Global Knowledge Japan

わくわくヒューマンスキルコラム
第120回:前に進むために振り返る
執筆:田中 淳子

「自分のキャリアの棚卸しをしたことありますか?」と尋ねると、「この前振り返ったのは、何年か前の節目研修だったかなぁ」「転職しようか迷ったとき、職務経歴書を書いたかな」という人もいますが、たいていの方は、キャリアを振り返る機会がなく、日々仕事に懸命にまい進し、気づけば、5年、10年、15年と経ってしまうようです。


キャリアコンサルタントの資格取得を目指して、スクールに通っていた2年前のこと。
「職務経歴書を書く」というワークで衝撃を受けました。「過去をこれほど思い出せないものなのか」と驚き、「自分がどういう能力を身につけたかを客観的に書けない」とペンが止まったのです。なんとか思い出して、職務経歴と身につけた能力を書いたものの、演習でパートナーとなったある企業の人事の方には、「田中さん、●●ができると書いてありますけど、これ、人事から見ると、別に売りじゃないですよね」などと突っ込まれてしまいました。私が書いたのは、単に「やってきたこと」「できること」であって、企業側から客観的に評価される「強み」として表現できていなかったのです。

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転職するしないに関係なく、自分はこれまでどういう道をどう歩み、何ができて、これからどういう道を歩んでいきたくて、そのためにどんな能力を身につけるべきなのかを定期的に考えることは大事だとしみじみ思いました。

「自分がこれまで何をしてきたのか」という経験だけではなく、「その結果、どんな能力を身につけたのか」を明確にするためには、じっくりと落ち着いて考えてみる時間が必要です。一人で考えても限界があるため、ふりかえりには他者の力も借りることも重要です。


上記の例で、私はパートナーとなった人事の方に「それはこういう風に表現すると客観的な表現になるのでは?」とフィードバックをしてもらいながら、最後は、少しはましな職務経歴書を仕上げることができました。

過去を振り返ると、強みもわかりますが、弱みや足りない点も見つかります。


「この部分が弱いから強化しよう」
「こういう経験が少ないので、こんな経験を積んでいこう」


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職業人生はどんどん伸びています。今や70代まで働くような時代がやってきています。働く期間が長くなるほど、一度決めた通りに、あるいは、熟達した一つの領域だけで仕事を続けることは難しくなります。世界が変わるスピードのほうが速いからです。


私たちは、何度も自分のキャリアを見直し、「変えないこと」と「変えるべきこと」を見極め、「新しく身につけるべき能力」を整理し、常に学び、変化しなければならない時代を生きています。学び変化すること。それが、楽しく長く働くための唯一の道のようにも思えます。


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【関連コース情報】

【PDU対象】自分のキャリアを考える ~原点回帰し、「自分軸」を見つけるワークショップ~

自分のキャリアを振り返り、今後の環境変化に備えて、何に取り組むべきかを考える研修です。入社5年目以降くらいの方から50代まで幅広くご受講いただいています。

【PDU対象】マネージャのためのチームビルディング ~マネージャの役割とビジョンに基づく運営~

チームを運営するためには、マネージャ自身のキャリアビジョンが明確になっている必要があります。この研修には、チームのビジョンを考える過程で、マネージャ自身のキャリアを振り返り、今後のキャリアビジョンを明確にする演習があります


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント
1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いできたが、2016年国家資格キャリアコンサルタントを取得したことから「働く大人のキャリア開発支援」にも積極的に取り組んでいる。


【ブログ】  ・アイティメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)※同僚の都川信和との共著です  
『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
など

【現在連載中】  
社会保険出版社 『四季のけんこう』にて「コミュニケーションの小箱」連載中  
産労総合研究所 『企業と人材』にて『OJT指導員制度の構築と運用』連載中

[キャリアリーダーシップ人材開発][2017年2月20日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第109回:「お母さん、お仕事って楽しいの?」
執筆:岩淺 こまき

「お母さん、お仕事って楽しいの?なんでお仕事しているの?」

 

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ある土曜日の19時頃、3歳9か月の長男に言われた言葉です。

「う?うーんと。まぁ、仕事って、大変な事も多いけど、本来楽しいものっていうか、おもしろくあってよいものっていうか・・・かな?」と、しどろもどろになりつつ、答えました。長男は「ふーん」と言って、また自分の遊びの方に戻っていきました。

 

私はここ数年で2回の育児休業を経験し、2回とも4月1日から前と同じ職場に復帰しました。育児休業中に、転職することも専業主婦になることも考えました。なぜ働くか、を考えてきたはずなのに、上手に答えられなくて反省しました。

