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わくわくヒューマンスキルコラム
第119回:そんな言い方、ないでしょう?
執筆:都川 信和

「システムにはトラブルがつきものだからなあ」

 

入社して1年が経った頃、担当していたシステムでトラブルが頻発し、対応に追われる日々が続いていた時に先輩から言われた言葉です。

「トラブルがつきものだからなあ」とは、それからの約20年、システムの現場ではよく耳にしましたし、私自身も誰かへの慰めの言葉としてよく使っていました。

しかし、ある時ふと思いました。

 

「この言葉は慰めになっていないんじゃないか。こういわれて、気持ちが和らぐのだろうか」

 

私がこの言葉を言われたらどう感じるか、改めてよく考えてみました。

 

「つきものだから仕方がないよ。だから、つべこべ言わず頑張れ」

と言われたように受け止められて、突き放された気分になってしまったのです。

 

続けて、

「トラブル対応で大変なんだから、せめて気持ちだけでも共感してほしいのに...」

という思いが心の中に湧いてきました。

 


別の例です。

お客様のシステム運用作業で操作ミスをしてしまい、一時的にシステムが利用できないというトラブルが発生しました。お詫びの訪問を前に上司にトラブルの経緯を伝えたところ、上司は矢継ぎ早にこう投げかけました。

 

「なぜ、そんなミスをしたんだ」

「どうして、そんなことも防げなかったんだ」・・・

 

至極まっとうな質問ではあるものの、あまりに強い口調で責められ、頭の中に浮かんできたのは、「ミスしたくてミスしたわけでもないのに」という言葉でした。

 

トラブルを意図的に起こす人はいませんし、誰かひとりが原因となってトラブルが起こることは少ないものです。誰かの行動が引き金になった場合でも、仕組みや方法に問題があることも稀ではありません。それにもかかわらず、ただ一方的に責められたとしたら、気持ちのやり場がなくなってしまうでしょう。


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人には承認欲求があります。自分がやっていることを誰かに認めてもらいたい、気持ちを共感してもらいたいという欲求を持っています。トラブル自体はよくないことでも、一生懸命取り組んでいることに共感や承認をしてほしいのです。

 

トラブルが起こった時は、まずは「いつも頑張っているよね」と日々の運用作業に対して上司が労いの言葉をかけます。その後で「どういうことが起こったのか聞かせてくれる?」と事実のみを聞きます。そうすると、部下は落ち着いて話しができます。また、「今度は気をつけよう」や「もう少し頑張ってみよう」と前向きな気持ちにもなれるはずです。

 

コミュニケーションの仕方を工夫することは、リーダーシップの大きな要素です。リーダーはメンバの気持ちやモチベーションに配慮してコミュニケーションをとることが大事です。



<関連コース>

PDU対象】中堅社員のためのチームワークとリーダーシップ ~チームの関係強化とパフォーマンス向上~

リーダーがメンバに対してどのようなコミュニケーションをとればよいか、どのような働きかけ方を行うのがよいかを学ぶ研修です。


PDU対象】マネジャーのためのITサービスマネジメントとチームマネジメント ~運用部門/ITサービス部門の円滑なチーム運営~

チーム運営に課題を抱えている運用部門/ITサービス部門のリーダーの方におすすめの研修です。


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都川 信和(みやこがわ のぶかず)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/国家資格キャリアコンサルタント

システムインテグレーターにて、システムの開発・運用、データセンターサービスの企画・設計、運用コンサルティング、サービス部門・運用部門のマネジメント等、20年間で数多くのシステム開発・運用の現場に携わる。2013年より現職。IT技術研修、ビジネススキル研修の講師として、ITエンジニアの育成に力を注いでいる。


【著書】

 ・『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)同僚の田中淳子との共著です


[モチベーションリーダーシップ][2017年1月27日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第80回:欲しいものはあきらめずに手に入れよう
執筆:岩淺 こまき

