Trainocate Japan, Ltd.

わくわくヒューマンスキルコラム
第87回:当たり前を支える
執筆:森 美緒

12/1(土)の午前4時から7時まで、私は妹と2人で最寄りのJR駅にいました。

周囲はまだ暗く、静まり返っていました。
防寒具は用意したものの、指先と足先が冷たさを通り越して
感覚が鈍くなる経験を久々に味わいました。


この日は、年末年始の新幹線チケットの発売日。
私たちは年末年始の新幹線チケットが欲しくて、窓口に並ぶことにしたのです。
私たち姉妹はほとんどの親戚が1時間以内に集合できる環境で、
「帰省」というイベントへの知識がほとんどありません。
年末年始のチケット発売日は、「みどりの窓口に始発前から並ぶ方がいる」
「全国で一斉に発売されるので、多くても30人くらいしか、
要望どおりのチケットは買えない」という話を聴いて、驚いてしまいました。


そこで、冒頭の状況になったわけです。
前日は普段にないほど早く帰宅して、仮眠を取り、3時半に起きて、
15分歩いて最寄りのJR駅へ4時半に到着。
5時になり、6時になり、その間に、続々と後ろへ続く人の列。
7時に窓口が開き、購入のための紙と整理券を引き換えてもらい、
すぐにチケットを入手できました。


チケットを入手して、帰宅する道のりで考えたことがあります。
「データベースのなかった時代、指定席の予約管理をどのように行っていたのだろう?」ということです。
今でこそ、当たり前のように自動発券機や窓口で指定席が予約でき、ネット予約もできますが、これは昔からあったものではないはずです。


その疑問に、JRのシステムに詳しい方が答えてくださいました。
簡単に要約すると、昔は管理センターが台帳管理をしていて、
窓口で予約をする場合、が係員が、センターに電話して空いているかを
その都度、確認していたそうです。
それがシステム化され、徐々に改良され、現行のシステムになっていると・・・

システム化される前は、1人あたりの発券に時間がかかったでしょうから、
おそらく窓口が開いてから、すぐにチケットが入手できず、トラブルも起きやすかったことでしょう。
その頃から考えたら、帰省する人たちもネット予約ができたり、円滑に窓口で処理してもらえたりと、とても便利になっているのだと思います。


改めて考えると、生活の一部としてなじみすぎていて、
どれほど便利でありがたいことなのかを忘れてしまったり、
認識できなかったりしている「当たり前」がたくさんあります。


例えば、2011年の大地震当日、私は五反田のお客様先にいました。
朝、自宅から電車で45分だった距離が、徒歩では5時間以上かかりました。
その後の計画停電では、普段の生活がどれだけ電力に依存しているのかを痛感しました。
オール電化マンションの我が家は煮炊きもできず、冷凍庫内のアイスは全滅しました。


コンビニがなかったら・・・
銀行のATMが使えなかったら・・・
電話、通信がつながらなかったら・・・


考え出したらきりがないほど、私の生活を支えてくれている「当たり前」があります。
そして、その当たり前は、人の手によって支えられているものなのだと思います。


作り出した便利さが、周囲に「当たり前のもの」と認識されるようになるまでには、時間がかかります。安定した運用と管理をするために、長期間、忍耐強く続ける必要がありそうです。運用管理をしてくださっている方々の成果が、私たちの「当たり前」なのでしょう。


忙しくて、自分のことで精一杯の状況では、当たり前を支えてくれている人を意識できなくなってしまうことがあります。でも自分の周囲を見渡せば、当たり前を支えてくれている人がたくさんいるのではないでしょうか。


年の瀬を迎える前に、自分の当たり前を支えてくれている人を再認識できたことは、とても良い体験でした。(寒かったけど)

2012年も「当たり前」を支えてくださって、ありがとうございました。

2013年もどうぞよろしくお願いいたします。

[大人の学び][2012年12月13日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第86回:経験から学ぶ
執筆:田中 淳子

メーカーのベテランエンジニアがこんな風に嘆いていました。


「僕たちの新人時代って、試作品を作らせてくれて、成功しても失敗してもその経験からいろんなことを学ぶことが多かったんだけど、今って、コスト削減とかコンプライアンスとかいろいろ配慮すべき点が多くて、新人に失敗させるなと上からも言われちゃうんですよねぇ。ある程度は痛い目に合わないと覚えないとか学べないことってたくさんあるんだけど、世知辛い世の中になったもので・・・。」


「経験学習」の研究によると、働く大人の成長は、7割が自分自身の経験に支えられているといいます。「他者の経験を見たり、他者からアドバイスを受けたりする」ことが2割。残り1割が「研修に参加したり、本で学んだりする」ことだそうです。「自分自身が経験すること」が最も重要なのですね。たしかに、私自身のこれまでの仕事を思い出してみても、「なんだかわからないなりにやってみて、それでも乗り越えられた」というような場面においてこそ著しく成長できたという実感があるものです。


では、冒頭に書いたように黙っていても様々な経験をするのが難しい現代、経験する機会をどう作ればよいのでしょうか。一つは、上司や先輩など指導する側が部下や後輩にふさわしい経験をデザインすること。もう一つは当然のことながら、自分自身で経験を作り出すことです。


上司や先輩が経験をデザインした例です。


中堅の営業担当者から聴いた話です。絶対に失注するとわかっている案件があり、だからこそ、新人に挑戦させたいと考え、担当させました。案の定、新人は、失注はしましたが、ひとつの案件を提案の初期段階から一人であたらせたことで成長につながったと任せた先輩は話していました。


新人と2年目だけで顧客との折衝を担当させた例もあります。最初の頃は、顧客からの質問や要求にしどろもどろになっていたものの、勉強し、必死にくらいついていく内に顧客と対等に会話できるようになったと言います。先輩は表に出ていかず、あえて若手2人だけで顧客との折衝ごとなどを任せてしまったことで、「やらねばならぬ」という当事者意識も高まったのでしょう。しかも、これ以前はホウレンソウをなかなかしなかった若手2人は、率先してホウレンソウをするようにもなったそうです。


経験を自分で作った例も紹介しましょう。


システム保守の部署に配属されたある新入社員は、与えられる業務をこなすだけでなく、自分で「改善課題」を何十個もリストアップして、取り組みました。「この部分をこういう風に変えたらもっとやりやすいのに」「ここをこう工夫することでこんな風に便利になるのでは」と自分なりに考えたテーマについて、日々の業務に取り組みつつクリアしていったそうです。与えられたままに仕事を行うのではなく、自分なりに意味づけをして取り組む姿勢をこの新入社員は持っていて、当然、他の新入社員よりも成長著しいと周囲からも認められるようになりました。


