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【PMの心得】 第17回:プロジェクト・マネジャーは、メンバーのロール・モデルになれ

ロール・モデルとは、「模範となるもの。理想の姿」を意味します。メンバーの方々にとって「〇〇さんのようなプロジェクト・マネジャーになって活躍したい」と思われる存在になるということです。

ここで、どうすればロール・モデルになるかを列挙しようというわけではありません。どんな要素を満たせば、ロール・モデルになるか是非ご自身で考えてください。そして、そのような行動を取ることが大事です。メンバーの方々は「行動・言動」を見ています。メンバーの方々が「私のことを考えてくれている」と感じることも大切です。

また、バリバリ仕事をしていればいいというわけでもありません。研修を受講してくださった方で、さぞかし良いプロジェクト・マネジャーであろうという方がいらっしゃいました。ところが、メンバーの方々は、「その受講者の方のようにはなりたくない。プロジェクト・マネジャーにはなりたくない。」とおっしゃるのだそうです。

なぜでしょうか。

実はそのプロジェクト・マネジャーの方の残業時間は半端ではなかったのです。タイムマネジメントの演習を行っていただいたところ、週90時間以上働いていることが判明しました。

これでは、いかに仕事ができるプロジェクト・マネジャーであっても、その方のようになりたいという人はいないでしょう。ワーク・ライフ・バランスも重要なのです。仕事もプライベートも充実しているプロジェクト・マネジャーでないといけないというわけです。

ロール・モデルになる条件をいろいろと考えてみてください。

■おすすめコース


良いロール・モデルが上司であれば、チームも活性化します。また、プロジェクト・マネジャーはメンバーのモチベーションを引出すことで、生産性や品質を高めることができます。チームこそプロジェクト成功の最重要要素です。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2017年8月23日配信]

【PMの心得】 第16回:プロジェクト・マネジャーは、TCPIを活用せよ

TCPIとはアーンド・バリュー・マネジメント(Earned Value Management, EVM)で出てくる用語のひとつです。日本語では残作業効率指数と呼ばれます。
PMP(R)資格をお持ちの方は勉強したことと思います。

この数値はプロジェクトマネジメントではたいへん有効で、コスト効率指数(CPI)と比較することで、プロジェクトの途中で今後の見通しを立てる際に活用できます。

たとえば、プロジェクト立直しの計画の際に、どう考えても実現不可能な計画を立てて、「大丈夫です」「よし、そう言うなら任せたぞ」と承認されてしまって、結局失敗に終わってしまっているケースにしばしば出会います。
こうした際に、CPIとTCPIをチェックするだけで、実現可能かどうかを可視化することができます。


TCPI、CPIの算出式は、それぞれ下記の通りです。

CPI=完了した作業(完了した作業の予算上の金額) ÷ 使った金額(完了した作業に実際に使った金額)
TCPI=残作業(残っている作業の予算上の金額) ÷ 残予算(実際に残っている金額)



すなわち、CPIはプロジェクト開始から現在までのコストに対する効率であり、TCPIは、現在からプロジェクト完了までに守らなければならないコストに対する効率です。


ここで、例題です。
プロジェクトの期間のちょうど半分の期間が過ぎた時点で、CPI=0.9、TCPI=1.2と算出されました。この数値は、どういったことを意味するでしょうか?

答えは、「これまで0.9であったコスト効率を今後は1.2に上げないといけない」ということです。
言い換えると、「これまで残業なしで1日90ユニットの仕事をしていたとしたら、今後は同じく残業なしで1日120ユニットの仕事をしなければならない」ということを意味します。普通に考えれば、不可能な状況です。
もしこれを実現可能であると主張するのであれば、その根拠を明確に提示しなければ誰も信用しません。
はじめの例のように、「どう考えても実現不可能な計画」と判断することができます。


このように、アーンド・バリュー・マネジメントはプロジェクトマネジメントの有力なツールです。ぜひ活用を検討してください。


■おすすめコース

【PDU対象】アーンド・バリュー・マネジメント(EVM)

アーンド・バリュー・マネジメントは、TCPI以外にもさまざまに活用できるネタが備わっています。このコースでは、プロジェクトのいろいろな状況でのアーンド・バリュー・マネジメントの数値から「分かること」を読み解き、プロジェクトマネジメントへの活用方法を考える演習を用意しています。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2017年7月26日配信]

【PMの心得】 第15回:プロジェクト・マネジャーは、プロアクティブに行動せよ

プロアクティブ(proactive)を英和辞典で引くと、「先取りする、事前対策となる」といった意味が出てきました。すなわち、プロジェクト・マネジャーが「プロアクティブ」であるということは、「起きそうなことをあらかじめ予測して事前に対処するというマネジメントができている」ということになります。
みなさん、このように行動できていますか。

