Trainocate Japan, Ltd.

わくわくヒューマンスキルコラム
第103回:成果が出る行動を見つけるポイント
執筆:飯嶋 秀行

研修に参加されたAさんとBさんの体験です。二人はたまたま同じ会社の同期で、
同じ時期にある難解な資格試験に挑戦したそうです。


勉強した時間、使った参考書、問題集はほぼ同じだったのですが、試験結果はAさん合格、Bさん不合格と、明暗を分けました。


二人の行動を見ると、熱心に勉強に取り組んでいる点は同じでしたが、さらに行動を分解すると、違いが明らかになりました。


不合格だったBさんは、とにかく試験に出る重要項目を暗記するため、分厚い参考書を目次通りにひたすら読みこむという行動をしていました。たしかにBさんの参考書はラインマーカーで色分けされ、多くの時間をかけて熱心に取り組んでいた様子が分かります。


では合格したAさんはどのような行動をしていたのか、ヒアリングしてみるとBさんとは違った行動が見えてきました。


自分ひとりではなかなか行動が起きないと考えたAさんは、すでに合格という成功体験を持っている先輩にアドバイスを求めました。成功体験を持った先輩のアドバイスにしたがって、実際にAさんが取った行動は、

「テキストの丸暗記はあきらめて、模擬試験中心に勉強する」
「ある程度、基礎知識を学習した後は、できるだけ本番環境に近い問題を解く」
「出来なかった問題は、どのようにしたら正解を導けるようになるか、そのために必要な知識をテキストの該当箇所を参照し、勉強する」
「テキストの該当する箇所を読む時は、なぜその選択肢が正解と言えるのか、自分の言葉で他の人に説明できるレベルまで理解する」

ということでした。


Aさんに合格という成果を出すために、役立った行動はなんだったのかを聞いてみると、
「今から考えると、自分はこの試験についてはまったくゼロからの勉強だったので、教材の選び方、勉強方法など、合格体験を持った先輩に質問して、アドバイスをもらえたのが良かった」とのことです。
つまり、合格という成果につながる望ましい行動を見つけるために、成功体験を持った先輩をリソースとして活用できたということです。


個人で挑戦する資格試験の場合の成果は分かりやすいのですが、職場のチームの成果についてはどうでしょうか?


チームを任されたマネージャには、組織として成果を出すことが求められています。現実には、日々頑張って行動しているが、なかなか成果につながっていないと感じている方も多いでしょう。


組織で成果を出すための行動を引き出し、定着化させるためにまず何から取り組めばよいのでしょうか?その最初のステップとして「成果と行動の特定化」が必要になります。


「チームで成果が出ている状態とは何か?」
「成果につながる行動は何か?」


常にこの2つの質問の答えを探求し、明確にしていく必要があります。チームを任されたら、今一度、このチームで成果が出ているとは、どのような状態のことを指すのか、メンバ全員が正しく理解できるようにします。


成果が出ている状態を定義する際のポイントは、必要なレベルまで具体化することです。抽象度が高い状態のままでは、メンバによって認識にばらつきが生じます。メンバ全員から共通認識を得られるように、成果をより具体化して定義する必要があります。


次に、その成果につながる行動は何かを徹底的に考えていきます。

人や組織は変化を嫌う傾向がありますので、過去の成功体験に引きずられて、今の環境では成果が出ない行動を延々と繰り返している可能性もあります。

さらに環境変化のスピードは速いので、過去の成功体験が通用する時間も短くなっています。したがって上司であるマネージャがいつも答えを知っている訳ではありません。自分よりも現場経験の豊富なメンバの知恵を引き出し、成果につながる行動を特定していくことも求められます。


あとはマネージャとして、成果につながる行動を引き出すためにメンバの日々の行動を観察することが必要です。特に成果を出しているメンバの行動に注目して、注意深く観察してみると、他のメンバとの違いが発見できるはずです。成果を出している本人は気づいていないのですが、ちょっとした違いが大きな成果につながっていることがあるからです。


あなたのチームでは、「成果が出ている状態」と「成果につながる行動」を明確にしていますか?チームで成果を出すために、成果につながる行動を特定すること、そして、その行動が継続するように強化することを試してみませんか。


成果につながる行動を特定し、継続させる会話にはコーチングのスキルが役立ちます。セルフコーチングや対面のコーチングについては以下のコースで学ぶことができます。

ビジネス・コーチング(HSC0039G)2日間

マネジメント・コーチング(HSC0040G)2日間


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飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク株式会社
ラーニングサービス本部
人材教育コンサルタント
中小企業診断士、PHP認定ビジネスコーチ上級、PMP®"
ビジネスコーチ、コンサルタントの視点で、成果を出せるリーダーを現場で育成する仕組み作りを提案中、
ビジネスコーチング、リーダーシップ、チームビルディングなどの分野で、研修の企画、開発、実施に携わっている。

[コーチング][2014年6月23日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第99回:成功要因を探るための会話
執筆:飯嶋 秀行

最近、ある資格試験に合格しました。その成功要因を探るためにセルフコーチングをしてみました。セルフコーチングとは、自分自身をコーチングするために、自問自答形式で自分と会話することです。


「今回、資格試験に合格できた要因は何だったか?」
「試験の傾向と対策がうまくいったということはあるな」


「具体的にはどんな行動をしたのか?」
「どのような出題がされるのか、出題傾向を分析して、できるだけ本番試験に近い環境で何度も模擬試験を繰り返した。出来なかった問題については、どうしたら正解を導けるようになるか、そのために必要な知識をテキストの該当する箇所を参照しながら勉強した」


「そうそう、本番試験に近い環境で繰返し問題を解いたことが効果的だった。じゃあ、本番試験に近い環境を作るために役立ったことは何だろう?」
「えーと、すでに成功体験を持っている人に教えてもらうことが役立った。この試験についてはまったくゼロからの勉強だったので、教材の選び方、勉強方法など、合格体験を持った同僚に質問して、アドバイスをもらえたのが良かった」


「特に役立ったアドバイスは何だったか?」
「そうだなー、勉強を始めた頃、試験範囲の知識は膨大で、これではとても暗記できないと弱気になっていた。あの時、丸暗記することはあきらめて、模擬試験中心に勉強した方が良いというアドバイスが新鮮だった」
「ある程度、基礎知識を学習した後は、できるだけ本番環境に近い問題を解いて、正解できなかった問題は、テキストの該当する箇所を参照して読み込む。同じような問題が出たら、確実に正解できるようにしていく。その作業を繰り返した」
「そして、テキストの該当する部分を読む時は、なぜその選択肢が正解と言えるのか、自分の言葉で他の人に説明できるレベルまで理解するようにした」


ここまでの自分との会話から、成功要因として、以下の点が見えてきました。
・経験の無い分野に関しては、すでに成功体験を持った人に質問して、アドバイスを受けること
・目標達成(今回は試験合格)に効果的な行動を明確にして、できるだけ本番に近い環境で繰り返し練習すること


「試験勉強の間、一番苦労した点は何だっけ?」
「そうだな、どの教材で、どのように勉強すればよいかはアドバイスをもらって分かったけれど、忙しい仕事の合間をぬって、勉強時間を確保することが大変だった。特に最初は、分厚い教材を前に、なかなかヤル気が出ず、まったくモチベーションが上がらなかった」


「モチベーションを上げるために、役立ったことは?」
「上司から指示されて取り組んだことだったので、なぜ自分がこの資格を取得しなければならないのかという意味づけをするところから始めた」


「意味づけって、具体的には?」
「この資格を取得すると、どんなメリットがあるのか?自分自身が本当にやりたいこと、自分のビジョンと関連づけて考えた。すでに資格を取得して活躍されている方の話を聞くことも役立ったな」


「えーと、意味づけ以外に役立ったことは?」
「"締切効果"があった。自分で受験日を予約する試験なので、受験日を設定してからスイッチが入った。なんとなく勉強していると、だらだらしてしまいがちだけど、締切日が決まって、残り時間が明確になれば、もうやらざるをえない状況になったんだ」
「それまでは、テレビを観るとか、遊びに行くとか、他のこともやりながら、隙間時間で勉強していた。でも、どう考えてもそれでは残り時間が足りないことが分かったので、締切日を設定してからは、試験勉強以外のことは止めて、試験勉強に集中できた」


「受験日を決めたこともあるけど、実はもう一つ締切効果があった。合格することを他人に約束したんだ。社外の勉強会の仲間が同じような時期に資格試験にチャレンジしていて、次回の勉強会で会う時には、お互いに、笑顔で合格の報告をできるようにしましょうと約束した」
「人に約束すると、今度会った時に、やっぱりダメでしたとは言いたくないので、約束を守らなければという気持ちになった。お互いの成功を応援し合うという関係になれた。その人と何度かメールのやり取りをしたけど、その時の応援メールは今でもとってある。時々読み返して励まされた」


自分との会話を続けることで、別の視点からの成功要因も見えてきました。
・なぜその目標にチャレンジするのか、自分の本当にやりたいビジョンとの関連を意味づけること
・締切日を決めて逆算で残り時間を意識して行動すること
・今やるべき最優先の課題に自分の持ち時間という資源を集中すること(選択と集中)
・目標達成に向かって行動することを他人に約束すること(コミットメント効果)


いかがでしょうか?失敗した時に反省をすることも大事ですが、成功した時にこそ、成功要因を探るための会話が効果的だなと感じています。 成功するための望ましい行動を今後も継続することに役立ちます。セルフコーチングなら、自分ひとりで手軽に試すこともできます。


