マネジメントの壺コラム
【ホワイトペーパー-2】 ITインフラストラクチャライブラリ(ITIL®)を使ったITサービスマネジメント概要
米国グローバルナレッジが発表しているホワイトペーパーの翻訳版をご紹介します。
ホワイトペーパーはPDF形式でもご覧になれます。「資料ダウンロード」ページよりご覧ください。
ITインフラストラクチャライブラリ(ITIL®)を使ったITサービスマネジメント概要
はじめに
IS部門のマネージャならITインフラストラクチャライブラリまたはITIL®という言葉を耳にしたことがあるだろう。IT技術への投資は、正しく管理されていればこそ、企業の競争力を高める可能性がある。最新版のITIL®では、事業マネージャにもITマネージャにも、IT投資によって価値を生み出すための具体的なガイダンスを提供している。日々の企業活動にとってITサービスの重要性が増すにつれ、ITIL®はITマネージャが少なくとも考慮すべきものになっている。
本書は、IT技術に興味のあるマネージャにITIL®を紹介することである。本書を読むことによって、ITIL®プロセスを知り、組織のどこにITIL®を適用できるかがわかるようになる。ITIL®の利点を特定し、組織のどこにITIL®を適用したらどのような効果があるか、ビジネスケースを想定することができるようになる。その目的を達成するために本書はITIL®とは何か、どのような効果があるかを説明し、ITIL®を適用することで他者が達成した成果を紹介する。読み進むにつれITマネージャや事業部門が直面する課題を知り、ITのコモディティ化がもたらす優れた運用のための戦略的な効果を学ぶことになる。
ITIL® V3の歴史
ITIL®(ITインフラストラクチャライブラリ)は書籍の集合である。最新版(バージョン3)は5巻からなり、2007年にリリースされた。
その前のバージョン(バージョン2)は2001年にリリースされたが、7巻構成であった。さらにそのまえのバージョンは1980年代後半まで遡る。どのバージョンかに関わらず、ITIL®はITサービスを管理するための進化し続ける統合的なアプローチを提供してきた。サービス毎に管理するという概念は比較的単純なものであり、ITサービスプロバイダが企業や消費者に付加価値を提供するために、ITサービスプロバイダはサービス提供の最初から最後まで注力し続けなければならない。そのためにITサービスプロバイダはサービスを提供する消費者がサービスを享受する市場についてよく理解しておかなければならない。通常の企業の視点で言うと、IT部門は顧客やユーザについて理解するだけではなく、企業が製品を提供している市場についても理解しなければならない、ということである。 ITの価値は企業と市場との境界で生まれる。ITサービスは間接的な価値をもたらす、即ちITサービスがあることでビジネス顧客や消費者と企業内のエンドユーザーとの対話が促進される。ITサービスマネジメントの導入の理由はたくさんあるが、主要な動機はITのコモディティ化にある。ITのコモディティ化とは、今日のビジネスがよりITサービスに依存するようになっている、ということである。ハードウェアやソフトウェアのコストが下がるにつれ、相互接続の容易性は飛躍的に拡大する。従来のIT組織にとっては、多様な選択肢が登場している、ということになる。多くのビジネスが、かつてはIT部門に依頼していたようなシステムを、自力で調達しインストールすることが可能になっていることを意味する。多くの組織ではそういった臨時のシステムは従来のビジネスITシステムに接続されることになる。その結果、複雑さが増すだけの、非常に複雑な環境ができてしまうことになる。
多くの場合、ビジネスはITサービスプロバイダが引き受けるだけでなく、ビジネスのIT部門や技術に対する要求は増加する一方である。変動性と称されるように、ビジネスがIT技術とより絡みあうようになると、サービスの品質と提供の組み合わせがより限定される。IT部門にとっては、これらの要素の組み合わせが「ITのパーフェクトストーム(究極の嵐)」を意味する。簡単に言うと、今日のITマネージャは複雑さの増加と、低い品質に対する許容値を減らすことで、絶えず増加する複雑さに立ち向かうことになる。IT予算や人員の削減と結びついて、ビジネスにとってもIT部門にとっても勝者がいないという結果になる。
