Trainocate Japan, Ltd.

わくわくヒューマンスキルコラム
第105回:「内省」と「対話」でより深く学ぶ
執筆:田中 淳子

例年秋から冬にかけて、OJTトレーナー向けの「フォローアップ研修」を担当します。OJTスタートから3-6か月という時期です。開催時期が早過ぎるとフォローアップするほどの出来事がまだ起こっていませんし、あまりに時期が遅くなれば、フォローアップで得た内容をOJTの実践で生かす機会が減ってしまいます。ですから秋から冬というのがちょうど良いタイミングなのです。


「フォローアップ研修」では、これまでのOJTの取り組みについてOJT担当者同士で共有します。方法は、「内省」(個人内でのふりかえり作業)と「対話」(他者とのやりとり)です。「どんな取り組みをしていて、どういう発見、気づきがあり、どういう成果があり、そのことから、今後に生かせることは何か」を「内省」した結果を共有したり、「困っていることについてどう対処すればよいか」を「対話」によって深く考えたりします。


ここで質の良い新たな気づきや学びを引き起こすためには、「内省」と「対話」を組み合わせることが重要です。まずは個々人が「内省」し、自分の取り組みを思い出し、気づきや学びや考えを整理しておきます。その上で他者と「対話」し、それぞれの気づき、学び、考えを共有します。


一人で「内省」するだけでは、自分の思考の枠組みに縛られてしまうため、考えの深さや広さには限界が生じ、気づきや学びも限られたものになります。他者との「対話」によって様々な気づきや考えを聴くことで、自らの気づきや学びをより深めることができるのです。


個人が「内省」したことを他者と「対話」することは、多くのメリットをもたらしてくれます。(「受講者の声」を添えて解説します)


●自分の取組みや気づきを他者に話すことで、自分の頭の中が整理され、自分の取り組みに「意味づけ」ができる
→ 受講者の声:「対話しているうちに、上司に言われたのと同じことを自分もトレーニーに言っていることに気づき、上司の言っていたのは普遍的なことだったのだとわかった」


●他者から「トレーニーの反応は?」「他にどんなやり方をしてみました?」などと質問されると、解決策や教訓などを明確にできる
→ 受講者の声:「他の方から"トレーニーがどう思っているか"と質問されて、トレーニーの思いを聴いていなかったことに気づいた。トレーニーがどうなりたいか、など"キャリアイメージ"を訊いてみたいと思う」


●他者の取り組み例や悩みなどを聴きながら、自分の経験と照らし合わせ、自分では考え付かなかったやり方を得られる
→ 受講者の声:「他部門での実践内容に私も真似できる具体的な方法が得られた」


●他者に話すことによって、とにかく「すっきり」する。心理学用語で言う「カタルシス」(浄化)が得られ、ストレスが解消される
→ 受講者の声:「似たような問題を抱えていることがわかり、自分だけではなかったとほっとした」


「内省(ふりかえり)」と「対話」は、学びの場で注目を浴びているキーワードです。この二つはセットにすることでより高い成果を生み出します。 


OJTを例に挙げましたが、何を学ぶにしても、実務での実践を経て、「内省」と「対話」をすることが「経験からの学び」をより強化してくれます。


これまで研修は「知識・スキルの学習」にフォーカスされ、1回の研修で「何かを学んだらおしまい」とされることが多かったのですが、現在は経験を経た後「ふりかえり」の場を設け、「内省」と「対話」のためにゆったりと時間を取ることも重視されるようになってきています。実際に、「知識・スキルの学習」を行なった後、1ヶ月~3か月ほど経過してから再度集まり、「実践結果」の共有などを行うフォローアップ研修もセットにして考えたいとおっしゃるお客様も増えてきています。


「得た知識やスキル」は「現場で使われてこそ」ですし、「現場で使った知識やスキル」に、もっと良い方法はないのかをより深く考え、それを再度実務に取り入れることで能力はさらに高められます。


学びを強化し、能力をより向上するために、「内省」と「対話」がとても重要な役割を果たすのです。


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★お知らせ★ 「中外製薬」様の人財育成事例が完成しました!


