバックも抵抗なく受け入れる、もっと言うならとても積極的に取り組む方が主流になってきたのです。
それに伴い、研修のスタイルも徐々に変わってきています。


1990年代までは、「しっかり講義で教えてください」「演習は少なくてもいいです」と言われることもよくありました。アンケートにも「受講者同士で経験を会話しても答えは出ないから講師が答えを教えてくれればよい」と書いてある場合もあったものです。研修では講師が「答え」を教えるものなのだと捉えられていました。


時は巡り、唯一の「答え」などないことは誰もが認識するようになってきました。「講義は少なくていいから、話し合う時間を多くとってください」「演習でたくさん体験させ、それが実務にもつなげられるようふりかえりにも長時間を費やしてください」というリクエストが多くなりました。受講者からも「たくさん体験できた」「それぞれの経験を語り合う場で多くの気づきがあった」「参加者同士で議論したことを仕事に活かしたい」という感想をいただくようになりました。「学び」に対する考え方がこの20年でずいぶん変化してきたわけです。


学びの主体はあくまでも参加者です。講師が出来ることは、参加者の学びが最大の効果を生み出すようお手伝いすることです。


私達講師は、教室の学びが実務に結びつくようにその場その場で気づきを引き出したり、気づきを促したりします。その時役立つのが「フィードバック」です。受講者同士のフィードバックも講師からのフィードバックも気づきの強化につながります。


学んだことを使ってみよう、自分の行動を少し変えてみよう。そう思えるためには、研修の内容や進め方も重要ですが、中で交わされる前向きなフィードバックが力になるのです。


これまでに3回アメリカの研修を受講したことがあります。唯一の外国人受講者だった私をアメリカ人講師は研修外でもずいぶんケアしてくれました。講師とランチを共にしていた時、「こういう研修は日本ではどうなの?」「日本人の受講者はどうとらえるの?」と質問されたので、「日本人も体験型の研修は受容するようになってきた」「楽しく学んでいる方が多い」といったことをできるだけユーモアを交えて話しました。彼女は、私の話の区切りごとに"Good for you!"を連発しました。「やるね!」「いいじゃん!」といったニュアンスでしょうか。"Good for you!"に励まされ、片言なりの英語でも楽しく会話することができました。


講師は、受講者を励まし、勇気づけ、学びを加速する役割を担います。"Good for you! "は、その象徴なキーワードのひとつとして私の記憶に刻まれています。



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トレイン・ザ・トレーナー」(ON258)

社内外講師養成講座です。 研修を内製化している企業の方にもおすすめします。


インストラクショナルデザイン」(HSC0100G)

研修教材を企画したり開発したりするための技法を学びます。公開コースとして提供を始めます。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。


【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!」

【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』 (日経BP社)

 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』 (ダイヤモンド社、共著)

 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』 (日経BP社)

 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)

 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)


【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「田中淳子の人間関係に効く"サプリ"

・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の言葉のチカラ



[大人の学び後輩指導・OJT][2014年1月31日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第98回:つらいフィードバックを受け取ったら・・・?
執筆:岩淺 こまき

ある企業で事務職として働いている友人が、こんな話をしてくれました。


職場でマネージャ層向けの360度評価があった。部署の共有フォルダに評価結果が記されたファイルがあり、なぜかマネージャではない自分への360度評価もあった。思わず開いて1シート目をみたら、隣の男性社員から自分へのフィードバックだった。そこには、「○○さんは感情豊かなのはよい。明るいときはよいが、嫌なことがあったときにネガティブなオーラを出し、周りに悪影響をあたえるのをやめてほしい」と書いてあった。息が止まるくらいショックだった・・・。


友人は「他人様に迷惑だけはかけずに生きていこう」を信条としていたので、自分が周囲に迷惑をかけていたことに大きなショックを受けたのでした。私は、友人の気持ちを察しつつ、その後どうしたのかを問いました。友人は言いました。


はじめはその隣の男性社員に対して、「あなたには言われたくない!」と思った。でも、迷惑だというのは、彼にとっての事実だから、迷惑をかけたことは申し訳ないと反省した。だから、普段の自分の仕事の仕方を振り返って、彼に影響を与えそうな言動を洗い出し、それをやめようと思った。そして「①私語は慎む」「②嫌なことあってもため息や独り言「やだなー」を言わない」を実践することを決めた。


そのあと友人は、2つの行動を死守しました。結果、隣の男性社員については表面上、あまり変化が見られませんでしたが、職場では2つの変化に気づきました。「集中しやすい職場になった」「上司との関係が良くなった」のです。ため息や愚痴を言わなくなったことにより、上司がフォローしようという気持ちになったのかもしれません。友人は「もっと早くやればよかった。自分もため息なんてつかなくても平気だって分かった。今となってはフィードバックがあってよかった」と言っています。


この話を聞き、私が友人のことを「スゴイ!」と思ったポイントが3つあります。



  1. 予想外かつ、不本意な改善のフィードバックを受け止める「謙虚さ」

  2. 今までと違う行動をとる「勇気」

  3. 行動をとり続ける「根気」


特に①が素晴らしいと私は思いました。人は改善のフィードバックに対して、拒否反応を示しやすいものです。「そんな言い方ないでしょう?」や「あなたには言われたくない」と、本質とは異なる部分でフィードバックを捉えてしまうのです。仮に、一旦は受け止めたような「ふり」はしても、「自分の行動や考え方が正しい、あなたの方が変わるべき」という頑固な考えに捉われて、フィードバックを否定するケースもあります。


友人が、そのまま自分のふるまいを変えなかったら、どうなったでしょう。恐らく、隣の男性社員のストレスが増し、上司との関係は変化なし。態度を改めない友人に、周囲が「この人は何をフィードバックしても変わらない」と諦めモードになり、友人と積極的に関わりたくない人が増えてくる。友人自身はそれによってさらにストレスを抱えてしまう。負のスパイラルが始まって、悪い関係性が強化されていきます。


改善のフィードバックは、内容が真実かどうかはさておき、言っている人からすれば「事実」です。深呼吸して、一旦は受け止めるとよいと、私は思います。そして伝える側は相手が受け止めやすいように、タイミングや表現方法を整えて伝えることも大事です。例えば人格ではなく、「行動」に焦点を当てて伝えます。冒頭のフィードバックを「○○さんは嫌なことがあったときに、ため息や独り言「やだなー」を言う。それに左右され自分も嫌な気持ちになる」と言えれば、相手も受け取りやすくなります。


フィードバックを受けた時の対処法も、フィードバックを与える時の表現も、どちらも少し変えてみることができれば、チームや人間関係によい効果をもたらすはずです。


岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。 プレゼンテーション、ファシリテーション、講師養成講座などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。

ITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。
アイディメディアにて「岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術」「明日の私を強くするビジネス元気ワード」公開中。

[大人の学び後輩指導・OJT][2013年11月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第93回:「やってみて 言って聞かせて」・・・その先にある言葉
執筆:高橋俊樹

このコラムを書いているのは、2013年元日から175日目にあたる日です。気が付けば1年の半分に近い月日が経ちました。6月~7月にかけてのこの季節、頭に思い浮かぶことは何でしょうか?私は、「ジメジメ」「傘」「もうすぐ夏だ」などの他に、「配属」というキーワードが思い浮かびます。この季節は、特にIT企業では新入社員たちが現場に配属される時期です。新入社員を迎え入れるためのOJT研修実施のご依頼や打ち合わせが増え始めると、ああ、今年も半年経ったなぁと実感するのです。

職場にフレッシュな新入社員たちを迎え入れるのは楽しみな反面、受け入れ態勢や接し方などで不安に思っている方も多いと思います。そこで今回は、そのような時に是非思い浮かべて頂きたい、素敵な格言をご紹介します。


「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」


太平洋戦争時、第26、27代連合艦隊司令長官だった山本五十六の言葉です。(米沢藩の9代藩主であった上杉鷹山の言葉を参考にしたと言われています)この格言は現代においてもOJTで新入社員を指導・育成する際の接し方のヒントとして適用できます。


私が新入社員の時のことです。自動車メーカーに勤務していた私は、現場を知るための研修の一環として、販売店へ出向を命ぜられました。販売店ではすぐに顧客リストと電話スクリプト(会話の流れが書いてあるもの)を渡され、電話をかけてアポの約束を取るように指示されました。しかし、その内容にとても抵抗があり躊躇していると、「確かに、スクリプトを見ると抵抗があるかもしれないが、実際はそうでもない。俺がまずやるから」と上司がお手本を見せてくれました。そして見事に、一件目の電話でお客様のアポを獲得したのです。その後、ポイントやコツを分かりやすく教えてくれ、私が電話をかけている時は横で細かくメモを取り、良い点や改善点を指導してくれました。4件目位だったと思いますが、ようやく私もアポを獲得することができました。上司は満面の笑みで「やればできるだろ?今のはとても流れが良かったぞ」と褒めてくれました。これがとても自信につながったことは今でもよく覚えています。


「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」という言葉の通りの経験でした。これは先に手本を見せる指示の仕方の一つです。


山本五十六のこの格言は、とても有名なので「そんなの知っているよ」「聞いたことあるよ」と思われた方も多いとかもしれません。実はこれには続きがあるのです。
どのような言葉なのかというと・・・


「話し合い 耳を傾け承認し 任せてやらねば 人は育たず」


「やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず」


指示するだけでも相手は「動く」かもしれませんが、言われたことしかできなくなる可能性があります。2節目以降で述べられているように、相手の考えや想いを傾聴し、受け止め、仕事内容によっては細かく指示せずに任せることもしないと、成長にはつながりません。


また、後の節は、OJT担当者の持つべき心構えとして読むことができます。私たちが相手を信頼しなければ、相手からの信頼も得られませんし、「できて当たり前」と思うのではなく、感謝の気持ちも忘れないようにしたいものです。そうすることで、部下や後輩が「動き」、「育ち」、「実る」のです。