 

反省しながら2回の育児休業をふりかえり、自分のある変化に気づきました。
それはわずかながらも「物事を前向きにあきらめて、限られた資源でどうしようかなーと考える癖がついた」ことです。

 

例えば1人目の育児休業の時は、世の中に溢れている情報に追い込まれたことを憶えています。代表的なママ雑誌などに勝手にストレスを感じてしまうのです。「そうか、『求められている働くママ像』は、育休中にMBAとったり大学に入ったりしてキャリアを伸ばしつつ、子供やママ友と会う時もメイクやオシャレに手を抜かず、家族の健康のために食育アドバイザーになり、毎日キッチンに立ちながら仕事する事なんだ!」と読み解きました。

 

「できるか、そんなもん!」

 

と言い切れなかったのは、産後のホルモンバランスのせいなのかは分かりませんが、ともかく自分を苦しめた記憶があります。


ところが二人目になると、そんな余裕もなくなるので、「できる人もいるかもしれないけど、ごめん、そこまでは無理。その代り今は、君たち(子供達)が笑ってくれることに注力します。そして昔のスーツは太って着られないけど、新しくスカートを買えば小奇麗に見えるので許してください(旦那さんへ)」くらいに割り切る気持ちが出てきました。

 

何かの出来事がおこった時に "できること" と "できないこと" を分け、できることにフォーカスし、「こういう方法ならイケルかも」と考えられるようになったのです。
"できないこと" をあきらめはしますが、"どうせ私にはできない、できる状況じゃない・・・" など後ろ向きに捉えるのではなく、"できないのは仕方ないけど、どうやったら近づけるか" と、前向きにあきらめることができるようになりました。

 

思えば私の周りのママ達(だけじゃないと思うけれど)は、みんなしなやかで、明るく頑張っています。しなやかに感じるのは、彼女たちと話をしていると「子供によりよい人生を生きて欲しい、自分もあきらめたくないし幸せを実感したい」が伝わってくるからだと思います。「誰もわかってくれない、何もやってくれない」という言葉を聞くことが無いのです。

 

フルタイムで働いているご夫婦も、旦那さんが海外赴任で、ひとりで子供2人を育てているママも、遠くから保育園に通っているママも、徹夜明けで着替えだけしてすぐ出勤するママも、保育園が休みの日曜日に勤務や夜勤が入るご夫婦も・・・

 

皆いろいろな事情を抱えています。そして日々理不尽な出来事に翻弄されます。
例えば、今まで市の「一時あずかり制度」を使って所要を済ませていたのに、今年から「就労目的以外は使用不可」になって、子連れでは行けない用事なのにどうしよう、とか、上の子と同じ保育園に入れずにどうやって送り迎えしよう、とか、細かい事だと17時以降に会議招集?お迎え間に合わないよー!などなど・・。

 

でも、みんな最後に言うのです。
「ほんと、どうしようかなーですよね。まぁなんとかやるしかないですよね」と。
そうして「物事を前向きにあきらめて、限られた資源でどうしようかなーと考える」ことを実践し、前に進んでいます。

 

このような "しなやかさ" や "折れない心" 「レジリエンス」と言います。
「レジリエンス」は、混沌とした現代で活躍する、全てビジネスパーソンに必要なマインドと言えます。
頑張っているママ達は、この「レジリエンス」の実践者と言えるでしょう。

「レジリエンス」で必要な事は、思考の柔軟性です。
つまり、厳しい状況でもネガティブな面だけではなくポジティブな面を見いだす事ができる人が、逆境を乗り越える事ができる」と心理学者イローナ・ボニウェル博士は語っています。
(引用:NHK http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3486_all.html)

 

頑張っているママ達は多かれ少なかれ、みんな独自の経験の中で"思考を柔軟にしてしなやかに頑張って"います。そんな「レジリエンス」に少しでも近づけたのではないか、と自画自賛したい気持ちになったのでした。

 

さて、こんな事を考えながら「なんで仕事しているの?」に改めて答えようと思いました。そこで寝かしつけの絵本の後、「さっきの『なんでお仕事するの?』に、もう一回答えてよい?」ときくと、「うん」と長男。

 

「まずね、お仕事は大変な事もあるけど、楽しいと思っているよ。それでね、なんで働くかっていうと、『誰かを喜ばせるために』働いているんだよ。お父さんやお母さんが働くと、お客さまとか会社の人が喜ぶでしょう。それでお金がもらえて、そのお金で○○ちゃん達と楽しいことができたり、美味しいものが食べられたりするよ。働くと『嬉しい』が増えるから、働いているんだよ。」

