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わくわくヒューマンスキルコラム
第58回: チームビルディング
執筆:飯嶋 秀行

 4年に一度のサッカーの祭典、ワールドカップが終わりました。サッカーに詳しい方も多いことと思いますが、私はサッカーをあまり観ることがないため、ルールについてもそれほど詳しくありません。そんなサッカー素人の私でも、ワールドカップの日本代表戦だけは、眠たい目をこすって一生懸命応援しました。惜しくも、日本はベスト8を達成できませんでしたが、帰国した日本代表に対する新聞記事のコメントには、「日本チームが一丸となれた」「良いチームワークが発揮されていた」という記述が目立ちました。


 帰国した選手からも「このメンバやスタッフと一緒にもっと試合をしたかった。チームが解散するのは本当にさみしい」「このチームでもっと戦いたかった、充実した日々だった」「このチームならもっと成長できた」といったコメントが多く聞かれました。


 一方、過去に優勝経験もある強豪フランスチームは、主力選手が監督への暴言で追放され、反発した他の選手は練習を放棄する、など混乱が続き、最後まで監督と選手の溝が埋まらずチームが崩壊してしまったとの記事もありました。

「チームワークが発揮され、力を出し切れたチーム」と「チームが崩壊し、本来の力を出せなかったチーム」の違いはどこにあるのでしょうか?サッカーの技術的な解説は専門家にお任せするとして、ここでは、良いチームを作るためのチームビルディングという観点から考えてみましょう。


 チームビルディングとは、メンバ全員が信頼関係を構築し、コミュニケーションしやすい環境を整え、チームの目標達成に向けて協働(コラボレート)する意欲を高めていく一連のプロセスを指します。


 日本代表チームは、ワールドカップの予選突破、決勝トーナメント進出、ベスト16進出と、目標のレベルを上げつつ、合宿を重ね、寝食を共にしながら練習試合を繰り返し、チームの結束を図っていきました。時間をかけてチーム作りをしたのです。チームには、各クラブチームから優秀な選手が選抜されていますが、最初から今回のような素晴らしいチームだったわけではありません。ワールドカップ本大会直前の強化試合では負けが続き、チームの雰囲気も良いものではなかったと言われています。

 チームの成長過程には、後から振り返った時に「あの出来事があったからチームが一つになれた」、「あの体験があったからこそ、全員のチームワークが発揮できるようになったと」という場面があります。


 今回の日本チームの場合は、大会直前のスイス合宿で行われた選手だけでのミーティングがその転換点になったようです。


 強化試合が負け続きとなり、結果が出せないチームは、主力選手の入れ替えを行い、戦い方を大きく変えました。チームに訪れたこの大きな変化を乗り越えるために、選手主体のミーティングが自発的に開かれました。守備の役割を担う選手と、攻撃の役割を担う選手との間で、これまでの負け試合でお互いが感じていた違和感、不満をぶつけ合い、本音での激しい話し合いがあったようです。


 「このままの状態では、チームが掲げた高い目標はとうてい達成できない」チームの目標と現状との大きなギャップを全員が率直に認め、チームに危機感が生まれました。「ギャップを埋めるためには、従来のやり方に固執することなく、新しいやり方を試してみよう」「チームの勝利のために、全員ができることを全力でやろう」「今の自分達にできる、泥臭いサッカーをしよう」---。リーダーシップを発揮した選手のこういった発言がチームの結束を高めることにつながったのです。


 さて、皆さんが所属しているチームでは、チームワークが発揮できる状態を作るために、どのような工夫をしていますか?

 

 ・チームの目標達成に向かってメンバ全員の方向性は合っていますか?

 ・チーム内に本音で意見交換できる、発言しやすい雰囲気がありますか?

 ・目標と現状のギャップをメンバ全員が認識し、問題意識が共有されていますか?

 ・自分の担当業務だけでなく、他のメンバをサポートして協働していこうという雰囲気が
  ありますか?
 

