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わくわくヒューマンスキル
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わくわくヒューマンスキルコラム
第122回:ある日突然「講師」を頼まれたら
執筆:田中 淳子

最近、研修は「双方向に進める」「参加型で学ぶ」のが当たり前になってきました。
これは、プロの講師による研修に限った話ではなく、以下の例のような場面で一時的に講師役を務める方でも同じです。

  • 社内の研修や勉強会
  • 社外向けの講演やセミナー
  • 朝活やアフターファイブでの私的な勉強会

ここで問題なのは、そうした研修(あるいは勉強会やセミナー)の設計と運営です。

これまで講師役の人に必要なのは講義力でしたが、双方向、参加型にするためには現場での対応力=ファシリテーション力も鍛えておかなければ難しくなります。

本番での振る舞いなどがそれなりに予想できる「講義」と違って、双方向の体験や演習が中心になると参加者の発言や振舞いなど、予想外の事態も多くなるためです。


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研修や勉強会でファシリテーションが必要とされる場面をディスカッション形式の演習を例に考えてみましょう。

1)ディスカッション中
<起こりうること>
  • 講師が「さあ始めましょう」と声を掛けても、参加者がすぐ動けない
  • 議論が迷走し、方向性がおかしくなっていく
  • 役割分担のあみだくじを作るのに時間がかかり、議論が進まない
<考えられる対応>
  • 講師はその場で起こっていることをよく観察する
  • タイムリーに支援する
  • 場の流れを見守り、どこで介入するのか判断する

2)成果の発表
<起こりうること>
  • 誰かの意見に集約した成果物ができている
  • グループごとに発表て終了する
  • 何らかの新しい学びや気づきが得られない

<考えられる対応>
  • コラボレーションがうまく機能しているか声を掛けてみる
  • 参加者から感想やフィードバックを引き出す
  • 講師ならではの視点でコメントし、新たな気づきを得られるよう刺する

このように、その場をきちんと見守り、リードし、時に活動を支援し、期待される成果へと導くこと、すなわち「ファシリテーション力」がイマドキの研修や勉強会を実現するために重要なスキルなのです。



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研修講師や勉強会の運営をしているすべての方にお薦めのコースです。オープニングをどうするか、参加型の研修や勉強会をどう進めるか、どのようにまとめ、終わるか、といったことを知識とスキル両面から体験的に学習します。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) 

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント
1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いできたが、2016年国家資格キャリアコンサルタントを取得したことから「働く大人のキャリア開発支援」にも積極的に取り組んでいる。


【ブログ】  ・アイティメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)※同僚の都川信和との共著です  
『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
など

【現在連載中】  
社会保険出版社 『四季のけんこう』にて「コミュニケーションの小箱」連載中  


[ファシリテーション人材開発][2017年5月18日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第79回:「ファシリテーションをマンション管理組合で使ってみた」
執筆:高橋 俊樹

ビジネスでは、会議や顧客との打ち合わせ、アイディア出し会議など、仕事を進めていく上で話し合う場面が数多くあります。


しかし、「何も決まらない」「決定されたことを聴くだけ」「影響力ある人の意見で決定される」などの話し合いが多いのも事実です。「今日もこれから会議だ!」と嬉々として会議室に向かう人よりも、「また会議か、参ったな」とぼやきながら向かう人の方が多いのではないでしょうか。


上記問題を解決し、話し合いを円滑に、納得感のある成果を効率よく出すために「ファシリテーション」というスキルを使うことができます。話し合いの場で使うスキルですから、ビジネス以外の場でも役立てることができます。


今回は、あるマンション管理組合の理事会で、ファシリテーションを役立てたドグロさん(仮名)の事例をご紹介いたします。
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●マンション管理組合理事会が抱えていた問題点
1. 話し合い
 ・議論は記録をとらず口頭のやりとりのみ

2. コミュニケーション
 ・理事長など一部のグループが、他の理事の意見や想いを最後まで聞かない

3. コンセンサス
 ・理事長独断で実行(その結果について住民から反発の声も出ている)
 ・決定したものも基準がなく迷走しやすい(最後は多数決で納得感がない)


●上記1-3の問題に対してそれぞれ試してみたこと
1. ホワイトボードを活用して話し合いの内容を視覚化
2. 理事会としてのルール設定
3. 成果を明確化して、その成果について全員の合意を得て議論を開始


●実践した結果
1. ホワイトボードの活用
口頭での意見を書き出したことで、分かりやすく議論しやすいと好評。さらに様々な意見を視覚的に見ることで、話し合いの内容もコスト?信頼性?など、今までにはない建設的な議論に発展した(これまでは理事長の意見に流されやすかった)


2. ルールの設定
「全員必ず発言すること」「発言者に対して批判的にならないこと」「各アジェンダ議論終了後に皆で成果確認をすること」という理事会でのルールを設定。全員が守ることで、人の意見を最後まで聞くなど理事全員の態度が、話し合いやすい態度に変化した。


3. 成果の明確化
理事会スタート時に、各議事項目に対する成果(ゴール)は何かを全員で話し合って決定してから開始した。その結果、効率よく議論も進み、時間短縮に大きく貢献した(最長4時間30分、平均3時間の理事会が2時間弱で終了)


上記を実践した結果、理事全員が話し合いに参加し、成果に対する確認を都度行うことで納得していただけたとのことです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「使ってみた」


知識やスキルは使ってこそ価値があります。ただ持っているのではなく、様々な場面で実際に使うことが、直面する問題の解決や自分自身のスキルアップにつながるからです。


特に、私が事例の中で感銘を受けたのは、ドグロさんの姿勢です。実は、理事会の場でドグロさんが上記案を試してみたいと提案した所、理事長から「わざわざ書かなくても分かるだろう」などと否定的な意見を言われたそうです。しかし、ドグロさんは「とりあえずやらせてほしい、そしてその評価は最後にお願いします」と要望して実践されたのです。