 

納得したのか期待した答えだったのかは分かりませんが、長男は「ふぅん」と返事して、満面の笑みで眠りにつきました。

 

<おすすめコース>


文中に出てきた「レジリエンス」に必要な思考の柔軟性を持つには、「メタ認知」を高めたり「物事の捉え方」を見直したりすることが有効とされます。
以下のコースでお伝えしています。
これから会う受講者の方や子供達が、「レジリエンス」になることを祈って。

 

「物事の捉え方」を見直す
  ■ 秋の新入社員・若手社員向け研修パッケージ

「メタ認知」を高める
  ■ 若手社員のためのフォロワーシップ ~成果につながる貢献と提言~

  ■ 自分のキャリアを考える ~原点回帰し、「自分軸」を見つけるワークショップ~

 

2015年秋から開始する「ストレス」関連研修シリーズでも学習できます。

「物事の捉え方」だけではなく、3R や「他者とのかかわり方」、など様々な観点から、「セルフケア」に関する知識やスキル、「部下の悩みの聴き方」や「適切なアドバイスの仕方」など「ラインケア」についての学習などいくつかのコースを立ち上げていきます。
詳細は順次、当社Webサイト、メルマガ、Facebookページでお知らせいたします。

 

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グローバルナレッジ ヒューマン・スキル講師
岩淺 こまき (いわあさこまき) プロフィール


グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。 プレゼンテーション、ファシリテーション、リーダーシップ、講師養成講座、などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。 

<活動>

◆ITエンタープライズ「その一言を言う前に」「岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術」連載中。オルタナティブ・ブログ「明日の私を強くするビジネス元気ワード」公開
◆日経ITpro「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中

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[キャリア大人の学び新人社員研修][2015年7月 1日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
【OJT茶話会】特別レポート:色々な働き方があっていいじゃないか(3)
執筆:田中淳子

グローバルナレッジネットワークで開催している「人事、人材開発担当者向けのコミュニティ活動」である「OJT茶話会」、第14回会合(2015年2月25日開催)のレポート第3弾。

ここまでに、サイボウズ社の「ワークスタイル動画」をきっかけに、同社の人事制度、動画制作意図、世間の反応などについて紹介してきた。

① レポート第1弾 サイボウズ社ワークスタイル動画について①
② レポート第2弾 サイボウズ社ワークスタイル動画について②


レポート第3弾の今回は、サイボウズ社に続き、プレゼンテーションして下さった株式会社JBS 小田川仁さんの事例を紹介する。

小田川さんは2人目のお子さんの誕生に合わせて育休を取得。2.5か月の育休を通じて感じたことをひとりの男性育休経験者として率直に話してくださった。


タイトルは「育休シテミタ」。ご自身の体験を赤裸々かつ、面白おかしく語られた。


同社ではすでに2人の男性が育休を取得しており、小田川さんは「人事として率先して取得してみよう」と思ったそうだ。事前に家族とも十分話し合い、上司とも話し合い、周囲が「とってみたら」と勧めてくれたこともあり、取得に踏み切ったという。以前から、家事も担っていたし、ご自身にとってはごく自然の選択だったようだ。


「育休を取ることにした」と周囲に公表した時、男性と女性とで異なる反応があって面白かったそうだ。


幼稚園のママ友からは、"いいわねぇ、うちの旦那にも取らせたいわ"と言われました。あと"いい会社ねぇ"。これは、一番多く言われた言葉ですね。一方、男性からは、"奥さん、専業主婦なのに?""休めていいね"といった反応や"いくらもらえるの?"という声もあったんですよね。


念のために解説しておくと、現在、「育児休業制度」は、妻が未就業であっても男性に取得する権利が認められている。また、育休は育児(とそれに伴う家事)をするためのものなので、「休める」訳がない。さらに言えば、無給である。男性たちの反応を聴くと、自分に関係ないと思われている制度にはいかに理解が進んでいないかということがわかる。

小田川さんの育休コンセプトは、ずばり 「母乳以外は全てやる!

