Trainocate Japan, Ltd.

わくわくヒューマンスキルコラム
第114回:「ゆとり世代」だから育たないのではないんです。環境が大きく変化したのです。
執筆:田中 淳子

「ゆとり世代だから育たない」「ゆとり世代だから細かく教えないとできない」などと若手が育ちにくいことの「原因」を「世代」に求める人がいます。「世代」の違いは、いつの世にもあって、たとえば、40年くらい前の小説を読むと、「採用したばかりの新人が、午後からいなくなって、そのまま退職してしまった。イマドキの若者は何を考えているんだ?」などと嘆くようなシーンが出てきたりもします(※1)。年長者にとって、いつだって若者は「何かが不足」していて、どこか「非常識」に見えるものなのです。


確かに若手は、以前(20年以上前と比べて)育ちにくくなっています。「育てにくい」のではなく、「育ちにくい」と言う方が正しいでしょう。その理由は、彼ら・彼女らが「ゆとり世代」だからではありません。私たちを取り巻く職場の環境が大きく変わってしまったことにより、若手が「育ちにくく」なったのです。これは、多くの研究者や実務家が指摘していることでもあり(※2、3)、私自身も一会社員として実感していることでもあります。

20年以上前の新入社員は、今と比べて「育ちやすい」環境に置かれていました。職場にまだまだ余裕がありましたから、上司や先輩が何くれとなく声を掛けたり、手を貸したりしてくれました。頑張って入手しなくても、仕事に関わる情報が周りにあふれていました。隣で先輩が電話応対をしているのを聴きながら、後輩は、電話の取り方、電話での会話方法、取り次ぎ方、謝り方、電話の切り方など多くを学んでいました。報連相は口頭で行うことが多かった時代、先輩の報告の仕方を見ては、「ああいう風に報告すればいいのだな」「こんな相談の仕方は、上司に叱られるのか」と組織で振る舞うための知識や作法を自然に学んでいたものです。「門前の小僧習わぬ経を読む」という状況でした。


今はどうでしょう。職場の環境は大きく変化してしまいました。
例を挙げてみます。


・職場の直接の会話はかなり減っています。「仕事の指示や依頼も報連相も電子メールでやりとりする」、「稟議書回付、申請書提出などはワークフローに入力する」などほとんどのコミュニケーションが電子化されています。


・情報に触れる機会が減りました。クリーンデスク、セキュリティの強化等の理由により、「自席に様々な資料などを置きっぱなしにしている」という光景も見られなくなりました。自分のIDカードで入室できるエリアも限られています。


・「あなたの仕事はここからここまで。これ以外は、協力会社に依頼しているから」「この部分は派遣社員の方にお願いするので・・」と役割分担が細分化され、仕事の全体像を把握するのも難しくなっています。


・コンプライアンスなどの関係で、一人ひとりが注意しなければならないことが増え、何かするためにも申請を出したり、承認を得たり、資格を持っていることが必須だったりと、物事はそう簡単には動かなくなっています。


こういう一つひとつの変化は、それぞれ必然があってのことですが、若手にとっては、「成長」の阻害要因になってしまうという面があります。情報が目に入らない、情報が耳に入らない。「その場にいるだけでなんとなく聞いていた、なんとなく見ていた」といった情報からかつての若手は学んでいたという部分があったはずなのに、そういう成長機会は激減したわけです。


もはや「放っておいても新入社員が育つ時代」ではなくなってしまいました。


そこで、企業は、若手の育成に関して、「OJT」を制度化し始めました。2000年ごろからのトレンドです。OJTという言葉自体は、昔からあるものですが、以前のそれは「現場任せの育成」だったように思います。近年のOJTは、「制度化」されている点が特徴です。一人の新入社員に対して一人のOJT担当者を割り当て、1年から3年間、みっちり育てていくという形式を取り、人事部や人材開発部(以下、人事部と統一します)がOJT全体の運営を見ているというものです。OJTを始めるにあたり、若手社員に対して「期待する人材像」を明確にしたり、「指導計画書」を作成したりと制度面を整えるだけではなく、進捗確認のための面談やOJT成果発表会といったイベントを企画、運営したりする役割も人事部が担います。


働く人を取り巻く環境が大きく変化した現代は、人を育てるための仕組みが必要です。「ゆとり世代だから育たなくなった」のではなく、「環境変化の大きさが育ちにくさを助長している」ということをきちんと理解し、誰もが自分の職場の若手の成長を支援しようという姿勢を持つことが職場全体の能力向上のためには重要な要素となっています。


<注>

※1 昭和40年代発行の佐藤愛子さんの小説にそういう一説が出てきて、笑ってしまったことがあります。タイトルは失念しました。


※2 柴田昌治 『なぜ会社は変われないのか―危機突破の企業風土改革』(日本経済新聞社、1998年)では、「オヤジ文化が消滅した」といった表現で、例えば飲みに行って漏れ聞いて様々な情報を得るといった機会がなくなったなどと、近年の若手を取り巻く環境変化について述べています。


※3 中原淳 『経営学習論 人材育成を科学する』(東京大学出版会、2012年)では、人が育ちにくい環境の変化について「人材育成・学習」の機能不全の主因として以下の3つがあるのではないかと仮説を提示しています。

1. 職場の社会的関係の消失
2. 仕事の私事化、業務経験付与の偏り
3. 高度情報管理による学習機会喪失


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新規コースのご案内です。


・「人材開発の基礎知識 ~OJT編~」    (HSC0157G)

・「人材開発の基礎知識 ~OFF-JT編~」   (HSC0149G)


2016年9月より、「人材開発の基礎知識 ~OJT編~」を開講します。


この研修では、OJTの制度化に必要な基礎知識やOJTを制度化している企業の様々な取り組みを紹介します。OJT制度は、ラインの関係でトレーナーと若手が結びつきますが、それだけでは、若手の成長支援に不足があるということで、最近は、「斜めの関係」のメンター制度も広がりつつあります。メンター制度とは、企業によって定義が異なりますが、よく耳にするのは、「新入社員とは異なる部署の先輩がキャリアや日常生活について相談に乗ったり、アドバイスをしたりするもの」です。縦の関係のOJT制度と斜めの関係のメンター制度。この2つの「制度設計」と「運営上の工夫」を研修では紹介します。人事部、人材開発部、事業部門の育成担当者が対象の研修です。


2015年開講しました「人材開発の基礎知識 ~OFF-JT編~」も合わせてご受講ください。


こちらは、「従業員のための研修を企画、運営する担当者」が知っておくべき、人材開発の基本理論や学習者の動機づけ理論、人事部・人材開発部と現場の橋渡しの工夫など、研修を行う上の基本を全て盛り込んでいます。


2コースとも、参加者同士のネットワーキングの機会にもなり、その場で他社事例を共有する機会も得られます。




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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・アイティメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・(NEW) 『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)※同僚の都川信和との共著です
 ・『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)(廃版)
 ・『コミュニケーションのびっくり箱』(日経BP電子書籍)(廃版)

【連載】
 ・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"
 ・社会保険出版社 「四季のけんこう
 ・ITpro 「田中淳子の若手育成ワンポイントレッスン

[人材開発大人の学び後輩指導・OJT][2016年7月28日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第112回:「理論」と「実践」を組み合わせて、人材開発の「持論」を作る
執筆:田中 淳子

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「お客様から『新入社員のOJT担当者の文章添削力を高める研修はないか』と言われたのですが、何を提案したらよいでしょうか?」


ある時、弊社の若手営業からこんな相談を受けました。


聴けば、新入社員が書く日報の添削をしているのだけれど、添削が上手ではないため、新入社員の文章力がなかなか上がらない。OJT担当者がどのように添削指導すればよいか、ノウハウを学べる研修を提供したいというのです。


「そこなのかな?」と私は、ヒアリングしてきた若手営業に尋ねました。


「OJT担当者の添削力の向上ではなくて、新入社員そのものの文章力を向上させれば、OJT担当者が添削する時間も節約できるのではないのかな?そもそも鍛えたいのは、新入社員の文章力のはずだよね?」


「あ、そういえばそうですよね」と彼は言い、お客様と再度お話した上で、新入社員研修の一部に「文章力を基本から学ぶ」プログラムを2日間組み込むことになったのです。




ある企業からはこんな相談もありました。


「失敗プロジェクトの分析をしてみたら、あちこちの部署で同じトラブルを起こしていて、経験したことが社内で共有されていないことが原因だとわかった。社内のコミュニケーションを活性化したいので、階層別のコミュニケーション研修を実施してほしい」


「社内のコミュニケーションの課題を解決したいのであれば、階層別に研修するよりも、階層も部署もとっぱらって、全階層全部署をまぜこぜにした研修を行ってみるのはいかがですか?互いを良く知ることができ、何らかの成果を出せるようなコミュニケーションゲームをやってみるといった内容であれば、部署を超えて交流ができ、人間関係の構築に役立つと思うのですが、いかがでしょう?」


お客様は、「階層別のほうが会話のレベルが合うかなと思っていましたが、そもそも年代間や部署間の交流が課題なのだから、部署役職関係なく一緒に何かするほうがよさそうですね」とおっしゃり、「全階層/全部署の壁とっぱらいで行う研修」を10回ほどに分けて行うことになりました。一つのクラスに新入社員から事業部長までが混在している非常に面白い研修になりました。「こんな人が社内にいたんだ」とお互い驚いていて、研修後、知り合った者同士でメールも交換するようにしかけましたので、研修以前よりは社内のコミュニケーションが、活性化したようです。




人材開発担当者は、「人材開発」という側面から経営に関わる立場にあります。何らかの策を考え、役立つ研修を企画し、運営することで、社内で起こっている様々な問題を解決しようと日々奮闘しています。様々な課題の解決策を検討する際、自分の経験や他社事例を参照することも役立ちますが、企画したり運営したりする際に「よりどころ」となるものがあればより説得力のある人材開発策を社内に展開できるはずです。その「よりどころ」となるのが、「人材開発に関する基本的な理論」です。


 たとえば、「研修」で解決できることと、「研修」以外で解決すべきことは何か。
 たとえば、研修と実務の線引きはどうすればよいのか。
 たとえば、どうやって実務(経験)と研修での学びを融合させるのか。
 たとえば、学習者はどうやって動機づけすればよいのか。
 たとえば、研修の効果はどのように測ることができるのか。


これらには、すべて理論があります。


この10年ほどで働く大人の学びと成長に関しては様々な研究がなされ、多くの書籍も出版されています。人材開発に携わる人は、そういう本を読み、理論をきちんと押さえておけば、研修や人材開発の仕組みなどの企画・提案・運営に自信を持って臨むことができます。もちろん、書籍から得た知識を自社の人材開発の現場で実践し、試行錯誤していくことも大事です。


リーダーシップ研究でも著名な神戸大学の金井壽宏氏は、「リーダーシップ」について「理論だけでも実践だけでもなく、理論と実践をセットにした、私なりの"リーダーシップ"持論を作っていくことが大事だ」と常々おっしゃっています。人材開発に関しても、理論と実践を組み合わせた、私なりの"人材開発"持論を形成することで、人材開発の担当者は、経営や各事業部、従業員など様々な利害関係者と自信を持って対話することが可能となります。




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働く大人の学びと成長に関する書籍は、研究者が著したものだけでも何十冊にもなります。人材開発に携わる方にはそういう本を読むことをお薦めしますが、本を読んでもなかなか意味が理解できない、自社での適用の仕方がイメージしづらいといった声も数多く耳にします。


グローバルナレッジでは、人材開発の基本を学びたい方のために「人材開発の基礎知識」というコースを開始します。1日で「人材開発」の基礎を広く学ぶ内容です。書籍を読むのも大変という方も、この研修に参加した後であれば、専門の書籍はうんと読みやすくなることでしょう。


この研修には、多くの人材開発に携わる方が集まります。同じような立場にある方と情報交換をしながら、内省を深め、自社で活かせる「理論」を学んでみてはいかがでしょうか?


人材開発の基礎知識 ~理論を活用し、効果的な研修を企画・運営する~


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント。

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。


【ブログ】

 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!