もし、チームとしてのパフォーマンスが十分に発揮されていないと感じているのであれば、チームビルディングに取り組む必要があります。一からチームを作っていく場面ではもちろん、既に動き出しているチームを再構築して活性化するためにもチームビルディングの考え方は役に立ちます。

 

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効果的なチームビルディングの考え方や手順については、次のコースで取り扱っています。

・マネジメントとリーダーシップ (HSC0047G)


・チームワークとリーダーシップ (ON026)

   



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。


[チームワーク][2010年7月16日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第57回: マネージャとビジョン
執筆:高橋 俊樹 (たかはし としき)

「あなたは自分のチームを3年後、5年後にどうしたいのか?」

 

これは、数年前に経営層から、マネージャである私に投げかけられた言葉です。長い視点でどのように自分のグループのビジョンを捉えているのか、その質問に筋道立てて颯爽と答えられたら良かったのですが・・・

 

正直に告白すると、即答することができませんでした。理由は「時間が足りず、じっくりと考えたことがなかった」からです。

 

当時はプレイングマネージャとして、プレイヤーで動く割合が大半を占めていました。そのために、オフィスよりも社外にいる時間が多く、オフィスにいられる時は、関連部署からの問い合わせや依頼の対応に追われていました。業績に直結する短期的な案件や業務に忙殺されていたのです。他にもビジョンを考えていなかった理由は、いくらでも挙げることができます。しかし、これ以上は言い訳になりそうなので話を先に進めます。


        
「ビジョン」と言う言葉を聞くと、わかったような、わからないような曖昧模糊(あいまいもこ)としたイメージを持ちます。「ビジョン=将来の見通し」のように一般的な解釈で捉えると、将来の見通しが立ちにくいが故に、余計にわかりにくいイメージを言葉から感じさせるのかもしれません。

 

ビジネスにおけるビジョンとは、広い意味で「チーム(組織)活動の中心となるような、方向性を示した指針」を指しています。その中には、チームの目的(Why)、チームが目指すあるべき姿(What)、チームの価値観や行動指針(How)が含まれます。皆さんの会社でも、企業ビジョンをWebや社内の掲示物など、何かしらの媒体で確認できるはずです。

 

企業ビジョンは、抽象的な言葉で表されていることが一般的です。そのため、企業ビジョンを実現させるには、組織を構成している個々のチームが、ビジョンをきちんと持つ必要があります。なぜなら、実際に組織を動かしているのが個々のチームである以上、上位ビジョンからブレークダウンされたチーム単位でのビジョンも必要不可欠だからです。

 

チーム単位のビジョンとは、『なぜ?なんのために?どのように?』が具体的に明文化された「拠り所」のようなものです。そして、チームメンバの「拠り所」となるビジョンに求められるのは、「ビジョンが具体的であること」と「ビジョンに対してメンバの共感を得ていること」です。

曖昧なビジョンでは、メンバがどのような行動を取ればいいのかがわからず、自分の業務に活かすことができません。明確なビジョンを持つことで、メンバが行動に移しやすくなります。また、メンバがビジョンに共感していれば、より納得感も高まります。その結果、ビジョンが実現しやすくなるのです。

 

ビジョンを効果的なチームの「拠り所」にするためのポイントをまとめます。


● 上位のビジョンや目標(企業ビジョン、部門ビジョンなど)と連動している
● ビジョンから落とし込まれたチームの価値観や行動指針が具体的である
● ビジョン作りにメンバを巻き込んで共感、コンセンサスを得ている

 

多忙を極める日々の業務の中で、じっくりとビジョンに向き合う時間を捻出するのは難しいと思います。しかし、マネージャ自身が、率先垂範でプレイヤーとしての役割を頑張ったところで挙げられる成果は限られています。チームが一丸となって目標に向かうためにも、チームの「拠り所」となるビジョンは、マネージャが時間をかけてじっくりと考え、メンバと作りこんでいくべき物なのです。

