Global Knowledge Japan

わくわくヒューマンスキルコラム
第8回 学習する意欲
執筆:田中淳子

  私達が提供している研修のスタイルは大きく分けて2つあります。ひとつは、当社の教室を使った公開講座です。様々な企業や団体からいらっしゃる参加者は、年齢層もまちまちです。もうひとつが、一社向けの研修です。お客様のニーズに合わせて、職位や年次で参加者を絞り込むこともあれば、お客様側で幅広く受講者を募集することもあります。
  どちらの提供形態であっても、受講者には、「受けたかった」「受けるのを楽しみにしていた」という方と「上司の命令で仕方なく」「来たくて来たわけではないのだが」「必須と言われたので嫌々やってきた」という方がいらっしゃいます。
  前向き、かつ積極的に「受けたかった」「楽しみにしていた」という方は心配ありません。研修の開始時点で既に「学びたいこと」が明確になっているからです。私達講師が気にするのは、「上司の命令で仕方なく」「来たかったわけではない」という消極的または後ろ向きの受講者です。
 
  講師は研修開始時に、「受講目的」をお尋ねするようにしています。後ろ向きの状態で参加している方がいらっしゃる場合は、以下のようにさらに詳しく問いかけてみます。  
  • 「上司の命令で参加した、とのことでしたが、上司からは、『こういう勉強をしてくるように』『○○のために受講してもらう』といったお話はありましたか?」
 
  驚くのは、この質問に対して、「上司が勝手に申し込み、部下はただ"行って来い"とだけ言われている」ケースが多いことです。これでは、互いに様々なコスト(時間やお金だけでなく、精神的なものも含みます)を無用に費やすことになり、もったいないと思うのです。
 
  折角の研修機会と費用を有効に使うためにも、部下やメンバを研修に送り出す上司やリーダーに、お願いしたいことがあります。それは、単に「受講してこい」ではなく、「何のために研修を受けてきて欲しい」「何を学んでくるように」といった動機づけをすることです。上司やリーダーに「目的」や「期待すること」などを言われれば、受講に向かう気持ちは相当前向きになるはずです。
 
  なお、一社向け研修の場合は、当方から、「開講時、最初の5分ほどで結構ですので、どなたかに研修の意図や開催の主旨をご説明いただけませんか?」とお願いすることもよくあります。研修担当部門長や参加者の所属部門長などに、直接、研修の主旨説明をしていただくと学習効果が非常に高まるからです。
 
  研修が始まればそこから先は講師の腕の見せ所です。講師も受講者の動機づけには様々な工夫をしています。
  たとえば、環境です。私が担当しているヒューマン・スキル研修では、教室に環境音楽を流して皆様を出迎えています。ご自由に召し上がれるキャンディ(*注1)もご用意してあります。ディスカッションやロールプレイなどの演習が多いので、リラックスして学習できるよう、カジュアルウェアでの参加もお薦めしています。
  環境面だけではありません。
  初日には、A3用紙に「自分が達成したい目標」を3項目ほど書いていただき、壁に貼り出すという儀式も行います。研修期間中、自分が掲げた目標を何度でも見る内に、自然と目的意識も刺激されるようになります。
 
  この時、上司から「研修の目的」「期待」をあらかじめ告げられていても、後ろ向きな気持ちから抜け出られない方もいらっしゃいます。講師は、「折角こちらにいらっしゃったのですから、何か一つ『目標』を決めませんか?」と提案してみます。ここまで言われると、「仕方なく来た」「嫌々来た」とおっしゃる方でも徐々に心がほぐれ、「だったら、○○を目的にしよう」などとその場で自分の目標を考え、書き出してくださるのです。
 
  このような工夫や取り組みもあった上で、最後に最も大切なのは、受講者自身の「学びたい」という意欲です。研修に臨む場合は、参加する前に、「学びたいこと」をご自分でじっくり考えてみていただきたいと思っています。
 
(注1)環境音楽とキャンディは、公開講座においてのみご用意しております。
(注2)ヒューマン・スキル研修には、多くのカリキュラムがあるため、選択に迷うという声も聞きます。そこで、公開コースに限り、見学していただけるようにしています。(1時間以内は無料です)詳細は、担当営業またはフリーダイヤル0120-009686までお問い合わせください。

 
 

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 


[モチベーション][2006年5月22日配信]

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