周囲を巻き込んで何かを実践しようとすると、そのためにはかなりのパワー(気持ちに関する)が必要です。そのパワーを発揮して、実際に「使ってみた」ことがとても素晴らしいと感じました。皆さんは


「使っていますか?」


高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている
2010年4月まで日経BP、ITproのselfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載

[ファシリテーション][2012年4月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第75回:会議で意見を真剣に聴く効果
執筆:飯嶋 秀行

皆さんは、今週、何回ぐらい会議に参加しましたか?
多い人だと、一日の大半の時間を会議でつぶされてしまうという方もいらっしゃるようです。

研修に参加したリーダーの方に、「会議で困っていること」を挙げていただきました。
「若手から発言が少ない。聞き役に徹している人が多い」
「いつも自分が一人でしゃべっている」
「言いたいことがあっても本音で発言してくれない」
「遅刻してくる参加者も多く、時間通りに開始できない」
「事前課題に取り組んでもらえない」
「議論があいまいなまま終わってしまい、結論が出ない」
「会議で決まったことが実行されない」
等など、このテーマでディスカッションしていただくと、たくさんの意見が出てきます。
話が盛り上がる理由は、問題のある会議については、みなさん実体験をお持ちだからでしょう。


研修に参加されるリーダーの方は、会議について以下のような問題意識をお持ちのようです。
「対面で意見交換をする会議には、多くのコストが発生している」
「お互いに貴重な時間を使って、行う会議だから、是非コストに見合った成果を出す必要がある」
 リーダーの立場にいる方、つまり会議を変える力のある方は、以上のような問題意識を持って、何とか問題のある会議を改善していきたいと考えています。そのためには、
「ファシリテーションという考え方を会議に取り入れることが有効ではないか?リーダーである自分がファシリテーションスキルを身に着けて、問題のある会議を改善できるようになりたい」
その思いから、ファシリテーションの研修にご参加いただいています。


ファシリテーションとは、チームで行う活動がうまく進行するように、メンバーの力が最大限に発揮できるよう支援することです。
会議にファシリテーションを導入することで、以下のような効果が期待できます。
・参加者は事前に会議の目的、目標を理解し、十分な準備をして参加できる
・会議中は、全員が積極的に参加し、率直な意見交換ができる
・時間通りに開始し、その時点での結論を明確にした上で時間通りに終了できる


以上のような効果を実感するために、研修の中では、多くのファシリテーションスキルをお伝えしています。実際に模擬会議のファシリテーターを担当し、会議終了後、他の受講者から、参加者の視点で、フィードバックを受けるという手順で体験します。


2日間の研修の最後に、参加者の方に、お一人ずつ感想を話していただく場面があります。
「色々なファシリテーションスキルを実際に試しみて、一番印象に残っていること、気づいたことは何でしょうか?」
「参加者の発言を、きちんと聴いていなかったことに気づきました」
「そう、私も、若手の意見を受け止めていなかったことがよく分かりました」
「若手の発言が少ないのは、安心して、発言できる場がなかったからだということを実感しました」


少し意外な感じがしました。
リーダーの方は、自分がファシリテーションスキルを身に付けて、会議でリーダーシップを発揮することで、問題会議を改善できると考えがちだからです。
ここでも、ファシリテーションに関する個々のスキルやテクニック、フレームワークなどの話が出るのかとおもいきや、リーダーの方が一番印象に残っていることは、「いかに、自分がメンバーの話を聴いていなかったか」ということでした。
「自分が発言している時に、ファシリテーター役がじっくりと聴いてくれると、すごく尊重されている気持ちになるし、促されてどんどん話をしている自分に気づきました」
「今までは、会議で部下の意見を聞きながら、頭の中では、次に自分が何を言うか、会議をどのようにリードしていくかを考えていて、本当に意味で聴けていなかったように思います」


確かにファシリテーションの個々のスキル、テクニックは効果がありますが、土台になるのはコミュニケーションのスキルです。その中でも、まず相手の話を聴くことです。
あなたが、会議で参加者の話を傾聴する姿勢を示すことで、参加者は尊重されたと感じます。自分の話を熱心に聴いてくれた相手に対しては、信頼関係も深まります。
この会議の場ではどんな意見でも受け止めてもらえるという安心感があれば、自然と意見が出やすくなります。
傾聴することで部下の本音を引き出すことができれば、リーダーにとってもメリットは大きいのです。


まずは自分が主催している会議で、参加者の意見を真剣に聴くことから始めてみませんか。

[コミュニケーションファシリテーション][2011年12月20日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第70回:いまいまで、ほぼほぼ、ガラガラポンです
執筆:高橋 俊樹

ある会議の場にて

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「じゃ早速だけど、前田さん、先日の件の進捗はどんな感じ?」
「そうですね、いまいまの時点では進捗通りですね」
「そうか、じゃあ何かあったら言ってくれるかな」
「大島さんはお願いしていたデータの集計はできたかな?」
「はい、ほぼほぼできています」
「助かるよ、先にできたデータとがっちゃんこしたいのでなるはやで頼むよ」
「わかりました。マージできるように早急に仕上げます」
「ところで篠田さんは、先週、営業待ちと言っていた件はその後どうなった?」
「実はですね、営業側で一旦ガラガラポンするってことになったみたいで...」
「あぁそう、参ったね...。営業にまるっとお願いしてたからね」
「ホント参りました。営業の秋元部長マターになっているみたいで、こちらでは何も手を付けられない状態なんです」
「そうか。営業には一丁目一番地でやってほしいんだけどなぁ。ま、僕から秋元さんに言っておくよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


私たちは業務の中で多くの時間を会議に費やしています。
顧客との打ち合わせや何かを決定する会議ではかなり具体的に話を進めていても、いつものメンバで行っている定例の朝会や進捗会議などではそうではないことも多いようです。
事実、冒頭の会話例のように、「分かるようで実はよく分からない」曖昧な言葉を使ってのやりとりが多いという話を色々な方から伺います。では、何が言いたいのかよく分からない/具体的に何も決まらない会議を改善するにはどのようにしたらよいのでしょうか?