 

「皆さんは、所属するチームの3年後、5年後の明確なビジョンをどのようにお考えですか?」

 

忙しいから大きな絵がかけないのではなく、
     大きな絵がないから、やたら忙しく感じてしまうのである
                J・コッター

 

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以下のようなコースで、ビジョンやリーダーシップを体験的に学ぶことができます。

マネジメントとリーダーシップ~マネージャの役割を知り、チームのパフォーマンスを高める~

チームワークとリーダーシップ~中堅社員のためのよいチーム作りとリーダーシップ・スキル~

 


高橋 俊樹  (たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、2001年より現職。ヒューマン・スキルグループのマネージャ兼講師として人材育成支援に当たっている。2007年3月~2010年4月まで日経BP、Selfupで「コミュニケーション・スキル講座」を連載。

 

[リーダーシップ][2010年6月17日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第56回: 善意の無関心
執筆:田中 淳子 (たなか じゅんこ)

昨年、私の両親に初孫が誕生し、私にとっては甥っ子が出来ました。彼のパパ・ママ(=実妹)は最初から周囲を上手に巻き込み、おかげで私はこの年になっておむつ替えやらミルク作りやら離乳食作りやらを初めて体験することとなりました。核家族の子育てでは、いかに上手に周囲の協力を得るかがポイントなのだと肌で感じているところです。


さて、多くの企業で、先輩社員が1対1で新入社員の指導に当たるという「OJT担当者」制度を設けています。一般的に、20-30代の若手・中堅社員層がOJT担当者に任命されます。「新入社員のOJT担当を任されて大変だ」と最初はプレッシャーに感じる方は多いものの、任期が終了する頃になれば、誰もが「新入社員を育てる」ことで「自分も成長できた」と気づくことになります。新入社員と指導する先輩の双方にとって、「学びと成長」に役立つのが「OJT制度」なのです。


ただし、「OJTの制度化」には必ずと言っていいほどついて回る問題があります。新入社員に対し1対1で先輩が指導に当たるこの制度、周囲からは「彼・彼女<だけ>が指導に当たる」という誤解を招きやすいのです。「彼・彼女を指導する上での第一担当者に任命した」だけであって、他の先輩達が何もしなくてよいわけでも、してはいけないわけでもないのにも関わらず、「担当者がいるなら、私たちが口出しすることもない」と周囲の先輩達は新入社員の指導を傍観するようになってしまいます。


「新入社員に先輩をつけて1年間指導させることにしたので、新入社員の成長は著しいんです。でも、他のメンバが何も手伝ってやらないという副作用が出てしまうのが問題です。それで、OJT担当者が孤立するんですよね」

こういった悩みを様々な企業で耳にします。


「周囲が手助けしてくれない現象」を私は「善意の無関心」と呼んでいます。OJT担当者からすると、「周囲の他のメンバが育成を手伝ってくれない」と不満が溜まるのですが、手伝わない他の先輩達に悪意はありません。むしろ「折角彼・彼女が指導しているのだから、私が余計なことを言ってはいけないのではないか」「彼・彼女の考えもあるだろうから、ここは黙って見守ることにしよう」という善意から手出しをしないのです。OJT担当者に何もかも押し付けようと考えているのではなく、手を、口を出しては失礼だろう、という善意に基づく「無関心」がOJT担当者の孤立を生んでしまっています。


「善意の無関心」を解消するにはどうすればよいのか。具体的な対応策をご紹介します。


1.OJTに関するキックオフミーティングを開き、「育成は全員で当たる」ことを所属長から述べてもらう

所属長の一言は大きな影響力を持ちます。「OJT担当者として○○さんが任命されていますが、一人で何もかもできるわけではありませんし、する必要もありません。皆もこの職場全体にとっての新入社員だと意識して、指導に協力するように」というメッセージを伝えることが肝要です。


