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わくわくヒューマンスキルコラム
第62回: 「突っ込み力」を強化する
執筆:田中 淳子

参加者同士でディスカッションする演習が多いワークショップ型の研修を進めていると、必ず起こる現象があり、進行する講師としてとても気になります。「話がどうしても抽象的になってしまう」のです。

 

たとえば、「顧客との信頼関係を高めるには何をすればよいか」を議論し、結果を模造紙に書く演習を行ったとします。

  

すると、

「約束を守ることは大事だよねぇ」

「そうだね、約束は守らないとね」

  

「対応が早いに越したことないね」

「確かに、早く対応しないと怒られちゃうこともあるし」

  

という会話が交わされ、模造紙には、こう記載されます。

  

===============

「顧客との信頼関係を高めるためにすべきこと」

 

●約束を守る

●早い対応

 

==============

 

グループごとの発表では、「私たちのグループでは、"約束を守る"ことと"早く対応すること"が挙がりました」という説明だけで終わり、具体的な例が挙がらないこともあります。

  

演習をし、成果を出したようでいても、これでは不十分です。

 

まず、ディスカッションをしている最中に、きちんと掘り下げた会話をしなければなりません。

  

「約束を守ることが大切だね」という発言が出たら、誰かが、「たとえば、どんな約束のことを念頭に置いている?」「守れない場合があったら、どうすればいいのかな?」などと掘り下げていく必要があります。

  

模造紙に書く際も同様です。

  

●約束を守る 

  

と記載するだけではなく、たとえば、

 

例)自分が約束した回答期限を厳守する。守れない場合は、2日前までに連絡を入れ、いつ回答するか再度顧客に伝える

  

などと具体的に状況を添えるようにします。

  

もし、そこまで書く時間がなければ、せめて、口頭での説明で補足することが大事です。

  

まとめる側の責任だけではありません。聴き手も「具体化されていない」ということに気づき、突っ込んで質問する必要があります。

  

「約束が守れなくなったときに顧客との関係がこじれた体験はありますか?」「それは具体的にはどんな状況だったか教えてください」など、抽象的な内容を映像としてイメージできるくらいまで掘り下げていくのです。

  

そうやって、説明者側も聴き手側も「具体的に」「具体的に」と心掛けていかないと、議論がどうしても抽象的で、実務に応用できないような内容で終始してしまいがちです。

  

こういう「掘り下げる力」を私は「突っ込み力」と呼んでいます。年齢を問わず、この「突っ込み力」を発揮するのは難しいようです。

  

どういうわけか、皆さん、他者の話を聞きながら、簡単に納得してしまうのです。「早い対応は大事」と言われたら、自分の頭の中にあるイメージと結びつけて、「うん、そうそう!対応は大事だよね」と頷く。実際には、「何を対応するのか?」も「早い、とはどのくらいの時間を指しているのか?」も明確になっていないのにも関わらず、です。

 

  

では、どうすれば「突っ込み力」を高められるのでしょう?

  

誰でも出来そうなコツを紹介します。

  

●形容詞、副詞を具体化する

「早く」と言われたら、「何時間で?何日で?」と尋ねてみる。「かなり増えた」と言われたら、「どのくらい増えたのか?」と掘り下げる。

  

●感覚的な言葉を具体化する

「これが大変だ」と言う発言に対して、「大変、とは、どういう意味か?」「何がどう大変と思うのか?」と突っ込む。

 

これらを「明確にする」「具体的にする」と意識するだけで、ずいぶん、「突っ込み力」を向上させることは可能です。

  

ところで、これは、仕事の会話においてであって、プライベートな関係であまり鋭い「突っ込み力」を発揮するのはお薦めしません。

  

たとえば、「今日は、久しぶりに会った同期と盛り上がっちゃって遅くなった」というパートナーに向かって、「同期って誰と誰?」「久しぶりって、何年ぶりなの?」「盛り上がった、って、どういう話をしていたの?」などと聴いてしまうのは、無粋ですし、あれやこれやと物議をかもす原因にもなりかねません。

 

「突っ込み力」はあくまでも仕事の場で発揮し、プライベートライフでの「突っ込み」はほどほどに、ですね。

 

 

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田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』、『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【対談連載】 
ITpro ヒューマンスキル特別対談-『行き詰まり感』を打開するコツ- (田中淳子×芦屋広太)

  

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[ファシリテーション][2010年11月25日配信]

 

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