経験には「成功経験」と「失敗経験」があります。どちらも学びにつながりますが、中でも「失敗経験」は仕事において一皮むけるために重要な要因となります。ただし、失敗経験によって落ち込んでしまう若手もいるため、周囲の支援も欠かせません。


ある時、本番機の設定を変えてしまい、システム全体を停止してしまった新人がいました。自分がやってしまったことに驚き、慌て、どうしようもない事態に陥った際、OJT担当の先輩まであたふたとしてしまったそうです。その時、たまたま近くを通りかかった隣の部署の先輩が声をかけてくれました。


「どうしたの?」


事情を説明すると、新人に向かって涼しい顔でひとことこう言いました。


「そういう時こそ、エンジニアって成長するんだよなぁ」


これを聴いた新入社員もOJT担当の先輩も気持ちが落ち着き、一つ一つ丁寧に対応することができたそうです。


以前、大先輩にこう言われたことがあります。「1年に1回職務経歴書を書くといいよ。1年前より1行でも何か書き足せるかどうか、振り返るんだよ」


職務経歴書に「この1年の経験」を堂々と書き足せるよう、意義ある経験をデザインし、自分の糧としていきたいものです。


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ダイヤモンド社開発の「OJT診断システム」DLL(Diamond Inventory of Learning Leader)を当社でも取り扱うようになりました。
OJT担当者向けワークショップ」や「OJT担当者向けフォローアップ研修」など「OJT」関連研修とセットでご採用いただくとより実践的な研修をご提供できます。
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[後輩指導・OJT][2012年11月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第85回:みんなちがって、みんないい
執筆:岩浅こまき

最近受講者の方から「グローバルナレッジで教えているビジネススキルの内容は、海外の人にも通用しますか?」という質問をよく頂くようになりました。

国籍が違うと理解し合うのが難しい、もしくは難しいのではないかと想像しているからなのでしょう。答えはもちろん通用します。国籍が違えば、気にするポイントやマナー、価値観の違いに驚くこともあるかもしれません。しかし、そのような価値観こそ違って当たり前なのです。相手は同じ人間です。一個人として尊重し、興味をもち、話し合いを重ねてみることで分かりあえるものです。


私の現在進行中の経験をお話しします。
2012年2月から、新たにグループ企業となったグローバルナレッジマネジメントセンター(以下GKMC)と、同じフロアで仕事をすることになりました。グローバルナレッジはITスキルとビジネススキルを専門にサービス提供をしており、実はグローバルマインドを得意とするGKMCとは、ビジネススキルで重複する領域があります。ですから働きだした当初は、GKMCの考え方や働き方など見当もつかないまま、どのように協働するのか、漠然とした不安がありました。


会社としては価値観を整えたい思いもあったのでしょう。公的に様々なイベントを設定します。キックオフや互いの講師を集めてディスカッションする機会を設けたり、お互いのトレーニングを受講したりしました。交流する中で、ますます違いがあることに気づきます。言葉の使い方や用語の意味、受講者とのコミュニケーションのとり方や講義の進め方など、違いは目に見えるものから見えないものまで多岐にわたりました。「こうした方がよいのでは」「この進め方で効果が十分だと言えるのだろうか・・・」など、違いをポジティブに捉えられず、「交流したけどやっぱり色々価値観が違うんだな」という気持ちを感じていたのでした。今になって考えると、忙しい中参加して余裕がなかったことや、公的な場での交流のため、「自社だったら」を、意識しすぎていたのかもしれません。


そんな中、有志によるイベントが開催されました。ランチタイムに集まってあるゲームを行い、交流をはかったのです。以下のように進めます。

1. 自分が持っているものを、付箋などカードに書く
(例:勇気、らくがき力、Creativity、マネジメントスキル、犬、住宅ローン、勇気、○○系の人脈など)
2. 近くの人(交流を持ちたい人)と3~4名程度で集まる
3. 自分達のカードに書いた内容を見せ合い、組み合わせて、会社としてできることはないかをディスカッションし、アイディアにする
(例:「勇気」「らくがき力」「Creativity」=受講者が自由にコメントできる場を設けよう)
4. アイディア化できたものは一覧にして、皆で投票し、ベストアイディアを決める


この時のベストアイディアは、【「勇気」「らくがき力」「Creativity」】から発想した「受講者が自由にコメントできる場を設けよう」でした。初めはホワイトボードを設置してみようという事になりましたが、季節に七夕が近かったので、七夕の笹につける短冊を用意し、その短冊にコメントを書けるようにしました。準備は両社で一緒に進め、笹と短冊は、受講者が自由にコメントできる場として、トレーニングセンターの廊下2か所に設置し、沢山のコメントを頂くことができました。


この有志によるイベントで、お互いの距離が密接になった印象を持っています。話し合える機会が多く、その中で相手のキャラクタや、仕事や人材育成に対しての思い、プライベートで大切にしていることを知ることができたからです。これがきっかけとなり、相手をGKMCという会社としてではなく、○○さんという一個人として興味を持つことができるようになりました。パートナーになりたい気持ちも芽生えたので、違いに対してポジティブに取り組めるようになりました。こうなると挨拶一つとっても、心から楽しいやりとりになります。


日本人同士であっても一緒にやっていく仲間だと腹落ちするまでに時間を要します。大事なのは異なる価値観を否定するのではなく、それぞれが考え方や思いを持っていることを受け止めること(受け入れなくてもかまいません)。その上で目指す姿に近づくためにどのように協力していけばよいかを試行錯誤していく姿勢を持つことです。


著名な童謡詩人である金子みすゞ氏は、「みんなちがって、みんないい」と言っていました。多様性の中から、新しいことや素晴らしいことが、きっと生まれてくるはずです。

グローバル ナレッジ マネジメント センター株式会社(GKMC) 
グローバル人材育成

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岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、ファシリテーション、講師養成講座などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。
2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。

[コミュニケーション][2012年10月22日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第84回:「売りたいものは何ですか? 」
執筆:高橋俊樹

日用品や一般用医薬品などを購入する時、有名な大手ドラッグストアを利用する方も多いと思います。


私の住んでいる街には、私が生まれる前から営業している老舗のドラッグストアがあります。県内を中心とした地域密着型の店舗展開、さらに駅のそばにあって利便性が高いのですが、私はその老舗ドラッグストアをあまり利用したことがありません。


明確な理由はないのですが、強いてあげるなら雰囲気だと思います。創業が古いためビルも店舗もかなり年季が入っています。大手ドラッグストアの「明るく、きれい、品揃え豊富、洗練された」雰囲気が老舗ドラッグストアからはあまり感じられないからです。そのため、少し足を延ばした先にある大手ドラッグストアを利用することがほとんどでした。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


