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わくわくヒューマンスキルコラム
第118回:ノートが自分を助けてくれた! 新入社員研修の想い出
執筆:田中 淳子

社会人になって31年目の現在でも、自分が受けた新入社員研修のことを思い出すことができます。入社式直後に新入社員全員で受けた研修での出来事です。
講師が壇上から言いました。

「これから研修を始めます。1人だけ壇上に上がって来てほしいのですが、誰かいませんか?」


200人もいる中で、内容も分からずに、「はい!」と手を挙げて壇上に登る人など出て来ず、しばらくしーんとしていました。誰かがようやく手を挙げて前に進み、ステージの真ん中に置かれた椅子に座るように指示されました。

すると、講師はこう言いました。


「はい、このプログラムはここまでです。これで終わりです」


ざわざわした私たちにさらに説明が続きます。


「これは、皆さんの主体性を試すプログラムでした。何をするかも分からない中で、誰が自主的に手を挙げ、壇上に上がってくるか。こんなに大勢いるのに、たった一人しか手を挙げませんでしたね。社会人になったら、自分で考えて動く、自主的に活動することがとても大事です。周囲の様子を見ながら、どうしよう?どうする?などと躊躇しているようではダメですよ。」


入社して初めて受けたお説教でした。


「自分から手を挙げ壇上に上がるかどうかを試す」だけのプログラム。新入社員に対して、学生気分を捨てて、社会人の自覚を持ちなさい、というのには十分な内容でした。


その後、部門ごとの2-3か月に及ぶ集合研修がありました。コンピュータメーカでしたので、ハードウェア、ソフトウェア、アセンブリ言語、C言語などを学びました。
文系出身で、学生時代にコンピュータに触れたことすらなかった私は、最初から落ちこぼれます。飲み込みが早いタイプの人が課題を次々とこなしていく傍らで、私は
「講師が何語を話しているのか分からない」
「そもそも何をさせられているのかも分からない」
という毎日でした。


そんなツラい新人研修の中で唯一続けたことがあります。「ノートをとる」ことです。
どの講師も私に理解を促そうと、ホワイトボードに図解しながら説明してくれました。 それでも理解はできませんでしたが、とにかくノートだけは取り続けました。


ノートが5冊6冊と積み重なったころ、新人研修が終わり、配属先でのOJTが始まります。その時でもまだなお、ノートに書いたことは理解できていませんでした。(この辺まで来ると、私が本当に落ちこぼれだったことがご理解いただけると思います)


配属から数か月経過したころのことです。新人研修時のノートを開いてみたら、そこに書いてある内容が全て「とても簡単なこと!」に思えるようになっていました。 新人研修を受けていた時には、意味も分からずただひたすらメモっていたことが、先輩からの毎日の指導の中で徐々に頭の中が構造化されてきていたのか、「おお、そういうことだったのか!」「こういう意味の図だったのだな、分かりやすい図解だ!」などとスラスラと読めるのです。


一度理解できるようになると、他のこともそのノートを使ってより理解が進み、学習はとんとんとはかどります。結果的には予定通りの日程で、顧客にコンピュータ技術を教える講師としてデビューを果たすことが出来ました。


根気強く付き合ってくださった先輩たちと自分が書き続けたノートが、何とか新人時代を乗り越えさせてくれたのです。



今年もまもなく新入社員がやってきます。


先輩たち年長者ができることは、「新入社員が学ぶための"支援"」です。

大切なのは、支えになること。飲み込みが早い人、そうでもない人。どういうタイプであっても長い目で成長を見守り、成長を支援することが年長者の役目だと思うのです。


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「新入社員2017」特設ページがあります。「新入社員研修運営チェックリスト」や「無料相談会のお知らせ」なども掲載していますので、ご覧いただければ幸いです。

新入社員研修2017特設ページ

http://www.globalknowledge.co.jp/newtrain/index.html

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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】  ・アイティメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】  ・(NEW) 『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)※同僚の都川信和との共著です  ・『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)  ・『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)  ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)  ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)  ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

【連載】  ・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"」  ・社会保険出版社 『四季のけんこう』にて「コミュニケーションの小箱」連載中  ・産労総合研究所 『企業と人材』にて『OJT指導員制度の構築と運用』連載中

[新人社員研修][2017年1月 3日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
【OJT茶話会】特別レポート:応募者数が多いのはよいことか?「三幸製菓によるカフェテリア採用」に学ぶ
執筆:田中淳子

田中淳子の「OJT茶話会レポート」を掲載します。

「OJT茶話会」とは、2011年からグローバルナレッジで主宰している人事・人材開発者向けコミュティ活動です。2015年6月17日(水)開催時のテーマは「新卒採用」。

ユニークな採用で有名な三幸製菓のユニークな採用についてお話を伺った上で、「自社ならどうする?」「何が課題?」「何が活かせる?」を参加者の皆さんで議論しました。茶話会の進行役を務める田中淳子が、「これからの新卒採用」」について考察します。




就職活動の解禁日が変更になったことで、かえって学生にとっては活動が長期化したのではないか。学生も企業も疲弊しているように思う。――― こういう声をよく耳にする。よかれと思って変更した制度や取り組みも最初からそう意図通りにいかないことはある。これからも新卒採用は、様々に試行錯誤を繰り返すのだろう。


ところで、「日本一短いES」をご存じだろうか。ESとは「エントリーシート」のことである。日本一短い、とにかく、短いのだ。→ コチラ


第15回「OJT茶話会」(2015年6月17日(水)開催)では、この「日本一短いES」の仕掛け人でもある 三幸製菓の杉浦二郎さんから、同社のユニークな採用の取り組みについて話していただいた。

目から鱗、「え?それありですか?」なお話の数々に参加者も私も「目から鱗」がたくさん落ちた。順を追ってレポートしていこう。


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三幸製菓と採用


三幸製菓は昭和37年(1962年)創業の「あられ・おかき・おせんべいの製造販売」企業である。7人の人事担当者で人事業務全般を担当している。

杉浦さんはこう切り出した。


私が人事に入った頃は、経営側に「採用が大事」という考えがなかった。採用の予算枠は少なく、採用に関心を示さなかった。「採用が大事」ということを経営に向けてプレゼンした。

三幸製菓はコンシューマー製品を作っている企業。イメージは大事だ。そういう意味では、採用もそもそもPR、広報である。三幸製菓がいかに成長しているかも「採用」で知ってもらう。採用はブランディングだしポジショニング。戦略を立てて世間に訴えていかないとダメでしょう?」こう訴え、ようやく経営にも理解してもらえた。


「採用」というのは、学生に会社を知ってもらうだけではなく、上手に行えばブランディングにつながる活動なのだ、と杉浦さんは経営に訴えていった、という。そういえば、この日、杉浦さんは段ボール1箱分の「三幸製菓」の「おせんべい」も提供してくださったのだが、この日以来、参加していた私たちは、コンビニやスーパーで「三幸製菓のおせんべい」を探すようになったし、意識して手にするようになった。ブランディングの一つと言われたら、なるほど~と実感する。


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※おせんべいを事前に1箱送ってくださり、参加者全員でいただきながら、お話をお聴きしました。とてもおいしいおせんべいでした。



「採用」って何だろう


一般的に採用は、「なんとなくこういう人を採用したい」という感じになりやすい。具体的には「能力」と「会社とのフィット」を見たいと考える。ところが、「能力」は「学歴」に、「会社とのフィット感」は、「面接官とのコミュニケーション能力」に置き換わりやすい。


「学歴」と「面接官とのコミュニケーション能力」という測り方となれば、結局、すべての企業が「共通の評価軸」で学生を見ることになる。どの企業も同じ評価軸で競ったら、大手有名企業に負けるに決まっている。この採用戦略では、自社のポジショニングをあえて劣勢に持って行ってしまう。


そもそも私は「面接」にも疑問を持っている。できれば「面接」をしたくない。極論すれば、面接には意味がないと思っている。質の高い面接をするには、アセッサーとしての訓練が必要。採用担当全員にその能力をインストールするのは非常に困難になる。未熟な面接担当者の面接は、「好き嫌いの熱量交換」になりがちである。だから判断も「感じいいね」といったものになりやすい。


「面接」なんか不要だ。「面接官のスキルが高くなければ、"感じよい"とか"私にとって好印象"という点で評価してしまいやすい」と言われれば、納得する。


一方、「感じよい、いい印象だ、という感覚での採用が問題だろうか」という声も参加者からは挙がっていた。 


どちらがよい悪いではなく、それぞれの企業にとっての「評価軸」を定めればよいのだと思う。



三幸製菓の採用のポイント


三幸製菓では「スキル=行動特性」と「会社とのフィット感」は「性格適性」と「経営とのフィット感」で見ようと考えた。


いかに自分たちの会社に合って、自分たちの会社で成長・活躍できる人材を定義して、採用していくかを考えることにする。このやり方であれば、他社とぶつからない。自分たちなりの戦略を立てて、採用をしていくこととした。


採用については、こういう公式があると思う。


「企業知名度や規模×採用設計力=採用力」


● 知名度が高ければ、採用設計力が高くなくても採用力は高くなる
● 会社の知名度が高くなければ、採用設計力がものを言う


「採用担当者」は「採用をプロデュースする力」が求められる。ところが、一般に、採用担当者は、エントリー数をKPIにしたがる。たとえば、三幸製菓の過去最高のエントリー数は13,000人。「うわー、13000人も来た!」とその時は思った。でも、よく考えてみれば、採用するのは、その中の数人。

選考しているのではなく、落とすことにエネルギーを費やしていて、むなしい。だったら、「エントリー」という考え方そのものをやめてしまい、「選考」について考えればよいのではないだろうか。大事なことは、その人がいかに活躍するか、ではないか。


「社長! 3000人もエントリーシートが届くんですよ」
「おお、凄いなぁ」

という風に「応募者数で喜んでいていいのか?」と杉浦さんはおっしゃる。

「大半を採用しないのに、そこにエネルギーを費やしている。でも、そこじゃないだろう」というのだ。



「採用」で何を見ていくか


三幸製菓では、採用のゴールは「2年後」とした。つまり、採った人の「2年後のパフォーマンスが上位であること」


「2年以内に辞める、2年経ってもパフォーマンスが上がらない、周囲からの評価が低い」とすれば、採用の仕方が悪いのだ。2年後活躍しなければ意味がない。2年後に活躍してくれたらその採用は成功だと評価軸を決めた。


能力を「先天的能力」と「後天的能力」と分けた。後天的に身に着くもので、自社で開発可能なら(採用時は)そこを見ない。比較的先天性が高いか、自社で開発できない能力であれば「採用」で見る必要がある。このあたりは、横浜国立大学で「採用学」を研究している服部先生のご協力も得て、整理した。


たとえば、「コミュニケーション能力」は「可変要素が高い」ため、採用では「見なくてよい」とした。もちろん、得意不得意はあるかもしれないが、それより、「想像力がある」とか「バイタリティがある」といった「変わりづらい」ことを見ることにした。



参加者からは、「コミュニケーション能力だけではなく、他の能力も入社以降の育成でなんとでもなる。人は変わる」という意見も出ていた。一方で、「もちろん、育成で手間を掛ければ、ある程度のところまで、どんな人でも育てられるば、そういうやり方は、個別対応が増えて、とても時間(コスト)がかかってしまうよね。だったら、可変要素の少ない部分は、採用時に見極めるというのも妥当なのでは」という声も挙がった。


そうやって、入社2年前後の社員のパフォーマンス分析をし、共通項に基づくアンケート調査を全社員に。ハイパフォーマーの特性を見ていった。「6分類」の適性をあぶりだす作業に1.5年間かけた。


これが「日本一短いES」の次に提示される「35の質問」へとつながる。



「35の質問」で見ている適性の詳細


「35の質問」でどのような適性を判断しているのか、解説があった。


●外向性:色々なことに意欲的にかつがつと取り組む

●開放性:様々な人を許容でき、やりとりできること

●認知欲求 :考えることが好き、難しいほど刺激的でやりたくなる

●垂直的集団主義:体育会系な世界が好き

●水平的集団主義:「みんなで巻き込んで一緒にやっていこうね」という感じ

●あいまいさの享受:よくわからない仕事をやれる、とにかくやろうよ、と動ける。あいまいな状態のまま受け入れられるか

●達成性:目標に向かってこつこつ努力し続けられるか



「カフェテリア採用」

  ......なぜ17種類もの採用方法を?