2007年からOJTのお手伝いをさせていただいている「中外製薬」様の「OJTコーチ制度」について事例を作成しました。中外製薬様に取材し、人財育成への熱い想いを表現した素敵な事例が完成しました。多くのお客様の目に留まりますように。


以下よりダウンロードできます。ぜひご一読くださいませ。
研修サービス事例:中外製薬株式会社


【関連コース】

後輩の教え方育て方
OJT担当者向けワークショップ

OJT担当者上司向けセミナー

OJT担当者向けフォローアップセミナー

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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!
【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』(日経BP社)
 ・NEW) 『本物の自信を手に入れる! セルフファシリテーション』(ダイヤモンド社、共著)
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』(日経BP社)
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BPストア)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)
 ・『田中淳子の人間関係に効く"サプリ"-職場で役立つ30のコミュニケーション術』(アイティメディア)


【連載】
・アイディメディア 誠Biz.ID 「上司はツラいよ
・@IT自分戦略研究所 「田中淳子の"言葉のチカラ"

[大人の学び後輩指導・OJT][2014年12月 1日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第104回:「研修講師を活用すべし」
執筆:高橋俊樹

「受講者のお役に立ちたいと思っていますが、反応がなく、しぶしぶ受講しているように見え、教える気持ちが下がってしまいました」

「色々なネタを準備していたのですが、興味がなさそうだったのでお伝えしませんでした」

「講師として品定めされているような態度、表情に見えて、余計に緊張してしまい練習通りに講義できませんでした」

「忙しそうに仕事のメールしている人が多いので、必要最低限な内容にとどめて早く終わるようにしています」
これらは社内講師を担当したことがある方から伺ったものです。



会社や立場によって異なりますが、たいていの方は年に数回程度、社内や社外の研修に参加していると思います。研修には様々なメリットがあります。知識やスキルの習得はもちろん、目的以外のことを吸収できる、新しい人脈ができる、いつもと異なる場所でリフレッシュできる、などです。多忙な業務の合間を縫って研修に参加するのですから、貴重な機会を活かして様々なメリットを享受したいですよね。



最近では企業における研修の内製化も進み、様々な立場の方が講師を担当することも多くなりました。社内講師であれ社外講師であれ、一般的にはその分野に通じた人が研修を担当しています。講師は、自分の担当する分野についての経験が豊富にあり、必要な資格や背景となる知識、スキルを身に付けていますので、受講者の悩みや課題解決に対し、異なる視点でヒントや解決策をより多く提供できる可能性があります。つまり、様々なメリットを得るためには研修講師をどう活用するのかが鍵となります。



しかし、冒頭のコメントを見る限り、残念ながらうまく活用しきれていないようです。そこで、社内講師をされている方から伺った、「受講者のこんな言動があるとテンションが上がってもっともっとお役に立ちたくなる」という、講師視点のデキゴトをまとめてみました。




「入退出時に挨拶してくれる」
朝、終了時の入退出の際に、こちらが挨拶しても無言で着席したり、そうっと出て行かれたりするととても悲しいキモチになります。「おはよう、おつかれ、さよならー」などなんでもよいので一言、挨拶のやりとりがあると嬉しいものです。



「前に座ってくれる」
みんな後ろに座って、前ががら空きだととても悲しいキモチになります。ちなみに後方だから見えていない、なんてことはありません。受講者がどこに座っていても、講師からはよく見えています。むしろ目の前の方が「灯台下暗し」です。ぜひ、一歩、一席前にドウゾ。



「先生と呼ばない」
政治家ではありませんので、多くの講師はセンセーと呼ばれることに抵抗を持っています。「講師の方」でもよいのですが、できれば個人名で「~~さん」と呼んで頂けると嬉しいです。同じ社内なのに講師とか先生とか言われると凹みます。



「頷いて聴いてくれる」
会議の場などで自分の発言に対して参加者がノーリアクションだととても辛くないですか?研修も同じです。講師は、頷きがないと説明が不足しているのかな?と判断する場合もあります。リアクション大歓迎です。タテでもヨコでも首をブンブン振って頂けるとありがたいです。



「問いかけに答えてくれる」
一方通行な学習にならないように、講師から問いかけることがあります。問いかけの目的の多くは、受講者の考えを聞いて共有することです。正解・不正解ではないので、恥ずかしがらずにドンドン返答して頂けると場も活性化し、様々な意見や考え方を知ることができます。