2週間ほど前です。突然、頭皮がかゆくなりました。会社帰りにいつも利用している大手ドラッグストアに寄るつもりでしたが、その日は疲れていたため、駅から近いその老舗ドラッグストアに寄りました。


「頭のかゆみを抑える塗り薬ってどれがお薦めですか?」


「色々ありますが、どうかされましたか?」


「突然かゆくなり、触ってみたらプツプツと湿疹ができたみたいなんです。
シャンプーを変えたのが原因かもしれません。何かいい薬ないかなと思って」


「なるほど、さしつかえなければ見せて貰ってもよろしいでしょうか?」


「ああ、確かにできていますね。シャンプーが原因かもということでしたら、塗り薬よりもかゆみを抑える成分が入ったこちらのシャンプーを利用してみたらどうでしょう?」


「シャンプーですか?」


「ええ、これとてもお薦めですよ」


手に取って見るとお薦めのシャンプーの値段は、なんと2800円です。
普段500円位の物を使っている自分には高価であること、大抵お店で薦められるのは高いものであること、さらには大手ドラッグストアならもっと安いかもしれないとの思いが頭をよぎりました。そのため一瞬悩みましたが、疲れていたこともありその場で購入することにしました。ところが「これをください」と言った私に予想外の答えが返ってきました。


「今見た限りだとひどくありませんし、少ししたら治るかもしれませんね。かゆみが我慢できるなら様子を見てからでもいいと思いますよ。これ結構高いですしね」


かゆいとは言えシャンプーに2800円という気持ちもあったため、ありがたくそのアドバイスを頂戴し、結局何も買わずに帰宅しました。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


それから1週間。かゆみはだいぶ治まりました。しかし今度は足が痛みだしました。自宅の湿布薬を使い切ってしまったため、再度その老舗ドラッグストアに足を運びました。前回の店員とは別の方でしたが、以下がその際の会話です。


「足が痛むので湿布が欲しいんです。今朝、使い切ってしまったので」


「朝貼った湿布、効果はありましたか?」


「あまりないです」


「効果ないなら足ではなく腰かも。試しにこの腰痛ベルトをお尻にまいてみてください」


「おおっ!痛み激減しました。でも腰痛ベルトなら自宅にあるんですよね...」


「やはり腰が原因ですね。ベルトも既にお持ちなら良かったですね」


前回の件もあり、この辺りで何も買わずに帰るのが申し訳ないような気持ちになってきました。そこで、いずれにしても湿布はもうないので欲しいことを伝えました。


「この塗り薬はトウガラシ成分も入っていて血行もよくなるので、湿布よりお薦めです」


「ではそれください!」


「小さな容器に少量ですが入れておきますね。まずはお試しで使ってみて下さい」


ここまで来ると自分でも良くわかりません。なぜか購買意欲が強くなり、若干かゆみが残っていた頭皮のために思い切って2800円のシャンプーだけでも買うと決めました。するとまたも予想外の答えが返ってきたのです。


「それでしたら試供品がありますので、差し上げます。使ってみてかゆみが治まるようだったらいいですね」


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・


私は2度に渡り、その老舗ドラッグストアから何も買うことができませんでした。しかしこの体験から「売りたい物は何なのか?」ということを再認識させられました。


当然、売りたい物は自社の商品やサービスの筈です。でも大切なことは相手が抱えている問題の解決策を提供することです。その解決策の先に、自社の商品やサービスがマッチしていれば申し分ありませんし、お客様も納得して商品やサービスを購入してくれるのだと思います。


自分自身の仕事においても「提供したい物は何なのか」を改めて念頭に置き、お客様の職場での問題解決を一番に考えた教育サービスを提供できるように心がけます。


余談ですが、シャンプーの値段、少し先にある大手ドラッグストアの方が高値でした。私の今の気持ちは「次こそ、老舗ドラッグストアで絶対に買ってやるぞ(笑)」です。


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高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている
2010年4月まで日経BP、ITproのselfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載

[コミュニケーションネゴシエーション][2012年9月14日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第83回:「失敗からの学びを促す会話」
執筆:飯嶋 秀行

最近、こんな「失敗」をしました。

昼休み、いつものように、紙パックに入った野菜ジュースを飲もうとして、パックに添付されているストローを穴にさして、ジュースのパックを手に取った瞬間、机の上に野菜ジュースが飛び散りました。その瞬間、何が起こったのかわかりませんでした。おそるおそる、いすに座っている自分のズボンを見ると、なんと、太もものあたりにオレンジ色の野菜ジュースが飛び散って、しみになってしまいました。さらに、自分のシャツの胸元にもオレンジ色のしみが。驚きました。何が起こったのか?なぜこんなことになるのか?一瞬あたまが真っ白になりました。お気に入りのスーツだったのに、これじゃ台無しです。なんで、こんなことが起こるのか!このジュース、欠陥商品か?とりあえず、急いでトイレに行って、ハンカチをぬらして、しみになった部分を拭きました。

改めて、野菜ジュースを観察すると、ストローの先から飛び散ったのではなく、さしたストローとパックの穴の隙間からジュースが飛び散っていました。冷静に考えてみると、失敗の原因がわかりました。ジュースのパックを手に持った時に、パックの腹の部分を指で押してしまっていたんです。では、普段はどうしていたのか。いつも自分が行っている行動をふりかえってみると、手に持つ時は、パックの角をつかみ、手に持ったらすぐに、ストローを口にして、吸っていました。すぐにストローを口にし、吸い上げれば、パックの腹を押しても、ストローとパックの隙間からジュースがはみ出ることはありません。
普段とは異なる行動をしたことで、いつもとは違う結果になってしまいました。
これで、失敗する原因が分かったので、今後、野菜ジュースの紙パックを手に持つ時に、パックの腹の部分を押すことはなくなるでしょう。


この「失敗」の体験から、少し前の記憶がよみがえってきました。
それは、ロンドンオリンピックの女子サッカー決勝の場面。テレビ画面に映し出された、なでしこジャパンのメンバー達の笑顔の表情です。

なぜ彼女達は、あんなに明るく、笑顔でいられるのだろう。それも、彼女達が、ずっと目標としていた金メダルを逃した、くやしい敗戦の直後に。

彼女達は、失敗した後の気持ちの切り替えが早いのです。

なぜ失点してしまったのだろうとか、
なぜあんなパスミスをするのだろうと、
ミスした選手を責めるのではなく、

ミスで失点した直後も、笑顔で、お互いに認め合って、前向きにやるべきことをやっているように見えます。

これは、個人個人の切り替えが早いということもありますが、チーム全体として、ミスをした選手を責めない。ミスが起きた時はチームメンバー全員でカバーする。ミスをして、落ち込むのではなく、残された時間で、ベストなプレーをする。そして最後の瞬間まで決してあきらめないといったチームの行動指針があるように思います。彼女たちの様子からそんなチームの雰囲気を感じとることができます。

そして、過去のオリンピックを経験したベテラン選手のコメントからは、彼女達が、チームとして、過去の敗戦という「失敗」から多くのことを学んできたことがわかります。

4年毎に開催されるオリンピックで、ここ12年間で、毎回以前の大会よりよい結果を残すように成長していることがわかります。予選の突破、ベスト8進出、ベスト4進出、そして、今回の決勝進出と、それぞれの体験から学び、その経験の積み重ねが今回、みごとに銀メダル獲得につながったのでしょう。


ビジネスの現場でリーダーシップを発揮されている皆さんは、部下が失敗をしたとき、どのようにして、その失敗からの学びを促していますか?