「35の質問」の開発に1年半かかり、2015年度から。2016年度の「日本一短いES」はネットで拡散した(2015年3月5日リリース)


「日本一短いES」。最初に最低限の確認をする。(「おせんべいが好き?」「新潟で働ける?」この2つを最初に尋ねてしまう)次に「35の質問」。これが「適性検査」になっている。面接に代わるものとして作ってあり、区分としては7つ。「6分類」と「不合格」。「35の質問」の回答することが「適性」の判断になり、「適性」に応じた「カフェテリア採用」(17種類)を提示する。


会社としては、「多様性」、多岐に渡る能力を持つ多様な人材を求めているのに、単一の選考フローで見るのは疑問だ。個々の特性を「全部同じ面接方法で採用します」と言っているようなもの。脚が早い人は、「走ってもらって」選考する、というように多様な採用をするのがよいのではないか。そんな考えから「カフェテリア採用」を設計した。

「志望動機」は採用の最後の段階で訊くのでもよいくらい。人生の大きな選択なのだから、途中までは「分からない、まだ迷っています」と学生が言うのは当たり前。大事なことは学生が「自分で決める」こと。



この部分も目からウロコ。

「応募動機は?」
「当社をなぜ志望したのですか?」
と最初の段階で訊いてしまう。


けれど、学生だって働いたこともないのに、揺れ動くのは当たり前。だから、志望動機は、最後のほうに尋ねるのでもよいと杉浦さんは言う。その上で、学生が「自分でここに来ると決めた」感がとても大切なのだと。


確かに、学生も情報をたくさん持っているし、就職活動用のお作法も押さえているし、「志望動機」を尋ねれば、それなりに「上手なこと」は言うに違いないが、それを聴いてどうなるというものでもないように思う。



今年は17個の採用メニュー


*17個の解説があったが、このレポートではそのうちのいくつかを紹介する。

●「おせんべい採用」

・おせんべいへの愛を存分に語ってもらう。この採用は評判高い。家族を巻き込んでムービー作ってくる人もいる。このタイプが入社すると社内が活性化する


●「キャプテン採用」
・みんなでやろうよ、とまとめていくような人。学生同士で採点していく。同年代で「この人がキャプテンだと思う人」が「キャプテンだよね」という考え方


●「DIY採用」
・学生が「どこを見ているんですか?」と言うので、「だったら自分が最も輝く、能力をアピールできる選考スタイルを考えて出して」というもの


●「がんばったで賞」
・「結果につながらないけど頑張りました」というプロセスについてアピールしてもらい、そこを評価しようという採用


●「ガリ勉採用」
・目の前のやらなければならないことを「一生懸命やった人」。普段は大人しくても「研究の話になるとものすごく饒舌になる」、入社するとものすごく勉強し新しい知識を身に着け、新しい商品を作っていく人になる


●「日本一長いES」
・30日間エントリーシートを書き続けてもらう


このたくさんの採用メニューがあるのだが、興味ある方は、エントリーしてみるとよい。自分の特性がどの採用メニューにつながるか試してみると、このシステムを実感できると思う。(茶話会でも参加前に全員が試しておいた)




今後について


最後に杉浦さんはこう締めくくった。


採用だけではなく、組織開発や人材育成などすべてにつなげていかなければならない。
大事なことは、今までは、縦ライン(偉くなる)」が一般的だったが、これからは「複層化(モザイク化)」、つまり、「様々な働き方」に対応していく必要がある。

人事制度、選考、育成、評価も多様化する。今後はそういうことすべてをやっていかなければと思っている。

私は様々な場所で三幸製菓の採用についてプレゼンする。"なぜ時間をとってまで、いろんな場で自社のことを話すんですか"とよく質問される。1つは、HRの領域で「採用」の立ち位置が若干低いと思われているような気がするという課題意識から。エントリーレベルの仕事と思われがち。人材育成や組織開発は難しいと思われがち。でも、「採用」をちゃんとやること。それなりの立場の方は採用にもっとコミットしてもらえると、その会社の「採用」はちゃんとしてくると思う。


2つ目は、基本的には全部オープンにしている。個人情報以外は、自分の考えをオープンにし、賛否両論の意見をいただくと、自社にまた活かしたい。来年も同じことを話していたら、頭の中が変わっていないなと思ってください(笑)


杉浦さん、興味深いお話をありがとうございました。



この後、参加者でこのプレゼンをきっかけに議論をした。採用に関わる方、採用された社員の育成に携わる方、どちらにも関わっている方など多岐に渡る参加者からは、以下のような声が挙がっていた。


● どういう採用、選考を経て採用に至ったとしても、「あなたはここを見て選んだ」ということを本人にフィードバックすることがとても大事。いかに「選考されているか」という納得感が入社の決め手、ロイヤルティの決め手になりそう。「ちゃんと選考されている」感。入社後も生きてくるはずと信じている。
学生が「選考されて、見てもらって、取ってもらった」という意識が強くなれば、リアリティショックがあっても、モチベーション高く取り組むのではないか。どこを評価されたのか、どこを見てもらったのか、ちゃんと見てもらったかわからないから承諾もためらうのかもしれない。「ちゃんと選考した、これだけ見て決めたんだよ」「こういうところを見て採用された」とわかれば、自信を持って仕事できる。


●新卒研修で「君のここがいいね」と言うと、「そんな風に言ってもらったことがない」と言われることが多い。ここ1-2年増えた。いかに認められていないかというのが現代の若手かも。キャリア採用の中でも「若手」は「どうして選ばれたのですか?」とフィードバックを欲しがる。それが後々の「内定承諾」にも影響している。


●どういう人材を求めているか、を「人事」が「現場」と握れているかというとちょっと怪しい。たとえば、「コミュニケーション能力」が大事というが、では、何をもって「コミュニケーション能力」と定義しているのか、明確にしているだろうか。これは、職場に戻って人事と現場とで話し合う必要があると思った。


他にも有意義な議論が交わされ、途中、質問には杉浦さんが丁寧に答えてくださった。

参加者全員が「自社に持ち帰りこれを試してみます」をコミットして、解散した。
次回「OJT茶話会」開催時にその成果を共有することになっている。

皆さんの成果が楽しみである。






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●企業の人事・人材開発担当者向けコミュニティ「OJT茶話会」は、各社のOJT事例を共有しようというところから2011年に発足しました。現在30社ほどの企業がメンバとなっています。IT、製薬、メーカーなど多種多様な業界の方が集まり、OJTに限らず、人材開発に関わる幅広いテーマを毎回集まっています。

参加条件は2つだけです。「可能な限り継続参加してくださること」「いつか自社事例をプレゼンしてくださること」。参加は無料です。ご興味のある方は、担当営業にご連絡くださいませ。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ

・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"





[大人の学び後輩指導・OJT新人社員研修][2015年8月18日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第109回:「お母さん、お仕事って楽しいの?」
執筆:岩淺 こまき

「お母さん、お仕事って楽しいの?なんでお仕事しているの?」

 

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ある土曜日の19時頃、3歳9か月の長男に言われた言葉です。

「う?うーんと。まぁ、仕事って、大変な事も多いけど、本来楽しいものっていうか、おもしろくあってよいものっていうか・・・かな?」と、しどろもどろになりつつ、答えました。長男は「ふーん」と言って、また自分の遊びの方に戻っていきました。

 

私はここ数年で2回の育児休業を経験し、2回とも4月1日から前と同じ職場に復帰しました。育児休業中に、転職することも専業主婦になることも考えました。なぜ働くか、を考えてきたはずなのに、上手に答えられなくて反省しました。

 

反省しながら2回の育児休業をふりかえり、自分のある変化に気づきました。
それはわずかながらも「物事を前向きにあきらめて、限られた資源でどうしようかなーと考える癖がついた」ことです。

 

例えば1人目の育児休業の時は、世の中に溢れている情報に追い込まれたことを憶えています。代表的なママ雑誌などに勝手にストレスを感じてしまうのです。「そうか、『求められている働くママ像』は、育休中にMBAとったり大学に入ったりしてキャリアを伸ばしつつ、子供やママ友と会う時もメイクやオシャレに手を抜かず、家族の健康のために食育アドバイザーになり、毎日キッチンに立ちながら仕事する事なんだ!」と読み解きました。

 

「できるか、そんなもん!」

 

と言い切れなかったのは、産後のホルモンバランスのせいなのかは分かりませんが、ともかく自分を苦しめた記憶があります。


ところが二人目になると、そんな余裕もなくなるので、「できる人もいるかもしれないけど、ごめん、そこまでは無理。その代り今は、君たち(子供達)が笑ってくれることに注力します。そして昔のスーツは太って着られないけど、新しくスカートを買えば小奇麗に見えるので許してください(旦那さんへ)」くらいに割り切る気持ちが出てきました。

 

何かの出来事がおこった時に "できること" と "できないこと" を分け、できることにフォーカスし、「こういう方法ならイケルかも」と考えられるようになったのです。
"できないこと" をあきらめはしますが、"どうせ私にはできない、できる状況じゃない・・・" など後ろ向きに捉えるのではなく、"できないのは仕方ないけど、どうやったら近づけるか" と、前向きにあきらめることができるようになりました。

 

思えば私の周りのママ達(だけじゃないと思うけれど)は、みんなしなやかで、明るく頑張っています。しなやかに感じるのは、彼女たちと話をしていると「子供によりよい人生を生きて欲しい、自分もあきらめたくないし幸せを実感したい」が伝わってくるからだと思います。「誰もわかってくれない、何もやってくれない」という言葉を聞くことが無いのです。

 

フルタイムで働いているご夫婦も、旦那さんが海外赴任で、ひとりで子供2人を育てているママも、遠くから保育園に通っているママも、徹夜明けで着替えだけしてすぐ出勤するママも、保育園が休みの日曜日に勤務や夜勤が入るご夫婦も・・・

 

皆いろいろな事情を抱えています。そして日々理不尽な出来事に翻弄されます。
例えば、今まで市の「一時あずかり制度」を使って所要を済ませていたのに、今年から「就労目的以外は使用不可」になって、子連れでは行けない用事なのにどうしよう、とか、上の子と同じ保育園に入れずにどうやって送り迎えしよう、とか、細かい事だと17時以降に会議招集?お迎え間に合わないよー!などなど・・。

 

でも、みんな最後に言うのです。
「ほんと、どうしようかなーですよね。まぁなんとかやるしかないですよね」と。
そうして「物事を前向きにあきらめて、限られた資源でどうしようかなーと考える」ことを実践し、前に進んでいます。

 

このような "しなやかさ" や "折れない心" 「レジリエンス」と言います。
「レジリエンス」は、混沌とした現代で活躍する、全てビジネスパーソンに必要なマインドと言えます。
頑張っているママ達は、この「レジリエンス」の実践者と言えるでしょう。

「レジリエンス」で必要な事は、思考の柔軟性です。
つまり、厳しい状況でもネガティブな面だけではなくポジティブな面を見いだす事ができる人が、逆境を乗り越える事ができる」と心理学者イローナ・ボニウェル博士は語っています。
(引用:NHK http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3486_all.html)

 

頑張っているママ達は多かれ少なかれ、みんな独自の経験の中で"思考を柔軟にしてしなやかに頑張って"います。そんな「レジリエンス」に少しでも近づけたのではないか、と自画自賛したい気持ちになったのでした。

 

さて、こんな事を考えながら「なんで仕事しているの?」に改めて答えようと思いました。そこで寝かしつけの絵本の後、「さっきの『なんでお仕事するの?』に、もう一回答えてよい?」ときくと、「うん」と長男。

 

「まずね、お仕事は大変な事もあるけど、楽しいと思っているよ。それでね、なんで働くかっていうと、『誰かを喜ばせるために』働いているんだよ。お父さんやお母さんが働くと、お客さまとか会社の人が喜ぶでしょう。それでお金がもらえて、そのお金で○○ちゃん達と楽しいことができたり、美味しいものが食べられたりするよ。働くと『嬉しい』が増えるから、働いているんだよ。」