第一子を出産し、職場復帰しました。会社員、妻の他に、母親の役割が増えました。


最初、役割が増えたことで「時間の制限が厳しくなる」と思っていました。「復帰後は今までのような働き方もできないし、自分の時間も減るし、やりたりこともできなくなる」と不安を感じていました。これは働く母でなくとも、社会人になった、新人の教育担当をするようになったなど、役割が増えた際に多くの方が感じる点でしょう。「役割が増えると、役割のための時間が増える。結果自分だけのための時間が減る」という思いにとらわれており、不自由な気持ちになっていました。


そんな私にある方が「何にもあきらめなくてよいんですよ。工夫して、周囲に手伝ってもらって、使えるサービスや施設は使って、自分の欲しいもの(望んだ状況)は全部手に入れればいいんです」とおっしゃったのです。この一言が「手に入れるための工夫を考えればいい」と、捉え方を変えるきっかけになりました。気持ちが楽になり、やる気も出てきたので、今は楽しみながら試行錯誤をしています。以下に、工夫の一部をご紹介します。


時間の使い方を見直し、タイムマネジメントを活用する
業務のデットラインを設定し、残業してこなせばいいや、という精神的な甘さに歯止めをかけます。ただ、納期に間に合わない、期待された成果を出せない、で「時間なのでお先に失礼します」という訳にはいきません。プライベートと仕事を含めた1日全体のスケジュールを立て、無駄を省き、仕事に集中できる時間を作ります。


1】通勤時間を有効活用する
出勤時間に情報収集やその日のスケジュールを立てる 
昨日の残りと今日の予定の作業の手順を組む、書き物のネタを考える、講義の流れを頭の中で追う、寝ない(寝ると身体のリズムが狂う)、頭をONにする、など
帰宅中に読書や帰宅後のスケジュールを立てる
献立を作る、家に入ってからの動線を考えておく、プライベートのメールを返信する(家でメールを書くと家事や育児の時間が減る)、保育園の書類系を処理する、仕事のことは考えない、頭をOFFにする、など


2】仕事をなるべく細かいかたまりで管理する
「会社でしかできないこと」「移動時間にできること」「緊急度」「できていないと後に影響が出る作業」を洗い出し優先順位をつける、明日でよいことは明日にまわす、など


細かいかたまりとして作業を管理すると、スキマ時間の有効活用ができます。突発的な仕事が発生し予定が狂っても、優先順位に応じてスケジュールを組み直しやすくなりました。通勤時間を自分の時間として使えている実感があり、通勤時間が短く感じるようになったことも嬉しい気づきです。


周囲への感謝を行動で示す
感謝の言葉はもちろんのこと、実際に迷惑をかけないような準備と段取りをします。
以前は定時外に行っていた急ぎの打ち合わせをランチタイムに対応するなど、相手の休憩時間を奪うことも多くなります。それを当然のような顔でいては、一緒に働きたくない人になってしまうかも知れません。
「自分がいなくても必要な情報が見つかるよう整理する」「面談の予定があるのに休む場合は相手への調整を自分で行うか、上司へ依頼をする」など、協働するには情報共有とホウレンソウが欠かせません。新入社員研修で伝えていることは大切だとあらためて実感する毎日です。


改善の余地はまだまだありますが、当初感じていた「時間の制限が厳しくて不自由」という捉え方を変え、工夫することで、少しずつ良い変化が出てきました。毎朝5時起き、通勤時間1時間半、子供はまだ9ヶ月で夜泣き有、でもフルタイム勤務。復帰直後の働く母にとって大変な面もありますが、それはそれ。欲しいものを手に入れるためにも、試行錯誤を繰り返していきます。
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岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、ファシリテーション、講師養成講座などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。
2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。
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[タイムマネジメントモチベーション][2012年5月22日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第74回: 言葉の力
執筆:高橋 俊樹

先日、社内で会議がありました。異なる部署からメンバが集まり、ある案件について具体的な方策を決定するためのものです。時間は若干オーバーしましたが、全員で出した成果に合意することができました。その後、会議室を片付けながら雑談していた内容がとても印象に残っています。


「今日の打ち合わせはスムーズに進んだよね」


「そうだね、なんでだろう」


「誰も否定的な意見や反応しなかったからじゃないかな」


「そういえばそうだったね」


他にもスムーズに進んだ理由はいくつか挙がったのですが、全員が同意したのは「否定、批判をしなかった」、つまり相手の考えを尊重しながら、前向きな言い方でのコミュニケーションが終始できていたよね、という点でした。前向きな言い方が、より良い方策を出そうという気持ちにもつながり、具体的なアイディアにつながったのだと思います。