「ファシリテーション(facilitation)」という手法が上記の問題解決に役立ちます。
言葉を聞いたことがある方も多いことでしょう。ファシリテーションには「促進する」という意味から、参加する人々の協働を促進したり、手助けしたりすることを指します。
会議などの効率を高めたり、参加者の納得感を引き出したりするための手法として利用されており、実際に多くの企業で会議をファシリテートするための訓練や考えを取り入れています。具体的には、事前準備のポイントや開催通知の工夫、進行上のポイント、意見を引き出したり、まとめたりするためのテクニックなど多岐にわたります。


このファシリテーション・スキルを上手に用いるための前提があります。
それは、私たちが意思疎通のために相手とのやりとりで使用しているのは言葉によるコミュニケーションだという点です。


ビジネスでは相手から「つまりどういうこと?」と問われます。何故なら抽象度が高い言葉をそのままにしていると、意味を取り違えたり、話が曖昧なまま進んだりしてしまい、具体的な行動に移せないからなのです。せっかくの時間を割いての会議やミーティングが、結果としてうやむやな内容になり、期待する行動や成果につながらないのでは意味がなく勿体ないことです。会議体はもちろん、それ以外に於いてもお互いが相手の話から具体的に行動できるようなコミュニケーションを第一に心がけて行くことが大切なのです。


そのためには具体的なコミュニケーションを心がけるだけでもわかったつもりになりがちな会議を改善することができます。その上でさらによい会議などが運営できるように様々な工夫を取り入れてみましょう。


冒頭の会話に戻ります。会議では7月に配属されたばかりの新入社員である江口さんが議事録係に任命されていました。自分が知らない専門用語や技術用語がたくさん出てくると身構えて出席したのですが・・・それ以前に不思議な日本語で頭がいっぱいになってしまったようです。

 
―「いまいま1 」?それって今とどう違うの?
―「ほぼほぼ2 」って「ほぼ」より100%に近いってこと?
―「なるはや3 」ってわかるけどいつまで?
―「マージ4 」がっちゃんこはわかる。でも「まーじ」ってなんだろう?
―「まるっと5 」?なんか不思議な語感。初めて聞いた
―「ガラガラポン6 」意味不明。お金入れるとカプセルが出てくるアレのこと?ええ?
―「マター7 」○○さん来たーなら分かるけど○○さんまたー?
―「一丁目一番地8 」聞いたことがないけど・・・いったいどこの住所なんだろう


皆さんは上記の言葉、全てお分かりになりましたでしょうか?


1 まさに今、強調としての現時点、の意味らしい
2 限りなく100%に近い、という意味らしい
3 なるべく早く。英語ではアサップとも言う。As soon as possibleの略
4 merge:コンピュータ用語でファイルやプログラムを1つにまとめること
5 東海地方の言葉で、「全部」の意味
6 すべてやり直し、という意味らしい
7 Matter:事柄、問題。人や役職のあとにつけて○○の担当、責任などと使われる
8 主に政界で使われ始めた言葉らしく、最優先事項という意味らしい


☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・

グローバルナレッジでは、さまざまなヒューマン・スキル研修をご用意しています。

ビジネス・ファシリテーション
~納得感のある会議、円滑なチーム活動のための話し合う技術~

効果的コミュニケーション・スキル
~効果的な説得、交渉へと導く対人コミュニケーション~

☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・


高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている
2010年4月まで日経BP、ITproのselfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載

[コミュニケーションファシリテーション][2011年7月26日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第62回: 「突っ込み力」を強化する
執筆:田中 淳子

参加者同士でディスカッションする演習が多いワークショップ型の研修を進めていると、必ず起こる現象があり、進行する講師としてとても気になります。「話がどうしても抽象的になってしまう」のです。

 

たとえば、「顧客との信頼関係を高めるには何をすればよいか」を議論し、結果を模造紙に書く演習を行ったとします。

  

すると、

「約束を守ることは大事だよねぇ」

「そうだね、約束は守らないとね」

  

「対応が早いに越したことないね」

「確かに、早く対応しないと怒られちゃうこともあるし」

  

という会話が交わされ、模造紙には、こう記載されます。

  

===============

「顧客との信頼関係を高めるためにすべきこと」

 

●約束を守る

●早い対応

 

==============

 

グループごとの発表では、「私たちのグループでは、"約束を守る"ことと"早く対応すること"が挙がりました」という説明だけで終わり、具体的な例が挙がらないこともあります。

  

演習をし、成果を出したようでいても、これでは不十分です。

 

まず、ディスカッションをしている最中に、きちんと掘り下げた会話をしなければなりません。

  

「約束を守ることが大切だね」という発言が出たら、誰かが、「たとえば、どんな約束のことを念頭に置いている?」「守れない場合があったら、どうすればいいのかな?」などと掘り下げていく必要があります。

  

模造紙に書く際も同様です。

  

●約束を守る 

  

と記載するだけではなく、たとえば、

 

例)自分が約束した回答期限を厳守する。守れない場合は、2日前までに連絡を入れ、いつ回答するか再度顧客に伝える

  

などと具体的に状況を添えるようにします。

  

もし、そこまで書く時間がなければ、せめて、口頭での説明で補足することが大事です。

  

まとめる側の責任だけではありません。聴き手も「具体化されていない」ということに気づき、突っ込んで質問する必要があります。

  