 

納得したのか期待した答えだったのかは分かりませんが、長男は「ふぅん」と返事して、満面の笑みで眠りにつきました。

 

<おすすめコース>


文中に出てきた「レジリエンス」に必要な思考の柔軟性を持つには、「メタ認知」を高めたり「物事の捉え方」を見直したりすることが有効とされます。
以下のコースでお伝えしています。
これから会う受講者の方や子供達が、「レジリエンス」になることを祈って。

 

「物事の捉え方」を見直す
  ■ 秋の新入社員・若手社員向け研修パッケージ

「メタ認知」を高める
  ■ 若手社員のためのフォロワーシップ ~成果につながる貢献と提言~

  ■ 自分のキャリアを考える ~原点回帰し、「自分軸」を見つけるワークショップ~

 

2015年秋から開始する「ストレス」関連研修シリーズでも学習できます。

「物事の捉え方」だけではなく、3R や「他者とのかかわり方」、など様々な観点から、「セルフケア」に関する知識やスキル、「部下の悩みの聴き方」や「適切なアドバイスの仕方」など「ラインケア」についての学習などいくつかのコースを立ち上げていきます。
詳細は順次、当社Webサイト、メルマガ、Facebookページでお知らせいたします。

 

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グローバルナレッジ ヒューマン・スキル講師
岩淺 こまき (いわあさこまき) プロフィール


グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。 プレゼンテーション、ファシリテーション、リーダーシップ、講師養成講座、などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。 

<活動>

◆ITエンタープライズ「その一言を言う前に」「岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術」連載中。オルタナティブ・ブログ「明日の私を強くするビジネス元気ワード」公開
◆日経ITpro「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中

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[キャリア大人の学び新人社員研修][2015年7月 1日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第102回:どちらを向いて仕事をしていますか?
執筆:岩淺 こまき

新入社員研修において、私が担当するビジネススキルの分野は、多くの場合4月~5月、つまりITなどの専門技術研修より早いタイミングで実施します。今年も新入社員研修で大勢の新入社員の方とお会いし、色々なことに気づかされました。自戒を込めて、感じたことを書いてみます。


私が接した新入社員の皆さんは一様に優秀で、積極的に研修に参加し、よりよい社会人として活躍したい!という意欲をお持ちの方ばかりでした。ビジネスマナーやプレゼンテーションスキルなどの「基本の型」を身につけるよう取り組んでもいました。基本の「型」をおさえることで、ビジネスの相手とのやりとりを、スムースにできる、つまりビジネスパーソンとしての基礎が整った状態になれるからです。


「守破離」という言葉があります。経験の浅いことに対しては、まず「基本の型」をしっかりおさえる、その上で「型」を破り、最終的に自分なりのスタイルを作りあげるとよいということを表しています。基本がないのに自分が思うように行動することは、土台がしっかりしない建築物のようなもので、少しの揺れでも崩れ落ちてしまう可能性があります。新入社員というのは、ほとんどのビジネススキルに関して、初学者の段階なので、まずはきちんと「基本の型」をおさえることが求められるわけです。


一方で、中堅以上の年代に差し掛かった私たちはどうでしょうか。基本の「型」は習得し、自分なりのスタイルを創り上げるタイミングに差し掛かってきています。


日々仕事をしていくと、思った通りの成果が出せなかったり、つまずいたり、仕事に対してモヤモヤしたりすることがあります。そのような時、実は基本の「型」にこだわり過ぎていることが影響していることと考えられます。


顧客へのプレゼンテーションの機会を例にとってみましょう。


「型」を意識しすぎるあまり、本来の力が出せなくなることがあります。「一文は短く、口癖は出たらいけない」「手遊びしてしまう癖は直した方がよい」など、テクニックを整えることに捉われ、「自分」に意識が向いているのです。「型」を整える段階、というのは「より良く見せるためにはどうしたらよいか」など、意識が「自分」に集中しているともいえます。


もちろん練習やレビューの段階なら、大いに悩んで考えて試行錯誤するのもよいでしょう。しかしプレゼンテーション本番を迎えて、このままの状態で臨むわけにはいきません。どこかの段階で考えを切り替える必要があります。このプレゼンテーションは「何のために、誰のために行うのか」という目的をあらためて見直すことが大事です。どちらの方向を向いてプレゼンテーションをするのかを考えれば、「相手に納得していただくため」「相手に喜んでいただくため」と「相手」そのものに意識を向けることが大切だと気づくはずです。


相手に喜んでもらうために一所懸命に本気でプレゼンテーションする。少しくらい口癖が出ようが、言葉に詰まったりしようが、「基本の型」通りでなかろうが、あまり気にせずに、相手に意識を向けて話すことです。聴き手も話し手が意識をどちらに向けてプレゼンテーションしているかは、感じ取るものです。


基本の型には、目的があります。プレゼンテーションであれば「相手に理解し、納得していただくため」に話すための「型」なのです。「型」が先にあるわけではありません。


「目的」、つまり、「何のために」という意識は、プレゼンテーションに限らず、仕事全般への取り組み姿勢にも関わってきます。


先日、工数のかかる難しい案件の提案を詰める会議でのこと。チームからは「誰がこの作業担当するの?」「ここまで当社が担当する範囲だろうか?」といった、少々後ろ向きな発言が続きました。


それを一人のメンバの発言が、チームの雰囲気を変えたのです。


「まぁ、お客様に喜んでもらいましょうよ、ね?」


意識の向け先が「自分」達から「相手」に切り替わった瞬間でした。私は気のせいか、肩の力が抜けたように感じました。


仕事をするあらゆるタイミングで土台にあるべきなのは、「相手に喜んでもらいたい」という意識、相手の方を向いて仕事をする姿勢ではないかと、私は思うのです。


グローバルナレッジではお客様の課題と目的に合わせた新入社員研修サービスを提供しています。


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岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。 プレゼンテーション、ファシリテーション、講師養成講座などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。


ITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。
アイディメディアにて「その一言を言う前に」「岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術」「明日の私を強くするビジネス元気ワード」公開中。

[新人社員研修][2014年5月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第101回:若手には「どんな背中」を見せればよいのか
執筆:田中 淳子

2014年度の新入社員がやってきました。迎える職場もそわそわドキドキし始める時期です。


1990年から毎年新入社員研修に携わっています。今ではすっかり親子ほどの年齢差となってしまったものの、私自身の感覚は20代のころのそれとたいして変わっていません。私と同年代の多くの方がそう思っているはずです。一方、新入社員からすればものすごく年上の人、雲の上の人、なんでもちゃんとできる人に見えるもの。若手と接する際ほとんど違和感を覚えないのは年長者の側だけだということに、自分が年齢を重ねてようやく気づきました。


自分が好むと好まないとに関わらず、若手社員からは、一挙手一投足を見られているわけです。ほんのジョークで口にしたことであっても、若手社員には多大なインパクトを与えてしまうことすらあります。よく「背中を見せる」と言いますが、どういう背中と見せればよいのかというのは難しい問題です。 


顧客対応を上手に行う「背中」。
プログラムをさくっとデバッグする「背中」。
社内調整をする「背中」。


上司や先輩のこういった様々な「背中」を見ながら若手社員は多くを学んでいます。


でも、最も大きく影響を及ぼすのは、「成長し続けている背中」を示すことではないかと思うのです。


ある時20代のITエンジニアがこう話してくれました。

「うちの上司、すごいですよ。絶対に知らないだろうと思うような最新技術の話をしても、だいたいは把握しているんですよね。いつ勉強しているんだろう」
目を丸くしながら、「とてもリスペクトしている」とも言っていました。


「顧客との打ち合わせの時、上司が答えられなかったことがあったのですが、次の打ち合わせの時には、完璧に解説していて、短い時間に自分で勉強されたんだなあ、すごい!と思いました」と教えてくれた30代の営業担当者もいました。


「すごい、あの先輩は、常に進化している!」
「いつも新しいことを追いかけて吸収しようとしている!」
「これまでのやり方に問わられずにチャレンジしている!」


若手からそう見られることがとても重要なのではないだろうか、そう思っていたら、こんな研究を見つけました。


「部下による上司の成長認知がある時に、上司が行う部下への内省支援に正の関係がある」のだそうです。脇本健弘さんの研究です。(参考:『職場学習の探求』 生産性出版)


わかりやすく言うと、「部下が自分の上司を見て、"ああ、成長しているなあ"と認めた(認知)した時初めて、上司が部下に行う"ふりかえりの支援""フィードバック"などに効果があるわけです。部下や後輩を育てたいと思ったら、まず、自分が成長している姿を彼らに示さなければならないということでもあります。


若手の育成に携わる際、たとえば、上司やOJTトレーナーが「若手を育てればいいんだな」と思っていると、そのためには自分の成長も大事、と言うことですから、これにはドキッとする方も多いはずです。「え? こっちも成長してないとダメなの?」と驚いた方もいるかもしれません。


では、「成長する」ために大事なことは何でしょうか?


まずは「学ぶ」こと。その上で、時に「学んだことを捨てる」こと、そして、さらに「学び直すこと」も必要です。それぞれ"Learn""Un-Learn""Re-Learn"と言います。ここまでに身につけた知識や時々棚卸し、自分が持っている知識や経験を一旦捨てなければならない場合もあります。中堅やベテランにとっては、時にそれは痛みを伴います。それでも、上司や先輩たちがそうやって常にLearnとUn-LearnとRe-Learnを意識し、「学び続ける」背中を見せれば、新入社員を始めとした若手にとってよい影響を及ぼすはずです。


「もう歳だから、新しいことは学べない」と諦めたり、「今までの蓄積があるから大丈夫」とのんびり構えたりするのではなく、「これ、面白いから挑戦してみよう」「新しいことを学ぶのは楽しい」ということを言葉と行動で示すことが、若手の成長に好影響を及ぼします。

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【お知らせ:大幅に改訂しました】


●「後輩の教え方育て方」(HS0073CG)


はじめて後輩の指導を任された、OJT担当に任命された、OJTの仕組み全体を支援したいなど「若手育成」に関わる方向けの研修です。


2014年5月から大幅にRenewalします。「経験学習」など最近注目を浴びている「働く大人の成長」に関わるキーワードを盛り込みました。


●「OJT担当者のためのワークショップ
●「OJT担当者上司向けセミナー
●「OJT担当者向けフォローアップ研修


上記3コースも同じテキストを使用します。

新テキストをご覧になりたい方は、担当営業までご連絡くださいませ。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』 (日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』 (ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』 (日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「田中淳子の人間関係に効く"サプリ"
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の言葉のチカラ

[大人の学び後輩指導・OJT新人社員研修][2014年3月31日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第93回:「やってみて 言って聞かせて」・・・その先にある言葉
執筆:高橋俊樹

このコラムを書いているのは、2013年元日から175日目にあたる日です。気が付けば1年の半分に近い月日が経ちました。6月~7月にかけてのこの季節、頭に思い浮かぶことは何でしょうか?私は、「ジメジメ」「傘」「もうすぐ夏だ」などの他に、「配属」というキーワードが思い浮かびます。この季節は、特にIT企業では新入社員たちが現場に配属される時期です。新入社員を迎え入れるためのOJT研修実施のご依頼や打ち合わせが増え始めると、ああ、今年も半年経ったなぁと実感するのです。

職場にフレッシュな新入社員たちを迎え入れるのは楽しみな反面、受け入れ態勢や接し方などで不安に思っている方も多いと思います。そこで今回は、そのような時に是非思い浮かべて頂きたい、素敵な格言をご紹介します。


「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」


太平洋戦争時、第26、27代連合艦隊司令長官だった山本五十六の言葉です。(米沢藩の9代藩主であった上杉鷹山の言葉を参考にしたと言われています)この格言は現代においてもOJTで新入社員を指導・育成する際の接し方のヒントとして適用できます。