失敗したときに、ネガティブに落ち込んで、思考停止になるのではなく、失敗したときこそ、ポジティブに、意識を前に向けて、どうやったら理想の状態に近づけるかを考えることが大事です。

人が何かを学び成長する時には、安心して失敗から学べる環境が必要です。
最近は、若手の育成を目的に、失敗を経験させることが難しくなったという声を聞きます。
確かに以前に比べると、部下育成に時間的な余裕がなくなってきていますが、部下が失敗したとき、リーダーが、部下が失敗から学べる環境を作ることができると効果的です。

特に部下の行動が望ましい結果を生んでいない時こそ、部下が失敗から学べるようにサポートするための会話があると望ましいです。


具体的には、本人のふりかえりを促す質問が効果的です。

例えば、部下との会話の中で、以下のような質問をしてみてください。


「その状況をどのように判断したのか」
「自分の役割をどのように認識していたのか」
「そして、その状況把握と役割認識のもとで、なぜその行動を選択したのか」
「そして、どの行動をした結果はどうだったのか」


部下が安心して話せる環境をつくり、質問した後に上司がしっかりと傾聴できれば、部下は、自分の行動を客観的にふりかえることができます。
失敗を今後に生かすための具体的な行動を考えやすくなります。


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<関連コース>

【PDU対象】マネジメント・コーチング
 ~部下の目標設定から達成までを支援するスキル~


自律と成長の心理学
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飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。
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[コーチング][2012年8月20日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第82回:誰も電話にでんわ
執筆:森 美緒

先日、友人から「社内で電話が鳴っても、電話を取らなくて良いと思っている人に、
マナー研修ではどう教えるの?」と聞かれました。友人の話を要約すると、こういうことでした。


社内に電話が鳴っていても取らない人たちがいる。
電話を取ってほしいと伝えたところ、「最近の電話は、何コールかの内に留守電に切り替わったり、メールで電話があったことが通知されたりするので、本人に電話があったことが分かる。気にしないようにすればいい。効率を重視すべき。」という言葉が返ってきた。その対応には納得できない。


ビジネスマナー研修では、「業務中に電話が鳴ったら、自分の電話ではなかったとしても、取る」のがマナーだと説明します。電話を取る理由は「マナーの基本は相手主体」だからです。


鳴っている電話にでない理由を挙げてみると、
1.自分が電話に出なくても、同僚にはかかってきたことが分かる
2.自分が出ても、どうせ対応できるわけではない
3.電話に出ると(私の)業務効率が悪くなる


など、「電話をかけてきた相手への配慮」が不十分な状態です。
どの理由も、電話の向こうで、コール音を聞いている相手には分かりません。


電話がつながらなければ、「なぜこの会社は誰もいないのだろう?」と疑問を持つと思いますし、急用ならば、「なぜ、電話に出てくれないの?」とイライラするかもしれません。「この会社じゃなくてもいいや」とビジネスチャンスが失われる可能性もあります。
電話機能が進化していようと、電話対応に自信がなかろうと、忙しかろうと、「電話が鳴ったら取る」これは組織に属する人にとっては大切な仕事だと思います。

ずいぶん昔の話ですが、私自身も率先して電話対応ができなかったことがあります。
新入社員だった私は、営業部に配属されて張り切っていました。
ところが、その気持ちに自分のスキルがついてこないのです。
電話が鳴ると張り切って受話器を取るものの、対応マナーどころか、敬語もままならない状態でした。張り切っていた気持ちはシュルシュルと小さくなり、電話に出るのが怖くなったのを覚えています。電話が鳴ると、先輩がでてくれないかと期待しました。


そんな私をOJT担当だった先輩は、やさしく慰めてくれたわけではありません。
電話が鳴ったとき、競争でもするかのように私よりも早く受話器を取るのです。
そして、私にはできない丁寧な対応をします。
先輩がすばやく受話器を持ち上げるおかげで、私はその後しばらく、電話を取らずにすみ、先輩がてきぱきと電話対応も、通常業務もこなす姿を見ているだけでした。


しばらくすると、電話に出なくて済んだ安心感だけでなく、なんだか情けないような、申し訳ないような気持ちになりました。
電話を切った先輩に「電話を取っていただいてありがとうございます。」と言うと、「電話が鳴
ったら取るのは、私の仕事でもあるので気にしなくていいですよ。」という返事が返ってきました。予想以上に優しい返事が返ってきて、やる気を取り戻した私は
「私にも電話対応のチャンスをください。練習したいです。」と言いました。


そして言い終えた瞬間に後悔しました。


先ほどまで笑顔だった先輩の表情が豹変し、厳しい口調の返事が返ってきたのです。
「この電話にはお客様からかかってくるの!全部本物のお客様!練習にしていいお客様なんていない!」


今思えば、その通りです。
配属前の新入社員研修では「顧客志向」「営業マインド」などを学びました。
理屈は分かっていたつもりでしたが、私の考え方に反映されていなかったから、「練習」という発想が出てきたのでしょう。そもそも電話を取らない理由も自分の敬語や電話対応スキルに自信がないという「自分主体」の考え方でした。
顧客志向の「こ」の字もない状態だったのです。
その後は、とにかくお待たせしないようにしよう。と心に決めて、先輩に負けじと受話器を取るようになりました。


後輩が配属されると、「電話は後輩社員の仕事」と先輩社員が電話を取らなくなる企業も少なからずあるようです。そんな中、私の先輩は「電話が鳴っていたら取る、相手をお待たせしない」と言う顧客志向を背中で教えてくれました。


私の電話対応エピソードには、ちょっとしたオチがあります。
電話を取り対応できるようになり、営業成績も上げられるようになったころのことです。
職場の飲み会で、先輩に「あの一喝はとても効きました」とお礼を言うと、先輩は「電話に出られないままでいてくれたら、私の成績が増えたのに・・・」と笑ったのです。


真相はどうあれ、顧客志向や電話対応が身についたのは、あの先輩のおかげだと、今でも感謝しています。

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森美緒

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。 1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。 2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