あなたがリーダーの立場であれば、部下が成功した時に質問することで、成功要因を明確に意識させることもできます。

成功要因を探る会話にはコーチングのスキルが役立ちます。セルフコーチングや対面のコーチングについては以下のコースで学ぶことができます。


ビジネス・コーチング(HSC0039G)2日間

マネジメント・コーチング(HSC0040G)2日間

[コーチング][2013年12月18日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第96回:望ましくない行動を減らす質問
執筆:飯嶋 秀行

先日雨の中、旅行に行く家族を、最寄りの駅まで車で送っていくことになりました。車を玄関先に回して待機していた私が、大きなカバンとともに、慌てて乗り込んできた家族に、
「忘れ物はない?」と質問すると、
「ありがとう、大丈夫よ」との答えが返ってきました。
 ところが、駅まで送り届け、自宅に戻ってみると、玄関先で待っていた妻から、「今電話があって忘れ物をしたので、申し訳ないけど駅まで届けて欲しい」と言われました。再び急いで駅まで戻り、忘れものを届けることになりました。私が確認のために行った「忘れ物はないですか?」という質問は残念ながら効果がありませんでした。
 
「忘れ物はない?」と質問されて、「大丈夫」と答えたものの、会社に行ってみると忘れ物をしていることが発覚して困ったという体験が私にも何度かあります。
忘れ物をした直後は、ショックが大きく、自分の軽率な行動を後悔し、もう二度と忘れ物をしないぞと固く決意するのですが、しばらくすると、決意したことを忘れてしまい、再び忘れ物をしてしまうこともあります。
 では、どうしたら忘れ物を防ぐことができるでしょうか?「もう二度と、忘れ物はしないぞと固く決意する」など、意志の力に頼るのみでは、再発防止策にはなりません。
 「忘れ物をする」という望ましくない行動が起きないように、具体的な対策が必要です。


 先日、このテーマでコーチングする機会がありました。
「お恥ずかしい話なのですが、最近、仕事で必要な書類を自宅に忘れてしまい、お客様先で大失敗をしました。私の注意が足りないといえば、それまでなのですが、せっかくコーチングしてもらうなら、このテーマでコーチングしてもらい、二度と忘れものをしないように対策を考えたいです」
「なるほど、忘れ物をしないように、対策を練りたいということですね。どのような時に忘れ物が発生しますか?」
「どのような時と言いますと?」
「○○さんは、いつも、いつも、忘れ物をするわけではないですよね」
「ええ、たまにです」
「その"たまに起きる時"は、どのような要因が重なった時なのですか?」
「いつもとは違った行動をしたときに起こります。例えば、荷物が多くなり、いつもとは違う鞄に入れ替えをした際などに、忘れ物をしやすいです」
「なるほど、鞄を変えた時ですね。他にはどうですか?」
「会社の仕事を自宅に持ち帰って作業した時ですかね、机の上に書類を広げて作業した後に、鞄に入れ忘れることがありました」
「いつも使っている鞄の中身をさわらない時はOKで、鞄そのものを入れ替えたり、鞄の中身を机に広げて作業したりしたときに、起こりやすいということですね」
「そうです」
「だとしたら、そのような要因が重なった場合でも、忘れ物をしないようにするために、どんな工夫が考えられますか?」
「どんな工夫?そうですね。鞄を入れ替えることはめったにないのですが、その際は、基本的に必要な物が漏れていないか、目視で確認すれば防げると思います。問題は自宅の机に書類を広げて作業した時ですね」
「忘れ物をした際は、机の上はどんな状態だったのですか?」
「そう、書類が乱雑に広げられていて、重ねて置いてある状態でした。つまり書類が山積み状態になっているときに、その下に大事な書類が紛れ込んでいたケースがありました」
「それって、どうしたら、防げるのですか?」
「うーん、机の上に書類が山積み状態になっているからいけないのであって、そもそも、書類は本棚に立てかけてあって、机の上には書類が何も無い状態が実現できればいいですよね」
「そうですね。今、机の上はどうなっていますか?」
「いくつかの書類が常時、平積み状態になっていて、整理されていないですね」
「望ましい状態は?」
「机の上には、ノートPC以外のものは何も置いていない状態がベストです。机の上がノートPC以外何も載っていない状態を目で確認できれば、机に広げた書類を鞄に入れ忘れることはなくなると思います」
「会社に出かける際に、机の上を目視して、ノートPC以外何も載っていない状態を確認できれば、忘れ物がない状態をチェックできるということですね」
「そうです、シンプルですね。今日帰ったら早速、机の上を整理して、ノートPC以外何もない状態を実現します。気持ちがすっきりしました。ありがとうございます」


「忘れ物をする」という望ましくない行動を減らしたい場合、「もう二度と忘れ物などしないぞ」と決意するだけでなく、その行動が起きやすい環境を改善する必要があります。今回の例でいうと、日常的に机の上にノートPC以外何も無い状態を作るということです。
環境を改善することで、望ましくない行動の発生頻度は低くすることが可能です。
このとき「二度と忘れ物をしないように」と指示命令するのではなく、他者が質問して、本人に考えてもらい、自分で考えた複数の選択肢の中から自分で選んでいる状態を作ることで、その改善のための行動は起きやすくなります。

冒頭の旅行の忘れ物のケースでは、出発直前のギリギリのタイミングではなく、緊急度が低い前日のうちに、コーチング的な質問ができたら防げたかもしれません。


 部下の行動を改善するための、効果的な質問については、以下のコースで学ぶことができます。


ビジネス・コーチング 2日間

マネジメント・コーチング 2日間

[コーチング][2013年9月17日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第93回:「やってみて 言って聞かせて」・・・その先にある言葉
執筆:高橋俊樹

このコラムを書いているのは、2013年元日から175日目にあたる日です。気が付けば1年の半分に近い月日が経ちました。6月~7月にかけてのこの季節、頭に思い浮かぶことは何でしょうか?私は、「ジメジメ」「傘」「もうすぐ夏だ」などの他に、「配属」というキーワードが思い浮かびます。この季節は、特にIT企業では新入社員たちが現場に配属される時期です。新入社員を迎え入れるためのOJT研修実施のご依頼や打ち合わせが増え始めると、ああ、今年も半年経ったなぁと実感するのです。

職場にフレッシュな新入社員たちを迎え入れるのは楽しみな反面、受け入れ態勢や接し方などで不安に思っている方も多いと思います。そこで今回は、そのような時に是非思い浮かべて頂きたい、素敵な格言をご紹介します。


「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」


太平洋戦争時、第26、27代連合艦隊司令長官だった山本五十六の言葉です。(米沢藩の9代藩主であった上杉鷹山の言葉を参考にしたと言われています)この格言は現代においてもOJTで新入社員を指導・育成する際の接し方のヒントとして適用できます。


私が新入社員の時のことです。自動車メーカーに勤務していた私は、現場を知るための研修の一環として、販売店へ出向を命ぜられました。販売店ではすぐに顧客リストと電話スクリプト(会話の流れが書いてあるもの)を渡され、電話をかけてアポの約束を取るように指示されました。しかし、その内容にとても抵抗があり躊躇していると、「確かに、スクリプトを見ると抵抗があるかもしれないが、実際はそうでもない。俺がまずやるから」と上司がお手本を見せてくれました。そして見事に、一件目の電話でお客様のアポを獲得したのです。その後、ポイントやコツを分かりやすく教えてくれ、私が電話をかけている時は横で細かくメモを取り、良い点や改善点を指導してくれました。4件目位だったと思いますが、ようやく私もアポを獲得することができました。上司は満面の笑みで「やればできるだろ?今のはとても流れが良かったぞ」と褒めてくれました。これがとても自信につながったことは今でもよく覚えています。


「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」という言葉の通りの経験でした。これは先に手本を見せる指示の仕方の一つです。


山本五十六のこの格言は、とても有名なので「そんなの知っているよ」「聞いたことあるよ」と思われた方も多いとかもしれません。実はこれには続きがあるのです。
どのような言葉なのかというと・・・


「話し合い 耳を傾け承認し 任せてやらねば 人は育たず」


「やっている 姿を感謝で見守って 信頼せねば 人は実らず」


指示するだけでも相手は「動く」かもしれませんが、言われたことしかできなくなる可能性があります。2節目以降で述べられているように、相手の考えや想いを傾聴し、受け止め、仕事内容によっては細かく指示せずに任せることもしないと、成長にはつながりません。


また、後の節は、OJT担当者の持つべき心構えとして読むことができます。私たちが相手を信頼しなければ、相手からの信頼も得られませんし、「できて当たり前」と思うのではなく、感謝の気持ちも忘れないようにしたいものです。そうすることで、部下や後輩が「動き」、「育ち」、「実る」のです。


この格言の中には、私達がOJT研修でお伝えしている考え方やスキル、きちんと網羅されています。先人の言葉にはとても重みがあると同時に、真理が簡潔にまとめられているものだとあらためて感心しました。


皆さんも、若手のOJTを始めとして、部下育成や後輩とのコミュニケーションで悩むことがあれば、一度、この言葉と自分の言動を照らし合わせてみて下さい。解決のヒントが見つけられるはずです。
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高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている
2010年4月まで日経BP、ITproのselfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載

[コミュニケーションコーチング後輩指導・OJT新人社員研修][2013年6月24日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第92回:部下を動かすフィードバック
執筆:飯嶋 秀行

先日、子犬のしつけ教室で初めてドックトレーナーと呼ばれる方が、どのようにトレーニングするのか見学する機会を得ました。


トレーニングは、「人と犬が一緒に快適に暮らすためのマナーを教えること」から始まりました。例えば、無駄吠えをしない、甘噛みをしない、他の犬と仲良く遊べる、など、基本的なしつけを教えていきます。