私が新入社員の時のことです。自動車メーカーに勤務していた私は、現場を知るための研修の一環として、販売店へ出向を命ぜられました。販売店ではすぐに顧客リストと電話スクリプト(会話の流れが書いてあるもの)を渡され、電話をかけてアポの約束を取るように指示されました。しかし、その内容にとても抵抗があり躊躇していると、「確かに、スクリプトを見ると抵抗があるかもしれないが、実際はそうでもない。俺がまずやるから」と上司がお手本を見せてくれました。そして見事に、一件目の電話でお客様のアポを獲得したのです。その後、ポイントやコツを分かりやすく教えてくれ、私が電話をかけている時は横で細かくメモを取り、良い点や改善点を指導してくれました。4件目位だったと思いますが、ようやく私もアポを獲得することができました。上司は満面の笑みで「やればできるだろ?今のはとても流れが良かったぞ」と褒めてくれました。これがとても自信につながったことは今でもよく覚えています。


「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」という言葉の通りの経験でした。これは先に手本を見せる指示の仕方の一つです。


山本五十六のこの格言は、とても有名なので「そんなの知っているよ」「聞いたことあるよ」と思われた方も多いとかもしれません。実はこれには続きがあるのです。
どのような言葉なのかというと・・・


「話し合い 耳を傾け承認し 任せてやらねば 人は育たず」


「やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず」


指示するだけでも相手は「動く」かもしれませんが、言われたことしかできなくなる可能性があります。2節目以降で述べられているように、相手の考えや想いを傾聴し、受け止め、仕事内容によっては細かく指示せずに任せることもしないと、成長にはつながりません。


また、後の節は、OJT担当者の持つべき心構えとして読むことができます。私たちが相手を信頼しなければ、相手からの信頼も得られませんし、「できて当たり前」と思うのではなく、感謝の気持ちも忘れないようにしたいものです。そうすることで、部下や後輩が「動き」、「育ち」、「実る」のです。


この格言の中には、私達がOJT研修でお伝えしている考え方やスキル、きちんと網羅されています。先人の言葉にはとても重みがあると同時に、真理が簡潔にまとめられているものだとあらためて感心しました。


皆さんも、若手のOJTを始めとして、部下育成や後輩とのコミュニケーションで悩むことがあれば、一度、この言葉と自分の言動を照らし合わせてみて下さい。解決のヒントが見つけられるはずです。
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高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている
2010年4月まで日経BP、ITproのselfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載

[コミュニケーションコーチング後輩指導・OJT新人社員研修][2013年6月24日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第90回:恥をしのんでカミングアウト
執筆:岩淺 こまき

白に近い、可憐なソメイヨシノの色が目にやさしく、心も晴れやかになる季節ですね。
個人的には、八重桜や枝垂れ桜に多い、薄紅色や淡紅色をした花の方が好きです。以前から友人と花見にいった際には「少しピンク色が強い花が好きだ」と言っていたものです。さて、今年は家族と花見に行きました。満開の花をみて、私はいつも通りの歓声をあげました。「あの辺の薄紅色の桜が綺麗ね」と。


すると母はあっさり「あれは桃だねぇ」と言ったのでした。


私は絶句しました。日本人のココロの花ともいえる、桜と桃の区別を三十年以上誤って認識していたのでしょうか、と。一瞬自分の無知に焦りを覚えたのですが、よく考えると間違って覚えていたり知らないことがあったりすることは恥ずかしいことではありません。「えー、そうなんだ」と自分の間違いをひと笑いしてから、母から幹や花びらでの見極め方を教えてもらって、楽しく花見を終えました。


この出来事に対し、私の頭の中では、さまざまな思いが駆け巡りました。


三十過ぎて、この間違いは恥ずかしい!でもまぁ、友人の前で恥をかかなくて良かったかな。いや、桃とピンク色の桜(特に八重)は一見似ているし、ひょっとしたら友人もわからなかったのかも知れないかも。それにしても「間違うことは良いことだ」は、教育心理学の世界でも言うけれど本当の話だわ。間違った時に理解したことって、印象深く覚えるから、忘れそうにないなぁ・・・、などなど。


一連の出来事をふりかえり感じるのは「フィードバック(指摘)に対してオープンな気持ちで対応することの大切さ」です。今回の例では、自分の誤りを笑って認めたということがオープンな気持ちにあたります。笑って認められたからこそ、この後に続く母の説明をしっかりと聞くことができ、今後活用できる正しい知識を得ることができました。ここで母からのフィードバックに対し、心を閉ざしてしまっていたらどうなるでしょう。「娘の間違いがそんなに嬉しいのかしら」「なにも夫の前で言わなくてもいいのに、カッコ悪い」など、フィードバックされた内容を正しく聞くこともできないし、ネガティブ感情に捉われて、教えを請うどころの話ではなくなってしまい、自分の成長の機会を失っていたことでしょう。


松尾睦先生の研究によれば、成長する人材としない人材の違いは、「経験から学ぶ力」の差にあるということです。経験から学ぶ力の強い人は、経験から意図的に学びを抽出し、次の経験に活かしています。仕事やなんらかの行動をとる前には「ストレッチ(背伸びした)」する目標を立て、「エンジョイメント(楽しみ)」を見出しながら活動します。そして活動の中から学びを得るために、適切に「リフレクション(ふりかえり)」を行い、次の目標を設定するのです。


いずれも重要な要素ですが、経験から得た学びを成長につなげるためは、私は特に、適切にふりかえることが欠かせないと考えています。適切にふりかえるポイントは、他者からのフィードバックを受けることです。なぜなら自分だけでふりかえりをしていると、できていないのにできている、できているのにできていないと思い込むなど、誤った自己認識をする可能性があるからです。現状把握が正しくできていないうちに立てた計画は、残念ながら効果的とは言えません。現状を正しく客観視するために、他者からのフィードバックを受けるのです。何が足りなくて何を行えばよいかを把握したのち、計画を立てることが、成長する上で貴重な資源となります。


実際には他者からのフィードバックは、耳に快いものばかりとは限りません。特に自分の間違いや不十分であることへのフィードバックは、聞きたくない気持ちになる時もあるでしょう。しかしそこで心を閉ざさず、オープンな心でフィードバックに向き合うことで、成長につながるのです。


「心がオープンであること」。この姿勢は、仕事をする上でとても大切なことに思えてなりません。自分が正しい認識を持ち、新しい知識を得ることは、視野が広がり楽しさを実感できるはずです。4月は新しい経験が多くできる季節です。経験を成長の機会につなげるためにも、心をオープンにしていきたいものです。


信頼される社会人になるための基礎講座

参考:松尾 睦『「経験学習」入門』ダイヤモンド社

クイズ:この花はなんでしょう?
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岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、ファシリテーション、講師養成講座などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。
2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。

[信頼される社会人になるための基礎講座新人社員研修][2013年4月 1日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第71回:「関わり方」が築くもの
執筆:森 美緒

「私は傾き無限大です。」

これは学生時代に、友人が就職の自己アピールで活用した言葉です。
面接のリハーサルにつき合っていて、私の頭に浮かんだのは「?」でした。
友人の解説では
「傾きとは、比例式y=axのa、つまり係数のことである。係数が大きいほどyの値が大きくなる。私は御社の中でそういう働きができる」ということでした。

「自分は御社に必要な人材です」と言うニュアンスはなんとなく伝わってきましたが、
ニュアンスしかつかめない自己アピールで採用されるかな?と他人事ながらとても心配だった覚えがあります。

その後、私も友人も無事に就職して、あっという間に10年以上が経ちました。
私は2度、転職して今の職業に就きました。
IT企業に入社した友人は社内で配属先が3度替わりました。
学生時代に教師になりたいと言っていた私は、営業→秘書→研修講師となり、
インフラ中心のSEになりたいと言っていた友人は、技術部(インフラ)→技術部(料金計算)→事業本部で働いています。
仕事の内容が変わるたびに、私たちはほとんど同じやりとりをします。


「やりたかったことなの?」「うーん。興味がなくはないけど・・・」
「大丈夫?できるの?」「分からないけど、とりあえずやってみる」


私も友人も、計画的に歩んだキャリアと言うよりも、たまたま人から紹介されたり、たまたま異動辞令で築かれたりしたキャリアとしか言いようがありません。
会話の中にある通り、「もともとやりたかったことなのか?」と聞かれたら、違う気がします。
かといって、「やりたくないことをやっているのか?」と言うと、それも違うのです。
とにかく自分の立ち位置で、できることをやってみるうちにその仕事が分かってきて、楽しさを見つけていく感じです。仕事が分かってくるころになると、こんな会話をします。


「その後どう?」「大変だけど、やりがいがあるよ。」


絶対にこの仕事に就こう!と志し、それを実現する方がいる一方で、私や友人のように、偶然をキャリアに変えている人が数多くいるのではないかと思います。
そして、それで良いのではないかとも思うのです。理由は2つあります。


1つ目の理由は、そもそもやったこともない仕事に「適職感」なんて持てないと分かったからです。今になって思えば、学生の時になりたかった職業も、なりたかった自分も、今の自分とはずいぶん違うのです。そんな中で自分の適職を探すことはできないと思います。


自分が今までに経験してきたことは、職場や業務内容が変わっても、まったく無駄にならないと実感していることが2つ目の理由です。私は現在、研修講師として営業時代の事例やコミュニケーションテクニック、秘書時代に身につけたマナーを活用しています。友人は事業本部として予算や計画を策定するために、技術時代の経験や知識を活用しています。過去に自分がやってきたことは、結びつけようとさえ思えば、今の業務とその成果につなげることができるのです。


4月に入社した新入社員の中には、配属先に一喜一憂している方もいるようです。その姿を見るたびに、配属先よりも、その場所で自分が何をするか、つまり仕事への関わり方が大切だと早く気づけたらいいなと思います。


さて、冒頭の「傾き無限大」に戻ります。
y、x、aはそれぞれ何を指すのか、改めて考えると、1つの解釈ができるようになりました。「資源(x)に、どんな自分で関わるのか(a)が結果(y)に大きく影響する」という解釈です。


結果=自分の関わり方×資源


この解釈であれば、現状をうまく説明することができるのです。
例えば、こんな感じです。


スキルの向上=自分の関わり方×学ぶための資源(先輩や参考資料など)
業務への満足感=自分の関わり方×業務


資源は得ようと思えば、あらゆるところから得ることができます。
でも、自分の関わり方によっては目の前にある資源を資源として認識できなかったり、自分の持っている資源を資源として活用できなかったりするかもしれません。そこから何を得るのか、どんな成果につなげるかは自分次第です。
私の解釈が正しいならyの累積がキャリアであり、人生そのものだということになります。


こんな解釈ができたよと、友人に今度会ったら話してみようと思います。「そう言いたかったんだよ!やっと分かったか?」と得意気に笑う顔が目に浮かびます。

[大人の学び新人社員研修][2011年8月22日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第67回: 「視点の高さ」が多くの人を喜ばせる
執筆:岩淺 こまき

マナーやプレゼンテーション、ファシリテーションなど社会人に必要な基礎体力ともいえるスキルや「思い通りにならないことに対し、物事をどのように捉えどのように行動するか」といったマインドに至るまで、様々なことを実践形式で学べるようにと日ごろから工夫しています。特に、なぜそれが必要なのかという「目的・理由・背景」を考え、物事の本質をつかんで頂くことに心を砕いています。本質をつかむと、視点の据え方がよくなり、現場で応用できるようになるからです。 


最近、ある新入社員研修で、視点の高さを感じた出来事がありました。


複数企業合同の研修が終わるにあたり、交流会の企画が新入社員から持ち上がりました。今後も変わらない情報交換と、互いに支援し合える環境づくりを目指すものです。参加者は30名弱。お店の場所や集合時間など告知する際、企画者Aさんが参加者にこう提案しました。「実はクーポンを使って予約をすると、10名につき1名無料になります。だから6000円お金が浮きます。みんなに還元しようと思ったのですが・・・、もしよかったら東日本大震災の義援金にあててもよいですか?」と。参加者全員拍手で承認し、残ったお金の使い道が決まりました。

 

ビジネスの現場では、チームの目標達成を目指し、日々様々な活動をしています。自分の行動がチームの目標達成に貢献できる行動かを考えるとよいことは、先月のこのコラムでもお伝えした通りです。今回の出来事を、1つのチーム活動として考えてみます。企画者Aさんをリーダー、30名弱の新入社員がメンバだとしましょう。チームの目標は、「全員が今後も支援しあえる関係を作るために交流する」です。したがってAさんは、30名弱が喜ぶ活動ができれば、チームとしての目標は達成できます。そう仮定すると、1人につき200円ずつ還元する、みんなが喜ぶ記念品を買う、別デザートや特別メニューを追加する、などの案が出てきます。どれを選んでもチームに不利益は生じません。