【著書】

 ・(NEW) 『「上司はツラいよ」なんて言わせない』 (アイティメディア)
 ・『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』
   (アイティメディア)
 ・『コミュニケーションのびっくり箱』(日経BP電子書籍)


【連載】

 ・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"
 ・社会保険出版社 「四季のけんこう」
 ・ITpro 「田中淳子の若手育成ワンポイントレッスン



[人材開発大人の学び][2016年1月20日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第111回 一人前のその先へ ~いつもの毎日に、アンラーニングする勇気を~
執筆:岩淺 こまき

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研修の場でお会いする皆様から、感動や驚きなど沢山の刺激を頂きます。「ぐっとくるなぁ」と思うことの多い日々です。


私が担当している研修の「トレイン・ザ・トレーナー」では、最終日に1人ずつ「誰かに何かを教える」テーマで、10分程度のトレーニングを行う総合演習があります。受講者は、これから社内講師になる人や、講師として長く経験のある人までさまざまですが、多くの方が自分の担当講座を総合演習のテーマに選ばれます。


ある時、著書も出されている50代のベテラン講師がこの研修に受講者として参加されました。総合演習の場で、受講者全体を巻き込み、学ぶ場を活性化させるファシリテーション型のトレーニングを披露してくれました。他の受講者は、「おぉ~」と絶賛。「こういうトレーニングいいですよね!」「受講者だったら嬉しいです」「私もこういうスタイルでやってみたいです~」と口々に伝えていました。担当講師の私は、ふと、気になっていた点を質問してみました。


「〇〇さんは、普段、一方向で講義一辺倒のスタイルだって、おっしゃっていませんでしたか?」

すると

「そうなんですよ!」

と、満面の笑み。続けて照れ臭そうにこうおっしゃいました。

「今回、講師養成講座を受講して、いろいろ考えるところがあって。このままのスタイルじゃいけないな、と。で、学んだ事をできる限り取り入れてやってみようと思ったんですよね。せっかく研修の場なんで。受講者を巻き込むなんて初めてトライしたんですが、いかがでしたか?」


他の受講者から、一層大きな称賛が上がりました。私も心から、すごい!と思いました。
すごい!と思ったのは、ファシリテーション型スタイルが効果的だった事ではありません。長く慣れ親しんだスタイルを自分から手放し、新しいスタイルを取り入れたこと。そして、目の前の人達に喜んでもらえるスタイルを作り上げようとチャレンジされたことです。


これは研修中の出来事ですが、仕事の仕方でも同じことが言えます。慣れ親しんだスタイルをやめることは痛みを伴いますし、新しいスタイルを取り入れるのは勇気と体力がいります。特に、過去に成功体験を積んだ内容であればあるほど、「従来のやり方」に頼りがちになります。


一人前やベテランと言われる人が「成長が止まった」と感じ、周囲から「伸び悩んでいるな」と思われるのは、ココです。今の世の中は変化が激しくて、お客様から求められることも、会社の方針も変わっていきます。昨日までOKだったスタイルが、今日は違うかもしれない。ずっと同じスタイルでは勝負できないのに、自分の確立した「従来のやり方」でその場をやり過ごしてしまい、次第に目の前の状況に適さない「時代遅れ」な人になってしまいます。


一人前やベテランと言われる人達がさらに成長し、伸び続けるために必要なのは、組織学習の研究者であるヘドバーグが提唱した「アンラーニング(unlearning)」という考え方です。アンラーニングとは、いったん学んだ知識や価値観を意識的にほぐして、時代に合わないものを捨て、新たに必要な知識を学び直すこと。自分のスタイルがある中でも、意識的にこの考えを実行することで、成長し続けることができます。


冒頭でご紹介した50代のベテラン講師は、まさに「アンラーニング」を実践し、目の前の環境(受講者)に適したスタイルを披露してくれたのです。当然、ご本人は苦労されたようでしたが、それを上回る達成感を味わえたようにも見えました。


日常の仕事でも活用し続けると良いのですが、失敗できない!というプレッシャーの中、躊躇する時もあるでしょう。「研修の場」は、チャレンジしたり安心して失敗したりできる「アンラーニング」に適した場です。みなさんのより良い「アンラーニング」の場として活用して頂けるように、私自身もまた「アンラーニング」し続けていきます。

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<無料セミナー>

イマドキ若手の早期戦力化、カギになるのは「仕掛け」づくり
~そつなくこなすけど何か足りない?悩める人事・現場にできる工夫とは~
開催日:2015年11月26日(木)

後輩が期待通りに戦力になるために、先輩・上司の指示など関わり方を含め、職場の仕掛けづくりが欠かせません。職場にどのような「仕掛け」をすると、若手が育つのか、事例とともにご紹介します。お役立てください。


<関連コース>

トレイン・ザ・トレーナー
~研修講師養成講座~
魅力ある研修や教材作りのノウハウ
~インストラクショナルデザインを使って効果的・効率的・魅力的な研修を設計する~
人材開発の基礎知識 
~理論を活用し、効果的な研修を企画・運営する~

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グローバルナレッジ ヒューマン・スキル講師
岩淺 こまき (いわあさこまき) プロフィール

グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。 プレゼンテーション、ファシリテーション、リーダーシップ、講師養成講座、などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。


<活動>
◆ITエンタープライズ「プロマネ1年生の教科書」「その一言を言う前に」「岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術」連載中。
◆オルタナティブ・ブログ「明日の私を強くするビジネス元気ワード」公開
◆日経ITpro「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中
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[大人の学び][2015年11月17日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
【OJT茶話会】特別レポート:応募者数が多いのはよいことか?「三幸製菓によるカフェテリア採用」に学ぶ
執筆:田中淳子

田中淳子の「OJT茶話会レポート」を掲載します。

「OJT茶話会」とは、2011年からグローバルナレッジで主宰している人事・人材開発者向けコミュティ活動です。2015年6月17日(水)開催時のテーマは「新卒採用」。

ユニークな採用で有名な三幸製菓のユニークな採用についてお話を伺った上で、「自社ならどうする?」「何が課題?」「何が活かせる?」を参加者の皆さんで議論しました。茶話会の進行役を務める田中淳子が、「これからの新卒採用」」について考察します。




就職活動の解禁日が変更になったことで、かえって学生にとっては活動が長期化したのではないか。学生も企業も疲弊しているように思う。――― こういう声をよく耳にする。よかれと思って変更した制度や取り組みも最初からそう意図通りにいかないことはある。これからも新卒採用は、様々に試行錯誤を繰り返すのだろう。


ところで、「日本一短いES」をご存じだろうか。ESとは「エントリーシート」のことである。日本一短い、とにかく、短いのだ。→ コチラ


第15回「OJT茶話会」(2015年6月17日(水)開催)では、この「日本一短いES」の仕掛け人でもある 三幸製菓の杉浦二郎さんから、同社のユニークな採用の取り組みについて話していただいた。

目から鱗、「え?それありですか?」なお話の数々に参加者も私も「目から鱗」がたくさん落ちた。順を追ってレポートしていこう。


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三幸製菓と採用


三幸製菓は昭和37年(1962年)創業の「あられ・おかき・おせんべいの製造販売」企業である。7人の人事担当者で人事業務全般を担当している。

杉浦さんはこう切り出した。


私が人事に入った頃は、経営側に「採用が大事」という考えがなかった。採用の予算枠は少なく、採用に関心を示さなかった。「採用が大事」ということを経営に向けてプレゼンした。

三幸製菓はコンシューマー製品を作っている企業。イメージは大事だ。そういう意味では、採用もそもそもPR、広報である。三幸製菓がいかに成長しているかも「採用」で知ってもらう。採用はブランディングだしポジショニング。戦略を立てて世間に訴えていかないとダメでしょう?」こう訴え、ようやく経営にも理解してもらえた。


「採用」というのは、学生に会社を知ってもらうだけではなく、上手に行えばブランディングにつながる活動なのだ、と杉浦さんは経営に訴えていった、という。そういえば、この日、杉浦さんは段ボール1箱分の「三幸製菓」の「おせんべい」も提供してくださったのだが、この日以来、参加していた私たちは、コンビニやスーパーで「三幸製菓のおせんべい」を探すようになったし、意識して手にするようになった。ブランディングの一つと言われたら、なるほど~と実感する。


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※おせんべいを事前に1箱送ってくださり、参加者全員でいただきながら、お話をお聴きしました。とてもおいしいおせんべいでした。



「採用」って何だろう


一般的に採用は、「なんとなくこういう人を採用したい」という感じになりやすい。具体的には「能力」と「会社とのフィット」を見たいと考える。ところが、「能力」は「学歴」に、「会社とのフィット感」は、「面接官とのコミュニケーション能力」に置き換わりやすい。


「学歴」と「面接官とのコミュニケーション能力」という測り方となれば、結局、すべての企業が「共通の評価軸」で学生を見ることになる。どの企業も同じ評価軸で競ったら、大手有名企業に負けるに決まっている。この採用戦略では、自社のポジショニングをあえて劣勢に持って行ってしまう。


そもそも私は「面接」にも疑問を持っている。できれば「面接」をしたくない。極論すれば、面接には意味がないと思っている。質の高い面接をするには、アセッサーとしての訓練が必要。採用担当全員にその能力をインストールするのは非常に困難になる。未熟な面接担当者の面接は、「好き嫌いの熱量交換」になりがちである。だから判断も「感じいいね」といったものになりやすい。


「面接」なんか不要だ。「面接官のスキルが高くなければ、"感じよい"とか"私にとって好印象"という点で評価してしまいやすい」と言われれば、納得する。


一方、「感じよい、いい印象だ、という感覚での採用が問題だろうか」という声も参加者からは挙がっていた。 


どちらがよい悪いではなく、それぞれの企業にとっての「評価軸」を定めればよいのだと思う。



三幸製菓の採用のポイント


三幸製菓では「スキル=行動特性」と「会社とのフィット感」は「性格適性」と「経営とのフィット感」で見ようと考えた。


いかに自分たちの会社に合って、自分たちの会社で成長・活躍できる人材を定義して、採用していくかを考えることにする。このやり方であれば、他社とぶつからない。自分たちなりの戦略を立てて、採用をしていくこととした。


採用については、こういう公式があると思う。


「企業知名度や規模×採用設計力=採用力」


● 知名度が高ければ、採用設計力が高くなくても採用力は高くなる
● 会社の知名度が高くなければ、採用設計力がものを言う


「採用担当者」は「採用をプロデュースする力」が求められる。ところが、一般に、採用担当者は、エントリー数をKPIにしたがる。たとえば、三幸製菓の過去最高のエントリー数は13,000人。「うわー、13000人も来た!」とその時は思った。でも、よく考えてみれば、採用するのは、その中の数人。

選考しているのではなく、落とすことにエネルギーを費やしていて、むなしい。だったら、「エントリー」という考え方そのものをやめてしまい、「選考」について考えればよいのではないだろうか。大事なことは、その人がいかに活躍するか、ではないか。


「社長! 3000人もエントリーシートが届くんですよ」
「おお、凄いなぁ」

という風に「応募者数で喜んでいていいのか?」と杉浦さんはおっしゃる。

「大半を採用しないのに、そこにエネルギーを費やしている。でも、そこじゃないだろう」というのだ。



「採用」で何を見ていくか


三幸製菓では、採用のゴールは「2年後」とした。つまり、採った人の「2年後のパフォーマンスが上位であること」


「2年以内に辞める、2年経ってもパフォーマンスが上がらない、周囲からの評価が低い」とすれば、採用の仕方が悪いのだ。2年後活躍しなければ意味がない。2年後に活躍してくれたらその採用は成功だと評価軸を決めた。


能力を「先天的能力」と「後天的能力」と分けた。後天的に身に着くもので、自社で開発可能なら(採用時は)そこを見ない。比較的先天性が高いか、自社で開発できない能力であれば「採用」で見る必要がある。このあたりは、横浜国立大学で「採用学」を研究している服部先生のご協力も得て、整理した。


たとえば、「コミュニケーション能力」は「可変要素が高い」ため、採用では「見なくてよい」とした。もちろん、得意不得意はあるかもしれないが、それより、「想像力がある」とか「バイタリティがある」といった「変わりづらい」ことを見ることにした。



参加者からは、「コミュニケーション能力だけではなく、他の能力も入社以降の育成でなんとでもなる。人は変わる」という意見も出ていた。一方で、「もちろん、育成で手間を掛ければ、ある程度のところまで、どんな人でも育てられるば、そういうやり方は、個別対応が増えて、とても時間(コスト)がかかってしまうよね。だったら、可変要素の少ない部分は、採用時に見極めるというのも妥当なのでは」という声も挙がった。


そうやって、入社2年前後の社員のパフォーマンス分析をし、共通項に基づくアンケート調査を全社員に。ハイパフォーマーの特性を見ていった。「6分類」の適性をあぶりだす作業に1.5年間かけた。


これが「日本一短いES」の次に提示される「35の質問」へとつながる。



「35の質問」で見ている適性の詳細


「35の質問」でどのような適性を判断しているのか、解説があった。


●外向性:色々なことに意欲的にかつがつと取り組む

●開放性:様々な人を許容でき、やりとりできること

●認知欲求 :考えることが好き、難しいほど刺激的でやりたくなる

●垂直的集団主義:体育会系な世界が好き

●水平的集団主義:「みんなで巻き込んで一緒にやっていこうね」という感じ

●あいまいさの享受:よくわからない仕事をやれる、とにかくやろうよ、と動ける。あいまいな状態のまま受け入れられるか

●達成性:目標に向かってこつこつ努力し続けられるか



「カフェテリア採用」

  ......なぜ17種類もの採用方法を?


