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わくわくヒューマンスキルコラム
第51回:緊張への対処法
執筆:高橋 俊樹

「どうしよう、なんか緊張する」
「のどがとても渇くんですよね」
「ちょっとお手洗いに行ってきます」
「上手く行くかどうか不安で・・・」

 

このセリフ、私達インストラクターがコース開始直前にオフィスで同僚と交わしている会話の一例です。これをご覧になった皆さんは、まだ講師経験が少ない講師同士の会話だろうと思ったかもしれませんが、実は全員ベテランの講師なのです。

 

皆さんも仕事を進めていく中で、緊張してしまう場面がたくさんあることでしょう。お客様先での大掛かりな提案やプレゼンテーション、社内での大勢が参加する会議や勉強会での発表。プライベートでは知人の結婚式で依頼されたスピーチなど。

そのような場面で、「緊張しなければいいのに」「自分は必要以上に緊張して困ってしまう」と言う方も多いと思います。そして緊張した結果、以下のようなことが起こりがちです。

 

 ・ 一番言いたいことを忘れてしまった
 ・ 聞き手の反応を見ることができず、資料ばかり見てしまった
 ・ 話し方がたどたどしくなり自分でも何を言っているのか分からなくなってしまった

 

私達が開催していているプレゼンテーション・スキルの研修を受講される方もほとんどが、上記のような悩みを持っています。「どうすれば緊張しないで済むのか、その方法を知りたい」とおっしゃっています。緊張しないで済めば、提案も落ち着いてできるでしょうし、大勢の前で自分の言いたいことを漏らさずに伝えることもできるからです。

 

受講された方に、緊張に対してどのようにしているのかを尋ねると、様々な工夫をされているようです。

 

 ・ 手のひらに人と書いて飲み込む(おまじない系)
 ・ 深呼吸をする(リラクゼーション系)
 ・ 喝を入れてもらう(気合系!)

 

これらも確かに効果的です。しかし、問題は「緊張」をしてはいけないもの、悪いものと考えて「なくそう」としていることにあります。大切な考え方は「緊張はなくすものではなくコントロールするもの」だと言うことです。

 

大勢の前でも落ち着いて話している人を見ると驚かれるかも知れませんが、話し慣れている人でも緊張は大なり小なりするものなのです。慣れていない人との一番の違いは、緊張をコントロールできるか、できないかと言う点です。

 

ではどのようにしたらコントロールできるのでしょうか?ポイントは2つあります。

 

まず1点目は「緊張」の捉え方です。そもそも緊張すること自体は悪いことではありません。緊張するのは、「うまくやりたい」「成功させたい」などの気持ちがあるからこそ、生じるものです。ですから、自分が緊張しているなと感じたら、「なくそう」と捉えるではなく「緊張しているってことはちゃんとうまくやりたいと思う気持ちの表われなんだ!」と捉えることが大切です。

 

2点目は自分にとっての緊張の原因を明らかにして本番でのリスクを軽減できるような対策を講じることです。例えば、分からないことを聞かれたらどうしようということが緊張の原因なら、出来る限りの想定される質問をあげて練習することも大切です。うまく話せないことが原因なら、何度もリハーサルを重ねることで不安の要因を減らすことができます。ただ漠然と「緊張してしまう!どうしよう?」と思うのではなく、自分は「何に対して緊張するのか」という視点で原因を考えてみましょう。

 

上記2点に加えて、あとはできるだけ場数をこなすことです。大勢の前で話すチャンスがあったら「自分は緊張するとうまく話せないので遠慮します・・・」と断るのではなく、積極的に買って出て、緊張の場面をたくさん経験するとコントロールする術も身に付きます。経験を積むことで最初はできなかったことも徐々に慣れてきてできるようになります。千里の道も一歩からと言われるように諦めずに経験を積み重ねて行くことが大事です。


「プレゼンテーション・スキル実践演習 ~説明力を身につけ、説得力あるビジネスパーソンになる~

「プレゼンテーション・スキル 企画・作成編 ~ロジカルな構成と説得力ある資料作成~

「プレゼンテーション・スキル 実施編 ~わかりやすい話し方と相手を動かす説明力~


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実はこれを書いているのは今年最後の研修の前日です。すでに緊張でドキドキして冒頭のようなセリフを私も周囲につぶやいています。しかし、この緊張を上手にコントロールしてお客様の期待に応えられる研修になるように準備をして今年を締めくくりたいと思います!

尚、少し早いご挨拶になりますが、この「わくわくヒューマン・スキル」コラムをお読みくださっている皆様、ありがとうございました。また来年も「わくわくヒューマン・スキル」コラムをどうぞよろしくお願いいたします。

 


高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、2001年より現職。プレゼンテーション、ネゴシエーション、コーチングなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。
ITpro skillup 2007年3月より連載中「コミュニケーション・スキル講座」


[プレゼンテーション][2009年12月18日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第50回:互いによく知ること
執筆:田中 淳子

「マンションにおける騒音問題を解決する試み」を取材した番組をTVで見たことがあります。ある老夫婦の真上の階に小さい男の子2人が住んでいて、夜毎ほぼ決まった時刻に「ばたばた」と走り回る音が気になって仕方ない。そろそろ寝ようかという時間に天井から聞こえてくる足音にいらいらしてしまう。そういった苦情を受け取ったマンションの管理組合が問題を解決する過程を紹介していました。


普通に考えると、「上の階の人は物音をしないよう気をつけましょう」「防音のシートを敷きましょう」といった「対処療法」を取ることになりそうですが、このマンションでは、この難問を別の方法で解決しました。


まず、住民揃っての餅つき大会といったイベントを開き、お互いの顔を見て、直接語り、知り合う機会を設けました。件の老夫婦と幼児2人の家族もここで初めて顔を合わせました。老夫婦にとって子どもたちの無邪気な様子はかわいらしく、子どもたちにとって老夫婦は離れて住む自分たちのおじいちゃん・おばあちゃんのような気持ちがしてなついていきます。


このイベントがきっかけとなり、2家族間で交流が始まりました。互いにお土産を持って行ったり、家に上がり、お茶を飲んだりするようになっていきます。


相変わらず、子どもたちの夜毎の「ばたばた」は続いているものの、老夫婦はこの足音が気にならなくなったばかりか、「おお、今日も元気に走り回っているな」と天井を見上げてほほえましくさえ感じるようになりました。決まった時間に足音が聞こえてこない日は「病気でもしているのだろうか?明日様子を聞いてみよう」などとかえって心配するまでになったのです。


このマンションでの問題解決の方法は、「コミュニケーション」のあり方の大きなヒントを与えてくれます。


コミュニケーションというと、「どう聞くか」「どう伝えるか」「どう表現するか」「どう食い違いを解消するか」といった相手との"やり取り"の部分につい目が向き勝ちになります。しかし、同じことを聞いても、同じことを伝えても、解釈の仕方が異なる場合があり、多くの場合それは、相手をよく知っているかどうかに左右されてしまいます。