2.他の先輩達に「何をどう手伝ってほしいか」を具体的なタスクとして依頼する

「新入社員の育成を手伝ってください」よりも、「新入社員が作った議事録を査読して、フィードバックしてもらえませんか?」と具体的に「何をどうしてほしいか」伝えます。漠然と「手伝って」と言われるよりも「これをして欲しい」とタスクとして依頼されるほうが手伝いやすいのです。


3.新入社員に「OJT担当者」は私だが、チーム全員で指導に当たることを伝える

実は、担当者を専任すると新入社員側にも「OJT担当者以外の言葉に耳を傾けなくなる」可能性が出てきます。「これはダメだよ」と周囲の先輩が注意してくれたのに、「OJT担当者」以外に注意されたから関係ないと思ってしまうのです。そうならないために、あらかじめ、新入社員側の意識付けしておくことも重要です。


我が妹は、甥っ子が退院してくる前に「みんな遠慮せずどんどん手伝ってね!」と宣言しました。彼らはしばらく実家に滞在していたので、私もしょっちゅう実家に立ち寄り、子育てに参加しました。「抱っこしたい人~」と妹に声をかけられるや、母や私がいそいそと赤ん坊に走り寄り、われ先にと抱っこし、おむつを替えて、いつの間にか、全員で取り組むムードが出来上がりました。おかげで私たち身内に「人見知り」をすることなく、すくすく育っています。「子育ては全員で当たる」ことが自然と伝わっているのでしょう。

 

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以下のようなコースで、OJTに関して体験的に学ぶことができます。

「後輩の教え方育て方 ~OJTの効果的な進め方とスキル~」(HS0073CG)


「OJT担当者向けワークショップ ~指導計画作りからコーチングまで~」(HSC0037G)


「OJT担当者上司向けセミナー ~OJT担当者の支援と部下のコーチング~」(HS0057CG)

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 

【Twitter開始】 
「田中淳子のTwitter」 

 


[後輩指導・OJT][2010年5月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第55回: 新年度に思うこと
執筆:酒井 陽介

 春を迎え、入社や転勤、異動など新しい環境で新しい生活をスタートされる方も多いことでしょう。期待に胸がふくらむ一方で、そこでうまく仕事ができるか?よい人間関係が形成されるか?など、誰しも不安な面もあるはずです。

 

 私は以前、流通業界で仕事をしていました。入社してから転職するまでの8年間、7度異動を経験しその都度、ハラハラ・ドキドキしていたことを思い出します。

 

 異動は自分のキャリアアップのチャンスでもありましたが、それに伴う悩みも発生しました。これまで築いた人脈は途絶えてしまい、次に担当する売場ではどのように仕事をするか?予算をどのように達成させるか?そのために必要な商品をどのようにしてお取引先から供給してもらうか?といった事で頭を抱えていました。

 

 そんな中で、私がいつも一番に考えていたことがあります。それはどこの職場へ配属されても「早くみんなに好かれよう!」ということです。業界の特性上、正社員をはじめ契約社員、アルバイト、パート、そしてお取引先からの派遣社員といった雇用形態の異なるスタッフといつも一緒に仕事をしていました。そのため周囲のメンバーと円滑に業務へ取り組み、効果的なマネジメントをするにあたって何よりも良好なコミュニケーションが必要でした。

 

 そこで考え対応した方法が3つあります。

 

 まず「挨拶」です。「おはようございます」「お疲れ様でした」など、どんな相手にも明るく元気に大きな声で挨拶しました。相手の名前やバックグランドが分からなくても自分が意識さえすればすぐに出来るコミュニケーションの第一歩だと考えたからです。

 

 次に取り組んだのは「伝え方」です。相手のメッセージに対し、自分が「理解した」「納得した」という意思表示を、言葉に加えて、顔の表情や声の大きさといった誰が見てもわかりやすい態度をとることで表現しました。

 