「35の質問」の開発に1年半かかり、2015年度から。2016年度の「日本一短いES」はネットで拡散した(2015年3月5日リリース)


「日本一短いES」。最初に最低限の確認をする。(「おせんべいが好き?」「新潟で働ける?」この2つを最初に尋ねてしまう)次に「35の質問」。これが「適性検査」になっている。面接に代わるものとして作ってあり、区分としては7つ。「6分類」と「不合格」。「35の質問」の回答することが「適性」の判断になり、「適性」に応じた「カフェテリア採用」(17種類)を提示する。


会社としては、「多様性」、多岐に渡る能力を持つ多様な人材を求めているのに、単一の選考フローで見るのは疑問だ。個々の特性を「全部同じ面接方法で採用します」と言っているようなもの。脚が早い人は、「走ってもらって」選考する、というように多様な採用をするのがよいのではないか。そんな考えから「カフェテリア採用」を設計した。

「志望動機」は採用の最後の段階で訊くのでもよいくらい。人生の大きな選択なのだから、途中までは「分からない、まだ迷っています」と学生が言うのは当たり前。大事なことは学生が「自分で決める」こと。



この部分も目からウロコ。

「応募動機は?」
「当社をなぜ志望したのですか?」
と最初の段階で訊いてしまう。


けれど、学生だって働いたこともないのに、揺れ動くのは当たり前。だから、志望動機は、最後のほうに尋ねるのでもよいと杉浦さんは言う。その上で、学生が「自分でここに来ると決めた」感がとても大切なのだと。


確かに、学生も情報をたくさん持っているし、就職活動用のお作法も押さえているし、「志望動機」を尋ねれば、それなりに「上手なこと」は言うに違いないが、それを聴いてどうなるというものでもないように思う。



今年は17個の採用メニュー


*17個の解説があったが、このレポートではそのうちのいくつかを紹介する。

●「おせんべい採用」

・おせんべいへの愛を存分に語ってもらう。この採用は評判高い。家族を巻き込んでムービー作ってくる人もいる。このタイプが入社すると社内が活性化する


●「キャプテン採用」
・みんなでやろうよ、とまとめていくような人。学生同士で採点していく。同年代で「この人がキャプテンだと思う人」が「キャプテンだよね」という考え方


●「DIY採用」
・学生が「どこを見ているんですか?」と言うので、「だったら自分が最も輝く、能力をアピールできる選考スタイルを考えて出して」というもの


●「がんばったで賞」
・「結果につながらないけど頑張りました」というプロセスについてアピールしてもらい、そこを評価しようという採用


●「ガリ勉採用」
・目の前のやらなければならないことを「一生懸命やった人」。普段は大人しくても「研究の話になるとものすごく饒舌になる」、入社するとものすごく勉強し新しい知識を身に着け、新しい商品を作っていく人になる


●「日本一長いES」
・30日間エントリーシートを書き続けてもらう


このたくさんの採用メニューがあるのだが、興味ある方は、エントリーしてみるとよい。自分の特性がどの採用メニューにつながるか試してみると、このシステムを実感できると思う。(茶話会でも参加前に全員が試しておいた)




今後について


最後に杉浦さんはこう締めくくった。


採用だけではなく、組織開発や人材育成などすべてにつなげていかなければならない。
大事なことは、今までは、縦ライン(偉くなる)」が一般的だったが、これからは「複層化(モザイク化)」、つまり、「様々な働き方」に対応していく必要がある。

人事制度、選考、育成、評価も多様化する。今後はそういうことすべてをやっていかなければと思っている。

私は様々な場所で三幸製菓の採用についてプレゼンする。"なぜ時間をとってまで、いろんな場で自社のことを話すんですか"とよく質問される。1つは、HRの領域で「採用」の立ち位置が若干低いと思われているような気がするという課題意識から。エントリーレベルの仕事と思われがち。人材育成や組織開発は難しいと思われがち。でも、「採用」をちゃんとやること。それなりの立場の方は採用にもっとコミットしてもらえると、その会社の「採用」はちゃんとしてくると思う。


2つ目は、基本的には全部オープンにしている。個人情報以外は、自分の考えをオープンにし、賛否両論の意見をいただくと、自社にまた活かしたい。来年も同じことを話していたら、頭の中が変わっていないなと思ってください(笑)


杉浦さん、興味深いお話をありがとうございました。



この後、参加者でこのプレゼンをきっかけに議論をした。採用に関わる方、採用された社員の育成に携わる方、どちらにも関わっている方など多岐に渡る参加者からは、以下のような声が挙がっていた。


● どういう採用、選考を経て採用に至ったとしても、「あなたはここを見て選んだ」ということを本人にフィードバックすることがとても大事。いかに「選考されているか」という納得感が入社の決め手、ロイヤルティの決め手になりそう。「ちゃんと選考されている」感。入社後も生きてくるはずと信じている。
学生が「選考されて、見てもらって、取ってもらった」という意識が強くなれば、リアリティショックがあっても、モチベーション高く取り組むのではないか。どこを評価されたのか、どこを見てもらったのか、ちゃんと見てもらったかわからないから承諾もためらうのかもしれない。「ちゃんと選考した、これだけ見て決めたんだよ」「こういうところを見て採用された」とわかれば、自信を持って仕事できる。


●新卒研修で「君のここがいいね」と言うと、「そんな風に言ってもらったことがない」と言われることが多い。ここ1-2年増えた。いかに認められていないかというのが現代の若手かも。キャリア採用の中でも「若手」は「どうして選ばれたのですか?」とフィードバックを欲しがる。それが後々の「内定承諾」にも影響している。


●どういう人材を求めているか、を「人事」が「現場」と握れているかというとちょっと怪しい。たとえば、「コミュニケーション能力」が大事というが、では、何をもって「コミュニケーション能力」と定義しているのか、明確にしているだろうか。これは、職場に戻って人事と現場とで話し合う必要があると思った。


他にも有意義な議論が交わされ、途中、質問には杉浦さんが丁寧に答えてくださった。

参加者全員が「自社に持ち帰りこれを試してみます」をコミットして、解散した。
次回「OJT茶話会」開催時にその成果を共有することになっている。

皆さんの成果が楽しみである。






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●企業の人事・人材開発担当者向けコミュニティ「OJT茶話会」は、各社のOJT事例を共有しようというところから2011年に発足しました。現在30社ほどの企業がメンバとなっています。IT、製薬、メーカーなど多種多様な業界の方が集まり、OJTに限らず、人材開発に関わる幅広いテーマを毎回集まっています。

参加条件は2つだけです。「可能な限り継続参加してくださること」「いつか自社事例をプレゼンしてくださること」。参加は無料です。ご興味のある方は、担当営業にご連絡くださいませ。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ

・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"





[大人の学び後輩指導・OJT新人社員研修][2015年8月18日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第109回:「お母さん、お仕事って楽しいの?」
執筆:岩淺 こまき

「お母さん、お仕事って楽しいの?なんでお仕事しているの?」

 

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ある土曜日の19時頃、3歳9か月の長男に言われた言葉です。

「う?うーんと。まぁ、仕事って、大変な事も多いけど、本来楽しいものっていうか、おもしろくあってよいものっていうか・・・かな?」と、しどろもどろになりつつ、答えました。長男は「ふーん」と言って、また自分の遊びの方に戻っていきました。

 

私はここ数年で2回の育児休業を経験し、2回とも4月1日から前と同じ職場に復帰しました。育児休業中に、転職することも専業主婦になることも考えました。なぜ働くか、を考えてきたはずなのに、上手に答えられなくて反省しました。

 

反省しながら2回の育児休業をふりかえり、自分のある変化に気づきました。
それはわずかながらも「物事を前向きにあきらめて、限られた資源でどうしようかなーと考える癖がついた」ことです。

 

例えば1人目の育児休業の時は、世の中に溢れている情報に追い込まれたことを憶えています。代表的なママ雑誌などに勝手にストレスを感じてしまうのです。「そうか、『求められている働くママ像』は、育休中にMBAとったり大学に入ったりしてキャリアを伸ばしつつ、子供やママ友と会う時もメイクやオシャレに手を抜かず、家族の健康のために食育アドバイザーになり、毎日キッチンに立ちながら仕事する事なんだ!」と読み解きました。

 

「できるか、そんなもん!」

 

と言い切れなかったのは、産後のホルモンバランスのせいなのかは分かりませんが、ともかく自分を苦しめた記憶があります。


ところが二人目になると、そんな余裕もなくなるので、「できる人もいるかもしれないけど、ごめん、そこまでは無理。その代り今は、君たち(子供達)が笑ってくれることに注力します。そして昔のスーツは太って着られないけど、新しくスカートを買えば小奇麗に見えるので許してください(旦那さんへ)」くらいに割り切る気持ちが出てきました。

 

何かの出来事がおこった時に "できること" と "できないこと" を分け、できることにフォーカスし、「こういう方法ならイケルかも」と考えられるようになったのです。
"できないこと" をあきらめはしますが、"どうせ私にはできない、できる状況じゃない・・・" など後ろ向きに捉えるのではなく、"できないのは仕方ないけど、どうやったら近づけるか" と、前向きにあきらめることができるようになりました。

 

思えば私の周りのママ達(だけじゃないと思うけれど)は、みんなしなやかで、明るく頑張っています。しなやかに感じるのは、彼女たちと話をしていると「子供によりよい人生を生きて欲しい、自分もあきらめたくないし幸せを実感したい」が伝わってくるからだと思います。「誰もわかってくれない、何もやってくれない」という言葉を聞くことが無いのです。

 

フルタイムで働いているご夫婦も、旦那さんが海外赴任で、ひとりで子供2人を育てているママも、遠くから保育園に通っているママも、徹夜明けで着替えだけしてすぐ出勤するママも、保育園が休みの日曜日に勤務や夜勤が入るご夫婦も・・・

 

皆いろいろな事情を抱えています。そして日々理不尽な出来事に翻弄されます。
例えば、今まで市の「一時あずかり制度」を使って所要を済ませていたのに、今年から「就労目的以外は使用不可」になって、子連れでは行けない用事なのにどうしよう、とか、上の子と同じ保育園に入れずにどうやって送り迎えしよう、とか、細かい事だと17時以降に会議招集?お迎え間に合わないよー!などなど・・。

 

でも、みんな最後に言うのです。
「ほんと、どうしようかなーですよね。まぁなんとかやるしかないですよね」と。
そうして「物事を前向きにあきらめて、限られた資源でどうしようかなーと考える」ことを実践し、前に進んでいます。

 

このような "しなやかさ" や "折れない心" 「レジリエンス」と言います。
「レジリエンス」は、混沌とした現代で活躍する、全てビジネスパーソンに必要なマインドと言えます。
頑張っているママ達は、この「レジリエンス」の実践者と言えるでしょう。

「レジリエンス」で必要な事は、思考の柔軟性です。
つまり、厳しい状況でもネガティブな面だけではなくポジティブな面を見いだす事ができる人が、逆境を乗り越える事ができる」と心理学者イローナ・ボニウェル博士は語っています。
(引用:NHK http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3486_all.html)

 

頑張っているママ達は多かれ少なかれ、みんな独自の経験の中で"思考を柔軟にしてしなやかに頑張って"います。そんな「レジリエンス」に少しでも近づけたのではないか、と自画自賛したい気持ちになったのでした。

 

さて、こんな事を考えながら「なんで仕事しているの?」に改めて答えようと思いました。そこで寝かしつけの絵本の後、「さっきの『なんでお仕事するの?』に、もう一回答えてよい?」ときくと、「うん」と長男。

 

「まずね、お仕事は大変な事もあるけど、楽しいと思っているよ。それでね、なんで働くかっていうと、『誰かを喜ばせるために』働いているんだよ。お父さんやお母さんが働くと、お客さまとか会社の人が喜ぶでしょう。それでお金がもらえて、そのお金で○○ちゃん達と楽しいことができたり、美味しいものが食べられたりするよ。働くと『嬉しい』が増えるから、働いているんだよ。」

 

納得したのか期待した答えだったのかは分かりませんが、長男は「ふぅん」と返事して、満面の笑みで眠りにつきました。

 

<おすすめコース>


文中に出てきた「レジリエンス」に必要な思考の柔軟性を持つには、「メタ認知」を高めたり「物事の捉え方」を見直したりすることが有効とされます。
以下のコースでお伝えしています。
これから会う受講者の方や子供達が、「レジリエンス」になることを祈って。

 

