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わくわくヒューマンスキルコラム
第112回:「理論」と「実践」を組み合わせて、人材開発の「持論」を作る
執筆:田中 淳子

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「お客様から『新入社員のOJT担当者の文章添削力を高める研修はないか』と言われたのですが、何を提案したらよいでしょうか?」


ある時、弊社の若手営業からこんな相談を受けました。


聴けば、新入社員が書く日報の添削をしているのだけれど、添削が上手ではないため、新入社員の文章力がなかなか上がらない。OJT担当者がどのように添削指導すればよいか、ノウハウを学べる研修を提供したいというのです。


「そこなのかな?」と私は、ヒアリングしてきた若手営業に尋ねました。


「OJT担当者の添削力の向上ではなくて、新入社員そのものの文章力を向上させれば、OJT担当者が添削する時間も節約できるのではないのかな?そもそも鍛えたいのは、新入社員の文章力のはずだよね?」


「あ、そういえばそうですよね」と彼は言い、お客様と再度お話した上で、新入社員研修の一部に「文章力を基本から学ぶ」プログラムを2日間組み込むことになったのです。




ある企業からはこんな相談もありました。


「失敗プロジェクトの分析をしてみたら、あちこちの部署で同じトラブルを起こしていて、経験したことが社内で共有されていないことが原因だとわかった。社内のコミュニケーションを活性化したいので、階層別のコミュニケーション研修を実施してほしい」


「社内のコミュニケーションの課題を解決したいのであれば、階層別に研修するよりも、階層も部署もとっぱらって、全階層全部署をまぜこぜにした研修を行ってみるのはいかがですか?互いを良く知ることができ、何らかの成果を出せるようなコミュニケーションゲームをやってみるといった内容であれば、部署を超えて交流ができ、人間関係の構築に役立つと思うのですが、いかがでしょう?」


お客様は、「階層別のほうが会話のレベルが合うかなと思っていましたが、そもそも年代間や部署間の交流が課題なのだから、部署役職関係なく一緒に何かするほうがよさそうですね」とおっしゃり、「全階層/全部署の壁とっぱらいで行う研修」を10回ほどに分けて行うことになりました。一つのクラスに新入社員から事業部長までが混在している非常に面白い研修になりました。「こんな人が社内にいたんだ」とお互い驚いていて、研修後、知り合った者同士でメールも交換するようにしかけましたので、研修以前よりは社内のコミュニケーションが、活性化したようです。




人材開発担当者は、「人材開発」という側面から経営に関わる立場にあります。何らかの策を考え、役立つ研修を企画し、運営することで、社内で起こっている様々な問題を解決しようと日々奮闘しています。様々な課題の解決策を検討する際、自分の経験や他社事例を参照することも役立ちますが、企画したり運営したりする際に「よりどころ」となるものがあればより説得力のある人材開発策を社内に展開できるはずです。その「よりどころ」となるのが、「人材開発に関する基本的な理論」です。


 たとえば、「研修」で解決できることと、「研修」以外で解決すべきことは何か。
 たとえば、研修と実務の線引きはどうすればよいのか。
 たとえば、どうやって実務(経験)と研修での学びを融合させるのか。
 たとえば、学習者はどうやって動機づけすればよいのか。
 たとえば、研修の効果はどのように測ることができるのか。


これらには、すべて理論があります。


この10年ほどで働く大人の学びと成長に関しては様々な研究がなされ、多くの書籍も出版されています。人材開発に携わる人は、そういう本を読み、理論をきちんと押さえておけば、研修や人材開発の仕組みなどの企画・提案・運営に自信を持って臨むことができます。もちろん、書籍から得た知識を自社の人材開発の現場で実践し、試行錯誤していくことも大事です。


リーダーシップ研究でも著名な神戸大学の金井壽宏氏は、「リーダーシップ」について「理論だけでも実践だけでもなく、理論と実践をセットにした、私なりの"リーダーシップ"持論を作っていくことが大事だ」と常々おっしゃっています。人材開発に関しても、理論と実践を組み合わせた、私なりの"人材開発"持論を形成することで、人材開発の担当者は、経営や各事業部、従業員など様々な利害関係者と自信を持って対話することが可能となります。




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働く大人の学びと成長に関する書籍は、研究者が著したものだけでも何十冊にもなります。人材開発に携わる方にはそういう本を読むことをお薦めしますが、本を読んでもなかなか意味が理解できない、自社での適用の仕方がイメージしづらいといった声も数多く耳にします。


グローバルナレッジでは、人材開発の基本を学びたい方のために「人材開発の基礎知識」というコースを開始します。1日で「人材開発」の基礎を広く学ぶ内容です。書籍を読むのも大変という方も、この研修に参加した後であれば、専門の書籍はうんと読みやすくなることでしょう。


この研修には、多くの人材開発に携わる方が集まります。同じような立場にある方と情報交換をしながら、内省を深め、自社で活かせる「理論」を学んでみてはいかがでしょうか?


人材開発の基礎知識 ~理論を活用し、効果的な研修を企画・運営する~


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント。

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。


【ブログ】

 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!


【著書】

 ・(NEW) 『「上司はツラいよ」なんて言わせない』 (アイティメディア)
 ・『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』
   (アイティメディア)
 ・『コミュニケーションのびっくり箱』(日経BP電子書籍)


【連載】

 ・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"
 ・社会保険出版社 「四季のけんこう」
 ・ITpro 「田中淳子の若手育成ワンポイントレッスン



[人材開発大人の学び][2016年1月20日配信]

 

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