 

しかしAさんはその状態に留まらず、より高い視点から状況を俯瞰し、発想の範囲を広げました。自分が所属する30名弱のチームから、視点を高く持つことで、より多くの人に喜んでもらえる案を思いつくことができたのです。結果として確実に、30名以上の人に喜んでもらえることになるでしょう。「義援金」と「チームが今後も支援し会える関係構築」とは、一見別の次元の事柄に見えるかもしれません。しかし個人的にはこの瞬間に「誰かのためになる素敵なアイディアを出せるチームに、自分も所属したい!」という気持ちに向かって、全員が一致団結したように感じられました。

 

働くとは、人のために何かを行い、対価を得ること。他者のためにならないことは、働いていることにはなりません。より多くの他者に喜んでもらう働きができる人や企業が、周囲に求められ、成長し続けることができます。業務においては、自分の作業範囲だけで考えるのではなくて、チーム全体ではどうか、部署全体ではどうか、ひいては会社全体でどうか、社会に役立つかなどを考えることが必要になるのです。

 

Aさんは、自分の視点を高く持つことで、喜んでもらえる対象範囲を広げることができました。Aさんと、それを拍手で受け入れた新入社員たちの視点の高さは素敵です。これからの活躍を、心から応援しています。

 

日常では業務をこなすことに忙殺されてしまい、はっと気がつくと1日が終わることも珍しいことではありません。ふとした瞬間や業務に当たる前、何かを検討する際には、より多くの人を喜ばすにために、何ができるのか、他に考えられる方法はないかなど視点を高く持つことを私も意識したいと思います。

 


 
岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、ファシリテーション、講師養成講座などヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。


 

[チームワークと
フォロワーシップ
新人社員研修][2011年4月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第60回: 自分もラクに、周囲も楽しくなるように
執筆:岩淺 こまき

先日の家族旅行で、動物園に行ったときのことです。


長時間移動し、入場料を払い、いよいよ動物に会えるなと意気込んで園の中に入ったところ、園側の事情により私たちは、一頭も動物にあうことができませんでした。その時私は「動物がいないなんて、動物園の価値ない」と若干の怒りを感じ、夫に愚痴を言いました。ところが一緒にいた父は、地面に生えているシロツメクサを2本摘み、「動物いないから、草花遊びでもしようか」と、おもむろに母と引っ張りっこ(草が切れなかった方が勝ち)をはじめたのです。同じ状況下にも関わらず、楽しそうに草遊びをする両親を見て、いきなり動物園を全否定した自分が恥ずかしくなりました。

 

何事も捉え方次第なのだと、感じました。私は自分の意図しない出来事に遭遇すると、怒りや不安などネガティブな感情が出ることがあります。父のような捉え方ができれば、不必要な怒りや不満を感じることなく、穏やかな気持ちで毎日を送れるはずです。私は本来感じる必要のないストレスを、勝手に作りあげていたことに気づきました。

 

捉え方を変えることは、自分の気持ちを穏やかにするに以外にも、周囲に対して影響を与える効果をもちます。人間は感情によって、次の行動が左右されるからです。ネガティブな感情をもった人はネガティブな行動をとりやすくなります。そしてこのとき起こした行動が「良くも悪くも周囲に影響を与える」のです。

 

普段私たちは組織の中で、多くの人と関わりあいながら仕事をしています。日々起こる様々なことや周囲の言動に、感情が動かされるのはよくあることです。とはいえ、不必要なネガティブ感情に左右されて、感じる必要のないストレスを感じたり、周囲へ悪い影響を与える行動をとったりするのは、自分にとっても組織にとっても望ましい状態ではありません。「あの人と仕事すると、暗い気持ちになるんだよね」「同じプロジェクトに入りたくないよね」という評価に発展すると、まず自分が周囲からの協力が得にくくなります。そのことを発端に、職場にネガティブな感情のサイクルが回りはじめてしまいます。

 

今回の場合でいうと、起こった出来事は「動物園に動物がいなかった」でした。私は「動物はいないといけないのに」という捉え方をし、見られるはずの動物が見られなかった、と不満を持ち、ネガティブな感情から「愚痴る」行動を起こしました。一方で父は同じ出来事に対し、「動物はいないんだね」と事実を穏やかに受け止め、視野を広げる余裕を持ちました。その結果「その場にあるもので楽しむ」と、私とは異なるポジティブな行動をとることができています。周囲への影響をみてみると、私の愚痴を聞いた夫は、一瞬かもしれませんが嫌な気持ちになったようです。一方父の提案を受けた母は、楽しい気分でその場を過ごせていました。

同じ場所、同じタイミングで意図しない出来事に遭遇したはずが、捉え方の違いからくる行動により、正反対の影響を周囲へ与えることとなりました。

 

仕事だけではなくて何事も、周囲によい影響をあたえるような捉え方をしてみたいものです。自分も穏やかな気持ちで、そして周囲も楽しくなるように。ポジティブな感情のサイクルを回すきっかけとして、父を見習い、自分の捉え方を見直してみたいと思った1日となりました。

 

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今回のコラムにはクイズが付いています。お一人で考えても、職場のみなさんと話し合っても、様々な気づきがありますよ。

【テーマ】楽しみにしていたドライブで、渋滞が続き何時間も車の中で過ごしている。
どのような捉え方をすると「自分もラクに、周囲も楽しく」なるでしょうか?


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グローバルナレッジでは、さまざまなヒューマン・スキル研修をご用意しています。
 

効果的コミュニケーション・スキル ~効果的な説得、交渉へと導く対人コミュニケーション~

 

新入社員研修 NEW TRAIN® サービスの紹介

 


岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、コミュニケーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。


 

[新人社員研修][2010年9月17日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第35回:「国語辞典」を使っていますか?
執筆:田中 淳子

新入社員が配属され、OJT真っ只中のこの時期、OJT担当者やその上司の中には、「新人が書いてくる文章に誤字が多くて、大変だ」とか「添削に数時間かかってしまう」と嘆いている方も多いことと思います。
彼らが提出する文章を上司やOJT担当者が赤ペンで一生懸命修正し、戻す。新入社員は、上司やOJT担当者から真っ赤な状態で戻された文章を、「指摘された箇所をそのまま直す」。そんな作業を繰り返している職場が多いようです。


「新入社員に文章力をつけさせたい」と思う一方で、上司やOJT担当者は丁寧に添削してしまいます。「添削する」という方法を取ることで、新入社員からは「自分で考えて書く」というプロセスが抜け落ち、結果的に「文章力の向上」につながらないという皮肉な結果が生じるのです。
上司やOJT担当者が赤ペンで修正箇所をより多く指摘するより、新入社員自身によりよい文章、よりよい言葉選びをさせるほうが教育効果は上がります。では、何をすればよいのでしょうか?


今年、ある企業で新入社員研修を実施した時のことです。新入社員には毎日「研修受講報告書」を書かせるというカリキュラムになっていました。その企業では、前日書いた報告書から簡単にコピー&ペーストできないよう、A4サイズ分の報告書を手書きで記述するよう指導していました。「報告書を書く経験を積むこと」はもちろんのこと「文章力を向上すること」や「日本語力を磨くこと」も意図していました。


新入社員が提出する報告書には誤字脱字が多く、中には創造力溢れる漢字が使われている場合も少なくありません。たとえば、「講義」は「講議」、「習得した」は「取得した」と書かれています。「協調性」と書きたかったのでしょうが、「共丁性」と書いてあったり、「結束力」と書くつもりだったらしい言葉は、「決足力」となっていたりもします。既に学生時代から手書きで文字を書く機会が減っているため、A4サイズ1枚の報告書でもひとつの誤字なしに書けるという人はほとんどいないのが現状です。漢字だけではありません。言い回し・表現も適切でないものが選ばれている場合が多々あります。

今年は、この企業で「新入社員に国語辞典を持参してもらう」ことを当社から提案しました。「学生時代に使っていたぼろぼろの辞典でもいいから、自宅から持参するように」と入社前に連絡していただいたのです。その結果、新入社員のほぼ全員が自席に国語辞典を置いて新入社員研修に臨む姿が見られました。

その結果興味深い変化が起こりました。


1.レポートの誤字脱字が激減した
⇒ レポートを書く際、あてずっぽうで書いていた漢字を調べてから書くようになったため、間違いが減った

2.レポートでの表現において、より適切な言葉を選ぶようになった
⇒ 辞典を引き始めると、単に正しい漢字を探すだけではなく、「どういう表現を用いればより自分の考えを的確に表現できるか」を考え、言葉を探し、選ぶようになった

3.他者と言葉に関する議論をするようになった
⇒ グループ・ディスカッションで成果を模造紙にまとめる作業でも、「こちらの表現のほうがより良いのではないか」と言葉について活発に議論していた

「国語辞典を手元に置いておく」という、たったそれだけのことで、誤字脱字が減るだけでなく、表現する際の言葉遣いに敏感になる、という効果が生まれたわけです。

手近に調べるためのツールがあれば、誰でもそれを使うようになるものです。自助努力の範囲で、正しい言葉遣い、正しい漢字を調べ、レポート作成も行えます。調べる楽しさを知ると、辞典を使って言葉探しをすることがさらに面白くなってくるようでした。

「机に国語辞典を置いておきなさい。わからないことは調べなさい」---。

OJTの現場でも、新入社員にそう指示を出してみてはいかがでしょう。チームで国語辞典を共有物として用意するのもよい方法です。自分で調べて新しいことを知る、調べてみたら忘れていたことを思い出す、というのは、人間の知的好奇心を刺激する要素でもあります。調べることが習慣化すれば、文章力も日本語力も自ずと向上してきます。

ところで、「ぼろぼろでもいいから」と伝えたものの、新入社員の皆さんが持参した辞典は全部ピカピカでした。なぜなら、全員が"電子辞書"を携えてきたからです。時代の変化を感じる光景でもありました。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
第二新卒の方、10月入社の方、配属後再度コミュニケーションを見直したい方のための特別コースをご用意しました。
「仕事の基礎力」(1日間)
「新入社員のためのコミュニケーション&プレゼンテーション」(3日間)
2008年秋に各コースとも1回のみ開催いたします。
一人前のビジネスパーソンになるためのビジネスマナーや、コミュニケーション・プレゼンテーションの基本を短期間で修得します。


 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 


[後輩指導・OJT新人社員研修][2008年8月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第34回 気持ちを「形に表わす」こと
執筆:岩淺こまき

  はじめまして。岩淺こまきと申します。昨年、グローバルナレッジのメンバになりました。初めての転職ではないので、新しい環境や新しい職場への出社初日も慣れたものになっていました。出社初日というと、どの企業でもほぼ似たようなことを行うからです。しかし半年以上が経過した今でも、グローバルナレッジの出社初日は、昨日の事のように鮮明に思い出せます。


  まず人事部主催のオリエンテーションを終え、その後自分の席に案内されました。オリエンテーションの際、配属先であるヒューマン・スキル部門のメンバは全員外出をしていると聞いていたので、当然周りには誰もいません。席につき「さて、オリエンテーションの際、指示された作業をしよう」と自分の机の上を見ると、そこには「一冊の本」と「缶ジュース」が置いてありました。なんだろうと思いながら本を開くと、そこには


  「入社おめでとう!仲間になってくれてありがとう!!」


  と書かれた「手書きのメッセージ・カード」が挟んでありました。当社の先輩講師が、自分の執筆した書籍にカードを添え、プレゼントしてくれていたのです。缶ジュースには、上司からのメッセージ・カードも添えられていました。・・・驚きました。初めての経験でした。


