NEW TRAIN(R)~新入社員研修の知恵袋~コラム
第4回: 7つのルール(その3)
執筆:田中 亮
前回までに各企業・研修担当者の方が新入社員研修に関して注意すべき7つのルールの内、5つまで紹介してまいりました。今回は、ルール6.とルール7.そして追加のルール8.をご紹介したいと思います。
まず、ルールの6番目、「2-6-2の法則を考慮すること」です。2-6-2の法則は、人間が集団を構成すると、優秀な人が2割、劣る人が2割、残りが普通の人である、というものです。面白いのは、2割の優秀な人だけを集めてもやはりその集団の中で2-6-2の法則が当てはまってしまうということ。新入社員研修でフォローやサポートを考慮しなければならないのは上位の2割(優秀な人)と下位の2割(劣る人)です。
新入社員研修で問題になるのは、まず「劣る人」、研修の内容についていくことができなくなる人です。この層の新入社員は、毎日のチェックが欠かせません。やる気を失っていないか、どのようにフォローしていくのか、日々検討していく必要があります。補講をするか、小テストを沢山やらせるか、早出や居残りで復習をさせるか、あるいは面談をするかなど色々フォローの方法はあるかと思います。研修中の有効なフォローの手段として、「優秀な人にサポートさせる」という方法があります。同僚の新入社員からの研修内容のサポートは、講師からのフォローだけでは得られない様々な気づきを得ることができるようです。新入社員研修で面白いのは、この「劣る人」が、一生懸命学習することで、研修の終了時に優秀な人を抜いてしまうほどの力をつけることがあることです。優秀な人が油断して手を抜いている間にどんどん成長してしまうのです。
そのような「優秀な人」も問題になりがちです。研修が既知の内容だと、やる気を失ってしまうことがあることが最も大きな問題です。この層の新入社員も、毎日のチェックが必要です。別のカリキュラムを組むか、難易度の高い演習をさせるかなど様々なフォローが必要になるでしょう。また、「劣る人」のフォローと逆の意味で、「劣る人をサポートさせる」という方法があります。自分が完全に分かっていないと人にものを教えるのは大変難しいので、実は完全には分かっていないのではないかと内省し、おのずと学習するようになるのです。
研修の設計時には、上記のような層の対策をあらかじめ考えておくことが大事です。
最後の7番目のルールは、「研修・育成担当の方は新入社員に関わること」です。実は7つのルールの中で最も重要なルールです。研修期間中に新入社員たちと顔を合わせ、声を掛け、時に叱り、時に褒め、全体を鼓舞し、自社の社員としての誇りを植え付けることができるのはご担当者の方だけなのです。研修会社に全て(本当に全て)を任せてしまい、数か月に及ぶ研修期間中一度も顔を出さないご担当者がいます。新入社員たちは、期待されていないのではないか、と徐々にやる気が失われていくものです。この状態を払拭できるのは、ご担当者の方だけなのです。講師がいかに頑張ってやる気を引き出そうとしても限界があります。ご担当者はぜひ積極的に「関わって」いただきたいと思います。
さて、ここまでが7つのルールです。いかがでしたでしょうか。自社の新入社員研修の設計時に一度チェックしてみてください。自明のことばかりかもしれませんが、「全て完璧にルール通りである」というケースは少ないのではないかと思います。
最後に、新しく8番目のルールをご紹介したいと思います。それは、「自律のための道筋をつくってあげること」です。
特にここ数年、「自律」という言葉を新入社員のご担当者から聞くことが多くなってきました。自律していない新入社員が増えてきた、というものです。では、自律しているとはどのような状態のことをいうのでしょうか。自律とは、行動するのにあたり自分を律すること、自分をコントロールできることです。(ちなみに、「自立」は自分だけで物事を行うことで、「自律」とは意味が異なります。)人が行動するのは、何らかの欲求に基づきますが、欲求が「強制」や「罰」によって歪められることを避けなければなりません。例えば、自分はこうなりたい、という自分のあるべき姿への欲求があると、そこに向かっていくための行動も変わっていくはずです。外的なコントロールによらない、内省による行動をとることができるようになって初めて「自律」している、と言えるのではないかと思います。これを学生から社会人になったばかりの新入社員に期待するのは、少し無理があるのではないかと思います。だからと言って、何もしないで単なる研修だけを行っていてもなかなか自律はしていくことは難しい、そこで、新入社員には「自律のための道筋をつくってあげる」ことが大事です。
簡単に言うと、「自律のための癖をつけさせる」ことです。グローバルナレッジでは、新入社員研修のプログラムとして、「自律するとはどういうことか」を一度きちんと学習してから、自身のなりたい姿・あるべき姿を定義させ、それに向けて日々の「行動目標」を書いてもらい、1週間に1回程度振り返りの時間を持たせ、また行動目標を書いてもらう、これを繰り返すということを行っています。このプログラムを採用された企業様の新入社員たちの行動が明らかに昨年までの新入社員と違うという声を聞きます。新入社員研修が終了したら自律した人間になりました、などということは無理だとしても、自律のための行動と振り返りの癖をつけさせる、道筋をつけてあげることで、自律に向けての大きな前進が期待できるのです。
以上が新入社員研修を成功に導くためのルールです。ぜひ、参考にしていただければと思います。
田中 亮 (たなか りょう)
ソリューション本部 NEWTRAIN統括担当。
グローバル ナレッジ ネットワーク株式会社で、Oracle認定講師として、Oracle認定コースやデータベース関連コース、プロジェクトマネジメントなどを中心に、現場で実践できる研修を提供。データベース関連コースや、プロジェクトマネージャ育成の教育コースを企画・開発。さらに新入社員研修では、多くののITプロフェッショナル育成に講師やPMとして携わっている。プロジェクトマネジメント・ソフトウェアエンジニアリングのプロダクトマネージャを経て現職。PMP®、ORACLE MASTER、オラクル認定トレーナー、MCTSなどの資格を保持。
[7つのルール][2011年3月 7日配信]


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