よく機能しているITサービスプロバイダがそのビジネスを調整し市場を理解し、効率的にリソースのバランスをとっているかについて、ITIL®は説明している。これらの理由から、ITIL®はITサービスの提供を管理するためのベストプラクティスとしてデファクト・スタンダードになりつつある。ITIL®はさらに ISO/IEC 20000またはISO20Kといった国際標準規格によってもサポートされている。両者の組み合わせには、ITマネージャがビジネスを調整しITのコストを管理しITサービスの質を改善しつつリソース配置のバランスをとることに対し、事実上、全てを提供している。ビジネスはITシステムやIT部門と無縁では成り立たないので、技術系・非技術系両マネージャにとって両者が協力しあわなければならないと理解することは重要である。ITIL®はそのようなロードマップを提供する。
今日のITの状況
歴史の岐路に立っている今日、ITIL®の重要性について異を唱えるものはいない。ITサービスの利用者(ビジネス顧客やユーザ)と提供者(IT部門)との断絶は顕著である。最近の調査でも、両者の間には深い溝があることが明らかになっている。2008・9年の調査ではITサービスに関するビジネス顧客やユーザの声が、以下のような結果になって表れている:
• 組織の21%がITを「高価な間接費」と見ている
• 45%がITを「必要」と見ている
• 32%だけがITを「価値ある戦略パートナー」と見ている
• 37%は「ビジネスがITによって阻害されている」と見ている
• 14%は「ITがビジネス進歩の一部とは思わない」と答えている
当惑するような現実であろう。しかし、利点がないわけではない。
別の調査によれば、多くの場合IT部門は機能していないという結果が出ている:
• ITに$1使うごとに60¢はインフラストラクチャに費やされている
- 20%未満しか要員や社員のパフォーマンスを管理していない
• 10件の停止のうち8件は誤った交換による
- 問い合わせ電話の70%は「自ら招いた結果」である
• 全ITプロジェクトのうちたった20%しか成功しない
- 30%は大きな損失を出して、または予定の効果をもたらさぬままキャンセルされる
• 25%のハードウェア・ソフトウェアは決してインストールされない
- 67%のIT部門はソフトウェア資産を管理していない
• 90%の中規模IT部門は手動のプロセスを使っている
- ほとんどのIT部門は平均6つのスタンドアロンのITソフトウェアツールを使っており、それぞれが相互作用することはない
本書は懸命に仕事をしているIT部門の専任者を非難することを目的にはしていない。また、これらのIT部門を支えている事業部門の投資判断に疑問を呈することが目的でもない。しかし、今日のIT部門には明らかなコミュニケーション不足と誤解が存在していることは明らかにしたい。
ITIL®の目的は、このギャップを埋めるソリューションを提供することになる。ITIL®は、IT部門がビジネスニーズを理解するために、事業部門と手を取り合うことを求めている。逆に言うと、事業部門は、IT部門を適正に導き、刺激しIT活動に投資するためにIT部門とより密接な関係を築くことをITIL®は求めている。アウトソーシングこそが解決策と考える事業部門は多いが、それは誤りである。アウトソーシングはIT部門全体または、部分を別のプロバイダに移管するに過ぎない。課題は依然として残る。ITIL®はITサービスプロバイダが事業部門を支援することも、企業全体をサポートすることも、ITサービスをプロバイダにアウトソースしたとしても、同様に効果を発揮する。
競争力を追い求めることで「良い」から「最良」へ:ITSMからBSM
ITサービスマネジメント(ITSM)とはIT組織内でワークフローと活動を管理することを表す用語である。ITIL®は世界的にデファクト・スタンダードとなっているITSMソリューションである。ビジネスサービスマネジメント(BSM)は、ITSMが成功するための戦略的方向性を示す用語である。BSMもITSMも、アプリケーションを管理することでITリソースを管理することから、ワークフローの管理、ビジネスの成果の管理へと繋がる連続した管理のことである。
技術マネジメント