母乳をあげることはできないけれど、それ以外のことならなんでもやるぞと決めて、2.5か月間ほとんどすべてのことを行ったそうだ。(妻は、上のお子さんの世話もあるし、身体を休める必要もある)


実際に何もかもやってみてわかったのは、性差による違いはほとんどないということです。


しかし周囲はそう思わないらしく、男女ではやはり反応がずいぶん違っていた。


時々、Facebookに子育てや料理のこととか、幼稚園バッグを作ったなんてことを書いたり写真を載せたりすると、女性の友だちからはたくさんの"いいね!"と"コメント"が来るんです。でも、男性の友だちは、ひたすら沈黙を守るんですよね(笑)。

それで考えたんですよ。男性も家事育児に対する思い込みがあるけれど、女性にも思い込みがあると思うんです。"うちの旦那には無理""うちの夫にはどうせできない"と決めつけている人が多いと感じました。

でもやってみなければ分らないし、そもそも、やったことなければ、やり方も分からないんです。仕事では初めてのことをやるときにはOJTをするのだから、家事だって育児だってOJTが必要だとボクは思います!


女性の家事負担がなかなか減らないのは、女性側の思い込みもあるとは、なかなか鋭い指摘だと思う。

育休中、家事育児に専念して「不安、葛藤、孤独」を感じたこともあったという。


なにせ、育児って初めてのことばかりだから、不安だらけなんです。これを妻一人で頑張っていたら、自分はその不安を理解できていなかったんだ、ということにも気づきました。新入社員が職場に配属されて抱える不安と同じじゃないかと思ったんですよね。

だから、夫婦で話し合う。どんな家族にしたいか、どんな生活を送りたいか、どうやって子供を育てたいか。話し合ってビジョンを共有する。方法も共有する。分からないことはOJTで教えてもらい、自分もまた熟達していく。すべて「職場でやっていること」なのに・・。家庭でもやればいいじゃないか、チームビルディング。夫婦でやればいいじゃないですか、OJT。


熱を帯びてきた小田川さんのトークに、来場の人事、人材開発担当者の皆さんは、ひたすらペンを走らせている。メモ!メモ!!メモ!!!

小田川さんは、サイボウズ社の「ワークスタイル動画」第一弾にちらっと登場する夫からのメールのシーンが印象的だったそうだ。(動画の開始18秒あたり)


「子どもが熱出た」と妻が夫にメール。
夫からは、「ごめん、会議だから帰れない」と返事。
妻は、「お迎えは私がするっていつ決まったんだっけ」とつぶやく。 (注1)


どう返事したらいいか悩みますよねぇ。あれ、よくあるケースだなぁと思って。「子どもが熱出した」というメールが来ると、「このメールは、なんて返してほしいんだ?」と悩む。「おお、わかった」と返すと他人行儀な感じだし、「ごめん、仕事で抜けられなくて帰れない」と返すと積極的じゃない、協力的じゃないと思われるかもしれないし、「メールを返さない」という選択肢をとると「なんでメールをチェックしないの」と思われちゃうし、あのメールを受け取ったパパ側にも葛藤がある。ボクは、以前、1時間くらい一生懸命考えてから返事して、結果的に返事が遅いと怒られたことが...(笑)。もっと具体的に「こうしてほしい」と言うといいんじゃないか。「できるだけ早く帰ってきてほしい」とか「何時に帰って来られますか?」ともっと具体的に書いたほうがいい。男性も女性ももっと相手に「具体的な要求」を伝えた方がいい。

なるほど。「察してくれ」というようなメールは、互いに余計なエネルギーを費やす割に、相手の意に染まない行動を取ると、さらに不興を買う。それで夫婦が気まずくなるのであれば、最初から「熱が出たから帰って来て」とか「何時に帰れるかを教えて」などと「相手にしてほしいこと」を伝えるとよいというわけだ。

小田川さんは2.5か月の育休を取得し、働き方が変わったという。それまではかなり属人的な仕事の仕方をしていたが、休むためには誰かに引き継がなければならない。引き継いでいくことで、チームでカバーし合えるようにもなるし、結果的には「小田川はこんな仕事をしていたのか」と回りからもより理解が得られるようになった。仕事をシェアし、任せることができれば、別な仕事にチャレンジすることもできる。チームで働くことの大切さを改めて実感できたそう。

最後にこんな話もしてくださった。


子どものことで休みを取ることもあります。部内に休みますメールを出す際、あえて「明日は子どもの行事があるので1日休みます」と理由も書くようにしているんです。それは、周囲のワーママが「子どものことで休みをとって申し訳ない」と思わないようになればいいな、という意図があってのことです。