ドックトレーナーは、犬をトレーニングしながらが、飼い主の方々に「ワンちゃんに、分かりやすくメリハリをつけて伝えて下さい」と伝えています。


「ワンちゃんが望ましくない行動をした時に、時間がたってから叱っても、何について叱られているのかが分かりません」
「例えば、甘噛みをしたその瞬間に、その行動は望ましくないということを伝えるために、"あっ!"と短く声を出すだけで良いです」
「ポイントは、その時に、思いっきり声のトーンを低くすることです」
「そして、その声で、ワンちゃんが甘噛みを止めたその直後、今度は、"いい子だねー"と頭をなぜながら、声をかけてください。その時には、思いっきり、明るく高い声のトーンで伝えます。このメリハリをつけることが大事です」


さすが、プロのドックトレーナーです。今まで飼い主がいくら叱っても直らなかった甘噛みが、トレーナーの指導で見違えるように改善していきます。


実は、今回のしつけ教室の目的は、プロのトレーナーによるしつけではなく、経験の浅い飼い主がトレーニングの方法を学んで、自宅で自分の犬にしつけができるようにすることです。 ですから、犬へのしつけ方の見本を示した後は、飼い主へのトレーニングが始まります。


ドックトレーナーのやり方を真似して、飼い主が同じことをその場で試してみても、トレーナーのようにはうまくいきません。飼い主の行動を観察した直後、トレーナーから飼い主へフィードバックがあります。
「もっと声のトーンを変えて!メリハリをつけないとワンちゃんには分かりませんよ」と、トレーニングの最後に、ドックトレーナーから参加者へメッセージがありました。
「この短い時間でもワンちゃんの行動は変わってきましたね。大事なのは、これからです。飼い主さんが今後も一貫した行動をとることが大事です。今日お伝えしたことを、粘り強く、根気よく、継続してください。そうすれば必ずよい習慣が身につきます」


教室が終わった帰り道、バスにゆられて「効果的なフィードバックの与え方」について考えました。


リーダーシップやビジネスコーチングのコースで、企業のリーダーやマネージャーの方々が職場で抱えている課題を共有することがあります。共有され た課題の多くが部下に対するフィードバックについての悩みでした。特に改善点を指摘するフィードバックについて、「何度も同じことを指摘しにくい」「年上の部下への伝え方が分からない」などの課題を感じています。


望ましい行動が定着するにはある程度時間がかかります。フィードバックはあまり溜め込まず、その行動の直後にタイミングよく伝えることです。そし て、マネージャーやリーダーとして、チームで成果を出す上で欠かせないことであれば、何度でも粘り強く継続してフィードバックすることも大事です。


もし、その必要性を理解していなかったり、納得していなかったりするメンバがいれば、チームが目指す方向性や、メンバに期待している行動について丁寧に説明して納得させる必要もあります。

 
ただし、伝え方には配慮が必要です。言っていることが正しかったとしても、受け取った側が、批判されたとか、攻撃されたと感じてしまうと、そのフィード バックは相手の内側に入っていきません。フィードバックの目的は、成果につながる望ましい行動を増やすことです。ですから、相手が納得して、自ら行動を変 えていかないかぎり効果が出ないのです。


部下や後輩のやる気を引き出しつつ、良い点をさらに伸ばし、改善点を自ら直してもらうためには、相手の行動や態度を良く観察して、継続的にフィードバックすることが大切です。


皆様の職場でも、相手にとって受け取りやすいフィードバックを交換することを意識してみませんか。


<人材育成担当の皆様へ>
人材育成のために、さまざまな研修を企画されている一方で、次のような課題もよく聞きます。
・せっかく研修を実施しても学んだスキルを職場の業務に落とし込めていない
・スキルを活用してみても、少し試してうまくいかないとあきらめている
・上司の協力を得られず、スキルを活用する場面をなかなか作れないでいる

部下にとって、成長を左右する職場の最大の環境は上司の存在です。上司と部下が、信頼関係を築きつつ、効果的なフィードバックを行うためには、ビジネス・コーチングが有効です。

無料セミナー「上司と部下も共に育つ環境づくり」では、ビジネス・コーチングを活用する方法をご紹介します。また、弊社のお客様でこの環境づくりに成功された事例もご紹介しながら、皆様と一緒に職場での適用方法を考えていきます。


上司も部下も共に育つ環境づくり(無料セミナー)
2013
529() 13:3017:00 新宿
2013
612() 13:3017:00 大阪


なお、以下の公開講座では、「上司も部下も共に育つ環境づくり」に欠かせないビジネス・コーチングの各スキルをステップ毎に学びます。

ビジネス・コーチング

マネジメント・コーチング




[コーチング後輩指導・OJT][2013年5月14日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第88回:リーダー育成のレシピ
執筆:飯嶋 秀行

今は、誰でもインターネットで、欲しい情報をすぐに検索できますが、まだ、インターネットが普及する前、なかなか欲しい情報が手に入りにくい時代の話です。


お菓子作りがとても上手な知り合いがいました。
家が近いので、時々、手作りのケーキを持ってきてくれます。


「ケーキを焼いたので、おすそ分けです。よろしかったらどうぞ、召し上がれ」


「このケーキ、すごく、おいしいですね。食感がふわふわしていて、あまり甘すぎないし、ホイップクリームと一緒に食べるといいですね」


その時、初めて「シフォンケーキ」というものを食べました。


私自身は、甘いものは好きな方で、おいしいケーキも大歓迎なのですが、作る方はまったくできません。お菓子の名前や、作り方についても、まったく知識がありません。ですから、これから書く内容は、お菓子作りの専門家の方からみると、間違っている記述があるかもしれませんが、その点はご容赦ください。


「そう、美味しいと言ってもらってうれしいわ。私も、知り合いから作り方を教えてもらってから、何度も作っているのだけれど、なかなかうまくいかなくて、試行錯誤して、今回やっと満足のいくケーキが焼けたのよ」


「お菓子を作るときって、作り方を書いたレシピ(調理方法を書いたもの)があるんじゃないですか?」


「そう、ちゃんとしたレシピがあればいいのだけれど、シフォンケーキについては、知り合いから言葉で教えてもらって、その内容を紙にメモしたものしかないのよ」
「色々と本で探したんだけど、詳しいレシピがみつからなくて試行錯誤しながら、自分でレシピを完成させたというわけなのよ」


特に、「シフォンケーキ」の場合は、卵の泡立て方にコツがあったようです。
最初にメモしたレシピには、「しっかり泡立てる」書いていたものの、実際にやってみると、それではうまくいきませんでした。


同じ泡立てるにしても、
「クリームが帯状にとろとろ落ちる状態」
「ツノが立たず、すじが残るくらいの状態」
「しっかりとツノが立つ状態」
など、微妙な表現の違いがあり、それがケーキの仕上がりに影響を与えていたそうです。


私は、他人が作ったレシピさえあれば、その通り、正確に作業することで、誰でもおいしいケーキが焼けるのだと思っていました。ところが実際は、仕上がり具合を吟味し、足りない部分があれば、試行錯誤しながら、うまくいくコツをみつけ、自分の環境に合ったレシピに作りかえていく必要があるということです。


さて、皆さんは、「リーダー育成のレシピ」をお持ちでしょうか?
「リーダー育成のレシピ」を考える際に、例えば「リーダー育成のための研修」を実施しようと考えたとします。


育成すべきリーダー像を描き、リーダーに必要なスキルを明確にして、学習目標を設定する。学習目標を達成するための効果的な研修カリキュラムを設計することで、リーダー育成の最初のステップを踏み出すことは可能です。


ただ、単体の研修実施だけでは、その効果が限られてくるという現実もあります。


企業の人材育成部門の方から、以下のような悩みをよく聞きます。


「次世代のリーダーを育成するために、研修を実施しているが効果が上がっていない」
「リーダー育成研修で学習したスキルが、職場で実践されないことが多い」


リーダー育成研修で学んだスキルが、なぜ職場で実践されないのでしょうか。
人材育成ご担当の方のご意見をお聞きすると、


「学んだスキルが腹落ちしていない」
「研修後に、業務に落とし込めていない(机上の空論になる)」
「職場に戻ると、上司の理解がなく実践するための支援が得られない」
「職場で学んだことを一緒に練習する仲間がいない」


など、多くの共通する課題が浮かび上がってきます。


・研修で学んだスキルが、職場に戻って確実に実践される、
・それにより、チームの成果につながる望ましい行動が増える、
・結果としてチームの業績目標達成に貢献できること。


これが、人材育成に関わる仕事をしている私が日々、目指している望ましい状態です。


実現するポイントは、単体の研修実施という「点」から、職場での実践を含めたアクションラーニング型(※)のプログラムという「線」へシフトすることです。


リーダーを効果的に育成するためには、職場の上司のかかわり方を変えることも重要です。研修受講後に、職場に戻った部下に対して、学習したスキルの実践、定着が促進されるような支援が確実に行われるような仕組み作りも図っていきます。


そのような、試行錯誤を重ねるうちに、いくつかの成功事例も出てきました。
成功の要因を反映した「リーダー育成のレシピ」を作ることができました。
日々、お客様との協働作業の中で、改善を繰り返している最中ですが、それは多くの企業で適用できるものだと思っています。


(※)アクションラーニングとは、業務で実際に起こっている問題、チームの課題などを題材に実務的・実践的に解決策を考え、実践・行動に移していく学習形式のこと
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〔コースコード〕OSA00048
〔コースタイトル〕「リーダーを本気で育成するなら、現場を巻き込め」
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 2013年2月 7日(木) 13:30~17:00 新宿LC
 2013年2月19日(火) 13:30~17:00 大阪CVC

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なお、「リーダー育成のレシピ」に欠かせない重要な要素に、コーチングのスキルがあります。個々のメンバーとのコミュニケーションを通じて、リーダーシップを発揮する際に必須となる、ビジネスコーチングの基本スキル、応用スキルについては、