「約束が守れなくなったときに顧客との関係がこじれた体験はありますか?」「それは具体的にはどんな状況だったか教えてください」など、抽象的な内容を映像としてイメージできるくらいまで掘り下げていくのです。

  

そうやって、説明者側も聴き手側も「具体的に」「具体的に」と心掛けていかないと、議論がどうしても抽象的で、実務に応用できないような内容で終始してしまいがちです。

  

こういう「掘り下げる力」を私は「突っ込み力」と呼んでいます。年齢を問わず、この「突っ込み力」を発揮するのは難しいようです。

  

どういうわけか、皆さん、他者の話を聞きながら、簡単に納得してしまうのです。「早い対応は大事」と言われたら、自分の頭の中にあるイメージと結びつけて、「うん、そうそう!対応は大事だよね」と頷く。実際には、「何を対応するのか?」も「早い、とはどのくらいの時間を指しているのか?」も明確になっていないのにも関わらず、です。

 

  

では、どうすれば「突っ込み力」を高められるのでしょう?

  

誰でも出来そうなコツを紹介します。

  

●形容詞、副詞を具体化する

「早く」と言われたら、「何時間で?何日で?」と尋ねてみる。「かなり増えた」と言われたら、「どのくらい増えたのか?」と掘り下げる。

  

●感覚的な言葉を具体化する

「これが大変だ」と言う発言に対して、「大変、とは、どういう意味か?」「何がどう大変と思うのか?」と突っ込む。

 

これらを「明確にする」「具体的にする」と意識するだけで、ずいぶん、「突っ込み力」を向上させることは可能です。

  

ところで、これは、仕事の会話においてであって、プライベートな関係であまり鋭い「突っ込み力」を発揮するのはお薦めしません。

  

たとえば、「今日は、久しぶりに会った同期と盛り上がっちゃって遅くなった」というパートナーに向かって、「同期って誰と誰?」「久しぶりって、何年ぶりなの?」「盛り上がった、って、どういう話をしていたの?」などと聴いてしまうのは、無粋ですし、あれやこれやと物議をかもす原因にもなりかねません。

 

「突っ込み力」はあくまでも仕事の場で発揮し、プライベートライフでの「突っ込み」はほどほどに、ですね。

 

 

☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆・☆

グローバルナレッジでは、さまざまなヒューマン・スキル研修をご用意しています。

 

「ビジネス・ファシリテーション
~納得感のある会議、円滑なチーム活動のための話し合う技術~」

 

「問題解決ファシリテーション
~ファシリテータのための合意形成、利害調整術~」

 

 

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』、『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【対談連載】 
ITpro ヒューマンスキル特別対談-『行き詰まり感』を打開するコツ- (田中淳子×芦屋広太)

  

【Twitter開始】 
「田中淳子のTwitter」 

 


[ファシリテーション][2010年11月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第59回: 関わることの楽しさ
執筆:森 美緒

 先日、あるバンドのライブに行ってきました。バンドの音楽やパフォーマンスがすばらしいのはもちろん(書き切れませんから、このコラムでは省略します・・・)のこと、私にはこのバンドのライブで毎回、感動する時間帯があります。それはバンドの休憩中や、ラストナンバーからアンコールまでの間に起こります。ステージからバンドの姿が消え、照明が落とされ、会場が一時的に静かになると、客席でウェーブが始まるのです。


 ライブに来ている人は、年代も服装もバラバラです。元々このバンドが大好きな人も、たまたま来てみただけの人もいるのでしょう。バンドメンバがステージに登場しただけで涙する人も、どれだけリズムに合わせて、周囲がジャンプしていても腕組みしたままじっと音楽を聞いている人もいます。それでも、ウェーブはきちんとスタンドを端から端まで、ぐるりと続きます。


 ウェーブは、スポーツ観戦でもよく目にする光景でそんなに珍しいものではありません。それでも、毎回私は感動して無意識の内に拍手します。そこには、私が学んだ「楽しみ方」の教訓があるからです。


教訓1 「波を見ているだけより、波に乗るほうが断然、楽しい」
 昔、ライブに初参加した時の私は、周囲がジャンプしていても、大声でステージにいるバンドメンバに声援をおくっていても、静かにステージを観ていました。当然、ウェーブも座ってやり過ごし、参加しませんでした。盛り上がっている雰囲気に気おくれし、自分が部外者のような心もとなさも手伝って、傍観することを選んだのです。ところが、やってみると、信じられないくらい楽しかったのです。たった少しの動作に参加しただけで、会場にいる人と一体感を感じることができました。自分からは、遠すぎて顔も見えない人に、自分の動作が伝わって1つのウェーブになることがこんなに楽しいとは思いませんでした。阿波踊りに、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損、損!」という謡い文句があります。せっかくライブを観るなら、会場の雰囲気に自分を合わせたほうが、結果的に参加度合いが高まり、楽しい気分を味わえるのです。


教訓2 「みんなで何かする時は、みんなの連携が大切」
 ライブ会場には、応援団長のように全体の意思統一をする人がいません。その中で、スタンド、アリーナ(ステージに近い席)どちらともなくウェーブは始まります。
ですから、きちんと自分の周囲を見て連携しないと、ウェーブが来たときに立ち上がるのが遅れ、それこそ、波に乗り遅れた状況になります。自分が乗り遅れると、隣の人もすこし腰を浮かした程度で、立つのをやめてしまい、その結果、ウェーブは途中で途絶えてしまいます。動作自体は単純でも、自分が座っている位置から、両端を確認し、どちらからウェーブが来そうなのか、どのタイミングで立てば良いのかを把握しなければ、意味のない動作になってしまいます。


 この2つのポイントがバランスよく機能すると、活動を楽しみながら、成果を出すことができます。結果として充実感が得られます。


 これは、決してライブ特有の楽しみ方ではないように思います。
例えば、納期間近の業務に追われている時、作業をしているメンバが普段以上のチームワークを発揮する場面です。メンバの様子を見て、作業を手伝ったり、「何か手伝えることある?」と自分から関わったりしていくと、業務が終わった時には「大変だったけど、楽しかった」「やりきった感がある」と思えます。逆に、他のメンバの忙しい様子に気づかず、自分から関わることもせずにいると、業務が終了した時に得られるのは「楽しい」ではなく「楽(らく)」になってしまいます。
傍観者になるよりは、自分から関わり、他部署や、お客様と連携をとって成果を出せたほうが、業務を楽しく、充実したものにできるのではないでしょうか。


 どんな関わり方をするかは、自分次第です。ものはためし。周囲がどんな状況かを見て、自分から関わってみませんか?