次から次へと問題が起きるので、東へ行って問題Aに対処し、西へ行って問題Bに対処して......、この連続で1日が終わり、次の日もまた同じように繰り返す。
このような日々を送っている方は一生懸命に仕事をしているように見えますが、残念ながらプロアクティブに行動できていないということになります。

「問題が起きたので、プロジェクト・マネジャーに報告しようとしたのだけれど、忙しそうなので遠慮した」
という 第6回 で紹介した事態も起きることになります。問題発見が遅れ、大きな問題になる、ますます東奔西走するはめに陥ります。

逆に、もしプロアクティブに行動できていれば、
「あらかじめ手が打ってあったので問題自体が起きなかった」
「問題は起きたが、あらかじめ考えてあった対応策をすみやかに実行させた」
ということになり、泰然自若としていられるというわけです。メンバーやお客様の話を聞く時間の余裕を持てることで、問題発見も早くなります。

これは実はリスク・マネジメントのことです。リスクとは、将来起きる可能性のあることで、起きるとプロジェクトに影響がある事象や状態のことです。
リスク・マネジメントの核心は、次の2点です。

  1. リスクを特定できる (=起きそうなことを予測できる)
  2. リスクの優先順位を考慮した対策を立案し実行できる (=あらかじめ手を打つ)

プロアクティブな行動で、プロジェクトの成功を勝ち取ってください。


■おすすめコース

【PDU対象】プロジェクト・マネジャーのためのリスク・マネジメント

リスクの特定(どんなリスクが起きそうか予想する)、分析(発生確率と影響の大きさに基づいて優先順位づけする)、リスク対応計画(リスクが起きないようにし、影響を小さくする策を計画する)、といったリスク・マネジメントをいかに進めるかを演習を通して学びます。プロアクティブな行動を身につけたい方はぜひご受講ください。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2017年6月28日配信]

【PMの心得】 第14回:プロジェクト・マネジャーは、悪役を引き受けろ

あなたがプロジェクト・マネジャーを引受けているプロジェクトで、お客様と常時接している配下のメンバーがいる場合があると思います。お客様先に常駐していたり、お客様窓口をお願いしていたりする方です。
そんな時、プロジェクト・マネジャーであるあなたが悪役を引き受けることで、プロジェクトの成功率が高まります。

例えば以下のような場面です。

お客様と接している方が問題を起こしてしまった時

「○○が問題を起こしてしまって...」とその方を悪役にしてしまってはいけません。「このたびは、私の責任で...」と、あなたが責任を引受けましょう。

お客様に無理をお願いする際
あなたが交渉役になってください。「○○さん、お願いしてきて」と任せてはいけません。逆に、良い報告やお客様にプラスになる提案などは任せましょう。

メンバーの方とあなたも同席して、お客様と検討会を実施している場合
順調に進んでいれば口出し不要です。でも、「ここは譲れないぞ」という場面では、あなたの出番です。

こうすることで、お客様と接する機会の多いメンバーの方とお客様との信頼関係が築けます。コミュニケーションが良くなりプロジェクトの成功の可能性が高まります。さらには、次のプロジェクトの受注にもつながります。
一方、お客様から見たあなたは「××は、時々やってきては、勝手なことを言ってくる」と悪役になるわけです。つらい役回りかもしれませんが、プロジェクトの成功のためです。でもわかってくれるお客様は分かってくれています。

お客様を対象として書いてきましたが、相手が上司でも同じことです。積極的に悪役を引受けましょう。だんだんと交渉力もついてきます。

■おすすめコース

PMC0110G【PDU対象】【現場体験型】ステークホルダーを動かすあの手この手

お客様との交渉を体験するロールプレイがあります。プロジェクト・マネジャーは交渉力が必要です。しかし、研修の受講者の方々にお聞きすると「交渉は苦手だ」という方ばかりです。交渉の重要点を学ぶことができるコースです。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2017年5月31日配信]

【PMの心得】 第13回:プロジェクト・マネジャーは、気になったことには必ず手を打て

プロジェクトに失敗した場合には、その原因を明確にした上で、教訓化する必要があります。PMBOK®ガイドでたいへん強調しているところです。
さらにその上で、その要因にプロジェクトの途中で気づいていたかを究明してください。そうすると、かなりの確率で気付いていたことが多いのです。「気づいていたのに手を打たなかった。手を打たないとまずいと考えていたにもかかわらず何もしなかった。」とお話くださるプロジェクト・マネジャーの方に数多く出会いました。