「メモを取ってくれる」
バリッときれいなままのテキストをお持ち帰りになるよりも、気づいたことはなんでもメモし、ヨレヨレでもよいので自分だけのテキストに仕上げて頂きたいと思っています。メモをするかしないかを腕を組んで考えこむよりも、まずメモして、あとから自分で取捨選択する方が効果的です。



「開始時刻までに全員が着席している」
たいていの場合、カリキュラムはかなりタイトに組まれていますので時間管理はとても大変です。ですから開始時刻に受講者全員が揃っているだけで、今日はなんてラッキーなんだと思い、テンションがあがります。また、時間通りに来てくれている方の時間も無駄にせずに済みます。



「質問してくれる」
尋ねられたことに対して的確に回答するのは講師としての役目です。それに対応できるように日々努力していますし、質問内容から、受講者が興味を持っている箇所や自分の説明が正しく伝わったかどうかが分かります。学習内容はもちろんですが、それ以外にもたとえば自己紹介でお話した内容に関して質問が来たら、嬉しくて舞い上がります。



「アンケートにコメントを記述してくれる」
たいていの場合、アンケートは数値評価だけでなくコメントが書けるようになっています。「学んだ〇〇は、××で使えそう」「〇〇が分かったので不安が解消された」などどのようなことでも構いません。数値だけにマークされたノーコメントアンケート、とても落ち込みます。具体的なコメントは講師のやる気や学習内容の改善にもつながります。具体的なコメント、ココロよりお待ちしております!



以上です。




講師は、受講者が学習しやすいような雰囲気をつくるために、様々な工夫や働きかけをしていますが、大事なのは「Give&Take」ということです。芝居やコンサートと同様、片方だけが頑張っても盛り上がりません。双方が働きかけることによって相乗効果につながり、より良いものを生み出したり得たりすることができるのです。講師をうまくノセることも、研修から得られるメリットを最大化するコツなのです。




より良いコミュニケーションをとる方法に関しては、トレーニングコース「【PDU対象】効果的コミュニケーション・スキル ~より良い対人関係を構築するための聴き方、話し方~」で学ぶことができます。


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高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている
2010年4月まで日経BP、ITproのselfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載

[大人の学び][2014年8月27日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第103回:成果が出る行動を見つけるポイント
執筆:飯嶋 秀行

研修に参加されたAさんとBさんの体験です。二人はたまたま同じ会社の同期で、
同じ時期にある難解な資格試験に挑戦したそうです。


勉強した時間、使った参考書、問題集はほぼ同じだったのですが、試験結果はAさん合格、Bさん不合格と、明暗を分けました。


二人の行動を見ると、熱心に勉強に取り組んでいる点は同じでしたが、さらに行動を分解すると、違いが明らかになりました。


不合格だったBさんは、とにかく試験に出る重要項目を暗記するため、分厚い参考書を目次通りにひたすら読みこむという行動をしていました。たしかにBさんの参考書はラインマーカーで色分けされ、多くの時間をかけて熱心に取り組んでいた様子が分かります。


では合格したAさんはどのような行動をしていたのか、ヒアリングしてみるとBさんとは違った行動が見えてきました。


自分ひとりではなかなか行動が起きないと考えたAさんは、すでに合格という成功体験を持っている先輩にアドバイスを求めました。成功体験を持った先輩のアドバイスにしたがって、実際にAさんが取った行動は、

「テキストの丸暗記はあきらめて、模擬試験中心に勉強する」
「ある程度、基礎知識を学習した後は、できるだけ本番環境に近い問題を解く」
「出来なかった問題は、どのようにしたら正解を導けるようになるか、そのために必要な知識をテキストの該当箇所を参照し、勉強する」
「テキストの該当する箇所を読む時は、なぜその選択肢が正解と言えるのか、自分の言葉で他の人に説明できるレベルまで理解する」

ということでした。


Aさんに合格という成果を出すために、役立った行動はなんだったのかを聞いてみると、
「今から考えると、自分はこの試験についてはまったくゼロからの勉強だったので、教材の選び方、勉強方法など、合格体験を持った先輩に質問して、アドバイスをもらえたのが良かった」とのことです。
つまり、合格という成果につながる望ましい行動を見つけるために、成功体験を持った先輩をリソースとして活用できたということです。


個人で挑戦する資格試験の場合の成果は分かりやすいのですが、職場のチームの成果についてはどうでしょうか?