この格言の中には、私達がOJT研修でお伝えしている考え方やスキル、きちんと網羅されています。先人の言葉にはとても重みがあると同時に、真理が簡潔にまとめられているものだとあらためて感心しました。


皆さんも、若手のOJTを始めとして、部下育成や後輩とのコミュニケーションで悩むことがあれば、一度、この言葉と自分の言動を照らし合わせてみて下さい。解決のヒントが見つけられるはずです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている
2010年4月まで日経BP、ITproのselfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載

[コミュニケーションコーチング後輩指導・OJT新人社員研修][2013年6月24日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第92回:部下を動かすフィードバック
執筆:飯嶋 秀行

先日、子犬のしつけ教室で初めてドックトレーナーと呼ばれる方が、どのようにトレーニングするのか見学する機会を得ました。


トレーニングは、「人と犬が一緒に快適に暮らすためのマナーを教えること」から始まりました。例えば、無駄吠えをしない、甘噛みをしない、他の犬と仲良く遊べる、など、基本的なしつけを教えていきます。


ドックトレーナーは、犬をトレーニングしながらが、飼い主の方々に「ワンちゃんに、分かりやすくメリハリをつけて伝えて下さい」と伝えています。


「ワンちゃんが望ましくない行動をした時に、時間がたってから叱っても、何について叱られているのかが分かりません」
「例えば、甘噛みをしたその瞬間に、その行動は望ましくないということを伝えるために、"あっ!"と短く声を出すだけで良いです」
「ポイントは、その時に、思いっきり声のトーンを低くすることです」
「そして、その声で、ワンちゃんが甘噛みを止めたその直後、今度は、"いい子だねー"と頭をなぜながら、声をかけてください。その時には、思いっきり、明るく高い声のトーンで伝えます。このメリハリをつけることが大事です」


さすが、プロのドックトレーナーです。今まで飼い主がいくら叱っても直らなかった甘噛みが、トレーナーの指導で見違えるように改善していきます。


実は、今回のしつけ教室の目的は、プロのトレーナーによるしつけではなく、経験の浅い飼い主がトレーニングの方法を学んで、自宅で自分の犬にしつけができるようにすることです。 ですから、犬へのしつけ方の見本を示した後は、飼い主へのトレーニングが始まります。


ドックトレーナーのやり方を真似して、飼い主が同じことをその場で試してみても、トレーナーのようにはうまくいきません。飼い主の行動を観察した直後、トレーナーから飼い主へフィードバックがあります。
「もっと声のトーンを変えて!メリハリをつけないとワンちゃんには分かりませんよ」と、トレーニングの最後に、ドックトレーナーから参加者へメッセージがありました。
「この短い時間でもワンちゃんの行動は変わってきましたね。大事なのは、これからです。飼い主さんが今後も一貫した行動をとることが大事です。今日お伝えしたことを、粘り強く、根気よく、継続してください。そうすれば必ずよい習慣が身につきます」


教室が終わった帰り道、バスにゆられて「効果的なフィードバックの与え方」について考えました。


リーダーシップやビジネスコーチングのコースで、企業のリーダーやマネージャーの方々が職場で抱えている課題を共有することがあります。共有され た課題の多くが部下に対するフィードバックについての悩みでした。特に改善点を指摘するフィードバックについて、「何度も同じことを指摘しにくい」「年上の部下への伝え方が分からない」などの課題を感じています。


望ましい行動が定着するにはある程度時間がかかります。フィードバックはあまり溜め込まず、その行動の直後にタイミングよく伝えることです。そし て、マネージャーやリーダーとして、チームで成果を出す上で欠かせないことであれば、何度でも粘り強く継続してフィードバックすることも大事です。


もし、その必要性を理解していなかったり、納得していなかったりするメンバがいれば、チームが目指す方向性や、メンバに期待している行動について丁寧に説明して納得させる必要もあります。

 
ただし、伝え方には配慮が必要です。言っていることが正しかったとしても、受け取った側が、批判されたとか、攻撃されたと感じてしまうと、そのフィード バックは相手の内側に入っていきません。フィードバックの目的は、成果につながる望ましい行動を増やすことです。ですから、相手が納得して、自ら行動を変 えていかないかぎり効果が出ないのです。


部下や後輩のやる気を引き出しつつ、良い点をさらに伸ばし、改善点を自ら直してもらうためには、相手の行動や態度を良く観察して、継続的にフィードバックすることが大切です。


皆様の職場でも、相手にとって受け取りやすいフィードバックを交換することを意識してみませんか。


<人材育成担当の皆様へ>
人材育成のために、さまざまな研修を企画されている一方で、次のような課題もよく聞きます。
・せっかく研修を実施しても学んだスキルを職場の業務に落とし込めていない
・スキルを活用してみても、少し試してうまくいかないとあきらめている
・上司の協力を得られず、スキルを活用する場面をなかなか作れないでいる

部下にとって、成長を左右する職場の最大の環境は上司の存在です。上司と部下が、信頼関係を築きつつ、効果的なフィードバックを行うためには、ビジネス・コーチングが有効です。

無料セミナー「上司と部下も共に育つ環境づくり」では、ビジネス・コーチングを活用する方法をご紹介します。また、弊社のお客様でこの環境づくりに成功された事例もご紹介しながら、皆様と一緒に職場での適用方法を考えていきます。


上司も部下も共に育つ環境づくり(無料セミナー)
2013
529() 13:3017:00 新宿
2013
612() 13:3017:00 大阪


なお、以下の公開講座では、「上司も部下も共に育つ環境づくり」に欠かせないビジネス・コーチングの各スキルをステップ毎に学びます。

ビジネス・コーチング

マネジメント・コーチング




[コーチング後輩指導・OJT][2013年5月14日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第91回:内省するには他者の力が必要
執筆:田中 淳子

今年も各社で新入社員研修がスタートしました。2013年度の新卒新入社員も本当に優秀でまじめです。私たちバブル世代の新入社員時代とは全く違って、今は、礼儀正しく、前向きで勉強熱心な方が多く、感心します。とはいえ、新入社員。まだまだできないこともたくさんあります。

新入社員研修でグループワークをしました。5人一組で数日かけて成果を出すプログラムです。毎朝15分ほどの「ふりかえり」の時間を設けていました。講師からは振り返り方法についての指示を出さずにいたところ、興味深いことが起こりました。

まずは、「前日の反省」をし、「今日の目標」を打ち立てることになりました。しかし、その「今日の目標」自体をうまく実行できません。次の日、また「前日の反省」をします。「なぜ、昨日立てた目標通りにできないんだろうね」「経験したことを活かしていないからだよ」「今日は、経験をきちんと活かすようにしよう」「具体的には、すべきことを洗い出してから計画を立てるといいのではないか」「それをまずやってみよう!」といった会話が交わされました。そんな風に数日過ごしていくうちに徐々グループの成果が出始めます。前日の成功体験や失敗体験が次にきちんと活かされるようになってきたのです。

まさに「経験」から「学ぶ力」が日々醸成されているのを目の当たりにしました。単に過ぎたことを反省するのではなく、「どうしたらよいか」という仮説を立てて次のことにあたる。これを繰り返しているうちに納期や品質を守った成果を出すことができるようになりました。

この例を見て思うのは、「ふりかえり」というのは、一人でするよりも、他者を介在させたほうがより効率的でうんと効果があるということです。このケースでは、5人でわいわいがやがやと話し合っているうちに、「うまくいかない要因」「うまくやるための施策」が言語化されて固まってきました。

「ふりかえり」のことを教育の世界では、「内省」あるいは「リフレクション」といいます。「内省」(ここでは「内省」に統一します)を促すのに、実は他者の力がとても重要になってきます。

OJTの担当者の中には、「後輩が同じ失敗を繰り返すのが困る」「失敗から学んでほしい」と嘆く方がいらっしゃいます。どう対応しているか尋ねると、「失敗を繰り返さないようにしなさい」「自分でよく考えて物事に当たりなさい」と言っているようです。「考えなさい」「失敗しないようにしなさい」と指示命令されて改善されるなら簡単なのですが、当人もしたくてしている失敗ではないので、考えてみたけれど、結局また失敗した、ということになっているのだと思います。

人は自分自身の直接経験から学ぶ割合が70%もあるといわれていますが、単に経験すれば学び成長するわけではなく、成功だろうと失敗だろうとその経験をきちんと内省して、次につなげることが大切です。そのために、一人で黙々と考えることも意味はありますが、他者の力を借りて考ええればより深い気づきが得られます。人と話すことによって、自分の頭の中にあるもやもやしたものを言語化でき、自分の耳で再度とらえ直し、自分の考えを深めることもできますし、そもそも自問自答では思いつかなかった問いを他者からぶつけられ、異なる切り口で何かを発見することもあるからです。

上司や先輩がすべきなのは、「失敗しないように気をつけなさい」とか「自分でよく考えなさい」という命令文で叱咤激励することではなく、「どうしたらいいと思う?」「何がその原因になったんだろうね?」と問いかけ、当人に考えさせていくことです。「内省しなさい」という代わりに、部下・後輩が「内省するための支援」をするわけです。

「何が起こったの?」
「その時、自分はどう判断したの?」
「そのことで学んだことは何?」
「うまくできたと思うことは?」
「もっと上手にできたはず、と思うことは?」
「次回、どのような準備をしておけばいいのかな?」
「ほかに何か気付いた点はある?」

部下や後輩は、こう問われることで懸命に考え、仮説を立てられるようになります。立てた仮説を次の行動に反映し、同じ失敗を繰り返すことも減ってきます。

他者を介して行う「内省」は深い気づきと学びをもたらします。自分が内省したい時は、誰かに内省につき合ってもらえばよいのです。部下や後輩の「内省」にかかわることも躊躇する必要はありません。

私たちは誰に内省の相手をしてもらっているでしょうか。そして、誰の内省の相手になってあげているでしょうか。

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ダイヤモンド社が開発したDLL(ダイヤモンドOJT診断システム)の販売代理店として当社のOJT関連研修に組み込んで活用しています。