「要件定義工程で、顧客の要件を吸い上げきれていないと懸念を抱いていたのに、次の工程に進んでしまった」
「インタフェースに誤りがあるのではと思いつつ、確認しないまま放置した」
「重要な話をお客様が誤解している可能性があると気づいていたのに、会いに行かなかった」

これらは、その場で行動を起こしていれば大きな問題にはならなかったのに、見過ごしたため後の工程の大きな手戻りになってしまい、プロジェクトの成功に大きなマイナス要因となってしまった事態の例です。
「忙しかった」と言い訳をする方もいらっしゃるのですが、第6回(プロジェクト・マネジャーは、自らをヒマにしろ)で書いたように「忙しかった」はプロジェクト・マネジャーの言い訳としては通りません。「忙しくないようにした上で、気づいたことには前もって対処する」がプロジェクト・マネジャーの心得です。
この点を頭の中に叩き込んでおくだけでも行動が変わります。

■おすすめコース

PMC0108G【PDU対象】プロジェクト・マネジャーのためのリスク・マネジメント

本文に書いたことをリスク・マネジメントの言葉で表現すると、「リスクに気づいていたにもかかわらず、対策を取らなかった」ということになります。「リスクに気づくこと」「気づいた大きなリスクには対策を講じること」が、リスク・マネジメントの根幹です。その具体的行動を学ぶ研修です。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2017年4月27日配信]

【PMの心得】 第12回:プロジェクト・マネジャーは、本当の実績を残せ

ここでいう「本当の実績を残せ」とは成功せよということではありません。成功であるにせよ、失敗であるにせよ「本当の実績値を残し、記録せよ」ということです。具体的には、「誰が(どんなスキル・レベルの人が)、何を(どのような難易度・量の仕事を)、何日間で完了したか、どんなリスクを予測し、どんな問題が起きたのか」などを、後で自分以外の人が見ても理解できるように残す、ということです。

残す目的は将来のプロジェクトで活用するためです。特に、見積りに活用するためです。良い見積りを作るためには、過去の実績を有効に活用することが必須です。どこかの誰かの実績ではなく、まさにみなさんの所属する組織が過去に実際に体験したプロジェクトの実績を参照して見積りを実施するのです。これほど頼りになる情報はありません。活用しない手はありません。

ところが、過去のプロジェクトの実績情報を参照しようとすると、なんらかの目的のために「加工してしまった実績」しか残っていなかったりするのです。その目的のためにはそれで良いのかもしれませんが、これからのプロジェクトの信頼度の高い見積りのためには使い物になりません。「本当の値」が必要なのです。

PMBOK®Guideも「組織のプロセス資産」として、過去の実績の活用を推奨しています。みなさんの所属する組織でもプロジェクトの情報を残すことを推奨したり、義務づけたりしていることと思います。たいへん良いことです。でも、義務だから実施するのではなく、将来活用するために「使える情報」を残してください。

■おすすめの研修


本研修は、事例のプロジェクトからプロジェクトマネジメントを学ぼうというコースです。何か問題が起きます。そこでどうするかをディスカッションし、いかに問題解決するかを考えるのです。実際に現場で起きたプロジェクトではありませんが、擬似体験を通じて現場力を高めようというわけです。本研修は「スケジュール・マネジメント」に焦点を当てていますが、そのほかの知識エリアに焦点を当てた研修も提供しています。




執筆:中村 正明 [PMの心得][2017年3月29日配信]

第11回:プロジェクト・マネジャーは、右腕をつくれ

  プロジェクト・マネジャーのみなさん、自らの右腕であると信頼する部下を持っていますか。

  広辞苑によると、右腕とは「一番信頼する有力な部下」のことです。
「解決策が見つからないで困っている時に、良いアイデアを出してくれる。」
「忙しくて目が届かなかったところに気づいて教えてくれる。」
「つらい時には、励ましてもくれる。」
右腕とはこのような存在ではないでしょうか。

 右腕がいれば、プロジェクト・マネジャーのつらい仕事も軽減されます。ひとりだけで悩まなくて済みます。ひとりだけの視点に頼ると、どんなに優秀な人でも見落としができてしまいますが、右腕がいればそれも少なくなります。

  右腕の支援により、プロジェクト・マネジャーに時間的余裕が生じることも重要点です。重要だが後回しになってしまっている仕事に時間を割くことができるようになります。たとえば、お客様へ積極的に提案することができ、新たなプロジェクトの獲得につながり、お客様の信頼も高まります。メンバーの育成にも取り組めるでしょう。マネジメントできるプロジェクトも増やせる可能性があります。

