Global Knowledge Japan

わくわくヒューマンスキルコラム
第123回:"トラブル対応"もシステムエンジニアのスキル
執筆:都川 信和

「"トラブルに強いSE"になりたい」



私が若いとき、まわりの先輩たちを見て、そう思っていました。


ITシステムにおいては、意図していなくてもシステムトラブルが発生してしまうケースは多くあります。トラブルの後には、復旧作業、原因究明、根本対策、障害報告書の作成、お詫びの報告など、やらないといけないことが非常にたくさんあります。


"トラブルに強いSE"とは、そんなときでも決して後ろ向きになりません。むしろ、「トラブルのときこそ、我々の腕の見せ所」といわんばかりに、トラブルのときに非常に頼りになる方々です。
(注)なぜかトラブルを呼び起こしてしまうSEのことではありません。(念のため)


businessman_jishin.png

私が出会ったことのある"トラブルに強いSE"の方々には、次の2つの共通点があるように感じます。

1.いつの間にかトラブルを解決してしまう
2.お客様との関係性を悪化させない


この特徴から、そうした人たちの優れている点が分かります。それは、

1.原因を究明できる技術スキルを持っている
2.お客様やユーザへの対応にも長けている

という点です。

つまり、上手にトラブルを解決するには、技術力はもちろん、「トラブルへの対応力」も必要なのです。


トラブル対応はなかなかモチベーションが上がらない対応も多いです。ですが、そんな時こそ障害報告やお詫びの報告をきっちり行い、お客様やユーザーへ前向きで誠実に対応することで、関係の悪化を防ぐことにつながります。
こうした場面では、状況や対策等を、迅速・正確で分かりやすく報告することが重要です。


<関連コース>

顧客向けビジネス文書作成実践 ~顧客へ提出する障害報告書を作成できる~


『システム障害が発生した際の対応力を上げたい』というお客様からのご相談をきっかけに開発したコースです。
社外向けのビジネス文書作成のポイントも押さえつつ、顧客からの信用を保つための障害報告書の作成を実習を通して習得することができます。




========================

都川 信和(みやこがわ のぶかず)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/国家資格キャリアコンサルタント

システムインテグレーターにて、システムの開発・運用、データセンターサービスの企画・設計、運用コンサルティング、サービス部門・運用部門のマネジメント等、20年間で数多くのシステム開発・運用の現場に携わる。2013年より現職。IT技術研修、ビジネススキル研修の講師として、ITエンジニアの育成に力を注いでいる


【著書】

 ・『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)同僚の田中淳子との共著です

[コミュニケーションビジネス文書][2017年6月28日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第122回:ある日突然「講師」を頼まれたら
執筆:田中 淳子

最近、研修は「双方向に進める」「参加型で学ぶ」のが当たり前になってきました。
これは、プロの講師による研修に限った話ではなく、以下の例のような場面で一時的に講師役を務める方でも同じです。

  • 社内の研修や勉強会
  • 社外向けの講演やセミナー
  • 朝活やアフターファイブでの私的な勉強会

ここで問題なのは、そうした研修(あるいは勉強会やセミナー)の設計と運営です。

これまで講師役の人に必要なのは講義力でしたが、双方向、参加型にするためには現場での対応力=ファシリテーション力も鍛えておかなければ難しくなります。

本番での振る舞いなどがそれなりに予想できる「講義」と違って、双方向の体験や演習が中心になると参加者の発言や振舞いなど、予想外の事態も多くなるためです。


kaigi.png


研修や勉強会でファシリテーションが必要とされる場面をディスカッション形式の演習を例に考えてみましょう。

1)ディスカッション中
<起こりうること>
  • 講師が「さあ始めましょう」と声を掛けても、参加者がすぐ動けない
  • 議論が迷走し、方向性がおかしくなっていく
  • 役割分担のあみだくじを作るのに時間がかかり、議論が進まない
<考えられる対応>
  • 講師はその場で起こっていることをよく観察する
  • タイムリーに支援する
  • 場の流れを見守り、どこで介入するのか判断する

2)成果の発表
<起こりうること>
  • 誰かの意見に集約した成果物ができている
  • グループごとに発表て終了する
  • 何らかの新しい学びや気づきが得られない

<考えられる対応>
  • コラボレーションがうまく機能しているか声を掛けてみる
  • 参加者から感想やフィードバックを引き出す
  • 講師ならではの視点でコメントし、新たな気づきを得られるよう刺する

