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わくわくヒューマンスキルコラム
第116回:具体的に考え、具体的に話す習慣
執筆:田中 淳子

ある研修で、「リーダーとしてどう振る舞ったらよいのだろう」といったテーマでディスカッションをしました。グループごとの発表で出てきた発言に以下のようなものがありました。


「うちのグループでは、"やっぱり、コミュニケーションを取って、メンバのモチベーションを上げることが大事だよねぇ"という話が出ました。」


私は彼に質問します。


「もう少し具体的に言うとどういうことですか?たとえば、どのようにコミュニケーションすることが、どうモチベーションを上げることにつながるのでしょうか?」


「うーん、そうですね。会話を増やすと、やる気を高めるんじゃないかという話をしていたんですけど」

「ええと、"コミュニケーション"が"会話"に、"モチベーション"が"やる気"に変わっただけのように聞こえますが、具体例を挙げられますか?」

「具体例ですか・・・。いろいろなコミュニケーションを指しているんですけど」

「たとえば?」

「例えば、まめに話すとか」

「どのような話を?」

「仕事のこととか」


・・・・このように私が質問して掘り下げていくと、徐々に具体化していきます。しかし、グループ内で話していた際には、「コミュニケーションをとり、メンバのモチベーションを上げることは大事」で終わっていたわけです。


具体的に言葉で表現されていなければ、考えたことは、行動に移されることはありません。

研修後にふりかえってみて、「そういえば、研修では、"まめにコミュニケーションをとることがモチベーション向上につながる"っていう話をしたな」とは思い出しても、「どうやってやるのか」を考えていなかったら、「はて、じゃあ、今日から何をしたらいいのだろう?」と戸惑うことになります。



研修では、この例のように、グループでディスカッションして何らかの考えをまとめていくといった方法をよく使いますが、相当意識して会話しないと、抽象的な会話をしていることがよくあります。


「コミュニケーションをまめにとることが大事だ」という結論になったとしたら、「"コミュニケーション"とは"何をどうすること"を指しているのか。"まめに"とは"どんな頻度"で、"どういう場面"で行うことを指しているのか」などをきちんと考え、言語化することは重要です。



行動に移せるよう、具体的に話すとどうなるでしょうか。

「まめに声をかける、とは、朝、必ず挨拶し、そのついでに今日のスケジュールを確認し合う」とか、「夕方、退社する前に、互いの課題、問題点を話し合い、翌日、何を解決するかをその時点で決めておく」いったように、具体的な行動までを考えて、表現していきます。ここまで言語化しておけば、研修が終わった後も職場で行動に移しやすくなるはずです。


では、具体的に考え、話すには、どうすればよいのか、2つのポイントを示します。


1. 言葉を定義する


まずは、自分が使う言葉をきちんと定義することです。

コミュニケーションとは、何をどうすることか。
まめに、とは、どういう頻度か。
モチベーションとは、何を指しているのか。
そのモチベーションが上がるとは、どういう状態になることを言うのか。


他者に説明する際に使う言葉の意味を「こういうことです」と定義しようとすると、曖昧に理解していたことに気づいたり、そもそもどういう意味かもよく分からず、耳障りのよい言葉を使っているだけだったことに気づいたりします。


人は意識しないとすぐに抽象的な言葉を使って会話してしまいます。聴いている方もなんとなく聞き流し、その上で、互いに「わかった気になってしまう」のです。


2. 深く考える


「自分が使う言葉」を具体化するためには、言葉の定義だけではなく、「どんなことでも深く考える」ように心がけます。


「深く考える」とは、表面的に美しい言葉を並べるのではなく、「行動を起こした際の情景が目に浮かぶように表現できるまで」考えることを指します。


「コミュニケーションをまめにとる」ことがどうしてモチベーションの向上につながるのか。まめなコミュニケーションがどう作用して、メンバのモチベーションに影響していうのか。徹底的に考えて、言葉にしていくのです。


たとえば、「毎日メンバと1回は会話を交わすと、メンバの様子が分かってくるから、その様子に応じて、支援の仕方を変えることが出来る。たとえば、元気なさそうだったら、"何か困っていることはないか?"と声を掛けるのもよいだろうし、さわやかな笑顔でいたら、"今日は任せておいて大丈夫だな"とあまり仕事に割り込まないようにしようと判断できる」というように具体的に説明してみます。



ここまで詳細に、具体的に表現できれば、話し手も聴き手も、「何をどうすればよいか」まで理解できます。


曖昧な言葉を使って分かった気にはなれても、行動はなかなか変わりません。自分の行動ですらそうなのですから、ましてや、曖昧な言葉で人を動かすのは難しいと言えるでしょう。


メンバに働きかけるために、リーダーは、常に「具体的」に考え、「具体的」な言葉を発するようにすることが大事です。



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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・アイティメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・(NEW) 『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)※同僚の都川信和との共著です
 ・『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)(廃版)
 ・『コミュニケーションのびっくり箱』(日経BP電子書籍)(廃版)

【連載】
 ・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"
 ・社会保険出版社 「四季のけんこう」
 ・ITpro 「田中淳子の若手育成ワンポイントレッスン」

[コミュニケーションリーダーシップ][2016年10月17日配信]

 

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