これを受けて、サイボウズの大槻さんはこう話す。


サイボウズって変な会社で(笑)、Facebookでもつながっているんです。子どもの写真なんか皆アップするので、皆で子育てを見守っているような気分になって。たとえば、誰かの子供が具合悪いと書いてあるとシンパイし、回復したと書かれていると、皆でよかったね、とほっとするという...。

ワークライフバランスというのは、ワークとライフを明確に分けて考えるという考え方でもなければ、ワークとライフを完全に切り離して、境目をはっきりさせていくというものでもない。

こんな風にワークとライフがうまく溶け合っていくと、多様な働き方が実現しやすくなるのではないかと私も思った。


サイボウズ社のワークスタイル動画と育休を体験した男性の話。


「これからの働き方」を考えるヒントがたくさん詰まっていた「第14回OJT茶話会」(2015年2月25日開催)。

参加者全員が「持ち帰ってこれをやります!」と何かしらのコミットメントをして解散した。第15回(6月17日開催予定)では、その成果共有からスタートする予定である。


注1) サイボウズ社動画「大丈夫」の18秒あたり。実際には、「お迎え行けない?」とリクエストしているが、「会議だからダメ」という返事のほうが印象に残りやすい。


※「人事、人材開発担当者向けのコミュニティ活動」である「OJT茶話会」は、年4回の会合を行い、互いの企業事例を学んでいます。単なる勉強会ではなく、情報共有をしてから、自社の取り組みに反映するという有機的な活動を目指しています。メンバには、IT企業だけではなく、製薬、メーカー、食品など多くの企業が名を連ねてくださっています。
継続参加と自社事例についてプレゼンすることが参加条件です。
ご興味がある方は、ご連絡ください。 

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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・『現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・『セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、森時彦氏との共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"

[キャリア][2015年6月15日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
【OJT茶話会】特別レポート:色々な働き方があっていいじゃないか(1)
執筆:田中淳子

今回から3回にわたって、田中淳子の「OJT茶話会レポート」を連載します!

「OJT茶話会」とは、2011年からグローバルナレッジで主宰している人事・人材開発者向けコミュティ活動です。

今回の連載でご紹介するのは、サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長 サイボウズLiveプロダクトマネージャー・大槻幸夫さんをゲストとしてお招きし、ワークスタイルを主題として開催した回の模様です。

茶話会の進行役を務める田中淳子が、レポートを通じて多様化する「働き方」について考察していきます。




2014年12月、サイボウズ社から発表されたワークスタイル動画「大丈夫」はご覧になっただろうか。


公開当時、私のTwitterのタイムライン(皆さんのツイート(つぶやき)が掲載される欄)には、この動画への共感、賛同が多数並んでいたし、Facebookでも動画をシェアすると共に自分の想いを綴っていた友だちが多かったことを思い出す。


ワーキングマザー(以下、ワーママ)は、口ぐちに「そうなのよ、そうなのよ!」「わかってくれてありがとう!」と絶賛し、男性の多くは、「こういうことをきちんと考えないといけないよね」と自戒を含めコメントしていたように記憶している。


そこまで世間を騒がせているものであれば、流行に後れてはならじ!とばかりに動画を見てみた私は、多くの方の寄せる絶賛とは少し異なる感想を持った。


簡単に言うと、「え?..."ママ、大丈夫?"..."ママによりそうこと"...これで終わっていいの?"よりそう"でいいの? そう疑問に思ったのだ。


「大丈夫じゃねーよ」と誰か反論しないか、「寄り添う」だけじゃなくて、(いや、それはありがたいことだけれど)「こんなの全然大丈夫じゃないから、なんとかしようよ」「大丈夫になるように、みんなで考えようよ」「個人の問題と考えるのはもうやめようよ」と声高に言ってはくれないか? なんとなくそんな風に引っかかってしまい、ついブログで突っ込んでみた。「サイボウズのワーママ動画に私も物申す」。すると、このブログ・エントリーが私史上最大の1491もツイートされてしまった。


「世間はやはり関心を持っている! いろんな意見に関心を寄せている!」
「ぜひ、自社にお招きし、お話を聴かせていただこう」。


場所は2011年から当社で主宰している「OJT茶話会」という名の人事・人材開発者向けコミュティの会合だ。サイボウズ社の動画をきっかけに、でワークスタイルとか人事とか人材開発について企業を超えて議論したら面白いだろうなと考えた。


善は急げ。このワーママ動画の仕掛け人と一度だけお会いしたことがあるというだけの理由で、図々しくも連絡を取り、「当社で開催する人事・人材開発担当者だけのイベントでサイボウズさんの取り組みや、あのワーママ動画の裏側をお話いただけませんか?」とお願いしたのだった。