「物事の捉え方」を見直す
  ■ 秋の新入社員・若手社員向け研修パッケージ

「メタ認知」を高める
  ■ 若手社員のためのフォロワーシップ ~成果につながる貢献と提言~

  ■ 自分のキャリアを考える ~原点回帰し、「自分軸」を見つけるワークショップ~

 

2015年秋から開始する「ストレス」関連研修シリーズでも学習できます。

「物事の捉え方」だけではなく、3R や「他者とのかかわり方」、など様々な観点から、「セルフケア」に関する知識やスキル、「部下の悩みの聴き方」や「適切なアドバイスの仕方」など「ラインケア」についての学習などいくつかのコースを立ち上げていきます。
詳細は順次、当社Webサイト、メルマガ、Facebookページでお知らせいたします。

 

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グローバルナレッジ ヒューマン・スキル講師
岩淺 こまき (いわあさこまき) プロフィール


グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。 プレゼンテーション、ファシリテーション、リーダーシップ、講師養成講座、などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。 

<活動>

◆ITエンタープライズ「その一言を言う前に」「岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術」連載中。オルタナティブ・ブログ「明日の私を強くするビジネス元気ワード」公開
◆日経ITpro「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中

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[キャリア大人の学び新人社員研修][2015年7月 1日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
【OJT茶話会】特別レポート:色々な働き方があっていいじゃないか(2)
執筆:田中淳子

前回は、「いろいろな働き方があっていいじゃないか(1)」で、サイボウズ社の人事制度についてレポートした。


今回はそのサイボウズ社の「ワークスタイル動画」の制作意図やOJT茶話会の参加メンバの感想などを紹介する。


▼第2弾ムービー「パパにしかできないこと」...「大丈夫」と合わせて再生回数は100万回を超えている(2015年4月30日現在)。


サイボウズ社は何を目指していたのか。


そもそもの出発点は「企業認知向上のため共感していただけるムービーを作ること」だったそうだ。とはいえ、「製品の宣伝をする」ことではないと考えた。だったら、自分たちが取り組んで来たワークスタイル改善の問題、とりわけ一番苦労の多い「働くママ」について取り上げたいねという話になった。ただし、解決策を示すのではなく、それぞれの立場で、それぞれの視点から考えるきっかけ作りになればいいという想いでムービー制作を行ったという。


「みんな、ひとりひとりが、それぞれの視点から考えるきっかけ作りになればいいと思った」というワークスタイル動画の制作意図を聴き、「だから、大丈夫じゃないからなんとかしましょうよ」という終わり方をしなかったのか、と私も納得した。


国は、「女性の活躍推進」を声高に叫んでいるけれど、「女性が仕事をすること」と「子育て」の問題は不可分であり、現時点では、どうしても「女性側の負担」は高くなりやすい。


もちろん、「うちは完全分業制です」という進んだ夫婦もいるけれど、それはまだマイナーで、女性側の負担の大きさは、女性の「頑張り」でカバーしているというのが現状だろう。


「OJT茶話会」でこの動画について感想を述べ合った際、「うちの妻もこんな風に感じていたのかな」と改めて自分のパートナーの気持ちに想いを馳せたという方がいらした。そうやって誰かの心に何かが響いたとしたら、サイボウズ社の目的は十分達せられたのだろう。


今回の動画は、ワーママに焦点を当てていたけれど、働く人を取り巻く問題は、子育てだけではない。私が直面している介護の問題もある。結婚年齢がどんどん上がっていることで、子育てと介護のダブルパンチを食らっている人もいる。もちろん、自身の健康問題を抱える人だっている。


そういう様々な事情がある人たちが、それでも、「充実感を味わいながら、幸せに、できるだけ長く働く」ことができたら、一人ひとりがハッピーになるだけではなく、組織だってハッピーになれるはず。日本もまたハッピーな国になっていくだろう。


今回の「OJT茶話会」では、サイボウズ社のワーママ動画を見ながら、参加者10数人と議論を交わした。皆さんからは以下のような声が挙がった。


●私は育休から復職したとき、あえて時短を選ばなかった。時短を選んだところで、きっとそんなに早く退社できないだろうなと予想したこともあるが、家族も「時短」に慣れてしまうと、定時までの就業に戻った時、子どもの期待が生れてしまい、大変だろうな、と思ったからだ

●働き方はまさにダイバーシティの一環で考えていくべきことで、いかに会社や日常生活に「タイバーシティ」を取り入れていくかが大事だと思った

●ワーママが大変なのはこの動画でもよく分かったが、どうすればいいのかは、会社や家庭でもっと話し合ったほうがいいと感じた


...人事担当者・人材開発担当者として、あるいは、一人の働く個人として、多くのことを考えるきっかけが得られたワーママ動画。


参加者からの多岐にわたる質問に、大槻さんは一つ一つ丁寧に答えてくださった。


中でもこの質問が象徴的だった。


参加者からの質問:「サイボウズさんは、男性の育休を義務化するのですか?」
大槻さん:「男性も育児休暇を取りなさい、としてしまったら、結局、ダイバーシティじゃなくなる。モノカルチャー(単一の文化)の押しつけになる。そうではなくて、人事制度はいろいろ作ったから、あとは一人ひとりが自分で考えて選択してね、というのが基本的な考え方です」


「ダイバーシティ」とか「グローバル化」とか言葉でいうことは簡単だが、それは、モノカルチャーを脱却し、「一人ひとりが自分で考えて生きていくこと」と「多様な考えや生き方を周囲も理解していくこと」の両方がますます重要になるのだろうと思った。


最後に大槻さんはこう締めくくった。


いろいろな人事制度を作っていますが、「なぜサイボウズはこんなにうまくいったのか?」とよく訊かれます。
女性活用が、世間で流行っているからといった "きれいごと" からスタートしたのではないのです。"経営課題" に直結していました。
「優秀な女性が出産を期に退職しちゃうのはもうストップしよう」という切実なところからスタートしました。
だから、「世間で話題だから」「流行っているから」ではなく、この手の問題を考えるとき、"うちの会社の課題は何か" という点から皆さんも考えるとよいのではないでしょうか。
社員間で問題意識を共有し、共感が得られれば、そういう制度や仕組み・取組みは、きっと長続きすると思います。


ただの真似ではなくて、自社ならではの課題を見つけ、社員が自分たちの働きやすさを追及するために一緒に自社ならではの制度を考え、皆が働きやすい制度を勝ち取っていく。


個人と組織がそれぞれに自律しつつ支え合うような関係がこれからの時代には必要になるのではないだろうか。

この「OJT茶話会」では、サイボウズ社のワークスタイル動画のほかに、第二部では、あるIT企業で育児休暇を取得した男性の経験談もお話していただいた。育児休暇を取るにあたっての周囲の反応や休暇中の生活、気持ちなどの赤裸々なお話は、これまた大勢の心に響いた。

 

次は「男性の育休とそれにまつわるお話」をレポートする。お楽しみに。


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★あらためて、話題の動画をご覧になりたい方は、以下のサイトから。
働くママたちに、よりそうことを

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●企業の人事・人材開発担当者向けコミュニティ「OJT茶話会」は、各社のOJT事例を共有しようというところから2011年に発足しました。現在20社ほどの企業がメンバとなってくださっています。IT、製薬、メーカーなど多種多様な業界の方が集まっています。
参加条件は2つだけです。「可能な限り継続参加してくださること」「いつか自社事例をプレゼンしてくださること」。参加は無料です。ご興味のある方は、担当営業にご連絡くださいませ。

●2015年7月から「キャリア」をテーマにしたワークショップ型研修を開始します。
ワークスタイルの問題は、それぞれのキャリアに深く関係します。来し方を振り返り、これからのキャリアを描くワークショップ、ぜひ、ご参加ください。

【PDU対象】自分のキャリアを考える ~原点回帰し、「自分軸」を見つけるワークショップ~

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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"

[大人の学び][2015年5月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
【OJT茶話会】特別レポート:色々な働き方があっていいじゃないか(1)
執筆:田中淳子

今回から3回にわたって、田中淳子の「OJT茶話会レポート」を連載します!

「OJT茶話会」とは、2011年からグローバルナレッジで主宰している人事・人材開発者向けコミュティ活動です。

今回の連載でご紹介するのは、サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長 サイボウズLiveプロダクトマネージャー・大槻幸夫さんをゲストとしてお招きし、ワークスタイルを主題として開催した回の模様です。

茶話会の進行役を務める田中淳子が、レポートを通じて多様化する「働き方」について考察していきます。




2014年12月、サイボウズ社から発表されたワークスタイル動画「大丈夫」はご覧になっただろうか。


公開当時、私のTwitterのタイムライン(皆さんのツイート(つぶやき)が掲載される欄)には、この動画への共感、賛同が多数並んでいたし、Facebookでも動画をシェアすると共に自分の想いを綴っていた友だちが多かったことを思い出す。


ワーキングマザー(以下、ワーママ)は、口ぐちに「そうなのよ、そうなのよ!」「わかってくれてありがとう!」と絶賛し、男性の多くは、「こういうことをきちんと考えないといけないよね」と自戒を含めコメントしていたように記憶している。


そこまで世間を騒がせているものであれば、流行に後れてはならじ!とばかりに動画を見てみた私は、多くの方の寄せる絶賛とは少し異なる感想を持った。


簡単に言うと、「え?..."ママ、大丈夫?"..."ママによりそうこと"...これで終わっていいの?"よりそう"でいいの? そう疑問に思ったのだ。


「大丈夫じゃねーよ」と誰か反論しないか、「寄り添う」だけじゃなくて、(いや、それはありがたいことだけれど)「こんなの全然大丈夫じゃないから、なんとかしようよ」「大丈夫になるように、みんなで考えようよ」「個人の問題と考えるのはもうやめようよ」と声高に言ってはくれないか? なんとなくそんな風に引っかかってしまい、ついブログで突っ込んでみた。「サイボウズのワーママ動画に私も物申す」。すると、このブログ・エントリーが私史上最大の1491もツイートされてしまった。


「世間はやはり関心を持っている! いろんな意見に関心を寄せている!」
「ぜひ、自社にお招きし、お話を聴かせていただこう」。


場所は2011年から当社で主宰している「OJT茶話会」という名の人事・人材開発者向けコミュティの会合だ。サイボウズ社の動画をきっかけに、でワークスタイルとか人事とか人材開発について企業を超えて議論したら面白いだろうなと考えた。


善は急げ。このワーママ動画の仕掛け人と一度だけお会いしたことがあるというだけの理由で、図々しくも連絡を取り、「当社で開催する人事・人材開発担当者だけのイベントでサイボウズさんの取り組みや、あのワーママ動画の裏側をお話いただけませんか?」とお願いしたのだった。


二つ返事で引き受けてくださったのは、サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長 サイボウズLiveプロダクトマネージャー・大槻幸夫さん。


2015年2月25日、とうとうその日がやってきた。


「人事・人材開発担当者向けコミュニティ"OJT茶話会"」第14回会合において、サイボウズ社の取り組みをお話いただくことが出来たのだ。


タイトルは、「サイボウズがチャレンジする新しい働きかたとその成果、そして、企業コミュニケーション」。


まずは、サイボウズ社の人事制度について聴く。


非常にユニークな制度満載で、以下のようなものがあるという。


●選択型人事制度
 *人生のイベントに合わせて働き方を変更できる
 (時間に関係なく働くワーク重視型、
  少し残業して働くワークライフバランス型、
  定時時間内で働くライフ重視型から選べる)
●ウルトラワーク
 *時間、場所の制限なく、働く時間と場所を自由に選べる
●育「自分」休暇
 *35歳以下の若手に退職後6年は復帰可能な制度
 *社外で別のノウハウを得た社員を引き戻し、組織の強さを高める目的を持つ
●副業解禁
 *断りなく副業可能、他の会社に所属してもよい


他にもいろいろな制度を紹介していただいたが、興味深かったのは、以下のフレーズである。

 

人事制度は福利厚生ではない。仕事の生産性を上げるための制度である。

サイボウズ社では、サイボウズが考える「働くこと」とは、「より多くの人が、より成長して、より長く働ける」ことであり、人それぞれの事情などに応じて、働き方を自由に変えられることが大事だと大槻さんは話す。


制度は、社長が決めるトップダウンではなく、従業員から「こんな制度があったらいいな」と出てきた声に対して、人事部が検討し、社員を交えたワークショップも繰り返し、決定するそうだ。実際に社長発案の社内保育園は、全員の猛反対(「どうやって都心のオフィスまで子どもを連れてくるのだ!」など)にあい廃案になったとか。


あくまでも「生産性向上」を目的に制度を作っていくため、仮に、社員にとってはどんなにいい制度に思えても、生産性向上につながっていないと思われる場合は制度自体がなくなることもあり得ると社員にも説明しているそうだ。