通常、技術マネジメントはIT組織の成熟のための最初のフェーズである。技術マネジメントは通常、技術サイロ、組織の自由度と特別なタイプの技術(例えばネットワーク、ソフトウェア開発)を管理するために必要なリソースに基づくバイアスを含む。技術マネジメントは技術に焦点を当てる。断絶した技術者の性質に起因する散在するマネジメントビューとなって現れることが多い。そのためITの技術的な問題解決が強調されることになる。さらに不要な投資という結果になることがある。この技術マネジメントステージで行われるITに対する投資の価値は、一般的にはビジネスへの価値としては最小限にしか顕在化せず、IT組織への価値だけが顕在化しやすい。
アプリケーションマネジメント
アプリケーションマネジメントは、IT組織が技術視点からアプリケーション視点に進化するときの自然の流れである。この観点から、ITプロバイダの成熟はビジネス顧客やユーザにアプリケーションを提供することを検討するところから始まる。これらのアプリケーションはやがて企業に価値を提供することになる。アプリケーションマネジメントは技術マネジメントの進化形である。個別の技術サイロと組織を、もう少し縫合するアプリケーションサイロで置き換えることになる。一般に、アプリケーションサイロは複数の技術サイロやときにはIT組織の境界を越えることになる。マネジメント設計の焦点はアプリケーションの要求仕様に当てられる。マネジメントビューを限定的に統合し、アプリケーションの課題解決が中心になる。このフェーズのIT投資の主要な価値は、アプリケーションのビジネス顧客やユーザに顕在化する。
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ビジネスマネジメント
ビジネスマネジメントはITIL®が主に注力する分野である。簡単に言うと、ゴールはIT投資を企業と市場の成功に直結するように管理することである。ビジネスマネジメントはITサービスとビジネスプロセスから成り、全ての技術と組織の境界を越える。プロセスの統合と自動化に焦点を置くITサービスマネジメントは、マネジメントと設計を先導する。ビジネスが直面するサービス上の課題にIT組織は注力することになる。この時点のIT投資は市場に対して明確で企業にとって競争力として顕在化する。
ITIL®の構造がどのように企業の成功に貢献するのか
ライフサイクルという意味で、ITIL®は全ての共通のIT活動を表現するための体系を示す。ライフサイクルという比喩を使うのは、ITIL®の様々なプロセスと機能がどのように使われるべきなのかを理解することをたやすくするためである。体系として、ITIL®には5つのコアトピック、サービスオペレーション、継続的サービス改善、サービスストラテジ、サービスデザイン、サービストランジッションがある。これら5つのコンピテンシ領域(ITIL®の各巻に対応している)の目的は、ITサービスマネジメントをカプセル化し、アプローチし易くし、さらに利益を達成し易くすることにある。
サービスオペレーション
サービスオペレーションにはIT組織とIT組織が提供するサービスを継続的に管理・サポートするために必要な全ての活動が含まれる。サービスオペレーションには良く知られたIT活動(例えば、サービスデスクまたはヘルプデスク)が含まれる。またイベント管理、インシデント管理、アクセス管理、問題管理プロセスなども含まれる。これはITIL®ライフサイクルのアプローチの好例である。イベントとはIT組織が注目すべきインフラストラクチャ上で発生する事象(例えば、システムからの通知など)のことである。イベントがインシデントになることがある。インシデントはITサービスを中断させてしまうような計画していない中断と定義される。アクセス管理では顧客やユーザの権限管理といったトピックを検討する。問題管理は根本原因を取り除くことで障害を解決することに注力する。併せて中心となるプロセスはイベントの管理から問題解決まで広がり、ライフサイクルを表現することになる。ビジネスにとっての価値は、よりプロアクティブなIT組織である。加えて、IT組織内で起こる活動についてのコミュニケーションと情報が、ビジネスに生じる。全てのITサービスについてひとつだけのコンタクトポイントに集約することによって、サービスオペレーションはビジネス顧客やユーザの生産性を劇的に向上することができる。ライフサイクルという観点でのサービスオペレーションの成果物は、サービスパフォーマンス報告である。