 そして、最も徹底したのはコミュニケーションをとる相手の話を上手に聴くことです。会議やミーティングの場で、相手の要望を十分に聴き、自分のアイデアを無理に押し通すことは避けました。部下や後輩といったスタッフからの相談事も自分の意見や考えを伝える前に、相手の話をよく聴くように努力しました。

 

 3つの工夫のおかげかどの職場でも比較的早く、環境に慣れ、顧客作りやメンバーとの関係構築に成果を上げることができました。

 

 今はその時の経験も活かし、コミュニケーション・スキルのコースを担当しています。

 

 毎回多くの方がコースを受講されます。年齢や役職に偏りはなく、いろいろな方がお見えになります。私はコースの初日に必ず「どうしてこのコースを受講しようと考えたのですか?」「受講してどのようになりたいですか?」と伺います。

 

 その問いに対して多くの方が「周囲と良好なコミュニケーションをとれるようになりたい」「お取引先の関係者とストレスなく会話をしたい」「自分の考えを上手く伝えられるようになりたい」とお答えになります。

 

 私自身の経験と重ね合わせて考え、業界や環境が違っても「他者と良好なコミュニケーションをとりたい」と思う課題は皆、同じなのだと感じています。

 

 コミュニケーションという言葉を耳にすると「気の利いたことを話そう」「相手をどうやって説得しよう」とすぐに考えてしまうかもしれません。でも、実はそんなに難しく考える必要はないのです。コミュニケーションは話の中身に関心を持つことも大事ですが、まずは相手の「話したい」「聞いてもらいたい」という気持ちに耳を傾けることから始まります。挨拶を交わし、話に耳を傾け、そして内容や感情に理解を示します。それだけでもコミュニケーションは十分にとれるようになります。

 

 皆さんは「新年度」と聞いてどんなことを思い浮かべますか?新しい環境でスタートする方に限らず、普段、何気なく行っているコミュニケーションを今一度チェックしてみるのはいかがでしょう。

 

「効果的コミュニケーション・スキル
 ~ 効果的な説得、交渉へと導く対人コミュニケーション ~」

 


 酒井陽介(さかい ようすけ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育トレーナー

1998年、都内の百貨店に就職し、販売職およびマネジメント職を担当。その後、インターネットリサーチ会社にて営業組織内の教育制度の立案・構築や、中途・新卒入社社員に対する研修の実施を経て2009年より現職。

コミュニケーション、プレゼンテーションなどヒューマンスキル研修の実施に当たっている。

 


[コミュニケーション][2010年4月20日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第54回: 他者の学習を支援していますか?
執筆:岩淺 こまき

 受講者の方と話していると、勉強になることや感動することが沢山あります。最近では、若手社員の方が受講後におっしゃったことが印象に残っています。


 「練習し続けることで、ヒューマン・スキルは向上することがわかりました。でも、自分一人で練習するのはめげそうなので、以前同じ研修を受講した人とチームを作って、一緒に練習しようと思います」とても意欲的な発言で、応援したい気持ちが湧きました。


 と同時に、私は少しだけ寂しい気持ちになりました。というのは、チームを作ろうと思った理由を聞いたからです。「以前研修で学んだスキルを社内で試した時に、否定されたことがあったから。邪魔されない勉強会を作って練習したい」そうおっしゃったのです。


「上司や同僚から否定や駄目出しが多く、社内でスキルを使いづらい。練習する気を無くしてしまう」


 実は、同じ意味合いの話を受講者の方からたびたび耳にします。例えば、研修受講後に普段より意識して相手の話を聴く態度をとると、「急に変わろうとしてヘンだよね」と笑われる。受講後に提出した報告書の内容を上司にきちんと読んでもらえない。仮に報告書を読んで「いいね、部内で実践してよ」と応援してくれたとしても、いざ試したり勉強会を企画したりすると「そんなのいいから、仕事して」と駄目出しをされる、など・・・。せっかく試そう、より良くしようと思ってとった行動を、周囲に否定されてしまう。そんな中で、受講後の高い意欲を忘れてしまうのです。