DLLは経験学習の研究でも著名な松尾睦氏監修のツールです。部下を持つ上司、若手の指導にあたるOJT担当者が、どのように指導しているか、指導についての長所と短所を分析するものです。そのDLLの結果を見ながら教え方の持論化を図ったり、課題については解決策を議論したりすることができます。グローバルナレッジでは、このDLLを使った「部下・後輩指導」の研修やセミナーを数多くご提供しています。

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<関連コース>
「後輩の教え方育て方」
「OJT担当者向けワークショップ」
「OJT担当者上司向けセミナー」
「OJT担当者向けフォローアップ」


田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!」
【著書】
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

【対談連載】
・ITpro
「ヒューマンスキル特別対談 田中淳子×芦屋広太『行き詰まり感』を打開するコツ」

【連載】
(NEW!) ITmedia誠Biz.ID 「田中淳子の人間関係に効く"サプリ"

・ ITmediaエグゼクティブ「田中淳子のあっぱれ!上司」

・ITPro 「ヒューマンスキル往復書簡 田中淳子←→芦屋広太」


[後輩指導・OJT][2013年4月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第86回:経験から学ぶ
執筆:田中 淳子

メーカーのベテランエンジニアがこんな風に嘆いていました。


「僕たちの新人時代って、試作品を作らせてくれて、成功しても失敗してもその経験からいろんなことを学ぶことが多かったんだけど、今って、コスト削減とかコンプライアンスとかいろいろ配慮すべき点が多くて、新人に失敗させるなと上からも言われちゃうんですよねぇ。ある程度は痛い目に合わないと覚えないとか学べないことってたくさんあるんだけど、世知辛い世の中になったもので・・・。」


「経験学習」の研究によると、働く大人の成長は、7割が自分自身の経験に支えられているといいます。「他者の経験を見たり、他者からアドバイスを受けたりする」ことが2割。残り1割が「研修に参加したり、本で学んだりする」ことだそうです。「自分自身が経験すること」が最も重要なのですね。たしかに、私自身のこれまでの仕事を思い出してみても、「なんだかわからないなりにやってみて、それでも乗り越えられた」というような場面においてこそ著しく成長できたという実感があるものです。


では、冒頭に書いたように黙っていても様々な経験をするのが難しい現代、経験する機会をどう作ればよいのでしょうか。一つは、上司や先輩など指導する側が部下や後輩にふさわしい経験をデザインすること。もう一つは当然のことながら、自分自身で経験を作り出すことです。


上司や先輩が経験をデザインした例です。


中堅の営業担当者から聴いた話です。絶対に失注するとわかっている案件があり、だからこそ、新人に挑戦させたいと考え、担当させました。案の定、新人は、失注はしましたが、ひとつの案件を提案の初期段階から一人であたらせたことで成長につながったと任せた先輩は話していました。


新人と2年目だけで顧客との折衝を担当させた例もあります。最初の頃は、顧客からの質問や要求にしどろもどろになっていたものの、勉強し、必死にくらいついていく内に顧客と対等に会話できるようになったと言います。先輩は表に出ていかず、あえて若手2人だけで顧客との折衝ごとなどを任せてしまったことで、「やらねばならぬ」という当事者意識も高まったのでしょう。しかも、これ以前はホウレンソウをなかなかしなかった若手2人は、率先してホウレンソウをするようにもなったそうです。


経験を自分で作った例も紹介しましょう。


システム保守の部署に配属されたある新入社員は、与えられる業務をこなすだけでなく、自分で「改善課題」を何十個もリストアップして、取り組みました。「この部分をこういう風に変えたらもっとやりやすいのに」「ここをこう工夫することでこんな風に便利になるのでは」と自分なりに考えたテーマについて、日々の業務に取り組みつつクリアしていったそうです。与えられたままに仕事を行うのではなく、自分なりに意味づけをして取り組む姿勢をこの新入社員は持っていて、当然、他の新入社員よりも成長著しいと周囲からも認められるようになりました。


経験には「成功経験」と「失敗経験」があります。どちらも学びにつながりますが、中でも「失敗経験」は仕事において一皮むけるために重要な要因となります。ただし、失敗経験によって落ち込んでしまう若手もいるため、周囲の支援も欠かせません。


ある時、本番機の設定を変えてしまい、システム全体を停止してしまった新人がいました。自分がやってしまったことに驚き、慌て、どうしようもない事態に陥った際、OJT担当の先輩まであたふたとしてしまったそうです。その時、たまたま近くを通りかかった隣の部署の先輩が声をかけてくれました。


「どうしたの?」


事情を説明すると、新人に向かって涼しい顔でひとことこう言いました。


「そういう時こそ、エンジニアって成長するんだよなぁ」


これを聴いた新入社員もOJT担当の先輩も気持ちが落ち着き、一つ一つ丁寧に対応することができたそうです。


以前、大先輩にこう言われたことがあります。「1年に1回職務経歴書を書くといいよ。1年前より1行でも何か書き足せるかどうか、振り返るんだよ」


職務経歴書に「この1年の経験」を堂々と書き足せるよう、意義ある経験をデザインし、自分の糧としていきたいものです。


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ダイヤモンド社開発の「OJT診断システム」DLL(Diamond Inventory of Learning Leader)を当社でも取り扱うようになりました。
OJT担当者向けワークショップ」や「OJT担当者向けフォローアップ研修」など「OJT」関連研修とセットでご採用いただくとより実践的な研修をご提供できます。
詳細は、お問い合わせくださいませ。

[後輩指導・OJT][2012年11月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第82回:誰も電話にでんわ
執筆:森 美緒

先日、友人から「社内で電話が鳴っても、電話を取らなくて良いと思っている人に、
マナー研修ではどう教えるの?」と聞かれました。友人の話を要約すると、こういうことでした。


社内に電話が鳴っていても取らない人たちがいる。
電話を取ってほしいと伝えたところ、「最近の電話は、何コールかの内に留守電に切り替わったり、メールで電話があったことが通知されたりするので、本人に電話があったことが分かる。気にしないようにすればいい。効率を重視すべき。」という言葉が返ってきた。その対応には納得できない。


ビジネスマナー研修では、「業務中に電話が鳴ったら、自分の電話ではなかったとしても、取る」のがマナーだと説明します。電話を取る理由は「マナーの基本は相手主体」だからです。


鳴っている電話にでない理由を挙げてみると、
1.自分が電話に出なくても、同僚にはかかってきたことが分かる
2.自分が出ても、どうせ対応できるわけではない
3.電話に出ると(私の)業務効率が悪くなる


など、「電話をかけてきた相手への配慮」が不十分な状態です。
どの理由も、電話の向こうで、コール音を聞いている相手には分かりません。


電話がつながらなければ、「なぜこの会社は誰もいないのだろう?」と疑問を持つと思いますし、急用ならば、「なぜ、電話に出てくれないの?」とイライラするかもしれません。「この会社じゃなくてもいいや」とビジネスチャンスが失われる可能性もあります。
電話機能が進化していようと、電話対応に自信がなかろうと、忙しかろうと、「電話が鳴ったら取る」これは組織に属する人にとっては大切な仕事だと思います。

ずいぶん昔の話ですが、私自身も率先して電話対応ができなかったことがあります。
新入社員だった私は、営業部に配属されて張り切っていました。
ところが、その気持ちに自分のスキルがついてこないのです。
電話が鳴ると張り切って受話器を取るものの、対応マナーどころか、敬語もままならない状態でした。張り切っていた気持ちはシュルシュルと小さくなり、電話に出るのが怖くなったのを覚えています。電話が鳴ると、先輩がでてくれないかと期待しました。


そんな私をOJT担当だった先輩は、やさしく慰めてくれたわけではありません。
電話が鳴ったとき、競争でもするかのように私よりも早く受話器を取るのです。
そして、私にはできない丁寧な対応をします。
先輩がすばやく受話器を持ち上げるおかげで、私はその後しばらく、電話を取らずにすみ、先輩がてきぱきと電話対応も、通常業務もこなす姿を見ているだけでした。


しばらくすると、電話に出なくて済んだ安心感だけでなく、なんだか情けないような、申し訳ないような気持ちになりました。
電話を切った先輩に「電話を取っていただいてありがとうございます。」と言うと、「電話が鳴
ったら取るのは、私の仕事でもあるので気にしなくていいですよ。」という返事が返ってきました。予想以上に優しい返事が返ってきて、やる気を取り戻した私は
「私にも電話対応のチャンスをください。練習したいです。」と言いました。


そして言い終えた瞬間に後悔しました。


先ほどまで笑顔だった先輩の表情が豹変し、厳しい口調の返事が返ってきたのです。
「この電話にはお客様からかかってくるの!全部本物のお客様!練習にしていいお客様なんていない!」


今思えば、その通りです。
配属前の新入社員研修では「顧客志向」「営業マインド」などを学びました。
理屈は分かっていたつもりでしたが、私の考え方に反映されていなかったから、「練習」という発想が出てきたのでしょう。そもそも電話を取らない理由も自分の敬語や電話対応スキルに自信がないという「自分主体」の考え方でした。
顧客志向の「こ」の字もない状態だったのです。
その後は、とにかくお待たせしないようにしよう。と心に決めて、先輩に負けじと受話器を取るようになりました。


後輩が配属されると、「電話は後輩社員の仕事」と先輩社員が電話を取らなくなる企業も少なからずあるようです。そんな中、私の先輩は「電話が鳴っていたら取る、相手をお待たせしない」と言う顧客志向を背中で教えてくれました。


私の電話対応エピソードには、ちょっとしたオチがあります。
電話を取り対応できるようになり、営業成績も上げられるようになったころのことです。
職場の飲み会で、先輩に「あの一喝はとても効きました」とお礼を言うと、先輩は「電話に出られないままでいてくれたら、私の成績が増えたのに・・・」と笑ったのです。


真相はどうあれ、顧客志向や電話対応が身についたのは、あの先輩のおかげだと、今でも感謝しています。

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森美緒

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。 1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。 2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