一旦制度が出来たら、その運用のためのルールを浸透させることよりも、「何のためにその制度を作ったのか」という理念や目的を共有することほうが大事だと大槻さんはおっしゃる。


そんなユニークな制度多数お持ちのサイボウズ社が公開した動画は冒頭で述べたように大反響を巻き起こした。


次回は、サイボウズ大槻さんのプレゼンテーションからポイントを紹介していく。


★あらためて、話題の動画をご覧になりたい方は、以下のサイトから。
働くママたちに、よりそうことを


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【PDU対象】自分のキャリアを考える ~原点回帰し、「自分軸」を見つけるワークショップ~


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール


グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。


【ブログ】
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【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)


【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ
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[キャリア大人の学び][2015年5月 7日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第106回:仕事の「原点」を思い出す
執筆:田中 淳子

プロジェクトマネージャ向けに「キャリア」を考えるセミナーを行った時のことです。

冒頭で「今の仕事に就いたきっかけ」を周囲の方と共有する時間を設けました。


「原点回帰」と名付けているこのワークでは、何歳であろうとそれぞれが「私が今の職業に就いたのは」「今の会社に入ったきっかけは」と自分の「原点」を丁寧に、そしてとても楽しそうに話していきます。グループのメンバも「へぇ、そういう出会いがあるんですねぇ」「ほぉ、そういうことがきっかけになるんですね」などとやはり身を乗り出して楽しそうに聴いています。


「学生時代の研究テーマに近いことが出来そうな会社だったから」
「学生時代のアルバイト先の先輩が先に就職した会社で、よく話を聴いていて、IT業界っていいなぁと思って受けたのです」
「早く自立しよう、自活できるようになろうととにかく"会社"というものに入ろうと思っていました」
「ITって世の中のいろいろなことに関わる技術だから、面白いだろうなと思って飛び込みました」


皆さんの職業の原点は、実にさまざまです。


原点を語るのは、自分の歴史を思い出すようでとても楽しい気分になってくるようです。一人3分と時間の目安を示しても、たいていの方がオーバーしてしまいます。しかも、「原点」を語ってください、と伝えているのに、ほとんどの方が「・・・という流れで今に至る」と現在までのストーリーで語ります。

自分のことを語るのは気持ち良いものですし、他者が真剣に聴いてくれるので、とてもすっきりする効果もあります。


原点を語っていくと、「私の初心はこれだったな」「最初の志はここにあったな」と思い返すことができ、今の自分と比べて、「意外にずれていない」「ちゃんと原点から"軸"はあったぁ」などと、自分の仕事を見つめなおすことができるようです。


出版社に勤める30代の友人がこんな話をしてくれました。


「高校生が職場見学にやってきました。職業のイメージを持つために、いろいろな業界の見学を授業の一環でしているとのこと。私は3人の高校生をエスコートしながら、この部署は、編集部で、ここは販売で、ここは・・・と案内しました。特に、所属部門である販売の仕事についてはより丁寧に説明しました。実は最近、仕事に対して疑問に思うこともあって、モチベーションも下がり気味だったんですけど、高校生に自分の仕事を説明しているうちに、"ああ、私の仕事はこういう仕事だったんだ""私は、○○や××がしたくて、ここにいるんだった"と自分の原点を思い出すことが出来ました。高校生に"ありがとうございました"と言われましたが、私の方こそ"ありがとうございました"という気持ちになりました」


彼女は、自分の仕事を他者に語りながら、自分の原点や仕事への想いを再確認できたそうです。やる気も再燃し、自分のしていることの意義を再認識できたとも言います。


毎日が忙しいと、自分が何のために仕事をしているのかという意識はつい薄れてしまいがちです。朝起きて、通勤して、1日の仕事が始まり、いずれ終わり、帰宅して、「ああ、早く週末にならないかなー」と思いながら金曜を迎え、日曜には「サザエさん症候群」(※1)になってまた月曜を迎える。その間、多くの課題に取り組み、困難を乗り越えてはいるものの、自分が「何をしたくて今ここで働いているか」ということは考えずにただ日々が過ぎ去っていきます。そして、気づけば年末がやってきます。「今年もなんだかとても忙しかったなぁ」と思いつつ、数日で新年を迎え、また同じサイクルが始まってしまいます。


でも、時々はちょっとだけ立ち止まり「私の原点は何か」「何がしたくてここにいるのか」を考えてみるとよいと思うのです。そうすれば、自分の働く意義が明確になってくるはずです。


セミナーの最後に、ある方がぼそっとこうおっしゃっていました。


「自分がこうやってキャリアの棚卸をしてみただけで、ずいぶんすっきりしたし、リフレッシュできた。うちのプロジェクトメンバだって同じようにいろんなことを考えているはず。仕事に対する想いとか考えなんかをもっと聴いてみなくてはいけないなぁ」


誰もが自分の仕事について語るうちに明るい表情になるのを見ながら、自分のためだけでなく、プロジェクトのメンバにもこの「原点回帰」を促してみていただきたいなぁと思いました。


あなたの仕事の「原点」は何でしょうか?


※1) 「サザエさん症候群」・・・日曜夜18時半になると、「ああ、また明日から仕事かぁ」と憂鬱になることを指します。Wikipediaにも載っています。


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日本プロジェクトマネジメント協会主催「PMシンポジウム2014」において2014年度に表彰制度が新設され、私、田中淳子は「優秀講演賞」を受賞しました。
毎年PMシンポジウムで2.5時間のセミナーを担当してきた結果を認めていただき、大変光栄に思います。 


*表彰制度や授賞式の模様はコチラ です。

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【関連コース】
グローバルナレッジネットワークでは、プロジェクトマネジメント関連コースを多数開催しています。

【PDU対象】【現場体験型】ステークホルダーを動かすあの手この手 ~プロジェクト成功の鍵~


【PDU対象】【現場体験型】最強プロジェクト・チーム・マネジメント ~チームの活性化こそプロジェクト成功への道~


【PDU対象】【現場体験型】進捗会議のツボ ~進捗会議の見える化、そして見えないものを見抜く力~


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。
【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!
【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"

[キャリア大人の学び][2015年1月 5日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第105回:「内省」と「対話」でより深く学ぶ
執筆:田中 淳子

例年秋から冬にかけて、OJTトレーナー向けの「フォローアップ研修」を担当します。OJTスタートから3-6か月という時期です。開催時期が早過ぎるとフォローアップするほどの出来事がまだ起こっていませんし、あまりに時期が遅くなれば、フォローアップで得た内容をOJTの実践で生かす機会が減ってしまいます。ですから秋から冬というのがちょうど良いタイミングなのです。


「フォローアップ研修」では、これまでのOJTの取り組みについてOJT担当者同士で共有します。方法は、「内省」(個人内でのふりかえり作業)と「対話」(他者とのやりとり)です。「どんな取り組みをしていて、どういう発見、気づきがあり、どういう成果があり、そのことから、今後に生かせることは何か」を「内省」した結果を共有したり、「困っていることについてどう対処すればよいか」を「対話」によって深く考えたりします。


ここで質の良い新たな気づきや学びを引き起こすためには、「内省」と「対話」を組み合わせることが重要です。まずは個々人が「内省」し、自分の取り組みを思い出し、気づきや学びや考えを整理しておきます。その上で他者と「対話」し、それぞれの気づき、学び、考えを共有します。


一人で「内省」するだけでは、自分の思考の枠組みに縛られてしまうため、考えの深さや広さには限界が生じ、気づきや学びも限られたものになります。他者との「対話」によって様々な気づきや考えを聴くことで、自らの気づきや学びをより深めることができるのです。


個人が「内省」したことを他者と「対話」することは、多くのメリットをもたらしてくれます。(「受講者の声」を添えて解説します)


●自分の取組みや気づきを他者に話すことで、自分の頭の中が整理され、自分の取り組みに「意味づけ」ができる
→ 受講者の声:「対話しているうちに、上司に言われたのと同じことを自分もトレーニーに言っていることに気づき、上司の言っていたのは普遍的なことだったのだとわかった」


●他者から「トレーニーの反応は?」「他にどんなやり方をしてみました?」などと質問されると、解決策や教訓などを明確にできる
→ 受講者の声:「他の方から"トレーニーがどう思っているか"と質問されて、トレーニーの思いを聴いていなかったことに気づいた。トレーニーがどうなりたいか、など"キャリアイメージ"を訊いてみたいと思う」


●他者の取り組み例や悩みなどを聴きながら、自分の経験と照らし合わせ、自分では考え付かなかったやり方を得られる
→ 受講者の声:「他部門での実践内容に私も真似できる具体的な方法が得られた」


●他者に話すことによって、とにかく「すっきり」する。心理学用語で言う「カタルシス」(浄化)が得られ、ストレスが解消される
→ 受講者の声:「似たような問題を抱えていることがわかり、自分だけではなかったとほっとした」


「内省(ふりかえり)」と「対話」は、学びの場で注目を浴びているキーワードです。この二つはセットにすることでより高い成果を生み出します。 


OJTを例に挙げましたが、何を学ぶにしても、実務での実践を経て、「内省」と「対話」をすることが「経験からの学び」をより強化してくれます。


これまで研修は「知識・スキルの学習」にフォーカスされ、1回の研修で「何かを学んだらおしまい」とされることが多かったのですが、現在は経験を経た後「ふりかえり」の場を設け、「内省」と「対話」のためにゆったりと時間を取ることも重視されるようになってきています。実際に、「知識・スキルの学習」を行なった後、1ヶ月~3か月ほど経過してから再度集まり、「実践結果」の共有などを行うフォローアップ研修もセットにして考えたいとおっしゃるお客様も増えてきています。


「得た知識やスキル」は「現場で使われてこそ」ですし、「現場で使った知識やスキル」に、もっと良い方法はないのかをより深く考え、それを再度実務に取り入れることで能力はさらに高められます。


学びを強化し、能力をより向上するために、「内省」と「対話」がとても重要な役割を果たすのです。


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★お知らせ★ 「中外製薬」様の人財育成事例が完成しました!


2007年からOJTのお手伝いをさせていただいている「中外製薬」様の「OJTコーチ制度」について事例を作成しました。中外製薬様に取材し、人財育成への熱い想いを表現した素敵な事例が完成しました。多くのお客様の目に留まりますように。


以下よりダウンロードできます。ぜひご一読くださいませ。
研修サービス事例:中外製薬株式会社


【関連コース】

後輩の教え方育て方
OJT担当者向けワークショップ

OJT担当者上司向けセミナー

OJT担当者向けフォローアップセミナー

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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

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 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
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[大人の学び後輩指導・OJT][2014年12月 1日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第104回:「研修講師を活用すべし」
執筆:高橋俊樹

「受講者のお役に立ちたいと思っていますが、反応がなく、しぶしぶ受講しているように見え、教える気持ちが下がってしまいました」

「色々なネタを準備していたのですが、興味がなさそうだったのでお伝えしませんでした」

「講師として品定めされているような態度、表情に見えて、余計に緊張してしまい練習通りに講義できませんでした」

「忙しそうに仕事のメールしている人が多いので、必要最低限な内容にとどめて早く終わるようにしています」
これらは社内講師を担当したことがある方から伺ったものです。



会社や立場によって異なりますが、たいていの方は年に数回程度、社内や社外の研修に参加していると思います。研修には様々なメリットがあります。知識やスキルの習得はもちろん、目的以外のことを吸収できる、新しい人脈ができる、いつもと異なる場所でリフレッシュできる、などです。多忙な業務の合間を縫って研修に参加するのですから、貴重な機会を活かして様々なメリットを享受したいですよね。



最近では企業における研修の内製化も進み、様々な立場の方が講師を担当することも多くなりました。社内講師であれ社外講師であれ、一般的にはその分野に通じた人が研修を担当しています。講師は、自分の担当する分野についての経験が豊富にあり、必要な資格や背景となる知識、スキルを身に付けていますので、受講者の悩みや課題解決に対し、異なる視点でヒントや解決策をより多く提供できる可能性があります。つまり、様々なメリットを得るためには研修講師をどう活用するのかが鍵となります。



しかし、冒頭のコメントを見る限り、残念ながらうまく活用しきれていないようです。そこで、社内講師をされている方から伺った、「受講者のこんな言動があるとテンションが上がってもっともっとお役に立ちたくなる」という、講師視点のデキゴトをまとめてみました。




「入退出時に挨拶してくれる」
朝、終了時の入退出の際に、こちらが挨拶しても無言で着席したり、そうっと出て行かれたりするととても悲しいキモチになります。「おはよう、おつかれ、さよならー」などなんでもよいので一言、挨拶のやりとりがあると嬉しいものです。