継続的サービス改善
継続的サービス改善CSI (Continual Service Improvement)では、ITサービスのサポートおよび提供の効率、効果、経済性、価値を向上するための方法を検討するためにサービスオペレーションによるオペレーション評価基準を使う。ビジネス顧客やユーザと協働する中で、ITマネジメントはオペレーション評価基準や洞察を向上するための提案に転換される。CSIはビジネスから、またはビジネスへの入力を提供したり収集したりして、その情報をサービスストラテジに供給する。この非常に重要な機能によって、ビジネス顧客やユーザはIT組織からの提案を検証することができる。IT提案が相当なリソースを消費する前に、まずビジネスによって吟味される。もしビジネス上の価値を生み出さなければ、改善提案はそこで終わる。この重要な評価によって無駄がなくなりITプロジェクト管理の効率を向上することに貢献できる。またビジネスとITが同調することになり、ITの透明性も増す。ライフサイクルの観点からは、CSIの成果物はサービス改善計画SIP (Service Improvement Plan)と呼ばれる。SIPはやがてサービスストラテジに移行する。
サービスストラテジ
サービスストラテジはCSI提案を分析するのに必要な全ての戦略的思考を抱合する。財務管理および需要管理の根本的な概念やポートフォリオとしてのITへのビジネス投資への焦点を含む。サービスポートフォリオ管理の概念はビジネスでよく用いられるバランススコアカードのアプローチとよく親和する。サービスストラテジでは投資対効果といったトピックを検討する。
サービスストラテジの目的は、企業にとって最大の価値をもたらすように限られたリソースをIT組織が使用することを保証することである。サービスストラテジの成果物はサービスレベルパッケージSLP (Service Level Package)と呼ばれ、要求されたサービスの機能や有用性、サービスがビジネスの要求仕様に合致することの保証を含む。
サービスデザイン
サービスデザインでは、SLPで定義された新サービスが、新規開発が必要なのか、既存の資産を組みあせて提供できるのかを決定するために、サービスカタログの中に示される能力や、サービスレベルアグリーメント、サプライヤのレビューを含む。これは重複を防ぎコストを大幅に削減するために、非常に重要で貴重な手法である。サービスデザインでは、SLPはサービスデザインパッケージSDP (Service Design Package)となる。SDPには、CSIやサービスストラテジに基づいて開発された有用性と保証を満たすべきキャパシティ、可用性、継続性、セキュリティを含む。SDPはまた、サービストランジッションチームへの指示を含む。サービストランジッションチームは新しく変更されたITサービスへの移行と、コントロールとマネジメントをサービスオペレーションに渡すことに責任を持つ。
サービストランジッション
サービストランジッションは組織の機動性を高めるような方法で変更管理を公式なものにする。サービストランジッションの目的はできるかぎりビジネスを中断することなく新しいあるいは変更されたITサービスへすばやく効率的に移行することである。これを確かなものにする主な活動は、インフラストラクチャに変更をリリースするのを管理することと、最終的にITサービスの構成に必要な資産を管理することである。サービストランジッションチームはサービスオペレーションへの円滑な導入と引き渡しを行うことを保証する計画やテストを作成する。
ITIL®の利点
ITIL®を使ったアプローチの成功例は数多ある。以下に、ITIL®を選択した企業からのコメントや引用の一部である。
• セントリカ(Centrica):「年間2千万ドルのITサービスデリバリコストの削減を達成できた」
• オスロ証券取引所(Oslo Stock Exchange):「1999年以降、稼働率100%を維持している」
• DHL:「ITSMの主要プロセスを11ヶ月で導入、20%のコスト削減を達成した」
• アバヤ(Avaya):「IT要素ではなくビジネスサービスをマネージするようになった。ITコストは30%削減」
• ロシュ(Roche):「検証要件を満たす、統一したグローバルサービスマネジメントを導入できた」
ITオペレーションの観点からITIL®の利点を挙げると以下のようになる。
