NEW TRAIN(R)~新入社員研修の知恵袋~コラム
第3回: 7つのルール(その2)
各企業の研修担当者の方が新入社員研修に関して注意すべきポイントの続きをご紹介します。
今回はルールの3.とルールの4.とルールの5.です。
ルールの三番目は「研修の目標・範囲を決定すること」です。これは、研修の「目的」「目標・範囲」を定義しましょうということです。改めてこれをお聞きすると、明確に回答いただけないことがよくあります。
「目的」・・・何のために新入社員研修を実施するのか
まず、何のために新入社員研修を実施するのか、その目的を明確に定義する必要があります。新入社員研修を実施しなければならないけれどいったい何のために実施するのか、きちんと定義されているでしょうか。「御社の新入社員研修の目的は何ですか。」と問われて、即答できるでしょうか。これは何のために新入社員を採用したのかを明確にすることと同義です。ぜひ、明確に文章で定義しておきたいものです。
「目標・範囲」・・・新入社員研修のゴールは何なのか
目的が明確だとゴールの設定も明確に定義することができます。新入社員研修が終了した時点で新入社員たちがどうなっていればいいのか、どこまで・何ができていればいいのか、できるだけ具体的に定義する必要があります。特にIT系の研修であれば、数値目標を設定するのもよいでしょう。研修の設計時にクリアすべき項目を明確にし、例えばテストを実施して70点以上取ることをゴールにする、などです。
そして大事なことは、目的と目標・範囲を明確にしたら、それを「手引き」のような形にして新入社員や研修を実施する講師などの間で共有することです。きちんと定義された研修の目的と目標が書いてある手引きがあれば、常に振り返ることができます。「この研修の目的は何なのか、研修が終了した時点でどうなっていればよいのか」を目で確認することができると、新入社員は大変安心します。逆にそのようなものがない状態で研修を受ける、つまり先のことが見えない状態で研修を受けると不安感が増します。手引きの作成はぜひお奨めしたいと思います。
この手引きは実は教える側にとっても非常に重要な資料です。お客様が望まれている目的と目標は何なのか、どこに力を入れるべきなのか、いつまでにクリアしなければいけないのかといった情報をもとに、教える側はコースの設計をするからです。
次にルールの四番目、「研修・育成の継承を行うこと」です。
研修を担当される方が人事異動などで交代されることがあります。その時、研修の設計を一から行うリスクを避けるためにも、研修の実績を目に見える形で残しておく必要があります。研修期間中の日誌やテストの結果(他社との比較データがあるとなおよいでしょう)、問題点や改善点などが記載されている終了報告書などがあると新入社員研修を「継承」していくことができます。
また、その年の新入社員を対象にアンケートを取っておくことも次年度の新入社員研修を設計する上で有効です。現場に配属された新入社員は、自由に記述できるアンケートを取ると、かなり本音で感想や意見を書いてくれます。実施した研修に関する実務での「役立ち度」もそうですが、新入社員研修で実施しなかったが実務で急に必要になったことや、次年度の新入社員に学ばせておいた方がよいことなどもアンケートで取っておくとよいでしょう。アンケートに「書いてもらう」ことで、面談などでは引き出せない本音を引き出すことができます。そうした新入社員の声を次年度の新入社員研修に活かすことでより「現場で役立つ」研修を設計することができるようになります。アンケートは毎年同じ時期に取ることでより有効な資料として活用できるでしょう。
ルールの五番目は、「ステークホルダーを巻き込むこと」です。
新入社員研修に関係するステークホルダーは多くいますが、やはり、現場と経営層の巻き込みが大事です。特に現場の意見を取り入れることは非常に重要です。
新入社員研修を設計するときにぜひ以下の2点を現場から引き出しておきましょう。
1. 期待値・・・配属先である現場は、新入社員に何を期待しているのか
2. 配属後のフィードバック・・・配属された新入社員に不足していることは何なのか
まず期待値ですが、ぜひ現場の「本音」を引き出したいところです。最低限これだけはクリアしておいて欲しい要望が現場には必ずあります。筆者が聞いた例では、「言語の研修は配属後に何とかするから、とにかく大きな声できちんと挨拶ができて、電話を取ることができて、あとはOfficeを使って文書の作成ができるようになっていてほしい」というのがあります。本音は堅苦しいミーティングではなかなか引き出せません。「アジェンダのないミーティング」などを開催して広く意見を引き出したいものです。
また現場のフィードバックも欠かせません。「出来たと思っていたのに出来ていなかったことの確認」と「出来ていないと思っていたのに出来ていたことの確認」、「配属後に急に必要になったことの確認」は最低でもチェックしておきたいところです。次年度の新入社員研修の設計に欠かせないポイントです。できれば、設計時に現場の方に同席してもらうとよいでしょう。
ステークホルダーとして外部の研修会社を利用するときは、「本気度」を図るとよいでしょう。それは、どのような研修を行うか、どこまで要望を取り入れてくれるかを見ることです。研修がスタートする前にどこまで話を深堀してインタビューしてくれるかを見ておくとよいでしょう。
次回は残りのルール6.と7.および「自律」をキーワードにしたコラムです。ご期待ください。
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