もし「こんなやり方はどうかな?」に対して「それは無理だね、できないと思う」とか、
「何とか検討してもらえませんか?」に対して「現実的じゃないよね」と否定的な意見、返答ばかりだとしたら・・・

アイディアもなかなか出せず、最終的な成果にたどり着く前に全員が疲弊してしまったかもしれません。できない理由ばかり考えていると、できることや可能性、アイディアを結果的に狭めてしまいます。さらに頑張って良いものを考えようという気持ちまでも萎えさせてしまいかねません。


前向きにするためのポイントは、根本的な思考を変えるのではなく、まずは言い方を変えてみることです。「できない」」「むり」「いいえ」「しょうがない」「決まったことだから」などではなく、「できる」「~したらできる」という前向きな言葉を意識して使うのです。


例えば「明日までにできる?」と聞かれたら「無理」と返答せずに「~~があればできる」という言い方に変えます。「~したらできる」などの前向きな言葉を使うと、どのようにしたら実現できるかな?という方向で思考が働き始めるので、建設的、創造的なアイディアが出易くなります。


前向きな言い方を用いるメリットは他にもあります。自分にとっても周囲に対しても良い影響や結果を与えてくれるのです。前向きな言い方が多いと、会話は開放的になり、意見も出やすく、雰囲気も明るく楽しくなりますよね。


皆さんも職場に新人が配属され、彼らの前向きな言い方に改めて刺激を受けたという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。前向きな言い方は、考えてみよう、頑張ろうという気持ち、姿勢になりやすいですし、その雰囲気や言葉は周囲の人に伝染していくものです。


とは言え、日ごろから前向きに言おうと心がけていても、咄嗟の発言がつい否定的な言い方になってしまう方もいるのではないでしょうか。私も根本的な思考は前向きではないので、否定的な言い方をしてしまうことが時々あります。そのような時は、後から前向きな言い方を追加しています。否定的な表現が出たら、その反対、つまり前向きな表現は何かを考えて、追加して言えばよいのです。これなら簡単にできるのでおすすめです。「自分はネガティブだから無理・・・」と諦める必要はありません。


但し、「前向きな言い方をすれば全部スムーズに進んで結果が出せるのか?」と聞かれたら、私の答えはNOです。なぜなら、大切な前提があるからです。前提とは、そもそも仕事に必要な知識や技術、経験がきちんと伴っていることです。先ほどの新入社員を例に説明すると、技術も業務もこれからの状態だとしたら、どれだけ新入社員らしく前向きな言い方をしてもそれだけでは良い成果や結果にはつながりにくいからです。


仕事は、色々な人とのコミュニケーションなくして進みません。自分の言い方の癖や傾向を知り、前向きな言い方に変えていくことで、気持ちの良いコミュニケーションも増えるでしょうし、良い成果や結果につがるのだと思います。

最後に、チームの若手メンバが気に入っていてよく使っている言葉がありますのでご紹介します。


Can I do it?より How can I do it?


[コミュニケーションモチベーション][2011年11月18日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第52回:望ましい行動を継続するコツ
執筆:飯嶋 秀行

 あるパン屋で、顧客にポイントカードを渡していました。名刺サイズの紙のカードに10個のマス目があって、買い物をするたびに、店員がスタンプ押してくれます。スタンプが10個貯まると、次回のパンを買うときに、割引の得点があります。

 その店の近くには、他にもパン屋が何軒かありますが、そのポイントカードの特典があることで、私は毎回その店で買うようになりました。ポイントカードの存在は、そのお店でパンを購入するという行動を継続させるのに効果がありました。


 ところが、ある時から、そのパン屋のポイントカードシステムが変わりました。紙のカードにスタンプを押すやリ方から、磁気カードにデータとしてポイントを書き込む形式になりました。

 貯めたポイントの特典も変わりました。カラー印刷した立派なパンフレットが作られて貯めたポイントの数に応じて、交換できる景品の写真が紹介されています。例えば、500点ならお皿のセット、1000点ならコーヒーカップのセット、2000点なら調理用の鍋という具合です。