 でも、そんな部下がいたことがないと嘆いている方もいらっしゃるでしょう。でも、右腕は幸運がもたらしてくれる偶然の事態ではありません。積極的に、見つけ、作り出す存在です。いなければ作ればいいのです。育てるのです。

 「候補を見つけ、右腕に必要な力量をつけるように育成計画を立て、育成の機会を与え」と、積極的に行動することで獲得できる存在が右腕です。ここでは、権限移譲が重要になります。任せることで、プロジェクト・マネジャーの時間が空けられるだけでなく、育成にもつながります。そして、いずれは右腕の方もプロジェクト・マネジャーとして羽ばたいていくでしょう。組織にとっての人材を育成することにもつながるのです。

 右腕について書きましたが、メンバーを育てるのもプロジェクト・マネジャーの仕事であることを忘れないようにしてください。


このコースはコースのタイトルの通り最強のプロジェクト・チームを作り出すことを目指しています。右腕も含めて、メンバーをいかに育てるかにも焦点をあてています。育成計画はどのように立てればいいのか、悩んでいる部下には、どのようにアドバイスすればいいのかなどについて学びます。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2017年2月28日配信]

第10回:プロジェクト・マネジャーは、工程完了基準の仕組みを最大限に活用せよ

工程完了基準や工程開始基準をあらかじめ設定し、基準をクリアしないと次の工程に進めないという仕組みを導入していらっしゃる組織が多いと思います。ところが、失敗プロジェクトの事例をお聞きすると、この仕組みが機能していません。不合格とすべき状況でも条件付き合格にしてしまうケースが多いのです。


不合格の際には、期間を延長してきちんと完了させることが重要です。そうしないと、次の工程なのに実質的には前の工程の作業を実施していることになり、「手戻り」「バグ」が多発し、さらに遅れが積み重なります。プロジェクトの失敗は必然となります。


失敗プロジェクトの場合、プロジェクト・マネジャーは、「工程完了基準不合格になると次の工程が開始できず、最終納期も間に合わなくなる。なんとかうまい具合に合格にしたい。」と思っているようです。こんなふうに考えてしまうのはなぜでしょうか。


工程完了基準不合格になると次の打ち手がないからです。「工程着手が遅れた場合は、あらかじめ計画してある次の手を発動する。それによってプロジェクトの成功は確保できる。」と考えられれば、冷静に次の手を打てばいいのです。すなわち、工程完了基準不合格になった場合のコンティンジェンシー計画が策定できている必要があるのです。


そこで、プロジェクト・マネジャーのみなさん、「工程完了基準不合格の場合のコンティンジェンシー計画を策定し、上司やお客様にもご了解いただいておくこと」をお勧めします。コンティンジェンシー計画なくして工程完了基準の仕組みを導入する意義はありません。コンティンジェンシー計画の内容は、最終納期を遅らせることかもしれません。スコープの縮小かもしれません。人的資源の追加かもしれません。いざという場合には、そういうことになることをステークホルダーにも覚悟しておいていただく必要があるのです。


■おすすめコース

PMC0118G

PDU対象】【現場体験型】プログラム・マネジャーのためのプロジェクト・レビュー力

このコースは配下に複数のプロジェクト・マネジャーを抱える方(プログラム・マネジャーやPMOの方など)のためのコースです。工程完了基準をいかに活用するかについても検討します。プロジェクト・マネジャーからいかに力を引き出すか、あるいは、プロジェクト・マネジャーをいかに育てるかといった点に焦点をあてます。


執筆:中村 正明 [PMの心得][2017年2月 2日配信]

第9回:プロジェクト・マネジャーは、残業指示には抑制的になれ

 ある人が1日に8時間働いて80ユニットの仕事ができる作業があったとしましょう。2時間残業して1日に10時間働いたら100ユニットの仕事ができるでしょうか。7時間残業して1日に15時間働いたら150ユニットの仕事ができるでしょうか。翌日が締切りの仕事で、かつ、残業はその日のみであれば、できるかもしれません。でも、15時間働いた翌日の生産性は落ちるのではないでしょうか。

 

来週の月曜日が締切りなので、今週は月曜から毎日5時間残業して頑張るという場合はどうでしょう。来月1日が締切りなので、今月は1日から毎日4時間残業して...。来年1月が締切りなので、今年は1月から...。

 