• 複雑性の減少
• プロジェクトの最適化
• IT資産の効率的管理
• 迅速性の向上
• サービスと組織の標準化
• IT活動とプロジェクトの優先順位付け
• 重複するプロセスや技術、システムの統合
• IT出費の最適化とコスト管理
• 規則や法令への準拠
• ITビジネスの生産性向上
• ITサービス品質の改善
• サービスチームアプローチ、ベンダー管理、顧客・ユーザ・IT部門とのコミュニケーションの展開
• ガバナンスと報告の管理
IT組織内で優れたオペレーションの実践に注力することで、またビジネスに与える影響が大きいことに注力することで、結果はWin-Winなものになる。市場でビジネスは伸展し、IT部門はその成功の一部であり有益な貢献者ということになる。
ITIL®ライフサイクルアプローチの組み合わせは、ビジネスとITに4つの主要な利益をもたらす。
1. ビジネス環境からの変化への要求に対応できる
2. 調整と価値の具体的な証拠を提供する
3. ITはコストセンターというイメージを打破する
4. ITを改革者、ビジネスを実現する人にする
BSMの概念と合わせてうまく構築されたITサービスマネジメントのプロジェクトは、多くの企業が市場で成功することを可能にしてきた。最近の最も素晴らしい実績は、北米の保険会社、リバティミューチュアルグループ(LMG, Liberty Mutual Group)である。24ヶ月間でLMG ITは顧客ロイヤルティ度と顧客離れの問題を調査した。ITSMとBSMを通じて、「営業時間外」に実施していたITメインテナンス活動が投資家に悪影響を与えていたことがわかった。より詳細な調査で、多くの投資家はLMG ITが提供するサービスを使って、週末にWebでポートフォリオ管理を行いたがっていた。LMG ITはエンド顧客に利するように活動を再編成したところ、満足度は劇的に向上した。短期間にもかかわらず結果は驚くべきものだった。2006年第2四半期、LMGは477百万ドルの四半期売上増加を発表した。この驚嘆の成長を2006年3月31日に発表する際、会長兼社長兼CEOのエドモンド・ケリー(Edmund F. Kelly)は「この財務結果に非常に満足している。売上増は既存顧客の保持と新ビジネスの成長によってもたらされた」と述べた。明らかに、技術分野ではなく市場と顧客満足に注力したITがLMGの成功をもたらした。
ITIL®で成功するための簡易ガイド
ITIL®を使ったアプローチの成功例は数多ある。以下に、ITIL®を選択した企業からのコメントや引用の一部である。
• セントリカ(Centrica):「年間2千万ドルのITサービスデリバリコストの削減を達成できた」
• オスロ証券取引所(Oslo Stock Exchange):「1999年以降、稼働率100%を維持している」
• DHL:「ITSMの主要プロセスを11ヶ月で導入、20%のコスト削減を達成した」
• アバヤ(Avaya):「IT要素ではなくビジネスサービスをマネージするようになった。ITコストは30%削減」
• ロシュ(Roche):「検証要件を満たす、統一したグローバルサービスマネジメントを導入できた」
ITオペレーションの観点からITIL®の利点を挙げると以下のようになる。
• 複雑性の減少
• プロジェクトの最適化
• IT資産の効率的管理
• 迅速性の向上
• サービスと組織の標準化
• IT活動とプロジェクトの優先順位付け
• 重複するプロセスや技術、システムの統合
• IT出費の最適化とコスト管理
• 規則や法令への準拠
• ITビジネスの生産性向上
• ITサービス品質の改善
• サービスチームアプローチ、ベンダー管理、顧客・ユーザ・IT部門とのコミュニケーションの展開
• ガバナンスと報告の管理
IT組織内で優れたオペレーションの実践に注力することで、またビジネスに与える影響が大きいことに注力することで、結果はWin-Winなものになる。市場でビジネスは伸展し、IT部門はその成功の一部であり有益な貢献者ということになる。
ITIL®ライフサイクルアプローチの組み合わせは、ビジネスとITに4つの主要な利益をもたらす。
1. ビジネス環境からの変化への要求に対応できる
2. 調整と価値の具体的な証拠を提供する
3. ITはコストセンターというイメージを打破する