このように、その場をきちんと見守り、リードし、時に活動を支援し、期待される成果へと導くこと、すなわち「ファシリテーション力」がイマドキの研修や勉強会を実現するために重要なスキルなのです。



=========================


【新規コースのご案内】


1991年からもう25年以上も開催し、多くのトレーナーをスキルアップをお手伝いしてきた「トレイン・ザ・トレーナー」の上位コースを開始します。


ワークショップ・ファシリテーション実践

2017年10月リリースです。

研修講師や勉強会の運営をしているすべての方にお薦めのコースです。オープニングをどうするか、参加型の研修や勉強会をどう進めるか、どのようにまとめ、終わるか、といったことを知識とスキル両面から体験的に学習します。


=========================


田中 淳子 (たなか じゅんこ) 

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント
1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いできたが、2016年国家資格キャリアコンサルタントを取得したことから「働く大人のキャリア開発支援」にも積極的に取り組んでいる。


【ブログ】  ・アイティメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)※同僚の都川信和との共著です  
『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
など

【現在連載中】  
社会保険出版社 『四季のけんこう』にて「コミュニケーションの小箱」連載中  


[ファシリテーション人材開発][2017年5月18日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第121回:お互いのことをもっと知ると、よい方向に向かう
執筆:都川 信和

「開発チームの人たちは、運用のことを考えてくれないので困る」

 

運用部門に異動した時、部門内でよく聞かれた言葉です。しかし、開発部門にいた時にはよくこんな話をしていました。

 

「運用チームは融通が利かない。こっちの身にもなってほしい」

 

例えば、開発チームが「来週から本番なので、今週中に運用作業を引継ぎたい」と直前になって運用チームへ依頼することが重なったり、運用チームが「1週間前までの依頼でないと、運用作業は受け入れられません」とルールを盾に拒否したりすると、上述の感情が生まれてきます。自分たちの都合だけを主張し続けていては、相手からの不満が募るだけで、結局、お互いの要望がほとんど満たされずに終わってしまうことも多々あります。

 

このような部門間の軋轢は、他にも営業部門とSI部門、アプリケーションチームとインフラチーム等、社内のいろんなところであるでしょう。



nego.png

主張をぶつけ合うこと自体は悪いことではありません。相手に理解してもらうためには、自分たちの主張はしっかり伝える必要があります。しかし、単に主張をぶつけるだけでは、お互いが納得する解決策にはなかなかたどり着けません。

"Win-Win"という言葉がありますが、それを目指すためには、まず相手の主張をしっかり聴く、さらにはその主張の裏側にある背景や理由、大事にしていることなどをしっかり聴くことが重要です。そうすると、それぞれにとって優先度が高い要望を満たす解決策が見えてくることもあります。

 


先程の例では、開発チームの背景等を深く聴いていくと以下の状況であったとします。

・お客様と交わしている本番リリース日は必ず守りたい

・もちろん、運用チームに全て丸投げするつもりはなく、自分たちも協力するつもりである

 

一方、運用チームの背景等は以下の状況であったとします。

・大事にしているのは"システムの安定稼働"で、"1週間前までに依頼"というルールもシフト勤務の要員すべてが引継ぎを受けるために必要な期間である

・開発チームが協力してくれるなら、1週間以内でも運用開始は可能である

 

それらがわかると、"来週のリリース直後は、開発チームのメンバーが運用チームと同じ場所に常駐し、運用作業を支援する"というように、それぞれが大事にしている"本番リリース日を守る"、"システムの安定稼働"の両方を満たす解決策が出てきます。

お互いが相手のことを深く知ろうという姿勢が、"Win-Win"への第一歩なのです。

 

 

<関連コース>

PDU対象】ネゴシエーション・スキル基礎 ~Win-Winの関係を構築するために~

信頼関係をベースとして、基本的なコミュニケーション・スキルを組み合わせながら、結果がWin-Winとなる交渉の考え方や手順を演習を通じて学習します。

 

PDU対象】効果的コミュニケーション・スキル ~より良い対人関係を構築するための聴き方、話し方~

コミュニケーションの基本スキルとして相手の言いたいことをきちんと聴き、意図を汲み取るスキルと、自分の意志や考えを相手に伝えるスキルを学び、最終的には対話によって問題を解決する方法を学習します。

 

PDU対象】エンジニアのためのITサービスマネジメント基礎 ~システム運用の基礎スキルと実践力を高める~

システム運用の基礎スキルとともに、運用を見据えたシステムの設計、開発から運用への移行時のチェックポイント等の実践力を高めることができます。

 