チームを任されたマネージャには、組織として成果を出すことが求められています。現実には、日々頑張って行動しているが、なかなか成果につながっていないと感じている方も多いでしょう。


組織で成果を出すための行動を引き出し、定着化させるためにまず何から取り組めばよいのでしょうか?その最初のステップとして「成果と行動の特定化」が必要になります。


「チームで成果が出ている状態とは何か?」
「成果につながる行動は何か?」


常にこの2つの質問の答えを探求し、明確にしていく必要があります。チームを任されたら、今一度、このチームで成果が出ているとは、どのような状態のことを指すのか、メンバ全員が正しく理解できるようにします。


成果が出ている状態を定義する際のポイントは、必要なレベルまで具体化することです。抽象度が高い状態のままでは、メンバによって認識にばらつきが生じます。メンバ全員から共通認識を得られるように、成果をより具体化して定義する必要があります。


次に、その成果につながる行動は何かを徹底的に考えていきます。

人や組織は変化を嫌う傾向がありますので、過去の成功体験に引きずられて、今の環境では成果が出ない行動を延々と繰り返している可能性もあります。

さらに環境変化のスピードは速いので、過去の成功体験が通用する時間も短くなっています。したがって上司であるマネージャがいつも答えを知っている訳ではありません。自分よりも現場経験の豊富なメンバの知恵を引き出し、成果につながる行動を特定していくことも求められます。


あとはマネージャとして、成果につながる行動を引き出すためにメンバの日々の行動を観察することが必要です。特に成果を出しているメンバの行動に注目して、注意深く観察してみると、他のメンバとの違いが発見できるはずです。成果を出している本人は気づいていないのですが、ちょっとした違いが大きな成果につながっていることがあるからです。


あなたのチームでは、「成果が出ている状態」と「成果につながる行動」を明確にしていますか?チームで成果を出すために、成果につながる行動を特定すること、そして、その行動が継続するように強化することを試してみませんか。


成果につながる行動を特定し、継続させる会話にはコーチングのスキルが役立ちます。セルフコーチングや対面のコーチングについては以下のコースで学ぶことができます。

ビジネス・コーチング(HSC0039G)2日間

マネジメント・コーチング(HSC0040G)2日間


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飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク株式会社
ラーニングサービス本部
人材教育コンサルタント
中小企業診断士、PHP認定ビジネスコーチ上級、PMP®"
ビジネスコーチ、コンサルタントの視点で、成果を出せるリーダーを現場で育成する仕組み作りを提案中、
ビジネスコーチング、リーダーシップ、チームビルディングなどの分野で、研修の企画、開発、実施に携わっている。

[コーチング][2014年6月23日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第102回:どちらを向いて仕事をしていますか?
執筆:岩淺 こまき

新入社員研修において、私が担当するビジネススキルの分野は、多くの場合4月~5月、つまりITなどの専門技術研修より早いタイミングで実施します。今年も新入社員研修で大勢の新入社員の方とお会いし、色々なことに気づかされました。自戒を込めて、感じたことを書いてみます。


私が接した新入社員の皆さんは一様に優秀で、積極的に研修に参加し、よりよい社会人として活躍したい!という意欲をお持ちの方ばかりでした。ビジネスマナーやプレゼンテーションスキルなどの「基本の型」を身につけるよう取り組んでもいました。基本の「型」をおさえることで、ビジネスの相手とのやりとりを、スムースにできる、つまりビジネスパーソンとしての基礎が整った状態になれるからです。


「守破離」という言葉があります。経験の浅いことに対しては、まず「基本の型」をしっかりおさえる、その上で「型」を破り、最終的に自分なりのスタイルを作りあげるとよいということを表しています。基本がないのに自分が思うように行動することは、土台がしっかりしない建築物のようなもので、少しの揺れでも崩れ落ちてしまう可能性があります。新入社員というのは、ほとんどのビジネススキルに関して、初学者の段階なので、まずはきちんと「基本の型」をおさえることが求められるわけです。