 こういう時に「意識して使っているんだね」と受け止めてもらえたら、続ける意欲が沸いてきます。同僚が研修を受講してきたら、「どのようなことを学んできたの?」と質問したり、「それは自分達の業務だったら、どのあたりで活用できそうなの?」など学んだスキルを教えてもらったりする。人は教えることで、理解が一層深まります。


 先輩や上司が研修を受講した後にも、様々な支援ができます。上司が、今まで行っていなかった「承認(相手の存在を認める言動)」をしたとしましょう。恐らく慣れていないから、たどたどしい承認です。あなたは内心、「研修後だからって張り切っちゃって」とか、「いつまで続くんだろう」などと、思うかもしれません。いつまで続くかは、ここでの周囲のみなさんの反応に左右されます。冷ややかな表情や態度が出ると、上司は一回でやめてしまうかもしれません。「認めてもらえて、恥ずかしいけど嬉しいです」など、まずは受け止め、具体的に感じた点をフィードバックすれば、上司は自信がつき、承認の行動を続けようという気持ちになります。研修の効果は、受講後のフォローに大きく影響されるものなのです。


 4月には新入社員が入ってきます。緊張しながらも、新入社員研修で学んだことを使って頑張ろう、と意識している人ばかりです。相手が意識的に練習しているなと感じた場合は、先輩社員であるみなさんから、「今の説明は、簡潔だったので理解しやすかったよ」とか「はじめに何を説明するか簡単にポイントを言うとわかりやすいよ」など、適切にフィードバックをすると、新入社員のスキル向上を支援できます。


 スキルは繰り返し練習する中で定着します。良い行動を定着させるためには、「スキルの練習を受け止めてくれる場」が欠かせません。周囲のみなさんからの影響は、とても大きいものなのです。

「効果的コミュニケーション・スキル
 ~ 効果的な説得、交渉へと導く対人コミュニケーション ~」

「プレゼンテーション・スキル実践演習
 ~説明力を身につけ、説得力あるビジネスパーソンになる~」



岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、コミュニケーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。


 

[コミュニケーション][2010年3月23日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第53回:一貫したメッセージ
執筆:森 美緒

 会社帰りに、私はいつも乗換駅に隣接したストアで夕食の買い物をしています。
そのストアの入り口から生鮮売り場までの通路にその惣菜店はあります。
サラダ類を中心に扱う店で、量り売り形式です。店員に欲しい惣菜名とグラム数を伝え、店員はプラスチック容器にその量の惣菜を入れて、販売します。
店員にはショーケース越しに接客をする人と、店頭から少し奥に入った厨房で新しい惣菜を作っている人がいます。


 ある時、仕事帰りの買い物客がごった返す中で、接客の順番を待っていると、厨房で惣菜作りをしていた店員が、小走りに出てきて「お待たせしました。ご注文をどうぞ」と笑顔で接客を始めてくれたのです。
些細なことかもしれません。でも、調理をしながら、表の様子も見ている視野の広さや、自分の役割に固執せずに接客できる柔軟性は「すごい」と思いました。
それからというもの、その惣菜店の接客に注目をするようになりました。


 毎日のように観察していると、ほかにも色々な事例を目にすることができます。例えば、接客担当者全員が接客を始めると、待っている客がいなくとも厨房から1人は店頭に出てきて「お待ちの方はいらっしゃいませんか?」「いらっしゃいませ」と買い物客に声をかけています。時には接客担当が惣菜作りの作業を手伝う場面も見かけました。どの例からもチームワークに柔軟性がある様子が確認できます。