2008年12月より2010年1月まで、翔泳社webマガジンEnterprisezinにて「新入社員が育つ!現場のための教育実践マニュアル」 連載。 2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。

[ビジネスマナー後輩指導・OJT][2012年7月23日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第81回:自分で自分を上機嫌にする
執筆:田中 淳子

何か面白くない出来事があったとき、イライラすることがあります。不機嫌そうな顔をしてしまうこともあります。イライラしている自分に気づくから、よけいに不機嫌になるという、負のスパイラルに陥ることも。上司の一言でとても嫌な気持ちになった、同僚の仕事ぶりを見て不快感を味わったなど、原因はさまざまですが、機嫌が悪くなり、それを表情や態度で表している内に、そういう自分自身のことがより不快になっていくのです。


いったい私を不快にさせているのは誰なのか。本当に上司や同僚なのだろうか? アサーションの第一人者でもある平木典子さんはご自身の著書『自分の気持ちをきちんと<伝える>技術』の中で、怒りについて次のように触れています。
「周囲のせいで怒らされたと思いがちですが、じつは、自分が自分を怒らせているのです」
自分の気分を作っているのは実は自分だ、というのです。自分で「不快だ、不快だ」と繰り返し考えている内にどんどんその「不快だ」という思いに全身が捉われてしまい、「不快」状態に自らどっぷりと浸ってしまう。そしてそこから抜け出せなくなってしまう。そういうことなのでしょう。


「怒りの感情」を持たないほうがいいと頭では分かっていても、つい不機嫌な様子を他者にも示してしまうのはなぜだろう? 若き僧侶、小池龍之介さんの著書『もう、怒らない』では、「ムカツキの原因は、「不当に扱われた」と感じること」と説いています。さらに、「ムッとしないほうが幸福であるに決まっています。にも関わらず、つい不機嫌になり、自分にダメージを与えてしまうのはなぜでしょうか? それは、怒りの感情は、電気ショックのような強い刺激を心に与えるからです。」と述べています。自分にとって刺激的だから簡単にはやめられないということなのかも知れません。
考えてみたら、怒りというのは、自分の持つエネルギーとしては少々もったいない使い方になっているように思います。平木さんは上記に挙げた書籍の中で、怒りを外側に向けて表現してしまうのは、自分の能力不足を告白しているようなものとも解説しています。以下は、同著の中で図解されているものを文章で意訳しました。


  • 自分にとって脅威と思えることが起こった場合、人は、まず自分で対応できるレベルのものか、自分の能力範囲内かを判断する

  • 対応可能と判断すれば、冷静に対応すればよいだけなので、怒りを感じることはない

  • 対応不能と判断した時は、それを正直に口に出せばよいのに、プライドなどが邪魔して言えなくなることがある。その場合、「怒り」という「さらなる脅威」で誤魔化そうとする。自分は能力が足りないと告白しているようなものだ

というのです。

これらの話を総合すると、結局、「自分の気持ちをコントロールしているのは、ほかの誰でもない自分なのだ」ということになります。そして、その事実を常に心に置いておくことは大事だと思います。不機嫌になりそうなとき、「あ、今、私は自分で自分を不機嫌に追い込もうとしている」ともう一人の自分がささやいてくれるからです。もちろん、気持ちのコントロールというのは、幸せ感、楽しさといったプラスの感情でも同じことが言えます。


ある時、「にこにこ顔」で研修に参加している方を発見し、講師であった私は思わず声をかけてみました。「朝からずーっとにこにこと笑顔ですね。」すると、彼はこう言いました。「つとめて笑顔で人の話を聴くように、とすごく意識しているんです。そうすれば、自分も相手も楽しくなるでしょう?」


彼は、自分のエネルギーを自分の気分(と他人の気分)を楽しいものにするために費やしています。物事そのものが楽しいのではなく、それを楽しいと思う自分がいるから、楽しい。幸せと感じる自分がいるからこそ、幸せになれる。そんな好循環も意識さえすれば、生み出すことができるのです。


人は、自分で自分をより不機嫌にすることもできれば、自分で自分をより上機嫌にすることもできるのです。上機嫌、にこにこ顔は、不機嫌の時と同様、周囲に伝染していきます。


1日24時間は誰にでも平等で、その時間を上機嫌で過ごすのか、不機嫌で過ごすのかは自分で決められます。「自分のエネルギーをどこに向けるか」は、セルフコントロールの問題です。多くの人と共に働くことが多い現代の職場では、セルフコントロールができることは、とても大事な力の一つです。


自分自身を常に上機嫌の状態で保つ。「大人の嗜み」だと思います。
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<関連コース>

自律と成長の心理学

【PDU対象】マネージャのためのチームビルディング
 ~マネージャの役割とビジョンに基づく運営~

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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!」
 ・「ヒューマンスキルの道具箱」
【著書】
 ・『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』
 ・『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
 ・『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

【対談連載】
・ITpro
「ヒューマンスキル特別対談 田中淳子×芦屋広太『行き詰まり感』を打開するコツ」

【連載】
(NEW!) ITmediaエグゼクティブ「田中淳子のあっぱれ!上司」

・ITPro 「ヒューマンスキル往復書簡 田中淳子←→芦屋広太」

[コミュニケーションリーダーシップ大人の学び][2012年6月22日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第80回:欲しいものはあきらめずに手に入れよう
執筆:岩淺 こまき

第一子を出産し、職場復帰しました。会社員、妻の他に、母親の役割が増えました。


最初、役割が増えたことで「時間の制限が厳しくなる」と思っていました。「復帰後は今までのような働き方もできないし、自分の時間も減るし、やりたりこともできなくなる」と不安を感じていました。これは働く母でなくとも、社会人になった、新人の教育担当をするようになったなど、役割が増えた際に多くの方が感じる点でしょう。「役割が増えると、役割のための時間が増える。結果自分だけのための時間が減る」という思いにとらわれており、不自由な気持ちになっていました。


そんな私にある方が「何にもあきらめなくてよいんですよ。工夫して、周囲に手伝ってもらって、使えるサービスや施設は使って、自分の欲しいもの(望んだ状況)は全部手に入れればいいんです」とおっしゃったのです。この一言が「手に入れるための工夫を考えればいい」と、捉え方を変えるきっかけになりました。気持ちが楽になり、やる気も出てきたので、今は楽しみながら試行錯誤をしています。以下に、工夫の一部をご紹介します。


時間の使い方を見直し、タイムマネジメントを活用する
業務のデットラインを設定し、残業してこなせばいいや、という精神的な甘さに歯止めをかけます。ただ、納期に間に合わない、期待された成果を出せない、で「時間なのでお先に失礼します」という訳にはいきません。プライベートと仕事を含めた1日全体のスケジュールを立て、無駄を省き、仕事に集中できる時間を作ります。