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研修の中で、多くの演習を通じて体験することができます。

[コーチングリーダーシップ][2013年1月17日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第83回:「失敗からの学びを促す会話」
執筆:飯嶋 秀行

最近、こんな「失敗」をしました。

昼休み、いつものように、紙パックに入った野菜ジュースを飲もうとして、パックに添付されているストローを穴にさして、ジュースのパックを手に取った瞬間、机の上に野菜ジュースが飛び散りました。その瞬間、何が起こったのかわかりませんでした。おそるおそる、いすに座っている自分のズボンを見ると、なんと、太もものあたりにオレンジ色の野菜ジュースが飛び散って、しみになってしまいました。さらに、自分のシャツの胸元にもオレンジ色のしみが。驚きました。何が起こったのか?なぜこんなことになるのか?一瞬あたまが真っ白になりました。お気に入りのスーツだったのに、これじゃ台無しです。なんで、こんなことが起こるのか!このジュース、欠陥商品か?とりあえず、急いでトイレに行って、ハンカチをぬらして、しみになった部分を拭きました。

改めて、野菜ジュースを観察すると、ストローの先から飛び散ったのではなく、さしたストローとパックの穴の隙間からジュースが飛び散っていました。冷静に考えてみると、失敗の原因がわかりました。ジュースのパックを手に持った時に、パックの腹の部分を指で押してしまっていたんです。では、普段はどうしていたのか。いつも自分が行っている行動をふりかえってみると、手に持つ時は、パックの角をつかみ、手に持ったらすぐに、ストローを口にして、吸っていました。すぐにストローを口にし、吸い上げれば、パックの腹を押しても、ストローとパックの隙間からジュースがはみ出ることはありません。
普段とは異なる行動をしたことで、いつもとは違う結果になってしまいました。
これで、失敗する原因が分かったので、今後、野菜ジュースの紙パックを手に持つ時に、パックの腹の部分を押すことはなくなるでしょう。


この「失敗」の体験から、少し前の記憶がよみがえってきました。
それは、ロンドンオリンピックの女子サッカー決勝の場面。テレビ画面に映し出された、なでしこジャパンのメンバー達の笑顔の表情です。

なぜ彼女達は、あんなに明るく、笑顔でいられるのだろう。それも、彼女達が、ずっと目標としていた金メダルを逃した、くやしい敗戦の直後に。

彼女達は、失敗した後の気持ちの切り替えが早いのです。

なぜ失点してしまったのだろうとか、
なぜあんなパスミスをするのだろうと、
ミスした選手を責めるのではなく、

ミスで失点した直後も、笑顔で、お互いに認め合って、前向きにやるべきことをやっているように見えます。

これは、個人個人の切り替えが早いということもありますが、チーム全体として、ミスをした選手を責めない。ミスが起きた時はチームメンバー全員でカバーする。ミスをして、落ち込むのではなく、残された時間で、ベストなプレーをする。そして最後の瞬間まで決してあきらめないといったチームの行動指針があるように思います。彼女たちの様子からそんなチームの雰囲気を感じとることができます。

そして、過去のオリンピックを経験したベテラン選手のコメントからは、彼女達が、チームとして、過去の敗戦という「失敗」から多くのことを学んできたことがわかります。

4年毎に開催されるオリンピックで、ここ12年間で、毎回以前の大会よりよい結果を残すように成長していることがわかります。予選の突破、ベスト8進出、ベスト4進出、そして、今回の決勝進出と、それぞれの体験から学び、その経験の積み重ねが今回、みごとに銀メダル獲得につながったのでしょう。


ビジネスの現場でリーダーシップを発揮されている皆さんは、部下が失敗をしたとき、どのようにして、その失敗からの学びを促していますか?

失敗したときに、ネガティブに落ち込んで、思考停止になるのではなく、失敗したときこそ、ポジティブに、意識を前に向けて、どうやったら理想の状態に近づけるかを考えることが大事です。

人が何かを学び成長する時には、安心して失敗から学べる環境が必要です。
最近は、若手の育成を目的に、失敗を経験させることが難しくなったという声を聞きます。
確かに以前に比べると、部下育成に時間的な余裕がなくなってきていますが、部下が失敗したとき、リーダーが、部下が失敗から学べる環境を作ることができると効果的です。

特に部下の行動が望ましい結果を生んでいない時こそ、部下が失敗から学べるようにサポートするための会話があると望ましいです。


具体的には、本人のふりかえりを促す質問が効果的です。

例えば、部下との会話の中で、以下のような質問をしてみてください。


「その状況をどのように判断したのか」
「自分の役割をどのように認識していたのか」
「そして、その状況把握と役割認識のもとで、なぜその行動を選択したのか」
「そして、どの行動をした結果はどうだったのか」


部下が安心して話せる環境をつくり、質問した後に上司がしっかりと傾聴できれば、部下は、自分の行動を客観的にふりかえることができます。
失敗を今後に生かすための具体的な行動を考えやすくなります。


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<関連コース>

【PDU対象】マネジメント・コーチング
 ~部下の目標設定から達成までを支援するスキル~


自律と成長の心理学
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飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。
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[コーチング][2012年8月20日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第69回:目標達成のコミットメントを引出す

私どもの新しいオフィスからは、晴れていると富士山がくっきりと見えます。
皆さんは富士山に登ったことがありますか?
残念ながら私は一度も登ったことがないのですが、先日、新聞で、富士山登頂1000回を達成した男性の記事が掲載されました。

1000回というとてつもない数字ですが、その60代の男性は、年間200回以上登頂するという、非常に高い目標を立て、その後の3年間でなんと656回の登頂を達成したそうです。その間、連続して88日登頂し、そのうちの75日は1日に2往復したこともあるそうです。つまり、普通に登頂したのではなく、非常に過酷な状況の中で、挑戦を続けたことになります。
 
3年の間には、体力的な限界や病気などで体調が悪い時もあったと思います。
年間200回以上登頂するという目標を達成できた要因は何だったのでしょうか。
困難な状況の中でも、一度やると決めたこと、周囲の人に宣言した行動を最後までやり遂げる、その強い決意があったことは容易に予想できます。
 
企業の現場に目を転じると、目標達成に困難を感じている方が多いようです。
研修の場でお会いした、職場のリーダークラスの方々からは、自分のチームの課題として、以下のような発言を多く聞きます。


「このままだと、今期もチームの業績目標が達成できそうもありません」
「目標設定面談の時点で、メンバが本気で目標達成に取り組めていません」
「色々と手は打っているのですが、チーム内にはあきらめムードが漂っています」


1つの理由として、目標設定の場面で、上司が部下から、「必ず目標を達成する」という本気の決意を引き出せていないことも考えられます。
先日、研修に参加されたリーダークラスの方々に、部下と目標設定面談をする際にどのような点を意識しているのかを尋ねました。


「部下が目標設定シートを書き始める前に、より上位組織から出されている方針、チームとして達成したい目標、期待している点など、本人が個人目標を考えるために必要な情報をきちんと説明することは心がけています」
「面談の際は、押し付けにならないように、部下が立ててきた目標の話をよく聴くようにしています」


効果的な目標設定ができるように、工夫して取り組んでいらっしゃいます。
一方で、面談を受ける立場の方々に、上司との面談で、課題だと感じている点を挙げていただくと異なる話が出ました。


「目標管理制度では、まず自分で目標設定をするのですが、最後は上から目標が押し付けられるので、形骸化しています」
「そうそう、形骸化と言えば、以前の会社ではまともな面談もしないで、面談したことにしておいてと、人事部に提出する書類にサインを求められることがありました」
「上司の側も、上から降りてきた目標だから仕方がないという感じで、何が何でも達成しなければという雰囲気ではなく、最初からあきらめムードが漂っている感じがします」


いかに、「目標管理制度が機能していないか」「やらされ感があるか」多くの意見が共有されました。

上司は工夫しているつもりでも、部下の立場には、それが伝わっていないのです。
このギャップを埋めるためには、メンバが主体的に目標設定できるための準備と、面談の場で、メンバの話を傾聴し、主体的なコミットメントを引き出すための会話の流れを作り出すことが必要になります。


コミットメント(Commitment)とは、直訳すると「約束」のこと。自ら主体的に関与することを宣言することです。
自分ひとりで、「やる」と決意したことよりも、他人対して、いつまでに、何を達成するのかを宣言した時の方が、実際の行動を起こす確率が高まります。
他人に宣言すると、「約束した」ことになり、約束を守るためには、なんとか行動を起こさねばという気持ちになります。これがコミットメント効果です。


皆さんのチームは目標達成できていますか。もし、同じように感じる状況がある場合、目標達成に対するメンバのコミットメントが引き出されていないことが考えられます。
部下のコミットメントを引き出す効果的な面談の進めるために、ビジネスコーチングのスキルが活用できます。
目標設定はもちろん、中間フォロー、期末の評価面談など、部下から引き出したコミットメントを、持続させ、継続的にフォローアップをし、最終的な業績目標達成まで導びいていくことが可能となります。

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チームを目標達成に導く、コミットメントを引出すスキルについては
ビジネス・コーチング(HSC0039G)2日間
マネジメント・コーチング(HSC0040G)2日間
の中で多くの演習を通じて体験することができます。

[コーチング][2011年6月16日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第64回: モチベーションを引出す要因
執筆:飯嶋 秀行

「この一年間、ほとんど使っていないけれど、もしかしたら、そのうち、使う時があるかもしれない。念のため捨てないでとっておこう」
皆さんは、部屋の整理をしていて、そんな風に考えたことはありませんか?
 世の中、物を捨てられない人が多いのか、すっきりと物を捨てられるノウハウを解説した本が売れているようです。