4. ITを改革者、ビジネスを実現する人にする
BSMの概念と合わせてうまく構築されたITサービスマネジメントのプロジェクトは、多くの企業が市場で成功することを可能にしてきた。最近の最も素晴らしい実績は、北米の保険会社、リバティミューチュアルグループ(LMG, Liberty Mutual Group)である。24ヶ月間でLMG ITは顧客ロイヤルティ度と顧客離れの問題を調査した。ITSMとBSMを通じて、「営業時間外」に実施していたITメインテナンス活動が投資家に悪影響を与えていたことがわかった。より詳細な調査で、多くの投資家はLMG ITが提供するサービスを使って、週末にWebでポートフォリオ管理を行いたがっていた。LMG ITはエンド顧客に利するように活動を再編成したところ、満足度は劇的に向上した。短期間にもかかわらず結果は驚くべきものだった。2006年第2四半期、LMGは477百万ドルの四半期売上増加を発表した。この驚嘆の成長を2006年3月31日に発表する際、会長兼社長兼CEOのエドモンド・ケリー(Edmund F. Kelly)は「この財務結果に非常に満足している。売上増は既存顧客の保持と新ビジネスの成長によってもたらされた」と述べた。明らかに、技術分野ではなく市場と顧客満足に注力したITがLMGの成功をもたらした。
ステージ1:ビジネス上重要なITサービスを定義する
基本概念は単純である。サービスによってマネージするためには、サービスを定義しなければならないということである。エンタープライズ製品からITハードウェア・ソフトウェアに至る全てのサービス一覧を作るということではなく、主要なビジネスプロセス、ビジネス顧客と顧客層、それらを支える主要なITサービスを理解せよ、ということである。これらは顧客対面サービスと呼ばれ、企業にとって重要なビジネスアプリケーションを代表する。完璧に定義する必要はないが、IT組織がその価値を図るために最初に定義されなければならない。
ステージ2:企業リスクに基づいてITサービスを評価する
ITサービスの評価は次の重要なステップである。上位レベルでITサービスの定義をすることは、相対的な重要度を決めるために必要である。あるITサービスが組織にとっての利益だけでなく義務やリスクに関係する場合、ITサービス評価は本質的にはリスク管理ということになる。企業リスクに基づくITサービスの評価により、ビジネスと協働することで達成される客観的価値を生み出す。この評価はIT視点のサービスのランク付けに使われる。一般的にこの時点で、最も重要なサービスが周知され、全員が納得することになる。
ステージ3:ITサービス品質とIT組織機能を測定する
定義と評価に続き、ITサービスの品質を測定することになる。ITサービス品質はIT組織内では測定できない。内部測定でせいぜい予測できるのはキャパシティや可用性などユーザや顧客が経験するであろうことである。しかし、本当のITサービス品質は顧客満足度に基づいて主観的に測定するしかない。外部から組織に対して品質を測定するということは要求通りに提供されていないサービスを示すことになる。そのときにITマネージャは組織がそのサービスを提供する能力があるのかどうかを理解することに注意を向ける。この測定フェーズの成果物は何が求められていて何を提供しているのかのギャップ分析である。無論このギャップは改善すべき箇所を示す。ビジネスによって定義され、同意され、企業の成功に最も貢献する。
ステージ4:最大限の成功のためにビジネスの中でITサービス改善プロジェクトを正当化する
最後のフェーズはビジネスの中で改善プロジェクトを正当化することである。すべてのITサービス改善プログラムは正式なプロジェクトとして裏付けられなければならない。プロジェクト管理のためのオーバーヘッドやインフラストラクチャが必要ということではなく、ビジネスケースに注力する必要がある。定義・評価・測定フェーズで明らかになるビジネスのステークホルダーによって提供される関係ドキュメントやビジネス条件によって定義されるビジネスケースは重要である。このプロセスでは、わかりやすく記述されたドキュメントによって、求められている改善はなぜ重要なのか、もしその改善を行わなければ何が起こるのかが、ビジネス条件に則って説明される。ゴールや目的を明確にし、開始と終了を明記することによって、これまでのIT提案よりずっと強力なビジネスケースになる。