一方で、中堅以上の年代に差し掛かった私たちはどうでしょうか。基本の「型」は習得し、自分なりのスタイルを創り上げるタイミングに差し掛かってきています。


日々仕事をしていくと、思った通りの成果が出せなかったり、つまずいたり、仕事に対してモヤモヤしたりすることがあります。そのような時、実は基本の「型」にこだわり過ぎていることが影響していることと考えられます。


顧客へのプレゼンテーションの機会を例にとってみましょう。


「型」を意識しすぎるあまり、本来の力が出せなくなることがあります。「一文は短く、口癖は出たらいけない」「手遊びしてしまう癖は直した方がよい」など、テクニックを整えることに捉われ、「自分」に意識が向いているのです。「型」を整える段階、というのは「より良く見せるためにはどうしたらよいか」など、意識が「自分」に集中しているともいえます。


もちろん練習やレビューの段階なら、大いに悩んで考えて試行錯誤するのもよいでしょう。しかしプレゼンテーション本番を迎えて、このままの状態で臨むわけにはいきません。どこかの段階で考えを切り替える必要があります。このプレゼンテーションは「何のために、誰のために行うのか」という目的をあらためて見直すことが大事です。どちらの方向を向いてプレゼンテーションをするのかを考えれば、「相手に納得していただくため」「相手に喜んでいただくため」と「相手」そのものに意識を向けることが大切だと気づくはずです。


相手に喜んでもらうために一所懸命に本気でプレゼンテーションする。少しくらい口癖が出ようが、言葉に詰まったりしようが、「基本の型」通りでなかろうが、あまり気にせずに、相手に意識を向けて話すことです。聴き手も話し手が意識をどちらに向けてプレゼンテーションしているかは、感じ取るものです。


基本の型には、目的があります。プレゼンテーションであれば「相手に理解し、納得していただくため」に話すための「型」なのです。「型」が先にあるわけではありません。


「目的」、つまり、「何のために」という意識は、プレゼンテーションに限らず、仕事全般への取り組み姿勢にも関わってきます。


先日、工数のかかる難しい案件の提案を詰める会議でのこと。チームからは「誰がこの作業担当するの?」「ここまで当社が担当する範囲だろうか?」といった、少々後ろ向きな発言が続きました。


それを一人のメンバの発言が、チームの雰囲気を変えたのです。


「まぁ、お客様に喜んでもらいましょうよ、ね?」


意識の向け先が「自分」達から「相手」に切り替わった瞬間でした。私は気のせいか、肩の力が抜けたように感じました。


仕事をするあらゆるタイミングで土台にあるべきなのは、「相手に喜んでもらいたい」という意識、相手の方を向いて仕事をする姿勢ではないかと、私は思うのです。


グローバルナレッジではお客様の課題と目的に合わせた新入社員研修サービスを提供しています。


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岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。 プレゼンテーション、ファシリテーション、講師養成講座などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。


ITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。
アイディメディアにて「その一言を言う前に」「岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術」「明日の私を強くするビジネス元気ワード」公開中。

[新人社員研修][2014年5月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第101回:若手には「どんな背中」を見せればよいのか
執筆:田中 淳子

2014年度の新入社員がやってきました。迎える職場もそわそわドキドキし始める時期です。


1990年から毎年新入社員研修に携わっています。今ではすっかり親子ほどの年齢差となってしまったものの、私自身の感覚は20代のころのそれとたいして変わっていません。私と同年代の多くの方がそう思っているはずです。一方、新入社員からすればものすごく年上の人、雲の上の人、なんでもちゃんとできる人に見えるもの。若手と接する際ほとんど違和感を覚えないのは年長者の側だけだということに、自分が年齢を重ねてようやく気づきました。


自分が好むと好まないとに関わらず、若手社員からは、一挙手一投足を見られているわけです。ほんのジョークで口にしたことであっても、若手社員には多大なインパクトを与えてしまうことすらあります。よく「背中を見せる」と言いますが、どういう背中と見せればよいのかというのは難しい問題です。 