1】通勤時間を有効活用する
出勤時間に情報収集やその日のスケジュールを立てる 
昨日の残りと今日の予定の作業の手順を組む、書き物のネタを考える、講義の流れを頭の中で追う、寝ない(寝ると身体のリズムが狂う)、頭をONにする、など
帰宅中に読書や帰宅後のスケジュールを立てる
献立を作る、家に入ってからの動線を考えておく、プライベートのメールを返信する(家でメールを書くと家事や育児の時間が減る)、保育園の書類系を処理する、仕事のことは考えない、頭をOFFにする、など


2】仕事をなるべく細かいかたまりで管理する
「会社でしかできないこと」「移動時間にできること」「緊急度」「できていないと後に影響が出る作業」を洗い出し優先順位をつける、明日でよいことは明日にまわす、など


細かいかたまりとして作業を管理すると、スキマ時間の有効活用ができます。突発的な仕事が発生し予定が狂っても、優先順位に応じてスケジュールを組み直しやすくなりました。通勤時間を自分の時間として使えている実感があり、通勤時間が短く感じるようになったことも嬉しい気づきです。


周囲への感謝を行動で示す
感謝の言葉はもちろんのこと、実際に迷惑をかけないような準備と段取りをします。
以前は定時外に行っていた急ぎの打ち合わせをランチタイムに対応するなど、相手の休憩時間を奪うことも多くなります。それを当然のような顔でいては、一緒に働きたくない人になってしまうかも知れません。
「自分がいなくても必要な情報が見つかるよう整理する」「面談の予定があるのに休む場合は相手への調整を自分で行うか、上司へ依頼をする」など、協働するには情報共有とホウレンソウが欠かせません。新入社員研修で伝えていることは大切だとあらためて実感する毎日です。


改善の余地はまだまだありますが、当初感じていた「時間の制限が厳しくて不自由」という捉え方を変え、工夫することで、少しずつ良い変化が出てきました。毎朝5時起き、通勤時間1時間半、子供はまだ9ヶ月で夜泣き有、でもフルタイム勤務。復帰直後の働く母にとって大変な面もありますが、それはそれ。欲しいものを手に入れるためにも、試行錯誤を繰り返していきます。
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岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、ファシリテーション、講師養成講座などヒューマン・スキル研修の開発・実施に当たっている。
2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。
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[タイムマネジメントモチベーション][2012年5月22日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第79回:「ファシリテーションをマンション管理組合で使ってみた」
執筆:高橋 俊樹

ビジネスでは、会議や顧客との打ち合わせ、アイディア出し会議など、仕事を進めていく上で話し合う場面が数多くあります。


しかし、「何も決まらない」「決定されたことを聴くだけ」「影響力ある人の意見で決定される」などの話し合いが多いのも事実です。「今日もこれから会議だ!」と嬉々として会議室に向かう人よりも、「また会議か、参ったな」とぼやきながら向かう人の方が多いのではないでしょうか。


上記問題を解決し、話し合いを円滑に、納得感のある成果を効率よく出すために「ファシリテーション」というスキルを使うことができます。話し合いの場で使うスキルですから、ビジネス以外の場でも役立てることができます。


今回は、あるマンション管理組合の理事会で、ファシリテーションを役立てたドグロさん(仮名)の事例をご紹介いたします。
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●マンション管理組合理事会が抱えていた問題点
1. 話し合い
 ・議論は記録をとらず口頭のやりとりのみ

2. コミュニケーション
 ・理事長など一部のグループが、他の理事の意見や想いを最後まで聞かない

3. コンセンサス
 ・理事長独断で実行(その結果について住民から反発の声も出ている)
 ・決定したものも基準がなく迷走しやすい(最後は多数決で納得感がない)


●上記1-3の問題に対してそれぞれ試してみたこと
1. ホワイトボードを活用して話し合いの内容を視覚化
2. 理事会としてのルール設定
3. 成果を明確化して、その成果について全員の合意を得て議論を開始


●実践した結果
1. ホワイトボードの活用
口頭での意見を書き出したことで、分かりやすく議論しやすいと好評。さらに様々な意見を視覚的に見ることで、話し合いの内容もコスト?信頼性?など、今までにはない建設的な議論に発展した(これまでは理事長の意見に流されやすかった)


2. ルールの設定
「全員必ず発言すること」「発言者に対して批判的にならないこと」「各アジェンダ議論終了後に皆で成果確認をすること」という理事会でのルールを設定。全員が守ることで、人の意見を最後まで聞くなど理事全員の態度が、話し合いやすい態度に変化した。


3. 成果の明確化
理事会スタート時に、各議事項目に対する成果(ゴール)は何かを全員で話し合って決定してから開始した。その結果、効率よく議論も進み、時間短縮に大きく貢献した(最長4時間30分、平均3時間の理事会が2時間弱で終了)


上記を実践した結果、理事全員が話し合いに参加し、成果に対する確認を都度行うことで納得していただけたとのことです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「使ってみた」


知識やスキルは使ってこそ価値があります。ただ持っているのではなく、様々な場面で実際に使うことが、直面する問題の解決や自分自身のスキルアップにつながるからです。


特に、私が事例の中で感銘を受けたのは、ドグロさんの姿勢です。実は、理事会の場でドグロさんが上記案を試してみたいと提案した所、理事長から「わざわざ書かなくても分かるだろう」などと否定的な意見を言われたそうです。しかし、ドグロさんは「とりあえずやらせてほしい、そしてその評価は最後にお願いします」と要望して実践されたのです。


周囲を巻き込んで何かを実践しようとすると、そのためにはかなりのパワー(気持ちに関する)が必要です。そのパワーを発揮して、実際に「使ってみた」ことがとても素晴らしいと感じました。皆さんは


「使っていますか?」


高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1991年、自動車メーカー、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当
その後テレマーケティング会社を経て2001年より現職
ヒューマン系講師として新入社員から管理職まで幅広く人材育成支援に当たっている
2010年4月まで日経BP、ITproのselfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載

[ファシリテーション][2012年4月19日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第78回:「プレゼンテーションにまつわる意外な悩み」
執筆:飯嶋 秀行

人前で話すこと、いわゆるプレゼンテーションについて、苦手意識を持っている人は多いようです。プレゼンテーション・スキルの研修コースに参加された受講者の方に、「プレゼンテーションで困っていることは何ですか?」と尋ねると、以下のような回答が返ってきます。


「プレゼンテーションの資料作りに、とにかく時間がかかります」
「プレゼン資料作成ソフトで、スライド毎に図解や、アニメーションなどを設定していきますが、あれこれ手を加えていくうちに、時間切れになってしまいます」
「資料作りに、かなりの時間をかけた割に、上司からは、結局何を言いたいのか分からないと言われてしまいます」