2008年12月より2010年1月まで、翔泳社webマガジンEnterprisezinにて「新入社員が育つ!現場のための教育実践マニュアル」 連載。 2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。

[ビジネスマナー後輩指導・OJT][2012年7月23日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第56回: 善意の無関心
執筆:田中 淳子

昨年、私の両親に初孫が誕生し、私にとっては甥っ子が出来ました。彼のパパ・ママ(=実妹)は最初から周囲を上手に巻き込み、おかげで私はこの年になっておむつ替えやらミルク作りやら離乳食作りやらを初めて体験することとなりました。核家族の子育てでは、いかに上手に周囲の協力を得るかがポイントなのだと肌で感じているところです。


さて、多くの企業で、先輩社員が1対1で新入社員の指導に当たるという「OJT担当者」制度を設けています。一般的に、20-30代の若手・中堅社員層がOJT担当者に任命されます。「新入社員のOJT担当を任されて大変だ」と最初はプレッシャーに感じる方は多いものの、任期が終了する頃になれば、誰もが「新入社員を育てる」ことで「自分も成長できた」と気づくことになります。新入社員と指導する先輩の双方にとって、「学びと成長」に役立つのが「OJT制度」なのです。


ただし、「OJTの制度化」には必ずと言っていいほどついて回る問題があります。新入社員に対し1対1で先輩が指導に当たるこの制度、周囲からは「彼・彼女<だけ>が指導に当たる」という誤解を招きやすいのです。「彼・彼女を指導する上での第一担当者に任命した」だけであって、他の先輩達が何もしなくてよいわけでも、してはいけないわけでもないのにも関わらず、「担当者がいるなら、私たちが口出しすることもない」と周囲の先輩達は新入社員の指導を傍観するようになってしまいます。


「新入社員に先輩をつけて1年間指導させることにしたので、新入社員の成長は著しいんです。でも、他のメンバが何も手伝ってやらないという副作用が出てしまうのが問題です。それで、OJT担当者が孤立するんですよね」

こういった悩みを様々な企業で耳にします。


「周囲が手助けしてくれない現象」を私は「善意の無関心」と呼んでいます。OJT担当者からすると、「周囲の他のメンバが育成を手伝ってくれない」と不満が溜まるのですが、手伝わない他の先輩達に悪意はありません。むしろ「折角彼・彼女が指導しているのだから、私が余計なことを言ってはいけないのではないか」「彼・彼女の考えもあるだろうから、ここは黙って見守ることにしよう」という善意から手出しをしないのです。OJT担当者に何もかも押し付けようと考えているのではなく、手を、口を出しては失礼だろう、という善意に基づく「無関心」がOJT担当者の孤立を生んでしまっています。


「善意の無関心」を解消するにはどうすればよいのか。具体的な対応策をご紹介します。


1.OJTに関するキックオフミーティングを開き、「育成は全員で当たる」ことを所属長から述べてもらう

所属長の一言は大きな影響力を持ちます。「OJT担当者として○○さんが任命されていますが、一人で何もかもできるわけではありませんし、する必要もありません。皆もこの職場全体にとっての新入社員だと意識して、指導に協力するように」というメッセージを伝えることが肝要です。


2.他の先輩達に「何をどう手伝ってほしいか」を具体的なタスクとして依頼する

「新入社員の育成を手伝ってください」よりも、「新入社員が作った議事録を査読して、フィードバックしてもらえませんか?」と具体的に「何をどうしてほしいか」伝えます。漠然と「手伝って」と言われるよりも「これをして欲しい」とタスクとして依頼されるほうが手伝いやすいのです。


3.新入社員に「OJT担当者」は私だが、チーム全員で指導に当たることを伝える

実は、担当者を専任すると新入社員側にも「OJT担当者以外の言葉に耳を傾けなくなる」可能性が出てきます。「これはダメだよ」と周囲の先輩が注意してくれたのに、「OJT担当者」以外に注意されたから関係ないと思ってしまうのです。そうならないために、あらかじめ、新入社員側の意識付けしておくことも重要です。


我が妹は、甥っ子が退院してくる前に「みんな遠慮せずどんどん手伝ってね!」と宣言しました。彼らはしばらく実家に滞在していたので、私もしょっちゅう実家に立ち寄り、子育てに参加しました。「抱っこしたい人~」と妹に声をかけられるや、母や私がいそいそと赤ん坊に走り寄り、われ先にと抱っこし、おむつを替えて、いつの間にか、全員で取り組むムードが出来上がりました。おかげで私たち身内に「人見知り」をすることなく、すくすく育っています。「子育ては全員で当たる」ことが自然と伝わっているのでしょう。

 

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以下のようなコースで、OJTに関して体験的に学ぶことができます。

「後輩の教え方育て方 ~OJTの効果的な進め方とスキル~」(HS0073CG)


「OJT担当者向けワークショップ ~指導計画作りからコーチングまで~」(HSC0037G)


「OJT担当者上司向けセミナー ~OJT担当者の支援と部下のコーチング~」(HS0057CG)

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【対談連載】 
ITpro ヒューマンスキル特別対談-『行き詰まり感』を打開するコツ- (田中淳子×芦屋広太)

【Twitter開始】 
「田中淳子のTwitter」 

 


[後輩指導・OJT][2010年5月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第53回:一貫したメッセージ
執筆:森 美緒

 会社帰りに、私はいつも乗換駅に隣接したストアで夕食の買い物をしています。
そのストアの入り口から生鮮売り場までの通路にその惣菜店はあります。
サラダ類を中心に扱う店で、量り売り形式です。店員に欲しい惣菜名とグラム数を伝え、店員はプラスチック容器にその量の惣菜を入れて、販売します。
店員にはショーケース越しに接客をする人と、店頭から少し奥に入った厨房で新しい惣菜を作っている人がいます。


 ある時、仕事帰りの買い物客がごった返す中で、接客の順番を待っていると、厨房で惣菜作りをしていた店員が、小走りに出てきて「お待たせしました。ご注文をどうぞ」と笑顔で接客を始めてくれたのです。
些細なことかもしれません。でも、調理をしながら、表の様子も見ている視野の広さや、自分の役割に固執せずに接客できる柔軟性は「すごい」と思いました。
それからというもの、その惣菜店の接客に注目をするようになりました。


 毎日のように観察していると、ほかにも色々な事例を目にすることができます。例えば、接客担当者全員が接客を始めると、待っている客がいなくとも厨房から1人は店頭に出てきて「お待ちの方はいらっしゃいませんか?」「いらっしゃいませ」と買い物客に声をかけています。時には接客担当が惣菜作りの作業を手伝う場面も見かけました。どの例からもチームワークに柔軟性がある様子が確認できます。


 注目し始めて1年が経った頃、店の教育がその「すごさ」を生み出していることに気づきました。
この惣菜店では新米店員が一人前の店員になるまでの間、先輩たちが一貫して同じメッセージを発し続けます。
 新米店員は(実習中のバッチをつけているのですぐに分かります)、店に立ち始めてしばらくは、自分の役割をこなすのに必死になっています。お客の指定したグラム数ぴったりに惣菜を量るのに時間がかかり、包装に手間取り、レジでクレジットカード決済の方法が分からない。そのたびに、先輩店員は、「早くできなくても良い、でもお客様を待たせたらだめですよ!」と言います。一見矛盾したメッセージですが、数日経つと、新米店員はレジで困ったら先輩店員に「あちらのお客様分です。レジお願いします」と言ってレジを代わってもらい、自分は次の接客に向かうようになります。
実習中のバッチが取れる頃、自分の役割をこなせるようになった新米店員は、今度は「自分のことだけ早くても、お客様を待たせたらだめですよ!」と注意を受けるようになります。すると数日後には、店全体を見て「それ、私がします」と動き、お客全体を見て「お待ちの方いらっしゃいませんか」と声を出すようになっています。
その頃には、もうすっかり先輩店員と同等の仕事ぶりです。


 店員の変化を見るたびに、私は一貫したメッセージの大切さを感じます。
先輩店員が伝える「お客様を待たせない」という一貫したメッセージは、そのために何ができるかを考えさせ、先輩は何をしているかを観察させる土壌を作っているからです。量り方が遅いとか、レジが遅いという細かいスキルは経験によって速くなるものです。注意しはじめたらきりがありません。もし仮に、それらのスキルが身に付いたとしても、それだけでチームワークが発揮できるとは限りません。
この惣菜店は、店の目標である「お客様を待たせない」というメッセージを一貫して教えて「チームの力を借りること」「チームに貢献できることを自分で探すこと」を店員に浸透させています。


 新入社員の育成担当者を対象にしたOJT研修を行うと、どうすれば後輩に上手く業務を教えられるか、どのように後輩の話を聴けばよいかなどに、多くの関心が寄せられているように感じます。もちろん、業務の教え方や接し方も大切です。ただ、知識やスキル以上に、教えるべき大切なメッセージがあるのではないでしょうか。
それは、「チームの目指すもの」や、「自分たちのあるべき姿」です。


 新入社員だった頃、私は先輩社員から「仕事というものは」「我々営業は」と何度も同じ話を聴きました。現在、私の仕事への取り組み方の根底にはその時に先輩からもらったメッセージがあります。あの頃は内心、「またその話か、精神論はもう良いから、細かいテクニックを教えて欲しい」と思ったものです。でも今は、大切なことを教えてもらっていたのだと、とても感謝しています。


 皆さんには、会社として、チームとしての一貫したメッセージがありますか?
そのメッセージを自分の行動でも示せていますか?
まもなく新入社員が入社します。先輩としての自分の姿を見直し、後輩を迎える準備をするのにとても良い時期ではないでしょうか。

 

 

・後輩の教え方育て方 ~OJTの効果的な進め方とスキル~

・OJT担当者向けワークショップ ~指導計画作りからコーチングまで~



森美緒

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。 1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。 2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

 

2008年12月より2010年1月まで、翔泳社webマガジンEnterprisezinにて「新入社員が育つ!現場のための教育実践マニュアル」 連載。 2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。


