わくわくヒューマンスキルコラム
第52回:望ましい行動を継続するコツ
執筆:飯嶋 秀行
あるパン屋で、顧客にポイントカードを渡していました。名刺サイズの紙のカードに10個のマス目があって、買い物をするたびに、店員がスタンプ押してくれます。スタンプが10個貯まると、次回のパンを買うときに、割引の得点があります。
その店の近くには、他にもパン屋が何軒かありますが、そのポイントカードの特典があることで、私は毎回その店で買うようになりました。ポイントカードの存在は、そのお店でパンを購入するという行動を継続させるのに効果がありました。
ところが、ある時から、そのパン屋のポイントカードシステムが変わりました。紙のカードにスタンプを押すやリ方から、磁気カードにデータとしてポイントを書き込む形式になりました。
貯めたポイントの特典も変わりました。カラー印刷した立派なパンフレットが作られて貯めたポイントの数に応じて、交換できる景品の写真が紹介されています。例えば、500点ならお皿のセット、1000点ならコーヒーカップのセット、2000点なら調理用の鍋という具合です。
お店としては、好評だったポイントカードを発展させて、磁気カードシステムも導入し、豪華な景品と交換できるようにすることで、より一層、売上を伸ばしたかったようです。
しかし、残念ながら、このシステムの変更によって、このパン屋で、買い物することが少なくなりました。
パンフレットに載っている景品は、私にとって、あまり欲しいと思えるものではありませんでした。何よりも、ポイントを500点貯めるのに、あと何ヶ月かかるのか想像できませんでした。そんな遠い先のことを楽しみにしてパンを買うことは考えられなかったのです。
紙のポイントカードの時は、自分にとってのメリットがイメージしやすいと感じました。買い物をしたその場で、自分のポイントが貯まるのが、スタンプの数で確認できるし、だいたい5回ぐらい買い物に来れば、10個のスタンプはすぐに貯まるので、次の買い物の時には、割引で買い物ができます。ポイントを使える日は、いつもよりちょっとだけ贅沢して高級なパンを選ぶことができました。
さて、新しい年がスタートして、約1ヶ月が過ぎました。年の始めは新しい目標を立てた方も多いのではないでしょうか。真新しい手帳に、今年こそは、○○を達成するぞ、○○に合格するぞ、などと、達成したい目標も書き出した方もいるでしょう。
みなさんに質問です。その目標を達成するために必要な行動を始めていますか?そして、その行動は今でも継続できていますか?
目標を立てた直後は、やる気もあり、必ず実行するぞと思っているのですが、いざ行動を始めようとするとハードルが高く、ようやく始めた行動を継続するのはさらに難しく感じます。
目標を達成するための行動を継続するには、
①その目標を達成することで最終的に得られるメリットを具体的にイメージすること
②その行動が継続できていることが、目で見てわかるような仕組みを作ること
③行動が継続すると自分にとって良いこと、うれしいことが起きるような仕掛けを考えることがポイントです。
例えば、自分のスキルアップのために、資格試験にチャレンジする場合で、毎日コンスタントに、1時間以上の勉強時間を確保する必要があるとします。
その資格に合格すると、自分にとってどんなメリットが得られるのか、具体的な変化を書き出してみると、「イメージしやすく」なります。
カレンダーに確保できた勉強時間を目に見える形で記録していくことで継続しやすくなります。自分の好きな色で塗りつぶすとか、シールを貼るとか、「目でみてわかる仕組み」があると効果的です。
できれば、家族や友人に、勉強を継続するためのサポーター役をお願いできるとさらに効果があります。勉強時間を記録したカレンダーを一緒に見てもらって、ちゃんと継続できている場合は、ご褒美のシールを貼ってもらうとか、言葉で褒めてもらえるとか、継続していくと「うれしいことが起きる仕掛け」を作っておきます。
行動によって得られるメリットを具体的にイメージした上で、継続していることが目でみてわかり、行動の直後にうれしいことが起きる仕掛けを作ることで、望ましい行動を継続しやすくなります。
自分でどうなりたいかのゴールを決めて、小さな目標も立て、達成度合いを自分で確認しながら進めていく方法については、新設「自律と成長の心理学」のコースで詳しく扱っています。
「自律と成長の心理学」(HSC0048G)
「ビジネス・コーチング」(HSC0039G)
「マネジメント・コーチング」(HSC0040G)
飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。
[モチベーション][2010年1月26日配信]


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