「前に座ってくれる」
みんな後ろに座って、前ががら空きだととても悲しいキモチになります。ちなみに後方だから見えていない、なんてことはありません。受講者がどこに座っていても、講師からはよく見えています。むしろ目の前の方が「灯台下暗し」です。ぜひ、一歩、一席前にドウゾ。



「先生と呼ばない」
政治家ではありませんので、多くの講師はセンセーと呼ばれることに抵抗を持っています。「講師の方」でもよいのですが、できれば個人名で「~~さん」と呼んで頂けると嬉しいです。同じ社内なのに講師とか先生とか言われると凹みます。



「頷いて聴いてくれる」
会議の場などで自分の発言に対して参加者がノーリアクションだととても辛くないですか?研修も同じです。講師は、頷きがないと説明が不足しているのかな?と判断する場合もあります。リアクション大歓迎です。タテでもヨコでも首をブンブン振って頂けるとありがたいです。



「問いかけに答えてくれる」
一方通行な学習にならないように、講師から問いかけることがあります。問いかけの目的の多くは、受講者の考えを聞いて共有することです。正解・不正解ではないので、恥ずかしがらずにドンドン返答して頂けると場も活性化し、様々な意見や考え方を知ることができます。



「メモを取ってくれる」
バリッときれいなままのテキストをお持ち帰りになるよりも、気づいたことはなんでもメモし、ヨレヨレでもよいので自分だけのテキストに仕上げて頂きたいと思っています。メモをするかしないかを腕を組んで考えこむよりも、まずメモして、あとから自分で取捨選択する方が効果的です。



「開始時刻までに全員が着席している」
たいていの場合、カリキュラムはかなりタイトに組まれていますので時間管理はとても大変です。ですから開始時刻に受講者全員が揃っているだけで、今日はなんてラッキーなんだと思い、テンションがあがります。また、時間通りに来てくれている方の時間も無駄にせずに済みます。



「質問してくれる」
尋ねられたことに対して的確に回答するのは講師としての役目です。それに対応できるように日々努力していますし、質問内容から、受講者が興味を持っている箇所や自分の説明が正しく伝わったかどうかが分かります。学習内容はもちろんですが、それ以外にもたとえば自己紹介でお話した内容に関して質問が来たら、嬉しくて舞い上がります。



「アンケートにコメントを記述してくれる」
たいていの場合、アンケートは数値評価だけでなくコメントが書けるようになっています。「学んだ〇〇は、××で使えそう」「〇〇が分かったので不安が解消された」などどのようなことでも構いません。数値だけにマークされたノーコメントアンケート、とても落ち込みます。具体的なコメントは講師のやる気や学習内容の改善にもつながります。具体的なコメント、ココロよりお待ちしております!



以上です。




講師は、受講者が学習しやすいような雰囲気をつくるために、様々な工夫や働きかけをしていますが、大事なのは「Give&Take」ということです。芝居やコンサートと同様、片方だけが頑張っても盛り上がりません。双方が働きかけることによって相乗効果につながり、より良いものを生み出したり得たりすることができるのです。講師をうまくノセることも、研修から得られるメリットを最大化するコツなのです。




より良いコミュニケーションをとる方法に関しては、トレーニングコース「【PDU対象】効果的コミュニケーション・スキル ~より良い対人関係を構築するための聴き方、話し方~」で学ぶことができます。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている
2010年4月まで日経BP、ITproのselfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載

[大人の学び][2014年8月27日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第101回:若手には「どんな背中」を見せればよいのか
執筆:田中 淳子

2014年度の新入社員がやってきました。迎える職場もそわそわドキドキし始める時期です。


1990年から毎年新入社員研修に携わっています。今ではすっかり親子ほどの年齢差となってしまったものの、私自身の感覚は20代のころのそれとたいして変わっていません。私と同年代の多くの方がそう思っているはずです。一方、新入社員からすればものすごく年上の人、雲の上の人、なんでもちゃんとできる人に見えるもの。若手と接する際ほとんど違和感を覚えないのは年長者の側だけだということに、自分が年齢を重ねてようやく気づきました。


自分が好むと好まないとに関わらず、若手社員からは、一挙手一投足を見られているわけです。ほんのジョークで口にしたことであっても、若手社員には多大なインパクトを与えてしまうことすらあります。よく「背中を見せる」と言いますが、どういう背中と見せればよいのかというのは難しい問題です。 


顧客対応を上手に行う「背中」。
プログラムをさくっとデバッグする「背中」。
社内調整をする「背中」。


上司や先輩のこういった様々な「背中」を見ながら若手社員は多くを学んでいます。


でも、最も大きく影響を及ぼすのは、「成長し続けている背中」を示すことではないかと思うのです。


ある時20代のITエンジニアがこう話してくれました。

「うちの上司、すごいですよ。絶対に知らないだろうと思うような最新技術の話をしても、だいたいは把握しているんですよね。いつ勉強しているんだろう」
目を丸くしながら、「とてもリスペクトしている」とも言っていました。


「顧客との打ち合わせの時、上司が答えられなかったことがあったのですが、次の打ち合わせの時には、完璧に解説していて、短い時間に自分で勉強されたんだなあ、すごい!と思いました」と教えてくれた30代の営業担当者もいました。


「すごい、あの先輩は、常に進化している!」
「いつも新しいことを追いかけて吸収しようとしている!」
「これまでのやり方に問わられずにチャレンジしている!」


若手からそう見られることがとても重要なのではないだろうか、そう思っていたら、こんな研究を見つけました。


「部下による上司の成長認知がある時に、上司が行う部下への内省支援に正の関係がある」のだそうです。脇本健弘さんの研究です。(参考:『職場学習の探求』 生産性出版)


わかりやすく言うと、「部下が自分の上司を見て、"ああ、成長しているなあ"と認めた(認知)した時初めて、上司が部下に行う"ふりかえりの支援""フィードバック"などに効果があるわけです。部下や後輩を育てたいと思ったら、まず、自分が成長している姿を彼らに示さなければならないということでもあります。


若手の育成に携わる際、たとえば、上司やOJTトレーナーが「若手を育てればいいんだな」と思っていると、そのためには自分の成長も大事、と言うことですから、これにはドキッとする方も多いはずです。「え? こっちも成長してないとダメなの?」と驚いた方もいるかもしれません。


では、「成長する」ために大事なことは何でしょうか?


まずは「学ぶ」こと。その上で、時に「学んだことを捨てる」こと、そして、さらに「学び直すこと」も必要です。それぞれ"Learn""Un-Learn""Re-Learn"と言います。ここまでに身につけた知識や時々棚卸し、自分が持っている知識や経験を一旦捨てなければならない場合もあります。中堅やベテランにとっては、時にそれは痛みを伴います。それでも、上司や先輩たちがそうやって常にLearnとUn-LearnとRe-Learnを意識し、「学び続ける」背中を見せれば、新入社員を始めとした若手にとってよい影響を及ぼすはずです。


「もう歳だから、新しいことは学べない」と諦めたり、「今までの蓄積があるから大丈夫」とのんびり構えたりするのではなく、「これ、面白いから挑戦してみよう」「新しいことを学ぶのは楽しい」ということを言葉と行動で示すことが、若手の成長に好影響を及ぼします。

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【お知らせ:大幅に改訂しました】


●「後輩の教え方育て方」(HS0073CG)


はじめて後輩の指導を任された、OJT担当に任命された、OJTの仕組み全体を支援したいなど「若手育成」に関わる方向けの研修です。


2014年5月から大幅にRenewalします。「経験学習」など最近注目を浴びている「働く大人の成長」に関わるキーワードを盛り込みました。


●「OJT担当者のためのワークショップ
●「OJT担当者上司向けセミナー
●「OJT担当者向けフォローアップ研修


上記3コースも同じテキストを使用します。

新テキストをご覧になりたい方は、担当営業までご連絡くださいませ。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』 (日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』 (ダイヤモンド社、共著)
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[大人の学び後輩指導・OJT新人社員研修][2014年3月31日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第100回:"Good for you!" ~勇気づけるポジティブフィードバック~
執筆:田中 淳子

この「わくわくヒューマンスキル」というコラム、おかげさまで100回目を迎えました。当社のメルマガで「わくわくヒューマンスキル」の更新をお知らせすると、その日のグローバルナレッジWebページへのアクセスが一段と伸びるとも言われており、多くの方に読んでいただいているのだなあと感慨ひとしおです。本当にありがとうございます。


1回目は2005年のコラムでタイトルは「フィードバックの想い出」。私が1990年にアメリカ出張で、本社の研修を苦労しながら受講した際、アメリカ人のクラスメイトに前向きなフィードバックを受けて感銘を受けたことを書きました。


「人が自信を持ち、やる気が刺激されるようなフィードバックを交換できる、そんな研修を作り、日本人にも提供したい!」そう思った原点です。今でもその思いは変わらずに持ち続けており、さらに私個人のミッションステートメントとしても、「働く大人がよりハッピーに仕事をするためのお手伝いをする」を掲げながら日々を過ごしています。


私がヒューマンスキルの研修を立ち上げ、お客様向けに提供し始めたのは1991年のことです。当時勤務していたDEC(Digital Equipment Corporation)は当然のことながらコンピュータ技術者(当時は、IT技術者とは言いませんでした)を対象とした研修事業を行っていたので、「コンピュータ技術を学ぶのはいいけれど、ヒューマンスキルの研修は抵抗がある」という方も大勢いらっしゃいました。


「恥ずかしい演習を沢山させられるのでしょう?」
「人前でロールプレイなんてしたくない」


そういう声がよく聴かれた時代です。


一方で、「待ってました! コンピュータ技術ではなく、人間関係とかチーム作りとかそういう分野を学びたかったのだ」という方も少しずつ増え始めてもいました。


21世紀になり、ITエンジニアの方たちは、「ヒューマンスキル」を学ぶことに一段と積極的になってきました。ロールプレイも受講者同士の意見交換もフィードバックも抵抗なく受け入れる、もっと言うならとても積極的に取り組む方が主流になってきたのです。
それに伴い、研修のスタイルも徐々に変わってきています。


1990年代までは、「しっかり講義で教えてください」「演習は少なくてもいいです」と言われることもよくありました。アンケートにも「受講者同士で経験を会話しても答えは出ないから講師が答えを教えてくれればよい」と書いてある場合もあったものです。研修では講師が「答え」を教えるものなのだと捉えられていました。


時は巡り、唯一の「答え」などないことは誰もが認識するようになってきました。「講義は少なくていいから、話し合う時間を多くとってください」「演習でたくさん体験させ、それが実務にもつなげられるようふりかえりにも長時間を費やしてください」というリクエストが多くなりました。受講者からも「たくさん体験できた」「それぞれの経験を語り合う場で多くの気づきがあった」「参加者同士で議論したことを仕事に活かしたい」という感想をいただくようになりました。「学び」に対する考え方がこの20年でずいぶん変化してきたわけです。


学びの主体はあくまでも参加者です。講師が出来ることは、参加者の学びが最大の効果を生み出すようお手伝いすることです。


私達講師は、教室の学びが実務に結びつくようにその場その場で気づきを引き出したり、気づきを促したりします。その時役立つのが「フィードバック」です。受講者同士のフィードバックも講師からのフィードバックも気づきの強化につながります。


学んだことを使ってみよう、自分の行動を少し変えてみよう。そう思えるためには、研修の内容や進め方も重要ですが、中で交わされる前向きなフィードバックが力になるのです。


これまでに3回アメリカの研修を受講したことがあります。唯一の外国人受講者だった私をアメリカ人講師は研修外でもずいぶんケアしてくれました。講師とランチを共にしていた時、「こういう研修は日本ではどうなの?」「日本人の受講者はどうとらえるの?」と質問されたので、「日本人も体験型の研修は受容するようになってきた」「楽しく学んでいる方が多い」といったことをできるだけユーモアを交えて話しました。彼女は、私の話の区切りごとに"Good for you!"を連発しました。「やるね!」「いいじゃん!」といったニュアンスでしょうか。"Good for you!"に励まされ、片言なりの英語でも楽しく会話することができました。


講師は、受講者を励まし、勇気づけ、学びを加速する役割を担います。"Good for you! "は、その象徴なキーワードのひとつとして私の記憶に刻まれています。



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トレイン・ザ・トレーナー」(ON258)

社内外講師養成講座です。 研修を内製化している企業の方にもおすすめします。


インストラクショナルデザイン」(HSC0100G)

研修教材を企画したり開発したりするための技法を学びます。公開コースとして提供を始めます。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。


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【著書】
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 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』 (ダイヤモンド社、共著)

 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』 (日経BP社)

 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)

 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)


【連載】
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[大人の学び後輩指導・OJT][2014年1月31日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第98回:つらいフィードバックを受け取ったら・・・?
執筆:岩淺 こまき