 

========================

都川 信和(みやこがわ のぶかず)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/キャリアコンサルタント

システムインテグレーターにて、システムの開発・運用、データセンターサービスの企画・設計、運用コンサルティング、サービス部門・運用部門のマネジメント等、20年間で数多くのシステム開発・運用の現場に携わる。2013年より現職。IT技術研修、ビジネススキル研修の講師として、ITエンジニアの育成に力を注いでいる

 

【著書】

 ・『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)同僚の田中淳子との共著です






[コミュニケーションネゴシエーション][2017年3月13日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第120回:前に進むために振り返る
執筆:田中 淳子

「自分のキャリアの棚卸しをしたことありますか?」と尋ねると、「この前振り返ったのは、何年か前の節目研修だったかなぁ」「転職しようか迷ったとき、職務経歴書を書いたかな」という人もいますが、たいていの方は、キャリアを振り返る機会がなく、日々仕事に懸命にまい進し、気づけば、5年、10年、15年と経ってしまうようです。


キャリアコンサルタントの資格取得を目指して、スクールに通っていた2年前のこと。
「職務経歴書を書く」というワークで衝撃を受けました。「過去をこれほど思い出せないものなのか」と驚き、「自分がどういう能力を身につけたかを客観的に書けない」とペンが止まったのです。なんとか思い出して、職務経歴と身につけた能力を書いたものの、演習でパートナーとなったある企業の人事の方には、「田中さん、●●ができると書いてありますけど、これ、人事から見ると、別に売りじゃないですよね」などと突っ込まれてしまいました。私が書いたのは、単に「やってきたこと」「できること」であって、企業側から客観的に評価される「強み」として表現できていなかったのです。

KEIREKI.png


転職するしないに関係なく、自分はこれまでどういう道をどう歩み、何ができて、これからどういう道を歩んでいきたくて、そのためにどんな能力を身につけるべきなのかを定期的に考えることは大事だとしみじみ思いました。

「自分がこれまで何をしてきたのか」という経験だけではなく、「その結果、どんな能力を身につけたのか」を明確にするためには、じっくりと落ち着いて考えてみる時間が必要です。一人で考えても限界があるため、ふりかえりには他者の力も借りることも重要です。


上記の例で、私はパートナーとなった人事の方に「それはこういう風に表現すると客観的な表現になるのでは?」とフィードバックをしてもらいながら、最後は、少しはましな職務経歴書を仕上げることができました。

過去を振り返ると、強みもわかりますが、弱みや足りない点も見つかります。


「この部分が弱いから強化しよう」
「こういう経験が少ないので、こんな経験を積んでいこう」


THIKING.png

職業人生はどんどん伸びています。今や70代まで働くような時代がやってきています。働く期間が長くなるほど、一度決めた通りに、あるいは、熟達した一つの領域だけで仕事を続けることは難しくなります。世界が変わるスピードのほうが速いからです。


私たちは、何度も自分のキャリアを見直し、「変えないこと」と「変えるべきこと」を見極め、「新しく身につけるべき能力」を整理し、常に学び、変化しなければならない時代を生きています。学び変化すること。それが、楽しく長く働くための唯一の道のようにも思えます。


=======================

【関連コース情報】

【PDU対象】自分のキャリアを考える ~原点回帰し、「自分軸」を見つけるワークショップ~

自分のキャリアを振り返り、今後の環境変化に備えて、何に取り組むべきかを考える研修です。入社5年目以降くらいの方から50代まで幅広くご受講いただいています。

【PDU対象】マネージャのためのチームビルディング ~マネージャの役割とビジョンに基づく運営~

チームを運営するためには、マネージャ自身のキャリアビジョンが明確になっている必要があります。この研修には、チームのビジョンを考える過程で、マネージャ自身のキャリアを振り返り、今後のキャリアビジョンを明確にする演習があります


=======================

田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント
1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いできたが、2016年国家資格キャリアコンサルタントを取得したことから「働く大人のキャリア開発支援」にも積極的に取り組んでいる。


【ブログ】  ・アイティメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】
『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)※同僚の都川信和との共著です  
『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
など

【現在連載中】  
社会保険出版社 『四季のけんこう』にて「コミュニケーションの小箱」連載中  
産労総合研究所 『企業と人材』にて『OJT指導員制度の構築と運用』連載中

[キャリアリーダーシップ人材開発][2017年2月20日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第119回:そんな言い方、ないでしょう?
執筆:都川 信和