人は、相手の人となりや置かれた状況を知らなければ、その人の行動を好意的に解釈するのは難しくなります。一方で、相手の人となりや置かれた状況をよく知っていれば、その人の行動を好意的に解釈することができるようになるものです。


私もこんな経験をしたことがあります。


ある人から上司に関する相談を受けました。「課長にメールで報告や問い合わせをしてもめったに返事をくれない。私のメールなんか見ていないのかも。見ていても面倒だから返事をしないのかな。」


この上司の人柄も、当時の仕事状況もよく知っていた私は、「そういうことではないと思うよ。今、彼は非常に忙しくて、読んではいるけど返事する余裕がないんじゃないかなぁ。」と伝えました。「あ、そういうことか。」と彼女も納得していました。


どう聞くか、どう話すか以前に、相手をよく知る。自分をよく知ってもらう。「顔を知っている」と「どういう人か知っている」という両方の面で。この二つを実現するには、対面して直接会話をするといったアナログなコミュニケーションが欠かせません。


ずっとメールでのやり取りだけを続けていた離れた事業所同士の人がある時出張で顔を合わせたところ、「いつもメール送ってくる人はあなただったんですね」「今日は直接顔を見て話すことができてよかった」と互いに安心できた。顔と人となりがわかったことで、再びメールでのやり取りだけの関係に戻っても、仕事の依頼や報告がよりスムースになった、という例もあります。


電子メール、インターネットと私達の周りにはデジタルなコミュニケーション・ツールがあふれています。これらは速さや正確さ、同報性において便利なものですが、「互いによく知り合う」ことに関しては、今でもやはりアナログのコミュニケーションに軍配が上がります。


 

コミュニケーションにおける「聴き方」「伝え方」「双方の葛藤(対立)の解決方法」などを
演習を通じて学ぶコースです。 
「効果的コミュニケーション・スキル ~ 効果的な説得、交渉へと導く対人コミュニケーション ~」
 

 


田中 淳子 (たなか じゅんこ)

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

 

【ブログ】 
「ヒューマンスキルの道具箱」
 

【著書】
『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

 

【連載中】 
日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

 


[コミュニケーション][2009年11月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第49回:相手の意図、汲んでいますか?
執筆:岩淺 こまき

家族で海外旅行をした際、母の表現力にびっくりしました。日本語が話せない現地の人と英語を話せない母がコミュニケーションをとって、自分(母)の意図を確実に伝えていたからです。

 

母が使うのは身振り手振りのみ。でも、相手に伝わる表現力を発揮していました。
例えば、カフェで。全く日本語の通じない店員に、残ったマフィンを持って帰りたいことを目線だけで表わします。マフィンを指差し、訴えかけるような目で黙って小首をかしげる(「マフィン持って帰りたいなぁ~」のポーズ)。店員は母の意図を察して、持ち帰り用の包装紙を渡してくれました。
さらに、ビーチで。大きく両手で円を描き、日本語で「う・き・わ」と言う(「浮き輪を貸して欲しい」のポーズ)。このときも何度かのやりとりの結果、無事に浮き輪を貸してもらえました。

 

通じない日本語、大雑把なジェスチャー・・、わかりにくい説明といえば、これ以上のことはないかもしれません。なぜ母が自分の意図を相手に伝えることができたのか、私には不思議でした。

 

一生懸命な母の「伝えたい熱意が相手に届いた」という面もありますが、それだけではないと思えます。今回母が結果を出せた一番のポイントは、聞き手側(店員)の「伝えたいことは何か」という相手の意図を汲む意識が高かったことにあると考えています。いくら伝える側(母)に熱意があっても、聞く側(店員)に意識がなければ、母の表現では恐らく意図が伝わらなかったでしょう。仮に店員が「この日本人、何を伝えたいのかさっぱりわからない」「わかるように話して欲しい」と思い、母の意図を汲むことを放棄してしまったら、お互いに不満足な結果になったはずです。

 

仕事でも似たようなことが起こります。例えば、お客様にヒアリングする場合、相手の説明がわかりにくいと、「もう少し考えをまとめて説明してくれたら良いのに・・」「順序立てて説明してくれたら助かる・・・」などと思うことがあります。しかし、たとえわかりにくい説明でも、ヒアリングをする側が意識することで、相手の意図を汲み取ることができます。お客様の話している内容を「お客様のおっしゃりたいことはこういうことですよね」と言い換えて確認したり、疑問点は質問したりするやりとりの中で、お客様の伝えたい意図が明確になっていきます。

 

冒頭の母の例に戻ります。店員は、母の意図を確認するために、何度も母とやりとりをしてくれていました。はじめは母の言葉から自分がわかる日本語がないか注意して聴いていたようです。知っている単語がないとわかると次に、身振り手振りを見て判断をしました。大きく両手で円を描く手振りから、「誰か探しているの?」と質問してきたり、ビーチボールを指し「これですか?」と尋ねたり・・・。そのやりとり中で「母が何を伝えたいのか」を理解し、お互いに満足できる結果につながっていました。

 

母と店員のやりとりから、「何を言っているのかわからない」ではなく、「この人は何を伝えたいのか?」という意識を聞き手が持ってコミュニケーションを取ることの大切さを知った旅行となりました。

 

余談ですが・・・母はこの他にも、色々な店で店員とやり取りをし、都度「あぁ、よかった。伝わったわ~」と満足そうに言っていました。ヘタに文法を考えたり、きちんとした単語を使おうとしたりする私より、良いコミュニケーションをとれていました。なかなか伝わらなくてやりとりが長くなっても、いつもにこにこ笑顔でコミュニケーションをとる母につられて、店員も楽しく気持ちよくコミュニケーションがとれたのかもしれません。
理屈も大切だけれど、その前に笑顔やコミュニケーションをとろうという気持ちが大事なのだな、と母に教えてもらいました。

 


岩淺 こまき (いわあさこまき)
グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育コンサルタント。
1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
プレゼンテーション、コミュニケーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。


 

[コミュニケーション][2009年10月27日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第48回:会話から得られるもの
執筆:森 美緒

「皆さんはどのくらい社内で会話をしていますか?」
「その会話には、業務とは関係がない、雑談に近いような内容も含まれていますか?」


研修中、受講者にこう質問をすると、直面している仕事を進める上で必要最低限の会話しかしないという方が、毎回数名はいらっしゃいます。


その訳を尋ねると「時間がもったいない、忙しい」、「得られるものがない」という理由が多いようです。しかし、業務以外の会話から得られるものは何もないのでしょうか?