二つ返事で引き受けてくださったのは、サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部長 サイボウズLiveプロダクトマネージャー・大槻幸夫さん。


2015年2月25日、とうとうその日がやってきた。


「人事・人材開発担当者向けコミュニティ"OJT茶話会"」第14回会合において、サイボウズ社の取り組みをお話いただくことが出来たのだ。


タイトルは、「サイボウズがチャレンジする新しい働きかたとその成果、そして、企業コミュニケーション」。


まずは、サイボウズ社の人事制度について聴く。


非常にユニークな制度満載で、以下のようなものがあるという。


●選択型人事制度
 *人生のイベントに合わせて働き方を変更できる
 (時間に関係なく働くワーク重視型、
  少し残業して働くワークライフバランス型、
  定時時間内で働くライフ重視型から選べる)
●ウルトラワーク
 *時間、場所の制限なく、働く時間と場所を自由に選べる
●育「自分」休暇
 *35歳以下の若手に退職後6年は復帰可能な制度
 *社外で別のノウハウを得た社員を引き戻し、組織の強さを高める目的を持つ
●副業解禁
 *断りなく副業可能、他の会社に所属してもよい


他にもいろいろな制度を紹介していただいたが、興味深かったのは、以下のフレーズである。

 

人事制度は福利厚生ではない。仕事の生産性を上げるための制度である。

サイボウズ社では、サイボウズが考える「働くこと」とは、「より多くの人が、より成長して、より長く働ける」ことであり、人それぞれの事情などに応じて、働き方を自由に変えられることが大事だと大槻さんは話す。


制度は、社長が決めるトップダウンではなく、従業員から「こんな制度があったらいいな」と出てきた声に対して、人事部が検討し、社員を交えたワークショップも繰り返し、決定するそうだ。実際に社長発案の社内保育園は、全員の猛反対(「どうやって都心のオフィスまで子どもを連れてくるのだ!」など)にあい廃案になったとか。


あくまでも「生産性向上」を目的に制度を作っていくため、仮に、社員にとってはどんなにいい制度に思えても、生産性向上につながっていないと思われる場合は制度自体がなくなることもあり得ると社員にも説明しているそうだ。


一旦制度が出来たら、その運用のためのルールを浸透させることよりも、「何のためにその制度を作ったのか」という理念や目的を共有することほうが大事だと大槻さんはおっしゃる。


そんなユニークな制度多数お持ちのサイボウズ社が公開した動画は冒頭で述べたように大反響を巻き起こした。


次回は、サイボウズ大槻さんのプレゼンテーションからポイントを紹介していく。


★あらためて、話題の動画をご覧になりたい方は、以下のサイトから。
働くママたちに、よりそうことを


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●企業の人事・人材開発担当者向けコミュニティ「OJT茶話会」は、各社のOJT事例を共有しようというところから2011年に発足しました。現在20社ほどの企業がメンバとなってくださっています。IT、製薬、メーカーなど多種多様な業界の方が集まっています。

参加条件は2つだけです。「可能な限り継続参加してくださること」「いつか自社事例をプレゼンしてくださること」。参加は無料です。ご興味のある方は、担当営業にご連絡くださいませ。

●2015年7月から「キャリア」をテーマにしたワークショップ型研修を開始します。
ワークスタイルの問題は、それぞれのキャリアに深く関係します。来し方を振り返り、これからのキャリアを描くワークショップ、ぜひ、ご参加ください。


【PDU対象】自分のキャリアを考える ~原点回帰し、「自分軸」を見つけるワークショップ~


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール


グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。


【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!


【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)


【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"

[キャリア大人の学び][2015年5月 7日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第107回:将来のビジョンはなくても、大切な価値観はある
執筆:田中淳子

会社員になったばかりのころ、よく上司との面談でこう質問されました。


「田中さんは、5年後10年後、どうなっていたいの?」


新入社員の頃は、「まだ右も左もわからないのに、そんなこと尋ねられてもわからない」と戸惑いました。


入社5年も経つと、今度は「そんな先のことなんかわからない。ここまでの5年だって、ずいぶん紆余曲折があったのに」と質問に対して意味を感じられずに困惑するようになりました。


当時(90年ごろ)、上司たちは、20代の私に口ぐちにこう言いました。


「だって、いつまでもインストラクタやってるの?そうじゃないでしょう?いつまでも"ただの"インストラクタじゃダメでしょう?30代後半にもなれば、マネージャになるでしょう?」