 
 先日、自宅兼オフィスで仕事をしている、読書好きの知り合いの男性から、以下のような悩みを聞きました。
「もう、いよいよ自分の部屋の本棚が一杯になってしまって、本棚からあふれ出た本が床や机の上に山積み状態です。このままだと、肝心な読みたい本は捜せないし、新しく本を買うこともできません」

 
 話を聞くと、原稿を書く仕事があって、参考に読みたい本や資料があるのに、今のままでは、とても探し出せる状態ではなく、ずるずると先送りになっているといいます。
 読んでいない本や、使わない資料を処分すればいいのは、本人も分かっているのですが、いつか仕事で使えるかもしれないと思うと、捨てられないそうです。


「最近は、机の上に山積みになっている本や資料をチラッと見るだけで、やる気がなくなります。モチベーションが下がる原因になっているような気がします」


彼の悩みを一通り聴いた後、
「もし、一晩寝て、朝起きた時、今話してくれた悩みが全て解決していたとしたら、どんな状態になっていますか?」と質問すると、


「それはミラクルですね。もしそうなったら、ジャンルごとにきちんと本が分類されて、読みたい本があれば、すぐに探せる状態かな。もちろん本棚には隙間ができて、買いたい本を並べる余裕があるし、机の上は山積みの本や資料は一切なく、いつでもすぐ仕事にとりかかれるような、すっきりとした状態ですね・・・」


 自分で話しているうちに、きれいに片付いた自分の部屋がイメージできたのでしょう。最後は「この年末の時間を使って、本棚と机の整理してみます」と力強く宣言して会話を終えました。


 年明けに、彼に会うと、開口一番、
「年末に話していた本棚の整理をして、きれいに片付きましたよ!」
と嬉しそうに話してくれました。


「いやー、本当に思い切って片付けて良かったです。以前に担当していた仕事で必要だった本や資料は全て捨てました」


 彼の話では、不思議なもので一冊目を捨てることができると、残りの本も躊躇なく捨てることがでたそうです。捨てることで、本棚には、余裕ができました。机の上はすっきりと広く使えるようになり、今までただ山積みになっていた本や資料が、こんどは原稿を執筆する際の貴重な参考資料に見えてきたそうです。
 たったこれだけの変化ですが、彼のやる気には大きな影響がありました。執筆の仕事を再開するモチベーションがぐっと上がったそうです。
 必要な参考文献は検索してすぐに取り出すことが可能になり、資料を探す時間は大幅に短縮されました。
 机の上はすっきりと片付いていますから、複数の資料を広げて、参照しながら執筆作業を実施することができるようになりました
 先送りしていた、原稿は無事、締切前に提出できたそうです。


 モチベーションが上がる要因は人によって様々ですが、自分の周りの仕事の環境(今回の例では本棚や机など)が整備されることがやる気を引出すことにつながる場合もあります。


 今回の例では、
・不要な資料を思い切って捨てることで、長年先送りしていた問題を完了することができた
・本棚には、余裕のスペースが出来、いつでも好きな本を購入できるという安心感にもつながった
・片付け前は、見ただけでやる気がなくなっていた状態から、きちんと整理され検索しやすい宝の山に変った
・仕事に必要な本や資料をすぐに取り出せるようになり、資料を探すムダな時間を短縮でき、本来の仕事に集中できるようになった
・机の上も広くなり、複数の参考資料を広げて参照しながら、スムーズに作業を進めることができるようになった

 
 仕事の環境を変えて整備することで、仕事の生産性が上がり、そのことがモチベーションアップにつながった例です。


 仕事の環境整備以外にも、モチベーションを上げる要因は複数考えられますが、今回の例のように、自分の悩みを人に話してみることも効果があります。
 1人で悩んで考え込んでいると、自分が直面している課題が、非常に大きな壁に感じられてしまうことがあります。自分には目の前のこの課題を解決するために活用できる資源(知恵、アイデア、時間など)など何もないと考えてしまうと、ネガティブなスパイラルに落ち込んでしまうこともあります。
 そんな時に、信頼して相談できる人が近くにいると心強いものです。ただ共感して話を聴いてくれるだけでも心が軽くなります。モチベーションが上がるきっかけにもなります。


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 自分のモチベーション構造を把握することによって、何がやる気の素になっているのか、また、やる気を下げる原因が何かを知り、モチベーション向上につなげていくスキルについては、「モチベーションUP研修」(HS0065CV) の中で演習を通じて体験することができます。


 また、傾聴、質問によって、相手の話を受容し、リソースフルな状態(自分の周りには、課題の解決に使える資源がたくさんあると思える状態のこと)にするためのスキルについては、以下のコーチングのコースで演習を通じて体験することができます。
ビジネス・コーチング ~能力とやる気を高める5ステップモデル~」(HSC0039G)
マネジメント・コーチング ~部下の目標設定から達成までを支援するスキル~」(HSC0040G)


 なお、名古屋地区のお客様向けに、「ビジネス・コーチング」(HSC0039G)2日間、「マネジメント・コーチング」(HSC0040G)2日間 の2コースの内容をもとに、3日間の集中カリキュラムとして受講できるコースもあります。
現場の力を引き出す実践テクニック~組織力を高めるビジネス・コーチングの活用~」(HSC0055G、3日間、2011年2月16日、17日、18日に名古屋開催予定



 

飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。

 



[コーチング][2011年1月11日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第47回:「効果的な質問で、相手のやる気を引き出す」
執筆:飯嶋 秀行

  知り合いの女性Aさんの体験です。
 同居していた息子一家が転勤で地方へ引っ越すことになりました。
 Aさんにとっては、生まれた時からずっとひとつ屋根の下で暮らしてきた中学生になる孫娘と会えなくなることが、大変残念で、寂しくてなりません。

 

 そんなとき、「離れて暮らしていても、今はメールで簡単にやり取りすることができるわよ」
 たまたま遊びに来ていた同年代の友人が、地方に住んでいる孫から送られた写真付のメールを見せてくれました。

 

 Aさんも携帯電話は持っていましたが、年に何回か外出先から電話する程度で、ほとんどホコリをかぶっている状態でした。
 家族から「メールぐらい打てるようになったら便利だよ」とアドバイスを受けていたのですが、複雑なキー操作と文字入力が難しくて、メールを打つことはあきらめていました。


 
 友人と会話しているうちに、メールを上手に活用して、孫娘と楽しくコミュニケーションをとっている自分の姿をイメージすることができました。
「私も、友人のように、孫娘とメールのやり取りを楽しみたい」
 その思いから、Aさんの携帯メールの練習が始まりました。

 

 最初はほんの数行の文章を入力するのも大変で、何度も挫折しそうになりました。
 孫娘からの返事が来るのが楽しみで、回数を重ねるうちに、スピードは遅いものの、なんとかストレスなくメールを打つことができるようになりました。
 今では、旅先で撮影した写真をメールに添付して送るなどの操作も自然とできるようになり、孫娘とのメールでのコミュニケーションを楽しんでいます。


 
 他人から「メールを打つ練習をした方がいいよ」というアドバイスを受けただけでは「携帯のメールを練習する」という行動を開始できませんでした。
 心から実現したいと思える望ましい状態、つまり「孫娘とのメールを楽しめている自分の姿」と、「携帯メールをあきらめてしまった自分」という現状とのギャップを認識した時、自然とそのギャップを埋めたいという気持ちが生まれました。

 

 望ましい状態を達成するためには、面倒だけれど「携帯のメールをストレスなく打てるようになる」という中間目標をクリアーすることが必要だという意味づけができた時に、初めて「携帯メールを練習する」という行動を開始することができました。

 

 操作が難しくて途中何度も挫折しかかりましたが、「孫娘からの返信メールや励ましの言葉」という支援がありました。そして、誰かに指示されて練習を始めたのではなく、自分で考えて、自分で選んだ行動であることが「やる気」を維持することにつながり、最後まであきらめずに練習を継続することができました。

 

 リーダーとしてメンバーのやる気を引き出し、望ましい行動を増やすにはどうしたらいいでしょうか?
 「この仕事は上司から指示命令されて仕方なく行っている」という「やらされ感」ではなく、
「今、目の前のこの仕事に取り組むことは自分で選んだのだ」という意識があれば、「責任感」と「当事者意識」が芽生え、結果として「やる気」引き出すことにつながります。自分で選択したことであれば、多少の困難が生じても、最後までやりぬく可能性が高まります。


 
 リーダーとして、できるだけ相手に選択権を与え、やる気を出してもらうには、どのように質問するかがポイントとなります。

 

「いつまでにどんな状態になれば目標達成といえるの?」
「目標が達成された状態を10点満点とすると、現状は何点ぐらいつけられる?」
「目標と現状のギャップを埋めるために、最優先に取り組む課題は何?」
「その課題を解決するために、どんなやり方が考えられる?」
「今、3つの案が出てきたけれど、この中からどれを選びたい?」
「この案を選んだ理由は?」
「具体的にはいつから、何を始める?」

 

 質問によって、ゴールイメージを描き、現状とのギャップを明確に意識してもらうこと、そして、そのギャップを埋めるための解決策について、さまざまな角度から質問して、複数の選択肢を考えてもらう、最後は、その中から本人が最適な解決策を選ぶように質問していく。
 メンバーのやる気を引き出すためにも、自分自身のやる気を高めるためにも、いかに効果的な質問を創造できるかが鍵となります。

・・・・・


質問のスキルについては、ビジネス・コーチングのコースで詳しく扱っています。多くの演習を通じて、効果的な質問を創造するスキルを学んでみませんか。


 ビジネス・コーチング(HSC0039G)
 (「はじめてみよう!ビジネス・コーチング入門」を改題しました)
 マネジメント・コーチング(HSC0040G)
 (「使ってみよう!ビジネス・コーチング実践」を改題しました)