ヒューマンスキル研修では受講者が、チーム演習でディスカッションをしたり、お互いの課題を紹介し合ったりと、多くの会話をします。これは、ただ一方的に講義を聞くよりもディスカッションをしてお互いに会話をすることの方がより高い学習効果を得られるからです。


たとえば「コミュニケーションは大切です」という主旨の講義をしたとします。ただ聞くだけですと受講者は「ふーん」「そうだね」と理解するものの、時間ともに記憶は薄れ、数日後には「何が大切だったかな」と忘れてしまう方もいます。


そこで会話が求められるディスカッション形式をとると「現場ではこのスキルをこう使えるかも」「コミュニケーションがうまく行かずにこんなことがあった・・・」と講義と業務を関連付けて経験談を話すことができますし、「正直に言うと苦手な相手とはコミュニケーションしたくない」「忙しいとついキツイ言い方をしてしまっているかも」などそれぞれの受講者の考えを共有することもできます。


講義を聴くだけでなく、相手と会話をすることで「なるほど!」と腹落ちするのです。その結果、講義内容をより深いレベルで理解できるので、高い学習効果が得られるのです。


このように研修では意図的に受講者同士で会話ができるようにしているのですが、受講者の皆さんはしばらくすると、休憩時間にも自然に言葉を交わすようになります。家族のこと、趣味の話などプライベートな内容から、業界のこと、最近の新入社員のことなど業務に関わるものまで、実に多くの会話をしています。


受講後アンケートでは、「内容以外に他の受講者の話が聴けてよかった。」「同じような考えの人がいることが分かってうれしかった」などの声を多数頂戴します。これは講義内容だけでなく、それ以外の会話からも得られたことがたくさんあったのだからだと思います。


さて、冒頭に戻って考えてみると、直面している業務以外の話はあまりしない、というのはもったいないと思えてきます。他社の方との会話がそれほど役立ったと思えるのであれば、社内での会話も同じように意義があるはずだからです。


忙しい中でもちょっとした工夫や気遣いで会話しやすい環境を作ることができるのではないでしょうか。


私の所属するチームのデスク周辺には小さな椅子とテーブルが置いてあります。(お菓子が置いてあるので、仲間内では餌付けーション(Educationのもじりです)センターと呼ばれています。)他チームの人が来ると、まず椅子を薦めてから情報共有や打ち合わせを始めます。


座って落ち着いて会話できるため、業務の会話が終わっても、本来の目的とは関係のない会話を続けることがよくあります。これは一見すると、業務と関係のない会話なので意味がないものにと思われるかも知れません。けれども、その会話から得られるものもたくさんあります。


「営業の視点で言えば・・・」
「SE経験から言うと・・・」
「プロジェクト管理の観点からは・・・」


会話の相手がヒューマンスキルを専門にしていない人だからこそ、私には目から鱗が落ちるような意見を言ってくれることがあります。場合によっては、話が発展して新しい企画やアイディアが生まれます。
さらに、お互いの近況を理解し合うことでねぎらい合えることもあります。皆も頑張っているのだとわかり、自分を奮い立たせるのです。


 このように直面した業務以外の会話から、アイディアが生まれたり、膨らんだり、やる気が刺激されたり、たくさんのものを私たちは得ています。
「会話から得られるもの」それは、協働する醍醐味につながるのだと私には思えるのです。


グローバルナレッジの研修ではチーム演習としてディスカッションを多く取り入れています。会話することが学習効果を高め、学習内容をより実務で活用しやすくします。

・効果的コミュニケーション・スキル
 ~ 効果的な説得、交渉へと導く対人コミュニケーション ~

・チームワークとリーダーシップ
 ~中堅社員のためのよいチーム作りとリーダーシップ・スキル~



森美緒

グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。 1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。 2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

 

2008年12月より翔泳社webマガジンEnterprisezinにて「新入社員が育つ!現場のための教育実践マニュアル」 連載中。 2009年8月よりITproにて「おさえて安心 ビジネスマナー100」連載中。


[コミュニケーション][2009年9月29日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第47回:「効果的な質問で、相手のやる気を引き出す」
執筆:飯嶋 秀行

  知り合いの女性Aさんの体験です。
 同居していた息子一家が転勤で地方へ引っ越すことになりました。
 Aさんにとっては、生まれた時からずっとひとつ屋根の下で暮らしてきた中学生になる孫娘と会えなくなることが、大変残念で、寂しくてなりません。

 

 そんなとき、「離れて暮らしていても、今はメールで簡単にやり取りすることができるわよ」
 たまたま遊びに来ていた同年代の友人が、地方に住んでいる孫から送られた写真付のメールを見せてくれました。

 

 Aさんも携帯電話は持っていましたが、年に何回か外出先から電話する程度で、ほとんどホコリをかぶっている状態でした。
 家族から「メールぐらい打てるようになったら便利だよ」とアドバイスを受けていたのですが、複雑なキー操作と文字入力が難しくて、メールを打つことはあきらめていました。


 
 友人と会話しているうちに、メールを上手に活用して、孫娘と楽しくコミュニケーションをとっている自分の姿をイメージすることができました。
「私も、友人のように、孫娘とメールのやり取りを楽しみたい」
 その思いから、Aさんの携帯メールの練習が始まりました。

 

 最初はほんの数行の文章を入力するのも大変で、何度も挫折しそうになりました。
 孫娘からの返事が来るのが楽しみで、回数を重ねるうちに、スピードは遅いものの、なんとかストレスなくメールを打つことができるようになりました。
 今では、旅先で撮影した写真をメールに添付して送るなどの操作も自然とできるようになり、孫娘とのメールでのコミュニケーションを楽しんでいます。


 
 他人から「メールを打つ練習をした方がいいよ」というアドバイスを受けただけでは「携帯のメールを練習する」という行動を開始できませんでした。
 心から実現したいと思える望ましい状態、つまり「孫娘とのメールを楽しめている自分の姿」と、「携帯メールをあきらめてしまった自分」という現状とのギャップを認識した時、自然とそのギャップを埋めたいという気持ちが生まれました。

 

 望ましい状態を達成するためには、面倒だけれど「携帯のメールをストレスなく打てるようになる」という中間目標をクリアーすることが必要だという意味づけができた時に、初めて「携帯メールを練習する」という行動を開始することができました。

 

 操作が難しくて途中何度も挫折しかかりましたが、「孫娘からの返信メールや励ましの言葉」という支援がありました。そして、誰かに指示されて練習を始めたのではなく、自分で考えて、自分で選んだ行動であることが「やる気」を維持することにつながり、最後まであきらめずに練習を継続することができました。

 

 リーダーとしてメンバーのやる気を引き出し、望ましい行動を増やすにはどうしたらいいでしょうか?
 「この仕事は上司から指示命令されて仕方なく行っている」という「やらされ感」ではなく、
「今、目の前のこの仕事に取り組むことは自分で選んだのだ」という意識があれば、「責任感」と「当事者意識」が芽生え、結果として「やる気」引き出すことにつながります。自分で選択したことであれば、多少の困難が生じても、最後までやりぬく可能性が高まります。


 
 リーダーとして、できるだけ相手に選択権を与え、やる気を出してもらうには、どのように質問するかがポイントとなります。

 