ある企業で事務職として働いている友人が、こんな話をしてくれました。


職場でマネージャ層向けの360度評価があった。部署の共有フォルダに評価結果が記されたファイルがあり、なぜかマネージャではない自分への360度評価もあった。思わず開いて1シート目をみたら、隣の男性社員から自分へのフィードバックだった。そこには、「○○さんは感情豊かなのはよい。明るいときはよいが、嫌なことがあったときにネガティブなオーラを出し、周りに悪影響をあたえるのをやめてほしい」と書いてあった。息が止まるくらいショックだった・・・。


友人は「他人様に迷惑だけはかけずに生きていこう」を信条としていたので、自分が周囲に迷惑をかけていたことに大きなショックを受けたのでした。私は、友人の気持ちを察しつつ、その後どうしたのかを問いました。友人は言いました。


はじめはその隣の男性社員に対して、「あなたには言われたくない!」と思った。でも、迷惑だというのは、彼にとっての事実だから、迷惑をかけたことは申し訳ないと反省した。だから、普段の自分の仕事の仕方を振り返って、彼に影響を与えそうな言動を洗い出し、それをやめようと思った。そして「①私語は慎む」「②嫌なことあってもため息や独り言「やだなー」を言わない」を実践することを決めた。


そのあと友人は、2つの行動を死守しました。結果、隣の男性社員については表面上、あまり変化が見られませんでしたが、職場では2つの変化に気づきました。「集中しやすい職場になった」「上司との関係が良くなった」のです。ため息や愚痴を言わなくなったことにより、上司がフォローしようという気持ちになったのかもしれません。友人は「もっと早くやればよかった。自分もため息なんてつかなくても平気だって分かった。今となってはフィードバックがあってよかった」と言っています。


この話を聞き、私が友人のことを「スゴイ!」と思ったポイントが3つあります。



  1. 予想外かつ、不本意な改善のフィードバックを受け止める「謙虚さ」

  2. 今までと違う行動をとる「勇気」

  3. 行動をとり続ける「根気」


特に①が素晴らしいと私は思いました。人は改善のフィードバックに対して、拒否反応を示しやすいものです。「そんな言い方ないでしょう?」や「あなたには言われたくない」と、本質とは異なる部分でフィードバックを捉えてしまうのです。仮に、一旦は受け止めたような「ふり」はしても、「自分の行動や考え方が正しい、あなたの方が変わるべき」という頑固な考えに捉われて、フィードバックを否定するケースもあります。


友人が、そのまま自分のふるまいを変えなかったら、どうなったでしょう。恐らく、隣の男性社員のストレスが増し、上司との関係は変化なし。態度を改めない友人に、周囲が「この人は何をフィードバックしても変わらない」と諦めモードになり、友人と積極的に関わりたくない人が増えてくる。友人自身はそれによってさらにストレスを抱えてしまう。負のスパイラルが始まって、悪い関係性が強化されていきます。


改善のフィードバックは、内容が真実かどうかはさておき、言っている人からすれば「事実」です。深呼吸して、一旦は受け止めるとよいと、私は思います。そして伝える側は相手が受け止めやすいように、タイミングや表現方法を整えて伝えることも大事です。例えば人格ではなく、「行動」に焦点を当てて伝えます。冒頭のフィードバックを「○○さんは嫌なことがあったときに、ため息や独り言「やだなー」を言う。それに左右され自分も嫌な気持ちになる」と言えれば、相手も受け取りやすくなります。


フィードバックを受けた時の対処法も、フィードバックを与える時の表現も、どちらも少し変えてみることができれば、チームや人間関係によい効果をもたらすはずです。


岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。 プレゼンテーション、ファシリテーション、講師養成講座などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。

ITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。
アイディメディアにて「岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術」「明日の私を強くするビジネス元気ワード」公開中。

[大人の学び後輩指導・OJT][2013年11月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第87回:当たり前を支える
執筆:森 美緒

12/1(土)の午前4時から7時まで、私は妹と2人で最寄りのJR駅にいました。

周囲はまだ暗く、静まり返っていました。
防寒具は用意したものの、指先と足先が冷たさを通り越して
感覚が鈍くなる経験を久々に味わいました。


この日は、年末年始の新幹線チケットの発売日。
私たちは年末年始の新幹線チケットが欲しくて、窓口に並ぶことにしたのです。
私たち姉妹はほとんどの親戚が1時間以内に集合できる環境で、
「帰省」というイベントへの知識がほとんどありません。
年末年始のチケット発売日は、「みどりの窓口に始発前から並ぶ方がいる」
「全国で一斉に発売されるので、多くても30人くらいしか、
要望どおりのチケットは買えない」という話を聴いて、驚いてしまいました。


そこで、冒頭の状況になったわけです。
前日は普段にないほど早く帰宅して、仮眠を取り、3時半に起きて、
15分歩いて最寄りのJR駅へ4時半に到着。
5時になり、6時になり、その間に、続々と後ろへ続く人の列。
7時に窓口が開き、購入のための紙と整理券を引き換えてもらい、
すぐにチケットを入手できました。


チケットを入手して、帰宅する道のりで考えたことがあります。
「データベースのなかった時代、指定席の予約管理をどのように行っていたのだろう?」ということです。
今でこそ、当たり前のように自動発券機や窓口で指定席が予約でき、ネット予約もできますが、これは昔からあったものではないはずです。


その疑問に、JRのシステムに詳しい方が答えてくださいました。
簡単に要約すると、昔は管理センターが台帳管理をしていて、
窓口で予約をする場合、が係員が、センターに電話して空いているかを
その都度、確認していたそうです。
それがシステム化され、徐々に改良され、現行のシステムになっていると・・・

システム化される前は、1人あたりの発券に時間がかかったでしょうから、
おそらく窓口が開いてから、すぐにチケットが入手できず、トラブルも起きやすかったことでしょう。
その頃から考えたら、帰省する人たちもネット予約ができたり、円滑に窓口で処理してもらえたりと、とても便利になっているのだと思います。


改めて考えると、生活の一部としてなじみすぎていて、
どれほど便利でありがたいことなのかを忘れてしまったり、
認識できなかったりしている「当たり前」がたくさんあります。


例えば、2011年の大地震当日、私は五反田のお客様先にいました。
朝、自宅から電車で45分だった距離が、徒歩では5時間以上かかりました。
その後の計画停電では、普段の生活がどれだけ電力に依存しているのかを痛感しました。
オール電化マンションの我が家は煮炊きもできず、冷凍庫内のアイスは全滅しました。


コンビニがなかったら・・・
銀行のATMが使えなかったら・・・
電話、通信がつながらなかったら・・・


考え出したらきりがないほど、私の生活を支えてくれている「当たり前」があります。
そして、その当たり前は、人の手によって支えられているものなのだと思います。


作り出した便利さが、周囲に「当たり前のもの」と認識されるようになるまでには、時間がかかります。安定した運用と管理をするために、長期間、忍耐強く続ける必要がありそうです。運用管理をしてくださっている方々の成果が、私たちの「当たり前」なのでしょう。


忙しくて、自分のことで精一杯の状況では、当たり前を支えてくれている人を意識できなくなってしまうことがあります。でも自分の周囲を見渡せば、当たり前を支えてくれている人がたくさんいるのではないでしょうか。


年の瀬を迎える前に、自分の当たり前を支えてくれている人を再認識できたことは、とても良い体験でした。(寒かったけど)

2012年も「当たり前」を支えてくださって、ありがとうございました。

2013年もどうぞよろしくお願いいたします。

[大人の学び][2012年12月13日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第81回:自分で自分を上機嫌にする
執筆:田中 淳子

何か面白くない出来事があったとき、イライラすることがあります。不機嫌そうな顔をしてしまうこともあります。イライラしている自分に気づくから、よけいに不機嫌になるという、負のスパイラルに陥ることも。上司の一言でとても嫌な気持ちになった、同僚の仕事ぶりを見て不快感を味わったなど、原因はさまざまですが、機嫌が悪くなり、それを表情や態度で表している内に、そういう自分自身のことがより不快になっていくのです。


いったい私を不快にさせているのは誰なのか。本当に上司や同僚なのだろうか? アサーションの第一人者でもある平木典子さんはご自身の著書『自分の気持ちをきちんと<伝える>技術』の中で、怒りについて次のように触れています。
「周囲のせいで怒らされたと思いがちですが、じつは、自分が自分を怒らせているのです」
自分の気分を作っているのは実は自分だ、というのです。自分で「不快だ、不快だ」と繰り返し考えている内にどんどんその「不快だ」という思いに全身が捉われてしまい、「不快」状態に自らどっぷりと浸ってしまう。そしてそこから抜け出せなくなってしまう。そういうことなのでしょう。


「怒りの感情」を持たないほうがいいと頭では分かっていても、つい不機嫌な様子を他者にも示してしまうのはなぜだろう? 若き僧侶、小池龍之介さんの著書『もう、怒らない』では、「ムカツキの原因は、「不当に扱われた」と感じること」と説いています。さらに、「ムッとしないほうが幸福であるに決まっています。にも関わらず、つい不機嫌になり、自分にダメージを与えてしまうのはなぜでしょうか? それは、怒りの感情は、電気ショックのような強い刺激を心に与えるからです。」と述べています。自分にとって刺激的だから簡単にはやめられないということなのかも知れません。
考えてみたら、怒りというのは、自分の持つエネルギーとしては少々もったいない使い方になっているように思います。平木さんは上記に挙げた書籍の中で、怒りを外側に向けて表現してしまうのは、自分の能力不足を告白しているようなものとも解説しています。以下は、同著の中で図解されているものを文章で意訳しました。


  • 自分にとって脅威と思えることが起こった場合、人は、まず自分で対応できるレベルのものか、自分の能力範囲内かを判断する

  • 対応可能と判断すれば、冷静に対応すればよいだけなので、怒りを感じることはない

  • 対応不能と判断した時は、それを正直に口に出せばよいのに、プライドなどが邪魔して言えなくなることがある。その場合、「怒り」という「さらなる脅威」で誤魔化そうとする。自分は能力が足りないと告白しているようなものだ

というのです。

これらの話を総合すると、結局、「自分の気持ちをコントロールしているのは、ほかの誰でもない自分なのだ」ということになります。そして、その事実を常に心に置いておくことは大事だと思います。不機嫌になりそうなとき、「あ、今、私は自分で自分を不機嫌に追い込もうとしている」ともう一人の自分がささやいてくれるからです。もちろん、気持ちのコントロールというのは、幸せ感、楽しさといったプラスの感情でも同じことが言えます。


ある時、「にこにこ顔」で研修に参加している方を発見し、講師であった私は思わず声をかけてみました。「朝からずーっとにこにこと笑顔ですね。」すると、彼はこう言いました。「つとめて笑顔で人の話を聴くように、とすごく意識しているんです。そうすれば、自分も相手も楽しくなるでしょう?」


彼は、自分のエネルギーを自分の気分(と他人の気分)を楽しいものにするために費やしています。物事そのものが楽しいのではなく、それを楽しいと思う自分がいるから、楽しい。幸せと感じる自分がいるからこそ、幸せになれる。そんな好循環も意識さえすれば、生み出すことができるのです。


人は、自分で自分をより不機嫌にすることもできれば、自分で自分をより上機嫌にすることもできるのです。上機嫌、にこにこ顔は、不機嫌の時と同様、周囲に伝染していきます。


1日24時間は誰にでも平等で、その時間を上機嫌で過ごすのか、不機嫌で過ごすのかは自分で決められます。「自分のエネルギーをどこに向けるか」は、セルフコントロールの問題です。多くの人と共に働くことが多い現代の職場では、セルフコントロールができることは、とても大事な力の一つです。


自分自身を常に上機嫌の状態で保つ。「大人の嗜み」だと思います。
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<関連コース>

自律と成長の心理学

【PDU対象】マネージャのためのチームビルディング
 ~マネージャの役割とビジョンに基づく運営~

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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!」
 ・「ヒューマンスキルの道具箱」
【著書】
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

【対談連載】
・ITpro
「ヒューマンスキル特別対談 田中淳子×芦屋広太『行き詰まり感』を打開するコツ」

【連載】
(NEW!) ITmediaエグゼクティブ「田中淳子のあっぱれ!上司」

・ITPro 「ヒューマンスキル往復書簡 田中淳子←→芦屋広太」

[コミュニケーションリーダーシップ大人の学び][2012年6月22日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第77回:チューリップの香りって?~経験則は両刃の剣~
執筆:森 美緒