[後輩指導・OJT][2010年2月23日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第46回:「教えてもらったことないかも・・・」
執筆:高橋 俊樹

「相手の成長を支援するためのスキルのひとつ、コーチングと言う言葉を聞いたことはありますか?」


研修でこう尋ねると最近では6割前後の方が手を挙げるようになりました。特に30歳代以上はかなりの受講者がご存知のようです。


さらに尋ねます。


「それでは聞いたことがあるだけではなく、コーチングとは何か?どのようにすれば良いのかについて、書籍や研修などを通して学んだことがある方はいらっしゃいますか?」


すると「聴いたことがある」と答えた内2割前後の方が手を挙げます。インターネット、書籍などで勉強したり、会社で研修を受けたりと手段は様々ですが、コーチングもビジネスパーソンに必要なスキルとしてだいぶ浸透してきたのだなと感じるようになりました。


コーチングとは本人が望む目標を達成するために、相手の中にある潜在能力を引き出し、その人自身が答えを創造できるように継続的に支援していくためのコミュニケーション・スキルです。ビジネスにおいては自発的・自律的な人材育成を目指すために学ぶ方が多いようです。


実際に、グローバルナレッジのコーチング研修でも受講者の半数以上が、プロジェクトマネージャやグループリーダーといった立場にあり、メンバや後輩を育成・指導するためのスキル修得を目的として参加されます。


続けて尋ねてみます。


「では、今までに相手の成長につながるような"教え方"について、どう教えればより効果的かを、書籍や研修などで学んだことがあるという方はいらっしゃいますか?」


するとどうでしょう。まったくといってよいほど手が挙がらなくなります。
後輩やメンバを育成していく上で、考えさせる以前に必要なことは「相手にきちんと教える」ことです。何が良くて何が駄目なのか、どういう行動を取って欲しいのか、仕事を進める上で必要な知識やスキルを教えることが重要なのです。何も教えずに「背中を見て学べ」「自分で考えろ」だけでは早期に理想の人材を育成することはできません。


ところが「相手に考えさせる」ためのコーチングは習ったことがあると言う人が多数いるのに対して、「相手に何かを教える」ことを習ったことがあると言う人はほとんどいません。これはなぜでしょうか。おそらく以下の様な経験や考えが教える側の中にあるのではないかと考えられます。


・教えるスキルを意識したことがない → 上司を手本に真似してやっている
・教え方よりも教わる側の受け止め方が大切だ → 後輩や部下が理解すればよい
・わざわざ教えるスキルを学ぶ必要はない → 伝えるだけなら自分流で問題ない
・特別なスキルではない → 習わなくても問題なく今まで来られたから


ところで皆さんが学生だった頃を思い出してみてください。上手に教える先生の授業は理解し易かったという体験は誰でもお持ちのことでしょう。理解できれば、さらに学ぶことに楽しみを感じられるようにもなったはずです。


社会人であっても同様です。教え方ひとつで相手の理解力や理解・納得にかかる時間が変わります。その結果、相手の取る行動にいたる背景や考え方に大きく影響を及ぼします。
後輩や部下を育成していく際に、相手に考えさせる事も大切ですが、まずは相手が理解できるようにきちんと教えたり、伝えたりして行くことが、育てる側が一番にすべきことなのです。後輩やメンバを指導・育成して行く中で、より効率的に、効果的に相手に教える力を身につけてこそ、前述のコーチング・スキルもより活きてくるのです。「教える」スキルと「考えさせる」スキルをバランスよく身につけて、部下・後輩の育成に活用してみてください。


グローバルナレッジでは「後輩の教え方・育て方」で、OJTを効果的に進めるために、ティーチング・スキルとコーチング・スキルの両面から学習することができます。
また、コーチングをさらに身につけたい方にはビジネスの場面で使用できる「ビジネス・コーチング」、目標支援のための「マネジメント・コーチング」があります。

 

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高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、2001年より現職。プレゼンテーション、ネゴシエーション、コーチングなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。
ITpro skillup 2007年3月より連載中「コミュニケーション・スキル講座」

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[後輩指導・OJT][2009年7月28日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第45回: 新人だと「バレない」こと!?
執筆:田中 淳子

「新入社員のことを、お客様に"新人です"って紹介してる?それとも、"新人"だってことは敢えて言わない?」

 

 ある企業でのOJT担当者向けフォローアップ研修で、一人の参加者が周囲に質問を投げ掛けました。

 

 面白い疑問だと思ったので、その場にいた20人ほどのOJT担当者に伺ってみると、「新人です、と紹介する」派と「新人です、とは敢えて言わない」派は、ほぼ半々という結果になりました。

 

 それぞれに理由があります。「新人です、と紹介する」派は、「お客様にきちんと紹介することで、新人にも自覚を持ってもらう」「多少の粗相があっても、お目こぼしがいただけるのではないか」と言います。

 

 一方で、「新人です、とは言わない」派は、「お客様の前では新人も何もない、新人にも、一人前として扱われることを自覚させたい」「お客様に、新人を連れてきたと不安にさせないように」などという理由を挙げました。

 

 どちらも一理あるように思います。

 

 新卒で入社した会社で、私は半年の修行の後、お客様向けに「FORTRAN入門」といプログラミング言語の研修でデビューしました。その際、先輩と共に懸念したのは、「新人だ」とバレてしまうのではないか、でした。

 

 「もしかすると、新入社員ですか?」「田中さんは、若く見えるけど、何歳ですか?」などと聞かれた場合の対応法を相談したら、先輩にこうアドバイスされました。「即答せず、"何歳に見えますか?"と質問を返してごらん」。

 

質問している側も、たいてい「24-5歳?」と少し上に言うものなので、そうしたら「はい、だいたいそんなところです」と返答すればよいと。

 

 尋ねている側も、「まさか講師がデビューしたての新人ってことはないよね」と思う部分もあるので、相手に不安を与えないように、先方が言う年齢を聞いて、「だいたいそうです」と答えるほうが安心させられる、というわけです。(グローバルナレッジでは、新卒採用をしていないので、今はこういう心配をすることもありませんが。)

 

年齢を気にすると言えば、以前、こんなこともありました。SQLの研修を担当していた20代後半の講師が、参加者にデモンストレーションを見せる際のこと。

 

「では、名前には、私の名前、KOJIMAと入力します。」「次に、年齢のところには、22、と」・・・。こうやってデモンストレーションが終了した後、後ろでご覧になっていた研修担当者が、講師ではなく、担当営業にあとでこっそり、問い合わせをなさったそうです。

 

「あのコジマさんという講師は、もっとベテランかと思っていたけど、新人なんですか?そんな若い人を派遣するなんて、大丈夫なんでしょうか?」と。担当営業は何のことか分からず、きょとんとしてしまったのですが、講師自身に確認したところ、デモンストレーションで入力した年齢が原因と判明しました。

 

研修のご担当者には、「彼女は、入社6年目か7年目なので20代後半ですよ」とお伝えし、事なきを得たとか。

 

年齢と仕事ぶりとは必ずしも関係ない、とは言え、やはり、他人の年齢が気になる方もいらっしゃるし、「若いこと」を自分自身が気にしてしまうこともあります。(もちろん、「若くないこと」を気にするケースもあります。)

 

冒頭のケースでは、その場の話し合いで、OJT担当者と指導を受けている新入社員とで話し合って方針を決めればいいのではないか、ということになりました。「こういう理由でこうする」と軸さえ明確になっていれば、それぞれの紹介方法のメリットが生かされるはずです。

 

この研修の最後に、「新入社員がどこまで育ったらOKとするか」といった議論もしました。「新入社員の成長度合いを測る指標」について、全員でアイディア出しをしたのです。

 

「一人でヒアリングし、提案書を書き、顧客に説明できるようになる」「ある業務を聞いた時、それは誰が担当なのかがわかるようになる」「自分の担当業務を全くの部外者に分かりやすく説明できるようになる」など具体的な「行動」が挙げられました。その中のひとつに、こういう指標もありました。

 

『お客様に"新人だ"ということがバレないようになる』

 

「"そういえば、まだ新人さんでしたよね"と、先方も忘れてしまうほどになれば、新人時代は卒業かなと思って」とそのOJT担当者はおっしゃいました。

 

なるほど。自分も他人も「新人かどうか」が気にならなくなること。それが一番の「成長の証」なのかも知れません。


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    OJT開始前後に行うOJT担当者向けの研修です。「どんな人材に育てたいか」「指導計画の立て方」といった「どう教えるか」「考える人材に育てるためのコーチングスキルの活用」「やる気を刺激する方法」など、OJTの準備と運営で必要な」知識とスキルを学びます。OJTで使える書式を作成し、具体的ノウハウを学び、活用法も考えます。2003年開講以来、多くの企業で採用していただいております。
     

  • 「OJT担当者向けフォローアップ研修」(1社向け)
    OJTが始まって3ヶ月から半年経った頃に、「OJTの成功事例」や「困っていること」を共有したり、議論したりする研修です。OJT担当者同士の交流を図ると共に、知恵の共有を推進することができます。
  •  

    定期開催では・・・

  • 「後輩の教え方育て方」<1日コース>
    もあります。


    *お知らせ*
    田中淳子がブログを始めました。人材育成の現場で見聞きしたこと、新入社員を始めとする若手社員のOJTの事例、本の紹介などしています。

  • 「ヒューマン・スキルの道具箱」

       

       


      田中 淳子 (たなか じゅんこ)

      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

       

      【ブログ】 
      「ヒューマンスキルの道具箱」
       

      【著書】
      『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
      『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

       

      【連載中】 
      日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

       


      [後輩指導・OJT][2009年6月16日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第35回:「国語辞典」を使っていますか?
      執筆:田中 淳子

      新入社員が配属され、OJT真っ只中のこの時期、OJT担当者やその上司の中には、「新人が書いてくる文章に誤字が多くて、大変だ」とか「添削に数時間かかってしまう」と嘆いている方も多いことと思います。
      彼らが提出する文章を上司やOJT担当者が赤ペンで一生懸命修正し、戻す。新入社員は、上司やOJT担当者から真っ赤な状態で戻された文章を、「指摘された箇所をそのまま直す」。そんな作業を繰り返している職場が多いようです。


      「新入社員に文章力をつけさせたい」と思う一方で、上司やOJT担当者は丁寧に添削してしまいます。「添削する」という方法を取ることで、新入社員からは「自分で考えて書く」というプロセスが抜け落ち、結果的に「文章力の向上」につながらないという皮肉な結果が生じるのです。
      上司やOJT担当者が赤ペンで修正箇所をより多く指摘するより、新入社員自身によりよい文章、よりよい言葉選びをさせるほうが教育効果は上がります。では、何をすればよいのでしょうか?