***
どんな関わり方をすれば、自分も他者も、より楽しくなるのか、より成果がでるのか。
グローバルナレッジでは、たくさんのヒューマン・スキル研修をご用意しています!

 

効果的コミュニケーション・スキル
~ 効果的な説得、交渉へと導く対人コミュニケーション ~

 

ビジネス・ファシリテーション
~納得感のある会議、円滑なチーム活動のための話し合う技術~

 

問題解決ファシリテーション
~ファシリテータのための合意形成、利害調整術~



森美緒

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。 1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。 2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

 

2008年12月より2010年1月まで、翔泳社webマガジンEnterprisezinにて「新入社員が育つ!現場のための教育実践マニュアル」 連載。 2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。


[ファシリテーション][2010年8月24日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第37回:「ファシリテーション型会議で成功体験を積む」
執筆:飯嶋 秀行

気がつくと毎週何かしら会議をしているという方も多いと思います。みなさんは普段どのような会議に参加、あるいは会議を主催していますか。
 
 ファシリテーション研修の参加者に「会議で困ったこと」を挙げていただきました。
「遅刻する人がいて、時間通りに開始できない」
「終了時間が決まっていない、開催通知には終了時間が書いてあるが、だらだらと延長して定時に終わらない」
「役職の高い人が一人でしゃべっている。他のメンバーは聞き役に徹していることが多い」
「言いたいことがあっても本音で発言しにくい」
「何か提案すると、自分が担当者に任命されてしまうので、うっかり提案できない」
等など、このテーマでディスカッションしていただくと、たくさんの意見が出て大いに盛り上がります。みなさん問題のある会議については、実体験が多いからでしょう。

 今度は、
「では、みなさんにとって、理想の会議とはどんな会議でしょうか?」
と質問してみると、
「そうですね、理想の会議とは・・・さっきの問題のある会議の裏返しですね」
「たとえば、時間通りに開始して、時間通りにちゃんと終わるとか」
「全員が意見を言えていることも大事ですね」
 などの意見が出ます。しかし、このディスカッションは、問題のある会議の時ほどは盛り上がりません。なぜでしょうか?
 ひとつの理由として、理想の会議についての実体験が乏しいため、成功体験がないことが考えられます。
「このような理想の会議に参加したことがある、あるいは、主催したことがある方は?」
と質問しても、ほとんど手が挙がりません。
 問題のある会議については、日常的に多くの体験があるが、理想の会議については「成功体験」が乏しい。そのため理想の会議についてディスカッションしてもいまひとつ盛り上がらないのです。

 理想の会議について「成功体験」が乏しくなる要因として以下の点が考えられます。
・そもそも、会議に参加したり、主催したりする場合にどのような準備が必要なのか、きちんと教わっていない(効果的な会議を実施するための基本ルールなど)
・また、研修や書籍を通じて会議の基本ルールを学んでいた場合でも、実際に先輩社員や上司が議事進行している現場の会議に参加してみると、理想と現実とのギャップに直面する
・そして、問題のある会議に参加し続けるうちに、「会社の会議というのは、こんなものか」とその組織の会議のカラーに染まってしまい、「問題のある会議」が、いつしか当たり前になってしまう

 慣れてしまうという事象については、ある方から以下のような意見を聞きました。
「私も、最初のうちは、十分に準備をして会議に参加していました。たとえば、事前に所属チームのメンバーの意見を吸い上げて、全体会議の場で積極的に発言するなどです。でも、準備してから会議に臨み発言しても、議長が、その意見をまったく取り上げてくれません。後から回覧された議事録には私の発言そのものも記述されておらず、結局は議長が事前に決めたシナリオどおりの結論に落ち着いてしまうのです、。そんな体験が積み重なり、本音の意見を言うのを止めてしまいました。しょせん会議ってこんなものかなとあきらめてしまいました。」
 
 確かに、一度でもそのような会議を体験してしまうと、積極的に参加し、協力して問題解決をしていこうという意欲はなくなってしまいます。

 貴重な時間を使って、対面で意見交換をする会議には、多くのコストが発生しています。特にリーダーの立場にいる方、会議を変える力のある方は、この問題のある会議を改善していく必要があります。
 問題のある会議を改善するには、ファシリテーションという考え方を会議に取り入れることが有効です。
 ファシリテーションとは、チームで行う活動がうまく進行するように、メンバーの力が最大限に発揮できるよう支援することです。
 会議にファシリテーションを導入することで、以下のような効果が期待できます。
・参加者は事前に会議の目的、目標を理解し、十分な準備をして参加できる
・会議中は、全員が積極的に参加し、率直な意見交換ができる
・時間通りに開始し、その時点での結論を明確にした上で時間通りに終了できる

 以上のような効果を実感するためにも、ファシリテーションスキルを身につけて、まずは自分が主催している会議から、あきらめずに実践することで、ファシリテーション型の会議へ変えていきましょう。