「いつまでにどんな状態になれば目標達成といえるの?」
「目標が達成された状態を10点満点とすると、現状は何点ぐらいつけられる?」
「目標と現状のギャップを埋めるために、最優先に取り組む課題は何?」
「その課題を解決するために、どんなやり方が考えられる?」
「今、3つの案が出てきたけれど、この中からどれを選びたい?」
「この案を選んだ理由は?」
「具体的にはいつから、何を始める?」

 

 質問によって、ゴールイメージを描き、現状とのギャップを明確に意識してもらうこと、そして、そのギャップを埋めるための解決策について、さまざまな角度から質問して、複数の選択肢を考えてもらう、最後は、その中から本人が最適な解決策を選ぶように質問していく。
 メンバーのやる気を引き出すためにも、自分自身のやる気を高めるためにも、いかに効果的な質問を創造できるかが鍵となります。

・・・・・


質問のスキルについては、ビジネス・コーチングのコースで詳しく扱っています。多くの演習を通じて、効果的な質問を創造するスキルを学んでみませんか。


 ビジネス・コーチング(HSC0039G)
 (「はじめてみよう!ビジネス・コーチング入門」を改題しました)
 マネジメント・コーチング(HSC0040G)
 (「使ってみよう!ビジネス・コーチング実践」を改題しました)



飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。


[コーチング][2009年8月25日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第46回:「教えてもらったことないかも・・・」
執筆:高橋 俊樹

「相手の成長を支援するためのスキルのひとつ、コーチングと言う言葉を聞いたことはありますか?」


研修でこう尋ねると最近では6割前後の方が手を挙げるようになりました。特に30歳代以上はかなりの受講者がご存知のようです。


さらに尋ねます。


「それでは聞いたことがあるだけではなく、コーチングとは何か?どのようにすれば良いのかについて、書籍や研修などを通して学んだことがある方はいらっしゃいますか?」


すると「聴いたことがある」と答えた内2割前後の方が手を挙げます。インターネット、書籍などで勉強したり、会社で研修を受けたりと手段は様々ですが、コーチングもビジネスパーソンに必要なスキルとしてだいぶ浸透してきたのだなと感じるようになりました。


コーチングとは本人が望む目標を達成するために、相手の中にある潜在能力を引き出し、その人自身が答えを創造できるように継続的に支援していくためのコミュニケーション・スキルです。ビジネスにおいては自発的・自律的な人材育成を目指すために学ぶ方が多いようです。


実際に、グローバルナレッジのコーチング研修でも受講者の半数以上が、プロジェクトマネージャやグループリーダーといった立場にあり、メンバや後輩を育成・指導するためのスキル修得を目的として参加されます。


続けて尋ねてみます。


「では、今までに相手の成長につながるような"教え方"について、どう教えればより効果的かを、書籍や研修などで学んだことがあるという方はいらっしゃいますか?」


するとどうでしょう。まったくといってよいほど手が挙がらなくなります。
後輩やメンバを育成していく上で、考えさせる以前に必要なことは「相手にきちんと教える」ことです。何が良くて何が駄目なのか、どういう行動を取って欲しいのか、仕事を進める上で必要な知識やスキルを教えることが重要なのです。何も教えずに「背中を見て学べ」「自分で考えろ」だけでは早期に理想の人材を育成することはできません。


ところが「相手に考えさせる」ためのコーチングは習ったことがあると言う人が多数いるのに対して、「相手に何かを教える」ことを習ったことがあると言う人はほとんどいません。これはなぜでしょうか。おそらく以下の様な経験や考えが教える側の中にあるのではないかと考えられます。


・教えるスキルを意識したことがない → 上司を手本に真似してやっている
・教え方よりも教わる側の受け止め方が大切だ → 後輩や部下が理解すればよい
・わざわざ教えるスキルを学ぶ必要はない → 伝えるだけなら自分流で問題ない
・特別なスキルではない → 習わなくても問題なく今まで来られたから


ところで皆さんが学生だった頃を思い出してみてください。上手に教える先生の授業は理解し易かったという体験は誰でもお持ちのことでしょう。理解できれば、さらに学ぶことに楽しみを感じられるようにもなったはずです。


社会人であっても同様です。教え方ひとつで相手の理解力や理解・納得にかかる時間が変わります。その結果、相手の取る行動にいたる背景や考え方に大きく影響を及ぼします。
後輩や部下を育成していく際に、相手に考えさせる事も大切ですが、まずは相手が理解できるようにきちんと教えたり、伝えたりして行くことが、育てる側が一番にすべきことなのです。後輩やメンバを指導・育成して行く中で、より効率的に、効果的に相手に教える力を身につけてこそ、前述のコーチング・スキルもより活きてくるのです。「教える」スキルと「考えさせる」スキルをバランスよく身につけて、部下・後輩の育成に活用してみてください。


グローバルナレッジでは「後輩の教え方・育て方」で、OJTを効果的に進めるために、ティーチング・スキルとコーチング・スキルの両面から学習することができます。
また、コーチングをさらに身につけたい方にはビジネスの場面で使用できる「ビジネス・コーチング」、目標支援のための「マネジメント・コーチング」があります。

 

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高橋 俊樹(たかはし としき)
グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、2001年より現職。プレゼンテーション、ネゴシエーション、コーチングなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。
ITpro skillup 2007年3月より連載中「コミュニケーション・スキル講座」

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[後輩指導・OJT][2009年7月28日配信]

わくわくヒューマンスキルコラム
第45回: 新人だと「バレない」こと!?
執筆:田中 淳子

「新入社員のことを、お客様に"新人です"って紹介してる?それとも、"新人"だってことは敢えて言わない?」

 

 ある企業でのOJT担当者向けフォローアップ研修で、一人の参加者が周囲に質問を投げ掛けました。

 

 面白い疑問だと思ったので、その場にいた20人ほどのOJT担当者に伺ってみると、「新人です、と紹介する」派と「新人です、とは敢えて言わない」派は、ほぼ半々という結果になりました。

 

 それぞれに理由があります。「新人です、と紹介する」派は、「お客様にきちんと紹介することで、新人にも自覚を持ってもらう」「多少の粗相があっても、お目こぼしがいただけるのではないか」と言います。

 

 一方で、「新人です、とは言わない」派は、「お客様の前では新人も何もない、新人にも、一人前として扱われることを自覚させたい」「お客様に、新人を連れてきたと不安にさせないように」などという理由を挙げました。

 

 どちらも一理あるように思います。

 

 新卒で入社した会社で、私は半年の修行の後、お客様向けに「FORTRAN入門」といプログラミング言語の研修でデビューしました。その際、先輩と共に懸念したのは、「新人だ」とバレてしまうのではないか、でした。

 

 「もしかすると、新入社員ですか?」「田中さんは、若く見えるけど、何歳ですか?」などと聞かれた場合の対応法を相談したら、先輩にこうアドバイスされました。「即答せず、"何歳に見えますか?"と質問を返してごらん」。

 

質問している側も、たいてい「24-5歳?」と少し上に言うものなので、そうしたら「はい、だいたいそんなところです」と返答すればよいと。

 