短期的には、残業することで1日あたりの仕事量を上昇させることは可能でしょうが、長期的には残業で1日当たりの仕事量はむしろ下降すると考えるべきです。長期の平均を取れば、ある人が1日に8時間働いて80ユニットの仕事ができるのであれば、1日に10時間働くと1日に70ユニットとかに下がってしまうということです。モチベーションは確実に下がります。

 

生産性のみを考えても、残業は一時的な緊急事態にのみ適用すべきです。ワーク・ライフ・バランスの視点を考慮すれば、当然すぎるほど当然のことです。プロジェクト・マネジャーのみなさん、ご自身のことも考えて残業ゼロを目指してください。

 

■おすすめコース


PMC0123G

PDU対象】【現場体験型】複数プロジェクトマネジメント

このコースは小さな複数プロジェクトを効率的にマネジメントする方法を考えるものですが、マネジメントする時間を創出することも検討します。時間がないから残業するのではなく、仕事の時間配分を見直すのです。また、時間創出のためには、育てて任せることも必要です。いかに育てるかも考えます。残業の減少にも役立ちます。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2016年12月22日配信]

【PMの心得】第8回: プロジェクト・マネジャーは、第三者レビューを活用せよ

次の引用を読んでください。


 自分が選択したこと、自分がやっていること、自分が考えていることの適切さについて第三者的、価値中立的な視点から吟味できないことを僕たちは「頭が悪い」と言います

(内田樹「困難な成熟」)

 

 第三者の視点から吟味できないことを「頭が悪い」とは、痛烈な言葉です。でも、プロジェクト・マネジャーは、これができないと「プロジェクトの失敗」に至ります。そして、自分で第三者的に見るだけでなく、本当に第三者に見てもらう必要があります。さらに言えば、プロジェクトの現場には、第三者が見る仕組みが整っていると思います。


 ところが、計画書などの第三者レビューを実施しているにもかかわらず、正しく活用されず、失敗を未然に防止できていない事例がしばしば発生します。なぜ活用できないのでしょうか。それはやはり「第三者的、価値中立的な視点から吟味できない」からではないでしょうか。


 第三者的に見る必要はないと思っていると、第三者レビューは「余計な」仕事になります。プロジェクトをどんどん進めたいのに、「余計な」第三者レビューをやらされる。「なんとかうまい具合に通過させたい」「指摘をされて修正することになるなんて面倒だ」と考えてしまうと、骨抜きレビューになってしまいます。


 「私なりに最大限の力を尽くして計画書を作成しました。しかし、見落としや勘違いがあるに違いありません。是非、ご指摘ください。それを通じて最高の計画書に仕上げたいのです。ご協力ください」という姿勢で第三者レビューに臨めば、いろいろ良いアドバイスがもらえることにつながります。プロジェクトの成功のために役立つのです。


 レビューする側にも問題があるかもしれません。形式面ばかりにこだわったり、視点が偏っていたりすることもあるでしょう。レビューする際に、レビューの目的を共有して、レビューする側と、される側の協力により良いレビューにしてください。

 

■おすすめコース

 

PMC0118G

PDU対象】【現場体験型】プログラム・マネジャーのためのプロジェクト・レビュー力


このコースはレビューする側の方向けのコースです。

プロジェクト・マネジャーを支援してプロジェクトを成功に導いてもらうための力を身に付けます。レビュー力だけでなく、育成するという視点も学びます。



執筆:中村 正明 [PMの心得][2016年11月25日配信]

【PMの心得】第7回: プロジェクト・マネジャーは、自信を持って実現可能な計画書を作れ


 プロジェクト・マネジャーはプロジェクトの成功を請け負った人物です。「このようにやらせてください。成功させて見せます」という内容の計画書を作成する義務があるのです。ところが、ステークホルダーの方々の意向を慮って、自らをゆがめた計画書を作成してしまいます。その結果、実現不可能な要素の盛り込まれた計画書になってしまいます。これでは、成功は覚束なくなります。


 もちろん自信を持つためにも、様々な方々の意見を聞き、取り入れる謙虚な姿勢も必要です。実現不可能と思っていても、助言を通じて「実現できるぞ」と考えを変えることもあってしかるべきです。しかし、納得できないことを受け入れてしまってはいけません。あくまでも、責任者はあなたなのです。


 最初の計画はもちろん、立て直しの計画策定時も同様です。最初の計画は実現可能であったのに、再計画時に実現不可能な計画に変わってしまい、泥沼に陥ってしまうことも多いようです。しばしば、遅れているにもかかわらず、実現根拠の不確かな完了時期を変更しない計画にしてしまいます。