 お店としては、好評だったポイントカードを発展させて、磁気カードシステムも導入し、豪華な景品と交換できるようにすることで、より一層、売上を伸ばしたかったようです。

 しかし、残念ながら、このシステムの変更によって、このパン屋で、買い物することが少なくなりました。
 パンフレットに載っている景品は、私にとって、あまり欲しいと思えるものではありませんでした。何よりも、ポイントを500点貯めるのに、あと何ヶ月かかるのか想像できませんでした。そんな遠い先のことを楽しみにしてパンを買うことは考えられなかったのです。
 
 紙のポイントカードの時は、自分にとってのメリットがイメージしやすいと感じました。買い物をしたその場で、自分のポイントが貯まるのが、スタンプの数で確認できるし、だいたい5回ぐらい買い物に来れば、10個のスタンプはすぐに貯まるので、次の買い物の時には、割引で買い物ができます。ポイントを使える日は、いつもよりちょっとだけ贅沢して高級なパンを選ぶことができました。


 さて、新しい年がスタートして、約1ヶ月が過ぎました。年の始めは新しい目標を立てた方も多いのではないでしょうか。真新しい手帳に、今年こそは、○○を達成するぞ、○○に合格するぞ、などと、達成したい目標も書き出した方もいるでしょう。
 みなさんに質問です。その目標を達成するために必要な行動を始めていますか?そして、その行動は今でも継続できていますか?

 目標を立てた直後は、やる気もあり、必ず実行するぞと思っているのですが、いざ行動を始めようとするとハードルが高く、ようやく始めた行動を継続するのはさらに難しく感じます。


 目標を達成するための行動を継続するには、
①その目標を達成することで最終的に得られるメリットを具体的にイメージすること
②その行動が継続できていることが、目で見てわかるような仕組みを作ること
③行動が継続すると自分にとって良いこと、うれしいことが起きるような仕掛けを考えることがポイントです。


 例えば、自分のスキルアップのために、資格試験にチャレンジする場合で、毎日コンスタントに、1時間以上の勉強時間を確保する必要があるとします。
 その資格に合格すると、自分にとってどんなメリットが得られるのか、具体的な変化を書き出してみると、「イメージしやすく」なります。
 カレンダーに確保できた勉強時間を目に見える形で記録していくことで継続しやすくなります。自分の好きな色で塗りつぶすとか、シールを貼るとか、「目でみてわかる仕組み」があると効果的です。
 できれば、家族や友人に、勉強を継続するためのサポーター役をお願いできるとさらに効果があります。勉強時間を記録したカレンダーを一緒に見てもらって、ちゃんと継続できている場合は、ご褒美のシールを貼ってもらうとか、言葉で褒めてもらえるとか、継続していくと「うれしいことが起きる仕掛け」を作っておきます。
 行動によって得られるメリットを具体的にイメージした上で、継続していることが目でみてわかり、行動の直後にうれしいことが起きる仕掛けを作ることで、望ましい行動を継続しやすくなります。



自分でどうなりたいかのゴールを決めて、小さな目標も立て、達成度合いを自分で確認しながら進めていく方法については、新設「自律と成長の心理学」のコースで詳しく扱っています。


 「自律と成長の心理学」(HSC0048G)
 
 「ビジネス・コーチング」(HSC0039G)
 
 「マネジメント・コーチング」(HSC0040G)
 



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。


[モチベーション][2010年1月26日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第41回:「気持ちのモチカタ」
執筆:高橋 俊樹

「久しぶりだね。調子いかが?忙しいのは気持ちのモチカタです。近々飲みましょう!」

 

仕事で遅くなった帰宅途中、20年来の大学時代の友人から携帯電話に届いたメールを見て、思わず吹き出してしまいました。友人からの文面が、私の返答を想定した書き方だったからです。これまでは「秋だね、仕事どう?近々飲みに行かない?」というような誘いに対して「頑張っているよ。そちらはどう?今は忙しいので落ち着いたらこっちからメールするよ!」と返信するのがパターン化していました。その結果、誘いのメールが来てから飲み会が実現するまでに長い時は3ヶ月ほど要することも幾度となくありました。