「え?そうなの?」と思ったものです。しかし実際には社会人30年目になる今でも私はマネージャでもリーダーでもなく、「インストラクタ」。だからといって、"ただの"インストラクタなわけはなく、それなりにキャリアを積んだインストラクタをやっているわけです。


「5年後10年後にどうなりたいの?」という質問がとにかくあまり好きではありませんでしたが、今になってみれば、「これだけ変化の大きい世の中で、5年後10年後のビジョンを明確に持っていたからっていったい何があったというのだろう」とすら思います。現に当時所属していた企業はなくなってしまいましたし。


「ビジョン、ビジョンってメンドクサイなぁ」と思っていた時、平本あきおさんの本に出合いました。「将来のビジョンと言われると困惑する日本人が多いが、仕事をするのに何もよりどころがないわけではなく、自分が大切にしている"価値観"は持っている。日本人のキャリア観は、ビジョン型より価値観型のほうが多い」といったことが書かれていました。その後、縁あって平本さんと直接お話しする機会があり、価値観型キャリアについて伺うこともできたのですが、「ビジョンではなく価値観をよりどころにする日本人」というお話は、非常に興味深いだけでなく、私の長年の疑問に答えてくれる考え方でもありました。


「ビジョン」はなくても「価値観」ならあるでしょう?―――。
こう問われると「はい」と素直にうなずけます。


私は今でも「5年後10年後どうなっていたい」という問いに答えは持っていないのですが、「これが好き、これは大事」という価値観は常に自分の芯に持っています。


たとえば、「人の成長に寄与すること」「できるだけ、生身の人間とFace to Faceで会う場面でその成長支援をすること」「楽しく勉強できた、もっと学び、成長したいと思っていただけるよう努力すること」などはずっと大切にしてきたことです。


こういう「価値観」は、普段誰かに語ることもなければ、自分の頭の中ですら具体的に言語化することもそうそうありません。でも、たぶん、私のように「将来のビジョンって言われてもないんだよね」と戸惑っている人の多くも「大切にしている価値観」「大事にしている仕事への想い」であれば持っていると思うのです。


毎日めまぐるしく様々なことに翻弄され、立ち止まって自分の足元を見つめる機会はなかなかありません。けれども、人は、何かの節目に遭遇した時、ふと「私が大切にしているのは何か」を考えるものかもしれません。


その節目は人事異動など外的要因からもたらされることもあれば、転職とか新しい仕事への挑戦など自分から作り出すこともあります。どの場合であっても節目においては、あらためて自分の価値観と仕事を照らし合わせる作業をきっと行うはずです。


どういうきっかけでも自分が仕事をする上で大切している価値観を明確に言葉にしておくと、何かに迷ったり不安になったりした時に、その価値観を「よりどころ」として進むべき道を判断できることでしょう。


年度末が近付いています。間もなく4月を迎えます。仕事をする上での大切にしている価値観を言葉にしてみるのにふさわしい季節がやってきました。


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2015年7月開講! 「キャリア」を考えるワークショップ型の研修を開始します。


自分のキャリアの「原点回帰」をしたり、自分のキャリアの「節目」を棚卸したりしながら、今後、自分のキャリアをどうデザインしていきたいか考える研修です。


演習スタイルは、「内省」と「対話」の連続です。個々人がじっくり考え(内省)、他者と語り合いながら(対話)、あらたな気づきを得ます。


2014年トライアルで実施したところ、参加者の皆様が、「元気が出た!」「明日から頑張る!」と笑顔でお帰りになりました。


【PDU対象】自分のキャリアを考える ~原点回帰し、「自分軸」を見つけるワークショップ~


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"

[キャリア][2015年2月18日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第106回:仕事の「原点」を思い出す
執筆:田中 淳子

プロジェクトマネージャ向けに「キャリア」を考えるセミナーを行った時のことです。

冒頭で「今の仕事に就いたきっかけ」を周囲の方と共有する時間を設けました。


「原点回帰」と名付けているこのワークでは、何歳であろうとそれぞれが「私が今の職業に就いたのは」「今の会社に入ったきっかけは」と自分の「原点」を丁寧に、そしてとても楽しそうに話していきます。グループのメンバも「へぇ、そういう出会いがあるんですねぇ」「ほぉ、そういうことがきっかけになるんですね」などとやはり身を乗り出して楽しそうに聴いています。