顧客対応を上手に行う「背中」。
プログラムをさくっとデバッグする「背中」。
社内調整をする「背中」。


上司や先輩のこういった様々な「背中」を見ながら若手社員は多くを学んでいます。


でも、最も大きく影響を及ぼすのは、「成長し続けている背中」を示すことではないかと思うのです。


ある時20代のITエンジニアがこう話してくれました。

「うちの上司、すごいですよ。絶対に知らないだろうと思うような最新技術の話をしても、だいたいは把握しているんですよね。いつ勉強しているんだろう」
目を丸くしながら、「とてもリスペクトしている」とも言っていました。


「顧客との打ち合わせの時、上司が答えられなかったことがあったのですが、次の打ち合わせの時には、完璧に解説していて、短い時間に自分で勉強されたんだなあ、すごい!と思いました」と教えてくれた30代の営業担当者もいました。


「すごい、あの先輩は、常に進化している!」
「いつも新しいことを追いかけて吸収しようとしている!」
「これまでのやり方に問わられずにチャレンジしている!」


若手からそう見られることがとても重要なのではないだろうか、そう思っていたら、こんな研究を見つけました。


「部下による上司の成長認知がある時に、上司が行う部下への内省支援に正の関係がある」のだそうです。脇本健弘さんの研究です。(参考:『職場学習の探求』 生産性出版)


わかりやすく言うと、「部下が自分の上司を見て、"ああ、成長しているなあ"と認めた(認知)した時初めて、上司が部下に行う"ふりかえりの支援""フィードバック"などに効果があるわけです。部下や後輩を育てたいと思ったら、まず、自分が成長している姿を彼らに示さなければならないということでもあります。


若手の育成に携わる際、たとえば、上司やOJTトレーナーが「若手を育てればいいんだな」と思っていると、そのためには自分の成長も大事、と言うことですから、これにはドキッとする方も多いはずです。「え? こっちも成長してないとダメなの?」と驚いた方もいるかもしれません。


では、「成長する」ために大事なことは何でしょうか?


まずは「学ぶ」こと。その上で、時に「学んだことを捨てる」こと、そして、さらに「学び直すこと」も必要です。それぞれ"Learn""Un-Learn""Re-Learn"と言います。ここまでに身につけた知識や時々棚卸し、自分が持っている知識や経験を一旦捨てなければならない場合もあります。中堅やベテランにとっては、時にそれは痛みを伴います。それでも、上司や先輩たちがそうやって常にLearnとUn-LearnとRe-Learnを意識し、「学び続ける」背中を見せれば、新入社員を始めとした若手にとってよい影響を及ぼすはずです。


「もう歳だから、新しいことは学べない」と諦めたり、「今までの蓄積があるから大丈夫」とのんびり構えたりするのではなく、「これ、面白いから挑戦してみよう」「新しいことを学ぶのは楽しい」ということを言葉と行動で示すことが、若手の成長に好影響を及ぼします。

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【お知らせ:大幅に改訂しました】


●「後輩の教え方育て方」(HS0073CG)


はじめて後輩の指導を任された、OJT担当に任命された、OJTの仕組み全体を支援したいなど「若手育成」に関わる方向けの研修です。


2014年5月から大幅にRenewalします。「経験学習」など最近注目を浴びている「働く大人の成長」に関わるキーワードを盛り込みました。


●「OJT担当者のためのワークショップ
●「OJT担当者上司向けセミナー
●「OJT担当者向けフォローアップ研修


上記3コースも同じテキストを使用します。

新テキストをご覧になりたい方は、担当営業までご連絡くださいませ。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。2003年からは、企業の「OJT支援」に力を注いでいる。

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【著書】
 ・NEW) 『ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック』 (日経BP社)
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 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』 (日経BP社)
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[大人の学び後輩指導・OJT新人社員研修][2014年3月31日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第100回:"Good for you!" ~勇気づけるポジティブフィードバック~
執筆:田中 淳子

この「わくわくヒューマンスキル」というコラム、おかげさまで100回目を迎えました。当社のメルマガで「わくわくヒューマンスキル」の更新をお知らせすると、その日のグローバルナレッジWebページへのアクセスが一段と伸びるとも言われており、多くの方に読んでいただいているのだなあと感慨ひとしおです。本当にありがとうございます。