  驚きが収まった後、PC環境が正常に利用できるか確認するため、予め設定されているメールソフトを起動しました。すると、今度は、


  「メンバ一同、入社を心待ちにしていたのですよ。」
  「これから一緒に頑張りましょう。期待しています!」


  といった「WELCOMEメール」を次々受信してきたのです。入社日前日に、ヒューマン・スキルのメンバ全員から、それぞれメールが送られていたのでした。


  二度目の驚きが収まった時、「仲間として迎えられている」という安心感を持ちました。「あぁ、私はここで仕事をしても良いのだな」と、新しい環境で多少の不安を抱えていた自分を認識するとともに、気持ちが楽になったのでした。「よし、頑張ろう。もし、私の次にまた新しい人が入ってきたら今度は私が同じことをしてあげよう」と心に固く誓いました。


  この出来事は、要約すれば「出社初日WELCOMEメールが届いていました」という、これだけの事なのかもしれません。少し意地悪な見方をすれば、「みんなヒューマン・スキルの講師なのだから『こうすれば喜ぶだろう』という理論に基づいて、形だけ整えただけじゃないの?」と捉えることも出来るでしょう。(幸い形だけではありませんでした)


  もし仮に形を整えたのだとしても、「気持ちを形に表わすこと」は、時に必要なのだと私はそのとき思いました。その行動がある程度頭で考えたことだとしても、受け手がそれをプラスに受け止め、やる気が上がったり、チーム内の結束が強まったりするなどの良い効果が生まれるなら、その行為には意味があるのです。表現しなければ相手には何も伝わりません。重要なのは、形からでもよいので、まずは相手に伝わるよう行動を起こすことなのです。


  この時期は、新しい部署に異動された方やはじめて配属された新入社員の方も大勢いらっしゃることでしょう。傍目にはどんなに落ち着いて見える人でも、どんなに経験を重ねている人でも、周りが想像する以上に、新しい環境に不安を感じているものです。


  「今年は5名新入社員が配属になるらしいね」「また新しい人が採用されたんだってね」と話題にするだけでなく、新しいメンバが入ってくることを職場全体の「イベント」として捉えてみてはいかがでしょう。出迎えるためのアイディアを出し合い、「WELCOME」の気持ちを、まずは形に表してみるのです。難しいことでなくてもかまいません。例えば私が体験したような「手書きのメッセージをプレゼントする」「WELCOMEメールを送る」などの簡単なことからでも、できることが沢山あります。


  「あなたが仲間になってくれて嬉しい」。それを伝えることが第一歩です。


  グローバルナレッジの「後輩の教え方育て方 ~OJTの効果的な進め方とスキル~」研修では、「人財育成」に必要なスキルやノウハウを体系的に学びます。「OJT担当者向けワークショップ研修」では、OJTの現場ですぐに活用できるツールを研修内で作成します。新しい方を迎え入れる準備を、一緒に考えましょう。


グローバルナレッジでは、「コミュニケーション」を軸に、様々な仕事を進める上で必要なスキルを研修のコースとしてラインアップしています。技術や知識をより活かすためのヒューマン・スキルをブラッシュアップしてみませんか?



岩淺こまき(いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育トレーナー。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、コミュニケーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。


[後輩指導・OJT新人社員研修][2008年7月22日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第30回 新社会人の皆さんへ - 「自ら考え行動すること」
執筆:田中 淳子

  「自分で考え、行動する人材になってほしい」。多くの企業が新入社員に期待する事柄として第一に挙げるメッセージです。新入社員には「自分で考え、自分から行動を起こす」ことが非常に難しいと感じられるかもしれません。配属されてみると、「新人の私にはなかなかできない」「上司や先輩が環境を整えてくれたらいいのに」と思う場面にも多々遭遇してしまうものです。働く環境も自分を取り巻く事態も太刀打ちできないものに思えることでしょう。
  しかし、何も難しいこと、高度なことを「自分で考え、行動せよ」と先輩たちが言っているわけではありません。まずは、身の回りで手が届くことから、始めてみればよいのです。


  配属先に出社した初日のこと。新入社員Aさんは、元気よく「おはようございます!」と挨拶しましたが、先輩たちは返事をしてくれませんでした。数日経ち、「おはようございます」だけではなく、「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」などの声掛けが少ない職場なのだと気づきました。たいていの人なら、「誰も返事をしてくれず、むなしいからやめよう」と思い、自分も挨拶をやめてしまうところです。ところが、Aさんは、来る日も来る日も、「おはようございます」「お疲れ様でした」と元気に声を掛け続けてみました。「挨拶は社会人として基本の行為だ」と自分で考えたからです。
  しばらくすると、先輩の一人が挨拶を返してくれました。その内徐々に返事してくれる人が増えていきました。数ヵ月後、Aさんの職場では、全員が挨拶を交し合うように変わったと言います。
  職場の雰囲気を変えるのは難しい。多くの人がそう思います。でも、こんな風にたった一人の新入社員が周りを動かすこともあるのです。


  別の例です。
  新入社員の常として、誰もが職場の電話をとるように言われます。取ったところで、自分宛であるわけもなく、誰かに取り次ぐことになります。ところが、「○○課長いらっしゃいますか?」と言われても、当の課長は離席中。しかもその理由が分からない場合もあります。「電話を取っても、上司や先輩がどういう理由で離席しているかわからないので困る。居場所は明確にしてほしい」と、他の新入社員は不満を漏らしていました。そんな中で、新入社員のBさんだけは違いました。
  Bさんは、こう言います。「配属直後は僕も上司達の居場所が分からなくて困りました。でも、上司や先輩の予定を押さえておけばいいのだと気づきました。最近は出社したら、まずスケジューラを開いて、上司や先輩の1日のスケジュールを確認することにしています。」
  「仕事をしやすい環境を周りが用意してくれないから私も本来の力を発揮できない」というのは、新入社員に限らず、誰もが思いがちなことです。そう言ってしまえば、うまくいかないのは自分の責任ではないと思えますし、「周りが協力してくれればできるのに」と自分に対して言い訳も立つからです。
  でもこのBさんのように、「どうすれば自分の仕事がしやすくなるか」を考えた結果、上司や先輩のスケジュールをあらかじめ確認しておくことを思いつき、行動に移す人がいます。「上司や先輩の居場所がわからないから困ると言う人」と、「自分で考え上司や先輩の行動を押さえようと動く人」。ビジネスパーソンとしての今後の成長度合いに大きな差が開くのではないか、と思ったエピソードです。


  新入社員の皆さんは、色々とやってみたいこともあることでしょう。配属されてみたら、与えられる仕事が考えていたものと違っていたり、必ずしも自分の希望通りではなかったりすることもあります。でも、その時々で、状況をよく観察し、自分や自分を取り巻く環境をより良いものにするにはどうしたらよいかを考えていくと、新人の自分でもできること、すべきことがある、と気づくはずです。


  新入社員に求められている「自ら考えて動く」とは、いきなり大ヒットを打つような仕事振りを遂行することではなく、与えられた仕事について、自分ならではの考えや工夫を盛り込むことから始まります。小さな仕事であっても、日々の職場での振舞いであっても、そのひとつひとつを常に自分で考え、意思を持って取り組むこと。どんなことに対しても「自ら考えて動く」ことを自分に課していれば、それが企業で期待される人材像へと向かう第一歩となることでしょう。


仕事の基礎力 ~新入社員のためのルールとマナー~」(HS0039CG)
新入社員や若手社員に必須のビジネスマナー、仕事をする上で守るべきルールなどを体系的・実践的に学習します。
テキストは「全ページ」カラー、イラストも豊富で、受講後に「ガイドブック」のように活用できます。

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)


[後輩指導・OJT新人社員研修][2008年3月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第23回 人に教えることの難しさ
執筆:高橋 俊樹

  16年前になります。私が新卒で入社してすぐ2ヶ月に渡る新人研修が始まりました。1クラス約30人、全体で8クラスほどあったと記憶しています。クラスにはそれぞれ担当となる先輩社員が1名ついて、ビジネスマナーから業務に必要なスキルまで多岐に渡る研修を実施します。研修初日、どんな先輩がきて、どのような研修が始まるのだろうと少しどきどき、わくわくしていた中で、私のクラス担当になった先輩社員は教室に入ると、とても嬉しそうな表情で入社のお祝いと期待の言葉を述べてくれました。第一印象がとても良かったのを今でも覚えています。その後2ヶ月間、新人の目線で接し、分かり易く教えていただき、様々な知識やスキルを楽しみながら習得することができました。クラスの誰もがあの先輩のような社会人になりたいなという尊敬や羨望の眼差しで見ていました。


  現在、私は教育事業に携わり、ヒューマンスキル関連の研修を主に実施しています。入社した時のクラス担当の先輩と対象者は異なっても、同じように、「教える」ことを生業としています。自ら教育に関わるようになって感じるのは、人に何かを教えるという当たり前の行為がとても難しいということです。研修の場だけでなく日々の業務の中でもうまく伝えられない、言ったことを理解してもらえないなどとてももどかしい思いをすることがあります。


  誰かに何かを教えるという場面は誰しもあることだと思います。例えばOJT担当者が新入社員に対して業務に必要な技術について教える、上司が部下に対して仕事の進め方を教える、社外のお客様に対して自社製品の概要や操作方法などについて教えるなどです。そういった時、どのように教えればよいか迷ってしまうことはありませんか?


  自分が誰かに何かを教わった場面を思い出してみてください。とても分かりやすい教え方で、理解が進んだという事もあるでしょうし、逆に、余計分からなくなったということもあるはずです。分かりにくい教え方は、結果として時間も無駄になりますし、相手の理解が誤っていると、その後の仕事にも大きな影響を与える恐れがあります。それでは何故、分かりやすい教え方ができる人と、できない人がいるのでしょうか。これは学習効果の高い教え方を知っているか、知らないか、また、教えることそのものに対して持っている意識の差から来ているものだと思います。


  私も教育に関わるようになってから、冒頭の先輩の教え方はとても上手だったと気付きました。いくつか思い出してみると、ほんの一部ですが以下のような例があります。


  ● 一方的に進めるのではなく新人のレベルに合わせて理解を確認しながら伝える
  ● 興味を持てるように実際の体験談をもとに、具体例やたとえ話などを多く盛り込む
  ● 何故、そうする必要があるのかの理由や、しないとどうなるかを伝え、考えさせる
  ● 学ぶべきスキルや知識に最もマッチした演習や実習を盛り込む


  そして最も大きかったのが、当時新人であった私達に対して、学生、子ども扱いするのではなく、同じ社会人、同じ会社の一員だということを常に意識し、同じ大人として接してくれたことでした。もちろん新人ゆえの言動で叱られたこともありますが、それもすぐに指摘された点を改善できるような言い方だったと記憶しています。


  人に何かを教えるのはとても難しいことです。しかし、より効果の高い学習を行うための基本となる技術はあります。単に「知っているから」「その分野の専門だから」「説明できればよいから」ではなく、貴重な時間を割いて行うものだからこそ、しっかりと大人に対する教育の考え方やスキルを身につけておきたいものです。


  毎年、春は多くの企業の新人研修に関わっています。その中で、学習目標をきちんと達成し、必要なスキル・知識を身につけていただくことはもちろんですが、くわえて、自分自身、当時のクラス担当だった先輩のようになれているのかな、ということを今でも思い出すようにしています。


  「トレイン・ザ・トレーナー」(ON258) では、成人に対する学習の考え方に基づき、「教える技術」を強化し、質の高い研修を提供するための知識とテクニックを学び、研修の現場でそれらを実施・応用できるようになることを目指します。



高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。
1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、現職。ビジネススキルグループのマネージャ兼インストラクターとして、新人から管理職までを対象とした各種ヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。


[後輩指導・OJT新人社員研修][2007年9月 7日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第20回 新入社員の受け入れ態勢は整っていますか
執筆:高橋 俊樹

  今年の新入社員が4月に入社してから早くも2ヶ月近くが過ぎました。民間企業の求人数も右肩上がりで08年卒業予定の求人数は1991年以来17年ぶりに過去最多数を記録し、採用活動は今後も大変な状態が続きそうです。
  さて、そのような中、皆様の会社の新入社員受け入れ態勢は準備万端でしょうか?採用活動が激しさを増す中で、貴重な新入社員をどのように育てていくかは重要なテーマですし、今年の新入社員に限らず来年、再来年の後輩社員へと継続し、会社の組織全体に波及する問題でもあります。
  最近では、単に職場の先輩社員に新入社員の面倒を任せるのではなく、OJT(*)を制度として捉え、先輩社員、新入社員双方の育成を目的として実施する企業が増えています。ではどのような点に留意すればよいのでしょうか?
  ※OJT(On The Job Trainingの略)職場において行われるトレーニング