 

 皆さんは仕事をしている時に「気持ちのモチカタ」について考えたことはありますか。時間は常に同じように過ぎていきます。言うまでもなく、その時間をどのように使うかは自分次第です。中でも、自分の気持ちの持ち方が、成果の質を大きく変えるような気がします。私たちが実施している研修を例に挙げてみましょう。

 

「今、とても忙しいのですが研修なので仕方なく来ました」
「今、忙しいのですが困っている問題もあるので、楽しみに来ました」

 

 研修冒頭の自己紹介で上記のように述べた参加者がいらっしゃったとします。研修も業務の一環ですから緊急の要件がない限り、ほとんどの方が全日程をきちんと受講されます。しかし、「仕方なく来た」という方と「楽しみに来た」という方では、同じ時間を過ごしても、研修での気づきや持って帰る成果には大きな差が出てしまうようです。おなじ時間を使うのなら、マイナスに捉えるのではなく、プラスに活かす気持ちを持つほうが、その時間を有意義なものへと変えることができます。

 

 日々の仕事でも同じことが言えます。仕事がいつも楽しいという方は問題ありませんが、なかなかそうはいかないものです。楽しいと思えるようにするために、自分なりの目標を設定するのもひとつの方法です。目標を立てることが気持ちのモチカタに変化をもたらします。目標がやる気につながり、目標に向けての行動が起きるからです。やる気を持って仕事ができれば、そのために費やす時間を意義あるものと感じることができ、得られる成果の質も上げることができます。

 

 最近、私が楽しく仕事を進めるために日々設定している目標に"受信トレイのメールを2桁、できれば10件以内にすること"があります。ややこしいメールが来ると後回しにしてしまい、どんどんメールが溜まり、受信トレイには100件以上のメールが溜まってしまうことも度々ありました。「受信トレイのメールを2桁にする」という目標を設定してからははやく片付けて「仕分けフォルダ」に入れよう!と、やる気が刺激され、気持ちよく仕事を進められ、結果として周囲への対応も早くなりました。

 

 このように小さくても何か目標を設定することでやる気が起き、気持ちの持ち方が大きく変わることで、仕事の成果にも大きく影響します。どなたでも「何時までにこれを仕上げよう!」などと、実は細かく目標設定をしているものです。思っているだけではついつい割り込みの仕事や緊急対応が入ってしまい、考えていたようにできないこともあります。そこで「こうする」と決めたことを付箋紙などに書いてモニターに貼っておく、口に出して周囲に宣言してしまうのも効果があります。仕事の進め方や時間管理、あるいは自分へのご褒美など何を目標にしても良いのです。自分なりの目標を立てて"気持ちのモチカタ"を少し変えてみることが重要です。

 

 冒頭の友人のメールには、「そうだな、忙しいけど気持ちのモチカタだ。忙しいからこそ時間を作っていくべきだ」と考え、早速一週間後に会う段取りを付けました。それに向けて、仕事も集中し、充実感を持って進めることもできました。
 久しぶりの友人との再会は大変楽しく、大いに刺激を受けた一晩となりました。これまでのように忙しいのを理由に先延ばしせずに行って良かったと思います。この友人は、会社を経営しているので実は私以上に忙しい立場のはずです。彼自身が「気持ちのモチカタ」を自分に課しているのかもしれません。いつも自分から声をかけてくれるこの友人に感謝しています。
 

チームワークとリーダーシップ」

モチベーションUP」

 

 

高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、2001年より現職。プレゼンテーション、ネゴシエーション、コーチングなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。
ITpro skillup 2007年3月より連載中「コミュニケーション・スキル講座」

 

[モチベーション][2009年2月17日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第29回 "レセプター"の感度を上げる
執筆:田中淳子