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。


[ファシリテーション][2008年10月28日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第33回 会議の空気
執筆:森 美緒

  KYという言葉が2007年度の流行語大賞にノミネートされました。「空気が読めない」の略語だそうです。ファシリテーション・スキル(※)の研修中にもこの「空気を読む」というキーワードがよく話題になります。


  ※ファシリテーション・スキルとはチーム活動を促進、支援するスキルです。ファシリテーションする人をファシリテータと言い、ビジネスでは会議運営やチーム活動を円滑にし、より良い成果を出すことを目指します。


  実は、ファシリテータが会議参加者の発言や雰囲気、表情、態度などからその情況を把握できる(空気を読める)と、会議室内に良い空気を作り出すことができます。


  例えば、以下の会議を想像してみてください。


  皆さんは現場マネージャとして業務改善提案の会議に参加しています。ファシリテータは資料を元に改善項目とスケジュールを説明しました。その提案内容によると、スケジュールが厳しい上に、通常業務をこなしつつ改善活動も行うことは現状ではとても不可能です。決定したとしても、計画通り進むとはとても思えません。
  説明が終わり、ファシリテータは参加者全員に向かって意見を求めました。自発的に発言する参加者はいなかったので、ファシリテータは参加者Aさんを指名しました。Aさんは、他の人が発言しない様子から、この提案は受け入れるべきなのだろうと判断し、「この内容でもいいと思う」と発言しました。ファシリテータは「ご賛同ありがとうございます」とお礼を言いました。さらに、参加者Bさんにも発言を求めました。みんなが何も言えないなら、自分が発言しなければならないと判断したBさんは「内容はよいが、スケジュール的に問題がある。現場の現状を考えると難しい」と意見を述べました。ファシリテータは「始める前から不平・不満を言うのは良くないので、できるだけ建設的な意見をお願いします。」と注意しました。その後、AさんBさんに続く発言はなく、「他にご意見がないのでこの内容で決定します。業務改善の実施に向けてご協力よろしくお願いします」とファシリテータがまとめました。


  皆さんが参加者だったとしたら、この会議の空気の中でどんな発言をしますか?いずれにしても納得感をもって参加できるかを考えたら、あやしいかもしれません。さて、少し状況を変えてみましょう。


  もし、ファシリテータが次のような対応をしていたら、どうでしょう。


  Aさんが「この内容でもいいと思う」と発言した時、「この内容でも、ということは、何があればもっとよい内容になりそうですか?」と尋ねる。Bさんが「スケジュール的に問題があるのではないか?現状を考えると難しいと思います」と発言した時、「どの辺りが難しそうですか?どんな影響がありそうですか?」と掘り下げる。こうして2人の意見をホワイトボードなどに書き、「他にも懸念事項は何かありませんか?」と質問する。


  これだけで、ぐっと発言しやすくなりますね。


  ファシリテータの仕事は、会議を自分が準備した手順で時間通り終わらせることではありません(まして参加者に対して一方的に結果を押し付けることでもありません)。全員の意見を共有し、全員が最大限の力を発揮できるよう支援することで、参加者全員が納得できる成果を出すことがファシリテータの役割なのです。そのためには会議時の空気は参加者が発言しやすいに越したことはありません。お互いに言いたいことを発言し、相手の意見を聴き、その上で合意したことが成果になり会議に参加した意義になっていくのです。冒頭で申し上げたとおり、ファシリテータは参加者の空気を読み、会議全体の空気を作る必要があります。


  会議室内の空気は、参加メンバだけが作っているわけではありません。確かに役職者や発言の多い人など特定の人の発揮する影響力が大きくなることはあるかもしれませんが、空気作りに最も大きく影響するのは、やはり、ファシリテータです。 会議室に参加者の運び込んでくる個々の空気を読み、何でも言いやすい場を作ることができれば、参加者の発言は確実に増えます。さらにファシリテータは他の参加者へ発言の輪を広げたり、発言を掘り下げたりと、議論を活性化させることができます。納得できる成果を出せたなら、会議は誰にとっても充実感のある楽しい場になるでしょう


  グローバルナレッジのファシリテーション・スキル研修では、意見を引き出すスキル、掘り下げるスキルなど発言を引き出すスキルをご紹介しています。実践的な演習を通して、普段のご自身のファシリテーション・スキルを再確認し、スキルアップにお役立てください。


グローバルナレッジでは、「コミュニケーション」を軸に、様々な仕事を進める上で必要なスキルを研修のコースとしてラインアップしています。技術や知識をより活かすためのヒューマン・スキルをブラッシュアップしてみませんか?



森 美緒 (もり みお)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。 産業カウンセラー。
1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。商社での秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。
2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。


[ファシリテーション][2008年6月24日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第26回 受講者からの贈り物
執筆:高橋 俊樹

  会議の時に大判の模造紙を使用したことはありますか?実は模造紙には多くのメリットがあります。特にアイディアを出すような会議では、模造紙は壁に何枚も貼ることができるのでアイディアが広がりやすく、ヌケやモレも防ぎやすくなります。さらに、参加者全員がこれまでに議論した結果を俯瞰でき、アイディアの発展や情報共有の観点からも役立ちます。当社の「ファシリテーション・スキル基礎」でもおすすめしている会議用のツールの一つです。
  しかし、実際には多くの方が会議室に設置されているホワイトボードやノートPCを使用して会議を進めています。ツールのメリットは理解しても「そこまでは・・・」となかなか行動に移せないケースが多いようです。