 尋ねている側も、「まさか講師がデビューしたての新人ってことはないよね」と思う部分もあるので、相手に不安を与えないように、先方が言う年齢を聞いて、「だいたいそうです」と答えるほうが安心させられる、というわけです。(グローバルナレッジでは、新卒採用をしていないので、今はこういう心配をすることもありませんが。)

 

年齢を気にすると言えば、以前、こんなこともありました。SQLの研修を担当していた20代後半の講師が、参加者にデモンストレーションを見せる際のこと。

 

「では、名前には、私の名前、KOJIMAと入力します。」「次に、年齢のところには、22、と」・・・。こうやってデモンストレーションが終了した後、後ろでご覧になっていた研修担当者が、講師ではなく、担当営業にあとでこっそり、問い合わせをなさったそうです。

 

「あのコジマさんという講師は、もっとベテランかと思っていたけど、新人なんですか?そんな若い人を派遣するなんて、大丈夫なんでしょうか?」と。担当営業は何のことか分からず、きょとんとしてしまったのですが、講師自身に確認したところ、デモンストレーションで入力した年齢が原因と判明しました。

 

研修のご担当者には、「彼女は、入社6年目か7年目なので20代後半ですよ」とお伝えし、事なきを得たとか。

 

年齢と仕事ぶりとは必ずしも関係ない、とは言え、やはり、他人の年齢が気になる方もいらっしゃるし、「若いこと」を自分自身が気にしてしまうこともあります。(もちろん、「若くないこと」を気にするケースもあります。)

 

冒頭のケースでは、その場の話し合いで、OJT担当者と指導を受けている新入社員とで話し合って方針を決めればいいのではないか、ということになりました。「こういう理由でこうする」と軸さえ明確になっていれば、それぞれの紹介方法のメリットが生かされるはずです。

 

この研修の最後に、「新入社員がどこまで育ったらOKとするか」といった議論もしました。「新入社員の成長度合いを測る指標」について、全員でアイディア出しをしたのです。

 

「一人でヒアリングし、提案書を書き、顧客に説明できるようになる」「ある業務を聞いた時、それは誰が担当なのかがわかるようになる」「自分の担当業務を全くの部外者に分かりやすく説明できるようになる」など具体的な「行動」が挙げられました。その中のひとつに、こういう指標もありました。

 

『お客様に"新人だ"ということがバレないようになる』

 

「"そういえば、まだ新人さんでしたよね"と、先方も忘れてしまうほどになれば、新人時代は卒業かなと思って」とそのOJT担当者はおっしゃいました。

 

なるほど。自分も他人も「新人かどうか」が気にならなくなること。それが一番の「成長の証」なのかも知れません。


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  •  「OJT担当者向けワークショップ」(1社向け)
    OJT開始前後に行うOJT担当者向けの研修です。「どんな人材に育てたいか」「指導計画の立て方」といった「どう教えるか」「考える人材に育てるためのコーチングスキルの活用」「やる気を刺激する方法」など、OJTの準備と運営で必要な」知識とスキルを学びます。OJTで使える書式を作成し、具体的ノウハウを学び、活用法も考えます。2003年開講以来、多くの企業で採用していただいております。
     

  • 「OJT担当者向けフォローアップ研修」(1社向け)
    OJTが始まって3ヶ月から半年経った頃に、「OJTの成功事例」や「困っていること」を共有したり、議論したりする研修です。OJT担当者同士の交流を図ると共に、知恵の共有を推進することができます。
  •  

    定期開催では・・・

  • 「後輩の教え方育て方」<1日コース>
    もあります。


    *お知らせ*
    田中淳子がブログを始めました。人材育成の現場で見聞きしたこと、新入社員を始めとする若手社員のOJTの事例、本の紹介などしています。

  • 「ヒューマン・スキルの道具箱」

       

       


      田中 淳子 (たなか じゅんこ)

      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

       

      【ブログ】 
      「ヒューマンスキルの道具箱」
       

      【著書】
      『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
      『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

       

      【連載中】 
      日経BP朝イチメール「コミュニケーションのびっくり箱」(月曜日配信、無料) 

       


      [後輩指導・OJT][2009年6月16日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第44回:人を動かし効果を生み出すプレゼンテーション
      執筆:岩淺こまき

      以前、4社から同種製品のプレゼンテーションを受けたことがあります。コンペです。その時、こんな風に思ったことが記憶に残っています。

       

      「A社の内容は理解できなかったが、気持ちだけは伝わった」
      「B社の内容は理解できたが、検討しようとすら思わなかった」
      「C社の内容は何が言いたいのかさっぱりわからなかった」
      「D社の内容はぜひ検討しようと思った」

       

      もう少し具体的にあの時のことを思い出してみると、4社の違いは以下のように整理できることがわかりました。

       

       

      table.GIF A社は論理的な説明ではなかったものの、「何か伝えたいのだな」という一生懸命さは感じました。B社は、資料も大変論理的に作ってありましたし、説明もとても論理的でした。しかし、「ぜひ!」という気持ちを感じ取ることが出来ませんでした。C社の場合、気持ち以前に「何を言いたいのか全くわからない」プレゼンテーションでした。資料もありものを組み合わせたようなつくりでしたし、話し方も洗練されていません。

       

      「ぜひ検討しようと思った」D社は、論理的な資料で説明も論理的であっただけでなく、プレゼンタ自身の「ぜひやりたい」「採用してください」という思いや一生懸命さがひしひしと伝わってきました。内容もわかりやすかったのですが、それ以上に「そんなに思ってくれるなら」と心が動かされるようなプレゼンだったのです。

       

      「内容も気持ちも伝わらなかった」C社は論外として、提案者の立場になった場合、D社のように「ぜひ検討しようと」思わせるプレゼンテーションをしたいと私も思います。

       

      私が担当するプレゼンテーション研修の受講者からはよく、「論理的な資料を作りたい」「論理的に説明したい」という声を聞きます。確かに、論理的な資料を作成し、プレゼンタも論理的に話すことは、必要条件です。 ただし、論理的でさえあれば良いか、というと、そうではありません。

       

      B社の「内容は理解できたが、検討しようという気持ちにならなかった」という結果を考えてみます。私はプレゼンタの話を「聞き」、話の内容を「理解」しました。それなのに、そこから「思い」を感じ取ることができなかったため、「検討しようという気持ちになれなかった」のでした。たしかに、「実績例が示された」り「具体的データが提示された」りしていて、内容面は明確に理解することができました。しかし問題は、プレゼンタの熱意や人柄といった部分です。声の力や表情、「自分の言葉で語っているか」といった部分からプレゼンタの思いを感じ取ることができなかったのです。その結果聞き手であった私たちは「うーん・・B社のプレゼンは心に響かないね」と思い、お断りすることになりました。

       