      今年、ある企業で新入社員研修を実施した時のことです。新入社員には毎日「研修受講報告書」を書かせるというカリキュラムになっていました。その企業では、前日書いた報告書から簡単にコピー&ペーストできないよう、A4サイズ分の報告書を手書きで記述するよう指導していました。「報告書を書く経験を積むこと」はもちろんのこと「文章力を向上すること」や「日本語力を磨くこと」も意図していました。


      新入社員が提出する報告書には誤字脱字が多く、中には創造力溢れる漢字が使われている場合も少なくありません。たとえば、「講義」は「講議」、「習得した」は「取得した」と書かれています。「協調性」と書きたかったのでしょうが、「共丁性」と書いてあったり、「結束力」と書くつもりだったらしい言葉は、「決足力」となっていたりもします。既に学生時代から手書きで文字を書く機会が減っているため、A4サイズ1枚の報告書でもひとつの誤字なしに書けるという人はほとんどいないのが現状です。漢字だけではありません。言い回し・表現も適切でないものが選ばれている場合が多々あります。

      今年は、この企業で「新入社員に国語辞典を持参してもらう」ことを当社から提案しました。「学生時代に使っていたぼろぼろの辞典でもいいから、自宅から持参するように」と入社前に連絡していただいたのです。その結果、新入社員のほぼ全員が自席に国語辞典を置いて新入社員研修に臨む姿が見られました。

      その結果興味深い変化が起こりました。


      1.レポートの誤字脱字が激減した
      ⇒ レポートを書く際、あてずっぽうで書いていた漢字を調べてから書くようになったため、間違いが減った

      2.レポートでの表現において、より適切な言葉を選ぶようになった
      ⇒ 辞典を引き始めると、単に正しい漢字を探すだけではなく、「どういう表現を用いればより自分の考えを的確に表現できるか」を考え、言葉を探し、選ぶようになった

      3.他者と言葉に関する議論をするようになった
      ⇒ グループ・ディスカッションで成果を模造紙にまとめる作業でも、「こちらの表現のほうがより良いのではないか」と言葉について活発に議論していた

      「国語辞典を手元に置いておく」という、たったそれだけのことで、誤字脱字が減るだけでなく、表現する際の言葉遣いに敏感になる、という効果が生まれたわけです。

      手近に調べるためのツールがあれば、誰でもそれを使うようになるものです。自助努力の範囲で、正しい言葉遣い、正しい漢字を調べ、レポート作成も行えます。調べる楽しさを知ると、辞典を使って言葉探しをすることがさらに面白くなってくるようでした。

      「机に国語辞典を置いておきなさい。わからないことは調べなさい」---。

      OJTの現場でも、新入社員にそう指示を出してみてはいかがでしょう。チームで国語辞典を共有物として用意するのもよい方法です。自分で調べて新しいことを知る、調べてみたら忘れていたことを思い出す、というのは、人間の知的好奇心を刺激する要素でもあります。調べることが習慣化すれば、文章力も日本語力も自ずと向上してきます。

      ところで、「ぼろぼろでもいいから」と伝えたものの、新入社員の皆さんが持参した辞典は全部ピカピカでした。なぜなら、全員が"電子辞書"を携えてきたからです。時代の変化を感じる光景でもありました。


      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
      第二新卒の方、10月入社の方、配属後再度コミュニケーションを見直したい方のための特別コースをご用意しました。
      「仕事の基礎力」(1日間)
      「新入社員のためのコミュニケーション&プレゼンテーション」(3日間)
      2008年秋に各コースとも1回のみ開催いたします。
      一人前のビジネスパーソンになるためのビジネスマナーや、コミュニケーション・プレゼンテーションの基本を短期間で修得します。


       


      田中 淳子 (たなか じゅんこ)

      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

       

      【ブログ】 
      「ヒューマンスキルの道具箱」
       

      【著書】
      『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
      『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

       

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      日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

       


      [後輩指導・OJT新人社員研修][2008年8月19日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第34回 気持ちを「形に表わす」こと
      執筆:岩淺こまき

        はじめまして。岩淺こまきと申します。昨年、グローバルナレッジのメンバになりました。初めての転職ではないので、新しい環境や新しい職場への出社初日も慣れたものになっていました。出社初日というと、どの企業でもほぼ似たようなことを行うからです。しかし半年以上が経過した今でも、グローバルナレッジの出社初日は、昨日の事のように鮮明に思い出せます。


        まず人事部主催のオリエンテーションを終え、その後自分の席に案内されました。オリエンテーションの際、配属先であるヒューマン・スキル部門のメンバは全員外出をしていると聞いていたので、当然周りには誰もいません。席につき「さて、オリエンテーションの際、指示された作業をしよう」と自分の机の上を見ると、そこには「一冊の本」と「缶ジュース」が置いてありました。なんだろうと思いながら本を開くと、そこには


        「入社おめでとう!仲間になってくれてありがとう!!」


        と書かれた「手書きのメッセージ・カード」が挟んでありました。当社の先輩講師が、自分の執筆した書籍にカードを添え、プレゼントしてくれていたのです。缶ジュースには、上司からのメッセージ・カードも添えられていました。・・・驚きました。初めての経験でした。


        驚きが収まった後、PC環境が正常に利用できるか確認するため、予め設定されているメールソフトを起動しました。すると、今度は、


        「メンバ一同、入社を心待ちにしていたのですよ。」
        「これから一緒に頑張りましょう。期待しています!」


        といった「WELCOMEメール」を次々受信してきたのです。入社日前日に、ヒューマン・スキルのメンバ全員から、それぞれメールが送られていたのでした。


        二度目の驚きが収まった時、「仲間として迎えられている」という安心感を持ちました。「あぁ、私はここで仕事をしても良いのだな」と、新しい環境で多少の不安を抱えていた自分を認識するとともに、気持ちが楽になったのでした。「よし、頑張ろう。もし、私の次にまた新しい人が入ってきたら今度は私が同じことをしてあげよう」と心に固く誓いました。


        この出来事は、要約すれば「出社初日WELCOMEメールが届いていました」という、これだけの事なのかもしれません。少し意地悪な見方をすれば、「みんなヒューマン・スキルの講師なのだから『こうすれば喜ぶだろう』という理論に基づいて、形だけ整えただけじゃないの?」と捉えることも出来るでしょう。(幸い形だけではありませんでした)


        もし仮に形を整えたのだとしても、「気持ちを形に表わすこと」は、時に必要なのだと私はそのとき思いました。その行動がある程度頭で考えたことだとしても、受け手がそれをプラスに受け止め、やる気が上がったり、チーム内の結束が強まったりするなどの良い効果が生まれるなら、その行為には意味があるのです。表現しなければ相手には何も伝わりません。重要なのは、形からでもよいので、まずは相手に伝わるよう行動を起こすことなのです。


        この時期は、新しい部署に異動された方やはじめて配属された新入社員の方も大勢いらっしゃることでしょう。傍目にはどんなに落ち着いて見える人でも、どんなに経験を重ねている人でも、周りが想像する以上に、新しい環境に不安を感じているものです。


        「今年は5名新入社員が配属になるらしいね」「また新しい人が採用されたんだってね」と話題にするだけでなく、新しいメンバが入ってくることを職場全体の「イベント」として捉えてみてはいかがでしょう。出迎えるためのアイディアを出し合い、「WELCOME」の気持ちを、まずは形に表してみるのです。難しいことでなくてもかまいません。例えば私が体験したような「手書きのメッセージをプレゼントする」「WELCOMEメールを送る」などの簡単なことからでも、できることが沢山あります。


        「あなたが仲間になってくれて嬉しい」。それを伝えることが第一歩です。


        グローバルナレッジの「後輩の教え方育て方 ~OJTの効果的な進め方とスキル~」研修では、「人財育成」に必要なスキルやノウハウを体系的に学びます。「OJT担当者向けワークショップ研修」では、OJTの現場ですぐに活用できるツールを研修内で作成します。新しい方を迎え入れる準備を、一緒に考えましょう。


      グローバルナレッジでは、「コミュニケーション」を軸に、様々な仕事を進める上で必要なスキルを研修のコースとしてラインアップしています。技術や知識をより活かすためのヒューマン・スキルをブラッシュアップしてみませんか?