 注目し始めて1年が経った頃、店の教育がその「すごさ」を生み出していることに気づきました。
この惣菜店では新米店員が一人前の店員になるまでの間、先輩たちが一貫して同じメッセージを発し続けます。
 新米店員は(実習中のバッチをつけているのですぐに分かります)、店に立ち始めてしばらくは、自分の役割をこなすのに必死になっています。お客の指定したグラム数ぴったりに惣菜を量るのに時間がかかり、包装に手間取り、レジでクレジットカード決済の方法が分からない。そのたびに、先輩店員は、「早くできなくても良い、でもお客様を待たせたらだめですよ!」と言います。一見矛盾したメッセージですが、数日経つと、新米店員はレジで困ったら先輩店員に「あちらのお客様分です。レジお願いします」と言ってレジを代わってもらい、自分は次の接客に向かうようになります。
実習中のバッチが取れる頃、自分の役割をこなせるようになった新米店員は、今度は「自分のことだけ早くても、お客様を待たせたらだめですよ!」と注意を受けるようになります。すると数日後には、店全体を見て「それ、私がします」と動き、お客全体を見て「お待ちの方いらっしゃいませんか」と声を出すようになっています。
その頃には、もうすっかり先輩店員と同等の仕事ぶりです。


 店員の変化を見るたびに、私は一貫したメッセージの大切さを感じます。
先輩店員が伝える「お客様を待たせない」という一貫したメッセージは、そのために何ができるかを考えさせ、先輩は何をしているかを観察させる土壌を作っているからです。量り方が遅いとか、レジが遅いという細かいスキルは経験によって速くなるものです。注意しはじめたらきりがありません。もし仮に、それらのスキルが身に付いたとしても、それだけでチームワークが発揮できるとは限りません。
この惣菜店は、店の目標である「お客様を待たせない」というメッセージを一貫して教えて「チームの力を借りること」「チームに貢献できることを自分で探すこと」を店員に浸透させています。


 新入社員の育成担当者を対象にしたOJT研修を行うと、どうすれば後輩に上手く業務を教えられるか、どのように後輩の話を聴けばよいかなどに、多くの関心が寄せられているように感じます。もちろん、業務の教え方や接し方も大切です。ただ、知識やスキル以上に、教えるべき大切なメッセージがあるのではないでしょうか。
それは、「チームの目指すもの」や、「自分たちのあるべき姿」です。


 新入社員だった頃、私は先輩社員から「仕事というものは」「我々営業は」と何度も同じ話を聴きました。現在、私の仕事への取り組み方の根底にはその時に先輩からもらったメッセージがあります。あの頃は内心、「またその話か、精神論はもう良いから、細かいテクニックを教えて欲しい」と思ったものです。でも今は、大切なことを教えてもらっていたのだと、とても感謝しています。


 皆さんには、会社として、チームとしての一貫したメッセージがありますか?
そのメッセージを自分の行動でも示せていますか?
まもなく新入社員が入社します。先輩としての自分の姿を見直し、後輩を迎える準備をするのにとても良い時期ではないでしょうか。

 

 

・後輩の教え方育て方 ~OJTの効果的な進め方とスキル~

・OJT担当者向けワークショップ ~指導計画作りからコーチングまで~



森美緒

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。 1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。 2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

 

2008年12月より2010年1月まで、翔泳社webマガジンEnterprisezinにて「新入社員が育つ!現場のための教育実践マニュアル」 連載。 2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。


[後輩指導・OJT][2010年2月23日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第52回:望ましい行動を継続するコツ
執筆:飯嶋 秀行

 あるパン屋で、顧客にポイントカードを渡していました。名刺サイズの紙のカードに10個のマス目があって、買い物をするたびに、店員がスタンプ押してくれます。スタンプが10個貯まると、次回のパンを買うときに、割引の得点があります。

 その店の近くには、他にもパン屋が何軒かありますが、そのポイントカードの特典があることで、私は毎回その店で買うようになりました。ポイントカードの存在は、そのお店でパンを購入するという行動を継続させるのに効果がありました。