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。


[コーチング][2009年8月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第42回:パワフルな威力を持つ視点を変える質問
執筆:飯嶋 秀行

出張で秋田に向かう飛行機の中でのことです。羽田を飛び立ってしばらくすると、窓の外一面に真っ白な雲が広がってきました。まるで、雪の大平原を見るようで、見渡す限り雲が敷き詰められていました。はるかかなたには、白く三角形の山が雲の上に突き出ています。最初は何だろうと思ったのですが、よくよく見ると、それが富士山であることが分かりました。


 以前に、仕事上の課題で悩んでいた時、先輩からこんな質問を受けたことがあります。
「今、目の前に壁が立ちはだかっているようだと言ったけど、思い切って雲の上に頭を出したつもりで、周りを眺めてみたら?」
 言われた通り、頭の中で、雲の上に頭を出し高い視点で周りを見渡している自分をイメージしてみました。ちょうど飛行機の中から見た光景のように。
 すると、不思議と、目の前にあった壁が取り払われて、自分が些細なことにこだわっていたと気づくことができました。
 「お客様の立場で考えてみたらどうなる?」
 「もし上司の立場になったら、自分にどんなアドバイスをする?」
 「もし目標が達成されると、どんな変化があるのかな?」
 「将来のビジョンを実現するために、どんな目標にとりくめばいいと思う?」など、
 このように、より抽象度の高い別の視点で考えることで、新たな選択肢が見えてくることがあります。
一方で、より具体的な視点で考えることで、自分が行動している姿を鮮明にイメージでき、具体的な行動を始めやすくなる場合もあります。

 

 合格したいと思っていたある資格試験にチャレンジした時のことです。まずは早起きして毎朝1時間、試験勉強のための時間を確保しようという目標を立てました。
 毎晩、「明日からはいつもより1時間早く起きよう」と思うのですが、勉強を開始した時期が冬だったということもあり、朝は寒くてベッドから抜け出ることができません。目覚まし時計のおかげで、何とか目は覚めるのですが、ベッドの中でぐずぐずしているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまい、結局勉強時間を確保できない状態が続きました。


 そんな時、一緒にコーチングを学ぶ仲間から以下のような質問を受けたことがあります。
「飯嶋さん、この間、資格試験の勉強時間を確保するために、毎朝早起きすると言っていましたが、その後実行できていますか?」
「いや、それが、朝寒くて、なかなかベッドから出られないんですよ」
「なるほど、寒くてなかなか起きられないということですが、過去には早起きできたこともあるのですか?」
「ああ、それは、ありますね」
「その時と、今との違いは何ですか?」
「違いですか?うーん、そうですね、その時は、朝起きて、最初に何をするか、具体的な行動が明確になっていました。寝る前から、そのことを考えていて、朝目が覚めたらすぐに、ベッドから抜け出て、パソコンの電源を入れることができていました」
「なるほど、寝る前に具体的な行動をイメージすることがポイントなんですね。それで、いつから早起きを始めたいのですか?」
「明日からでも始めたいのですが」
「それでは、明日、早起きできたら、私にメールしてもらえませんか?たった1行だけでOKです。何時に起きられたのか教えて欲しいのですが、メールしてくれますか?」
「そうですね・・・、わかりました、明日の朝必ずメールします」


 こんな会話の翌日、目覚めた後、すぐにベッドを出て、パソコンの電源を入れ、前の晩に準備していたファイルを開いて、勉強を開始することができました。約束したメールも発信しました。
「目標を立てたものの、なかなか実行に移せない――」。そんな時はもしかすると、具体的な行動がイメージできていないせいかもしれません。

 

 視点を変える質問は非常にパワフルなスキルです。一人で悩んでいると堂々巡りになってしまう場合でも、普段はされないような、異なる視点の質問をされると、新たな選択肢に気づくことがあります。より具体的に質問してもらうことで、やるべき行動が明確になり、始めやすくなります。何をするかという決意を問われて、口に出して約束することで、より行動を起こしやすくなる効果もあります。
 皆さんは、他人からの思いがけない質問によって、新たな視点に気づいたという体験をお持ちでしょうか?
 「リーダーとして、メンバーの問題解決を支援する」、「営業パーソンとして、お客様の課題解決を支援する」など、視点を変える質問は様々な場面で活用できます。
 

 効果的な質問を創造するスキルに興味のある方は、質問を作り出す体験をしてみることも効果的です。様々な質問のスキルについては、「はじめてみよう!ビジネスコーチング入門」、
使ってみよう!ビジネスコーチング実践」のコースの中で詳しく扱っています。



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。


[コーチング][2009年3月24日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第27回 状況に応じて効果的な質問を使い分ける
執筆:飯嶋 秀行

  皆さんは、普段自分がどのような質問をしているか意識したことがありますか?
  先日、同じような場面で、まったく異なるタイプの質問を受ける経験をしました。


  ひとつ目の例です。
  人間ドックの検査のため大学病院で診察を受けた時のことです。2時間近くも待たされた後で、ようやく自分の名前が呼ばれ、診察室に入りました。医師からは以下のような質問が続きました。


医師 : 「この病院で診察を受けるのは初めてですか?」
私 : 「はい」
医師 : 「○○ クリニックからの紹介ということですね?」
私 : 「そうです」
医師 : 「以前にも同じような検査を受けたことはありますか?」
私 : 「はい」
  この後も、いくつか確認の質問が続きましたが、この間、医師はずっと机の前のパソコンの画面に向かって、電子カルテに入力したままの姿勢を保っています。
医師 : 「では、次回の詳細な検査の日程を決めます。○月○日の午後は、検査室が空いていますが、その日でよいですか?」
私 : 「はい」


  散々待たされて、やっと診察室に通されたと思ったら、医師は一度もまともにこちらを見ないばかりか、全て「はい」か「いいえ」で答える質問ばかりでした。
  2時間近くも待たされたこともあり、私としてはもっと丁寧に診て欲しいなとの思いがありました。こちらに向き合い、アイコンタクトを取って、私の症状について訊いて欲しかったのです。こちらからも尋ねたいことがありましたが、この医師にはこれ以上質問しても無駄だと、尋ねる意欲がなくなりました。


  別の例です。
  今度は、自宅の近くの個人病院で診察を受けた時のこと。小さな待合室はお年寄りや小さな子供で満員でした。40分ほど待たされて、診察室に通されました。


医師 : 「はい、お待たせしました。そちらにお座りください」
  この病院の医師は、まっすぐに私に向き合ってくれました。
  そして、笑顔のやさしい表情で、アイコンタクトもとって


医師 : 「はい、今日はどうされました?」
  と質問されたので、自分の症状について、細かく説明することができました。


私 : 「のどが痛くて、鼻水が出て、頭が痛くて・・それから・・・」
  医師は、私が症状を説明している間、うなずいたり、相づちを打ちながらよく聴いてくれました。


医師 : 「なるほど、それはお辛いですね」
「のどが痛くなったのはいつごろからですか?」
「今、他にはどんな薬を飲んでいますか?」
  その後は、症状を確認するための質問が続きました。


医師 : 「熱はありますか?」
「これまで薬でアレルギーを起こしたことはありますか?」
  最後は、質問によって得られた情報から診断結果と治療方法を説明し、患者が納得できたかの確認もしてくれました。


医師 : 「この治療法でよろしいですか」
私 : 「はい、お願いします」


  自分の辛い症状も十分聴いてもらえ、治療方法についても丁寧な説明があったので、こちらも納得することができました。
  この医師は、質問により患者から多くの情報を引き出していました。質問した後は、相手の話を受け止める聴き方をしていました。
  後で聞いた話ですが、この個人病院は近所でも評判が良く、いつも満員のようです。繁盛している理由が分かるような気がしました。


  質問は大きく分類すると、クローズ質問とオープン質問の2種類があります。クローズ質問とは、基本的に「はい」か「いいえ」で短く答えられる質問です。オープン質問とは、単純に「はい」か「いいえ」では答えられない質問のことで、多くは「何を」とか「どんな」といった疑問詞で始まります。相手から多くの情報を引き出すことができまるものです。
  先ほどの例では、大学病院の医師はクローズな質問ばかりしていました。一方で、個人病院の医師はオープン質問とクローズ質問の両方を使い分けていました。


  どちらが良い悪いということではなく、それぞれにメリット、デメリットがあります。会話の目的、相手の状況に応じて使い分けていく必要があります。ただし、相手のことをきちんと理解しようと思ったら、最初はできるだけオープン質問を使ったほうがよいようです。


  皆さんは、普段、部下や後輩に対してクローズとオープン、どちらのタイプの質問を使っていますか?


