わくわくヒューマンスキルコラム
第32回 メンバーの力を引き出すノンバーバルとは
執筆:飯嶋 秀行
先日、ウィーン少年合唱団の歌声を生で聴くチャンスがありました。
会場に紹介のアナウンスが流れると、大きな拍手の中、10歳ぐらいの、まだあどけない表情の残る少年達が登場してきました。彼らが舞台に整列すると、続いて指揮者の男性が観客の前に立ちオープニングの挨拶を始めます。そして、少年達の方をふり返り、笑顔で全員にアイコンタクトを送り、合唱がスタートしました。
その間、ほんの数秒だったと思いますが、運よく最前列で観ることができたので、指揮者の男性が、どのような表情、ジェスチャーを使って、少年達とコミュニケーションを取るのか、間近で観察することができました。
もちろん言葉を発するわけではないのですが、指揮者の男性の表情、目線、ジェスチャーからは、以下のようなメッセージが発信されているように感じました。
「さあ、いよいよ、本番の舞台が始まります。準備はいいですか」
「君たちはこの日のために十分に練習を積んできましたね。いつもの調子でリラックスして、この舞台を楽しみましょう。日本の皆さんに、最高の歌声をプレゼントしましょう」
おそらく、普段の練習では、厳しいフィードバックもしていると思いますが、その瞬間の指揮者の表情や姿勢からは、少年達を信頼し、リラックスさせ、彼らの持てる力を最大限発揮できるようにサポートしている様子が感じられました。そして、少年達もそのメッセージを受けとめ、意識を集中し、最高の笑顔で歌い始めました。
合唱団というチームを率いるリーダーでもある指揮者が、本番の舞台でメンバーから最高のパフォーマンスを引き出すために、言葉以外の、いわゆるノンバーバルスキルを上手に活用して、支援型リーダーシップ(相手の潜在能力を引き出し、最高のパフォーマンスを発揮できるように支援すること)を発揮していたなと感じられる場面でした。
普段の仕事でも、リーダーとして、メンバーが最高のパフォーマンスを発揮できるように支援することが求められています。みなさんは、普段チームのメンバーと会話をするときに、どのような表情や姿勢でコミュニケーションを取っていますか。これは自分ではなかなか気づけないことです。
腕組みをしながら、眉間にしわを寄せて、厳しい表情で仕事をしているリーダーを見て、「今日のリーダーは、なんか厳しい表情をしているな、本当は相談したいことがあるけれど、今日は止めて置いた方がよさそうだな」とか「なんかリーダーの背中から、話しかけるな!というオーラが出ているから、声をかけづらいな」など、特にリーダーの立場にいる方は、黙っていたとしても、表情や姿勢によって周りのメンバーに色々なメッセージを発信しています。つまりポジションパワーといって、組織の中での地位や肩書きが持たせる力が、より大きく働いているということです。
もしかしたら、みなさんが無意識に取っているノンバーバルの行動が、メンバーにとって話しにくい環境を作り、チームの雰囲気やモチベーションにも大きな影響を与えていることがあります。
リーダーとして、望ましいノンバーバルのスキルに関しては、「チームワークとリーダーシップ」(ON026)の中でも演習を通じてその効果を体感できます。
自分では無意識でやっていることなので、なかなか気づけないノンバーバルの癖などについても、他の受講者との演習を通じて、フィードバックを受け取ることで、新たな気づきが得られます。
このコースでは、リーダー的な立場にある方、もしくはこれからリーダーになる方、後輩を指導する立場にある方を対象に、チームで働く際に起こる様々な事柄を題材に、チームワークとリーダーシップの各機能を基本から学べます。
| グローバルナレッジでは、「コミュニケーション」を軸に、様々な仕事を進める上で必要なスキルを研修のコースとしてラインアップしています。技術や知識をより活かすためのヒューマン・スキルをブラッシュアップしてみませんか? |
飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に「はじめて部下を持つ人のためのコーチングがやさしく身につく物語」(日本実業出版社) などがある。
[チームワークと
フォロワーシップリーダーシップ][2008年5月27日配信]


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