ステークホルダーの方々と、実現可能性の議論をする際には、EVMのグラフやCPITCPIの比較など、具体的で数値的な情報が武器になります。「根拠は?」と問われたら、的確に応えましょう。


自信を持ってプロジェクトを推進し、成功の美酒に酔う、そういう健全な仕事をしようではありませんか。

 

■おすすめコース

M0044CG PDU対象】アーンド・バリュー・マネジメント(EVM)

 本文中に出てきた「EVMのグラフやCPITCPIの比較」は、このコースで学ぶことができます。スケジュールやコストの数字を扱う手法ですが、いろいろなことが分析できます。プロジェクト・マネジャーが、プロジェクトを成功させるための武器として使えます。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2016年10月28日配信]

【PMの心得】第6回: プロジェクト・マネジャーは、自らをヒマにしろ


 忙しいプロジェクト・マネジャーは見るべきものが見られなくなります。したがって、ヒマになるように手だてを講じる必要があります。ヒマだと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、ヒマであればこそいろいろなことに目を配ることができます。

 

 「忙しかったので、○○できませんでした」という言い訳はプロジェクト・マネジャーには許されません。忙しすぎないように自らをマネジメントできてこそ、プロジェクト・マネジャーの名に値するのです。

 

 「問題が起きたので、プロジェクト・マネジャーに報告しようとしたのだけれど、忙しそうなので遠慮した」というメンバーの方の話が多く聞かれます。こうした理由で、重大な情報がプロジェクト・マネジャーに上がってこないことがあるのです。報告しないメンバーが悪いのでしょうか。忙しすぎるプロジェクト・マネジャーが悪いのです。

 

 「そんなこと言ったって無理だ」という声が聞こえてきます。そんなことはありません。取り得る策をすべて講じてみましたか。そもそも忙しすぎるのを解消する策はないかと考えてみましたか。「緊急だが重要でない仕事」に振り回されていませんか。「緊急事態」が発生しないように先を見通した仕事をしていますか。部下を育てて仕事を任すようにしていますか。

 

 ありとあらゆる手段を講じても忙しすぎるなら、人の追加、仕事の分担の変更を上司に相談しましょう。

 

■おすすめコース

 

PMC0123GPDU対象】【現場体験型】複数プロジェクトマネジメント

 

小さな複数のプロジェクトのマネジャーを兼務している方のためのコースです。「忙しくてマネジメントできない」という声が聞こえてきます。「忙しくなくなる」手段についていろいろ考えてみる演習が組込まれています。



執筆:中村 正明 [PMの心得][2016年9月30日配信]

【PMの心得】第5回: プロジェクト・マネジャーは、外部への支払金額だけをコストと考えるな

 プロジェクトのコスト削減を課題としているプロジェクト・マネジャーの方は、日々頭を悩ましているのではないでしょうか。そういう方にとって、単価の安い会社へ発注するという手段はたいへん有効に見えると思います。オフショアの活用も広まっていることでしょう。


 しかし、「発注先への支払額は低く抑えられた。しかし、プロジェクトのコスト総額は増えてしまった。」ということが起き得るということを頭に置いておく必要があります。工数が同じであれば、単価が低ければ当然支払額は安くなります。しかし、プロジェクトの総額には、みなさんの所属組織が負担する分もはいります。


 「納品された成果物の品質が悪く、品質を高めるために工数がかかってしまった」「発注先との意思疎通がうまくいかず、コミュニケーションに工数がかかってしまった」といった話を良く聞きます。その結果、安いどころかかえってコストが高くなってしまうこともあるのです。


 発注先を選択する際、支払金額は重要な評価基準ですが、それ以外に技術力やコミュニケーションにかかる手間なども評価基準に加えなくてはなりません。総合的に評価して、トータルでコストがどうなるか判断してください。

 

■おすすめコース

PMC0109G 【PDU対象】プロジェクトを成功に導く外注管理

今回のプロジェクトの目的は何か、組織の戦略は何か、といったことが、発注先を選択する基準に影響してきます。総合的に評価した上で、どこに発注するかを決める必要があります。また、発注候補の評価のための情報をいかに収集するかも重要です。

このコースでは、これらの点について、演習を通じて取り組みます。


執筆:中村 正明 [PMの心得][2016年9月 2日配信]

【PMの心得】第4回: プロジェクト・マネジャーは、遅れを取り戻すために人を増やすな


遅れを取戻す手段として、人を追加投入することが有効でしょうか。

あらゆる場合に無効であるとは言い切れませんが、考えるべきことをきちんと考えて実施しないと悪影響を及ぼすことさえあります。

考えるべきこととは何でしょうか。いくつか挙げてみましょう。

 