「システムにはトラブルがつきものだからなあ」

 

入社して1年が経った頃、担当していたシステムでトラブルが頻発し、対応に追われる日々が続いていた時に先輩から言われた言葉です。

「トラブルがつきものだからなあ」とは、それからの約20年、システムの現場ではよく耳にしましたし、私自身も誰かへの慰めの言葉としてよく使っていました。

しかし、ある時ふと思いました。

 

「この言葉は慰めになっていないんじゃないか。こういわれて、気持ちが和らぐのだろうか」

 

私がこの言葉を言われたらどう感じるか、改めてよく考えてみました。

 

「つきものだから仕方がないよ。だから、つべこべ言わず頑張れ」

と言われたように受け止められて、突き放された気分になってしまったのです。

 

続けて、

「トラブル対応で大変なんだから、せめて気持ちだけでも共感してほしいのに...」

という思いが心の中に湧いてきました。

 


別の例です。

お客様のシステム運用作業で操作ミスをしてしまい、一時的にシステムが利用できないというトラブルが発生しました。お詫びの訪問を前に上司にトラブルの経緯を伝えたところ、上司は矢継ぎ早にこう投げかけました。

 

「なぜ、そんなミスをしたんだ」

「どうして、そんなことも防げなかったんだ」・・・

 

至極まっとうな質問ではあるものの、あまりに強い口調で責められ、頭の中に浮かんできたのは、「ミスしたくてミスしたわけでもないのに」という言葉でした。

 

トラブルを意図的に起こす人はいませんし、誰かひとりが原因となってトラブルが起こることは少ないものです。誰かの行動が引き金になった場合でも、仕組みや方法に問題があることも稀ではありません。それにもかかわらず、ただ一方的に責められたとしたら、気持ちのやり場がなくなってしまうでしょう。


asperger_businessman.png


人には承認欲求があります。自分がやっていることを誰かに認めてもらいたい、気持ちを共感してもらいたいという欲求を持っています。トラブル自体はよくないことでも、一生懸命取り組んでいることに共感や承認をしてほしいのです。

 

トラブルが起こった時は、まずは「いつも頑張っているよね」と日々の運用作業に対して上司が労いの言葉をかけます。その後で「どういうことが起こったのか聞かせてくれる?」と事実のみを聞きます。そうすると、部下は落ち着いて話しができます。また、「今度は気をつけよう」や「もう少し頑張ってみよう」と前向きな気持ちにもなれるはずです。

 

コミュニケーションの仕方を工夫することは、リーダーシップの大きな要素です。リーダーはメンバの気持ちやモチベーションに配慮してコミュニケーションをとることが大事です。



<関連コース>

PDU対象】中堅社員のためのチームワークとリーダーシップ ~チームの関係強化とパフォーマンス向上~

リーダーがメンバに対してどのようなコミュニケーションをとればよいか、どのような働きかけ方を行うのがよいかを学ぶ研修です。


PDU対象】マネジャーのためのITサービスマネジメントとチームマネジメント ~運用部門/ITサービス部門の円滑なチーム運営~

チーム運営に課題を抱えている運用部門/ITサービス部門のリーダーの方におすすめの研修です。


========================

都川 信和(みやこがわ のぶかず)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/国家資格キャリアコンサルタント

システムインテグレーターにて、システムの開発・運用、データセンターサービスの企画・設計、運用コンサルティング、サービス部門・運用部門のマネジメント等、20年間で数多くのシステム開発・運用の現場に携わる。2013年より現職。IT技術研修、ビジネススキル研修の講師として、ITエンジニアの育成に力を注いでいる。


【著書】

 ・『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)同僚の田中淳子との共著です


[モチベーションリーダーシップ][2017年1月27日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第118回:ノートが自分を助けてくれた! 新入社員研修の想い出
執筆:田中 淳子

社会人になって31年目の現在でも、自分が受けた新入社員研修のことを思い出すことができます。入社式直後に新入社員全員で受けた研修での出来事です。
講師が壇上から言いました。

「これから研修を始めます。1人だけ壇上に上がって来てほしいのですが、誰かいませんか?」


200人もいる中で、内容も分からずに、「はい!」と手を挙げて壇上に登る人など出て来ず、しばらくしーんとしていました。誰かがようやく手を挙げて前に進み、ステージの真ん中に置かれた椅子に座るように指示されました。

