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わくわくヒューマンスキルコラム
第33回 会議の空気
執筆:森 美緒

  KYという言葉が2007年度の流行語大賞にノミネートされました。「空気が読めない」の略語だそうです。ファシリテーション・スキル(※)の研修中にもこの「空気を読む」というキーワードがよく話題になります。


  ※ファシリテーション・スキルとはチーム活動を促進、支援するスキルです。ファシリテーションする人をファシリテータと言い、ビジネスでは会議運営やチーム活動を円滑にし、より良い成果を出すことを目指します。


  実は、ファシリテータが会議参加者の発言や雰囲気、表情、態度などからその情況を把握できる(空気を読める)と、会議室内に良い空気を作り出すことができます。


  例えば、以下の会議を想像してみてください。


  皆さんは現場マネージャとして業務改善提案の会議に参加しています。ファシリテータは資料を元に改善項目とスケジュールを説明しました。その提案内容によると、スケジュールが厳しい上に、通常業務をこなしつつ改善活動も行うことは現状ではとても不可能です。決定したとしても、計画通り進むとはとても思えません。
  説明が終わり、ファシリテータは参加者全員に向かって意見を求めました。自発的に発言する参加者はいなかったので、ファシリテータは参加者Aさんを指名しました。Aさんは、他の人が発言しない様子から、この提案は受け入れるべきなのだろうと判断し、「この内容でもいいと思う」と発言しました。ファシリテータは「ご賛同ありがとうございます」とお礼を言いました。さらに、参加者Bさんにも発言を求めました。みんなが何も言えないなら、自分が発言しなければならないと判断したBさんは「内容はよいが、スケジュール的に問題がある。現場の現状を考えると難しい」と意見を述べました。ファシリテータは「始める前から不平・不満を言うのは良くないので、できるだけ建設的な意見をお願いします。」と注意しました。その後、AさんBさんに続く発言はなく、「他にご意見がないのでこの内容で決定します。業務改善の実施に向けてご協力よろしくお願いします」とファシリテータがまとめました。


  皆さんが参加者だったとしたら、この会議の空気の中でどんな発言をしますか?いずれにしても納得感をもって参加できるかを考えたら、あやしいかもしれません。さて、少し状況を変えてみましょう。


  もし、ファシリテータが次のような対応をしていたら、どうでしょう。


  Aさんが「この内容でもいいと思う」と発言した時、「この内容でも、ということは、何があればもっとよい内容になりそうですか?」と尋ねる。Bさんが「スケジュール的に問題があるのではないか?現状を考えると難しいと思います」と発言した時、「どの辺りが難しそうですか?どんな影響がありそうですか?」と掘り下げる。こうして2人の意見をホワイトボードなどに書き、「他にも懸念事項は何かありませんか?」と質問する。


  これだけで、ぐっと発言しやすくなりますね。


  ファシリテータの仕事は、会議を自分が準備した手順で時間通り終わらせることではありません(まして参加者に対して一方的に結果を押し付けることでもありません)。全員の意見を共有し、全員が最大限の力を発揮できるよう支援することで、参加者全員が納得できる成果を出すことがファシリテータの役割なのです。そのためには会議時の空気は参加者が発言しやすいに越したことはありません。お互いに言いたいことを発言し、相手の意見を聴き、その上で合意したことが成果になり会議に参加した意義になっていくのです。冒頭で申し上げたとおり、ファシリテータは参加者の空気を読み、会議全体の空気を作る必要があります。


  会議室内の空気は、参加メンバだけが作っているわけではありません。確かに役職者や発言の多い人など特定の人の発揮する影響力が大きくなることはあるかもしれませんが、空気作りに最も大きく影響するのは、やはり、ファシリテータです。 会議室に参加者の運び込んでくる個々の空気を読み、何でも言いやすい場を作ることができれば、参加者の発言は確実に増えます。さらにファシリテータは他の参加者へ発言の輪を広げたり、発言を掘り下げたりと、議論を活性化させることができます。納得できる成果を出せたなら、会議は誰にとっても充実感のある楽しい場になるでしょう


  グローバルナレッジのファシリテーション・スキル研修では、意見を引き出すスキル、掘り下げるスキルなど発言を引き出すスキルをご紹介しています。実践的な演習を通して、普段のご自身のファシリテーション・スキルを再確認し、スキルアップにお役立てください。


グローバルナレッジでは、「コミュニケーション」を軸に、様々な仕事を進める上で必要なスキルを研修のコースとしてラインアップしています。技術や知識をより活かすためのヒューマン・スキルをブラッシュアップしてみませんか?



森 美緒 (もり みお)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。 産業カウンセラー。
1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。商社での秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。
2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。


[ファシリテーション][2008年6月24日配信]

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