  2008年2月14日、セミナー「あなたも組織もぐんぐん伸びる!モチベーション・マネジメント術 ~コミュニケーションで刺激する"やる気の素"~」を開催しました。私の講演では「やる気を上げる」ためのコミュニケーションスキルを紹介しました。仕事を与える際にはきちんと目的を伝える、事後は具体的なフィードバックを与えるなど具体例も交え解説しました。「発信者 (伝える側) がどう物事を伝えればよいか」を強調した講演を行いました。
  ところが、参加者から頂戴したアンケートでは、「コミュニケーションに関する共通言語化が重要」「ヒューマンスキルは基礎体力とわかった」など、講演ではどちらかといえば軽く触れた程度の部分に関する感想が多く書かれていました。「ここが大切」「この言葉がポイント」と話す側が思っていたのとは全く異なる部分が聞き手には響いていたのです。


  これは、レセプターの問題だろうと思います。レセプターとは受容体とも言い、外部からのさまざまな刺激を受け取る、生体内にある細胞などのことを言います。本来は生物にある物理的な器官や細胞などを指す言葉ですが、心にもこのレセプターと同じようなものがあります。
  コミュニケーションにおいて、受信者 (聞き手) のレセプターにぴったりとはまる言葉やメッセージなどが届いた時、それがその人には「最も印象に残った言葉」となります。ただし、自分にとって役立つ言葉をレセプターが受け取るためには、問題意識や内省する力を高め、レセプターの感度を上げておく必要があります。聞き手が課題だと感じている部分に関する話を聞き、何かの言葉が心に残るかどうかは、レセプターの感度に左右されるからです。
  「私のチームではなぜやる気を高め合う状態が作れないのだろう?」と考えていた方にとっては、講演の中で一度だけ登場した「共通言語化」というキーワードが響く。「ヒューマンスキルって強化できるものなのかしら?」と疑問に思っていた方は、「仕事の基礎体力で、鍛えれば鍛えるほど向上する」と言われ、「なるほど」と納得する。
  レセプターが受信するものは、その人が必要とし、探し、悩んでいる事柄に合致する言葉です。話し手の意図とは異なる部分が聞き手に強く影響することがあるのはこういった理由によるものでしょう。


  今回のセミナーでは、こんなことがありました。2人の同僚の"やる気"にまつわるエピソードも講演で紹介しました。メールのやり取りを通じて双方ともにモチベーションを向上させたという実話です。2年前の出来事とは言え、具体的な事例だったため、セミナーで話すことを当事者には了承を得ておきました。セミナー終了後、当事者の一人からメールが届きました。
  「実は最近、少しやる気が低迷していました。でも、一昨年のエピソードのことを尋ねられ、あの時の自分は今よりうんと頑張っていたことを思い出しました。やる気は自分で考えるべきものだったと気づきました。」
  私は、「2年前にあんな出来事があったよね」と伝えただけです。励ましたわけでもやる気を刺激する言葉を伝えたわけでもありません。でも、自分のやる気を気にしていた彼女は、私との会話をきっかけに、数年前の自分を思い出し、気持ちを立て直すきっかけが得られたというのです。これも彼女のレセプターの感度が高まっていたために、他者からの言葉に反応した例です。


  伝えた側にはどうということのない言葉が聞き手にとって深い意味を持つことがあります。この時欠かせないのは、聞き手の"レセプター"です。誰かと話す際、漫然と聞くのではなく、自分に役立つ言葉はないかと強くアンテナを張る。話を聞き、自らの課題と比較してみる。相手の話を受容し、吟味し、深く内省し、どう活かせばよいかを考察する。そういうプロセスを経て、「そうか!これだ」という発見につながります。


  今回のセミナーでは、他者のやる気を高めるために話し手 (発信者) 側が使うべきスキルやコツをお話しました。
  やる気を高めるために、もうひとつ大切なのが、聞き手 (受信者) 側の受け止める力です。いかに自分の中のレセプターの感度を上げて、他者からのよい言葉、役立つメッセージを敏感に捉えていくか。コミュニケーションの中から多くのものを得られるかどうかは、あなたのレセプターの感度次第でもあるのです。



田中淳子(たなか じゅんこ)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年、上智大学文学部教育学科卒。
日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップ、トレーニングスキルなどヒューマンスキル研修の企画、開発、実施に当たっている。
【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
DVD監修「実践コミュニケーション技術」(日経BP社)


[モチベーション][2008年2月26日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第17回 モチベーションをあげるひと言
執筆:高橋 俊樹