      岩淺こまき(いわあさこまき)
      グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育トレーナー。
      1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
      人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
      プレゼンテーション、コミュニケーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。


      [後輩指導・OJT新人社員研修][2008年7月22日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第30回 新社会人の皆さんへ - 「自ら考え行動すること」
      執筆:田中 淳子

        「自分で考え、行動する人材になってほしい」。多くの企業が新入社員に期待する事柄として第一に挙げるメッセージです。新入社員には「自分で考え、自分から行動を起こす」ことが非常に難しいと感じられるかもしれません。配属されてみると、「新人の私にはなかなかできない」「上司や先輩が環境を整えてくれたらいいのに」と思う場面にも多々遭遇してしまうものです。働く環境も自分を取り巻く事態も太刀打ちできないものに思えることでしょう。
        しかし、何も難しいこと、高度なことを「自分で考え、行動せよ」と先輩たちが言っているわけではありません。まずは、身の回りで手が届くことから、始めてみればよいのです。


        配属先に出社した初日のこと。新入社員Aさんは、元気よく「おはようございます!」と挨拶しましたが、先輩たちは返事をしてくれませんでした。数日経ち、「おはようございます」だけではなく、「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」などの声掛けが少ない職場なのだと気づきました。たいていの人なら、「誰も返事をしてくれず、むなしいからやめよう」と思い、自分も挨拶をやめてしまうところです。ところが、Aさんは、来る日も来る日も、「おはようございます」「お疲れ様でした」と元気に声を掛け続けてみました。「挨拶は社会人として基本の行為だ」と自分で考えたからです。
        しばらくすると、先輩の一人が挨拶を返してくれました。その内徐々に返事してくれる人が増えていきました。数ヵ月後、Aさんの職場では、全員が挨拶を交し合うように変わったと言います。
        職場の雰囲気を変えるのは難しい。多くの人がそう思います。でも、こんな風にたった一人の新入社員が周りを動かすこともあるのです。


        別の例です。
        新入社員の常として、誰もが職場の電話をとるように言われます。取ったところで、自分宛であるわけもなく、誰かに取り次ぐことになります。ところが、「○○課長いらっしゃいますか?」と言われても、当の課長は離席中。しかもその理由が分からない場合もあります。「電話を取っても、上司や先輩がどういう理由で離席しているかわからないので困る。居場所は明確にしてほしい」と、他の新入社員は不満を漏らしていました。そんな中で、新入社員のBさんだけは違いました。
        Bさんは、こう言います。「配属直後は僕も上司達の居場所が分からなくて困りました。でも、上司や先輩の予定を押さえておけばいいのだと気づきました。最近は出社したら、まずスケジューラを開いて、上司や先輩の1日のスケジュールを確認することにしています。」
        「仕事をしやすい環境を周りが用意してくれないから私も本来の力を発揮できない」というのは、新入社員に限らず、誰もが思いがちなことです。そう言ってしまえば、うまくいかないのは自分の責任ではないと思えますし、「周りが協力してくれればできるのに」と自分に対して言い訳も立つからです。
        でもこのBさんのように、「どうすれば自分の仕事がしやすくなるか」を考えた結果、上司や先輩のスケジュールをあらかじめ確認しておくことを思いつき、行動に移す人がいます。「上司や先輩の居場所がわからないから困ると言う人」と、「自分で考え上司や先輩の行動を押さえようと動く人」。ビジネスパーソンとしての今後の成長度合いに大きな差が開くのではないか、と思ったエピソードです。


        新入社員の皆さんは、色々とやってみたいこともあることでしょう。配属されてみたら、与えられる仕事が考えていたものと違っていたり、必ずしも自分の希望通りではなかったりすることもあります。でも、その時々で、状況をよく観察し、自分や自分を取り巻く環境をより良いものにするにはどうしたらよいかを考えていくと、新人の自分でもできること、すべきことがある、と気づくはずです。


        新入社員に求められている「自ら考えて動く」とは、いきなり大ヒットを打つような仕事振りを遂行することではなく、与えられた仕事について、自分ならではの考えや工夫を盛り込むことから始まります。小さな仕事であっても、日々の職場での振舞いであっても、そのひとつひとつを常に自分で考え、意思を持って取り組むこと。どんなことに対しても「自ら考えて動く」ことを自分に課していれば、それが企業で期待される人材像へと向かう第一歩となることでしょう。


      仕事の基礎力 ~新入社員のためのルールとマナー~」(HS0039CG)
      新入社員や若手社員に必須のビジネスマナー、仕事をする上で守るべきルールなどを体系的・実践的に学習します。
      テキストは「全ページ」カラー、イラストも豊富で、受講後に「ガイドブック」のように活用できます。

       


      田中 淳子 (たなか じゅんこ)

      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

      【著書】
      『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
      『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)


      [後輩指導・OJT新人社員研修][2008年3月25日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第23回 人に教えることの難しさ
      執筆:高橋 俊樹

        16年前になります。私が新卒で入社してすぐ2ヶ月に渡る新人研修が始まりました。1クラス約30人、全体で8クラスほどあったと記憶しています。クラスにはそれぞれ担当となる先輩社員が1名ついて、ビジネスマナーから業務に必要なスキルまで多岐に渡る研修を実施します。研修初日、どんな先輩がきて、どのような研修が始まるのだろうと少しどきどき、わくわくしていた中で、私のクラス担当になった先輩社員は教室に入ると、とても嬉しそうな表情で入社のお祝いと期待の言葉を述べてくれました。第一印象がとても良かったのを今でも覚えています。その後2ヶ月間、新人の目線で接し、分かり易く教えていただき、様々な知識やスキルを楽しみながら習得することができました。クラスの誰もがあの先輩のような社会人になりたいなという尊敬や羨望の眼差しで見ていました。


        現在、私は教育事業に携わり、ヒューマンスキル関連の研修を主に実施しています。入社した時のクラス担当の先輩と対象者は異なっても、同じように、「教える」ことを生業としています。自ら教育に関わるようになって感じるのは、人に何かを教えるという当たり前の行為がとても難しいということです。研修の場だけでなく日々の業務の中でもうまく伝えられない、言ったことを理解してもらえないなどとてももどかしい思いをすることがあります。


        誰かに何かを教えるという場面は誰しもあることだと思います。例えばOJT担当者が新入社員に対して業務に必要な技術について教える、上司が部下に対して仕事の進め方を教える、社外のお客様に対して自社製品の概要や操作方法などについて教えるなどです。そういった時、どのように教えればよいか迷ってしまうことはありませんか?


        自分が誰かに何かを教わった場面を思い出してみてください。とても分かりやすい教え方で、理解が進んだという事もあるでしょうし、逆に、余計分からなくなったということもあるはずです。分かりにくい教え方は、結果として時間も無駄になりますし、相手の理解が誤っていると、その後の仕事にも大きな影響を与える恐れがあります。それでは何故、分かりやすい教え方ができる人と、できない人がいるのでしょうか。これは学習効果の高い教え方を知っているか、知らないか、また、教えることそのものに対して持っている意識の差から来ているものだと思います。


        私も教育に関わるようになってから、冒頭の先輩の教え方はとても上手だったと気付きました。いくつか思い出してみると、ほんの一部ですが以下のような例があります。


        ● 一方的に進めるのではなく新人のレベルに合わせて理解を確認しながら伝える
        ● 興味を持てるように実際の体験談をもとに、具体例やたとえ話などを多く盛り込む
        ● 何故、そうする必要があるのかの理由や、しないとどうなるかを伝え、考えさせる
        ● 学ぶべきスキルや知識に最もマッチした演習や実習を盛り込む


        そして最も大きかったのが、当時新人であった私達に対して、学生、子ども扱いするのではなく、同じ社会人、同じ会社の一員だということを常に意識し、同じ大人として接してくれたことでした。もちろん新人ゆえの言動で叱られたこともありますが、それもすぐに指摘された点を改善できるような言い方だったと記憶しています。


        人に何かを教えるのはとても難しいことです。しかし、より効果の高い学習を行うための基本となる技術はあります。単に「知っているから」「その分野の専門だから」「説明できればよいから」ではなく、貴重な時間を割いて行うものだからこそ、しっかりと大人に対する教育の考え方やスキルを身につけておきたいものです。


        毎年、春は多くの企業の新人研修に関わっています。その中で、学習目標をきちんと達成し、必要なスキル・知識を身につけていただくことはもちろんですが、くわえて、自分自身、当時のクラス担当だった先輩のようになれているのかな、ということを今でも思い出すようにしています。


        「トレイン・ザ・トレーナー」(ON258) では、成人に対する学習の考え方に基づき、「教える技術」を強化し、質の高い研修を提供するための知識とテクニックを学び、研修の現場でそれらを実施・応用できるようになることを目指します。



      高橋 俊樹(たかはし としき)
      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。
      1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、現職。ビジネススキルグループのマネージャ兼インストラクターとして、新人から管理職までを対象とした各種ヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。


      [後輩指導・OJT新人社員研修][2007年9月 7日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第20回 新入社員の受け入れ態勢は整っていますか
      執筆:高橋 俊樹

        今年の新入社員が4月に入社してから早くも2ヶ月近くが過ぎました。民間企業の求人数も右肩上がりで08年卒業予定の求人数は1991年以来17年ぶりに過去最多数を記録し、採用活動は今後も大変な状態が続きそうです。
        さて、そのような中、皆様の会社の新入社員受け入れ態勢は準備万端でしょうか?採用活動が激しさを増す中で、貴重な新入社員をどのように育てていくかは重要なテーマですし、今年の新入社員に限らず来年、再来年の後輩社員へと継続し、会社の組織全体に波及する問題でもあります。
        最近では、単に職場の先輩社員に新入社員の面倒を任せるのではなく、OJT(*)を制度として捉え、先輩社員、新入社員双方の育成を目的として実施する企業が増えています。ではどのような点に留意すればよいのでしょうか?
        ※OJT(On The Job Trainingの略)職場において行われるトレーニング


        OJT制度をきちんと運用していくためのポイントは、3つあります。



      ① 「期待する人材像」の明確化
      ② 指導計画の作成(何を、いつ教えるのか)
      ③ コーチング、ティーチングを組み合わせた指導



      ----------------------------------------------------
        ① 人材像の明確化
      ----------------------------------------------------

        多くのOJT担当者がOJTを任された際の不安要因としてあげるのは「どこまで育てれば良いのか分からない」という点です。
        この問題を解決するためには、ゴールの人材像を明確にしておくことが重要です。OJT終了時(一般的には先輩社員から手離れする2年次にあがる時点)に新入社員にどのような人材になっていてほしいのかをまず決めなければいけません。実際に新入社員からこのような話を聞くことがあります。


        「今やっていることが何につながるのか、何の役に立つのか分からない」


        「まだまだできないことが多く、成長している実感が湧かない」


        「自分には何を期待されているのかが不明である」


        このような声があがるのは、OJT担当者が新入社員に期待する目標が描けておらず、双方で明確に共有できていないことにも起因しています。最初に、新人に期待する人材像を明確にしておきましょう。