  OJT制度をきちんと運用していくためのポイントは、3つあります。



① 「期待する人材像」の明確化
② 指導計画の作成(何を、いつ教えるのか)
③ コーチング、ティーチングを組み合わせた指導



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  ① 人材像の明確化
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  多くのOJT担当者がOJTを任された際の不安要因としてあげるのは「どこまで育てれば良いのか分からない」という点です。
  この問題を解決するためには、ゴールの人材像を明確にしておくことが重要です。OJT終了時(一般的には先輩社員から手離れする2年次にあがる時点)に新入社員にどのような人材になっていてほしいのかをまず決めなければいけません。実際に新入社員からこのような話を聞くことがあります。


  「今やっていることが何につながるのか、何の役に立つのか分からない」


  「まだまだできないことが多く、成長している実感が湧かない」


  「自分には何を期待されているのかが不明である」


  このような声があがるのは、OJT担当者が新入社員に期待する目標が描けておらず、双方で明確に共有できていないことにも起因しています。最初に、新人に期待する人材像を明確にしておきましょう。



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  ② 「指導計画」の作成
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  目標が明確になれば、それに向かって何を教えれば良いのか、またどのタイミングで教えればよいのかが把握でき、計画も具体的に立てることができます。育成の計画を立てておけば、目標に向かってどこまで成長できていて、足りないものは何なのか進捗を確認しやすくなりますし、目標達成に向けた動機付けにもなります。これは皆様が毎年、自分の業務の目標設定をして、その目標に対して業務計画を立てるのと同様です。



----------------------------------------------------
  ③ コーチング、ティーチングを組み合わせた指導
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  さて、OJT担当者による指導が始まると、OJT担当者が悩むのは「どのように教えたら良いのか」ということです。指導方法には大きく分けてコーチングとティーチングの2種類があります。ティーチングが指示・命令を中心とした指導方法であるのに対して、コーチングは相手に考えさせ、相手自身から答えを導くという方法です。コーチングは自律的な行動を引き出しますので、新入社員の指導の際にも大変効果的です。


  とは言え、知識や経験が浅い新入社員に、すべてコーチング手法を用いて考えさせるのには無理があります。新入社員に対して、まずはより学習効果を高めるティーチングの技術、コツを知っておくことが必要です。効果的なティーチングは新入社員の早い成長を促すだけでなく、今後、OJT担当者がリーダーなどの役職に付いた際、メンバや後輩の指導・育成をする際にも役立つはずです。自分自身が教えてもらった時のこと、また周囲の上司や先輩などの指導の仕方を改めて観察してみるだけでも様々なヒントが得られます。


  ここでご紹介したのは、OJTを効果的に運用していく上で特に重要な3つのポイントです。新入社員を早く一人前の人材に育成するためには、上記のような工夫、取り組みが大きな効果をもたらします。また、OJT担当者だけに任せきりにせず、組織をあげて協力し新入社員の育成に取り組んで行くことが必要なのは言うまでもありません。
  多くの企業では、そろそろ新入社員の合同研修も終わりに近づき、配属に向けて慌しい時期を迎えていることでしょう。皆様の職場では新入社員に対するOJTの準備は整っていますか?


  (*)2007年7月に無料セミナー『「人を育てる」仕組みとOJTトレーナーの役割』を開催いたします。


(*)OJT担当者のためのコーチングスキル実践
  OJT担当者が、若手社員に「何を」、「どのように教えればよいか」を学習します。OJTとは何か、何を教えればよいのか、さらに、目標設定の仕方や指導方針の作成までを演習をしながら学びます。特に「どのように」の部分では、自発的に考え行動する若手社員を育てるためのコーチングについても学習します。


(*)OJT担当者向けワークショップ
  OJT担当者に任命された方がOJT開始前に準備すべきことからOJT進行中の指導方法までを考え、計画作りをするためのワークショップです。スムースにOJTを開始できるよう、OJTで使える様々なツールを実際にOJT担当者同士でディスカッションしながら作成していきます。


(*)OJT担当者上司向けセミナー ~OJT担当者の支援と部下のコーチング~
  OJTをうまく進めるためには、新入社員を組織全体で育成するという意識を持つ必要があり、上司はその要の部分を担っています。OJT担当者が作成した「人材像」や「指導方針」「指導計画書」などの成果物を上司が理解し、OJTがスムースに進行するようサポートするためのコーチングスキルも学習します。
このセミナは、「OJT担当者向けワークショップ」とセットで開催します。



高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。
1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、現職。ビジネススキルグループのマネージャ兼インストラクターとして、新人から管理職までを対象とした各種ヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。


[後輩指導・OJT新人社員研修][2007年5月21日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第19回 ノートは未来の自分へのプレゼント
執筆:森 美緒

  4月――桜の花が咲き、新年度が始まるこの季節になると、自分が新入社員の時に配属先の上司から言われた言葉を思い出します。
  出社初日、上司は私に「これから言うことはノートに書いて絶対に毎日見直しなさい。」と前置きをしてから、ホワイトボードに大きくこう書いたのです。




新入社員 ⇒ 自分のことだけは、きちんとできる
社員 ⇒ 会社内での自分の役割を理解して協働できる


  上司は、書き終えてからこう解説してくれました。


  新入社員として、まず自分に任された仕事だけは責任を持って取り組みなさい。自分に任された仕事をきちんとできて初めて会社の一員です。自分に足りないものを自分で見つけて先輩に聞きなさい。
  自分のことがきちんとできるようになったら、自分の仕事は会社の中でどのような意味があるかまで視野を広げなさい。そうすると、自分の役割が見えます。自分の役割を確認したら、協働するために自分は何ができるのかを考えて行動しなさい。その行動を起こし協働できて初めて新入社員ではなく、一緒に戦える戦力(社員)です。


  まだまだ学生気分が抜けていなかった当時の私は、その言葉の意味をあまり深く考えずになんとなくノートにメモを取り、なんとなく聞いていました。そして、毎日新しい業務知識を覚えていく内に、この言葉をすっかり忘れてしまいました。
  入社して2年目に、私は新しい部署へ異動しました。異動の際、使い終わってからずっとデスクの引出しに眠っていたノート数冊を見つけました。捨ててよいかどうか判断しようとパラパラと見ていると、この言葉が目に飛び込んできたのです。そして、自分は今戦力といえるだろうか?と考えました。「自分の仕事だけには責任を持つ」という言葉を正当化して独りよがりな仕事の仕方をしているのではないだろうか?と、自分の働き方をふりかえりました。この時、初めて上司が云わんとしていたことが理解できました。責任を持つのは当たり前のことで、その1つ上を目指すようにあの日上司は私に言っていたのです。そのページを読み直した事がきっかけとなり、引き出しにしまってあったノートの端から端まですべてに目を通しました。そこには今だからこそ心に響く言葉がたくさんありました。入社式での役員の言葉、朝礼で支社長が話したこと、先輩から注意されて取ったメモ。働く場所が替わったとしても、私が仕事をする上で大切なことに気づくヒントが、ノートのあちこちに散らばっていたのです。


  その時から私は、使い終わったノートも絶対に捨てまいと決め、未来の自分のためにノートを取るようになりました。
  会議の内容や、業務に必要なことだけでなく、その時に聞いて感銘を受けた言葉、よく分からないこと、メモを取ったとき自分がどう感じたのかも書いています。
  ノートを見直すと、感銘を受け自分も他の人に伝えたい言葉の正確な言い回しを確認でき、「この頃はこんな事も分からなかったのだな」とノートを書いた時より成長した自分を感じることもあります。ノートに書かれた「がんばるぞ」という自分の意気込みに励まされることもありました。


  私が社会人になってから今日までに使い終えたノートは21冊。随分多くなりました。それでも冒頭にご紹介した上司の言葉が書いてある1冊目のノートを今でも時々見直します。そして、1冊目を見直すたびに、とても残念な気持ちになります。ノートの重要性に気づく前にノートに書き損ねた事や、新入社員だからこそ言ってもらえた言葉がきっとたくさんあっただろうと思うからです。
  耳にした時はピンと来なくても、時が経って経験を積んでから、意味を理解できることがあります。ところが、かなしいことに理解できる時になって思い出そうとしてもなかなか正確には思い出せないものです。


  今月から社会人としてのスタートをした新入社員の皆さん!
  新入社員研修の期間中も配属後も、たくさんの先輩から話を聞き、たくさんのことを学ばれると思います。
  そのすべてをノートに記録するのは、大変だし面倒な作業だと思われるかもしれませんが、ぜひどんどんノートを取ってください。今は意味の分からない言葉、ぴんとこないフレーズが、近い将来、必ず自分の財産になります。


  グローバルナレッジでは、企業ごとの人財育成計画にそった形で新入社員研修の計画段階から、準備、実施、評価・フィードバックまですべてのフェーズにおいてお客様を強力にサポートするサービスを提供しております。



森 美緒(もり みお)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育トレーナー。
1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。商社での秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。
2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。


[新人社員研修][2007年4月24日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第13回 たくさん読んで、たくさん書く
執筆:田中 淳子

  それほど混んでいない時間帯に乗り込んだ電車で、いつものように本を取り出し読み始めました。なんとなく周りの雰囲気がいつもと違う、と顔を上げ、見回すと、私の近くに立っている5~6人が全員、本を読んでいたのです。携帯電話をいじっている人に囲まれることの多かった最近にしては、非常に珍しい光景でした。同時に、「ああ、まだこんなに本を読む人がいるんだな」と嬉しくも感じたものです。


  最近、若手社員の「文章力を強化する方法」を指導してくれないかという相談が増えています。上司やリーダーに提出する報告書、議事録、その他日常のメールなどにおいても、「何を伝えたいのかわからない文章が多い」といいます。「事実の羅列だけになっている」「報告なのか相談なのか意図がわからない」「そもそも文章として成立していない」などという問題が、主に若手社員の間で起こっているようです。おそらく、"誰に何をどう伝えればよいのか"が自分でも明らかになっていない状態で書くため、読み手にとっては、意味不明の文章になってしまうのでしょう。
  こういう若手社員に「新聞や本を読みますか?」と尋ねるとたいてい「新聞は読んでいない」「本は年に1冊も読むか読まないか」といった答えが返ってきます。これでは、文章力を高めることは難しいでしょう。


  文章力をつけるためにすべきことは3つあります。「たくさん読むこと」「たくさん書くこと」「人からフィードバックを受けること」です。多くの文章を読み、どういう文章が読みやすくわかりやすいか、逆にどういう文章が読みづらくわかりづらいかを体験する。自分で多くの文章を書いてみる。そして、第三者に添削してもらったり、フィードバックを受けたりする。こういう地道な努力以外に文章力を強化することはできません。これは、料理の腕を上げるための方法と似ています。
  おいしい料理を作るためには、色々な料理をたくさん食べ、どんな料理がおいしいか、どんな料理がおいしくないのかを体験的に知る必要があります。おいしい料理を食べたことがなければ、どういう味を目指せばよいのか見当がつきません。また、自分が作っている料理がおいしいのかおいしくないのか、なかなか自己診断できないことでしょう。試行錯誤しながらも多くの料理を作り、誰かに食べてもらい、評価してもらう。そうすることで、徐々に自分の味が決まってくるのです。


  文章を読まなければ、自分の文章をよくするための基礎力がつきません。とにかく、まずは文章を読むこと。新聞でも、雑誌でも、本でもいい。食わず嫌いにならず、色々なジャンルの文章を読んでみる。慣れないと1冊の本を読み通すのですら1ヶ月以上かかってしまうかもしれません。それでも懲りずに続けていれば、少しずつ読む癖がつきますので、読むスピードも速くなってきます。できるだけ多くの本を読むことで、どういう表現がわかりやすいのか、読みづらいと感じるのはなぜかなど自分なりに分析もできるようになります。そうやってたくさんのインプットを得た後に、自ら文章を書いてみれば、どこがよくてどこが悪いのか自分でも判断ができるようになります。


  部下や後輩に本や新聞など文章を読む習慣をつけさせるためには、上司や先輩などの力が必要です。たとえば、「こういう本があるけど読んだ?」と仕事に関係ある本について話題にしてみる、「これ、読み終わったからあげるよ」と本をプレゼントする、あるいは、始業前や昼休みなどに新聞を広げて読んでいる姿を見せるなど、範を示されると、それを見て部下や後輩は刺激を受けるようになります。部下や後輩の文章力について嘆く前に、まず上司や先輩が背中を見せなければなりません。
  その文章は「紙に印刷されたものである」こともポイントです。インターネットでニュースを読んでいるからいい、というのではなく、紙の新聞で記事を読むことで、自分が見たいものだけでなく、多くの情報が手に入ります。それだけ、多くの文章にも接する機会が増えるからです。時代に逆行するかもしれませんが、私は、あえて「紙で文章を読む」ことを大切にしたいと考えています。


  私たちヒューマン・スキルの講師陣は、読んだ本をExcelシートに記録し、全員で情報を共有しています。互いにどんな本を読んでいるか理解し合えますし、他のメンバの評価を確認してから、その本を読むか読まないかを決めたりする場合もあります。メンバ同士で読んでいる本の情報を常に共有し、「いろいろな本を読もう」という意識を高めあうのに役立っています。


  読書の秋がやってきました。今日は、本屋さんに立ち寄って、1冊手にとってみませんか?