効果的な質問の仕方については、「はじめてみよう!ビジネスコーチング入門」(HS0064CG)の中でも、演習を通じて体感できます。自分が普段どちらの質問を多くしているか自分ではなかなか気がつくことができません。研修の中で他人のフィードバックを受けることが効果的です。このコースでは、はじめてコーチングを学ぶ方を対象に、コーチングの基本スキルを段階的に学んでいきます。入門コースを終了した方向けには、より実践的な内容の「使ってみよう!ビジネスコーチング実践」(HS0067CG)があり、ビジネスコーチングを体系的に学ぶことができます。




飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に「はじめて部下を持つ人のためのコーチングがやさしく身につく物語」(日本実業出版社) などがある。


[コーチング][2007年12月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第24回 意識を集中して傾聴することの効果
執筆:飯嶋 秀行

  コーチング研修初日に、傾聴のスキルについて学んだ受講者の方が、翌朝こんな体験談を紹介してくれました。
  「昨日帰宅して、学んだ傾聴のスキルをさっそく家族に試してみました。最初はうまくいっていたのですが、最後は我慢できなくなって、失敗してしまいました。自己採点では50点というところでしょうか」
  その方が詳しい内容を話してくれました。
  「普段は、帰宅して家族が話しかけてきても、テレビのニュースを見たり、夕刊に目を通したりしながら、上の空で聞いていることが多いんです。ところが、昨日はちゃんとテレビを消して、相手と向き合い、アイコンタクトを取って、うなずいたり、相づちを打ったりして、熱心に聴いてあげたんです」
  「それでどうなったんですか?」私が先を促すと、
  「それが、大きな変化があったんですよ。とにかく相手の話が止まらないんです。どんどん話が続いてしまい、とうとう30分以上も話に付き合わされてしまいました」
  「最後はとうとう我慢できなくなって、"それで、その話の結論は何なんだ!"って言ってしまったんです」


  その質問で相手とのラポール(相手との信頼関係)が切れてしまい、その後は話が続かなくなってしまったということでした。
  みなさんは、最近、自分が本当に話したいことを、じっくりと聴いてもらえたと思える体験をしましたか?そして、みなさんがリーダーや先輩として、メンバーや後輩の話をじっくりと受け止めて聴いていますか?


  チームのメンバーとコーチングの前提となるラポールを構築する上で、リーダーの方に意識していただきたい点は、メンバーや後輩の話を最後まで聴く姿勢を持つことです。
  コーチングで使うリスニング・スキルには、「アクティブ・リスニング」があります。日本語では「積極的傾聴法」と呼ばれる聴き方です。傾聴という言葉からは、相手の話を黙って熱心に聞くというイメージがありますが、「アクティブ・リスニング」では、より積極的に相手に反応を示しながら聴いていきます。
  話し手が「ああ、この人は自分の話を本当に熱心に聴いてくれているな」、そう感じられるような、一目瞭然の聴く態度で、相手に意識を集中して聴くのです。


   コーチング研修では、
●相手が一目瞭然の聞く態度をとった時、話し手はどのように感じるのか?
●相手にとって話しやすい環境を整えるためにどうしたらよいか?
●目の前の相手に意識を集中して聴くことの効果とは何か?
  などについて、演習を通じて体験していただきます。


  あるリーダーの方が、コーチング研修でアクティブ・リスニングの演習をした後に、こんな感想を述べていました。
  「自分が話し手の時に、相手がアクティブ・リスニングをしてくれると、すごく尊重されている気持ちになるし、促されてどんどん話をしている自分に気づきました。今までは、部下の話を聞きながら、頭の中では、次にどのように指示命令するかを考えていることが多かったように思います。ぜひ、部下との面談で試してみたいと思います」


  全てのコミュニケーションの土台は、まず相手の話を聴くことです。あなたが、メンバーの話を傾聴する姿勢を示すことで、メンバーは尊重されたと感じます。自分の話を熱心に聴いてくれた相手に対しては、ラポールが深まり、今度は相手の話も聴いてみようと思えるようになります。相手の聴く準備が整った上で、あなたが、相手の成長を願って、相手が受け取りやすい表現でフィードバックを伝えることで、あなたの言葉は、相手の心により一層響きやすくなります。


  目の前の相手の話を傾聴できないと、コーチングがうまく行えません。コーチングの基本である傾聴のスキルについては、「はじめてみよう!ビジネスコーチング入門」(HS0064CG)の中で、演習を通じてその効果を体感できます。このコースでは、はじめてコーチングを学ぶ方を対象に、コーチングの基本スキルを段階的に学んでいきます。



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に「はじめて部下を持つ人のためのコーチングがやさしく身につく物語」(日本実業出版社) などがある。


[コーチング][2007年9月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第21回 相手の存在を認めて承認のメッセージを伝える
執筆:飯嶋 秀行

  以前に勤務していた会社で、上司とともに、親会社の経営企画部との会議に出席した時のことです。役員会議室の円卓には、切れ者と評判の部長とその部下である優秀なメンバーがずらりと並んでいます。議題は、社内の業務改善プロジェクトの推進方法について。相手の部長から、その当時注目されつつあった、最新の業務改善手法について意見を求められました。
  その業務改善手法については、たまたま、興味関心があるテーマで、専門書を何冊か読み、セミナーで専門家の話も聞いていました。ですから、どのように理解しているか、今後の業務改善プロジェクトにどのように活用できるか、自分の考えを説明することができました。
  会議が終った後の帰り道で、上司から「さっきの飯嶋さんの説明はすごく分かりやすかったな。落ち着いて自信のある話し方だった。あの切れ者の○○部長を相手に、堂々と渡り合っていたよ。たいしたもんだ。感心したよ」
  そんな褒め言葉をかけてもらい、認めてもらえたと、大変うれしかった記憶があります。
「そうか、そのテーマについて、十分な準備ができていれば、たとえ聞き手が何十人、何百人いても、緊張せずに、自信を持って話すことができるんだな」
  自分の中ではそんな自信につながった体験でした。現在ヒューマンスキルのトレーナーとして、人前で話す仕事をしていますが、どこかで、あの時かけてもらった褒め言葉が影響している気がします。


  さて、今この文章を読んでいらっしゃる皆さんに質問です。
「最近、部下や後輩を、心から褒めたのはいつでしょうか?」
「そして、最近みなさんが褒めてもらって、うれしかった体験をしたのはいつでしょうか?」
  最近、他人を褒めていないなと感じた方、もしかしたら、自分が褒められて心からうれしかったという体験が足りないのかもしれません。
  コーチングには承認というスキルがあります。平たく言えば、相手の良い点を褒めるということですが、コーチングの承認には、単に褒めるということよりも、もう少し広い意味があります。
  承認することを、英語でacknowledge(アクノリッジ) と言います。この言葉には、相手の存在そのものを認める、相手に感謝する、相手に気づいていることを知らせる、などの意味も含んでいます。ですから、相手の話を傾聴することや、笑顔で心からの挨拶をすること、なども相手を承認することにつながります。


  最近、部下や後輩を褒めた記憶がないというリーダーの方からは、「承認することが大切なのは理屈では理解できるが、実際に面と向かって褒めるのは難しい。部下や後輩のどこを、どう褒めればいいのか、スムーズに言葉がでてこない」との悩みも聞かれます。
  効果的な承認には、以下の2点を意識することが大切です。


  1点目は、相手の言動を普段からよく観察し、良い点を心にとめておくこと。
  何かよい結果を出した時にだけ相手を評価して褒める。そう考えてしまうと、よい結果がでない場合は褒められない。相手に承認のメッセージを伝えたいが、特に褒めるような特別なことがない。だから承認できない。こうなってしまいがちです。
  たとえ結果が出ていなくても、その努力した過程を承認することはできます。以前は出来なかったことが出来るようになったことなど、相手の変化、成長に注目して相手の言動を注意深く観察していれば、承認すべき点が見えてくるはずです。


  2点目は、心に思っただけでなく、声に出して伝えることです。
  承認とは、相手の存在そのものを認め、自分が感じたことを、承認のメッセージとして言葉にして相手に伝えることです。
  日本人は褒めるのが下手だと言われます。「そんなこと口にださなくても分っているはずだ」とか、「わざわざ口に出して言うのは恥ずかしい」という感覚があるからでしょう。
  ただし、せっかく心の中で思っていても、口に出して言わないと相手に伝わりません。言葉にして伝えることが大切です。
  「○○さん、おはようございます」アイコンタクトを取って、笑顔で挨拶する。
  「○○さんのおかげで助かったよ」と感謝の気持ちを伝える。
  「いつも頑張っているね」とねぎらいの言葉をかける。
など、あまり大げさに考えずに、日常の会話の中で、さりげなく相手を認めていることを伝えることはできます。
  相手を承認することは、部下や後輩を勇気づけ、自信を持たせ、やる気を引き出します。そして相手とのラポール(信頼関係)を深めることにもつながります。


  効果的な承認のメッセージの与え方については、「はじめてみよう!ビジネスコーチング入門」(HS0064CG)の中で、他人から承認のメッセージをかけてもらうと自分の気持ちがどのように変化するのか、また、相手との信頼関係がどのように深まるのか、演習を通じて体感できます。このコースでは、はじめてコーチングを学ぶ方を対象に、コーチングの基本スキルを段階的に学んでいきます。



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に「はじめて部下を持つ人のためのコーチングがやさしく身につく物語」(日本実業出版社) などがある。


[コーチング][2007年6月26日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第18回 相手の成長を願ってフィードバックする
執筆:飯嶋 秀行

  先日、テレビのスポーツ中継を見ていて、コーチングが効果的に行われている場面に出会いました。それは、プロのテニストーナメントの試合でした。日本人選手が1セット目を落とした直後、審判にコーチングを要求しました。通常テニスでは選手がコートに入った後は一切のコーチングは認められていませんが、そのトーナメントでは例外的にオンコート・コーチングというルールが適用されていました。コーチと選手との短いコーチングの会話の後、その選手の動きが見違えるように良くなり、残りの2セットを連取して見事逆転勝ちをおさめました。
  その短いコーチングの中でどのような会話が行われたのか、情報を集めてみると、コーチはその選手の良い時の状態、理想のプレースタイルと、現状のプレーとのギャップについて「コーチからは、このように見えていますよ」という情報提供をしたそうです。


  これはコーチングのスキルでいうと、フィードバックにあたります。
相手の理想とする状態と現状とのギャップについて、コーチが感じたことを伝える。そのことをきっかけに、選手自身が改善ポイントに気づいて、自らプレースタイルを良い状態に戻すことができた。つまり答えは選手の中にあったという例です。
  コーチングの研修で、「どうしたら、コーチングのスキルを上達させることができますか?」というご質問を受けることがありますが、「フィードバックを学ぶことから始めると効果的です」とお答えしています。フィードバックとは相手の行った行動や態度について指摘(情報提供)することです。
  研修では、コーチングのロールプレイをしている時に、オブザーバという役割があります。オブザーバ役の方には、その会話の中でコーチがどのようにスキルを使っているのかを良く観察して、後でフィードバックしていただきます。


