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わくわくヒューマンスキルコラム
第76回: 一緒に答えを見つけ出そうという姿勢が大事
執筆:田中 淳子

先日、社外から講師を招いて「CS=Customer Satisfaction(顧客満足度向上)」について考える研修を社員向けに開催しました。講義の中で講師がこういう話を紹介してくれました。


「さっぽろ雪まつりが始まるという時期に、旅行会社のカウンターに行って、"ホテルありますか?"と尋ねたとします。もうどこも満室というのはカウンター担当者にはわかっていることなのだけれど、それを調べもせず"この時期ですからね、もうホテルなんか見つかりませんよ"と答えたとしたら、お客さんはどんな気持ちになるでしょう? そんな時、"厳しい状況だと思いますが、もしかするとキャンセルが出ているホテルもあるかも知れませんので、調べてみましょう"と一生懸命探してくれて、その結果、"残念です"と自分のことのように悔しがってくれたら、お客さんの受け止め方はずいぶん違ったものになるのではないでしょうか?」
「旅行会社の担当者は、一生懸命に探してくれた。私の"雪まつりに行きたい、楽しみたい"という気持ちに寄り添ってくれた。希望はかなわなかったけれど、こんな直前に申し込もうとする自分も悪かったわけだし、対応が気持ちよかったから、次の時はもっと早めにここに相談に来よう」そんな風に思えることでしょう。


この話を聞いて思い出したことがあります。

「あのぉ、このセーターの色違いありませんか?」「この靴で、23.5㎝はありますか?」
と店員さんに尋ねると、「出ているだけです」というセリフ。

「出ている商品を見ても、見つからないから店員さんに声をかけたのに、探してもくれないの?」

普段このようなセリフを言われることはなく、たいていは、混雑しているバーゲンセールの時期に聞くものです。だから、いちいち探していられないし、そこになければないですよ、という対応になってしまうのもわからなくはありません。

でも、その時、「えっと、これの赤ですね」「23.5㎝ですね」と言い、付近を一緒に探してくれるだけでも、こちらの気持ちは変わってきます。「あ~ぁ、探してみましたが、ここにある分が最後のようですね。申し訳ないです」などと言われれば、「探してくれたけど、簡単に見つからないし、セールなのだから、好みの色やサイズは残っていないのも当然だな」と諦めもつくし、そのお店に対しても悪い印象を持たずに済みます。


質問された事実に、自分の立場から答えるのではなく、相手の気持ちや希望、期待に寄り添って応対する。結果は同じでも、プロセスが異なり、そのプロセス次第で、お客さんというのは感動したり、満足したり、はたまた、傷ついたり、不満に思ったりする。コミュニケーションというのは、ほんの些細なことで成否が分かれるものなのです。


エンジニアの例です。ユーザの立場の方がこうおっしゃることがあります。

「エンジニアから"無理です、ダメです、できません"と言われるとちょっと悲しくなる」と。

「無理とか、ダメとかではなく、どうすればできるのかを考えてほしい。ITで実現できるかどうかではなく、どうすれば自分がやりたいことが可能になるのか、ということを提案してほしい。抱える問題を理解して、"無理です、ダメです、できません"の代わりに、"こういう方法なら実現しますよ""御社でこういう風に条件を変更してくれれば、可能な方法がありますよ"と言う風に言ってくれたら、嬉しいのに」

「仕様です」にしても同じことで、ユーザ側は「仕様かどうか」だけを尋ねているわけではなく、何かしたいと思って質問しているわけです。だから、「そういう仕様にしてはあるけれど、変更することもできますよ」とか「そういう機能があったら確かに便利ですよね。でも、現時点ではこれが仕様なので、できないのです」という言い方で応じることだってできるはずです。


コミュニケーションにおいては、自分の立場から見た事実だけを伝えればよいのではなく、相手が「望んでいること」をきちんと察知し、相手に寄り添って会話することが大事です。

満足度や信頼関係の決め手は必ずしも「答え」という"結果"にあるのではなく、「自分の気持ちを理解し、一緒に答えを見つけようとしてくれたか」という"プロセス"にも潜んでいるのですね。

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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!」
 ・「ヒューマンスキルの道具箱」
【著書】
  『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』
  『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
  『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

【対談連載】
  ITpro ヒューマンスキル特別対談 田中淳子×芦屋広太
  『行き詰まり感』を打開するコツ
【連載】
  ITPro ヒューマンスキル往復書簡 田中淳子←→芦屋広太

[コミュニケーション][2012年1月24日配信]

 

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