まとめ
ビジネスやITマネージャが克服すべき重要な障害に対し、ITIL®はガイダンスを提供する。ITIL®は単独では存在できず、品質・プロジェクト管理・リスク・フレームワークのガバナンスなど多くの要素を必要とし、成功が証明された、これまでにない新しい方法でそれらの要素を結びつける。
ITIL®への投資は通常、本書を含む教育とトレーニングから始まる。経営陣のコミットに続き、ITIL®トレーニングは主要マネージャに対して行われ、彼らに求められる、戦略に対する理解と協力を得ることになる。戦略が開発され、現場のメンバのほとんどと主なビジネスパーソンに対してトレーニングが進められる。その成果は、組織全体の、何をいっしょに達成しなければならないのかについての共通理解となって現れる。
ITIL®の成功には、ツールに対する大きな投資は通常必要ない。しかし、機能やサイロ間のコミュニケーションを高めるためのツールへの投資は必要である。小さな組織を除き、包括的なまたは統合的なITサービスマネジメントのためのツールは必要である。
本書で説明したように、利点は6~9週間で実現される。長期的な利点は蓄積され続ける。
ITIL®の利点は数多くあり、書籍も多い。ITIL®を採用しようとすることは、企業がIT投資から競争優位を獲得する機会を与えることになる。IT組織の観点から言うと、ITIL®はより楽しく、かつビジネスへの貢献ができる職場環境を創り出す。
もっと詳細を知りたい方は
生産性を高め、効率を上げ、競争力を向上する方法を知りたい方は、グローバルナレッジが提供する以下のトレーニングコースを検討いただきたい。
1日でわかる!サービスレベルマネジメント入門
http://www.globalknowledge.co.jp/reference/course_details.aspx?Code=MGC0016G
ITIL(R) V3 Foundation BOOTCAMP (試験付)
http://www.globalknowledge.co.jp/reference/course_details.aspx?Code=MGC0017G
ゲームで体感・数値で実感 ITサービスマネジメントのツボ! ~ITSMシミュレーション~
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さらに詳しい情報をお求めの方は、www.globalknowledge.co.jp を確認いただくか、0120-009686に電話をいただきたい。グローバルナレッジのトレーニングコースは実践的なスキルや演習、現場ですぐに活用できるヒントを提供している。経験豊富なインストラクタが自らの経験に基づき、主要なコンセプトをわかりやすく解説するとともに、様々な状況に適用する方法を説明している。300以上のトレーニングメニューの中から、定期開催コースやオンサイトトレーニングなど、ニーズに適った方法を選択していただきたい。
著者について
Hank Marquis, Ph.D., FBCS CITPは現役のITプロフェッショナルであり認定ITサービスマネージャであり、英国コンピュータ協会会員、アメリカ品質協会の上級会員でもある。Marquis博士は著名な実践家であり、講師である。グローバルナレッジにおいてMarquis博士は、グローバル顧客に対しビジネスと整合性のあるITマネジメントソリューションを開発するための業界のベストプラクティスを使う戦略策定の責任者を務める。著作も多数あり、国際会議やワークショップで講師を務める機会も多い。Marquis博士は大小IT組織での経験も豊富で、CIO、CTO、上級アナリスト、ITSMコンサルティング・ディレクタ、ネットワーク技術者、などの役職を歴任している。APMG試験官、EXIN試験官、OGC/ITIL Qualifications Board ATO subgroup会員、ASQ Service Quality Body of Knowledge会員を務め, ITIL資格、ISO-20000資格、Six Sigma資格、COBIT資格、Project Management資格を保持している。
[ホワイトペーパー][2011年2月22日配信]


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