  では効果的なフィードバックのポイントについてみていきましょう。
  フィードバックは単に「良い」、「悪い」の評価を伝えることが目的ではありません。相手の成長を願って行う行為です。相手の行った行動や態度について、良い点、改善点、両面から、「私からは、このように見えていますよ」という情報提供を行うことです。自分が普段どのような行動や態度を取っているのか、そのことが他人にどのような影響を与えているのか、自分自身ではなかなか気づくことができません。


  フィードバックは鏡の役割を果たします。「他人の目からは、このように見えている」と情報を提供し、自らの行動や態度が他人にどんな影響を与えているかについて気づいてもらうために行うものです。気づいてもらいたいのは、良い点、改善点の両方です。
  ですから、特に改善のフィードバックの場合は、受ける側が、「批判された」、「攻撃された」と感じないように、受け取りやすい表現を心がける必要があります。


  受け取りやすいフィードバックのポイントは以下の3点です。
1.相手の行動や態度について、観察できた事実を具体的に伝える(観察された行動について伝える、憶測で言わない)
2.適切なタイミングで伝える(行動の直後に伝えると効果的である)
3.Iステートメント(アイ・ステートメント)で伝える(「私」を主語にして自分の感じたことを率直に伝える。「相手」を主語にして決めつけた言い方をしない)


<上記の3つのポイントを反映した例>
NGの例:「先週の客先でのプレゼンテーションだけど、あれではぜんぜん駄目だね。君はいつもああいうプレゼンしているんじゃないの。(あなたは)なんで質問への回答があんなに長くなるんだろう?」
OKの例:「今日のプレゼンテーションだけど、顧客とアイコンタクトを取って、語りかけるように話していたのは良かったよ。一方で、最後の質疑応答の部分は、回答が長くて結論が分かりにくかったように(私は)感じたよ」


  部下や後輩のやる気を引き出しつつ、良い点をさらに伸ばし、改善点を自ら直してもらうためには、相手の行動や態度を良く観察して、継続的にフィードバックすることが大切です。もちろん、前提として、相手とラポール(信頼関係)を構築することが不可欠です。
  皆さんの職場でも、お互いの成長を願って、相手にとって受け取りやすいフィードバックを交換することを意識してみませんか。


  効果的なフィードバックの与え方、受け取り方については、「はじめてみよう!ビジネスコーチング入門」(HS0064CG)の中でも最初のステップとして学んでいきます。このコースでは、はじめてコーチングを学ぶ方を対象に、基本スキルを段階的に学んでいきます。



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当、PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士、著書に「コーチングがやさしく身につく物語」日本実業出版社などがある。


[コーチング][2007年3月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第15回 コーチングの基本は"ラポール"=信頼関係の構築
執筆:飯嶋 秀行

  先日オープンした大型書店でビジネス書のコーナーを覗くと、コーチング関連の本が一気に増えたのに驚きました。
  コーチングとは、質問によって、相手の潜在能力を引き出し、支援するコミュニケーションスキルです。自ら考え行動できる、自律型の部下を育てるためのスキルとして、ここ数年コーチングが注目されています。
  コーチングについて、知識として知っている人の数は確実に増えています。一方で、コーチングのスキルを実務で使いこなせている人の数はまだまだ少ないのではないでしょうか。職場で部下にコーチングを試してみようとすると、そこには大きなハードルがあるようです。多くの場合、コーチングをする上司と、コーチングを受ける部下との間で、コーチングが機能する前提となる「ラポール」が構築できていないケースが多いのです。


  「ラポール」(Rapport:心と心のつながりという意味の心理学用語)は、相手との信頼関係を築くということで、もともとの言葉の意味は、心の架け橋ということです。
「この人なら、信頼して、自分の本音レベルの話ができる」
「ぜひ、この人にコーチングしてもらいたい」
コーチングを受ける部下の側からそのように感じてもらえるような、安全で安心できる状態、つまり、ラポールが構築できていることが必要です。


  本来、相手との信頼関係は長い時間をかけて築いていくものです。コーチング研修の中で、部下との信頼関係を築くために、どんな働きかけをしているか、グループでディスカッションしていただくことがあります。
「相手の目を見て、笑顔で元気よく挨拶をする」
「ありがとう、と感謝の気持ちを伝える」
「相手に依頼した仕事の経過を見守り、こまめに声をかける」
「相手の良い点に注目して褒める」
「相手の話を熱心に傾聴する」
など、演習の場では多くのアイデアが出てきます。
以上のような、部下との良好なコミュニケーションを日々積み重ねることが、信頼関係の構築につながります。


  先日、ある企業で、私が担当したコーチング研修終了後の懇親会に参加させていただいた際のことです。研修担当者と受講者との間で、以下のような会話が聞こえてきました。
受講者 : 「今日の研修の中で、一番印象に残った言葉は、ラポールですね」
研修担当 : 「そうそう、やっぱりラポールが築けていないと、何を言っても相手の心に響かないんだよね」
受講者 : 「コーチングに限らず、お客様との商談でも、ラポールが築けていれば、多少トラブルが発生しても、お互いに前向きに話し合えると思います」


  ほんの数時間前に研修で学んだキーワードが、リラックスした懇親会の場で、自然な感じで会話に登場していました。
  研修においてでも、受講された皆さんは、コーチングのロールプレイに積極的に参加され、お互いに率直なフィードバックを交換していました。普段から社内でのコミュニケーションの量と質が確保され、信頼関係の構築に意識が高いために、ラポールという考え方も、すんなり取り入れることができたのだろうと思いました。


  皆さんの職場では、お互いの信頼関係を構築するために、どのような働きかけをしていますか。ラポールを深めるポイントは相手の存在を認めることです。ですから、笑顔で心からの挨拶をすることや、相手に感謝の気持ちを伝えること、相手の話を熱心に傾聴することなどもラポールを深めることにつながります。
  目の前の相手とラポールを構築するために、どんな言葉をかけることが効果的か、意識を高めることからはじめましょう。


  コーチングの前提となるラポールの構築については、「はじめてみよう!ビジネスコーチング入門」(HS0064CG) の中でも最初のステップとして学んでいきます。このコースでは、はじめてコーチングを学ぶ方を対象に、基本スキルを段階的に学んでいきます。



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当、PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士、著書に「コーチングがやさしく身につく物語」日本実業出版社などがある。


[コーチング][2006年12月20日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第1回 フィードバックの思い出
執筆:田中淳子

  私、田中淳子は、1990年にアメリカで「インストラクター・スキル」という研修を受講したことがきっかけとなり、現在のような"ヒューマンスキル"分野の研修を本格的に手がけるようになりました。


  これは、研修インストラクタ向けに「教え方」「プレゼンテーション方法」「教材作り」などを5日間で教えるもので、私はそのクラスに唯一の日本人として参加しました。当然英語は下手で、講義についていくのもやっと。必死に辞書を引き、講義やディスカッションについて行きました。最終日には、一人15分のプレゼンテーション演習があり、ビデオ撮影もありました。「OSのオペレーション」の講義をした私は、文法も完全に無視して、なんとかしゃべり終わったという状態だったのです。


  研修の最後に、講師が「この5日間の参加について、ジュンコにフィードバックしよう」と声をかけました。何人かの手が挙がり、私に対するフィードバックが始まりました。


  講義中も言葉を調べるのに必死で、辞書にくびっぴきでしたので、発言などほとんどしていませんでした。プレゼンテーションにおいては、英語はめちゃくちゃで、何を言っているのか、アメリカ人の受講者にはわからなかったと思います。なので、フィードバックでも「英語が下手だった」「言葉が通じないので、ディスカッションにも参加していなかった」など、否定的なコメントが多く寄せられるだろうと、身を硬くして構えていました。すると・・。


  アメリカ人のクラスメイトは、口々にこう言いました。「ジュンコは、5日間ずーっと辞書を引いていた。」「ジュンコは、なんでもノートに書いていた。」「ジュンコのプレゼンでは、ホワイトボードに沢山書いてくれたので、理解しやすかった。」
  5日間の緊張がさーっと解けた瞬間です。


  「ああー、フィードバックというのは、"ここが悪い"と指摘するだけではなく、"何をしていた"と感じるままを、それも、ポジティブに表現するものなんだ。」と目からウロコが落ちました。アメリカで苦労した甲斐があったと思い、こういう「気持ちがよくなる」研修を日本の企業人向けに開催したいと強く思いました。


  この出張後、私は、いくつかのヒューマンスキル研修を開発し、開催し始めました。研修の基本精神として決めたのは、「決してネガティブなフィードバックをすまい。人は、認めてほしい生き物だし、認めることでその人が伸びるのだ」ということです。


  この時、受講したコースは、日本に持ち帰り、「トレイン・ザ・トレーナー」(ON258.4日間)として、今でも実施しています。これ以外でも「プレゼンテーション」「コミュニケーション」「リーダーシップ」「コーチング」など様々なヒューマンスキルの研修を開講しています。どの講師もすべてのコースにおいて、一貫して、「ポジティブなフィードバック」を心がけています。


  人は、「その行為を認められ、褒められる」ことで成長する---。


  グローバルナレッジのヒューマンスキル研修の根底には、この精神があります。


  ヒューマンスキル研修に参加することを躊躇している方、抵抗を感じる方、心配することなく、是非一度参加してみてください。

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 


[コミュニケーションコーチングプレゼンテーションリーダーシップ][2005年9月27日配信]

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