「学生時代の研究テーマに近いことが出来そうな会社だったから」
「学生時代のアルバイト先の先輩が先に就職した会社で、よく話を聴いていて、IT業界っていいなぁと思って受けたのです」
「早く自立しよう、自活できるようになろうととにかく"会社"というものに入ろうと思っていました」
「ITって世の中のいろいろなことに関わる技術だから、面白いだろうなと思って飛び込みました」


皆さんの職業の原点は、実にさまざまです。


原点を語るのは、自分の歴史を思い出すようでとても楽しい気分になってくるようです。一人3分と時間の目安を示しても、たいていの方がオーバーしてしまいます。しかも、「原点」を語ってください、と伝えているのに、ほとんどの方が「・・・という流れで今に至る」と現在までのストーリーで語ります。

自分のことを語るのは気持ち良いものですし、他者が真剣に聴いてくれるので、とてもすっきりする効果もあります。


原点を語っていくと、「私の初心はこれだったな」「最初の志はここにあったな」と思い返すことができ、今の自分と比べて、「意外にずれていない」「ちゃんと原点から"軸"はあったぁ」などと、自分の仕事を見つめなおすことができるようです。


出版社に勤める30代の友人がこんな話をしてくれました。


「高校生が職場見学にやってきました。職業のイメージを持つために、いろいろな業界の見学を授業の一環でしているとのこと。私は3人の高校生をエスコートしながら、この部署は、編集部で、ここは販売で、ここは・・・と案内しました。特に、所属部門である販売の仕事についてはより丁寧に説明しました。実は最近、仕事に対して疑問に思うこともあって、モチベーションも下がり気味だったんですけど、高校生に自分の仕事を説明しているうちに、"ああ、私の仕事はこういう仕事だったんだ""私は、○○や××がしたくて、ここにいるんだった"と自分の原点を思い出すことが出来ました。高校生に"ありがとうございました"と言われましたが、私の方こそ"ありがとうございました"という気持ちになりました」


彼女は、自分の仕事を他者に語りながら、自分の原点や仕事への想いを再確認できたそうです。やる気も再燃し、自分のしていることの意義を再認識できたとも言います。


毎日が忙しいと、自分が何のために仕事をしているのかという意識はつい薄れてしまいがちです。朝起きて、通勤して、1日の仕事が始まり、いずれ終わり、帰宅して、「ああ、早く週末にならないかなー」と思いながら金曜を迎え、日曜には「サザエさん症候群」(※1)になってまた月曜を迎える。その間、多くの課題に取り組み、困難を乗り越えてはいるものの、自分が「何をしたくて今ここで働いているか」ということは考えずにただ日々が過ぎ去っていきます。そして、気づけば年末がやってきます。「今年もなんだかとても忙しかったなぁ」と思いつつ、数日で新年を迎え、また同じサイクルが始まってしまいます。


でも、時々はちょっとだけ立ち止まり「私の原点は何か」「何がしたくてここにいるのか」を考えてみるとよいと思うのです。そうすれば、自分の働く意義が明確になってくるはずです。


セミナーの最後に、ある方がぼそっとこうおっしゃっていました。


「自分がこうやってキャリアの棚卸をしてみただけで、ずいぶんすっきりしたし、リフレッシュできた。うちのプロジェクトメンバだって同じようにいろんなことを考えているはず。仕事に対する想いとか考えなんかをもっと聴いてみなくてはいけないなぁ」


誰もが自分の仕事について語るうちに明るい表情になるのを見ながら、自分のためだけでなく、プロジェクトのメンバにもこの「原点回帰」を促してみていただきたいなぁと思いました。


あなたの仕事の「原点」は何でしょうか?


※1) 「サザエさん症候群」・・・日曜夜18時半になると、「ああ、また明日から仕事かぁ」と憂鬱になることを指します。Wikipediaにも載っています。


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日本プロジェクトマネジメント協会主催「PMシンポジウム2014」において2014年度に表彰制度が新設され、私、田中淳子は「優秀講演賞」を受賞しました。
毎年PMシンポジウムで2.5時間のセミナーを担当してきた結果を認めていただき、大変光栄に思います。 


*表彰制度や授賞式の模様はコチラ です。

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【関連コース】
グローバルナレッジネットワークでは、プロジェクトマネジメント関連コースを多数開催しています。

【PDU対象】【現場体験型】ステークホルダーを動かすあの手この手 ~プロジェクト成功の鍵~


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【PDU対象】【現場体験型】進捗会議のツボ ~進捗会議の見える化、そして見えないものを見抜く力~


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。
【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!
【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)

【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"

[キャリア大人の学び][2015年1月 5日配信]

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