これを聴き、私は少し意外な感じがしました。
プレゼンテーションの悩みと言えば、人前で話すことそのものに対する苦手意識が真っ先に挙がると思ったからです。


「かならず緊張してしまって、表情がこわばってしまいます」
「途中で、つまずくと、頭が真っ白になってしまって、その先が続きません」
「大勢の人の目を見るのが恐くて、前を向いて話せません」
「どうしても手元の資料を見てしまって、文章を読み上げるようなプレゼンになってしまいがちです」


こういった「どのように話したらよいか」に関する悩みが多いと思ったのに、受講者の皆さんは、「話すことは何とかなるのですが、資料作りの方が難しいです」とおっしゃるのです。

もしかすると、実は多くの方が、話し方そのものよりも、資料作りに関する悩みをお持ちなのかも知れません。
資料作りが課題だと考える理由の一つとして、まったく元となる資料がない状況で、一からプレゼンの資料を企画して、構成を練るという作業をする機会が少ないことが考えられます。つまり企画、構成作業の練習不足ということです。


上司から、プレゼン資料の作成依頼を受けた時まず何をするのかも、受講者に尋ねてみました。


すると、とにかく、似たようなテーマの過去のプレゼン資料がないかを探すのだそうです。
参考になりそうな提案書をみつけたら、必要な修正作業をします。
お客様名、日付など一部分を修正する作業を繰り返して提案書を完成させるケースが多いようです。


確かに、過去に作成した良い資料があれば、チーム内で情報共有できる仕組みをつくって、参考にするのは効率の面から考えても悪いことではありません。
しかし、毎回、既存資料を組み合わせて作っていたのでは、一から企画、構成する練習ができません。
部分的に修正し再利用することを繰り返してきると、プレゼン資料を一から企画、構成する力は上達しないでしょう。


プレゼンの企画力、構成力をたちどころに上達させる魔法のような方法があるわけではありません。


ただ、多くの受講者が、
「このやり方は目からウロコでした」
「このやり方なら資料作りが苦手な自分でもできそうです」
とおっしゃる効果的な方法はあります。


それは、とても基本的なことではありますが、資料作りを始める前にプレゼンテーションの聞き手を分析して、聞き手のニーズを把握すること、聞き手のニーズをふまえて、プレゼンの目的、目標を明確化することなのです。


プレゼンが終わった後、聞き手にどのように感じて欲しいのか、具体的にどのような判断、行動をして欲しいのか、プレゼンの目標が明確になれば、その目標達成のために、どのようなメッセージを伝えればいいのかが見えてきます。
そして、そのメッセージを最も効果的に伝えるための構成を考えることが可能になります。


プレゼンテーション・スキルの研修では、冒頭で「資料作りが課題だ」とおっしゃっていた受講者が、最終日にそれぞれこんなことをおっしゃっていました。総合演習として一人ずつプレゼンを実施します。


「企画、構成フェーズをきちんと行うことで、思いのほか、資料作成作業がスムーズになりました」
「しっかりと構成を考えて、初めにプレゼンの骨格を固めてしまうことで、後で手戻りが少なくなり、プレゼン資料の作成作業が効率化されました」
「企画、構成で骨組みを作った段階で、他人に説明して、フィードバックを受けることで、効率的な修正ができました」


不思議なことに、全員が同じような感想をおっしゃいました。準備段階で最初にプレゼンの骨格を固めてしまうことで、手戻りが少なくなり、プレゼン資料の作成作業が効率化されたということです。


使い回しができる既存資料があるのに、基本から始めるなどというのは、一見遠回りにみえますが、企画、構成フェーズでしっかりとプレゼンの骨組みを作ってから、各ページの完成度を上げていくやり方のほうが、実は効率よく、また効果的な資料を作ることができるのです。


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飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。
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企画、構成フェーズでしっかりとプレゼンの骨組みを作ってから、各ページの完成度を上げていくやり方については、コースコード HSC0032G【PDU対象】プレゼンテーション・スキル 企画・作成編 ~ロジカルな構成と説得力ある資料作成~で修得できます。


また、「資料は作成できるから、説明するスキルのみを学びたい」方や「プレゼンの場数を踏んで自信をつけたい」方には、コースコードHSC0033G 【PDU対象】プレゼンテーション・スキル 実施編 ~わかりやすい話し方と相手を動かす説明力~が効果的です。


HSC0031G 【PDU対象】プレゼンテーション・スキル実践演習 ~説明力を身につけ、説得力あるビジネスパーソンになる~では、「HSC0032G プレゼンテーション・スキル企画・作成編(2日間)」と「HSC0033G プレゼンテーション・スキル実施編(2日間)」のそれぞれのテキストを使用し、プレゼンテーションの企画から実施までを3日間で総合的に学ぶことができます。

[プレゼンテーション][2012年3月26日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第77回:チューリップの香りって?~経験則は両刃の剣~
執筆:森 美緒

みなさんは、「チューリップの香り」を思い出すことができますか?
「え?チューリップに香りなんかあったかな?」と思う方が多いのではないでしょうか。


実は、チューリップに香りがあることを私はつい最近知りました。
チューリップの香りについて教えてくれたのは、顔見知りの生花店の店長です。
私が「花びらの先が尖ったタイプのチューリップが好きだ」と話したところ、「あのタイプは、新しい品種なんだよ。色の種類は少ないけど香りがいいよね」と言うのです。
『なるほど、以前は見かけなかった品種だな』、とうなずく一方で、「え?香りがあるの?」と驚きました。

その尖ったタイプのチューリップを毎年のように購入しているにも関わらず、香りを感じた記憶がないのです。
そう伝えると、店長は「そりゃそうさ。みんなチューリップは香りがない花だと思い込んでいるから。チューリップがかわいそうだよね」としみじみ言いました。


「なでしこ」という花についても話しました。"なでしこジャパン"のなでしこです。
これは、夏に咲くピンク色の花で、秋の七草や日本の伝統工芸に使われる模様としても有名です。
昨年、ちょうど女子サッカーが世間で話題になっていた頃のことです。
店長が「今日のおすすめは、絶対になでしこだよ。」と言いました。
栽培農家が栽培をやめてしまうため、来年からは切り花として市場に出ることがないというのです。
栽培を辞めてしまう理由を尋ねると、店長は「しかたないよ。お客さんは、1輪でも見栄えがする花を買いたがるし、単価の安い花だから花屋の利益もでないし。そもそも"なでしこ"が花の名前だと知っている人も減っているらしいしね。」と、かみ締めるような口調で言いました。
その季節になれば、生花店にあって当たり前の花だと思っていましたが、言われてみれば、最近は、あまり見かけなくなっていたようにも思えてきました。