      ----------------------------------------------------
        ② 「指導計画」の作成
      ----------------------------------------------------

        目標が明確になれば、それに向かって何を教えれば良いのか、またどのタイミングで教えればよいのかが把握でき、計画も具体的に立てることができます。育成の計画を立てておけば、目標に向かってどこまで成長できていて、足りないものは何なのか進捗を確認しやすくなりますし、目標達成に向けた動機付けにもなります。これは皆様が毎年、自分の業務の目標設定をして、その目標に対して業務計画を立てるのと同様です。



      ----------------------------------------------------
        ③ コーチング、ティーチングを組み合わせた指導
      ----------------------------------------------------

        さて、OJT担当者による指導が始まると、OJT担当者が悩むのは「どのように教えたら良いのか」ということです。指導方法には大きく分けてコーチングとティーチングの2種類があります。ティーチングが指示・命令を中心とした指導方法であるのに対して、コーチングは相手に考えさせ、相手自身から答えを導くという方法です。コーチングは自律的な行動を引き出しますので、新入社員の指導の際にも大変効果的です。


        とは言え、知識や経験が浅い新入社員に、すべてコーチング手法を用いて考えさせるのには無理があります。新入社員に対して、まずはより学習効果を高めるティーチングの技術、コツを知っておくことが必要です。効果的なティーチングは新入社員の早い成長を促すだけでなく、今後、OJT担当者がリーダーなどの役職に付いた際、メンバや後輩の指導・育成をする際にも役立つはずです。自分自身が教えてもらった時のこと、また周囲の上司や先輩などの指導の仕方を改めて観察してみるだけでも様々なヒントが得られます。


        ここでご紹介したのは、OJTを効果的に運用していく上で特に重要な3つのポイントです。新入社員を早く一人前の人材に育成するためには、上記のような工夫、取り組みが大きな効果をもたらします。また、OJT担当者だけに任せきりにせず、組織をあげて協力し新入社員の育成に取り組んで行くことが必要なのは言うまでもありません。
        多くの企業では、そろそろ新入社員の合同研修も終わりに近づき、配属に向けて慌しい時期を迎えていることでしょう。皆様の職場では新入社員に対するOJTの準備は整っていますか?


        (*)2007年7月に無料セミナー『「人を育てる」仕組みとOJTトレーナーの役割』を開催いたします。


      (*)OJT担当者のためのコーチングスキル実践
        OJT担当者が、若手社員に「何を」、「どのように教えればよいか」を学習します。OJTとは何か、何を教えればよいのか、さらに、目標設定の仕方や指導方針の作成までを演習をしながら学びます。特に「どのように」の部分では、自発的に考え行動する若手社員を育てるためのコーチングについても学習します。


      (*)OJT担当者向けワークショップ
        OJT担当者に任命された方がOJT開始前に準備すべきことからOJT進行中の指導方法までを考え、計画作りをするためのワークショップです。スムースにOJTを開始できるよう、OJTで使える様々なツールを実際にOJT担当者同士でディスカッションしながら作成していきます。


      (*)OJT担当者上司向けセミナー ~OJT担当者の支援と部下のコーチング~
        OJTをうまく進めるためには、新入社員を組織全体で育成するという意識を持つ必要があり、上司はその要の部分を担っています。OJT担当者が作成した「人材像」や「指導方針」「指導計画書」などの成果物を上司が理解し、OJTがスムースに進行するようサポートするためのコーチングスキルも学習します。
      このセミナは、「OJT担当者向けワークショップ」とセットで開催します。



      高橋 俊樹(たかはし としき)
      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。
      1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、現職。ビジネススキルグループのマネージャ兼インストラクターとして、新人から管理職までを対象とした各種ヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。


      [後輩指導・OJT新人社員研修][2007年5月21日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第9回 新入社員のOJTを成功させる秘訣
      執筆:田中 淳子

        ITエンジニアとして採用された新入社員が各部署に配属され、職場でのOJT(On the Job Training)が始まるのはたいてい6月~7月です。
        グローバルナレッジでは、OJTトレーナー(新入社員の指導担当者として人事部や上司などから任命された人)とOJT制度を支援するために、いくつかの研修プログラムを行っています。研修を通じて各社のOJTを見てきた経験から、OJTを成功させるための秘訣を3つ挙げてみましょう。


      1.職場全体を巻き込む
        新入社員をきちんと育てるためには、OJTトレーナーの「教える意気込み」や「上手な教え方」「きめ細かい接し方」などが不可欠です。ただ、育成の全てがOJTトレーナーの責任かといえばそうではなく、職場の上司やOJTトレーナー以外の先輩社員も新入社員の育成に少なからぬ影響を及ぼしていることを忘れてはなりません。
        「新入社員は、職場全体で育てるのだ」という意識を部門内で共有し、OJTトレーナーだけではなく、上司や他の先輩も皆で新入社員を見守り、指導し、時には褒めたり、注意したりしていかなければなりません。
        OJTがうまく行かない例がいくつかあります。
        例えば、「専任のOJTトレーナーがいるのだから、私が口出しすることはあるまい」と他の先輩が新入社員と距離を置く場合があります。こうなると、新入社員の育成は、OJTトレーナーひとりの肩に重くのしかかかってしまうことになります。
        OJTトレーナーが出張や休暇で不在になると、新入社員が放置されてしまうという問題もよく起こります。OJTトレーナーの不在期間は、育成の代行を決めておくことで、新入社員が放っておかれるという事態を防ぐことができるのです。
        「職場全員で育成する」風土を醸成するために、「OJTのキックオフミーティング」を開くこともお薦めします。これにより「どんな人材に育成したいか」「日ごろどのように接するか」など社員間で意識を合わせることができるからです。


      2.自分が育てられた時代や環境に固執せず、新入社員を受け入れる
        長いキャリアをお持ちの方から「部下をどう褒めればよいかわからない」、「きつく叱ってはいけないのか」、「黙って言う通りにしろというのはダメなのか」などと言われることがあります。また、「自分が若い時は上司の指示通りに仕事をした。いちいち目的など聞かなかったが、今の若手社員は "なぜですか?" "目的は?" と聞き、理由がわからないとなかなか動かない」と嘆く声も聞きます。確かに、少し前までは、部下は上司の言う通りにすること、先輩の指示に従って後輩は動くことが当たり前だったのかも知れません。若いうちは理由など考えず、ただがむしゃらに邁進すればよかった時代もあったでしょう。
        しかし、時代と共に、新入社員の考え方は変わってきています。ここ数年は特に、「仕事を通じて自分の成長を実感したい」「きちんと納得した上で仕事に取り組みたい」と考える人が増えています。育成する側もそういった考え方や職業に対する態度の変化に対応していかなければなりません。
        年長者は、おそらく、自分が習ってきたのと同じように新入社員と接してしまうのでしょう。ところが、新入社員の反応は、想像と異なっており、そのことに戸惑いを感じてしまうのです。ベテランが育った時代にはその時代ならではの方法があり、現在の若手が育つためには、それに合った別の方法がある。これはどちらがよいとか悪いと言った話ではなく、互いにそれぞれの方法を受け入れることがもっとも建設的な気がします。
        上司や先輩は頭を柔軟にして、その時その時代に合った方法で新入社員の育成に取り組んでいく必要があるのです。


      3.OJTトレーナーに発散の場を
        OJTトレーナーは、日々「育っていく新入社員を見守る楽しみ」を感じると共に、「大変さ」も味わっています。
        たとえば、あるOJTトレーナーは、何度話しても理解してくれない新入社員に、どう対応すればよいのかと悩んでいました。新入社員が作成した書類の改良点を指摘しただけで激しく落ち込んでしまったため、徐々に「腫れ物に触るような」接し方しかできなくなったと困り果てている人もいました。もちろん、慣れない環境に置かれた新入社員の悩みも大きいのですが、教え育てる責任を持っているOJTトレーナーのストレスも相当なものなのです。OJTトレーナーとして苦労していること、心に思っていることなどをどこかに吐き出し、すっきりしたいこともあります。
        ある企業ではOJTトレーナー全員を毎月1回集めて、情報交換する場を設けています。進捗の確認ができるだけでなく、OJTトレーナー同士で気持ちが共有できることも意義のひとつです。「実は私も同じことで悩んでいた」「僕もそのことで随分苦労したんだ」――。OJTで遭遇した色々な悩みや問題を分かち合えるだけで、随分気が楽になります。
        こういった情報交換の場を作れなくてもできることはあります。職場の上司や先輩が、OJTトレーナーの話を時々聞いてあげることも、OJTトレーナーのモチベーション維持に役立つのです。


        希望に燃えて社会人になった新入社員。「後輩を育てる力がある」と見込まれて任命されたOJTトレーナー。それぞれが楽しく充実して過ごし、共に成長していくことができるよう、職場全体でOJTを支援していきたいものだと思います。


      ★グローバルナレッジでは、OJT制度を支援する以下の研修を実施しております。詳細は、担当営業か 電話番号:0120-009686 田中、高橋までお問い合わせください。


      ●『OJT担当者向けワークショップ』(HS0056CG)
      OJTトレーナーに任命された方が、何をいつどんな風に教え、育てればよいのか学ぶワークショップです。
      ●『OJT担当者上司向けセミナー』(HS0057CG)
      OJTトレーナーの上司向けセミナーです。OJTの支援方法を理解し、新入社員やOJTトレーナーにコーチングするためのスキルを学びます。
      ● 『OJT担当者向けフォローアップ研修』(HS0055CG)
      OJTが半年ほど進んでからのフォローアップ研修です。OJTトレーナー同士で課題を持ち寄り、残り数ヶ月のOJT期間でできることを決め、翌日からすぐ実行に移します。

       


      田中 淳子 (たなか じゅんこ)

      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

       

      【ブログ】 
      「ヒューマンスキルの道具箱」
       

      【著書】
      『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
      『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

       

      【連載中】 
      日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

       


      [後輩指導・OJT新人社員研修][2006年6月23日配信]

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