みなさんは、「チューリップの香り」を思い出すことができますか?
「え?チューリップに香りなんかあったかな?」と思う方が多いのではないでしょうか。


実は、チューリップに香りがあることを私はつい最近知りました。
チューリップの香りについて教えてくれたのは、顔見知りの生花店の店長です。
私が「花びらの先が尖ったタイプのチューリップが好きだ」と話したところ、「あのタイプは、新しい品種なんだよ。色の種類は少ないけど香りがいいよね」と言うのです。
『なるほど、以前は見かけなかった品種だな』、とうなずく一方で、「え?香りがあるの?」と驚きました。

その尖ったタイプのチューリップを毎年のように購入しているにも関わらず、香りを感じた記憶がないのです。
そう伝えると、店長は「そりゃそうさ。みんなチューリップは香りがない花だと思い込んでいるから。チューリップがかわいそうだよね」としみじみ言いました。


「なでしこ」という花についても話しました。"なでしこジャパン"のなでしこです。
これは、夏に咲くピンク色の花で、秋の七草や日本の伝統工芸に使われる模様としても有名です。
昨年、ちょうど女子サッカーが世間で話題になっていた頃のことです。
店長が「今日のおすすめは、絶対になでしこだよ。」と言いました。
栽培農家が栽培をやめてしまうため、来年からは切り花として市場に出ることがないというのです。
栽培を辞めてしまう理由を尋ねると、店長は「しかたないよ。お客さんは、1輪でも見栄えがする花を買いたがるし、単価の安い花だから花屋の利益もでないし。そもそも"なでしこ"が花の名前だと知っている人も減っているらしいしね。」と、かみ締めるような口調で言いました。
その季節になれば、生花店にあって当たり前の花だと思っていましたが、言われてみれば、最近は、あまり見かけなくなっていたようにも思えてきました。


この店長とのやりとりは、大切な教訓を私にくれました。「経験則に頼りすぎると気づけないことがある」ということです。「ない」と思っていると、そこにあることを感じず、「ある」と信じていると、そこに姿がなくても気づけない。経験則によって、気づかないままに得られなかったものや失ってしまっているものが他にもあるのではないかと思ったのです。


経験則は、私たち一人ひとりの中に、必ず存在するものです。
過去からの経験則によって、私たちは、自分の五感から取り込む情報を効率よく処理することができます。たとえば、「赤いチューリップの花は、香りがしなかった」「黄色いチューリップの花も、香りがしなかった」これを繰り返すと「チューリップは、香りがしない花である」という経験則ができ上がり、それにより、次にチューリップを見たときには「チューリップには香りを期待しない」という経験則がすぐに適用されるようになります。経験則のおかげで、私たちは五感から取り入れた情報をすばやく処理して生活できています。

けれど一方で、この経験則が「先入観」や「思い込み」につながることもあります。先ほどの例でいえば、「チューリップが香りを発している」のに、その香りに気づくことができない、というようなことが起こるわけです。


業務でも同じことが言えます。
例えば問題解決のフレームワークやヒアリングのテクニックを使う場面で、「この場合はこう処理する」「このケースならこう聞く」という経験則が先入観となり、自分がその先入観にとらわれ過ぎてしまう可能性も否定できません。

自分から意識的に聞こうと思わねば聞けない話があるはずです。
見てみようとしなければ見えない事実があるかもしれません。
「これはこうだ」と経験則からくる先入観を自分が持っていることに気づけば、周囲の情報を先入観で処理してしまう前に、「あれ?」「これで合っているかな?」と自分に問いかけることができます。
そうやって、「先入観」を乗り越え、今、目の前にある事実を確認する言動を取れたら、新しい発見や気づきを得られるのではないかと思うのです。

[コミュニケーション大人の学び][2012年2月16日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第71回:「関わり方」が築くもの
執筆:森 美緒

「私は傾き無限大です。」

これは学生時代に、友人が就職の自己アピールで活用した言葉です。
面接のリハーサルにつき合っていて、私の頭に浮かんだのは「?」でした。
友人の解説では
「傾きとは、比例式y=axのa、つまり係数のことである。係数が大きいほどyの値が大きくなる。私は御社の中でそういう働きができる」ということでした。

「自分は御社に必要な人材です」と言うニュアンスはなんとなく伝わってきましたが、
ニュアンスしかつかめない自己アピールで採用されるかな?と他人事ながらとても心配だった覚えがあります。

その後、私も友人も無事に就職して、あっという間に10年以上が経ちました。
私は2度、転職して今の職業に就きました。
IT企業に入社した友人は社内で配属先が3度替わりました。
学生時代に教師になりたいと言っていた私は、営業→秘書→研修講師となり、
インフラ中心のSEになりたいと言っていた友人は、技術部(インフラ)→技術部(料金計算)→事業本部で働いています。
仕事の内容が変わるたびに、私たちはほとんど同じやりとりをします。


「やりたかったことなの?」「うーん。興味がなくはないけど・・・」
「大丈夫?できるの?」「分からないけど、とりあえずやってみる」


私も友人も、計画的に歩んだキャリアと言うよりも、たまたま人から紹介されたり、たまたま異動辞令で築かれたりしたキャリアとしか言いようがありません。
会話の中にある通り、「もともとやりたかったことなのか?」と聞かれたら、違う気がします。
かといって、「やりたくないことをやっているのか?」と言うと、それも違うのです。
とにかく自分の立ち位置で、できることをやってみるうちにその仕事が分かってきて、楽しさを見つけていく感じです。仕事が分かってくるころになると、こんな会話をします。


「その後どう?」「大変だけど、やりがいがあるよ。」


絶対にこの仕事に就こう!と志し、それを実現する方がいる一方で、私や友人のように、偶然をキャリアに変えている人が数多くいるのではないかと思います。
そして、それで良いのではないかとも思うのです。理由は2つあります。


1つ目の理由は、そもそもやったこともない仕事に「適職感」なんて持てないと分かったからです。今になって思えば、学生の時になりたかった職業も、なりたかった自分も、今の自分とはずいぶん違うのです。そんな中で自分の適職を探すことはできないと思います。


自分が今までに経験してきたことは、職場や業務内容が変わっても、まったく無駄にならないと実感していることが2つ目の理由です。私は現在、研修講師として営業時代の事例やコミュニケーションテクニック、秘書時代に身につけたマナーを活用しています。友人は事業本部として予算や計画を策定するために、技術時代の経験や知識を活用しています。過去に自分がやってきたことは、結びつけようとさえ思えば、今の業務とその成果につなげることができるのです。


4月に入社した新入社員の中には、配属先に一喜一憂している方もいるようです。その姿を見るたびに、配属先よりも、その場所で自分が何をするか、つまり仕事への関わり方が大切だと早く気づけたらいいなと思います。


さて、冒頭の「傾き無限大」に戻ります。
y、x、aはそれぞれ何を指すのか、改めて考えると、1つの解釈ができるようになりました。「資源(x)に、どんな自分で関わるのか(a)が結果(y)に大きく影響する」という解釈です。


結果=自分の関わり方×資源


この解釈であれば、現状をうまく説明することができるのです。
例えば、こんな感じです。


スキルの向上=自分の関わり方×学ぶための資源(先輩や参考資料など)
業務への満足感=自分の関わり方×業務


資源は得ようと思えば、あらゆるところから得ることができます。
でも、自分の関わり方によっては目の前にある資源を資源として認識できなかったり、自分の持っている資源を資源として活用できなかったりするかもしれません。そこから何を得るのか、どんな成果につなげるかは自分次第です。
私の解釈が正しいならyの累積がキャリアであり、人生そのものだということになります。


こんな解釈ができたよと、友人に今度会ったら話してみようと思います。「そう言いたかったんだよ!やっと分かったか?」と得意気に笑う顔が目に浮かびます。

[大人の学び新人社員研修][2011年8月22日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第65回: 「社外」で学ぶ
執筆:田中 淳子

 1999年秋から今までずっと母校でもある上智大学社会人講座に通っています。もう12年目に入ろうとしています。最初に受けた講座名は、「わかりやすい組織行動論」でした。入社15年を過ぎ、社外に出て何かを真面目に勉強してみたくなったのがきっかけです。経営学の教授の授業は、タイトル通りとてもわかりやすく、楽しいものでした。以来、ずっと同じ教授の講座を受講しています。社会人講座は、春季(4月~7月)と秋季(10~1月)の年2回、それぞれだいたい12コマで修了です。これまでに「マネジメント」「リーダーシップ」「モチベーション」など多くのテーマで学んできました。どれもこれも働く大人にとって魅力的な内容です。

 

 先生はおっしゃいます。「私が教える内容は、あくまでも学問です。実務的なことは実務家である皆さんにはかないませんので、学問の世界でどう捉えられているかをお伝えします。それを実務でどう生かすかは皆さん自身で考えてください」と。アカデミックなことを学びたい人のニーズに合致して、多くのリピーターが生まれています。

 

 講座は週1回、18:45に始まり、20:15に終わります。時には、その後、四ツ谷の街で懇親会(平たく言えば、呑み会です)が開かれ、そこで、また多種多様な話題で盛り上がることもあります。

 

 週1回、90分の社外での学習。私にとっては、単に「学問を学ぶ」だけではなく、いつもとは異なる世界の方たちと交流を持つ機会にもなっています。自社、自分の所属する業界、自分の職種といった世界でついつい「当たり前」と思ってしまうようなことでも、実はとても狭い世界で「当たり前」と思い込んでいただけだと知らされるようなことも多々あります。

 

 日常、業務に忙殺されがちな社会人にとって大学の社会人講座というのはとても便利な「学びの場」になるように思います。週1回、しかも夜90分、そして受講料も個人が負担できるものですから参加しやすいというメリットもあります。以前このことを私のブログ「ヒューマン・スキルの道具箱」で触れたところ、お読みになった方が早速上智大学の「語学講座に通った」というお話もお聞きしました。研修で出向いた先で、「大学に通っているのです」とお話すると、受講されている方や人事・研修のご担当者も一様に興味を持たれるらしく、「Webで調べてみます」といった声もよく聞きます。

 

 「今にして思うんですよねぇ。学生時代にもっと勉強しておけばよかった」とか「働き始めてから勉強するほうが実感は湧くし、必要に迫られているから深く納得もできるような気がする」とおっしゃる方も大勢いらっしゃいます。

 

 学生時代はあれほどサボることばかり考えていた授業。勉強は、成績のため、親に叱られるから、など外発的に動機づけられる部分も多かったかもしれません。「いえ、そんなことない。私は勉強が大好きでした」という方ももちろんいるでしょうが、「もうちょっと勉強しておけば」「今ならもっと真面目に学ぶのに」と後悔している人も多いはずです。

 

 働く大人にとっては、より上位の仕事に取り組んだり、今の仕事をより効率よく、効果的に進めたりするために学習は必要だし、学習したいとも思う。一方で、学習に時間を割くことで業務が滞ることもできるだけ避けたい。現場で抱える課題を解決するためのヒントやコツ、スキルを学べたら嬉しい、というのは多くのお客様からもよく聞きます。

 

 だからこそ、私が通っている大学の「社会人講座」はとても有効な学びの場なのだと思います。いろいろな大学でアカデミックな講座を開催しています。興味がある方は一度各大学のホームページを覗いてみてはいかがでしょうか?

 

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2011年2月14日、「定額制セミナー"GKラーニング・クラブ"」のリリースを発表いたしました。月額の定額料金だけで、2時間半から3時間のセミナーを受講し放題というプログラムです。

ITもヒューマン・スキルも全て短時間に最低限のスキルやコツが学べるものです。こういうセミナーは短時間で学べるというだけではなく、「他流試合」ができることにもメリットがあります。大学での学びもそうですが、社外に出て、いつもと異なる場に自分の身を置くことで深く内省する機会が得られますし、様々な背景を持った他社の方と交流することによる新たな気づきもあります。

GKラーニング・クラブは、お試し受講ができます。詳しくはGKラーニング・クラブのWebサイトへアクセスしてみてください。

★GKラーニング・クラブ専用Webサイトはコチラ

 

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田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【対談連載】 
ITpro ヒューマンスキル特別対談-『行き詰まり感』を打開するコツ- (田中淳子×芦屋広太)

【Twitter】 
「田中淳子のTwitter」 


【USTREAM動画 (録画)】 
『グローバルナレッジ「田中淳子の コミュニケーションのびっくり箱 -』
http://www.ustream.tv/recorded/11572906

『田中淳子の Tips in the BOX 新入社員を一人前に育てるOJTのコツ』
http://www.ustream.tv/recorded/12292160

[大人の学び][2011年2月22日配信]

※Microsoft、Windowsは、米国Microsoft社の登録商標です。
※Oracleは、米国オラクル・コーポレーションおよびその子会社、関連会社の米国およびその他の国における登録商標です。
※PMI、PMP、PMBOKは、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute, Inc.)の登録商標です。
※ITIL®はAXELOS Limited の登録商標です。
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