すると、講師はこう言いました。


「はい、このプログラムはここまでです。これで終わりです」


ざわざわした私たちにさらに説明が続きます。


「これは、皆さんの主体性を試すプログラムでした。何をするかも分からない中で、誰が自主的に手を挙げ、壇上に上がってくるか。こんなに大勢いるのに、たった一人しか手を挙げませんでしたね。社会人になったら、自分で考えて動く、自主的に活動することがとても大事です。周囲の様子を見ながら、どうしよう?どうする?などと躊躇しているようではダメですよ。」


入社して初めて受けたお説教でした。


「自分から手を挙げ壇上に上がるかどうかを試す」だけのプログラム。新入社員に対して、学生気分を捨てて、社会人の自覚を持ちなさい、というのには十分な内容でした。


その後、部門ごとの2-3か月に及ぶ集合研修がありました。コンピュータメーカでしたので、ハードウェア、ソフトウェア、アセンブリ言語、C言語などを学びました。
文系出身で、学生時代にコンピュータに触れたことすらなかった私は、最初から落ちこぼれます。飲み込みが早いタイプの人が課題を次々とこなしていく傍らで、私は
「講師が何語を話しているのか分からない」
「そもそも何をさせられているのかも分からない」
という毎日でした。


そんなツラい新人研修の中で唯一続けたことがあります。「ノートをとる」ことです。
どの講師も私に理解を促そうと、ホワイトボードに図解しながら説明してくれました。 それでも理解はできませんでしたが、とにかくノートだけは取り続けました。


ノートが5冊6冊と積み重なったころ、新人研修が終わり、配属先でのOJTが始まります。その時でもまだなお、ノートに書いたことは理解できていませんでした。(この辺まで来ると、私が本当に落ちこぼれだったことがご理解いただけると思います)


配属から数か月経過したころのことです。新人研修時のノートを開いてみたら、そこに書いてある内容が全て「とても簡単なこと!」に思えるようになっていました。 新人研修を受けていた時には、意味も分からずただひたすらメモっていたことが、先輩からの毎日の指導の中で徐々に頭の中が構造化されてきていたのか、「おお、そういうことだったのか!」「こういう意味の図だったのだな、分かりやすい図解だ!」などとスラスラと読めるのです。


一度理解できるようになると、他のこともそのノートを使ってより理解が進み、学習はとんとんとはかどります。結果的には予定通りの日程で、顧客にコンピュータ技術を教える講師としてデビューを果たすことが出来ました。


根気強く付き合ってくださった先輩たちと自分が書き続けたノートが、何とか新人時代を乗り越えさせてくれたのです。



今年もまもなく新入社員がやってきます。


先輩たち年長者ができることは、「新入社員が学ぶための"支援"」です。

大切なのは、支えになること。飲み込みが早い人、そうでもない人。どういうタイプであっても長い目で成長を見守り、成長を支援することが年長者の役目だと思うのです。


============================

「新入社員2017」特設ページがあります。「新入社員研修運営チェックリスト」や「無料相談会のお知らせ」なども掲載していますので、ご覧いただければ幸いです。

新入社員研修2017特設ページ

http://www.globalknowledge.co.jp/newtrain/index.html

=========================


田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー/国家資格キャリアコンサルタント

1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、インストラクショナルデザイン、トレーナー養成などヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】  ・アイティメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!

【著書】  ・(NEW) 『ITエンジニアが生き残るための「対人力」の高め方』(日経BP社)※同僚の都川信和との共著です  ・『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)  ・『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)  ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)  ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)  ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

【連載】  ・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"」  ・社会保険出版社 『四季のけんこう』にて「コミュニケーションの小箱」連載中  ・産労総合研究所 『企業と人材』にて『OJT指導員制度の構築と運用』連載中

[新人社員研修][2017年1月 3日配信]

※Microsoft、Windowsは、米国Microsoft社の登録商標です。
※Oracleは、米国オラクル・コーポレーションおよびその子会社、関連会社の米国およびその他の国における登録商標です。
※PMI、PMP、PMBOKは、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute, Inc.)の登録商標です。
※ITIL®はAXELOS Limited の登録商標です。
※American Management Association は、米国アメリカン マネジメント アソシエーションの登録商標です。
※BOOT CAMP、NEW TRAIN、Glovalueはグローバルナレッジネットワーク株式会社の登録商標です。
※その他このサイトに掲載された社名、製品名は、各社の商標、または登録商標です。

© Global Knowledge Network Japan, Ltd. 2008-2016, All Rights Reserved.
  • Get ADOBE READER