「模造紙とカメラ付携帯電話」
  以前私が担当した「ファシリテーション・スキル基礎」に参加されたお客様と先日久しぶりにお会いしました。研修中も問題意識を持って、大変積極的に受講されていたその方は会社に戻り、学んだことを早速実践されたそうです。その成果について次のように話して下さいました。
  「この前受講したファシリテーションの研修が自分の業務に大変役立っています。会議でも早速、模造紙を使用するようにしたところ、とても効果的で、最近では部長たちまでが会議室に模造紙を持参するようになったんです」「終了後は模造紙を携帯のデジカメで撮影し、そのまま資料として社内のネット上にUPしています。必要な時はその画像を印刷して会議で利用しています。結構便利なんですよね」


  研修で学んだことを実務に取り入れるだけでなく、工夫を加えてみる。多忙な業務に追われ、つい忘れてしまったり、従来通りのやり方に戻ってしまったりすることが多い中で、その方の実践した成果を伺えたことは、私にとって大変嬉しい出来事でした。講師として、お客様から研修アンケートなどで良い評価をいただくことはもちろんですが、何よりの贈り物は、この例のように実際に行動してもらえることなのです。


「漢字クイズと高校受験」
  研修で学んだ内容が仕事以外でも役立ったというお客様の例も紹介します。あるSI企業の管理職研修で講義の息抜きとして漢字を用いたクイズを実施しました。その際、大阪から参加されていた方が「家に帰ったらこの漢字クイズを家族に試してみるわ!」と話されていました。研修後、しばらくしてその方からお礼と結果の報告を兼ねたメールが届きました。普段は家に帰ると奥様とお嬢様2人に囲まれ肩身が狭いとおっしゃるこの方は、研修で私が使った漢字クイズを家族でやってみないかと提案したそうです。高校受験を控えたお嬢様は最初「忙しい」と言ったものの、気分転換にと挑戦。最後は奥様も協力し、一時間半ほどでほぼ解答できたそうです。「家族でとても充実した時間を過ごせて面白かった」「今後も私から家族に色々と声をかけていきたいと思います」と締めくくられていました。


  その数ヵ月後、再度メールを頂戴しました。家族全員でお嬢様の高校受験を応援し、見事に第一志望に合格されたとの嬉しいお知らせでした。仕事上のことではありませんが、自ら行動を起こしたことが相手との関係に新たな変化をもたらしたのではないでしょうか。


  これらはほんの一例ですが、どんなことでも行動しなければ何も変わりません。大切なのは実際に試してみる、使ってみることなのです。当社の研修ではヒューマン・スキルは学習できるものとして捉えています。ヒューマン・スキルと言うと持って生まれた性格や資質と考えて、「自分には無理」などと考えてしまうこともあるでしょう。性格や資質ではなく、誰でもできる行動として捉えてみることが大切なのです。


  グローバルナレッジでは、ヒューマン・スキルを「学習できる」ものとして無理なく段階的に体得できるよう、講義と効果的な演習をバランスよく取り入れています。また、実際の事例や講師自らの体験談なども織り交ぜ、真面目ではありつつ、楽しみながら双方向で学べるようにカリキュラムを組み立てています。これからも、受講される皆様が「すぐに行動してみたい、実践してみたい!」と "わくわく"した気持ちになるような研修をさらに充実させて行きたいと考えています。その結果、私達に数多くの贈り物 (=成果報告) が届けば、これほど嬉しいことはありません。


  ― 皆様にとって今年一番嬉しかった贈り物は何だったでしょうか? ―


ヒューマン・スキル関連コース一覧 >>



高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。
1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、現職。ビジネススキルグループのマネージャ兼インストラクターとして、新人から管理職までを対象とした各種ヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。


[ファシリテーション][2007年11月27日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第22回 成果を出す会議
執筆:森 美緒

  昔、職場を替わったばかりの頃、同僚から「私たちのミーティングの司会進行は特定の人にせず全員で持ち回りにしようよ!」と言われました。その同僚は一番社歴が長く知識も豊富で、メンバのリーダー的存在でした。私はてっきりその方がミーティングの主催者となり、司会進行をすると思っていたのでとても驚いたことを今でも覚えています。
  同僚は「誰かが仕切るミーティングではなく、誰でも意見を言いやすい場にしたい。だから、誰か特定の人にするのではなく持ち回りで司会進行をしよう。」と提案しました。当時ファシリテーションという言葉もファシリテーターという役割も知らなかった私に、同僚は雑誌の特集でとり上げられていたファシリテーションのコピーを渡してくれました。これが、私とファシリテーション(※) の出会いです。
(※ ファシリテーションとは会議などチーム活動をうまく進行するための手助けをすることです。)


  同僚からもらったコピーの他にもファシリテーションに関する著書を読み進むうちに、「そもそも会議とは何をする場なのか」を、自分がまったく定義していなかったことに気づきました。
  司会進行役のチームリーダが議事に沿って話をする。参加メンバはそれを聞き、メモをとる。たまに質問したり、意見を言ったりする。色々な会議に参加した経験の中で「なんとなくこんな感じ」と私が身に付けていた会議のイメージとは、そんな曖昧なものだったのです。
  辞書で「会議」を調べてみると、「お互いの意思を伝えるための話し合いをし、何らかの結論(成果) を出す場」となっています。ファシリテーションに関する多くの著書にも同じような定義が書かれていました。会議はファシリテーション次第で話し合いの場になり、協力して成果を出すことができる場になるのだと、目からウロコが落ちる思いでした。
  実際、持ち回りで進行を務めた会議は、お互いの意見やその背景を話し合うことができ、とても有意義なものでした。会議で決定したルールや上司に出す提案内容はメンバ全員の意見をまとめた納得感のあるものでした。
  その頃から私は会議が楽しく待ち遠しいものになりました。自分がファシリテーターの時も参加メンバの時も主体的に会議に参加できるようになったからです。