1) 一般的な経験、知識、スキル

(該当分野の経験、技術的なスキル、マネジメント・スキル、業務知識など)

追加投入する人のスキルが、遅れを取戻すために必要なスキルと合致していることが必須なのは言うまでもありません。


2) そのプロジェクト特有の経験、知識、スキル

これは、追加する人に求めることはできません。プロジェクトに参加してから習得するしかありませんが、習得までの間は、追加された方の力が発揮されないだけでなく、教える側も時間を取られます。追加直後の生産性はかえって下がります。


3) コミュニケーションによる追加

ひとつの仕事を複数人で実施する場合は、相互に調整が必要になったりします。このコミュニケーションによるロスもかなり大きくなることがあります。


4) 社会的手抜き

社会的手抜きとは、共同作業を行う際には一人当たりの課題遂行量が人数の増加に伴って低下する現象をいいます。

 

こうやって見てくると、人の追加が遅れの解消につながるケースの方がまれに思えてきます。「人の追加で遅れは取戻せない」を前提にプロジェクトは進めるべきでしょう。

 

■おすすめコース

PMC0119G  【PDU対象】【現場体験型】進捗会議のツボ

進捗会議でメンバーから事実を聞き出すロールプレイを実施していただきます。その上で、報告のルールをどうすると良いのか、どのような質問をすると事実を知ることができるのか、といった点のスキルを身に付けます。発見した問題にどのように対処すべきかについても議論します。人を追加する際に考慮すべきことについての検討も行います。


執筆:中村 正明 [PMの心得][2016年8月10日配信]

【PMの心得】第3回: プロジェクト・マネジャーは、メンバーに問題点(遅れ、リスクなど)を報告した方が得だと思わせよ

「大丈夫ではない、すなわち、問題がある」、そういう時にはできるだけすみやかに問題を把握し対処する必要があります。


でも、大丈夫ではないにもかかわらず「大丈夫です」と報告がなされるのは、プロジェクト・マネジャーが悪いからです

問題があるのに、「問題なし」と報告されたのでは困ってしまいます。しかし、「問題を報告しないメンバーが悪い」と考えているだけでは何も解決しません。なぜ報告が挙がってこないのか、真剣に考えてください。

 

 「遅れているとか、問題が起きた」とか報告すると「怒られるだけだ」と思うと、報告したくないですよね。「怒られるわけではないけれども、何もしてくれない、何も変わらない」という状態も、報告する気持ちを失わせます。

 

 「問題点を報告すると、報告書の作成を求められたりして、かえって仕事が増え、遅れがさらに拡大する。だったら、問題なしということにしておいて、自分でなんとかしようと思う。」という話もよく聞きます。

 

 そもそも、悪い情報、場合によると、「自分が間違えた、失敗した」という情報ですから、「言いたくない」という自然的感情があって普通です。でも、「報告しよう」という気持ちになってもらう必要があるわけです。

 

 どうすれば言いたくなるでしょうか。
「言ったほうが得だ」となるようにすることです。「おお、言ってくれてありがとう」とまずお礼を言いましょう。そして、一緒に解決策を考えたり、場合においては責任を引き受けたりしましょう。そのことで、「報告すると、悪いことが改善に向かう」と思ってもらうことです。

 

 プロジェクトは、問題が起きるのが当然です。問題をどんどん見つけて解決していくのがプロジェクト活動そのものと言っていいくらいです。問題の報告を奨励しましょう。問題発見が、プロジェクト成功への一歩なのです。

 

■おすすめコース

【PDU対象】【現場体験型】進捗会議のツボ

進捗会議でメンバーから事実を聞き出すロールプレイを実施していただきます。その上で、報告のルールをどうすると良いのか、どのような質問をすると事実を知ることができるのか、といった点のスキルを身に付けます。発見した問題にどのように対処すべきかについても議論します。



執筆:中村 正明 [PMの心得][2016年7月 8日配信]

【PMの心得】第2回: プロジェクト・マネジャーは、席に居よ

私は、最近、プロジェクトマネジメントの研修を受講してくださる方々に、
「プロジェクト・マネジャーはできるだけ席にいるようにしてください。」
とお願いしています。なぜでしょうか。

メンバーがプロジェクト・マネジャーに相談したり報告したりしようと思っても、どこに居るか分からなければ、伝えようがありません。メンバーが自ら報告しようという、せっかくの情報収集の機会を失うことになってしまうのです。