* 「新入社員フォローアップ研修」(HS0054CG)
  多くの企業では1月~3月の間に、新入社員向けフォローアップ研修を実施します。新社会人としての1年を振り返るだけでなく、2年次に上がる自覚を高めるために開催されます。仕事の棚卸やスキルの再確認などを行ったり、文章力や会話力のスキルアップを図ったりするカリキュラムです。企業ごとに異なるニーズがありますので、ご要望にあわせてアレンジして実施することが可能です。


★「田中淳子のわくわくヒューマン・スキル」は、次回から「わくわくヒューマンスキル」としてグローバルナレッジのヒューマン・スキル担当講師陣が持ち回りで執筆いたします。どうぞお楽しみに。

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 


[新人社員研修][2006年10月23日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第9回 新入社員のOJTを成功させる秘訣
執筆:田中 淳子

  ITエンジニアとして採用された新入社員が各部署に配属され、職場でのOJT(On the Job Training)が始まるのはたいてい6月~7月です。
  グローバルナレッジでは、OJTトレーナー(新入社員の指導担当者として人事部や上司などから任命された人)とOJT制度を支援するために、いくつかの研修プログラムを行っています。研修を通じて各社のOJTを見てきた経験から、OJTを成功させるための秘訣を3つ挙げてみましょう。


1.職場全体を巻き込む
  新入社員をきちんと育てるためには、OJTトレーナーの「教える意気込み」や「上手な教え方」「きめ細かい接し方」などが不可欠です。ただ、育成の全てがOJTトレーナーの責任かといえばそうではなく、職場の上司やOJTトレーナー以外の先輩社員も新入社員の育成に少なからぬ影響を及ぼしていることを忘れてはなりません。
  「新入社員は、職場全体で育てるのだ」という意識を部門内で共有し、OJTトレーナーだけではなく、上司や他の先輩も皆で新入社員を見守り、指導し、時には褒めたり、注意したりしていかなければなりません。
  OJTがうまく行かない例がいくつかあります。
  例えば、「専任のOJTトレーナーがいるのだから、私が口出しすることはあるまい」と他の先輩が新入社員と距離を置く場合があります。こうなると、新入社員の育成は、OJTトレーナーひとりの肩に重くのしかかかってしまうことになります。
  OJTトレーナーが出張や休暇で不在になると、新入社員が放置されてしまうという問題もよく起こります。OJTトレーナーの不在期間は、育成の代行を決めておくことで、新入社員が放っておかれるという事態を防ぐことができるのです。
  「職場全員で育成する」風土を醸成するために、「OJTのキックオフミーティング」を開くこともお薦めします。これにより「どんな人材に育成したいか」「日ごろどのように接するか」など社員間で意識を合わせることができるからです。


2.自分が育てられた時代や環境に固執せず、新入社員を受け入れる
  長いキャリアをお持ちの方から「部下をどう褒めればよいかわからない」、「きつく叱ってはいけないのか」、「黙って言う通りにしろというのはダメなのか」などと言われることがあります。また、「自分が若い時は上司の指示通りに仕事をした。いちいち目的など聞かなかったが、今の若手社員は "なぜですか?" "目的は?" と聞き、理由がわからないとなかなか動かない」と嘆く声も聞きます。確かに、少し前までは、部下は上司の言う通りにすること、先輩の指示に従って後輩は動くことが当たり前だったのかも知れません。若いうちは理由など考えず、ただがむしゃらに邁進すればよかった時代もあったでしょう。
  しかし、時代と共に、新入社員の考え方は変わってきています。ここ数年は特に、「仕事を通じて自分の成長を実感したい」「きちんと納得した上で仕事に取り組みたい」と考える人が増えています。育成する側もそういった考え方や職業に対する態度の変化に対応していかなければなりません。
  年長者は、おそらく、自分が習ってきたのと同じように新入社員と接してしまうのでしょう。ところが、新入社員の反応は、想像と異なっており、そのことに戸惑いを感じてしまうのです。ベテランが育った時代にはその時代ならではの方法があり、現在の若手が育つためには、それに合った別の方法がある。これはどちらがよいとか悪いと言った話ではなく、互いにそれぞれの方法を受け入れることがもっとも建設的な気がします。
  上司や先輩は頭を柔軟にして、その時その時代に合った方法で新入社員の育成に取り組んでいく必要があるのです。


3.OJTトレーナーに発散の場を
  OJTトレーナーは、日々「育っていく新入社員を見守る楽しみ」を感じると共に、「大変さ」も味わっています。
  たとえば、あるOJTトレーナーは、何度話しても理解してくれない新入社員に、どう対応すればよいのかと悩んでいました。新入社員が作成した書類の改良点を指摘しただけで激しく落ち込んでしまったため、徐々に「腫れ物に触るような」接し方しかできなくなったと困り果てている人もいました。もちろん、慣れない環境に置かれた新入社員の悩みも大きいのですが、教え育てる責任を持っているOJTトレーナーのストレスも相当なものなのです。OJTトレーナーとして苦労していること、心に思っていることなどをどこかに吐き出し、すっきりしたいこともあります。
  ある企業ではOJTトレーナー全員を毎月1回集めて、情報交換する場を設けています。進捗の確認ができるだけでなく、OJTトレーナー同士で気持ちが共有できることも意義のひとつです。「実は私も同じことで悩んでいた」「僕もそのことで随分苦労したんだ」――。OJTで遭遇した色々な悩みや問題を分かち合えるだけで、随分気が楽になります。
  こういった情報交換の場を作れなくてもできることはあります。職場の上司や先輩が、OJTトレーナーの話を時々聞いてあげることも、OJTトレーナーのモチベーション維持に役立つのです。


  希望に燃えて社会人になった新入社員。「後輩を育てる力がある」と見込まれて任命されたOJTトレーナー。それぞれが楽しく充実して過ごし、共に成長していくことができるよう、職場全体でOJTを支援していきたいものだと思います。


★グローバルナレッジでは、OJT制度を支援する以下の研修を実施しております。詳細は、担当営業かフリーダイヤル0120-009686 田中、高橋までお問い合わせください。


●『OJT担当者向けワークショップ』(HS0056CG)
OJTトレーナーに任命された方が、何をいつどんな風に教え、育てればよいのか学ぶワークショップです。
●『OJT担当者上司向けセミナー』(HS0057CG)
OJTトレーナーの上司向けセミナーです。OJTの支援方法を理解し、新入社員やOJTトレーナーにコーチングするためのスキルを学びます。
● 『OJT担当者向けフォローアップ研修』(HS0055CG)
OJTが半年ほど進んでからのフォローアップ研修です。OJTトレーナー同士で課題を持ち寄り、残り数ヶ月のOJT期間でできることを決め、翌日からすぐ実行に移します。

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 


[後輩指導・OJT新人社員研修][2006年6月23日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第7回 体験談に目を輝かせる新入社員たち
執筆:田中淳子

  2006年度の新卒新入社員を迎えられた企業も多いことと思います。毎年、各社の新入社員研修を担当しますが、今年2006年の新入社員は、総じて真面目で前向きです。
  私は、ビジネスマナーなど研修の初期段階で行う研修を担当することが多いため、新入社員とは入社数日後の「社会人になりたて」時点に会うことがほとんどです。


  ある企業様では、ビジネスマナーや営業から製造・納品までの仕事を疑似体験できるコースを実施しました。この研修では、ビジネスマナーや顧客との関係構築などについての講義と演習がありますが、その合間に私自身の体験談も話すようにしました。新入社員時代に上司に「笑顔で挨拶していない」と叱られた話など具体的な出来事を紹介しました。今年の新入社員は、こういう「体験談」を真剣に聞いてくれます。研修レポートでも「体験談をもっと聞かせて」というリクエストが多いのには驚きました。20歳も年の離れた講師の体験談など、「関係ない」「つまらない」と思うのではと危惧していましたが、真剣に耳を傾け、ノートをとるのです。


  その企業様では研修後の夜、2年目の先輩を交えた懇親会を企画されました。そこでも新入社員は、1年先輩にあたる社員に色々な質問をし、熱心にメモを取っていました。「今はどんな仕事をしているのですか?」「土日はどんな風に過ごしていますか?」「どんな勉強をしていますか?」「残業は多いですか?」などあらゆることを尋ねています。
  中には、「こんなことを聞くのはなんですが、身体を壊したことはありますか?」といったものもありました。
  彼女は、「"SEは身体を壊して一人前"と聴いたことがある」と真顔で尋ねるのです。
  聞かれた先輩は、「私だけじゃなくて、誰も身体壊した人はいませんよ。」と答えていました。


  こういった質疑応答は微笑ましいものですが、新入社員にしてみれば、「仕事とはどんなに大変なのか」「辛いのだろうか」と多くの不安があるのでしょう。そんな中で先輩が、明るく楽しく自分の仕事を語っていたことに、新入社員は、とても感動したようです。この時の懇親会について、後日、レポートにはこんなことが書かれていました。



  • 「先輩が私たちの目をまっすぐに見て、堂々と自分の仕事について語ってくれた。たった1年しか違わないのに、カッコいい。」

  • 「先輩が楽しそうに仕事の説明をしてくださった。自分も一日も早く、あんなふうに楽しそうに仕事を語れるようになりたい。」


  後輩は、先輩が明るく堂々と自分の仕事を語る姿を見て、不安を払拭できたようです。「1年後」の自分の姿をイメージしやすいこの懇親会は大成功であったと思います。
  社会人になったばかりというのは、多くの不安や疑問を抱えています。「今は、同期同士でまとまって研修を受けていても、配属後ばらばらになる。一人でやっていかれるだろうか?」といったことも心配でしょう。
  講師が、実務での体験を話すと、「そういうことがあるんだな」と講義内容と実務のイメージを結びつけるのに役立つようです。若手の先輩社員が語る現場の話は、「数年後の自分」を疑似体験できるよいきっかけにもなります。
  日常生活で年長者から話を聞く機会は、減っています。だからこそ、どんな話でも新鮮に映るのかもしれません。体験談、現場の話をどんどん聞かせることが、先輩の仕事の一つなのだと思います。


  ただし、体験談にはタブーもあります。「自慢話」と「お説教」です。いくら体験談だとは言え、「だから私はこんなに立派になった」とか「私もこうしてきたのだから、キミたちもこうしなければならない」といった話では、「そんなこと言われても時代が違う」、「先輩と私は違う」などと思い、気持ちが引いてしまいます。「自慢話」と「お説教」を避け、純粋に自分の体験談を話す。成功談はさらっと、失敗談は、臨場感を持って語るとよいようです。
  新入社員が配属されるのを楽しみ待っている先輩の皆さん、後輩に語れる「体験談」を今のうちに整理しておいてはいかがでしょうか?

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

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『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

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[ビジネスマナー新人社員研修][2006年4月20日配信]

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