      気持ちだけが全面に出ているならよいというわけでもありません。

      A社の「内容は理解できなかったが、気持ちは伝わった」というケースです。資料にプレゼンタ側の思いが記載されていたり、熱意を込めた説明をしたりしたので、「何とかしたいのだな」「協力しよう、いいものを提供しよう」と思っているのだな、ということだけは伝わりました。ところが、残念なことに、内容そのものを理解できませんでした。具体的な例や私たち聞き手の立場に立った解説(私たちにとってのメリットは何かなど)といった肝心の内容が薄かったため、内容が理解できぬまま、気持ちだけが先走る結果になったのです。

       

      聞き手をプレゼンタの意図する方向に動かそうと思ったら、資料もプレゼンタも「論理的」であることが求められます。さらに相手の心に響く「気持ち」が欠かせません。「論理」と「気持ち」は、どちらも揃っていて初めて結果につながります。

       

      プレゼンテーションを準備する場合は、まず「論理的」に内容を組み立てます。資料を作るだけでなく、論理的に話せるよう練習を重ねます。 その上でさらに自分の気持ちがきちんと伝わるような工夫も必要です。

      「論理」と「気持ち」。両方を伝えられるプレゼンテーションが、D社のように「ぜひ検討しようと思った」という結果を生み出すのです。

       

      弊社の関連コース

       

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      岩淺こまき(いわあさこまき)
      グローバル ナレッジ ネットワーク 人材教育トレーナー。
      1997年、システム販売会社に就職し、営業技術支援および導入企業向けの研修を担当。
      人材紹介会社にて中途入社社員に対する研修や、メーカーでの販売促進セミナーの企画・実施を経て2007年より現職。
      プレゼンテーション、コミュニケーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。

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      [プレゼンテーション][2009年5月25日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第43回:誰が誰を承認するのか
      執筆:森 美緒

      「部下や後輩を承認するのは確かに大事だよね。でも私のことは誰が承認してくれるだろう?」
       これは以前、ある受講者が、ぽつりと漏らした言葉です。

       

       この時、教室では「OJT担当者が先輩社員としてすべきこと」をチームごとに話し合っていました。まだ後輩がいない年代の方もすでにリーダー職についている方も一緒になって、自分が先輩からされて戸惑ったことや嬉しかったこと、講義の内容からヒントを得て話し合い、アイディアを書き出していきます。
       そんな中、冒頭の言葉が飛び出しました。それを聞いた他の受講者も、同感だとうなずきました。

       私たちには自分の存在、変化、行動を認めて欲しいという欲求があります(これを「承認欲求」や「自尊欲求」といいます)。コミュニケーションにおける「承認」とは「相手の存在を認めること」です。褒めることとは違って、評価をするわけではなく相手の存在に対して反応を示すことを指します。例えば「あなたは作業が丁寧ですばらしいね」と言うと褒め言葉となり、「あなたは作業が丁寧だね」と言うと承認になります。良い悪いというような評価はしない分、どんな時でも発しやすいコミュニケーションです。

       
       承認は人間関係構築の上で重要な意味があります。
       例えば髪を切った翌日に同僚から「髪を切ったんだね」と気づいてもらえると、ちょっと嬉しい気持ちになりませんか?これは自分の変化(存在)に相手が気づいて言葉にしてくれたことが承認欲求を満たすからです。時と場合によっては(例えば、その髪型が不本意な出来であるなど)あまり触れられたくないときもありますが、通常はこの声掛けが、相手の承認欲求を満たし自信を高めたり、やる気を高めたりします。

       
       相手を承認する方法はたくさんあります。名前で呼んだり、挨拶したりすることも承認です。相手の変化に気づいたり、相手が認めて欲しいと思っていることを言葉で伝えたりすることもまた承認です。前者は誰に対しても同じように行うことができますし、後者は相手を見ているからこそできる行為のため、より高いレベルで承認欲求を満たすことができます。

       

      さて、冒頭の発言に戻ります。

       

      「誰が私(リーダーや管理職)を承認してくれるのか?」
       考えてみれば先輩社員や上司になると、後輩や部下に対して「承認すること」「褒めること」など配慮を求められます。でも管理職になると、承認される機会がうんと減ってしまいます。
       それが管理職というものだと言ってしまえば、その通りなのかもしれません。ただ前述のように人間には承認欲求があり、管理職になったからといって、突然消えるものでもありません。自分は後輩や部下を承認しようと努力し、行動する一方で、誰も自分を承認してくれなかったら辛い気持ちになるのは当然です。

       

       そんな状況を達観できる人が管理職になるのか、役職が更に上の人が承認すべきではないのかなど、受講者のディスカッションは続きました。

       

       そのディスカッションを聞いていて、「私は誰に承認してもらっているだろう?」と考えました。先輩、上司、お客様である受講者、家族、最後に思いついたのは自分より少し後輩の同僚でした。「今日のスーツ、初めて見ました」「疲れているんじゃないですか?」「借りた本のここが面白かったです」「今日は眼鏡じゃなくてコンタクトなんですね」など、毎日の会話の中で、それこそものすごい数の承認を私は同僚からもらっているのです。仕事の一部ではなく普段の会話に「承認」されている機会はたくさんあるのだと、改めて感じました。

       承認は上司から部下へ、先輩が後輩へと「上から下」へのスキルの1つとして捉えられていることが多いようです。でも、私の同僚がしているように、対等な同僚同士でも承認はできます。後輩から先輩へも、部下から上司へもできることです。私も同僚や先輩、上司など自分の周囲にいる人たちをもっと承認しようと受講者のディスカッションから気づくことができました。

       ディスカッションをまとめて作った模造紙『先輩社員としてすべきこと』には「後輩をよく見て、承認する」と書かれ、その下には「上司のことも承認して、自分も後輩から承認してもらうぞ!」と添えられていました。受講者の選択は、「自分たちがきっかけになる」ことだったのです。


       

       グローバルナレッジでは組織のコミュニケーション活性化をテーマにチームワークやコミュニケーションの研修を1社向けにカスタマイズしています。

      効果的コミュニケーション・スキル ~ 効果的な説得、交渉へと導く対人コミュニケーション ~
      チームワークとリーダーシップ ~中堅社員のためのよいチーム作りとリーダーシップ・スキル~



      森 美緒 (もり みお)
      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。 1999年、教育出版社に就職し、営業および営業担当者向け研修を担当。秘書業務を経て、2005年、グローバル ナレッジ ネットワークに入社。 2006年より現職。プレゼンテーション、コミュニケーション、ファシリテーションなどヒューマン・スキル研修の実施に当たっている。


      2008年12月より翔泳社webマガジンEnterprisezinにて「新入社員が育つ!現場のための教育実践マニュアル」 連載中。



      [コミュニケーション][2009年4月21日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第42回:パワフルな威力を持つ視点を変える質問
      執筆:飯嶋 秀行

      出張で秋田に向かう飛行機の中でのことです。羽田を飛び立ってしばらくすると、窓の外一面に真っ白な雲が広がってきました。まるで、雪の大平原を見るようで、見渡す限り雲が敷き詰められていました。はるかかなたには、白く三角形の山が雲の上に突き出ています。最初は何だろうと思ったのですが、よくよく見ると、それが富士山であることが分かりました。