  私は昨年から、会社のある組織でグループのマネージャを担当しています。就任後しばらくは、慣れない役割、これまでと異なる仕事内容や仕事量、メンバの大半が年長者であることなど様々な要因から精神的にも肉体的にも疲れが溜まっていました。
  メンバに対するケアやマネージャとしてすべきことがきちんと出来ていないことを、申し訳なく思ってもいました。そのような状況で迎えた昨年末の最終出社日の帰り間際に、一人のメンバから次のように言われました。


  「高橋さんが上司になって本当に良かったです。仕事もとてもやりやすくなり助かっています。ありがとうございました。」


  このメンバのひと言は私の仕事へのモチベーションに大きな影響を与えました。この言葉が私のモチベーションを上げてくれただけでなく、来年はもっともっとやらなくてはならないなと身のひきしまる思いもしました。それと同時に、私自身も周囲の人に対して、些細なことでも、相手のモチベーション向上につながるようなひと言を積極的にかけて行こうと改めて考えさせられました。


  誰にでも、ちょっとした相手からのひと言で、自分の仕事に対するモチベーションが高まった経験を持っていることと思います。だとすると、反対に自分の「ひと言」が、誰かのモチベーションを高めていることもあるはずです。高めるひと言は、たとえば、「ほめる、励ます、ねぎらう、承認する」などです。そのひと言が、周囲の人々(同僚や部下・後輩、協力会社、お客様など)のモチベーション向上につながるきかっけになります。


  大げさなことを言わなくてもいいのです。ちょっとしたひと言で十分なのです。声を掛けられた人にとっては、とてもとても大きなひと言になる可能性があります。
  しかし、ひと言がなかなか口から出ないという方もいます。そういう方は、以下のよう理由から相手にきちんと言葉で伝えられていないようです。


  「これくらいはできて当たり前だろう」
  「感謝していることは言わなくても通じているはず」
  「わざわざ口に出して言うのも照れくさいし・・」


  "できて当たり前"はあなたにとってではないでしょうか?相手の立場からみたら、大変努力した結果かもしれません。また、口に出して伝えなかったら、恐らくあなたのその気持ちは相手にきちんと伝わらないでしょう。たとえば部下が行った仕事の成果に対し、あなたが「良くできた」と思っていても、もし、黙っていたら部下は「気に入らなかった」「あまり良くなかったのか」と感じるかもしれません。きちんと伝えない限り、どのように捉えるかは相手次第なのです。場合によっては全く異なる受け止め方をされてしまうことも考えられます。


  「モチベーションを高めるひと言」、なかなか思い浮かばないという方は、まず自分が掛けられて嬉しいと思った言葉を整理してみましょう。私たちは思った以上に言葉の引き出しが少ないものなのです。自分が使い慣れていない言葉は普段、なかなか出てきません。そのためにも、まず、引き出しをたくさん持つようにしましょう。次に、引き出しに入っている言葉を外に出すことが大切です。一度でも、口に出して話してみると、意外に躊躇することなく言える自分に気が付くはずです。まずは試してみましょう。


  このように、相手のモチベーションアップにつながるひと言を掛け合える雰囲気や関係が作れると、チームは結束力を増し、メンバはより前向きに楽しく気持ちよく仕事ができるようになります。遠慮せず、気兼ねなく、互いにひと言を掛け合える雰囲気を、まずは自分から作りたいものです。


モチベーションUP研修」(HS0065CV)
株式会社JTBモチベーションズのライセンスを受けてグローバルナレッジが実施しているコースです。やる気分析システム(MSQ)をより自分自身のモチベーション状態ややる気の素を知り、今後どのようにモチベーションを向上していくかを立案するプログラムです。


チームワークとリーダーシップ」(ON026)
リーダーシップを発揮していく上では、チーム内の人間関係を形成し、維持していくことも重要な要素のひとつです。そのための、コミュニケーションのとり方や、フィードバックの仕方、動機付け、コーチングなどについて演習を通じて学びます。



高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、2001年より現職。プレゼンテーション、ネゴシエーション、コーチングなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。


[モチベーション][2007年2月26日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第8回 学習する意欲
執筆:田中淳子