1回目は2005年のコラムでタイトルは「フィードバックの想い出」。私が1990年にアメリカ出張で、本社の研修を苦労しながら受講した際、アメリカ人のクラスメイトに前向きなフィードバックを受けて感銘を受けたことを書きました。


「人が自信を持ち、やる気が刺激されるようなフィードバックを交換できる、そんな研修を作り、日本人にも提供したい!」そう思った原点です。今でもその思いは変わらずに持ち続けており、さらに私個人のミッションステートメントとしても、「働く大人がよりハッピーに仕事をするためのお手伝いをする」を掲げながら日々を過ごしています。


私がヒューマンスキルの研修を立ち上げ、お客様向けに提供し始めたのは1991年のことです。当時勤務していたDEC(Digital Equipment Corporation)は当然のことながらコンピュータ技術者(当時は、IT技術者とは言いませんでした)を対象とした研修事業を行っていたので、「コンピュータ技術を学ぶのはいいけれど、ヒューマンスキルの研修は抵抗がある」という方も大勢いらっしゃいました。


「恥ずかしい演習を沢山させられるのでしょう?」
「人前でロールプレイなんてしたくない」


そういう声がよく聴かれた時代です。


一方で、「待ってました! コンピュータ技術ではなく、人間関係とかチーム作りとかそういう分野を学びたかったのだ」という方も少しずつ増え始めてもいました。


21世紀になり、ITエンジニアの方たちは、「ヒューマンスキル」を学ぶことに一段と積極的になってきました。ロールプレイも受講者同士の意見交換もフィードバックも抵抗なく受け入れる、もっと言うならとても積極的に取り組む方が主流になってきたのです。
それに伴い、研修のスタイルも徐々に変わってきています。


1990年代までは、「しっかり講義で教えてください」「演習は少なくてもいいです」と言われることもよくありました。アンケートにも「受講者同士で経験を会話しても答えは出ないから講師が答えを教えてくれればよい」と書いてある場合もあったものです。研修では講師が「答え」を教えるものなのだと捉えられていました。


時は巡り、唯一の「答え」などないことは誰もが認識するようになってきました。「講義は少なくていいから、話し合う時間を多くとってください」「演習でたくさん体験させ、それが実務にもつなげられるようふりかえりにも長時間を費やしてください」というリクエストが多くなりました。受講者からも「たくさん体験できた」「それぞれの経験を語り合う場で多くの気づきがあった」「参加者同士で議論したことを仕事に活かしたい」という感想をいただくようになりました。「学び」に対する考え方がこの20年でずいぶん変化してきたわけです。


学びの主体はあくまでも参加者です。講師が出来ることは、参加者の学びが最大の効果を生み出すようお手伝いすることです。


私達講師は、教室の学びが実務に結びつくようにその場その場で気づきを引き出したり、気づきを促したりします。その時役立つのが「フィードバック」です。受講者同士のフィードバックも講師からのフィードバックも気づきの強化につながります。


学んだことを使ってみよう、自分の行動を少し変えてみよう。そう思えるためには、研修の内容や進め方も重要ですが、中で交わされる前向きなフィードバックが力になるのです。


これまでに3回アメリカの研修を受講したことがあります。唯一の外国人受講者だった私をアメリカ人講師は研修外でもずいぶんケアしてくれました。講師とランチを共にしていた時、「こういう研修は日本ではどうなの?」「日本人の受講者はどうとらえるの?」と質問されたので、「日本人も体験型の研修は受容するようになってきた」「楽しく学んでいる方が多い」といったことをできるだけユーモアを交えて話しました。彼女は、私の話の区切りごとに"Good for you!"を連発しました。「やるね!」「いいじゃん!」といったニュアンスでしょうか。"Good for you!"に励まされ、片言なりの英語でも楽しく会話することができました。


講師は、受講者を励まし、勇気づけ、学びを加速する役割を担います。"Good for you! "は、その象徴なキーワードのひとつとして私の記憶に刻まれています。



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トレイン・ザ・トレーナー」(ON258)

社内外講師養成講座です。 研修を内製化している企業の方にもおすすめします。


インストラクショナルデザイン」(HSC0100G)

研修教材を企画したり開発したりするための技法を学びます。公開コースとして提供を始めます。


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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
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 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)


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[大人の学び後輩指導・OJT][2014年1月31日配信]

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