この店長とのやりとりは、大切な教訓を私にくれました。「経験則に頼りすぎると気づけないことがある」ということです。「ない」と思っていると、そこにあることを感じず、「ある」と信じていると、そこに姿がなくても気づけない。経験則によって、気づかないままに得られなかったものや失ってしまっているものが他にもあるのではないかと思ったのです。


経験則は、私たち一人ひとりの中に、必ず存在するものです。
過去からの経験則によって、私たちは、自分の五感から取り込む情報を効率よく処理することができます。たとえば、「赤いチューリップの花は、香りがしなかった」「黄色いチューリップの花も、香りがしなかった」これを繰り返すと「チューリップは、香りがしない花である」という経験則ができ上がり、それにより、次にチューリップを見たときには「チューリップには香りを期待しない」という経験則がすぐに適用されるようになります。経験則のおかげで、私たちは五感から取り入れた情報をすばやく処理して生活できています。

けれど一方で、この経験則が「先入観」や「思い込み」につながることもあります。先ほどの例でいえば、「チューリップが香りを発している」のに、その香りに気づくことができない、というようなことが起こるわけです。


業務でも同じことが言えます。
例えば問題解決のフレームワークやヒアリングのテクニックを使う場面で、「この場合はこう処理する」「このケースならこう聞く」という経験則が先入観となり、自分がその先入観にとらわれ過ぎてしまう可能性も否定できません。

自分から意識的に聞こうと思わねば聞けない話があるはずです。
見てみようとしなければ見えない事実があるかもしれません。
「これはこうだ」と経験則からくる先入観を自分が持っていることに気づけば、周囲の情報を先入観で処理してしまう前に、「あれ?」「これで合っているかな?」と自分に問いかけることができます。
そうやって、「先入観」を乗り越え、今、目の前にある事実を確認する言動を取れたら、新しい発見や気づきを得られるのではないかと思うのです。

[コミュニケーション大人の学び][2012年2月16日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第76回: 一緒に答えを見つけ出そうという姿勢が大事
執筆:田中 淳子

先日、社外から講師を招いて「CS=Customer Satisfaction(顧客満足度向上)」について考える研修を社員向けに開催しました。講義の中で講師がこういう話を紹介してくれました。


「さっぽろ雪まつりが始まるという時期に、旅行会社のカウンターに行って、"ホテルありますか?"と尋ねたとします。もうどこも満室というのはカウンター担当者にはわかっていることなのだけれど、それを調べもせず"この時期ですからね、もうホテルなんか見つかりませんよ"と答えたとしたら、お客さんはどんな気持ちになるでしょう? そんな時、"厳しい状況だと思いますが、もしかするとキャンセルが出ているホテルもあるかも知れませんので、調べてみましょう"と一生懸命探してくれて、その結果、"残念です"と自分のことのように悔しがってくれたら、お客さんの受け止め方はずいぶん違ったものになるのではないでしょうか?」
「旅行会社の担当者は、一生懸命に探してくれた。私の"雪まつりに行きたい、楽しみたい"という気持ちに寄り添ってくれた。希望はかなわなかったけれど、こんな直前に申し込もうとする自分も悪かったわけだし、対応が気持ちよかったから、次の時はもっと早めにここに相談に来よう」そんな風に思えることでしょう。


この話を聞いて思い出したことがあります。

「あのぉ、このセーターの色違いありませんか?」「この靴で、23.5㎝はありますか?」
と店員さんに尋ねると、「出ているだけです」というセリフ。

「出ている商品を見ても、見つからないから店員さんに声をかけたのに、探してもくれないの?」

普段このようなセリフを言われることはなく、たいていは、混雑しているバーゲンセールの時期に聞くものです。だから、いちいち探していられないし、そこになければないですよ、という対応になってしまうのもわからなくはありません。

でも、その時、「えっと、これの赤ですね」「23.5㎝ですね」と言い、付近を一緒に探してくれるだけでも、こちらの気持ちは変わってきます。「あ~ぁ、探してみましたが、ここにある分が最後のようですね。申し訳ないです」などと言われれば、「探してくれたけど、簡単に見つからないし、セールなのだから、好みの色やサイズは残っていないのも当然だな」と諦めもつくし、そのお店に対しても悪い印象を持たずに済みます。


質問された事実に、自分の立場から答えるのではなく、相手の気持ちや希望、期待に寄り添って応対する。結果は同じでも、プロセスが異なり、そのプロセス次第で、お客さんというのは感動したり、満足したり、はたまた、傷ついたり、不満に思ったりする。コミュニケーションというのは、ほんの些細なことで成否が分かれるものなのです。


エンジニアの例です。ユーザの立場の方がこうおっしゃることがあります。

「エンジニアから"無理です、ダメです、できません"と言われるとちょっと悲しくなる」と。

「無理とか、ダメとかではなく、どうすればできるのかを考えてほしい。ITで実現できるかどうかではなく、どうすれば自分がやりたいことが可能になるのか、ということを提案してほしい。抱える問題を理解して、"無理です、ダメです、できません"の代わりに、"こういう方法なら実現しますよ""御社でこういう風に条件を変更してくれれば、可能な方法がありますよ"と言う風に言ってくれたら、嬉しいのに」

「仕様です」にしても同じことで、ユーザ側は「仕様かどうか」だけを尋ねているわけではなく、何かしたいと思って質問しているわけです。だから、「そういう仕様にしてはあるけれど、変更することもできますよ」とか「そういう機能があったら確かに便利ですよね。でも、現時点ではこれが仕様なので、できないのです」という言い方で応じることだってできるはずです。


コミュニケーションにおいては、自分の立場から見た事実だけを伝えればよいのではなく、相手が「望んでいること」をきちんと察知し、相手に寄り添って会話することが大事です。

満足度や信頼関係の決め手は必ずしも「答え」という"結果"にあるのではなく、「自分の気持ちを理解し、一緒に答えを見つけようとしてくれたか」という"プロセス"にも潜んでいるのですね。

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<コミュニケーション関連コース>

■ 効果的コミュニケーションスキル(2012年4月から2日間コースに変更)

■ 要件定義とコミュニケーション
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田中 淳子 (たなか じゅんこ) プロフィール

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

【ブログ】
 ・ITメディア オルタナティブブログ「田中淳子の"大人の学び"支援隊"!」
 ・「ヒューマンスキルの道具箱」
【著書】
  『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』
  『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
  『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

【対談連載】
  ITpro ヒューマンスキル特別対談 田中淳子×芦屋広太
  『行き詰まり感』を打開するコツ
【連載】
  ITPro ヒューマンスキル往復書簡 田中淳子←→芦屋広太

[コミュニケーション][2012年1月24日配信]

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