  私達が提供している研修のスタイルは大きく分けて2つあります。ひとつは、当社の教室を使った公開講座です。様々な企業や団体からいらっしゃる参加者は、年齢層もまちまちです。もうひとつが、一社向けの研修です。お客様のニーズに合わせて、職位や年次で参加者を絞り込むこともあれば、お客様側で幅広く受講者を募集することもあります。
  どちらの提供形態であっても、受講者には、「受けたかった」「受けるのを楽しみにしていた」という方と「上司の命令で仕方なく」「来たくて来たわけではないのだが」「必須と言われたので嫌々やってきた」という方がいらっしゃいます。
  前向き、かつ積極的に「受けたかった」「楽しみにしていた」という方は心配ありません。研修の開始時点で既に「学びたいこと」が明確になっているからです。私達講師が気にするのは、「上司の命令で仕方なく」「来たかったわけではない」という消極的または後ろ向きの受講者です。
 
  講師は研修開始時に、「受講目的」をお尋ねするようにしています。後ろ向きの状態で参加している方がいらっしゃる場合は、以下のようにさらに詳しく問いかけてみます。  
  • 「上司の命令で参加した、とのことでしたが、上司からは、『こういう勉強をしてくるように』『○○のために受講してもらう』といったお話はありましたか?」
 
  驚くのは、この質問に対して、「上司が勝手に申し込み、部下はただ"行って来い"とだけ言われている」ケースが多いことです。これでは、互いに様々なコスト(時間やお金だけでなく、精神的なものも含みます)を無用に費やすことになり、もったいないと思うのです。
 
  折角の研修機会と費用を有効に使うためにも、部下やメンバを研修に送り出す上司やリーダーに、お願いしたいことがあります。それは、単に「受講してこい」ではなく、「何のために研修を受けてきて欲しい」「何を学んでくるように」といった動機づけをすることです。上司やリーダーに「目的」や「期待すること」などを言われれば、受講に向かう気持ちは相当前向きになるはずです。
 
  なお、一社向け研修の場合は、当方から、「開講時、最初の5分ほどで結構ですので、どなたかに研修の意図や開催の主旨をご説明いただけませんか?」とお願いすることもよくあります。研修担当部門長や参加者の所属部門長などに、直接、研修の主旨説明をしていただくと学習効果が非常に高まるからです。
 
  研修が始まればそこから先は講師の腕の見せ所です。講師も受講者の動機づけには様々な工夫をしています。
  たとえば、環境です。私が担当しているヒューマン・スキル研修では、教室に環境音楽を流して皆様を出迎えています。ご自由に召し上がれるキャンディ(*注1)もご用意してあります。ディスカッションやロールプレイなどの演習が多いので、リラックスして学習できるよう、カジュアルウェアでの参加もお薦めしています。
  環境面だけではありません。
  初日には、A3用紙に「自分が達成したい目標」を3項目ほど書いていただき、壁に貼り出すという儀式も行います。研修期間中、自分が掲げた目標を何度でも見る内に、自然と目的意識も刺激されるようになります。
 
  この時、上司から「研修の目的」「期待」をあらかじめ告げられていても、後ろ向きな気持ちから抜け出られない方もいらっしゃいます。講師は、「折角こちらにいらっしゃったのですから、何か一つ『目標』を決めませんか?」と提案してみます。ここまで言われると、「仕方なく来た」「嫌々来た」とおっしゃる方でも徐々に心がほぐれ、「だったら、○○を目的にしよう」などとその場で自分の目標を考え、書き出してくださるのです。
 
  このような工夫や取り組みもあった上で、最後に最も大切なのは、受講者自身の「学びたい」という意欲です。研修に臨む場合は、参加する前に、「学びたいこと」をご自分でじっくり考えてみていただきたいと思っています。
 
(注1)環境音楽とキャンディは、公開講座においてのみご用意しております。
(注2)ヒューマン・スキル研修には、多くのカリキュラムがあるため、選択に迷うという声も聞きます。そこで、公開コースに限り、見学していただけるようにしています。(1時間以内は無料です)詳細は、担当営業またはフリーダイヤル0120-009686までお問い合わせください。

 
 

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 


[モチベーション][2006年5月22日配信]

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