       以前に、仕事上の課題で悩んでいた時、先輩からこんな質問を受けたことがあります。
      「今、目の前に壁が立ちはだかっているようだと言ったけど、思い切って雲の上に頭を出したつもりで、周りを眺めてみたら?」
       言われた通り、頭の中で、雲の上に頭を出し高い視点で周りを見渡している自分をイメージしてみました。ちょうど飛行機の中から見た光景のように。
       すると、不思議と、目の前にあった壁が取り払われて、自分が些細なことにこだわっていたと気づくことができました。
       「お客様の立場で考えてみたらどうなる?」
       「もし上司の立場になったら、自分にどんなアドバイスをする?」
       「もし目標が達成されると、どんな変化があるのかな?」
       「将来のビジョンを実現するために、どんな目標にとりくめばいいと思う?」など、
       このように、より抽象度の高い別の視点で考えることで、新たな選択肢が見えてくることがあります。
      一方で、より具体的な視点で考えることで、自分が行動している姿を鮮明にイメージでき、具体的な行動を始めやすくなる場合もあります。

       

       合格したいと思っていたある資格試験にチャレンジした時のことです。まずは早起きして毎朝1時間、試験勉強のための時間を確保しようという目標を立てました。
       毎晩、「明日からはいつもより1時間早く起きよう」と思うのですが、勉強を開始した時期が冬だったということもあり、朝は寒くてベッドから抜け出ることができません。目覚まし時計のおかげで、何とか目は覚めるのですが、ベッドの中でぐずぐずしているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまい、結局勉強時間を確保できない状態が続きました。


       そんな時、一緒にコーチングを学ぶ仲間から以下のような質問を受けたことがあります。
      「飯嶋さん、この間、資格試験の勉強時間を確保するために、毎朝早起きすると言っていましたが、その後実行できていますか?」
      「いや、それが、朝寒くて、なかなかベッドから出られないんですよ」
      「なるほど、寒くてなかなか起きられないということですが、過去には早起きできたこともあるのですか?」
      「ああ、それは、ありますね」
      「その時と、今との違いは何ですか?」
      「違いですか?うーん、そうですね、その時は、朝起きて、最初に何をするか、具体的な行動が明確になっていました。寝る前から、そのことを考えていて、朝目が覚めたらすぐに、ベッドから抜け出て、パソコンの電源を入れることができていました」
      「なるほど、寝る前に具体的な行動をイメージすることがポイントなんですね。それで、いつから早起きを始めたいのですか?」
      「明日からでも始めたいのですが」
      「それでは、明日、早起きできたら、私にメールしてもらえませんか?たった1行だけでOKです。何時に起きられたのか教えて欲しいのですが、メールしてくれますか?」
      「そうですね・・・、わかりました、明日の朝必ずメールします」


       こんな会話の翌日、目覚めた後、すぐにベッドを出て、パソコンの電源を入れ、前の晩に準備していたファイルを開いて、勉強を開始することができました。約束したメールも発信しました。
      「目標を立てたものの、なかなか実行に移せない――」。そんな時はもしかすると、具体的な行動がイメージできていないせいかもしれません。

       

       視点を変える質問は非常にパワフルなスキルです。一人で悩んでいると堂々巡りになってしまう場合でも、普段はされないような、異なる視点の質問をされると、新たな選択肢に気づくことがあります。より具体的に質問してもらうことで、やるべき行動が明確になり、始めやすくなります。何をするかという決意を問われて、口に出して約束することで、より行動を起こしやすくなる効果もあります。
       皆さんは、他人からの思いがけない質問によって、新たな視点に気づいたという体験をお持ちでしょうか?
       「リーダーとして、メンバーの問題解決を支援する」、「営業パーソンとして、お客様の課題解決を支援する」など、視点を変える質問は様々な場面で活用できます。
       

       効果的な質問を創造するスキルに興味のある方は、質問を作り出す体験をしてみることも効果的です。様々な質問のスキルについては、「はじめてみよう!ビジネスコーチング入門」、
      使ってみよう!ビジネスコーチング実践」のコースの中で詳しく扱っています。



      飯嶋 秀行(いいじま ひでゆき)
      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
      商社で情報システムの企画・開発などを担当後、グローバルナレッジネットワーク株式会社へ入社、現在はコーチングを中心に、プレゼンテーション、リーダーシップなどヒューマンスキル系コースを担当。PHP認定ビジネスコーチ上級、中小企業診断士。著書に『コーチングがやさしく身につく物語』日本実業出版社などがある。


      [コーチング][2009年3月24日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第41回:「気持ちのモチカタ」
      執筆:高橋 俊樹

      「久しぶりだね。調子いかが?忙しいのは気持ちのモチカタです。近々飲みましょう!」

       

      仕事で遅くなった帰宅途中、20年来の大学時代の友人から携帯電話に届いたメールを見て、思わず吹き出してしまいました。友人からの文面が、私の返答を想定した書き方だったからです。これまでは「秋だね、仕事どう?近々飲みに行かない?」というような誘いに対して「頑張っているよ。そちらはどう?今は忙しいので落ち着いたらこっちからメールするよ!」と返信するのがパターン化していました。その結果、誘いのメールが来てから飲み会が実現するまでに長い時は3ヶ月ほど要することも幾度となくありました。

       

       皆さんは仕事をしている時に「気持ちのモチカタ」について考えたことはありますか。時間は常に同じように過ぎていきます。言うまでもなく、その時間をどのように使うかは自分次第です。中でも、自分の気持ちの持ち方が、成果の質を大きく変えるような気がします。私たちが実施している研修を例に挙げてみましょう。

       

      「今、とても忙しいのですが研修なので仕方なく来ました」
      「今、忙しいのですが困っている問題もあるので、楽しみに来ました」

       

       研修冒頭の自己紹介で上記のように述べた参加者がいらっしゃったとします。研修も業務の一環ですから緊急の要件がない限り、ほとんどの方が全日程をきちんと受講されます。しかし、「仕方なく来た」という方と「楽しみに来た」という方では、同じ時間を過ごしても、研修での気づきや持って帰る成果には大きな差が出てしまうようです。おなじ時間を使うのなら、マイナスに捉えるのではなく、プラスに活かす気持ちを持つほうが、その時間を有意義なものへと変えることができます。

       

       日々の仕事でも同じことが言えます。仕事がいつも楽しいという方は問題ありませんが、なかなかそうはいかないものです。楽しいと思えるようにするために、自分なりの目標を設定するのもひとつの方法です。目標を立てることが気持ちのモチカタに変化をもたらします。目標がやる気につながり、目標に向けての行動が起きるからです。やる気を持って仕事ができれば、そのために費やす時間を意義あるものと感じることができ、得られる成果の質も上げることができます。

       