  何を目的に開催され、ゴール(求められる成果) がどこにあるのかが不明確な会議は多いと思います。一方的に話して参加メンバの発言をすぐに否定する会議進行をしている方、会議の場で席を暖めていればよいと思っている参加メンバの方・・・
  一方的に報告や提案をする会議の主催者と、会議を退屈な時間だと捉えている参加メンバ、これでは話し合いはできません。
  会議を有意義なものにするには「話し合う」ことでお互いの意思を伝達し、納得感のある成果を出す必要があります。「聴く」と「話す」の両方があって、やっと「話し合う」になります。ファシリテーションにはさまざまなスキルが必要ですが、コミュニケーションはその中でも重要なスキルです。ファシリテーターが会議の際に持つ役割は議事項目の消化ではありませんし、まして勝手な結論付けをすることではありません。ファシリテーターの役割は「聴く」と「話す」が円滑に進むよう手助けして参加メンバの納得の上に成果を出すことです。
  話し合ってお互いに納得できる成果を出せるなら会議が今よりも楽しいものになるはずです。


  余談ですが、グローバルナレッジには6つの会議スペースがあります。
  花・鳥・風・月・NorthPole・ゴルフ場
  それぞれが名前にちなんだデザインになっています。
  入社初日に、「月にいます。15時に戻ります。」と書かれたメモ書きをみて、まだ会議室の名前を知らなかった私は悩んだものです。
  今ではすっかり慣れたもの。今日も「風」で会議です。どんな成果が出せるのか楽しみです。


  「ファシリテーション・スキル基礎」(HS0036CG) では、会議の準備から後処理までの流れを体系的に学びます。会議が円滑に進む準備段階でのポイントを押さえ、参加メンバから意見をひきだしまとめていくコミュニケーション力を演習で実践的に身に付けることができます。



森 美緒 (もり みお)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。 産業カウンセラー。
1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。商社での秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。
2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。


[ファシリテーション][2007年7月24日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第5回 『当たり前のこと』を大切にする
執筆:田中淳子

  「当たり前」と誰もが思うような「基本的なこと」に限って、仕事では案外実践されていないことが多いものです。仕事を効率よく進めるために、「高度な知識」「豊富な経験」を身につけることには目が行きますが、基本をきちんと押さえることも大切なことではないかと思います。仕事の大半は、格別に高度な知識やスキルよりも、実は「基本」「当たり前」の積み重ねで成り立っているのではないでしょうか。


  ここ数年、会議運営のスキルとして「ファシリテーション」が注目されています。ファシリテーションとは、「物事がうまく進むように手助けする、促進すること」を指します。会議において、参加者から発言を引き出したり、多くの発言を整理し、まとめていったりするために必要な要素として「ファシリテーション・スキル」が重要視されているのです。
  できるだけ多くの意見を集め、効率よく話し合いを進め、参加者が納得感を得られるような結論に達するよう運営するために、「ファシリテーション」は是非学習しておきたいスキルです。


  この「ファシリテーション・スキル」に関する研修を行った時のことです。
  会議に先立ち、アジェンダ(Agenda:議事)を参加者に提示しておくこと、会議開始時にもアジェンダを再確認することが大切だという話をしました。社内会議や顧客との打ち合わせの前に「どのような内容の会議にしたいのか」と意思表示をしておくことで、互いに必要な準備をして会議に臨むことができるからです。これは、多くの人にとって、いわば「当然」のことなので、講義で「事前にアジェンダを出しましょう」と説明しても、「そんなの当然だ」「基本的なことだ」と思われる方が多いようです。
  では、実際に、毎回欠かさず「アジェンダ」を事前通知しているかというと、話は別で、ついついアジェンダは当日説明する、場合によっては、アジェンダを言わずに会議の中身に突入してしまうという方が案外多いことに驚きました。なんとなく忙しくて...とか、事前に送ることで相手(たとえば顧客)の時間を使わせても申し訳ないと思い、前もってアジェンダを提出しないのだと言う人もいます。


  さて、この研修に参加した方のお一人が、後日、「アジェンダを事前に出す」という、基本を実践してみた成果を報告してくださいました。
  彼は、顧客に要件定義などのヒアリングを予定していました。1週間ほど前に「ヒアリングでお尋ねしたい項目」をメールで送り、打ち合わせの2~3日前に念のため電話をかけ、「アジェンダをお読みいただいていますか?お送りした項目を当日インタビューさせていただきたいので、ご準備をお願いします。」と確認もしておいたそうです。
  そして会合当日、あらかじめ提示されていた質問項目に関しては、顧客側が回答を用意していたため、思いのほか効率よくヒアリングが進んだとのこと。
  このことを経験して、彼はこう反省していました。


  「今までは、事前に"質問項目"なんか提示して、お客様に余計な時間をかけさせては申し訳ないと遠慮していた。けれども、事前に"質問"を投げておくことで、お客様もそれなりに準備ができて、当日の打ち合わせ時間を結果的に2/3くらいに短縮することができた。質問されることがわかっていれば、資料などを揃えておいていただけるけれど、当日になって質問したいことをぶつけると、"ああ、それについては資料がありますが、今日は準備してないので、また次回に"という展開になって、結果的には情報収集するのに多大な時間がかかることになっていた。事前に時間を割いていただくのは決して失礼なことではないのだ、と今回初めて気づいた。」


  アジェンダの事前提示は、自分にとっても相手にとっても効率よく時間を使うことにつながります。
  この例のように「当たり前」と思えるようなちょっとしたことでも、実務で取り入れて実践するかしないかが、仕事の成果や効率に関係してくるものなのです。
  アジェンダの事前提示を始めとして、身の回りにある「基本」「当たり前」と思ってしまうようなことを一度見直してみてはいかがでしょうか。


*「ファシリテーション・スキル」に関しては、「ファシリテーション・スキル基礎」(HS0036CG)で学習することができます。実際にひとつのテーマで会議運営を体験する演習もあります。

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 


[ファシリテーション][2006年2月20日配信]

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