プロジェクト・マネジャーにとっては、プロジェクトの状況、発生した事実をきちんと把握することが非常に重要です。失敗プロジェクトの多くの事例では、「事実」が把握できていません。プロジェクト・マネジャーは「事実」を把握するために、あの手この手を講じるべきです。それも、無理やり事実を絞り出すのではなく、自然に事実に関する情報が集まるようにするといいのです。

したがって、メンバーが自ら報告しようという気持ちを失わせてはいけません。「さあさあ、みなさん私はここにいますよ。なんでも言ってきてください」という態度がプロジェクト・マネジャーには求められるのです。だから「席に居よ」なのです。

そうは言っても、常に席にいるわけにはいきません。いろいろお忙しいことと思います。そこで、「毎週水曜日の午後は席にいるので、なんでも言ってきてください」というのはどうでしょう。日時を毎週同じにできないのであれば、予定表に「席にいる時間」を明示するというのはどうでしょう。いろいろ工夫できると思います。

そして、話を聞くときは、相手の顔をみながら、笑顔で、うなずきながら、という積極的傾聴でお願いします。

<推奨コース>
「キックオフ・ミーティングでプロジェクト・マネジャーのチームビジョンを語ってください」といったロールプレイを取り入れた演習を行いながら、チーム育成を学ぶコースです。ちょっと難しいメンバーにどのように働きかけるといいか、といった課題にも取組みます。「席に居る」こともチーム・マネジメントに直結します。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2016年6月 8日配信]

【PMの心得】第1回: プロジェクト・マネジャーは、プロジェクトマネジメント計画書を武器にせよ

「メンバーから報告が上がってこない」「なかなか計画通りに進まない」......
プロジェクトの現場では、このような課題が溢れています。
「PMの心得」では、現場で悩みを抱えるプロジェクト・マネジャーの皆様へ、
プロジェクトを成功に導くコツをご紹介します。


プロジェクトマネジメント計画書は、プロジェクト成功への道筋を記載するものです。

その道筋をきちんとたどれば成功するように作成しなければなりません。そして、プロジェクトの途上では常に参照され、道筋をはずれていないか監視するための重要ドキュメントです。そのために、何を書くか、どう書くかが非常に重要になります。

しかし、ここでは少し別の側面を見てみたいと思います。


「6月から6人体制でプロジェクト・チームを発足する」と計画書にあるのに、人事権のある上司が6人体制を準備できなければ、それはプロジェクト・マネジャーの責任ではありません。

「7月31日にお客様の○○部長の承認を受けて、8月からの作業に着手する」と計画書にあるのに、○○部長が多忙であるために承認が遅れてもプロジェクト・マネジャーの責任ではありません。

計画書はこのように、プロジェクト・マネジャーやお客様の責任を明確にするものでもあります。


前提条件やリスクもその責任者が誰であるかが明確になっており、プロジェクトの外であれば、プロジェクト・マネジャーの責任範囲外なのです。

しかし、こんなことを言うのは、プロジェクト・マネジャーの責任逃れのためではありません。

プロジェクトの外の責任者、すなわち、解決能力のある方々にきちんと仕事をしていただくことによって、プロジェクト・マネジャーの責任を果たす、すなわち、プロジェクトを成功に導くために活用するためです。

したがって、プロジェクトマネジメント計画書に書けばいいのではなくて、書くことを通じてお客様や上司に動いてもらうことが肝心なわけです。

すなわち、その責任ある方々の任務とその趣旨をご理解いただき、「わかった、引き受けましょう」とコミットしていただかなければならないのです。

そのためにこそ、プロジェクトマネジメント計画書を活用してください。


<推奨コース>
【PDU対象】PMBOK(R)Guideベースのプロジェクトマネジメント計画書作成
PMBOK(R)Guideに準拠したプロジェクトマネジメント計画書をPC上で作成していただきます。WBS、スケジュールといった単位で、作成したもののレビューをクラス全体で行いつつ、最終的にはプロジェクトマネジメント計画書の完成までをたどります。プロジェクトマネジメント計画書の基本を学ぶことができるコースです。

執筆:中村 正明 [PMの心得][2016年5月16日配信]


ここでは、[ASP]PMP(R)試験対策問題集から毎回1問をご紹介します。

PMP®とは、PMI®(Project Management Institute)が認定するプロジェクト・マネジャーの世界標準資格、PMP®(Project Management Professional)のことです。

[ASP]PMP(R)試験対策問題集 PMBOK(R)Guide第5版・新試験対応 (スマホ対応版)は、PMP®資格試験にチャレンジする方を対象に、効率的に試験準備を行うための自主学習教材です。選び抜かれた500問が入っています。解説付きですので、受験対策にぜひご活用ください。

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