       最近、私が楽しく仕事を進めるために日々設定している目標に"受信トレイのメールを2桁、できれば10件以内にすること"があります。ややこしいメールが来ると後回しにしてしまい、どんどんメールが溜まり、受信トレイには100件以上のメールが溜まってしまうことも度々ありました。「受信トレイのメールを2桁にする」という目標を設定してからははやく片付けて「仕分けフォルダ」に入れよう!と、やる気が刺激され、気持ちよく仕事を進められ、結果として周囲への対応も早くなりました。

       

       このように小さくても何か目標を設定することでやる気が起き、気持ちの持ち方が大きく変わることで、仕事の成果にも大きく影響します。どなたでも「何時までにこれを仕上げよう!」などと、実は細かく目標設定をしているものです。思っているだけではついつい割り込みの仕事や緊急対応が入ってしまい、考えていたようにできないこともあります。そこで「こうする」と決めたことを付箋紙などに書いてモニターに貼っておく、口に出して周囲に宣言してしまうのも効果があります。仕事の進め方や時間管理、あるいは自分へのご褒美など何を目標にしても良いのです。自分なりの目標を立てて"気持ちのモチカタ"を少し変えてみることが重要です。

       

       冒頭の友人のメールには、「そうだな、忙しいけど気持ちのモチカタだ。忙しいからこそ時間を作っていくべきだ」と考え、早速一週間後に会う段取りを付けました。それに向けて、仕事も集中し、充実感を持って進めることもできました。
       久しぶりの友人との再会は大変楽しく、大いに刺激を受けた一晩となりました。これまでのように忙しいのを理由に先延ばしせずに行って良かったと思います。この友人は、会社を経営しているので実は私以上に忙しい立場のはずです。彼自身が「気持ちのモチカタ」を自分に課しているのかもしれません。いつも自分から声をかけてくれるこの友人に感謝しています。
       

      チームワークとリーダーシップ」

      モチベーションUP」

       

       

      高橋 俊樹(たかはし としき)
      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。
      1991年、自動車メーカーに就職し、営業担当者向けの教育の企画・実施を担当。その後、テレマーケティング会社を経て、2001年より現職。プレゼンテーション、ネゴシエーション、コーチングなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。
      ITpro skillup 2007年3月より連載中「コミュニケーション・スキル講座」

       

      [モチベーション][2009年2月17日配信]

      わくわくヒューマンスキルコラム
      第40回:その気になればどこでも試せる
      執筆:田中 淳子

       ヒューマン・スキル研修を行っていると、「これって、子育てと一緒だよね」「家族との会話でも同じことが言える気がする」というコメントをよく頂戴します。ビジネスのためのヒューマン・スキルを学びながら、実は日常的な様々な場面でも応用が効きそうだと気づかれるのでしょう。
       「私は対外的な仕事をしていないので、顧客とのコミュニケーションなど試す場がない」という方も中にはいらっしゃいますが、「身近でも活用可能だ」と捉えれば練習の場は広がります。
       では、日常での活用場面を紹介しましょう。

       コミュニケーションスキル研修では説得について学びます。説得="相手を動かす"ためには「一方的に説得するのではなく、相手の言い分に耳を傾け、相手が動きやすいような言い方をする」ことを考える必要があります。その考えを応用した例です。

       ある女性からこんな例をお聞きしました。帰宅すると、父親のお迎えで先に帰宅していた子供たちがリビング中に大量のタオルを広げていました。家事をしなければと一分でも惜しいのにタオルが散乱。「早く片付けて!」と一喝したところ、子供たちはしぶしぶ片付けたそうです。別の日、また同じようにタオルがリビング中に敷き詰められていました。よく見れば、タオルの下には人形やぬいぐるみが置いてあります。子供たちに聴くと、「保育園のお昼寝の時間をやっているの」と言いました。彼女は「片付けなさい」と叱る代わりにこう言いました。「それは偉いねぇ。・・はい、そろそろお昼寝の時間は終わりですよぉ。皆起きましょう」。すると、今度は保育師さんを気取った子供たちが、進んでタオルを片付け始めたといいます。
       「お昼寝の時間は終わりですよ」は、子供たちのストーリーに沿ってコミュニケーションしようとしています。行為の理由、背景を理解した上で相手の行動を促す言葉をかける。
       「相手を動かすためにも耳を傾けることが大事だ」ということが学べる例です。

       別の女性の方からお聞きした例です。同じくコミュニケーションスキル研修で「傾聴」では、相手の話を深く正しく理解するために、意見などせず、まずは最後まで耳を傾けることだと学んだその日のこと。小学生のお子さんが学校での出来事をあれこれと話し始めました。これまでは「そういう時はこういう風にしたほうがいいよ」「お母さんだったらこうする」といったアドバイスをしていたそうですが、その日は、耳を傾けることに注力したそうです。すると、いつもならすぐ自室に入ってしまうお子さんが、その日は学校であったこと、好きなこと、やりたいことなどを話し続けたといいます。「普段聴いたことがないような話までしてくれて、親としてビックリした」とおっしゃっていました。子供の課題を解決してやりたいという親心は一旦封印し、徹底的に話を聴くことで子供からより多くのことを引き出し、理解することができたのです。

       最後に男性の例を。これも受講者からお聞きした話です。
       コーチングに「承認」というスキルがあります。相手の行為、行動などを「認める」ことを言います。承認されることで人は勇気と自信が与えられ、さらに次のステップに進もうと挑戦するものだと言われています。ある男性はコーチング研修初日を終えて帰宅後、パートナーに承認スキルを試してみようと思い立ちました。
       夕食のテーブルについた際、食事を並べてくれているパートナーに「いつもご飯を作ってくれてありがとう」と思い切って言ったそうです。すると彼女は、手を止め固まってしまったといいます。泣いてしまったのか?と思うとさにあらず。
       「あなたはどうしてそれを棒読みで言うの?」と言われてしまいました、と恥ずかしそうに話してくださいました。

       学んだスキルをこうやって身近な相手に使ってみようと思うことも、このほほえましいエピソードを他の参加者に紹介なさったことも素晴らしく、勇気のあることです。

       誰との関係でもどのような場面でも活用できるのがヒューマン・スキルです。仕事ですぐ使うことが難しそうであれば、家族、友人、知人との関係で試してみることもできます。大切なのは、「やってみよう」と思うことです。試してみたら、きっと何かが変わります。


       

      はじめてみよう!ビジネスコーチング入門

      使ってみよう!ビジネスコーチング実践

       


      田中 淳子 (たなか じゅんこ)

      グローバルナレッジネットワーク 人材教育コンサルタント。産業カウンセラー。1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタルイクイップメントを経て、現職。コミュニケーション、リーダーシップなどヒューマン・スキル研修の企画、開発、実施に当たっている。

       

      【ブログ】 
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      『速効!SEのためのコミュニケーション実践塾』『速効!SEのための部下と後輩を育てる20のテクニック』(日経BP社)
      『はじめての後輩指導~知っておきたい30のルール~』(日本経団連出版)

       

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      [コミュニケーション][2009年1月27日配信]

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