 ところが、ある時から、そのパン屋のポイントカードシステムが変わりました。紙のカードにスタンプを押すやリ方から、磁気カードにデータとしてポイントを書き込む形式になりました。

 貯めたポイントの特典も変わりました。カラー印刷した立派なパンフレットが作られて貯めたポイントの数に応じて、交換できる景品の写真が紹介されています。例えば、500点ならお皿のセット、1000点ならコーヒーカップのセット、2000点なら調理用の鍋という具合です。

 お店としては、好評だったポイントカードを発展させて、磁気カードシステムも導入し、豪華な景品と交換できるようにすることで、より一層、売上を伸ばしたかったようです。

 しかし、残念ながら、このシステムの変更によって、このパン屋で、買い物することが少なくなりました。
 パンフレットに載っている景品は、私にとって、あまり欲しいと思えるものではありませんでした。何よりも、ポイントを500点貯めるのに、あと何ヶ月かかるのか想像できませんでした。そんな遠い先のことを楽しみにしてパンを買うことは考えられなかったのです。
 
 紙のポイントカードの時は、自分にとってのメリットがイメージしやすいと感じました。買い物をしたその場で、自分のポイントが貯まるのが、スタンプの数で確認できるし、だいたい5回ぐらい買い物に来れば、10個のスタンプはすぐに貯まるので、次の買い物の時には、割引で買い物ができます。ポイントを使える日は、いつもよりちょっとだけ贅沢して高級なパンを選ぶことができました。


 さて、新しい年がスタートして、約1ヶ月が過ぎました。年の始めは新しい目標を立てた方も多いのではないでしょうか。真新しい手帳に、今年こそは、○○を達成するぞ、○○に合格するぞ、などと、達成したい目標も書き出した方もいるでしょう。
 みなさんに質問です。その目標を達成するために必要な行動を始めていますか?そして、その行動は今でも継続できていますか?

 目標を立てた直後は、やる気もあり、必ず実行するぞと思っているのですが、いざ行動を始めようとするとハードルが高く、ようやく始めた行動を継続するのはさらに難しく感じます。


 目標を達成するための行動を継続するには、
①その目標を達成することで最終的に得られるメリットを具体的にイメージすること
②その行動が継続できていることが、目で見てわかるような仕組みを作ること
③行動が継続すると自分にとって良いこと、うれしいことが起きるような仕掛けを考えることがポイントです。


 例えば、自分のスキルアップのために、資格試験にチャレンジする場合で、毎日コンスタントに、1時間以上の勉強時間を確保する必要があるとします。
 その資格に合格すると、自分にとってどんなメリットが得られるのか、具体的な変化を書き出してみると、「イメージしやすく」なります。
 カレンダーに確保できた勉強時間を目に見える形で記録していくことで継続しやすくなります。自分の好きな色で塗りつぶすとか、シールを貼るとか、「目でみてわかる仕組み」があると効果的です。
 できれば、家族や友人に、勉強を継続するためのサポーター役をお願いできるとさらに効果があります。勉強時間を記録したカレンダーを一緒に見てもらって、ちゃんと継続できている場合は、ご褒美のシールを貼ってもらうとか、言葉で褒めてもらえるとか、継続していくと「うれしいことが起きる仕掛け」を作っておきます。
 行動によって得られるメリットを具体的にイメージした上で、継続していることが目でみてわかり、行動の直後にうれしいことが起きる仕掛けを作ることで、望ましい行動を継続しやすくなります。



自分でどうなりたいかのゴールを決めて、小さな目標も立て、達成度合いを自分で確認しながら進めていく方法については、新設「自律と成長の心理学」のコースで詳しく扱っています。


 「自律と成長の心理学」(HSC0048G)
 
 「ビジネス・コーチング」(HSC0039G)
 
 「マネジメント・コーチング」(HSC0040G)
 



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。


[モチベーション][2010年1月26日配信]

    

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